説明

照光型キートップ機構

【課題】小型化(特に厚みの薄型化)が図れ、厚みを薄型化しても効率良くキートップ内に光を導入できる照光型キートップ機構を提供する。
【解決手段】透光性材料からなり全体が略平板状であって一端面に細長形状の光放射部11を設けると共に他端面に細長形状の光入射部13を設けてなるキートップ板10と、キートップ板10を上下動自在に覆う第1,第二ケース40,70と、キートップ板10の光入射部13に対向する位置に設置される発光部材130とを具備する。キートップ板10はテーパ面17を形成することで光放射部11の厚みよりも光入射部13の厚みの方を厚く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦スイッチ等を押圧してその電気的出力を変化させるキートップ機構に関し、特にキートップの上端面を照光するのに好適な照光型キートップ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、キートップ機構の中にはキートップを透光性材料で構成し、キートップの下端部の面(押ボタンスイッチ等を設置した側の面、以下「下端面」という)に対向して設置した発光部材から発光される光によってキートップの上端部の面(以下「上端面」という)を明るく照らし出す構造のものがある。さらにこの種のキートップ機構の中にはデザイン等の理由から、キートップを上下動自在に覆うケースを含めたキートップ機構全体の上端面を細長形状とすることが求められる場合がある(例えば特許文献1)。
【0003】
しかしながら上述のような細長形状のキートップの上端面を照らし出す構造のキートップ機構においては、以下のような問題点があった。
(1)デザイン上、キートップの上端面を細長形状としても、特許文献1の図1,図4に示すようにその下端部近傍部分(図1の底部11部分)はその面積(キートップの押圧方向に垂直な面方向の面積)を大きく形成していた。このためキートップを上下動自在に収納するケース(ケース40)を含むキートップ機構全体としての外形寸法が大きくなってしまい、機器の小型化の要請に答えられなかった。
【0004】
(2)キートップ機構の小型化を図るため、前記キートップの下端部近傍部分(底部11部分)の面積を大きくしないで、キートップ全体を略直方体の平板状に形成することも考えられる。しかしながらその場合、細長形状の下端面の厚みが薄くなり、発光部材からこの下端面に入射しようとする光に漏れが生じ、光を効率良くキートップ内に導入できなくなる恐れがあった。
【0005】
(3)特許文献1の図4に示すキートップにおいては、薄板平板状のキートップの厚み方向に垂直な両面全体を下方向に向かって広がるようにテーパ状に形成している。しかしながらキートップの両面全体をテーパ状に形成した場合、このキートップをケースの穴(貫通孔141)に挿入してガイドさせた上でキートップを下降した際にケースの穴とキートップの両面との間の隙間が拡大し、ケースによるキートップの支持にがたつきが生じてしまう恐れがあった。
【特許文献1】特開2002−33029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、小型化(特に厚みの薄型化)が図れ、また厚みを薄型化しても効率良くキートップ内に光を導入でき、またキートップをがたつきなく確実にケース内に上下動自在に保持できる照光型キートップ機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に記載の発明は、透光性材料からなり全体が略平板状であって一端面に細長形状の光放射部を設けると共に他端面に細長形状の光入射部を設けてなるキートップ板と、前記キートップ板を上下動自在に覆うケースと、前記キートップ板の光入射部に対向する位置に設置される発光部材と、を具備し、前記キートップ板は光放射部の厚みよりも光入射部の厚みの方を厚く形成したことを特徴とする照光型キートップ機構にある。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、前記キートップ板の前記光放射部近傍部分と光入射部近傍部分のそれぞれ厚み方向に垂直な両面を平行な面に形成すると共に、キートップ板の前記光放射部近傍部分と光入射部近傍部分を連結する連結部分の厚み方向に垂直な両面の内の少なくとも何れか一方の面を光放射部から光入射部側に向かって厚み方向に広がるテーパ面とすることにより、光放射部の厚みよりも光入射部の厚みの方を厚く形成したことを特徴とする請求項1に記載の照光型キートップ機構にある。