説明

焦点面アレイの非熱的動作用システムと方法

方法は、1つ以上の検出器に関連する平均電流に基づき信号電流を決定する段階を含む。該方法は、前記信号電流に基づきストリップ電圧を決定する段階も含む。該方法は、さらに、前記ストリップ電圧でストリップ抵抗をバイアスする段階を含む。前記ストリップ抵抗のバイアスによりストリップ電流が生じる。該方法は、付加的に、検出器電圧で検出器アレイをバイアスする段階を含む。前記検出器アレイのバイアスにより検出器電流が生じる。該方法は、前記ストリップ電流と検出器電流とに基づき、シーンから入射する放射のレベルを決定する段階も含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して焦点面アレイに関し、より具体的には、焦点面アレイの非熱的(athermal)動作用システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非冷却センサは、熱的安定化を用いて利用可能な画像を得ている。(周囲温度などの)動作温度が少し変化するだけで、画像には、現在観測しているシーンにおける温度変化より大きいインパクトを受ける。これらのセンサには熱的安定化のために熱電冷却器(TEC)が使われることが多い。残念ながら、TECには、パワー消散や、ヒートシンクの必要性に起因する大型化や、TECの熱的限度による動作範囲の限界などの欠点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の検出器に関連する平均電流に基づき信号電流を決定する段階を含む。該方法は、前記信号電流に基づきストリップ電圧を決定する段階も含む。該方法は、さらに、前記ストリップ電圧でストリップ抵抗をバイアスする段階を含む。前記ストリップ抵抗のバイアスによりストリップ電流が生じる。該方法は、付加的に、検出器電圧で検出器アレイをバイアスする段階を含む。前記検出器アレイのバイアスにより検出器電流が生じる。該方法は、前記ストリップ電流と検出器電流とに基づき、シーンから入射する輻射のレベルを決定する段階も含む。
【0004】
実施形態の技術的優位性には、TECを必要とせずに焦点面アレイが動作することが含まれる。そのため、焦点面アレイをより広い範囲の動作環境で利用でき、使うパワーを少なく、軽くできる。実施形態のもう1つの技術的優位性には、焦点面アレイが画素間及びセンサ間の相違を補償できることが含まれる。そのため、より正確な結果を得られる。
【0005】
他の技術的な優位性は、以下の図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲に基づき、当業者には容易に明らかとなるであろう。さらに、具体的な優位性を上記したが、様々な実施形態は上記の優位性のすべてまたは一部を含んでもよいし、全く含まなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
具体的な実施形態とそれらの優位性をよりよく理解してもらうために、添付した図面を参照しつつ以下に説明する。
【図1】実施形態による焦点面アレイを示すブロック図である。
【図2】実施形態による検出器アレイの信号経路を示す回路図である。
【図3】実施形態による焦点面アレイの非熱的動作の方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は実施形態による焦点面アレイを示すブロック図である。焦点面アレイ100は、検出器アレイ110、バイアス供給部120、バランス回路130、プロセッサ140、増幅器150、及びアナログ・ツー・デジタル変換器160を含む。焦点面アレイ100は、これらの構成要素が協働することにより、比較的信頼性の高い、一貫性のある、正確なシーンの熱的画像(スナップショットやビデオなど)を生成できる。これは、周囲温度または動作温度が変化したときにも言える。焦点面アレイ100は、バランス回路130の構成要素の電圧値と抵抗値を決定する時に、プロセッサ140を用いて、一定の較正パラメータとともに、周囲温度を考慮できる。バランス回路130は、次に、プロセッサ140の決定に基づいて、周囲温度による影響を無くす(account for)ため、検出器アレイ110が示す値を調整または補償して、結果をより正確なものにする。これらの構成要素は、1つのデバイス内に示したが、複数のデバイスに分かれていてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のデバイスが検出器アレイ110とバランス回路130と増幅器150とを含み、第2のデバイスがバイアス供給部120とプロセッサ140と増幅器150とアナログ・ツー・デジタル変換器160とを含んでいてもよい。
