説明

焼き菓子類用組成物及び焼き菓子

【課題】従来の焼き菓子にはない新規な食感の焼き菓子であって、外相はビスケット様に硬質でありながら、内相はスポンジ状の多孔質構造を有する、サクサク感に優れた焼き菓子及びそれを製造するための組成物を提供すること。
【解決手段】(A)α化澱粉及び(B)β澱粉を含む澱粉質を含み、更に(C)小麦蛋白質及び(D)油脂から選択される少なくとも一種を含む焼き菓子用組成物であって、(A)と(B)の合計質量に対し、(A)が3〜10質量%、(B)が97〜90質量%の範囲で含まれており、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、(C)は40質量部以下であり、(D)は40質量部以下の範囲で含まれている、上記焼き菓子用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼き菓子類用組成物及び該組成物を配合した焼き菓子に関し、特に、外相はビスケットやクラッカー様の外見を有するが、内相はきめ細かいスポンジ状の多孔質構造を有する焼き菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉を主原料とする生地を成型、焼成して得られるビスケットやクラッカー等の焼き菓子は、世界中で大量に生産、消費されている。
【0003】
従来のビスケットは、ソフトビスケットとハードビスケットに大別される。ソフトビスケットは、生地中のグルテンの生成を抑制して、食べる時にサクサクしたショートネスに富んだ食感が得られるように製造されている。
具体的には、まず、ミキサーボールに砂糖、油脂およびその他の固形物を入れて均一に混合し、これに鶏卵と食塩や膨剤などを水に溶かして加え、攪拌してよく乳化させる。充分に乳化してクリーム状になったものに、小麦粉を加えて撹拌して生地を得る。このような方法では、はじめに油脂と少量の水および鶏卵でW/O型のエマルジョンをつくるので、これによって、小麦粉中のタンパク質の吸水を妨げて、グルテンの形成およびその伸展が抑制されているために、焼成した製品においてはサクサクした軽い食感が得られる。ソフトビスケットには通常、薄力粉が使用されてきた。
【0004】
ハードビスケットは、小麦粉を含む配合材料を混合し、良く混捏して生地中にグルテンを生じさせ、その生地を焼成して製造されている。小麦粉としては、薄力粉のみでなく、中力粉や強力粉が利用されることもあった。
具体的には、配合原料を混合して得られた生地をラミネーターで6枚程度に展延積層し、さらにシーターで所定の厚さに圧延する。これらの工程により、生地に生成するグルテン量が多くなり、このような生地を焼成して得られるハードビスケットは非常に硬い食感となる。
【0005】
これら従来のソフトビスケット、ハードビスケットに加え、嗜好性の変化や健康に対する意識の高まりに対応すべく、様々な配合の、様々な食感を有する焼き菓子が開発されてきた。
例えば、特許文献1には、タンパク質を強化した焼き菓子が開示されている。この焼き菓子に用いられる生地の脂質含有量は7〜14重量%であり、ソフトビスケットに比べて脂質含有量が低い。そのため、特許文献1の焼き菓子の配合でソフトビスケットを製造すると、得られるビスケットの食感は硬く、ソフトビスケット特有の、ショートネスな食感がないものとなる。
【0006】
また、特許文献2には、ソフトビスケットにおける総タンパク質の含有量およびグルテンの含有量を特定の範囲とすることにより、適度な牛乳耐性が付与され、かつ牛乳との適度の馴染みが付与されたソフトビスケットが開示されている。このソフトビスケットは、ビスケット生地を焼成して得られるソフトビスケットであって、(1)該生地の総タンパク質含有量が5.2重量%以上10.5重量%未満であってかつグルテン系タンパク質含有量が2.4重量%以上であるか、または(2)該生地が、総タンパク質含有量が10.5重量%以上20重量%以下であってかつグルテン系タンパク質含有量が0.8重量%以上であり、該生地の油脂含有量が15重量%以上である。
【0007】