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、前記発光部材を載置部材に載置するとともに、この載置部材を前記キートップ板の前記光入射部に対向する位置においてキートップ板に一体に取り付け、且つ前記キートップ板には、前記キートップ板に前記載置部材を取り付ける際に治具を挿入してキートップ板を支持しておく治具支持部を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の照光型キートップ機構にある。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、前記キートップ板の光入射部表面に、発光部材から入射する光を集光するレンズ面を設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の照光型キートップ機構にある。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、キートップ板の全体形状を略平板状として細長形状の光放射部及び細長形状の光入射部を設ける形状としたので、ケースを含むキートップ機構全体の外形寸法の小型化(特に厚みの薄型化)が図れる。また光放射部の厚みよりも光入射部の厚みの方を厚くしたので、例え光放射部の厚みを薄くしても、発光部材から光入射部に入射しようとする光の漏れを少なくできる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、テーパ面を用いてキートップ板の光入射部の厚みを光放射部の厚みより厚く形成しても、キートップ板の光放射部近傍部分と光入射部近傍部分のそれぞれ厚み方向に垂直な両面を平行な面に形成したので、このキートップ板をケースによって上下動自在にガイドした上でキートップ板を上下動しても、ケースによるキートップ板の支持にがたつきが生じることはなく、確実な支持が行える。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、キートップ板に治具支持部を設けたので、発光部材を載置する載置部材をキートップ板に取り付ける際のキートップ板の支持を、キートップ板の光放射部の面ではなく、この治具支持部において行うことができる。従って光放射部の面を傷付けることを防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、光入射部表面にレンズ面を設けたので、発光部材からキートップ板に広がるように入射する光の多くを集めて光放射部に向けることができ、効果的に光放射部を照光できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態にかかる照光型キートップ機構1−1の斜視図、図2は照光型キートップ機構1−1の分解斜視図、図3は別の角度から見た照光型キートップ機構1−1の分解斜視図である。これらの図に示すように照光型キートップ機構1−1は、キートップ板10と、キートップ板10を上下動自在に覆う第1,第2ケース40,70と、キートップ板10に一体に取り付けられる載置部材100と、載置部材100上に設置される発光部材130と、載置部材100の下部に設置される押圧スイッチ150とを具備して構成されている。なお一対の第1,第2ケース40,70によって1つのケースが構成される。また以下の説明において、上下方向とはキートップ板10の押圧方向を言い、「上」又は「上方向」とはキートップ板10の発光部材130を設置する反対側方向を、「下」又は「下方向」とはキートップ板10の発光部材130を設置する側方向を言うものとする。以下各構成部品について説明する。
【0016】
図4はキートップ板10を下方から見た斜視図である。図1〜図4に示すようにキートップ板10は透光性材料からなり、その全体を略矩形の平板状に成形して構成されている。キートップ板10は透明な合成樹脂材料(この実施形態ではアクリル樹脂を用いているが、ポリカーボネート樹脂、PMMA樹脂等の他の各種合成樹脂材料を用いても良い)によって構成されており、その一端面(上端面)を細長形状の光放射部11とし、他端面(下端面)を細長形状の光入射部13としている。光放射部11の直下の部分には、キートップ板10を幅方向(キートップ板10の上下方向と厚み方向に垂直な方向)に向かって階段状に切り欠いてなる移動防止部15が設けられている。
