焦点状態検出装置、撮像装置、およびその制御方法
【課題】 1つのクロス測距点において、クロスを構成する縦ラインと横ラインのうちのいずれかが隣の測距点と演算範囲が重なっている場合、撮影者が選択したクロス測距点でなく、隣の測距点でピントが合う場合がある。結果として撮影者が意図しない撮影結果となる。
【解決手段】 本発明は、クロス測距点内の縦の焦点状態検出領域と横の焦点状態検出領域のうちのいずれかが隣の測距点と演算範囲が重なっている焦点状態検出領域を持つ焦点検出装置において、撮影者が選択したクロス測距点の隣の測距点枠内の被写体に合焦させることなく、撮影者の意図通りの撮影結果を得るようにしたものである。
【解決手段】 本発明は、クロス測距点内の縦の焦点状態検出領域と横の焦点状態検出領域のうちのいずれかが隣の測距点と演算範囲が重なっている焦点状態検出領域を持つ焦点検出装置において、撮影者が選択したクロス測距点の隣の測距点枠内の被写体に合焦させることなく、撮影者の意図通りの撮影結果を得るようにしたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、異なる瞳領域を通過した像の位相差からデフォーカス量を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、AFセンサの光電変換素子群の蓄積領域を変えて光学系の焦点状態を検出する技術が知られている。たとえば、蓄積領域を変えて信号を出力することで、焦点状態検出領域の数を確保又は増やしつつデフォーカス量が大きい場合でも検出時間の短縮を図る技術思想について開示がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−220684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、焦点状態検出領域の数を増やしたいというニーズがある。このニーズに応えようとした場合、隣の焦点状態検出領域が近づくことにより、どのようにAFセンサを制御し、又どのようにAFセンサからの出力を使ってデフォーカス量を検出するかという課題があった。特に、2つのAFフレームに対して、少なくとも焦点状態検出領域の一部を兼用するような場合、AFフレームを視認しながら、所望するAFフレームを選択するユーザに、所望したAFフレームと異なるAFフレームの被写体にピントが合うケースを少なくするような焦点状態検出技術を提供するという技術的課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上記課題を解決するために、被写体空間からの光束を受光する複数の画素からなる光電変換素子の焦点状態検出領域と、該焦点状態検出領域からの出力に基づいて被写体に対する光学系の焦点状態を検出する焦点状態検出装置において、複数のAFフレームにそれぞれに対応した焦点状態検出領域を持ち、当該焦点状態検出領域の出力の中から、前記光学系を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択する選択手段と、前記選択された焦点状態検出領域の出力に基づいて前記光学系を駆動を制御する制御手段とを有し、前記選択手段は、複数の焦点状態検出領域のうち、焦点状態検出領域の一部が対応するAFフレームとは別のAFフレームに1次結像面上において重なる焦点状態検出領域の出力を、重ならない焦点状態検出領域の出力よりも選択されにくくする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ユーザが合焦を所望していないAFフレームに対応した被写体にピントがあうような不具合を軽減するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態である撮像装置を説明する図である。
【図2】焦点状態の検出を説明する図である。
【図3】光電変換素子の配置を説明する図である。
【図4】光電変換素子及びその蓄積制御を説明する図である。
【図5】光電変換素子及びその蓄積制御を説明する図である。
【図6】実施形態である一対の光電変換素子と測距点の位置関係を説明する図である。
【図7】実施形態であるAFフレームと焦点状態検出領域を説明する図である。
【図8】実施形態である焦点状態検出領域とAFフレームの重なりを説明する図である。
【図9】実施形態である撮像装置の動作を説明するフローチャートである。
【図10】実施形態である出力の選択を説明するフローチャートである。
【図11】実施形態である信頼性判定を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<撮像装置としてのカメラの構成>
図1は本発明を実施するために最良の形態として撮像装置としてのカメラに具体化した例である。
【0009】
図1の101は撮影レンズで、説明を簡単にするため一枚のレンズとして記載したものである。撮影レンズ101は、撮像装置に対して括り付けられた鏡筒にあっても良いし、撮像装置に対して交換可能な鏡筒にあってもよい。107は撮影レンズ101を通過した被写体光学像を結像させる、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、結像された被写体光学像の光量に応じて電荷に変換し電気信号として出力する。
【0010】
102は、半透過部を有する主ミラーであり、撮影の際、撮影レンズ101を通過した光束をケラないように撮影光束外へ退避し、後述する焦点検出の際には、撮影光束が通る光路内に斜設される。なお、図1では撮影光束が通る光路中に主ミラー102が挿入された状態(ミラーダウン状態)を示している。
【0011】
また、主ミラー102は、撮影光束の光路内に斜設された状態で、撮影レンズ101を通過した光束の一部をピント板103、ペンタプリズム104および接眼レンズ105から構成されるファインダ光学系に導く。
【0012】
106は、主ミラー102の動作に同期して主ミラー102に対して展開された状態から折り畳まれ、あるいは折り畳まれた状態から展開することが可能なサブミラーである。主ミラー102の半透過部を通過した光束の一部は、サブミラー106によって下方へ反射され、後述する位相差方式の焦点検出装置108に入射し、撮影レンズ101の被写体に対するデフォーカス量が検出される。
【0013】
さらに、撮像装置は、カメラ全体の制御を行うCPU、記憶装置であるRAMなどから構成されるシステムコントローラ112を備え、後述する各部の動作を適宜制御する。
【0014】
113は、システムコントローラ112に接続され、撮影レンズ101と通信を行う通信回路と、焦点調節を行うためにレンズ駆動を行うレンズ駆動機構と、その駆動回路を備えたレンズ駆動装置である。
【0015】
114は、システムコントローラ112に接続され、主ミラー102を撮影レンズ101の撮影光束外へ駆動するためのミラー駆動回路である。115は、システムコントローラ112に接続され、焦点検出装置108を制御するためのセンサ制御回路である。116は、システムコントローラ112に接続され、撮像素子107を駆動するための撮像素子駆動装置である。
【0016】
111は、システムコントローラ112に接続され、撮像素子107に結像された被写体光学像の光量に応じた電気信号がアナログ信号処理回路109に入力される。アナログ信号処理回路109に入力された電気信号は、A/D変換器110によりアナログ信号からデジタル信号に変換された信号をシェーディング補正やガンマ補正などの画像処理を施して画像データとして出力するデジタル信号処理回路である。
【0017】
また、撮像素子107には撮影レンズ101の射出瞳領域から一対の一部の領域の光束を受光する焦点検出用画素が設けられている。そして、デジタル信号処理回路111には、当該焦点検出用画素から出力される電気信号より撮影レンズ101の被写体に対するデフォーカス量などの合焦状態を検出する検出回路が備えている。
【0018】
117は、デジタル信号処理回路111に接続され、撮像素子107で撮像された複数フレーム分のデータを記憶することができるフレームメモリであり、A/D変換された信号は一旦このバッファメモリ117に記憶される。
【0019】
デジタル信号処理回路111ではバッファメモリ117に記憶されたデータを読み込んで上述した各処理を行い、処理後の画像データは再びバッファメモリ117に記憶される。
【0020】
