説明

照光スイッチ

【課題】主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられる照光スイッチに関し、ムラがなく均一な照光が可能で、操作の行い易いものを提供することを目的とする。
【解決手段】ケース11の筒部11A外周に発光素子10Aや10B等の光を上方へ導く、ガイド壁部12Aや12B等を設けることによって、発光素子10Aや10Bが表示部2Bや2Cを照光する範囲を調整できるため、複数の発光素子10による一つの表示部内での明るさのムラを防ぎ、見易く均等な照光が可能で、操作の行い易い照光スイッチを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に自動車内の各種電子機器の操作に用いられる照光スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内のフロントパネル部やステアリングホイール近傍に様々なスイッチを装着し、これによって車室内のエアコンやオーディオ等の各種電子機器の操作を行うものが増えており、使い易く、確実な操作を行えるものが求められている。
【0003】
このような従来の照光スイッチについて、図3及び図4を用いて説明する。
【0004】
図3は従来の照光スイッチの断面斜視図、図4は同分解斜視図であり、同図において、1は略円筒状で絶縁樹脂製のケースで、内方にはケース1内側壁と所定の間隙を空けて、部分的に連結された筒部1Aが設けられている。
【0005】
また、2は絶縁樹脂製の操作体で、上面には暗色の遮光部2Aから文字や記号等の形状に露出した、明色の複数の表示部2Bや2C等が形成されると共に、この操作体2が絶縁樹脂製のホルダー3とピン4によって、ケース1上方に回転可能に装着されている。
【0006】
そして、5は絶縁樹脂製の回転体、6は導電金属薄板製の可動接点で、ケース1内に収納された回転体5が、操作体2下端に係止装着されると共に、回転体5下面には可動接点6の一端が固着されている。
【0007】
また、7は上下面に複数の配線パターン(図示せず)が形成された配線基板で、この上面にはカーボン等の複数の固定接点8が形成されると共に、この固定接点8に可動接点6の他端が弾接して、複数のスイッチ接点9が形成されている。
【0008】
さらに、10は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子10Aや10B等が配線基板7上面のケース1の筒部1A外方に、発光面を上方に向けて実装配置されて、照光スイッチが構成されている。
【0009】
そして、このように構成された照光スイッチが操作体2を前方に突出させて、車室内のフロントパネル部に装着されると共に、複数の固定接点8や発光素子10が配線基板7の配線パターンや、コネクタやリード線(図示せず)等を介して、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0010】
以上の構成において、操作体2を指で回転操作すると、操作体2の回転に伴って回転体5が回転し、この下面の可動接点6が配線基板7や固定接点8上面を弾接摺動して、複数のスイッチ接点9の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、エアコンの温度や風量の切換え、あるいはオーディオの音量の増減等の操作が行なわれる。
【0011】
また、夜間等の周囲が暗い場合には、別途ステアリングホイール近傍に装着されたコンビネーションスイッチ(図示せず)等を操作すると、この電気的接離を車両の電子回路が検出して、複数の発光素子10を発光させる。
【0012】
そして、この発光素子10Aや10B等の光がケース1の筒部1A外周に沿って上方へ進み、操作体2上面の表示部2Bや2C等を下方から照光することで、操作体2の識別や操作が容易に行えるようになっている。
【0013】
つまり、車室内に装着された照光スイッチの、操作体2を回転操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えると共に、周囲が暗い場合でも、複数の発光素子10を発光させ、操作体2の表示部2Bや2C等を照光することによって、操作体2の操作を容易に行えるように構成されているものであった。
【0014】
なお、このように複数の発光素子10を発光させ、複数の表示部2Bや2C等を照光する場合、図3に示すように、例えば表示部2Bの表示「HI」はこの下方の発光素子10Aによって、表示部2Cの表示「TEMP」はこの下方の発光素子10Bによって、各々照光されるように形成されている。
【0015】