別の焼き菓子として、特許文献3には、(A)薄力粉30〜75質量部、(B)中力粉、準強力粉、及び強力粉から選ばれる少なくとも1種10〜30質量部、及び(C)エステル化澱粉又はエーテル化澱粉15〜40質量部(但し、3成分の合計は100質量部である。)を配合してなる菓子用穀物粉組成物及びそれを用いて製造される焼き菓子類が開示され、特許文献4には、(A)小麦粉、(B)α化加工澱粉、及び(C)小麦蛋白を含有し、(A)/(B)質量比が55/45〜85/15であり、かつ(A)と(B)の合計100質量部に対する(C)の含有量が0.5〜4質量部である、菓子用穀物粉組成物及びそれを用いて製造される焼き菓子類が開示されている。これらの焼き菓子は、食物繊維源として加工澱粉を用いた場合の口どけ感、粉っぽさ等の食感における問題点を改善したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−191292号公報
【特許文献2】特開2004−298179号公報
【特許文献3】特開2010−104236号公報
【特許文献4】特開2010−142127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、従来のビスケットに代表される焼き菓子にはない新規な食感の焼き菓子であって、外相はビスケット様の硬質でありながら、内相はスポンジ状の多孔質構造を有する、サクサク感に優れた焼き菓子及びそれを製造するための組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、意外にも、α化澱粉とβ澱粉を特定の比率で含有する澱粉質並びに所定量の小麦蛋白質及び/又は油脂を含む生地を成型し、焼成することで、外相はビスケット様の硬質な表面でありながら、内相はきめ細かいスポンジ状の多孔質構造であり、サクサク感に優れた食感を有する新規な焼き菓子が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は下記を提供する。
1.(A)α化澱粉及び(B)β澱粉を含む澱粉質を含み、更に(C)小麦蛋白質及び(D)油脂から選択される少なくとも一種を含む焼き菓子用組成物であって、(A)と(B)の合計質量に対し、(A)が3〜10質量%、(B)が97〜90質量%の範囲で含まれており、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、(C)は40質量部以下であり、(D)は40質量部以下の範囲で含まれている、上記焼き菓子用組成物。
2.(B)β澱粉が、ワキシーコーンスターチ、もち米澱粉、ワキシーポテトスターチ及びアセチル化ワキシーコーンスターチから選択される少なくとも一種である、上記1に記載の焼き菓子用組成物。
3.上記1又は2に記載の組成物を含む生地を、成型し、次いで焼成して得られる焼き菓子類。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、α化澱粉とβ澱粉を特定の比率で含有する澱粉質並びに所定量の小麦蛋白質及び/又は油脂を含む焼き菓子用組成物を提供することが出来る。また、該組成物を含む生地を成型し、焼成することで、外相はビスケット様の硬質表面でありながら、内相はきめ細かいスポンジ状の多孔質構造であり、サクサク感に優れた新規な食感を有する焼き菓子を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明でいう焼き菓子とは、特定の比率で(A)α化澱粉と(B)β澱粉を含む澱粉質並びに(C)小麦グルテンなどの小麦蛋白質及び(D)バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂から選択される少なくとも一種を必須の成分として含み、その他、任意に、穀粉、グルコース、ショ糖、オリゴ糖、デキストリンなどの糖質、食塩、膨張剤、イースト、乳製品、及び卵などを含む原材料に、適量の水を加え、混捏した生地を圧延し、型抜き後、焼成して製造するビスケットやクラッカー様の焼き菓子の内、外相はビスケットやクラッカー様の外見を有するが、内相はきめ細かいスポンジ状の多孔質構造を有する焼き菓子を意味する。