118は、デジタル信号処理回路111に接続され、デジタル信号処理回路111で各種処理が施された画像データを一旦バッファメモリ117に記憶した後、メモリカード等の外部記憶媒体111に画像ファイルとして記録する記録・再生信号処理回路である。なお、ここでは、外部記憶媒体111に記録するようにしたが、別途通信手段を設けて、インターネットへ画像データを送信するようにしてもよい。
【0021】
画像データを外部記録媒体119に記録したり、インターネットへ送信する際には、画像データの圧縮、例えば、JPEG方式でデータ圧縮が行われる。一方、画像データを外部記録媒体119から読み込むだり、インターネットからダウンロードする際、記録・再生信号処理回路118は、画像データの伸長処理を行う。記録・再生信号処理回路118には記憶媒体119とデータ通信を行うためのインタフェースも含まれている。
【0022】
121は、撮像された画像を表示するための表示装置であり、記憶媒体119に記録されている画像データを再生表示する際にも用いられる。
【0023】
表示装置121に画像を表示する場合には、バッファメモリ117に記憶された画像データを読み出し、D/A変換器120によりデジタル画像データをアナログ映像信号に変換する。
【0024】
そして、そのアナログ映像信号を用いて表示装置121に画像を表示する。
【0025】
撮像素子107で撮像された画像を表示装置121で表示する形態には2つの形態がある。一つは、レリーズ操作が行われないときの表示形態であり、撮像素子107で繰り返し撮像される画像を逐次更新表示するスルー画と呼ばれる表示形態である。
【0026】
もう一つは、カメラのレリーズ操作後に、撮像素子107で撮像された画像を所定時間表示するフリーズ画と呼ばれる表示形態である。
【0027】
122は、システムコントローラ112に接続され、カメラの姿勢を検知する姿勢検知回路である。
【0028】
カメラの姿勢検知には、物体の角度や角速度を計測するジャイロスコープを用いても良い。
【0029】
123は、システムコントローラ112に接続され、カメラの電源をオン・オフするための電源スイッチ、レリーズボタン、人物撮影モードなどの撮影モードを選択するための設定ボタンなど、カメラを操作するための操作部材が設けられた操作部である。
【0030】
これらのスイッチやボタンを操作すると、その操作に応じた信号がシステムコントローラ112に入力される。
【0031】
なお、レリーズボタンには、撮影者により操作されるレリーズボタンの第1ストローク操作(半押し操作)によりONするSW1と、レリーズボタンの第2ストローク操作(全押し操作)によりONするSW2とが接続されている。
【0032】
図2は、焦点検出装置108を用いてシステムコントローラ112が焦点状態を検出する原理を説明するための光路図であり、構成要素を撮影レンズ101の光軸上に展開して示したものである。ただし、主ミラー102およびサブミラー106は省略している。なお、図2において、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。
【0033】
<焦点状態検出装置108>
図2の焦点状態検出装置108内において、109は撮影レンズ101の予定焦点面、即ちフィルム面と共役な面付近に配置された視野マスクである。201は同じく予定焦点面の付近に配置されたフィールドレンズ、202は2つのレンズ202aと203bからなる2次結像系である。203は2次結像系202の2つレンズ202aと202bに対応してその後方に配置された2つのラインセンサ列203aと203bを含む光電変換素子である。204は2次結像系202の2つのレンズ202aと202bに対応して配置された2つの開口部204aと204bを有する絞りである。205は分割された2つの領域205aと205bを含む撮影レンズ101の射出瞳を示している。
【0034】
このような構成において、例えば撮影レンズ101を図中左方に繰り出して、撮像素子107より左方に光束が結像すると、光電変換素子203上の一対の像は矢印Aの方向に変位する。この一対の像の相対的なずれ量を光電変換素子203で検出することで、撮影レンズ101の被写体に対する合焦状態としてのデフォーカス量を検出し、当該検出結果に基づいて撮影レンズ101の焦点調節駆動を行うことが可能である。なお、撮影レンズ101を図中右方に繰り込んだ場合、光電変換素子203上の一対の像は、図中矢印Aの方向とは反対方向に変位する。
【0035】
<光電変換素子203の構成>
図3(A)は、一対の焦点状態検出領域としてのラインセンサ列203aと203bを備えた光電変換素子203の配置を示したものである。また、焦点状態検出領域としてのラインセンサ列203cと203d、203eと203f、203gと203h、203iと203jはそれぞれ一対の関係にある。さらに、焦点状態検出領域としてのラインセンサ列501aと501b、501cと501d、501eと501fとが一対の関係にある。
【0036】
これら、光電変換素子203の一対の焦点状態検出領域としてのラインセンサ列より出力される信号からそれぞれ像ずれ量を検出することが可能である。
【0037】
こうした2次結像面上にある1対の焦点状態検出領域群は、それぞれ上述した1次結像面上にあるピント板103でユーザが視認可能なAFフレーム401〜411に対応している。なお、本実施例では11個のAFフレームを有する例を用いて説明するがこれに限らない。
【0038】
<光電変換素子203の制御>
図4は、光電変換素子203の制御を代表として一対のラインセンサ203aと203bを使って説明するための図である。
【0039】
まず、この光電変換素子203での蓄積制御について説明する。まず、出力VDとVPについて説明する。出力VDとは、2つのラインセンサ列203aと203bに対して共通な遮光されたダーク画素301の出力である。また、出力VPとは、2つのラインセンサ列203aと203bに共通な最大値検出回路302の出力の最大値を示す画素の出力である。出力(VD)と出力(VP)との差が作動アンプ303により検出・出力される。
【0040】
この出力VDと出力VPとの差が所定レベル(VR)に到達するまで蓄積を行い、到達時点で蓄積動作の終了となる。そして、蓄積容量への読み出し信号となるΦRが蓄積制御部304からラインセンサ列203aと203bに送られる。
【0041】
ここで最大値VPとダーク出力VDとの差を取るのはダーク出力VDを基準とし、所定レベルVRに最大値VPが到達するまで蓄積することにより、焦点検出の位相差検出処理において、十分精度が出るレベルであると判断できるためである。
【0042】
この最大値VP以上に蓄積時間を増加すれば、出力信号が飽和して適切な焦点検出が行えなくなるので、読み出し信号となるΦRをラインセンサ列203aと203bに帰還する。
【0043】
図5は、2つのラインセンサ列203aと203bの像信号をダーク画素301の出力VDを基準として示したものである。これは、ラインセンサ列203aと203bのそれぞれの像信号であるA像とB像に対して共通の最大値出力VP(図ではA像側)が設定レベルVRとなっている。
【0044】
焦点状態の検出は、各ラインセンサ列203aと203bのうちラインセンサ画素のいずれかが設定レベルVRを含む所定間隔内に収まったときの像信号を用いてA像、B像の相対的な位相差を演算することで行う。
【0045】
<焦点ずれ量の演算>
ここで、焦点ずれ量を演算する信号処理方法について、上記のラインセンサ列203aと203bからそれぞれ出力されるA像とB像を代表例として説明する。
【0046】
焦点検出用画素を構成する画素数をLとし、画素番号i(i=0,・・・,L)としたときのA像信号をA(i)、B像信号をB(i)とするとき、式(1)、あるいは式(2)をk1≦k≦k2について演算する。
【0047】
【数1】
・・・ (1)
【0048】
【数2】
・・・ (2)
【0049】
なお、Mは(M=L−|k|)で表される演算画素数であり、kは相対変移量と呼ばれ、k1,k2は通常−L/2、L/2にとらえることが多い。
【0050】
また、max{a,b}なる演算子はa,bから大なるものを抽出することを表し、min{a,b}なる演算子はa,bから小なるものを抽出することを表す。
【0051】
したがって、前記式(1)、(2)におけるX1(k)、X2(k)、Y1(k)、Y2(k)は広義の相関量と考えることができる。
【0052】
更に前記式(1)、(2)を詳細に見ると、X1(k),Y1(k)は現実には(k−1)の変位における相関量を、X2(k),Y2(k)は(k+1)の変位における相関量を、それぞれ表している。
