説明

焼酎蒸留醪に雑穀粉末及び澱粉を混合した原料からのブドウ糖とアミノ酸液の同時製造法

【課題】焼酎蒸留醪、雑穀粉末及び澱粉よりブドウ糖とアミノ酸液を製造する方法の提供。
【解決手段】水分率85〜95重量%の焼酎蒸留醪に雑穀粉末と澱粉を混合して、水分率50重量%以下とし、焼酎蒸留醪自体の酸と低濃度の酸で酸加水分解処理をし、分解液を濾過してブドウ糖を分離した後、残りをアルカリで中和し、次いで加圧圧搾濾過、低温低圧濃縮し、アミノ酸を分離精製してブドウ糖とアミノ酸液を同時に製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
焼酎蒸留醪は水分率(85%重量〜95%重量)を、雑穀粉末と混合して、水分率50%重量以下にして、澱粉及び蛋白質を酸分解処理する事で、ブドウ糖並びにアミノ酸液を同時に製造できる技術を見いだした。
【背景技術】
【0002】
ブドウ糖の製造においては、澱粉を酸で加水分解して製造する酸糖化方法と、酵素を利用する酵素(アミラーゼ)糖化法がある。
【0003】
アミノ酸液を製造する方法では、穀類等(大豆・脱脂大豆粕・トウモロコシ等)を酸加水分解式、酵素分解式等がある。
原料の脱脂大豆粕はノルマルヘキサン(加工助剤)を利用している。
【0004】
焼酎蒸留醪は、廃酸として処理が行われている、メタン発酵処理・乾燥堆肥処理・乾燥飼料製造等、また一部においては液状のままで豚の飼料として利用している。
焼酎蒸留醪は全面海洋投棄が禁止になったが、時限立法で陸上散布も許可が出ているが、悪臭公害が出ている。
【0005】
蛋白質酸加水分解法で、発癌性物質3−MCP(3クロロプロパンジオール)1−3−DCP(1,3ジクロロプロパノール)減少方法として「アルカリ処理」が酸加水分解工程に追加されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題は、ブドウ糖製造に関して原料にジャガイモ澱粉・甘藷澱粉・コーンスターチ等が利用されており、製造方法も酸糖化法・酵素(アミラーゼ)糖化法で製造されている。
アミノ酸液製造に関して脱脂大豆粕(ノルマンヘキサン及び活性白土)を利用した採油粕の原料で、酸加水分解法・酵素分解法で製造を行っている。
焼酎蒸留醪は、廃酸(焼却)として産業廃棄物処理が現在行われている場合と、メタン発酵処理・乾燥堆肥処理・乾燥飼料製造等に利用されている場合と、また一部においては液状のままで豚の飼料としている。また、焼酎蒸留醪の全面海洋投棄が禁止になり、時限立法で陸上散布許可が出ているが、散布後に悪臭公害が出ている。
蛋白質酸加水分解法で、発癌性物質3−MCP(3クロロプロパンジオール)1−3−DCP(1,3ジクロロプロパノール)減少方法として「アルカリ処理」が酸加水分解工程に追加されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ブドウ糖製造と、アミノ酸液製造を同時にできる方法として、穀類の澱粉を微生物分解して酵素糖化法で糖化し再度酵母でアルコールを製造し、アルコールを抽出後まだ残存しているブドウ糖(グルコース)1%〜3%と、窒素分が0.5〜3%あり、この焼酎蒸留醪の水分率(85%重量〜95%重量)利用して、焼酎蒸留醪に雑穀粉末及び澱粉を混合(含水率50重量%以下)して、澱粉と蛋白質の割合を増加させて、焼酎蒸留醪自体(約PH3)の酸と、それに低濃度の酸で酸加水分解し濃縮して精製分離を行い、ブドウ糖(グルコース)とアミノ酸液を同時製造する。
【0008】
本発明の第2は、焼酎蒸留醪内の水分率(含水率85%重量〜95%重量)を雑穀粉末及び澱粉を混合(含水率50%重量以下)して、澱粉及び蛋白質の含有量を高めることにある。
【0009】
本発明の第3は、焼酎蒸留醪自体の酸性度(約PH3)を利用して、蛋白質酸加水分解と澱粉の酸糖化法の利用が可能となることを見いだした。
【0010】