本発明の焼き菓子用組成物は、特定の比率で(A)α化澱粉と(B)β澱粉を含む澱粉質並びに(C)小麦グルテンなどの小麦蛋白質及び(D)バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂からなる群より選択される一種を必須の成分として含み、その他、任意に、穀粉、グルコース、ショ糖、オリゴ糖、デキストリンなどの糖質、食塩、膨張剤、イースト、乳製品、及び卵などを含む原材料を含む、焼き菓子を製造するための組成物をいう。
【0013】
本発明でいう(B)β澱粉は、馬鈴薯、甘藷、キャッサバなどの芋類の乾燥粉末、小麦粉、米粉、コーンフラワーなどの穀粉を原料として製造される澱粉であって、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉などの澱粉、及びこれら澱粉がα化しない程度に架橋、エーテル化、エステル化などの変性を単独または複数組合せた加工澱粉をいう。前記澱粉及び加工澱粉の内、好ましくは未加工のモチ種澱粉が挙げられる。
モチ種澱粉としては、例えばワキシーコーンスターチ、ワキシーポテトスターチ及びもち米澱粉並びにそれらの加工澱粉が挙げられる。
加工の種類としてはアセチル化、リン酸架橋が例示される。これらの加工方法については、例えば特許第3702358号及び特開2004−305164号に記載されている。
アセチル化ワキシーコーンスターチは、アセチルの置換度(DS)が0.01〜0.04程度であることが好ましい。
なお、本発明においては、必要に応じて、β澱粉の一部をその原料粉、例えば小麦粉で置き換えることができる。例えば、使用されるβ澱粉のうち、10〜50質量%をその原料粉で置き換えてもよい。この場合、組成物中の小麦蛋白質が40質量部を超えないものとする。β澱粉の一部をその原料粉で置き換える場合には、置き換えた原料粉の質量をβ澱粉の質量に含めて、α化澱粉とβ澱粉の質量比率を計算する。
【0014】
本発明でいう(A)α化澱粉は、常温の水で澱粉が溶解したり、膨潤したりするように、澱粉又は加工澱粉を水の存在下に加熱し、糊化し、乾燥した澱粉又は加工澱粉である。α化澱粉は、澱粉の縣濁液をドラムドライヤーで糊化しながら乾燥する方法、糊化した澱粉を噴霧乾燥機で乾燥する方法或いは、エクストルーダを使用して高圧で押し出して糊化と乾燥を行うなどの方法で製造することができる。
【0015】
α化澱粉としては、モチ米粉、モチ米澱粉、ワキシーコーンスターチなどのモチ種の澱粉質を原料とするα化モチ種澱粉と、ウルチ米粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉などウルチ種の澱粉質を原料とするα化ウルチ種澱粉が例示される。
α化澱粉は未加工であってもよく、また更に加工して使用してもよい。加工の種類としては従来公知のエーテル化、リン酸架橋、アセチル化、エーテル化、酸化、これらの組み合わせの方法が挙げられる。
本発明に使用するα化澱粉は、α化されている澱粉であればよく、その原料及び加工の有無は問わず広く使用することができるが、未加工であるか、あるいはリン酸架橋、エーテル化、アセチル化の加工が好ましく、更には、未加工、あるいはリン酸架橋及びアセチル化・リン酸架橋の組み合わせが特に好ましい。
【0016】
本発明における焼き菓子用組成物は、(A)α化澱粉及び(B)β澱粉を含む澱粉質、並びに(C)小麦蛋白質及び(D)油脂から選択される少なくとも一種を含む焼き菓子用組成物であって、(A)と(B)の合計質量に対し、(A)が3〜10質量%(B)が97〜90質量%の範囲、好ましくは(A)が4〜7質量%(B)が96〜93質量%の範囲で含まれている。α化澱粉が3質量%未満では、生地の成型性が悪くなり、焼き菓子の内相におけるきめ細かいスポンジ状の多孔質構造の形成も不十分となる。α化澱粉が10質量%を超えると、多孔質構造はできるが、水分の蒸発が不十分となり、サクサクとした軽い食感が低下する。
【0017】
本発明の組成物は、前記(A)と(B)の合計量100質量部に対し、40質量部以下、更に好ましくは3〜40質量部、より好ましくは5〜25質量部、最も好ましくは5〜20質量部の(C)小麦蛋白質を含むことができる。小麦蛋白質を配合することにより、焼き菓子の内相に形成される多孔質構造の均質性を高めることができる。しかし、小麦蛋白質の配合が40質量部を超えた場合は、得られる焼き菓子が硬質となり、サクサク感が低下する。