【0053】
それゆえ、X1(k),X2(k)の差である評価量X(k)は相対変位量kにおける被写体像信号A(i),B(i)の相関量の変化量を意味する。
【0054】
X1(k),X2(k)なる相関量は上記定義より2像の相関が最も高いときに最小となる。よって、その変化量であるX(k)は相関最高のときに「0」で、かつ傾きは負となるはずである。
【0055】
ところが、X(k)は離散データであるから、実際には、式(3)かつ、X(kp)−(kp+1)が最大なる相対変位の区間[kp,kp+1]に相関量のピークが存在すると考えて、式(4)の補間演算を行う。これにより、画素単位以下の焦点ずれ量PRを検出することができる。
X(kp)≧0,X(kp+1)<0 ・・・ (3)
PR=kp+X(kp)/{X(kp)−X(kp+1)}・・・ (4)
一方、Y1(k),Y2(k)なる相関量は上記定義より2像の相関が最も高いとき、X1(k),X2(k)とは逆に最大となる。
【0056】
よって、その変化量であるY(k)は相関最高のときに「0」で、かつ傾きは正となるはずである。Y(k)もX(k)と同様に式(5)で且つY(kp)−Y(kp+1)が最大のとき式(6)の補間演算を行うことにより、画素単位以下の焦点ずれ量PRを検出することができる。
Y(kp)≦0,Y(kp+1)>0 ・・・ (5)
PR=kp+|Y(kp)/{Y(kp)−Y(kp+1)}|・・・ (6)
式(4)、或いは式(6)で求めた焦点ずれ量PRより、被写体像面の予定結像面に対するデフォーカス量DEFを下記式(7)で求めることができる。
【0057】
式(7)において、Kは一対の測距瞳を通過する光束の重心の開き角の大きさによって決まる変換係数である。
【0058】
<光電変換素子203と各焦点状態検出領域の位置関係>
図6は、光電変換素子203と各焦点状態検出領域、およびAFフレームの位置関係を説明する図である。また、図7は各焦点状態検出領域で焦点ずれ量を検出する範囲を説明する図である。
【0059】
図6は、1次結像面上のピント板103でユーザが視認可能なAFフレームのうち、代表として3つのAFフレームである401、402、および403を使って説明する。なお、AFフレームは、1次結像面上に定義される領域で、ユーザはピント板103や表示装置121を使って撮像画面上のAFフレームの位置を把握することができる。
【0060】
AFフレーム401に対応する焦点状態検出領域としては、例えば、図3で説明した、光電変換素子203の203aと203bの一対、および501aと501bの一対の領域である。これは、1次結像面上で501となる(図6から8)。光電変換素子203の203aと203bの一対、および501aと501bの一対の領域とは、いわゆるクロスタイプといわれるもので、横ライン、縦ラインに対応する。同様に、AFフレーム402に対応する焦点状態検出領域としては、光電変換素子203の203aと203bの一対、および501cと501dの一対の領域である。501cと501dの一対の領域は、1次結像面上では、502となる(図6から8)。AFフレーム401に対応する焦点状態検出領域としては、光電変換素子203の203aと203bの一対、および501eと501fの一対の領域である。501eと501fの一対の領域は、1次結像面上では503となる(図6から8)。なお、光電変換素子203の203aと203bは、後述するように出力から3つの焦点状態検出領域を切り出す。これにより領域を切り出した信号を用いて、システムコントローラ112は、対応する被写体空間での3つの異なる領域であるAFフレーム401、402および403での光学系の被写体に対する焦点状態を検出するものである。
【0061】
すなわち、AFフレーム401、402、403は、いずれも、いわゆるクロスタイプの焦点状態検出領域に対応するものである。これは、光電変換素子203aと203b(いずれも横ライン)と直交する3本の光電変換素子501aと501b、501cと501d、501eと501f(いずれも縦ライン)を持つ焦点検出装置である。なお、クロスタイプとしては、X型のもの、X型と+型の併存タイプもあるが、ここでは簡単のため+型で説明する。
【0062】
この例では、図7(a)に示すように、AFフレーム401に対しては光電変換素子203の焦点状態検出領域203a、203bおよび焦点状態検出領域501aと501bとが対応付けられている。同様に、図7(b)に示すように、AFフレーム402に対しては光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203b、および焦点状態検出領域501cと501dとが対応付けられている。同様に、図7(c)に示すように、AFフレーム403に対しては光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203b、および焦点状態検出領域501eと501fとが対応付けられている。
【0063】
したがって、所定のときは、光電変換素子501eと501fの焦点状態検出領域からの出力、および光電変換素子203aと203bの所定範囲の領域cの焦点状態検出領域からの出力を用いて焦点状態を検出する。この所定のときとは、例えばAFフレーム403で撮影レンズ101のピントを被写体に合わせたいときである。同様に測距点401、402についても前述の対応付けられた光電変換素子203aと203bの所定範囲の領域a,bの出力を用いて焦点状態を検出する。
【0064】
ここで図7(a)において、領域aは、対応付けられたAFフレーム401でないAFフレーム402に焦点状態検出領域が一次結像面上において重なっている。同様に図7(c)において、領域cは、対応付けられたAFフレームでないAFフレーム402に焦点状態検出領域が一次結像面上において重なっている。
【0065】
ここで図8の塗りつぶした領域c1は、領域c(領域cはAFフレーム403に対応した領域)におけるAFフレーム402の焦点状態検出領域と重なった部分領域を示している。このようにすることで、AFフレーム401および403において、光電変換素子203の切り出し領域を広げることができるので、領域を広げない場合よりも大きなデフォーカス量(焦点のボケ量)を検出できる。
【0066】
ところでこの場合、仮にAFフレーム403の1点でAFするとき、光電変換素子501aとbの焦点状態検出領域(縦ライン)からの出力および光電変換素子203aとbの領域c(横ライン)の出力をどのように使って、レンズを制御するかが問題となる。ここでは、それぞれの出力のうちでコントラスト評価値やA像とB像の一致度等による信頼性の高い出力を選択してレンズを制御することになる。この点については、後述する。
【実施例1】
【0067】
<フローチャート>
続いて、制御フローについて第1の実施形態として、図9を用いて説明する。ステップ101では、システムコントローラ112が操作部の一つであるレリーズボタンSW1が押下されたかどうかを判断する。レリーズボタンSW1が押下されていなければ、レリーズボタンSW1が押下されるまで処理を繰り返す。一方、レリーズボタンSW1が押されていればステップ102へ進む。ステップ102では、上述した光電変換素子203で必要な領域の電荷の蓄積制御を行う。必要な蓄積制御は、ラインセンサ列203cと203d、203eと203f、203gと203h、203iと203j、また、ラインセンサ列501aと501b、501cと501d、501eと501fのうちから選択される。選択された焦点状態顕出領域の出力に基づいて焦点状態の検出を行う。ステップ103では、選択された複数の焦点状態検出領域のうち、焦点状態の検出を行った焦点状態検出領域(ラインセンサ列)の中から1つの焦点状態検出の結果を選択する。この焦点状態検出の結果の選択については後述する。
【0068】
ステップ104では、ステップ103で選択した1つの焦点状態が合焦がどうかを判断する。合焦していなければ、ステップ105へ進む。一方、合焦していれば、ステップ106へ進む。
【0069】
ステップ105では、システムコントローラ112がステップ103で検出した焦点状態を示すデフォーカス量をレンズの駆動量であるパルス数に変換し、レンズ駆動装置113を介して撮影レンズ101を駆動する。これにより、駆動前のデフォーカス量がほぼ無くなり、撮影レンズ101が被写体に対して合焦することになる。ステップ106では、システムコントローラ112が操作部の1つであるSW2が押されているかどうかを判断する。レリーズボタンSW2が押されていなければ、ステップ106を繰り返す。一方、SW2が押されていればステップ107へ進む。ステップ107では、システムコントローラ112がミラー駆動回路114を介して、主ミラー102を撮影光束外へ駆動させ、撮像素子駆動装置116を介して撮像素子107を駆動させる。これにより、被写体像が撮像されて既述のように画像ファイルとして記録されることになる。
