照光式キーシート及び照光式キーシートの製造方法
【課題】 側面に非遮光部を有するとともに表示部の周囲が遮光されたキートップと、可撓性のあるベースシートとを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートについて、キートップに設けた表示部以外からの光漏れを抑え、表示部が明るく見易い照光式キーシートを得ること。
【解決手段】 キートップ13の底面縁13dに遮光層17を設けた。この遮光層17は、照光源からキートップ側面13bの非遮光部18aへ向かう直線とキートップ底面13cとが交差する領域を含んで形成した。
【解決手段】 キートップ13の底面縁13dに遮光層17を設けた。この遮光層17は、照光源からキートップ側面13bの非遮光部18aへ向かう直線とキートップ底面13cとが交差する領域を含んで形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDAなどの携帯情報端末、各種家庭用リモコンやカードリモコン、各種キーボードなどの電子・電気機器等に利用される押釦スイッチ用の照光式キーシートとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示す携帯電話機1やPDAなどの携帯情報端末、各種家庭用リモコンなどの押釦スイッチ2には、硬質樹脂でなる複数のキートップ3がゴム状弾性体でなるベースシート4に固着した図5や図6に示すキーシート5が用いられている。なかでも夜間や暗所においてキートップ3の表面に表された文字や記号等の表示部6を視認できるように、機器の内部に設けられた照光源からの発光により表示部6が照光するいわゆる文字照光タイプの照光式キーシート5がある。
【0003】
この照光式キーシート5は、図6に示すように、キートップ3の上面3aにおける表示部6以外の部分やキートップ3の側面3bに遮光層7を形成し、キートップ3を覆っている。そのため、図7で示すように、キートップ3の底面3cから入った光は、表示部6のみから照光し、表示部6以外からは光漏れしないようになっている。このような文字照光タイプの照光式キーシート5は、例えば特開2003−249139号公報(特許文献1)に記載されている。
【特許文献1】特開2003−249139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キートップ3の表示部6以外の部分に遮光層7を設けるには困難な問題がある。キートップ3は、透明なポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を成形して得られるため、キートップ3を射出成形する際に溶融樹脂の通り路となるランナー8がキートップ3の側面3bに設けられることが多い(図8)。このランナー8は、後に除去されて廃棄されるものであるが、ランナー8を残したままの状態で遮光層7を形成した方が、一度に複数のキートップ3に遮光層7を設けることができるため効率的である。すなわち、キートップ3の裏面3cと表示部6をマスキングし、ランナー8が付いた状態のまま樹脂液などに浸けたり、めっきしたりすることによって、マスキング部分を除く上面3aや側面3bに遮光層7を形成する(図9)。その後、図9で示した点線Vに沿ってランナー8の除去を行うが、ランナー8の除去面8aは樹脂材が剥き出しになる。そのため、ベースシート4の裏面に設けた照光源Fから光を当てると、ランナー8が付いていたキートップ3の側面部分(ランナー8の除去面8a)から光漏れを起こし(図10)、文字が視認しにくいという不都合が生じる照光式キーシート5になる。これを避けるためには、ランナー8を除去した後、その除去面8aを改めて遮光する必要がある。
【0005】
この問題を解決する方法として、図11で示すように、ランナー8をキートップ3の側面3bに設けるのではなく、キートップ3の底面3cに設ける方法が検討された。しかしながら、この方法では、金型の成型が困難で、またキートップ底面3cのマスキングも難しい。さらに、もし、ランナー8の除去が精度良く行われず、キートップ底面3cから突出した部分が残ると、キートップ3の押圧操作によってベースシート5が破損するおそれが生じる。そのため、この方法は多くの問題があり現実的に採用できる方法ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況下になされたものであり、その目的は、キートップに設けた表示部以外からの光漏れを抑え、表示部が明るく見易い照光式キーシートを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成すべく本発明は、側面に非遮光部を有するとともに表示部の周囲が遮光されたキートップと、可撓性のあるベースシートとを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートについて、キートップ底面縁に遮光層を設けたことを特徴とする照光式キーシートを提供する。
【0008】