【0008】
検出器アレイ110は、所定パターンで構成されたアレイを有する。例えば、いくつかの実施形態では、検出器アレイ110は、512行、640列で構成されたグリッドに配置された327,000個超のマイクロボロメータ検出器を有する。検出器の実際の数とその配置は、実施形態、動作要件、及び/またはシナリオに応じて変わり得る。検出器アレイ110の個々の各検出器は、その温度に応じて変化する抵抗を有する検出器ユニットを有するものであってもよい。個々の検出器に使われる材料は、その温度がわずかに変化しても材料の抵抗に比較的大きなインパクトがあるものであり得る。
【0009】
検出器アレイ110の検出器における温度変化は、周囲温度の変化(室温の変化など)により起こり、シーンの温度変化(シーンからの赤外線輻射により検出器アレイ110の検出器が加熱される場合など)によっても起こる。ほとんどのシナリオでは、(検出器がTECなどにより温度安定化されていなければ、)周囲温度による抵抗の変化の方が、入射する輻射による抵抗の変化よりも大きい。
【0010】
バイアス120は、検出器アレイ110の個々の各検出器に適用するバイアスを発生する電圧源を有する。バイアス120により発生したバイアスは、一定であっても、周囲温度に応じて変化してもよい。例えば、バイアス120は、第1の温度より低い温度用の第1のバイアスと、第1の温度より高い温度用の第2のバイアスとを供給できる。適用するバイアスの大きさにかかわらず、検出器アレイの各検出器は同じバイアスを受け取る。言い換えると、いくつかの実施形態では、バイアス120は検出器アレイ全体に対するグローバルバイアスであってもよい。
【0011】
バランス回路130は、検出器アレイ110の個々の各検出器に合わせて調整され、検出器間の差異を無くす(account for)、個々の構成要素を含んでいてもよい。個々の検出器間の差異は、生産工程で生じることもあり、及び/または検出器の生産に用いた材料に固有のものであることもある。こうした差異により、個々の検出器は、周囲温度及び/または入射する輻射が同じであっても、異なる応答をすることがある。これらの差異の影響はバランス回路130により低減できる。バランス回路130は、現在の周囲温度による影響を無くす(account for)ために調節できる可変電源も含み得る。
【0012】
バランス回路130の2つの可変構成要素を調整するのに用いる値は、プロセッサ140により計算できる。例えば、いくつかの実施形態では、(マイクロプロセッサ、フィールドプログラマブルアレイ、その他の焦点面アレイ機能を提供するように働くハードウェアや符号化ロジックなどである)プロセッサ140は、様々なマイクロボロメータ検出器で自分自身を較正して、検出器アレイ110の検出器の個々のパラメータに基づいて調節される、バランス回路130の構成要素の値を求めることができる。また、プロセッサ140を用いて、周囲温度と、可変電圧をどう設定するかを決定してもよい。検出器アレイ110の1つ以上の検出器が示す値を用いて、周囲温度を決定できる。例えば、検出器アレイ110の1つ以上の検出器は、(入射する輻射からシールドされたマイクロボロメータ検出器などの)シールド検出器であってもよい。プロセッサ140は、周囲温度情報とともに較正情報を用いて、検出器アレイ110の検出器からの出力をどのように補償または調整するか決定できる。さらに、いくつかの実施形態では、プロセッサ140を用いて、結果として得られ、表示される信号をきれいにしてもよい。より具体的には、プロセッサ140は、各検出器の連続する(可変電圧の設定に使われる)電圧値を比較することにより、その検出器に関連するエラーを推定できる。これにより、実質的に、表示される画像中に見られるグレインすなわちノイズの量を低減できる。
【0013】
増幅器150は、検出器アレイ110からの電圧を、アナログ・ツー・デジタル変換器160が利用できる電圧まで大きくするための1つ以上の増幅器を有する。アナログ・ツー・デジタル変換器160は、増幅器150から受け取ったアナログ入力から、デジタル出力を提供するように動作可能な、従来のアナログ・ツー・デジタル変換器であってもよい。アナログ・ツー・デジタル変換器からのデジタル出力は、あるシーンから入射する輻射の異なるレベルを決定するためにプロセッサ140により用いられる。プロセッサ140は、さらに、この情報を操作して、デジタル信号をきれいにし、それを用いて、そのシーンからの赤外線輻射などを示すそのシーンのビデオ信号を発生する。
【0014】
図2は、実施形態による検出器アレイの信号経路を示す回路図である。図2に示した回路200は、(図1に示した検出器アレイ110などの)検出器アレイの1つの検出器210に関連する様々な構成要素と電流を示す。