【0070】
<焦点状態検出結果の選択について>
ここで、図9のステップ103の焦点状態検出結果の選択について図10のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
なお、ここでは、ユーザがクロスタイプのAFフレームであるAFフレーム403を選択したものを代表例として説明する。カメラは出力A1と出力A2のいずれかを選択する場合を想定している。出力A1とは、図7(c)における光電変換素子203の焦点状態検出領域501eと501fからの出力である。また出力A2とは図7(c)における光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203bの領域cからの出力である。なお、ここでは、出力をA1,A2としたが、上述の光電変換素子203のように、8つのAFフレームに対応した焦点状態検出領域がある場合には、A1〜A8の出力がある場合があることになる。
【0072】
まず、ステップ201において各ラインの信頼性判定を行う。ここで信頼性判定は図11のフローチャートを用いて後述する。図10において、ステップ201における信頼性判定の後、ステップ202で相対的に信頼性(Sn)の高い検出結果を選択する。ここでは、最も0に近い焦点状態検出結果を示す検出結果を選択することになる。
【0073】
ここでステップ203で、最も信頼性の高いラインが複数存在するかどうかチェックし、そうであればステップ204において、最も信頼性の高いラインのうちの最も近距離側に合焦状態がある検出結果を選択する。なお、ここでは、簡単のため、ユーザがクロスタイプのAFフレームであるAFフレーム403を選択したものを代表例として説明したが、複数のAFフレームからレンズ101を制御するための焦点状態検出結果を選択する場合も、同様にして選択する。
【0074】
<信頼性判定>
図11を用いて、図10におけるステップ201での信頼性判定について説明する。
【0075】
ステップ301においてnに初期値1を代入し、ステップ302で出力Anの信頼性値をSnとする。ここでSnは該当する焦点状態検出領域からの出力におけるA像、B像の一致度や、センサ像のコントラストなどよる値であり、数値が0に近いほど信頼性が高いものとする。これは、A像、B像の位相差を検出する際に、その検出結果における信頼度を表す数値であり、例えば、像の形状が一致するほど、位相差の検出が正確になるといった具合である。
【0076】
ステップ303では、ある焦点状態検出領域が一次結像面上において対応するAFフレームの隣のAFフレームの焦点状態検出領域と重なっているかを判定する。例えば、図8で説明した領域c1のような領域を有しているか否かの判定である。なお、ここでいう焦点状態検出領域が一次結像面上において重なっているとは、あるAFフレームに対応する焦点状態検出領域のから出力を使った演算範囲が別のAFフレームに対応する焦点状態検出領域からの出力を使った演算範囲と重なっていることに等価である。
【0077】
重なっていればステップ304でSnに1を足す、重なっていなければそのままとする。ここで、光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203bの領域cは、隣のAFフレーム402と重なっている領域c1を有する。したがって、信頼性値S2に1を足すことになる。
【0078】
その後、ステップ305でnをインクリメントし、ステップ306でnが2よりも大きければ終了し、そうでなければステップ302に戻る。ここでは、ユーザがクロスタイプのAFフレームであるAFフレーム403を選択したものを代表例として説明したので、nは2となる。しかし、複数のAFフレームに対応する焦点状態検出領域の出力から撮影レンズ101を制御するために用いる出力を選択する場合には、nの値は、その焦点状態検出領域の数に応じて変化する。
【0079】
上述したように、図11のフローチャートにより、出力A1と出力A2で、隣の測距点と演算範囲が重なっている方のライン(この例ではラインA2)の信頼性を下げ、そうでないラインの優先度を上げている。その結果、出力A2が選択されにくくなる。すなわち対応しないAFフレーム402に、1次結像面上で重なる焦点状態検出領域の出力は、撮影レンズ101を制御するために用いる出力として選択されにくくなる。
【0080】
<その他>
上記実施例では、信頼性に基づいて、撮影レンズ101を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択するようにした。この点、例えば、焦点状態検出領域が対応しないAFフレームと重なっている場合には、当該焦点状態検出領域の出力は他の焦点状態検出領域の出力からは、焦点状態を検出できない場合にのみ選択されるようにしてもよい。この場合、対応しないAFフレームと重なっている焦点状態検出領域の出力は選択されない可能性が高くなる。
【0081】
また、上記実施例では、クロスでの横ライン、縦ラインからの選択で説明したが、これに限らない。例えば、複数のAFフレームにそれぞれ対応する焦点状態検出領域が横ラインだけある場合でも効果がある。
【0082】
<効果>
本実施例により、クロス測距点の縦ライン/横ラインのうちで隣のAFフレームと演算範囲が重なっている焦点状態検出領域が有る場合、その領域からの出力の信頼性を低くすることで自動的に優先順位を下げるものである。これにより、隣のAFフレームと演算範囲が重なっていない方の焦点状態検出領域を優先的に選択させるものである。結果として、撮影者が意図しないAFフレームに対応する被写体に撮影レンズ101の焦点を合わせる不具合を軽減することができる。
【符号の説明】
【0083】
101 撮影レンズ
102 主ミラー
106 サブミラー
112 システムコントローラ
113 レンズ駆動装置
123 操作部
203 光電変換素子
401〜415 AFフレーム
203a〜203j、501a〜501f 焦点状態検出領域
【技術分野】
【0001】
本願は、異なる瞳領域を通過した像の位相差からデフォーカス量を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、AFセンサの光電変換素子群の蓄積領域を変えて光学系の焦点状態を検出する技術が知られている。たとえば、蓄積領域を変えて信号を出力することで、焦点状態検出領域の数を確保又は増やしつつデフォーカス量が大きい場合でも検出時間の短縮を図る技術思想について開示がある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−220684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、焦点状態検出領域の数を増やしたいというニーズがある。このニーズに応えようとした場合、隣の焦点状態検出領域が近づくことにより、どのようにAFセンサを制御し、又どのようにAFセンサからの出力を使ってデフォーカス量を検出するかという課題があった。特に、2つのAFフレームに対して、少なくとも焦点状態検出領域の一部を兼用するような場合、AFフレームを視認しながら、所望するAFフレームを選択するユーザに、所望したAFフレームと異なるAFフレームの被写体にピントが合うケースを少なくするような焦点状態検出技術を提供するという技術的課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願発明は、上記課題を解決するために、被写体空間からの光束を受光する複数の画素からなる光電変換素子の焦点状態検出領域と、該焦点状態検出領域からの出力に基づいて被写体に対する光学系の焦点状態を検出する焦点状態検出装置において、複数のAFフレームにそれぞれに対応した焦点状態検出領域を持ち、当該焦点状態検出領域の出力の中から、前記光学系を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択する選択手段と、前記選択された焦点状態検出領域の出力に基づいて前記光学系を駆動を制御する制御手段とを有し、前記選択手段は、複数の焦点状態検出領域のうち、焦点状態検出領域の一部が対応するAFフレームとは別のAFフレームに1次結像面上において重なる焦点状態検出領域の出力を、重ならない焦点状態検出領域の出力よりも選択されにくくする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、ユーザが合焦を所望していないAFフレームに対応した被写体にピントがあうような不具合を軽減するものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態である撮像装置を説明する図である。