【0017】
キートップ板10の光放射部11近傍部分と光入射部13近傍部分のそれぞれ厚み方向に垂直な両面は平行な面16a,16bに形成されており、一方キートップ板10の光放射部11近傍部分と光入射部13近傍部分を連結する連結部分(即ち中間部分)の厚み方向に垂直な両面は光放射部11から光入射部13側に向かって厚み方向に広がるテーパ面17に形成されている。従って光放射部11の厚みよりも光入射部13の厚みの方が厚く形成されている。またキートップ板10の光入射部13の表面中央には、発光部材130から入射する光を集光するレンズ面19が設けられている。レンズ面19は下方向に向かって凸となる凸レンズを形成している。光入射部13のレンズ面19の両側には下方向に向かって突出する一対の柱状の取付基部21が設けられ、各取付基部21の下面には下方向に突出する小突起状の取付部23が設けられている。またキートップ板10の光入射部13の上部の左右両側の位置には、貫通孔からなる治具支持部25が一対設けられている。治具支持部25はキートップ板10に下記する載置部材100を取り付ける際に治具を挿入してキートップ板10を支持しておくためのものである。治具支持部25の形状は何れも台形状であり、その斜辺がキートップ板10の中央側を向き且つ上方向に向かって広がる(キートップ板10の左右両側方向に向かうように広がる)ように形成されている。またキートップ板10の左右両側辺の内の一方の側辺の中間位置には深さの浅い凹部27が設けられている。凹部27の底面の所定位置には樹脂注入跡部29が形成されている。
【0018】
第1ケース40は合成樹脂を略平板矩形状に成形して構成されており、略平板状の第1ケース本体部41を具備し、また第1ケース本体部41の左右両側の上下方向に向かう両側辺42,42によって第1ケース40の一方の面(キートップ板10側を向く面)に上下方向に向かう第1キートップ収納部43を設け、さらに第1ケース40の下端辺から第1キートップ収納部43側に向かって平板矩形状の基板載置部45を突出して構成されている。第1ケース40を構成する合成樹脂としてこの実施形態ではABS樹脂を用いているが、PBT樹脂等の他の各種合成樹脂材を用いても良い。第1キートップ収納部43の幅(両側辺42,42間の離間距離)は、前記キートップ板10を上下動自在にガイドして収納する寸法となっている。両側辺42,42の上下二ヶ所ずつからは外方(キートップ板10の押圧方向に直交する外方向)に向けて舌片状の取付用基部47が突設されており、各取付用基部47の第2ケース70に対向する側の面からは第2ケース70側に向けて突出する小突起からなる取付部49が設けられている。基板載置部45は下記するフレキシブルスイッチ基板170を載置する寸法形状の略矩形状に形成され、その上面にはフレキシブルスイッチ基板170を取り付ける小突起状の基板取付部51が2つ設けられている。また基板載置部45の第2ケース70側を向く先端辺からは2つの舌片状のケース取付部53が突設されている。第1ケース本体部41の上下方向の中間位置には左右方向(両側辺42,42間を結ぶ水平方向)に向かうテーパ面55が設けられている。テーパ面55は下方向に向かってキートップ板10から離れる方向に向かって傾斜する傾斜面である。
【0019】
第2ケース70は合成樹脂を略平板矩形状に成形して構成されており、略平板状の第2ケース本体部71を具備し、また第2ケース本体部71の左右両側の上下方向に向かう両側辺72,72によって第2ケース70の一方の面(キートップ板10側を向く面)に上下方向に向かう第2キートップ収納部73を設け、さらに第2ケース70の下端辺から第2キートップ収納部73の反対側に向かって突出する矩形状の収納部75を設けて構成されている。第2ケース70を構成する合成樹脂としてこの実施形態ではABS樹脂を用いているが、PBT樹脂等の他の各種合成樹脂材を用いても良い。第2キートップ収納部73の幅(両側辺72,72間の離間距離)は、前記キートップ板10を上下動自在にガイドして収納する寸法となっている。両側辺72,72の上下二ヶ所ずつからは外方(キートップ板70の押圧方向に直交する外方向)に向けて舌片状の取付用基部77が突設されており、各取付用基部77の前記第1ケース40の取付部49に対向する位置にはこれら取付部49を挿入する貫通孔からなる取付部79が設けられている。