【0015】
検出器210は、温度変化に特に敏感な固有抵抗を有する材料から形成することができる。上記の通り、温度変化は周囲温度の変化によっても起こるし、入射する輻射のレベルによっても起こる。検出器210などの、アレイの個々の検出器は、行選択スイッチ290で選択できる。1つの検出器しか示していないが、行選択スイッチ290は、検出器アレイのある行(row)内の複数の検出器を選択できる。そのため、選択された行の様々な個々の検出器210に対して、マルチプレクサを用いてもよい。図示した実施形態は行選択スイッチを含むが、いくつかの実施形態では、複数の行をほぼ同時に処理してもよい。このような実施形態では、行選択スイッチは必要ないかも知れない(しかし、バランス回路230などの追加的構成要素は必要だろう)。
【0016】
検出器210に適用するバイアスは電圧源220により発生し得る。実施形態によっては、電圧源220は、一定の、所定バイアスを供給し、または周囲温度に基づく可変バイアスを供給し得る。可変バイアスが変わる頻度と程度は、実施形態による。例えば、個々のセッション間で(例えば、デバイスがオンになるたびに)変わってもよいし、定期的または連続的に変わってもよいし、周囲温度がある閾値を過ぎた時に変わってもよい。他の例として、電圧源220は、2つの異なる所定バイアスから選択しても(例えば、周囲温度が室温より低い時には第1のバイアスで、室温より高い時には第2のバイアス)、3つ以上の異なる所定バイアスから選択してもよいし、バイアスを決めるアルゴリズムを用いてもよい。バイアスを変える頻度や程度にかかわらず、実際に選択して用いるバイアス値は周囲温度に基づくものであってもよい。さらに、いくつかの実施形態では、同じバイアスを検出器アレイの各検出器にグローバルに使ってもよい。
【0017】
バランス回路230は、電圧源240と2つの抵抗Rstrip235aとΔRstrip235bとを含む。これらの抵抗はまとめてストリップ抵抗とも呼ぶ。Rstrip235aの抵抗値は所定抵抗値であるが、ΔRstrip235bの抵抗値は検出器210の抵抗値に基づいて決まる。具体的に、ΔRstrip235bは、検出器アレイの様々な検出器間の差異を無くす(account for)ように較正され得る。電圧源240は、検出器の周囲温度に(より具体的には、電流225iに)基づく可変電圧を供給してもよい。いくつかの実施形態では、電圧源240は、電圧源220よりももっと大きな頻度で変わる。より具体的には、電圧源240は、検出器アレイが示す値を読み出すたびに、調整される。図1を参照して説明したように、周囲温度は、検出器アレイの1つ以上のシールドされた検出器から、または検出器アレイの複数の検出器の温度を平均して、決定し得る。このように、ΔRstrip235bと電圧源240の間で、バランス回路230は、異なる検出器の間の差異と、周囲温度の変化とを補償し得る。より具体的には、検出器アレイのすべての検出器の平均電流225iを一定値(例えば、0アンペア)に保つように、電圧源240を設定し得る。
【0018】
増幅器250とアナログ・ツー・デジタル変換器260は、図1を参照して説明した増幅器150とアナログ・ツー・デジタル変換器160と同様である。
【0019】
補正部280は、アナログ・ツー・デジタル変換器260が生成したデジタル信号をきれいにする(clean-up)ように動作する、任意のハードウェア、符号化ロジック、またはコンピュータ読み取り可能媒体上に記録されたソフトウェアを有し得る。このようにきれいにすることにより、その結果として、画像の背景ノイズを小さくできる。実施形態では、補正部280は、個々の各検出器210からの出力を補正してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、補正部280は、電圧源240の2つの異なる時間における2つの値(例えば、連続した2つの値)の間の差異を決定してもよい。
【0020】
電圧源220から検出器210にかけるバイアスにより、検出器210の温度に敏感な抵抗とあいまって、ある大きさの電流225dが発生する。同様に、周囲温度に基づき電圧源240によりかけられるバイアスにより、Rstrip235aとΔRstrip235bの総ストリップ抵抗とあいまって、ある大きさの電流225sが発生する。
【0021】
異なる3つの電流225d、225s、及び225iがあり、すべてノード270に流入出する。これらの3つの電流をバランスさせる。言い換えると、ノード270に入る電流量は、ノード270から出る電流量と等しい。より具体的に、図示した実施形態では、電流225dは、電圧源220からのバイアスと、(周囲温度と入射する輻射と固有抵抗とにより決まる)検出器210の抵抗とに基づき、ノード270に入る。次に、電流225sでは、周囲温度と、検出器間の固有の差異とを考慮しているので、電流225sが電流225dと合流するとき、ノード270から出る電流(電流225i)は、主に、検出器210に入射し吸収された輻射に基づいて決まる。