【図2】焦点状態の検出を説明する図である。
【図3】光電変換素子の配置を説明する図である。
【図4】光電変換素子及びその蓄積制御を説明する図である。
【図5】光電変換素子及びその蓄積制御を説明する図である。
【図6】実施形態である一対の光電変換素子と測距点の位置関係を説明する図である。
【図7】実施形態であるAFフレームと焦点状態検出領域を説明する図である。
【図8】実施形態である焦点状態検出領域とAFフレームの重なりを説明する図である。
【図9】実施形態である撮像装置の動作を説明するフローチャートである。
【図10】実施形態である出力の選択を説明するフローチャートである。
【図11】実施形態である信頼性判定を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<撮像装置としてのカメラの構成>
図1は本発明を実施するために最良の形態として撮像装置としてのカメラに具体化した例である。
【0009】
図1の101は撮影レンズで、説明を簡単にするため一枚のレンズとして記載したものである。撮影レンズ101は、撮像装置に対して括り付けられた鏡筒にあっても良いし、撮像装置に対して交換可能な鏡筒にあってもよい。107は撮影レンズ101を通過した被写体光学像を結像させる、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、結像された被写体光学像の光量に応じて電荷に変換し電気信号として出力する。
【0010】
102は、半透過部を有する主ミラーであり、撮影の際、撮影レンズ101を通過した光束をケラないように撮影光束外へ退避し、後述する焦点検出の際には、撮影光束が通る光路内に斜設される。なお、図1では撮影光束が通る光路中に主ミラー102が挿入された状態(ミラーダウン状態)を示している。
【0011】
また、主ミラー102は、撮影光束の光路内に斜設された状態で、撮影レンズ101を通過した光束の一部をピント板103、ペンタプリズム104および接眼レンズ105から構成されるファインダ光学系に導く。
【0012】
106は、主ミラー102の動作に同期して主ミラー102に対して展開された状態から折り畳まれ、あるいは折り畳まれた状態から展開することが可能なサブミラーである。主ミラー102の半透過部を通過した光束の一部は、サブミラー106によって下方へ反射され、後述する位相差方式の焦点検出装置108に入射し、撮影レンズ101の被写体に対するデフォーカス量が検出される。
【0013】
さらに、撮像装置は、カメラ全体の制御を行うCPU、記憶装置であるRAMなどから構成されるシステムコントローラ112を備え、後述する各部の動作を適宜制御する。
【0014】
113は、システムコントローラ112に接続され、撮影レンズ101と通信を行う通信回路と、焦点調節を行うためにレンズ駆動を行うレンズ駆動機構と、その駆動回路を備えたレンズ駆動装置である。
【0015】
114は、システムコントローラ112に接続され、主ミラー102を撮影レンズ101の撮影光束外へ駆動するためのミラー駆動回路である。115は、システムコントローラ112に接続され、焦点検出装置108を制御するためのセンサ制御回路である。116は、システムコントローラ112に接続され、撮像素子107を駆動するための撮像素子駆動装置である。
【0016】
111は、システムコントローラ112に接続され、撮像素子107に結像された被写体光学像の光量に応じた電気信号がアナログ信号処理回路109に入力される。アナログ信号処理回路109に入力された電気信号は、A/D変換器110によりアナログ信号からデジタル信号に変換された信号をシェーディング補正やガンマ補正などの画像処理を施して画像データとして出力するデジタル信号処理回路である。
【0017】
また、撮像素子107には撮影レンズ101の射出瞳領域から一対の一部の領域の光束を受光する焦点検出用画素が設けられている。そして、デジタル信号処理回路111には、当該焦点検出用画素から出力される電気信号より撮影レンズ101の被写体に対するデフォーカス量などの合焦状態を検出する検出回路が備えている。
【0018】
117は、デジタル信号処理回路111に接続され、撮像素子107で撮像された複数フレーム分のデータを記憶することができるフレームメモリであり、A/D変換された信号は一旦このバッファメモリ117に記憶される。
【0019】
デジタル信号処理回路111ではバッファメモリ117に記憶されたデータを読み込んで上述した各処理を行い、処理後の画像データは再びバッファメモリ117に記憶される。
【0020】
118は、デジタル信号処理回路111に接続され、デジタル信号処理回路111で各種処理が施された画像データを一旦バッファメモリ117に記憶した後、メモリカード等の外部記憶媒体111に画像ファイルとして記録する記録・再生信号処理回路である。なお、ここでは、外部記憶媒体111に記録するようにしたが、別途通信手段を設けて、インターネットへ画像データを送信するようにしてもよい。
【0021】
画像データを外部記録媒体119に記録したり、インターネットへ送信する際には、画像データの圧縮、例えば、JPEG方式でデータ圧縮が行われる。一方、画像データを外部記録媒体119から読み込むだり、インターネットからダウンロードする際、記録・再生信号処理回路118は、画像データの伸長処理を行う。記録・再生信号処理回路118には記憶媒体119とデータ通信を行うためのインタフェースも含まれている。
【0022】
121は、撮像された画像を表示するための表示装置であり、記憶媒体119に記録されている画像データを再生表示する際にも用いられる。
【0023】
表示装置121に画像を表示する場合には、バッファメモリ117に記憶された画像データを読み出し、D/A変換器120によりデジタル画像データをアナログ映像信号に変換する。
【0024】
そして、そのアナログ映像信号を用いて表示装置121に画像を表示する。
【0025】
撮像素子107で撮像された画像を表示装置121で表示する形態には2つの形態がある。一つは、レリーズ操作が行われないときの表示形態であり、撮像素子107で繰り返し撮像される画像を逐次更新表示するスルー画と呼ばれる表示形態である。
【0026】
もう一つは、カメラのレリーズ操作後に、撮像素子107で撮像された画像を所定時間表示するフリーズ画と呼ばれる表示形態である。
【0027】
122は、システムコントローラ112に接続され、カメラの姿勢を検知する姿勢検知回路である。
【0028】
カメラの姿勢検知には、物体の角度や角速度を計測するジャイロスコープを用いても良い。
【0029】
123は、システムコントローラ112に接続され、カメラの電源をオン・オフするための電源スイッチ、レリーズボタン、人物撮影モードなどの撮影モードを選択するための設定ボタンなど、カメラを操作するための操作部材が設けられた操作部である。
【0030】
これらのスイッチやボタンを操作すると、その操作に応じた信号がシステムコントローラ112に入力される。
【0031】
なお、レリーズボタンには、撮影者により操作されるレリーズボタンの第1ストローク操作(半押し操作)によりONするSW1と、レリーズボタンの第2ストローク操作(全押し操作)によりONするSW2とが接続されている。
【0032】
図2は、焦点検出装置108を用いてシステムコントローラ112が焦点状態を検出する原理を説明するための光路図であり、構成要素を撮影レンズ101の光軸上に展開して示したものである。ただし、主ミラー102およびサブミラー106は省略している。なお、図2において、図1と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。
【0033】
<焦点状態検出装置108>