【0020】
収納部75はその第1ケース40に対向する側の面に基板載置部45の先端側の部分を挿入する収納凹部78を設け、また収納部75の先端面に基板載置部45の2つのケース取付部53をそれぞれ挿入する2つの貫通孔からなる挿入取付部81を設けている。また第2ケース70の第2キートップ収納部73側の面の下部の両側辺72,72近傍には、キートップ板10側に突出してキートップ板10と載置部材100との間に挿入されてキートップ板10の下方向への移動を規制する舌片状に突出するストッパー83が設けられている。また第2キートップ収納部73側の面の上端辺近傍には、第2キートップ収納部73内に突出しキートップ板10の移動防止部15に当接することでキートップ板10の上方向への移動(抜け)を防止する小突起状の一対の抜け防止部85(図2では1ヶ所のみ示す)が設けられている。第2ケース本体部71の上下方向の中間位置には左右方向(両側辺72,72間を結ぶ水平方向)に向かうテーパ面87が設けられている。テーパ面87は下方向に向かってキートップ板10から離れる方向に向かって傾斜する傾斜面である。
【0021】
載置部材100は、合成樹脂(この実施形態ではPOM樹脂を用いているが、PBT樹脂やABS樹脂等の他の各種合成樹脂材を用いても良い)を略矩形の平板状に成形して構成されており、前記キートップ板10の2つの取付部23に対向する位置にこれら取付部23をぴったり挿入する寸法形状の上下に貫通する取付孔部101を設け、またその下面の略中央に下方向に突出する小突起状の押圧部103(図5参照)を設けて構成されている。載置部材100の外形形状寸法は前記キートップ板10の下面(即ち光入射部13の面)の外形形状寸法と略同一寸法になっている。
【0022】
発光部材130と押圧スイッチ150は1枚のフレキシブルスイッチ基板170に設けられている。図5は展開したフレキシブルスイッチ基板170と載置部材100とを示す斜視図である。同図に示すようにフレキシブルスイッチ基板170は、可撓性を有する合成樹脂フイルムの表面に所望の回路パターンを設けて構成されており、中央の略矩形状の第1基板部171と、第1基板部171に帯状の連結部175を介して連結される略矩形状の第2基板部173と、第1基板部171の連結部175を設けた辺に対向する反対側の辺から突出するように引き出される略矩形状に伸びる載置部材取付部177と、第1基板部171のさらに別の辺から突出するように引き出される略矩形の弾発部179と、第1基板部171のさらにもう1つの別の辺から突出するように引き出されて帯状に延びてこのフレキシブルスイッチ基板170の電気回路を外部に引き出す引出部181とを具備して構成されている。発光部材130はこの実施形態では発光ダイオード(LED)を用いている。
【0023】
フレキシブルスイッチ基板170に用いる合成樹脂フイルムとして、この実施形態ではポリエチレンテレフタレート(PET)フイルムを用いているが、可撓性のある他の熱可塑性又は熱硬化性又は光硬化性の各種合成樹脂フイルム、例えばポリフェニレンスルフイド(PPS)フイルム、ポリイミド(PI)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フイルム、ポリエーテルイミド(PEI)フイルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)フイルム、ポリエーテルケトン(PEK)フイルム、ポリカーボネート(PC)フイルム、ポリブチレンナフタレート(PBN)フイルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フイルム等を用いても良い。第1基板部171は図5におけるその下面の略中央に導電パターンからなるスイッチ接点183を設け、またスイッチ接点183の左右両側に1つずつ貫通する小孔からなる係止部185を設けて構成されている。なおスイッチ接点183の部分は第1基板部171の下面に露出しているが、その周囲の部分には絶縁層からなるスペーサ層が設けられている。一方第2基板部173は図5におけるその下面の略中央に導電パターンからなるスイッチ接点187を設け、またスイッチ接点187の左右両側に1つずつ貫通する小孔からなる係止部189を設けて構成されている。なおスイッチ接点187の部分は第2基板部173の下面に露出しているが、その周囲の部分には絶縁層からなるスペーサ層が設けられている。