【0022】
電流225iは、シナリオに応じて正の電流でも負の電流でもありうる。言い換えると、電流225sと225dの間の差異に応じて、電流225iはノード227に入ることもあれば、ノード227から出ることもある。電流225iの値は、増幅器250により増幅されてから、アナログ・ツー・デジタル変換器260によりデジタル信号に変換される。いくつかの実施形態では、アナログ・ツー・デジタル変換器260は、16ビットのデジタル信号を生成する。アナログ・ツー・デジタル変換器260からのデジタル出力は、プロセッサにより、電圧源240が供給するバイアスの決定に用いられる。また、シーンから入射する輻射のレベルの決定と、そのシーンのビデオまたはスナップショット画像の生成にも用いられる。いくつかの実施形態では、バッファ付き16ビットデジタル・ツー・アナログ変換器を、プロセッサと電圧源240との間で動作させてもよい。
【0023】
図3は、実施形態による焦点面アレイの非熱的動作(athermal operation)の方法を示す図である。本方法は、個々の検出器間の抵抗の差異を決定するステップ310に始まる。これらの差異は、製造工程の必然的な結果として、検出器に固有のものであり得る。言い換えると、検出器アレイ中のすべての検出器がまったく同じ抵抗値を有するものではなく、温度変化が同じでも抵抗値の変化が同じであるとは限らない。そのため、較正プロセスを実行して、異なる検出器間の抵抗の差異を決定してもよい。この較正プロセスは、所望の動作温度の温度サブセット(temperature subsets)に対して、検出器の抵抗の差異を決定する。
【0024】
ステップ320において、各検出器に関連するストリップ抵抗のストリップ抵抗値を決定する。この抵抗値は、そのストリップ抵抗が接続されている検出器の抵抗の差異を補償する役に立つ。ストリップ抵抗は、ステップ320で決定したストリップ抵抗値の他に、すべての検出器に共通の第2の抵抗も有する。図2に示した実施形態には、検出器に関連する2つの分離した抵抗(Rstrip235aとΔRstrip235b)を示した。いくつかの実施形態では、ストリップ抵抗は、所望の動作温度の温度サブセットに対して決定してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ステップ310と320では、10°のサブセット(ten-degree subsets)ごとに決定できる。言い換えると、20乃至30°の周囲温度に対するストリップ抵抗を決定し、次に30乃至40°の周囲温度に対するストリップ抵抗を決定してもよい。
【0025】
ステップ330において、周囲温度を決定する。周囲温度は、検出器アレイの温度を表してもよい。周囲温度の決定に用いられる方法はいろいろある。例えば、いくつかの実施形態では、(例えば、図1に示したプロセッサ140により)1つ以上のシールドされた検出器から周囲温度を決定できる。より具体的には、入射する輻射から検出器をシールドすることにより、その検出器内の熱の大部分は周囲温度によるものと言うことができる。このように、シールドした検出器の抵抗の変化は、周囲温度の変化を示していると考え得る。他の例として、いくつかの実施形態では、検出器アレイ中の検出器の全部または一部の平均抵抗に基づき、周囲温度を決定してもよい。周囲温度を用いて、関係する温度サブセットに基づき、どのストリップ抵抗を用いるか選択してもよい。
【0026】
ステップ340において、信号電流に基づきストリップ電流を決定する。この信号電流は、検出器電流(例えば、電流225d)からストリップ電流(例えば、電流225s)を除いた結果得られる1つ以上の電流(例えば、電流225i)の平均であってもよい。ストリップ電圧(例えば、ストリップ抵抗にかかる電圧)は、周囲温度が変化すると変わる。いくつかの実施形態では、定期的にストリップ電圧を決定してもよい。例えば、検出器アレイを用いて、毎秒30フレームのレートであるシーンのビデオ画像を生成する(例えば、検出器アレイが1秒あたり30回、入射する輻射を測定する)と仮定する。すると、周囲温度を毎秒30回決定する。これは、ストリップ電圧を設定すべき値を30回決定することとなる。言うまでもなく、ステップ340は、ステップ310−330よりももっと頻繁に繰り返して更新してもよい。
【0027】