図2の焦点状態検出装置108内において、109は撮影レンズ101の予定焦点面、即ちフィルム面と共役な面付近に配置された視野マスクである。201は同じく予定焦点面の付近に配置されたフィールドレンズ、202は2つのレンズ202aと203bからなる2次結像系である。203は2次結像系202の2つレンズ202aと202bに対応してその後方に配置された2つのラインセンサ列203aと203bを含む光電変換素子である。204は2次結像系202の2つのレンズ202aと202bに対応して配置された2つの開口部204aと204bを有する絞りである。205は分割された2つの領域205aと205bを含む撮影レンズ101の射出瞳を示している。
【0034】
このような構成において、例えば撮影レンズ101を図中左方に繰り出して、撮像素子107より左方に光束が結像すると、光電変換素子203上の一対の像は矢印Aの方向に変位する。この一対の像の相対的なずれ量を光電変換素子203で検出することで、撮影レンズ101の被写体に対する合焦状態としてのデフォーカス量を検出し、当該検出結果に基づいて撮影レンズ101の焦点調節駆動を行うことが可能である。なお、撮影レンズ101を図中右方に繰り込んだ場合、光電変換素子203上の一対の像は、図中矢印Aの方向とは反対方向に変位する。
【0035】
<光電変換素子203の構成>
図3(A)は、一対の焦点状態検出領域としてのラインセンサ列203aと203bを備えた光電変換素子203の配置を示したものである。また、焦点状態検出領域としてのラインセンサ列203cと203d、203eと203f、203gと203h、203iと203jはそれぞれ一対の関係にある。さらに、焦点状態検出領域としてのラインセンサ列501aと501b、501cと501d、501eと501fとが一対の関係にある。
【0036】
これら、光電変換素子203の一対の焦点状態検出領域としてのラインセンサ列より出力される信号からそれぞれ像ずれ量を検出することが可能である。
【0037】
こうした2次結像面上にある1対の焦点状態検出領域群は、それぞれ上述した1次結像面上にあるピント板103でユーザが視認可能なAFフレーム401〜411に対応している。なお、本実施例では11個のAFフレームを有する例を用いて説明するがこれに限らない。
【0038】
<光電変換素子203の制御>
図4は、光電変換素子203の制御を代表として一対のラインセンサ203aと203bを使って説明するための図である。
【0039】
まず、この光電変換素子203での蓄積制御について説明する。まず、出力VDとVPについて説明する。出力VDとは、2つのラインセンサ列203aと203bに対して共通な遮光されたダーク画素301の出力である。また、出力VPとは、2つのラインセンサ列203aと203bに共通な最大値検出回路302の出力の最大値を示す画素の出力である。出力(VD)と出力(VP)との差が作動アンプ303により検出・出力される。
【0040】
この出力VDと出力VPとの差が所定レベル(VR)に到達するまで蓄積を行い、到達時点で蓄積動作の終了となる。そして、蓄積容量への読み出し信号となるΦRが蓄積制御部304からラインセンサ列203aと203bに送られる。
【0041】
ここで最大値VPとダーク出力VDとの差を取るのはダーク出力VDを基準とし、所定レベルVRに最大値VPが到達するまで蓄積することにより、焦点検出の位相差検出処理において、十分精度が出るレベルであると判断できるためである。
【0042】
この最大値VP以上に蓄積時間を増加すれば、出力信号が飽和して適切な焦点検出が行えなくなるので、読み出し信号となるΦRをラインセンサ列203aと203bに帰還する。
【0043】
図5は、2つのラインセンサ列203aと203bの像信号をダーク画素301の出力VDを基準として示したものである。これは、ラインセンサ列203aと203bのそれぞれの像信号であるA像とB像に対して共通の最大値出力VP(図ではA像側)が設定レベルVRとなっている。
【0044】
焦点状態の検出は、各ラインセンサ列203aと203bのうちラインセンサ画素のいずれかが設定レベルVRを含む所定間隔内に収まったときの像信号を用いてA像、B像の相対的な位相差を演算することで行う。
【0045】
<焦点ずれ量の演算>
ここで、焦点ずれ量を演算する信号処理方法について、上記のラインセンサ列203aと203bからそれぞれ出力されるA像とB像を代表例として説明する。
【0046】
焦点検出用画素を構成する画素数をLとし、画素番号i(i=0,・・・,L)としたときのA像信号をA(i)、B像信号をB(i)とするとき、式(1)、あるいは式(2)をk1≦k≦k2について演算する。
【0047】
【数1】
・・・ (1)
【0048】
【数2】
・・・ (2)
【0049】
なお、Mは(M=L−|k|)で表される演算画素数であり、kは相対変移量と呼ばれ、k1,k2は通常−L/2、L/2にとらえることが多い。
【0050】
また、max{a,b}なる演算子はa,bから大なるものを抽出することを表し、min{a,b}なる演算子はa,bから小なるものを抽出することを表す。
【0051】
したがって、前記式(1)、(2)におけるX1(k)、X2(k)、Y1(k)、Y2(k)は広義の相関量と考えることができる。
【0052】
更に前記式(1)、(2)を詳細に見ると、X1(k),Y1(k)は現実には(k−1)の変位における相関量を、X2(k),Y2(k)は(k+1)の変位における相関量を、それぞれ表している。
【0053】
それゆえ、X1(k),X2(k)の差である評価量X(k)は相対変位量kにおける被写体像信号A(i),B(i)の相関量の変化量を意味する。
【0054】
X1(k),X2(k)なる相関量は上記定義より2像の相関が最も高いときに最小となる。よって、その変化量であるX(k)は相関最高のときに「0」で、かつ傾きは負となるはずである。
【0055】
ところが、X(k)は離散データであるから、実際には、式(3)かつ、X(kp)−(kp+1)が最大なる相対変位の区間[kp,kp+1]に相関量のピークが存在すると考えて、式(4)の補間演算を行う。これにより、画素単位以下の焦点ずれ量PRを検出することができる。
X(kp)≧0,X(kp+1)<0 ・・・ (3)
PR=kp+X(kp)/{X(kp)−X(kp+1)}・・・ (4)
一方、Y1(k),Y2(k)なる相関量は上記定義より2像の相関が最も高いとき、X1(k),X2(k)とは逆に最大となる。
【0056】
よって、その変化量であるY(k)は相関最高のときに「0」で、かつ傾きは正となるはずである。Y(k)もX(k)と同様に式(5)で且つY(kp)−Y(kp+1)が最大のとき式(6)の補間演算を行うことにより、画素単位以下の焦点ずれ量PRを検出することができる。
Y(kp)≦0,Y(kp+1)>0 ・・・ (5)
PR=kp+|Y(kp)/{Y(kp)−Y(kp+1)}|・・・ (6)
式(4)、或いは式(6)で求めた焦点ずれ量PRより、被写体像面の予定結像面に対するデフォーカス量DEFを下記式(7)で求めることができる。
【0057】
式(7)において、Kは一対の測距瞳を通過する光束の重心の開き角の大きさによって決まる変換係数である。
【0058】
<光電変換素子203と各焦点状態検出領域の位置関係>
図6は、光電変換素子203と各焦点状態検出領域、およびAFフレームの位置関係を説明する図である。また、図7は各焦点状態検出領域で焦点ずれ量を検出する範囲を説明する図である。
【0059】
図6は、1次結像面上のピント板103でユーザが視認可能なAFフレームのうち、代表として3つのAFフレームである401、402、および403を使って説明する。なお、AFフレームは、1次結像面上に定義される領域で、ユーザはピント板103や表示装置121を使って撮像画面上のAFフレームの位置を把握することができる。
【0060】
AFフレーム401に対応する焦点状態検出領域としては、例えば、図3で説明した、光電変換素子203の203aと203bの一対、および501aと501bの一対の領域である。これは、1次結像面上で501となる(図6から8)。光電変換素子203の203aと203bの一対、および501aと501bの一対の領域とは、いわゆるクロスタイプといわれるもので、横ライン、縦ラインに対応する。同様に、AFフレーム402に対応する焦点状態検出領域としては、光電変換素子203の203aと203bの一対、および501cと501dの一対の領域である。501cと501dの一対の領域は、1次結像面上では、502となる(図6から8)。AFフレーム401に対応する焦点状態検出領域としては、光電変換素子203の203aと203bの一対、および501eと501fの一対の領域である。501eと501fの一対の領域は、1次結像面上では503となる(図6から8)。なお、光電変換素子203の203aと203bは、後述するように出力から3つの焦点状態検出領域を切り出す。これにより領域を切り出した信号を用いて、システムコントローラ112は、対応する被写体空間での3つの異なる領域であるAFフレーム401、402および403での光学系の被写体に対する焦点状態を検出するものである。