本発明の第4は、蛋白質酸加水分解法で従来から懸念されている、3−MCP(3クロロプロパンジオール)1−3−DCP(1,3ジクロロプロパノール)を限りなく発生しないことを見いだした。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上説明したように構成されているので、従来焼酎蒸留醪は廃棄とされていたが、低濃度ブドウ糖を高濃度ブドウ糖液に製造して、高付加価値の製品とする効果がある。
【0012】
焼酎蒸留醪自体の酸と低濃度酸を利用することで、旨味性が優れ、調味製品となる効果がある。
【0013】
蛋白質酸加水分解で発癌性物質3−MCP(3クロロプロパンジオール)1−3−DCP(1,3ジクロロプロパノール)を限りなく発生しない効果がある。
【0014】
脱脂大豆はノルマルヘキサン(有機溶剤)を利用して採油し、その搾り粕からできるアミノ酸液と比べて、危険物質を含まない安全なアミノ酸液製造ができる効果もある。
【0015】
焼酎蒸留醪は水分率(85%重量〜95%重量)廃酸指定で、多額の処理費用が必要であるが、製品原料としての高度利用が可能となる効果がある。
【0016】
焼酎蒸留醪蛋白からのアミノ酸含有液は、リジンが多く微量元素を含むために、家畜、ペット等の栄養価の高い給餌できる効果がある。
【0017】
焼酎蒸留醪蛋白からのアミノ酸含有液は、植物に対しても葉面散布あるいは、施肥することにより、植物の栄養剤としても利用できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、焼酎蒸留醪は殆どが水分(88重量%〜97重量%)で、再利用には多大のエネルギーを必要としていたが、商品価値の少ない雑穀の粉末を混合することにより、適宣に含水率を下げて、ブドウ糖並びにアミノ酸液の原料として再生して、低濃度塩酸で低温酸加水分解をし、苛性ソーダ等で穏やかな中和を行い、濾過をして、再度、低温低圧加熱濃縮をして分離精製し、高濃度のブドウ糖液と高濃度アミノ酸液を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示すフローチャートである。
【0020】
本発明の1番目の工程は、焼酎蒸留醪に雑穀粉末及び澱粉を混合した原料からの、ブドウ糖とアミノ酸液の同時製造法は、概略として8工程に分かれる。
1番目の工程においては、焼酎蒸留醪(含水分率85%重量〜95%重量)に雑穀粉末及び澱粉を混合して、含水分率50%重量以下にする。
【0021】
2番目の工程で、酸加水分解はアミノ酸の原料となる蛋白質とブドウ糖の原料となる澱粉の質量の割合をもって低温加熱する工程である。
澱粉酸分解液を濾過精製してブドウ糖のみ取り出す工程である
【0022】
3番目の工程では、ブドウ糖のみ取り出した残りを苛性ソーダ等の、アルカリ性物質の投入によって、PH4〜PH6と適宜となるように中和する工程である。
【0023】
4番目の工程では、適宜に中和された原料液の液体部分と粘土状固形物を分離する加圧圧搾濾過である。
【0024】
5番目の工程では、液体部分の低圧低温加熱濃縮工程である。
【0025】
6番目の工程では、濃縮液をイオン交換樹脂等利用でアミノ酸液を分離する工程である。
【0026】
7番目の工程では、ブドウ糖の精製工程である。
【0027】
8番目の工程では、アミノ酸液の精製工程である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼酎蒸留醪に雑穀粉末及び澱粉を混合した原料からのブドウ糖とアミノ酸液の同時製造法




【図1】
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【公開番号】特開2010−284091(P2010−284091A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139004(P2009−139004)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(309017976)
【Fターム(参考)】