ステップ350において、ストリップ電流を発生する。ストリップ電流は、ストリップ電圧をストリップ抵抗に印加することにより発生する電流である。そのため、ストリップ電圧が変化すると、ストリップ電流も変化する。同様に、ステップ360において、検出器電流を発生する。検出器電流は、検出器電圧を検出器アレイに印加することにより発生する電流である。このように、ある検出器の温度が変化すると、その検出器電流が変化する。信号電流(すなわち周囲温度)の変化に基づきストリップ電圧を調節することにより、ストリップ電流は、検出器アレイからの検出器電流と合流すると、アナログ・ツー・デジタル変換器への電流、またはそれから出力される電流への周囲温度のインパクトを相殺または最小化する。
【0028】
ステップ370において、シーンから入射する輻射を決定する。この決定は、ストリップ電流と検出器電流に基づくものであってもよい。より具体的に、図2から分かるように、ストリップ電流と検出器電流はある点(ノード270)で合流(combine)する。その結果得られる電流は、2つの電流間の差を表し、増幅器(例えば、図2の増幅器250)により増幅され、アナログ・ツー・デジタル変換器(例えば、図2のアナログ・ツー・デジタル変換器260)によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、補正デバイスによりきれいにされ(cleaned-up)、背景ノイズが除去される。その結果得られる信号は、検出器アレイに入射して検出された輻射を示す。いくつかの実施形態では、入射する輻射は所定頻度(例えば、30Hz)で決定できる。
【0029】
図3に示したステップは、必要に応じて、組み合わせ、修正、削除、または再構成してもよく、フローチャートに別のステップを追加してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、検出器アレイ内の検出器の数によっては、検出器アレイを複数のサブセット(subsets)に分割して、入射する輻射を決定することが望ましい。例えば、一行内の検出器の抵抗を検出することが望ましい場合がある。そのため、本方法は、検出器アレイから一度に一行を順番に選択する段階と、選択した行内の検出器に入射する輻射を決定する段階を含み得る。
【0030】
具体的な実施形態を詳細に説明したが、言うまでもなく、いくつかの実施形態の精神と範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に変更、置換、組み合わせ、代替を施すことができる。例えば、焦点面アレイ100内に含まれる複数の要素を参照して一実施形態を説明したが、ルーティングアーキテクチャやニーズに合わせるために、これらの要素を組み合わせ、再構成、または配置してもよい。また、これらの要素は、焦点面アレイ100の外部の構成要素として、または互いに外部の構成要素として、設けてもよい。本発明では、これらの要素やその内部コンポーネントの構成は非常に柔軟である。
【0031】
当業者はこの他の変更、追加、変形、置換、修正を考えることができるであろう。本発明は、添付した特許請求の範囲の精神と範囲に入るこうした変更、追加、変形、置換、修正はすべて本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焦点面アレイの非熱的動作の方法であって、
1つ以上の検出器に関連する平均電流に基づき信号電流を決定する段階と、
前記信号電流に基づきストリップ電圧を決定する段階と、
前記ストリップ電圧でストリップ抵抗にバイアスをかけ、ストリップ電流を生成する段階と、
検出器電圧で検出器アレイにバイアスをかけ、検出器電流を生成する段階と、
前記ストリップ電流と前記検出器電流とに基づき、シーンから入射する輻射のレベルを決定する段階とを含む、方法。
【請求項2】
入射する輻射のレベルを決定する段階は、第1の頻度で定期的に入射する輻射を決定する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ストリップ電圧を決定する段階は、第1の頻度で定期的に前記ストリップ電圧を決定する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記検出器アレイの個々の検出器間の抵抗の差異を決定する段階と、
各検出器の差異に基づき、各検出器に関連するストリップ抵抗のストリップ抵抗値を決定する段階とをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
入射する輻射からシールドされた複数の検出器の抵抗により周囲温度を決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記検出器アレイの第1の数の検出器の平均抵抗により周囲温度を決定する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