ただ、この時、発光素子10Aや10B等の光は上方へ進むほど広がり、広い範囲を照光するようになるため、特に表示された文字数が多い場合、例えば表示部2Cの表示「TEMP」の端部の文字が複数の発光素子10によって、例えば「T」が発光素子10Bだけでなく、発光素子10Aによっても照光されてしまい、他の文字に比べ「T」だけが明るくなってしまう場合がある。
【0016】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2005−216798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記従来の照光スイッチにおいては、一つの箇所の表示のうち端部の文字、例えば表示部2Cの表示「TEMP」の「T」が、複数の発光素子10によって照光されてしまう場合があり、ムラのない均等な明るさでの照光ができず、見づらいものになってしまうという課題があった。
【0019】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ムラがなく均等な照光が可能で、操作の行い易い照光スイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的を達成するために本発明は、ケースの筒部外周に発光素子の光を上方へ導く、ガイド壁部を設けて照光スイッチを構成したものであり、ガイド壁部によって発光素子が表示部を照光する範囲を調整できるため、複数の発光素子による一つの表示部内での明るさのムラを防ぎ、見易く均等な照光が可能で、操作の行い易い照光スイッチを得ることができるという作用を有するものである。
【発明の効果】
【0021】
以上のように本発明によれば、ムラがなく均等な照光が可能で、操作の行い易い照光スイッチを実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態による照光スイッチの断面斜視図
【図2】同分解斜視図
【図3】従来の照光スイッチの断面斜視図
【図4】同分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図1及び図2を用いて説明する。
【0024】
なお、背景技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して、詳細な説明を簡略化する。
【0025】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施の形態による照光スイッチの断面斜視図、図2は同分解斜視図であり、同図において、11は略円筒状でポリアセタール等の絶縁樹脂製のケースで、内方にはケース11内側壁と所定の間隙を空けて、部分的に連結された筒部11Aが設けられている。
【0026】
また、2はポリカーボネート等の絶縁樹脂製の操作体で、上面には暗色の遮光部2Aから文字や記号等の形状に露出した、明色の複数の表示部2Bや2C等が形成されると共に、この操作体2がポリカーボネート等の絶縁樹脂製のホルダー3とピン4によって、ケース11上方に回転可能に装着されている。
【0027】
そして、5はABS等の絶縁樹脂製の回転体、6は銅合金や鋼等の導電金属薄板製の可動接点で、ケース11内に収納された回転体5が、操作体2下端に係止装着されると共に、回転体5下面には可動接点6の一端が固着されている。
【0028】
さらに、7は紙フェノールやガラス入りエポキシ等の配線基板で、上下面には銅箔等によって複数の配線パターン(図示せず)が形成されると共に、この上面にはカーボン等の複数の固定接点8が設けられ、この固定接点8に可動接点6の他端が弾接して、複数のスイッチ接点9が形成されている。
【0029】
また、10は発光ダイオード等の発光素子で、複数の発光素子10Aや10B等が配線基板7上面のケース11の筒部11A外方に、発光面を上方に向けて実装配置されている。
【0030】
さらに、ケース11の筒部11A外周には、発光素子10Aや10B等の両側方へ突出する、一対のガイド壁部12Aや12B等が設けられると共に、このガイド壁部12Aや12B上部には、内方から外方へ傾いた傾斜部12Cが形成されて、照光スイッチが構成されている。
【0031】
そして、このように構成された照光スイッチが操作体2を前方に突出させて、車室内のフロントパネル部に装着されると共に、複数の固定接点8や発光素子10が配線基板7の配線パターンや、コネクタやリード線(図示せず)等を介して、自動車の電子回路(図示せず)に電気的に接続される。
【0032】
以上の構成において、操作体2を指で回転操作すると、操作体2の回転に伴って回転体5が回転し、この下面の可動接点6が配線基板7や固定接点8上面を弾接摺動して、複数のスイッチ接点9の電気的接離が行われ、この電気信号が車両の電子回路へ出力されて、例えば、エアコンの温度や風量の切換え、あるいはオーディオの音量の増減等の操作が行なわれる。
【0033】