【0024】
載置部材取付部177は図5におけるその下面の略中央に発光部材130を取り付け、発光部材130の左右両側に1つずつ貫通する小孔からなる係止部191を設けて構成されている。載置部材取付部177の外形寸法形状は前記載置部材100の外形寸法形状と略同一寸法形状である。なお前記一対の係止部185の離間距離と、一対の係止部189の離間距離と、一対の基板取付部51の離間距離とは同一である。また一対の係止部191の離間距離はキートップ板10の一対の取付部23の離間距離と同一である。なお引出部181にはスイッチ接点183,187や発光部材130の部分に接続された回路パターンが引き出されている。
【0025】
次に照光型キートップ機構1−1の組立手順の1例を説明する。まず図5のフレキシブルスイッチ基板170において、その載置部材取付部177の発光部材130を設けた面側(図5の下面側)にキートップ板10を逆様にしてその光入射部13の面を接近し(矢印A1参照)、その際キートップ板10の一対の取付部23を載置部材取付部177の一対の係止部191に挿入する。次に係止部191に挿入された一対の取付部23を載置部材取付部177の上面側(発光部材130を設置した面の反対面側)に設置した載置部材100の一対の取付孔部101に挿入し、取付孔部101から突出する取付部23の先端を熱かしめし、これによってこれら各部材を一体化する。このとき本実施形態においては、キートップ板10に治具支持部25,25を設けているので、載置部材100をキートップ板10に熱かしめによって取り付ける際のキートップ板10の支持を、キートップ板10の光放射部11の面ではなく、この治具支持部25,25において行うことができる。従って光放射部11の面を傷付けることを防止できる(光放射部11は電子機器の外部に露出する部分であり、これを傷付けることはできない)。
【0026】
次に図5に示すフレキシブルスイッチ基板170の第2基板部173を、第1基板部171の下面側に折り返して両者を重ね合わせ(矢印A2参照)、その際両スイッチ接点183,187を対向させ、同時に両係止部185,189を一致させ、これによって一対のスイッチ接点183,187をスペーサ層の厚みによって薄い間隔を介して対向させてなる押圧スイッチ(メンブレンスイッチ)150(図2,図3参照)とする。そして第2基板部173側の面を第1ケース40の基板載置部45上に載置し、その際基板載置部45の各基板取付部51を第1,第2基板部171,173の各係止部185,189に挿入し、各係止部185,189から突出する各基板取付部51の先端を熱かしめし、これによってフレキシブルスイッチ基板170の第1,第2基板部171,173(即ち押圧スイッチ150)を基板載置部45上に取り付ける。
【0027】
そして前記キートップ板10と載置部材100とを取り付けた載置部材取付部177を、第1基板部171上に折り返して設置し、その際キートップ板10を第1ケース40の第1キートップ収納部43内にその略半分の厚み分だけ上下動自在に収納する。図6はこのときのキートップ板10と載置部材100とフレキシブルスイッチ基板170の設置状態(第1ケース40の記載は省略)を示す要部正面図である。同図に示すようにキートップ取付部177はその根元部分が折り返されることで基板折返部193が形成され、またこのとき弾発部179もその上の載置部材100側に折り返すことでその先端部分を載置部材100の下面に当接する。これによって載置部材100を含むキートップ板10は基板折返部193の元の形状に戻ろうとする弾発力と、折り返した弾発部179の元の形状に戻ろうとする弾発力とによって上方向に弾発される。このとき発光部材130は載置部材100上に載置されており、載置部材100は発光部材130がキートップ板10の光入射部13(特にレンズ面19)に対向する位置においてキートップ板10に一体に取り付けられている。
【0028】
そして前記キートップ板10の露出している面側に第2ケース70を設置してその第2キートップ収納部73内にキートップ板10の露出している部分を収納し、同時に第1ケース40の両側辺42,42と第2ケース70の両側辺72,72とを接合し、その際第1ケース40の各取付部49を第2ケース70の各取付部79に挿入して各取付部49の先端を各取付用基部77の反対面側に突出する。同時に第1ケース40の基板載置部45の先端側の部分を第2ケース70の収納凹部78内に挿入して第1ケース40の各ケース取付部53を第2ケース70の各挿入取付部81に挿入し、各ケース取付部53の先端を収納部75の反対面側から突出する。そして各取付部49の先端と各ケース取付部53の先端とを熱かしめして固定し、これら各部材を一体化すれば照光型キートップ機構1−1が完成する。