(C)小麦蛋白質としては、小麦グルテン、小麦グルテニンが挙げられるが、小麦グルテンが特に好ましい。
【0018】
本発明の組成物は、前記(A)と(B)の合計量100質量部に対し、40質量部以下、更に好ましくは5〜40質量部、より好ましくは7〜20質量部、最も好ましくは7〜13質量部の(D)油脂を配合することができる。
(D)油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、ラード、硬化油等を挙げることができる。油脂を配合することにより、得られる焼き菓子のサクサクした食感が増強される。しかし、油脂の配合が40質量部を超えた場合は、焼き菓子のサクサクとした軽い食感が低下する。
(C)小麦蛋白質及び(D)油脂は、いずれかが含まれていればよいが、(C)及び(D)が共に含まれていてもよい。(C)小麦蛋白質のみが含まれている場合には、(C)小麦蛋白質は(A)と(B)の合計量100質量部に対し、3質量部以上含まれていることが好ましい。また、(D)油脂のみが含まれている場合には、(D)油脂は(A)と(B)の合計量100質量部に対し、5質量部以上含まれていることが好ましい。
【0019】
本発明の組成物には更に糖質を任意に添加することができる。
本発明でいう糖質とは、グルコース、砂糖、乳糖、トレハロース、マルトース、フラクトース、異性化糖などの糖類、及び直鎖、環状或は分岐オリゴ糖、マルトデキストリン、粉飴、水飴などの澱粉分解物やこれらを還元した物質など一般的にいわれる糖質を意味する。本発明においては、これらの糖質を甘味の程度や質によって選択する。糖質は必要に応じて適量を添加すればよいが、例えば(A)と(B)の合計量100質量部に対し5〜20質量部添加することが好ましい。
【0020】
本発明の焼き菓子は、本発明の焼き菓子用組成物、すなわち前記(A)と(B)の合計量100質量部に対し、例えば、3〜40質量部の小麦蛋白質及び/又は5〜40質量部の油脂を加え、さらに必要に応じて適量の食塩、糖質及び/又は全卵を配合した原材料に、60〜110質量部(全卵を加えた場合は全卵水分を差し引く)の水を加えて生地を調製し、成型、焼成することによって製造することができる。焼成は、例えば、180〜300℃の温度で5〜20分程度行う。
本発明の焼き菓子の種類としては、ビスケット、クッキー、パイ、ショートブレッド、クラッカー、スナック菓子、プレッツェル、ラスク様食品、バターケーキ、スポンジケーキ等が挙げられる。好ましくはビスケット又はクッキーである。
【実施例】
【0021】
次に、本発明を実施例によってさらに詳しく説明するが、実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
実施例1 焼き菓子用組成物の調製
α化澱粉及びβ澱粉として、それぞれα化リン酸架橋ワキシーコーンスターチ(松谷化学工業(株)の商品名:マツノリンFA102)及びアセチル化ワキシ−コーンスターチ(同社商品名:フードスターチW)を使用し、表1の配合で焼き菓子用組成物を調製した(数値は質量部)。
【0023】
表1

【0024】
実施例2 焼き菓子の調製及び評価
表2の配合で、実施例1で調製した組成物を含む焼き菓子を調製して外観及び食感を評価した。まず、粉体を卓上ミキサーで均一に混合した。次に、室温で柔らかくした無塩マーガリンを加えて粉体と混合してそぼろ状にし、次いで水を加えて混合して生地を形成させ、これをラップで包んで15分間静置した。シーターにて厚さ1.25mmに圧延し、ピケ孔を開け、1.5×8cmの大きさにカットし、上火を240℃、下火を300℃にそれぞれ設定して8〜9分間焼成した。
なお、水の量は、生地の形成具合、すなわち、伸展性及び成型性(まとまり易さ)を見ながら調整した。
【0025】
表2

このようにして調製された焼き菓子の外観及び食感を評価した。
【0026】
外観の評価基準は以下のとおりとした。
◎: 非常に良く膨らみ、内相も非常にきれいで細かい多孔質構造になる。
○: よく膨らみ、内相も多孔質状になる。
△: 膨らみは悪いが、内相は多孔質状になっている。
×: 膨らまない。内相も多孔質状にならない。
また、食感は、サクサク感を以下の基準で評価した。
◎: サクサク感が非常に強く、口どけも非常に良い。
○: サクサク感があり、口どけも良い。