【0061】
すなわち、AFフレーム401、402、403は、いずれも、いわゆるクロスタイプの焦点状態検出領域に対応するものである。これは、光電変換素子203aと203b(いずれも横ライン)と直交する3本の光電変換素子501aと501b、501cと501d、501eと501f(いずれも縦ライン)を持つ焦点検出装置である。なお、クロスタイプとしては、X型のもの、X型と+型の併存タイプもあるが、ここでは簡単のため+型で説明する。
【0062】
この例では、図7(a)に示すように、AFフレーム401に対しては光電変換素子203の焦点状態検出領域203a、203bおよび焦点状態検出領域501aと501bとが対応付けられている。同様に、図7(b)に示すように、AFフレーム402に対しては光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203b、および焦点状態検出領域501cと501dとが対応付けられている。同様に、図7(c)に示すように、AFフレーム403に対しては光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203b、および焦点状態検出領域501eと501fとが対応付けられている。
【0063】
したがって、所定のときは、光電変換素子501eと501fの焦点状態検出領域からの出力、および光電変換素子203aと203bの所定範囲の領域cの焦点状態検出領域からの出力を用いて焦点状態を検出する。この所定のときとは、例えばAFフレーム403で撮影レンズ101のピントを被写体に合わせたいときである。同様に測距点401、402についても前述の対応付けられた光電変換素子203aと203bの所定範囲の領域a,bの出力を用いて焦点状態を検出する。
【0064】
ここで図7(a)において、領域aは、対応付けられたAFフレーム401でないAFフレーム402に焦点状態検出領域が一次結像面上において重なっている。同様に図7(c)において、領域cは、対応付けられたAFフレームでないAFフレーム402に焦点状態検出領域が一次結像面上において重なっている。
【0065】
ここで図8の塗りつぶした領域c1は、領域c(領域cはAFフレーム403に対応した領域)におけるAFフレーム402の焦点状態検出領域と重なった部分領域を示している。このようにすることで、AFフレーム401および403において、光電変換素子203の切り出し領域を広げることができるので、領域を広げない場合よりも大きなデフォーカス量(焦点のボケ量)を検出できる。
【0066】
ところでこの場合、仮にAFフレーム403の1点でAFするとき、光電変換素子501aとbの焦点状態検出領域(縦ライン)からの出力および光電変換素子203aとbの領域c(横ライン)の出力をどのように使って、レンズを制御するかが問題となる。ここでは、それぞれの出力のうちでコントラスト評価値やA像とB像の一致度等による信頼性の高い出力を選択してレンズを制御することになる。この点については、後述する。
【実施例1】
【0067】
<フローチャート>
続いて、制御フローについて第1の実施形態として、図9を用いて説明する。ステップ101では、システムコントローラ112が操作部の一つであるレリーズボタンSW1が押下されたかどうかを判断する。レリーズボタンSW1が押下されていなければ、レリーズボタンSW1が押下されるまで処理を繰り返す。一方、レリーズボタンSW1が押されていればステップ102へ進む。ステップ102では、上述した光電変換素子203で必要な領域の電荷の蓄積制御を行う。必要な蓄積制御は、ラインセンサ列203cと203d、203eと203f、203gと203h、203iと203j、また、ラインセンサ列501aと501b、501cと501d、501eと501fのうちから選択される。選択された焦点状態顕出領域の出力に基づいて焦点状態の検出を行う。ステップ103では、選択された複数の焦点状態検出領域のうち、焦点状態の検出を行った焦点状態検出領域(ラインセンサ列)の中から1つの焦点状態検出の結果を選択する。この焦点状態検出の結果の選択については後述する。
【0068】
ステップ104では、ステップ103で選択した1つの焦点状態が合焦がどうかを判断する。合焦していなければ、ステップ105へ進む。一方、合焦していれば、ステップ106へ進む。
【0069】
ステップ105では、システムコントローラ112がステップ103で検出した焦点状態を示すデフォーカス量をレンズの駆動量であるパルス数に変換し、レンズ駆動装置113を介して撮影レンズ101を駆動する。これにより、駆動前のデフォーカス量がほぼ無くなり、撮影レンズ101が被写体に対して合焦することになる。ステップ106では、システムコントローラ112が操作部の1つであるSW2が押されているかどうかを判断する。レリーズボタンSW2が押されていなければ、ステップ106を繰り返す。一方、SW2が押されていればステップ107へ進む。ステップ107では、システムコントローラ112がミラー駆動回路114を介して、主ミラー102を撮影光束外へ駆動させ、撮像素子駆動装置116を介して撮像素子107を駆動させる。これにより、被写体像が撮像されて既述のように画像ファイルとして記録されることになる。
【0070】
<焦点状態検出結果の選択について>
ここで、図9のステップ103の焦点状態検出結果の選択について図10のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
なお、ここでは、ユーザがクロスタイプのAFフレームであるAFフレーム403を選択したものを代表例として説明する。カメラは出力A1と出力A2のいずれかを選択する場合を想定している。出力A1とは、図7(c)における光電変換素子203の焦点状態検出領域501eと501fからの出力である。また出力A2とは図7(c)における光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203bの領域cからの出力である。なお、ここでは、出力をA1,A2としたが、上述の光電変換素子203のように、8つのAFフレームに対応した焦点状態検出領域がある場合には、A1〜A8の出力がある場合があることになる。
【0072】
まず、ステップ201において各ラインの信頼性判定を行う。ここで信頼性判定は図11のフローチャートを用いて後述する。図10において、ステップ201における信頼性判定の後、ステップ202で相対的に信頼性(Sn)の高い検出結果を選択する。ここでは、最も0に近い焦点状態検出結果を示す検出結果を選択することになる。
【0073】
ここでステップ203で、最も信頼性の高いラインが複数存在するかどうかチェックし、そうであればステップ204において、最も信頼性の高いラインのうちの最も近距離側に合焦状態がある検出結果を選択する。なお、ここでは、簡単のため、ユーザがクロスタイプのAFフレームであるAFフレーム403を選択したものを代表例として説明したが、複数のAFフレームからレンズ101を制御するための焦点状態検出結果を選択する場合も、同様にして選択する。
【0074】
<信頼性判定>
図11を用いて、図10におけるステップ201での信頼性判定について説明する。
【0075】
ステップ301においてnに初期値1を代入し、ステップ302で出力Anの信頼性値をSnとする。ここでSnは該当する焦点状態検出領域からの出力におけるA像、B像の一致度や、センサ像のコントラストなどよる値であり、数値が0に近いほど信頼性が高いものとする。これは、A像、B像の位相差を検出する際に、その検出結果における信頼度を表す数値であり、例えば、像の形状が一致するほど、位相差の検出が正確になるといった具合である。
【0076】
ステップ303では、ある焦点状態検出領域が一次結像面上において対応するAFフレームの隣のAFフレームの焦点状態検出領域と重なっているかを判定する。例えば、図8で説明した領域c1のような領域を有しているか否かの判定である。なお、ここでいう焦点状態検出領域が一次結像面上において重なっているとは、あるAFフレームに対応する焦点状態検出領域のから出力を使った演算範囲が別のAFフレームに対応する焦点状態検出領域からの出力を使った演算範囲と重なっていることに等価である。