【0029】
そして第1,第2ケース40,70の上面から露出するキートップ板10の光放射部11を押圧すれば、基板折返部193と弾発部179の弾発押上力に抗してキートップ板10は押し下げられ、押圧部103が押圧スイッチ150を押圧し、第1基板部171が押し下げられて両スイッチ接点183,187が当接しオンする。前記キートップ板10への押圧を解除すれば、前記基板折返部193と弾発部179の弾発押上力によってキートップ板10は元の位置に自動復帰し、押圧スイッチ150はオフする。
【0030】
一方発光部材130を駆動すると、図6及び図7に点線矢印で示すように、発光部材130から発射された光の多くは透明なキートップ板10の光入射部13の面、特にその多くはそのレンズ面19に広がるように入射される。レンズ面19からキートップ板10内に入射される光は、レンズ面19によって屈折されて光放射部11に向かって集光され、細長い光放射部11全面を略均一に照らし出す。キートップ板10には一対の治具支持部25が設けられているが、これら治具支持部25はキートップ板10のレンズ面19、即ち発光部材130の対向する部分の上部の左右両側に設けられているので、光入射部13から入射した光が光放射部11に向かう際の光の通路(導光路)から外れており、光の損失は殆ど生じない。特にこの実施形態においては、一対の治具支持部25の対向する側の辺に上方向に向かって広がる斜辺を設けたので、光の通路をより効果的に避けることができる。言い換えれば前記斜辺の角度は光の通過を阻害しない角度としている。
【0031】
この実施形態の場合、キートップ板10の全体形状を略平板状として細長形状の光放射部11及び細長形状の光入射部13を設ける形状としたので、第1,第2ケース40,70を含む照光型キートップ機構1−1全体の外形寸法の小型化(特に厚みの薄型化)が図れる。また光放射部11の厚みよりも光入射部13の厚みの方を厚くしたので、例え光放射部11の厚みを薄くしても、発光部材130から光入射部13に入射しようとする光の漏れを少なくできる。またこの実施形態においては、テーパ面17を用いて光入射部13の厚みを光放射部11の厚みより厚く形成しても、キートップ板10の光放射部11近傍部分と光入射部13近傍部分のそれぞれ厚み方向に垂直な両面を平行な面16a,16bに形成したので、このキートップ板10を第1,第2ケース40,70によって上下動自在にガイドした上でキートップ板10を上下動しても前記平行な面16a,16bにおいては第1,第2ケース40,70との間の隙間が変化することはなく、第1,第2ケース40,70によるキートップ板10の支持にがたつきが生じることはなく、確実な支持が行える。またこの実施形態においては、光入射部13表面にレンズ面19を設けたので、発光部材130からキートップ板10に入射する光を集光して光放射部11に向けることができ、効果的に、光の無駄なく均一に光放射部11を照光でき、またキートップ板10の上下方向の長さが長くても光放射部11に確実に光を到達させることができる。
【0032】
なお上記実施形態において、キートップ板10の一方の側辺の中間位置に樹脂注入跡部29と凹部27とを設けたのは以下の理由による。即ちキートップ板10の一方の側辺に樹脂注入跡部29を設けたのは、このキートップ板10を成形する際の金型のキャビティー内への樹脂注入口によって生じる樹脂注入跡部29が光の通路上に位置しないようにするためである。またキートップ板10を構成するアクリル樹脂は流動性が良いとは言えないので、キートップ板10の中間位置からキャビティー内に樹脂を注入することとし、これによってキートップ板10となるキャビティー内全体に容易に樹脂を流し込むようにするためでもある。また凹部27を設けたのは樹脂注入跡部29が第1,第2ケース40,70に触れないようにするためである。
【0033】
〔第2実施形態〕