シーンに関連する入射する輻射のレベルを決定する段階は、
前記ストリップ電流と前記検出器電流とを結合する段階と、
前記結合したストリップ電流と検出器電流に基づき、入射する輻射のレベルを決定する段階とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記結合したストリップ電流と検出器電流を増幅する段階をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記結合したストリップ電流と検出器電流をデジタル信号に変換する段階をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
入射する輻射のレベルを決定する段階は、複数の検出器サブセットのうちの一検出器サブセットを順番に選択する段階と、前記一検出器サブセットの入射する輻射のレベルを決定する段階とを含む、前記一検出器サブセットは前記複数の検出器のうちの一検出器サブセットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
焦点面アレイの非熱的動作のシステムであって、
温度の変化にともない変化する抵抗を有する複数の検出器を有する検出器アレイと、
前記検出器アレイに結合し、前記検出器アレイに検出器電圧を供給するように動作する少なくとも1つの第1の電圧源と、
複数の抵抗であって、前記検出器アレイの各検出器が前記複数の抵抗のうちの少なくとも1つの抵抗に結合したものと、
前記複数の抵抗のうちの少なくとも1つの抵抗に結合し、可変バイアス信号に応じて可変ストリップ電圧を供給するように動作する少なくとも1つの第2の電圧源と、
前記第2の電圧源に結合し、前記可変バイアス信号を発生するように動作する少なくとも1つのプロセッサと、
前記複数の抵抗と前記複数の検出器に結合し、前記検出器の1つからの電流と1つ以上の抵抗からの電流を結合したものから、前記検出器アレイが検出した入射する輻射のレベルを示すデジタル信号を発生する、少なくとも1つのアナログ・ツー・デジタル変換器とを有する、システム。
【請求項12】
前記プロセッサは、入射する輻射からシールドされた、前記検出器アレイ内の複数の検出器により周囲温度を決定する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記プロセッサは、前記検出器アレイの第1の数の検出器の平均抵抗により周囲温度を決定する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
ディスプレイデバイス上で見ることができるビデオ信号を発生するように動作可能なプロセッサをさらに有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサは、第1の頻度で定期的に前記可変バイアス信号を発生するように、さらに動作可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項16】
プロセッサであって、
前記検出器アレイの個々の検出器間の抵抗の差異を決定し、
前記抵抗が結合した検出器の差異に基づき、少なくとも1つの抵抗の抵抗値を選択する、請求項11に記載のシステム。
【請求項17】
前記アナログ・ツー・デジタル変換器に結合され、前記複数の抵抗の一抵抗からのストリップ電流と前記検出器アレイの一検出器からの検出器電流を結合したものから生成された電流を増幅するように動作する増幅器を更に有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項18】
前記検出器アレイの検出器は複数の行と複数の列を揺するグリッドで較正され、
一度に一行の検出器を順番に選択するように動作可能なスイッチをさらに有する、請求項11に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサは、異なる2つ以上の時間に可変バイアスに関連する値を比較するようにさらに動作可能である、請求項11に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−515345(P2012−515345A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546279(P2011−546279)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/020289
【国際公開番号】WO2010/083079
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】