△: サクサク感がやや弱く、口どけもあまり良くない。
×: サクサク感がなく、口どけも悪い。
表3では、上記外観及び食感評価のうちより低い評価を総合評価として記載した。例えば、外観が○で食感が○である配合2では、両評価が同レベル(○)であるので、総合評価として○を記載した。また、外観が◎で、食感が△である配合5については、より低い食感の評価△を総合評価として記載した。
【0027】
表3

【0028】
表3に示す評価結果から、α化澱粉とβ澱粉の質量比が3:97(配合2)から10:90(配合4)の範囲の組成物を配合して製造した焼き菓子は、外観及び食感において良好な評価となることが分かった。α化澱粉が0質量部(配合1)では、生地の膨潤が不十分であり、また、α化澱粉が20質量部(配合5)では、サクサク感及び口どけ感が低下し、いずれも低い評価となった。
【0029】
実施例3 焼き菓子の品質に及ぼすβ澱粉の種類の影響
表2の配合3を基本配合として、実施例2と同様の調製方法及び評価方法で、焼き菓子の品質に及ぼす組成物中のβ澱粉の種類(原料及び加工)の影響を検討した。β澱粉の原料澱粉は市販のものを使用し、加工澱粉はいずれも松谷化学工業(株)の製品を使用した。
エーテル化澱粉は、澱粉の水懸濁液に、アルカリ触媒存在下、プロピレンオキサイドを作用させて調製したものである。
アセチル化澱粉は、澱粉の水懸濁液にアルカリ触媒存在下、無水酢酸を作用させて調製したものである。アセチル化の置換度(DS)は0.016であった。
リン酸架橋澱粉は、澱粉の温水懸濁液に、トリメタリン酸塩を作用させて調製したものである。
酸化澱粉は、澱粉のアルカリ性水懸濁液に、次亜塩素酸ソーダを作用させて調製したものである。
β澱粉の種類を変えて調製した焼き菓子を実施例2の方法に従って総合評価した結果を表4に示す。
【0030】
表4

注)−は実施していないことを示す。
【0031】
表4の結果から、β澱粉の原料澱粉としては、モチ種澱粉が好ましいことが分かった。また、加工の種類としては、アセチル化が好ましいことが分かった。
【0032】
実施例4 焼き菓子の品質に及ぼすα化澱粉の種類の影響
表2の配合3を基本配合として、実施例2と同様の調製方法及び評価方法で、焼き菓子の品質に及ぼす組成物中のα化澱粉の種類(原料及び加工)の影響を検討した。α化原料澱粉は、市販のものを使用し、α化加工澱粉はいずれも松谷化学工業(株)の製品を使用した。α化澱粉の種類を変えて調製した焼き菓子を、実施例2の評価方法に従って総合評価した結果を表5に示す。
【0033】
表5

表5の結果から、α化澱粉としてはいずれの原料澱粉を使用しても良いことが分かった。また、加工する場合にはリン酸架橋単独あるいはアセチル化・リン酸架橋の組み合わせが特に優れた結果を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)α化澱粉及び(B)β澱粉を含む澱粉質を含み、更に(C)小麦蛋白質及び(D)油脂から選択される少なくとも一種を含む焼き菓子用組成物であって、(A)と(B)の合計質量に対し、(A)が3〜10質量%、(B)が97〜90質量%の範囲で含まれており、(A)と(B)の合計量100質量部に対し、(C)は40質量部以下であり、(D)は40質量部以下の範囲で含まれている、上記焼き菓子用組成物。
【請求項2】
(B)β澱粉が、ワキシーコーンスターチ、もち米澱粉、ワキシーポテトスターチ及びアセチル化ワキシーコーンスターチから選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の焼き菓子用組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の組成物を含む生地を成型し、次いで焼成して得られる焼き菓子類。

【公開番号】特開2012−165741(P2012−165741A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15569(P2012−15569)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(000188227)松谷化学工業株式会社 (102)
【Fターム(参考)】