図8は本発明の第2実施形態にかかる照光型キートップ機構1−2の斜視図、図9は照光型キートップ機構1−2の分解斜視図、図10は別の角度から見た照光型キートップ機構1−2の分解斜視図である。これらの図に示す照光型キートップ機構1−2において、前記図1〜図7に示す実施形態にかかる照光型キートップ機構1−1と同一又は相当部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、前記図1〜図7に示す実施形態と同じである。これらの図に示すように照光型キートップ機構1−2も、キートップ板10−2と、キートップ板10−2を上下動自在に覆う第1,第2ケース40−2,70と、キートップ板10−2に一体に取り付けられる載置部材100と、載置部材100上に設置される発光部材130と、載置部材100の下部に設置される押圧スイッチ150とを具備して構成されている。そしてこの照光型キートップ機構1−2において前記照光型キートップ機構1−1と相違する点は、キートップ板10−2の形状と、第1ケース40−2の形状のみであり、その他の各部品は前記照光型キートップ機構1−1と全く同一である。従って以下、キートップ板10−2と第1ケース40−2について説明する。
【0034】
図9,図10に示すようにキートップ板10−2は前記キートップ板10と同じ透光性材料からなり、その全体を略矩形の平板状に成形して構成され、またその一端面(上端面)を細長形状の光放射部11とし、他端面(下端面)を細長形状の光入射部13としている。光放射部11の直下の部分に移動防止部15を設けている点もキートップ板10と同じである。
【0035】
そしてこのキートップ板10−2において前記キートップ板10と相違する点は、テ−パ面17をキートップ板10−2の両面に設ける代わりに、一方の面のみに設けた点である。即ちキートップ板10−2の一方の面(第1ケース40側を向く厚み方向に垂直な面)16はその全体を平面状に形成し、他方の面(第2ケース70側を向く厚み方向に垂直な面)は光放射部11近傍部分の面16aと光入射部13近傍部分の面16bとを前記面16に対して平行な面にするとともにキートップ板10−2の光放射部11近傍部分と光入射部13近傍部分を連結する連結部分(即ち中間部分)の面を光放射部11から光入射部13側に向かって厚み方向に広がるテーパ面17に形成している。これによってこのキートップ板10−2においても光放射部11の厚みよりも光入射部13の厚みの方を厚く形成している。なおキートップ板10−2の光入射部13の表面中央にレンズ面19を設け、またレンズ面19の両側に取付基部21及び取付部23を設け、さらに一対の治具支持部25や凹部27や樹脂注入跡部29を形成する点は前記キートップ板10と同様である。
【0036】
図9,図10に示すように第1ケース40−2も、前記第1ケース40と同じ材質によって略平板矩形状に構成されており、第1ケース本体部41に両側辺42,42を設けることで第1キートップ収納部43を形成し、さらに第1ケース40−2の下端辺から基板載置部45を突出して構成されている。取付用基部47や取付部49や基板取付部51やケース取付部53を設ける構成も前記第1ケース40と同じである。そしてこの第1ケース40−2において前記第1ケース40と相違する点は、第1ケース本体部41にテーパ面55を設けず、第1ケース本体部41の面全体を平面状に形成した点である。そしてこの第1ケース本体部41の外側の面(第1キートップ収納部43を設ける面の反対側の面)を部材取付面57としている。そして例えばこの部材取付面57に両面接着シートなどを貼り付けることで接着層を形成し、この部材取付面57を図示しない電子機器本体ケースなどの取付面に接着することで取り付ける。
【0037】
つまりこの実施形態の場合、照光型キートップ機構1−2に他の部材取付用の取付面を設けるために、キートップ板10−2のテ−パ面17を一方の面のみに形成し、同時に第1,第2ケース40−2,70の内の一方(平面状としたキートップ板10−2の面16に対向する側の面)の第1ケース40−2のテーパ面をなくして平面状としたのである。なおキートップ板及びケースに設けるテーパ面は、何れの側の面であっても良い。
【0038】
なおこの照光型キートップ機構1−2の組立方法、動作、作用は前記照光型キートップ機構1−1と同様である。