【0077】
重なっていればステップ304でSnに1を足す、重なっていなければそのままとする。ここで、光電変換素子203の焦点状態検出領域203aと203bの領域cは、隣のAFフレーム402と重なっている領域c1を有する。したがって、信頼性値S2に1を足すことになる。
【0078】
その後、ステップ305でnをインクリメントし、ステップ306でnが2よりも大きければ終了し、そうでなければステップ302に戻る。ここでは、ユーザがクロスタイプのAFフレームであるAFフレーム403を選択したものを代表例として説明したので、nは2となる。しかし、複数のAFフレームに対応する焦点状態検出領域の出力から撮影レンズ101を制御するために用いる出力を選択する場合には、nの値は、その焦点状態検出領域の数に応じて変化する。
【0079】
上述したように、図11のフローチャートにより、出力A1と出力A2で、隣の測距点と演算範囲が重なっている方のライン(この例ではラインA2)の信頼性を下げ、そうでないラインの優先度を上げている。その結果、出力A2が選択されにくくなる。すなわち対応しないAFフレーム402に、1次結像面上で重なる焦点状態検出領域の出力は、撮影レンズ101を制御するために用いる出力として選択されにくくなる。
【0080】
<その他>
上記実施例では、信頼性に基づいて、撮影レンズ101を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択するようにした。この点、例えば、焦点状態検出領域が対応しないAFフレームと重なっている場合には、当該焦点状態検出領域の出力は他の焦点状態検出領域の出力からは、焦点状態を検出できない場合にのみ選択されるようにしてもよい。この場合、対応しないAFフレームと重なっている焦点状態検出領域の出力は選択されない可能性が高くなる。
【0081】
また、上記実施例では、クロスでの横ライン、縦ラインからの選択で説明したが、これに限らない。例えば、複数のAFフレームにそれぞれ対応する焦点状態検出領域が横ラインだけある場合でも効果がある。
【0082】
<効果>
本実施例により、クロス測距点の縦ライン/横ラインのうちで隣のAFフレームと演算範囲が重なっている焦点状態検出領域が有る場合、その領域からの出力の信頼性を低くすることで自動的に優先順位を下げるものである。これにより、隣のAFフレームと演算範囲が重なっていない方の焦点状態検出領域を優先的に選択させるものである。結果として、撮影者が意図しないAFフレームに対応する被写体に撮影レンズ101の焦点を合わせる不具合を軽減することができる。
【符号の説明】
【0083】
101 撮影レンズ
102 主ミラー
106 サブミラー
112 システムコントローラ
113 レンズ駆動装置
123 操作部
203 光電変換素子
401〜415 AFフレーム
203a〜203j、501a〜501f 焦点状態検出領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体空間からの光束を受光する複数の画素からなる光電変換素子の焦点状態検出領域と、該焦点状態検出領域からの出力に基づいて被写体に対する光学系の焦点状態を検出する焦点状態検出装置において、
複数のAFフレームそれぞに対応した焦点状態検出領域を持ち、当該焦点状態検出領域の出力の中から、前記光学系を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択する選択手段と、
前記選択された焦点状態検出領域の出力に基づいて前記光学系を駆動を制御する制御手段とを有し、
前記選択手段は、複数の焦点状態検出領域のうち、焦点状態検出領域の一部が対応するAFフレームとは別のAFフレームに1次結像面上において重なる焦点状態検出領域の出力を、重ならない焦点状態検出領域の出力よりも選択されにくくすることを特徴とする焦点状態検出装置。
【請求項2】
1のAFフレームに対して、複数の焦点状態検出領域を持つことを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
1のAFフレームで縦の焦点状態検出領域と横の焦点状態検出領域を持ついわゆるクロスタイプの焦点状態検出領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
撮像手段と、前記焦点状態検出装置で駆動された光学系を通過した被写体像を前記撮像手段で撮像し、画像ファイルとして記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかの焦点検出装置を有する撮像装置。
【請求項5】
被写体空間からの光束を受光する複数の画素からなる光電変換素子の焦点状態検出領域と、該焦点状態検出領域からの出力に基づいて被写体に対する光学系の焦点状態を検出する焦点状態検出装置の制御方法において、
複数のAFフレームそれぞれに対応した焦点状態検出領域を持ち、当該焦点状態検出領域の出力の中から、前記光学系を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択し、前記選択された焦点状態検出領域の出力に基づいて前記光学系を駆動を制御する際、
複数の焦点状態検出領域うち、焦点状態検出領域の一部が対応するAFフレームとは別のAFフレームに1次結像面上において重なる焦点状態検出領域の出力を、重ならない焦点状態検出領域の出力よりも選択されにくくすることを特徴とする制御方法。
【請求項1】
被写体空間からの光束を受光する複数の画素からなる光電変換素子の焦点状態検出領域と、該焦点状態検出領域からの出力に基づいて被写体に対する光学系の焦点状態を検出する焦点状態検出装置において、
複数のAFフレームそれぞに対応した焦点状態検出領域を持ち、当該焦点状態検出領域の出力の中から、前記光学系を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択する選択手段と、
前記選択された焦点状態検出領域の出力に基づいて前記光学系を駆動を制御する制御手段とを有し、
前記選択手段は、複数の焦点状態検出領域のうち、焦点状態検出領域の一部が対応するAFフレームとは別のAFフレームに1次結像面上において重なる焦点状態検出領域の出力を、重ならない焦点状態検出領域の出力よりも選択されにくくすることを特徴とする焦点状態検出装置。
【請求項2】
1のAFフレームに対して、複数の焦点状態検出領域を持つことを特徴とする請求項1に記載の焦点検出装置。
【請求項3】
1のAFフレームで縦の焦点状態検出領域と横の焦点状態検出領域を持ついわゆるクロスタイプの焦点状態検出領域であることを特徴とする請求項1または2に記載の焦点検出装置。
【請求項4】
撮像手段と、前記焦点状態検出装置で駆動された光学系を通過した被写体像を前記撮像手段で撮像し、画像ファイルとして記録する記録手段を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかの焦点検出装置を有する撮像装置。
【請求項5】
被写体空間からの光束を受光する複数の画素からなる光電変換素子の焦点状態検出領域と、該焦点状態検出領域からの出力に基づいて被写体に対する光学系の焦点状態を検出する焦点状態検出装置の制御方法において、
複数のAFフレームそれぞれに対応した焦点状態検出領域を持ち、当該焦点状態検出領域の出力の中から、前記光学系を制御するための焦点状態検出領域の出力を選択し、前記選択された焦点状態検出領域の出力に基づいて前記光学系を駆動を制御する際、
複数の焦点状態検出領域うち、焦点状態検出領域の一部が対応するAFフレームとは別のAFフレームに1次結像面上において重なる焦点状態検出領域の出力を、重ならない焦点状態検出領域の出力よりも選択されにくくすることを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−53318(P2011−53318A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200243(P2009−200243)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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