また、夜間等の周囲が暗い場合には、別途ステアリングホイール近傍に装着されたコンビネーションスイッチ(図示せず)等を操作すると、この電気的接離を車両の電子回路が検出して、複数の発光素子10を発光させる。
【0034】
そして、この発光素子10Aや10B等の光がケース11の筒部11A外周に沿って上方へ進み、操作体2上面の表示部2Bや2C等を下方から照光することで、操作体2の識別や操作が容易に行えるようになっている。
【0035】
つまり、車室内に装着された照光スイッチの、操作体2を回転操作することによって、車両内の様々な機器の操作が行えると共に、周囲が暗い場合でも、複数の発光素子10を発光させ、操作体2の表示部2Bや2C等を照光することによって、操作体2の操作を容易に行えるように構成されている。
【0036】
また、この時、ケース11の筒部11A外周には、発光素子10Aや10B等の両側方へ突出する、一対のガイド壁部12Aや12B等が形成され、発光素子10Aや10Bの光はこのガイド壁部12Aや12Bの内壁によって、外方へ広がらないように上方へ進んで、複数の表示部2Bや2C等の照光が行われるようになっている。
【0037】
すなわち、一対のガイド壁部12Aや12B内を進む間は、発光素子10Aや10Bの光が左右の周方向には広がらず、ガイド壁部12Aや12Bの上端を過ぎてから広がるようにすることで、例えば発光素子10Aはその上方の表示部2Bの表示「HI」のみを、発光素子10Bはその上方の表示部2Cの表示「TEMP」のみを、各々照光するように形成されている。
【0038】
したがって、表示された文字数の多い、例えば表示部2Cの表示「TEMP」の端部の文字が複数の発光素子10によって、例えば「T」が発光素子10Bだけでなく、発光素子10Aによっても照光され、他の文字に比べ「T」だけが明るくなってしまうことはなく、発光素子10Bのみによって「TEMP」全体の、ムラなく均等な照光が行われるようになっている。
【0039】
なお、ガイド壁部12Aや12Bを上方向へ長く形成すれば、発光素子10Aや10Bが表示部2Bや2Cを下面から照光する範囲は狭くなり、短い寸法に形成すれば照光する範囲は広くなる。
【0040】
つまり、ガイド壁部12Aや12Bを所定の高さに形成して、発光素子10Aや10Bが表示部2Bや2Cを照光する範囲を調整し、これらの光が重ならないようにすることで、複数の発光素子10による一つの表示部2Bや2C内での明るさのムラを防ぎ、見易く均等な照光が行えるようになっている。
【0041】
さらに、このガイド壁部12Aや12B上部には内方から外方へ傾いた傾斜部12Cが設けられ、発光素子10Aや10Bの光がガイド壁部12Aや12Bの上端を過ぎてから広がる際、操作体2の直径の小さな内方はやや狭い範囲で、直径の大きな外方はやや広い範囲で、表示部2Bや2Cの照光を行うことによって、より均等で見易い照光が可能なように形成されている。
【0042】
このように本実施の形態によれば、ケース11の筒部11A外周に発光素子10Aや10B等の光を上方へ導く、ガイド壁部12Aや12B等を設けることによって、発光素子10Aや10Bが表示部2Bや2Cを照光する範囲を調整できるため、複数の発光素子10による一つの表示部内での明るさのムラを防ぎ、見易く均等な照光が可能で、操作の行い易い照光スイッチを得ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明による照光スイッチは、ムラがなく均等な照光が可能で、操作の行い易いものを実現でき、主に自動車の各種電子機器の操作用として有用である。
【符号の説明】
【0044】
2 操作体
2A 遮光部
2B、2C 表示部
3 ホルダー
4 ピン
5 回転体
6 可動接点
7 配線基板
8 固定接点
9 スイッチ接点
10、10A、10B 発光素子
11 ケース
11A 筒部
12A、12B ガイド壁部
12C 傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内方に筒部が形成された略円筒状のケースと、上面に表示部が形成され上記ケース上方に回転可能に装着された操作体と、上記ケース内に収納され上記操作体下端に装着された回転体と、この回転体の回転に応じて電気的接離を行うスイッチ接点と、上記ケースの筒部外方に配置された発光素子からなり、上記ケースの筒部外周に上記発光素子の光を上方へ導くガイド壁部を設けた照光スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−165592(P2011−165592A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29768(P2010−29768)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】