【0039】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えばキートップ板は略平板状であれば、必ずしも矩形状でなくても良い。ケースの形状も種々の変形が可能である。ケースはこの照光型キートップ機構専用の独立したケースではなく、他の各種電子部品も取り付けるケース(例えば外装ケース)であっても良い。発光部材は必ずしも発光ダイオードのような素子でなく、例えば透明な材質からなる導光体の先端部分(光を放射する部分)であっても良い。またキートップ板は必ずしもテーパ面を用いて光放射部の厚みよりも光入射部の厚みの方を厚く形成する必要はなく、例えば階段状にその厚みを変えても良い。キートップ板に設ける治具支持部やレンズ面の形状、構造も種々の変形が可能である。
【0040】
また上記実施形態では治具支持部をキートップ板の左右両側に設けたが、一方のみに設けても良く、また3つ以上の複数箇所に設けても良い。治具支持部を設ける位置や形状も種々変更可能であり、キートップ板の左右両側辺又は一方の側辺を切り欠いて形成しても良い。また上記実施形態では押圧スイッチをメンブレンスイッチで構成したが、スイッチ接点上に弾性金属板をドーム形状に形成した反転板を設置してなる構造の押圧スイッチ等、他の各種構造の押圧スイッチであっても良い。押圧スイッチを設置する位置も各種の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】照光型キートップ機構1−1の斜視図である。
【図2】照光型キートップ機構1−1の分解斜視図である。
【図3】別の角度から見た照光型キートップ機構1−1の分解斜視図である。
【図4】キートップ板10を下方から見た斜視図である。
【図5】照光型キートップ機構1−1の組立方法説明図である。
【図6】照光型キートップ機構1−1の組立方法説明図である。
【図7】照光型キートップ機構1−1の要部概略縦断面図である。
【図8】照光型キートップ機構1−2の斜視図である。
【図9】照光型キートップ機構1−2の分解斜視図である。
【図10】別の角度から見た照光型キートップ機構1−2の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
1−1 照光型キートップ機構
10 キートップ板
11 光放射部
13 光入射部
16a,16b 平行な面
17 テーパ面
19 レンズ面
21 取付基部
23 取付部
25 治具支持部
40 第1ケース(ケース)
70 第2ケース(ケース)
100 載置部材
130 発光部材
150 押圧スイッチ
1−2 照光型キートップ機構
10−2 キートップ板
40−2 第1ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性材料からなり全体が略平板状であって一端面に細長形状の光放射部を設けると共に他端面に細長形状の光入射部を設けてなるキートップ板と、
前記キートップ板を上下動自在に覆うケースと、
前記キートップ板の光入射部に対向する位置に設置される発光部材と、を具備し、
前記キートップ板は光放射部の厚みよりも光入射部の厚みの方を厚く形成したことを特徴とする照光型キートップ機構。
【請求項2】
前記キートップ板の前記光放射部近傍部分と光入射部近傍部分のそれぞれ厚み方向に垂直な両面を平行な面に形成すると共に、
キートップ板の前記光放射部近傍部分と光入射部近傍部分を連結する連結部分の厚み方向に垂直な両面の内の少なくとも何れか一方の面を光放射部から光入射部側に向かって厚み方向に広がるテーパ面とすることにより、光放射部の厚みよりも光入射部の厚みの方を厚く形成したことを特徴とする請求項1に記載の照光型キートップ機構。
【請求項3】
前記発光部材を載置部材に載置するとともに、この載置部材を前記キートップ板の前記光入射部に対向する位置においてキートップ板に一体に取り付け、
且つ前記キートップ板には、前記キートップ板に前記載置部材を取り付ける際に治具を挿入してキートップ板を支持しておく治具支持部を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の照光型キートップ機構。
【請求項4】
前記キートップ板の光入射部表面に、発光部材から入射する光を集光するレンズ面を設けたことを特徴とする請求項1又は2又は3に記載の照光型キートップ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−282701(P2008−282701A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126340(P2007−126340)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】