表示部が照光するキートップとベースシートとを備えた照光式キーシートについて、側面に非遮光部を有し、表示部の周囲が遮光され、底面縁に遮光層を設けたキートップを用いているため、表示部が明るく見易い照光式キーシートである。すなわち、表示部を通じて照光する光はキートップ底面から入るが、キートップ側面の非遮光部に届くような光は予めキートップ底面縁に設けられた遮光層に遮られてキートップに入射しない。そのため、キートップ側面に非遮光部を有するキートップでありながら、キートップ底面縁の遮光層の存在によって、キートップ側面の非遮光部からの光漏れが抑制され、表示部が明るく見易いキートップとなり、高品質の照光式キーシートとなる。
【0009】
本発明は、キートップの底面縁に設けた遮光層が、照光源からキートップ側面の非遮光部へ向かう直線とキートップ底面とが交差する領域を含んで形成されたものである照光式キーシートとすることができる。
【0010】
キートップの底面縁に設けた遮光層が、照光源からキートップ側面の非遮光部へ向かう直線とキートップ底面とが交差する領域を含んで形成されたものとしたため、キートップ側面の非遮光部に届くような光をキートップ底面縁に設けた遮光層で予め入射させないことが可能である。そのため、キートップ側面の非遮光部からの光漏れが抑制され、表示部が明るく見易いキートップとなり、高品質の照光式キーシートとなる。
【0011】
本発明は、機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備える照光式キーシートとすることができる。機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備える照光式キーシートは、キートップの側面から照光すれば、仕切桟がないことから外部への光漏れが顕著となる。しかし、本発明はキートップの底面縁に遮光層を設けてキートップ側面の非遮光部からの光漏れを抑制したため、機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備えるものであっても、キートップ側面からの照光を抑制でき、表示部が明るく見易い高品質の照光式キーシートとすることができる。
【0012】
本発明はまた、キートップが、機器の筐体からの抜止めに機能するフランジの無いキートップである照光式キーシートとすることができる。機器の筐体からの抜止めに機能するフランジの無いキートップを備えた照光式キーシートは、筐体に仕切桟がない機器に用いられることが多く、キートップの側面から照光すれば外部に光漏れを起こし易い。しかし、本発明はキートップの底面縁に遮光層を設けてキートップ側面の非遮光部からの光漏れを抑制したため、フランジの無いキートップを備えるものであっても、表示部が明るく見易い高品質の照光式キーシートとすることができる。
【0013】
さらに本発明は、透光性のキートップを可撓性のあるベースシートに備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートの製造方法について、キートップの上面及び側面に遮光層を設けた後、キートップの側面に生じたランナーを除去する工程と、キートップ底面縁に遮光層を設ける工程と、を実行することを特徴とする照光式キーシートの製造方法を提供する。
【0014】
キートップの上面及び側面に遮光層を設けた後、キートップの側面に生じたランナーを除去する工程と、キートップ底面縁に遮光層を設ける工程とを実行するため、ランナーを除去した後のランナー除去面には遮光層が形成されないが、キートップ底面縁に遮光層が形成されたキートップを得ることができる。このキートップを備えたキーシートは、キートップ側面に非遮光部を有するキートップでありながら、キートップ底面縁の遮光層の存在によって、キートップ側面の非遮光部からの光漏れが抑制され表示部が明るく見易いキートップとなる。そのため、表示部以外の光漏れを抑制できる高品質の照光式キーシートとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の照光式キーシートおよび本発明の照光式キーシートの製造方法によれば、表示部以外からの光漏れを抑え、表示部が明るく見易い照光式キーシートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る照光式キーシート(以下「キーシート」ともいう)15は図4で示したような携帯電話機1、即ち、キートップ13の露出面に筐体1aの仕切桟のない携帯電話機1に用いられるキーシートであり、図5で示した照光式キーシート1と同様の外観形状を有している。このキーシート15の断面構造を図1に基づいて説明すると、キーシート15は、透光性のゴム状弾性体でなるベースシート14に透明な硬質樹脂製の複数のキートップ13が固着したものであって、表示部16を除くキートップ13の上面13aと、ランナー18の除去面18aを除くキートップ13aの側面13bとに遮光層17を有し、さらに、キートップ13の底面13cの縁(底面縁)13dにも遮光層17を有している。
【0017】
本実施形態の照光式キーシート15では、図2で示すように、プリント基板(図示せず)上のLEDなどの照光源Fから発光し、キートップ13の内部を通って表示部16から照光する。キートップ13の側面13b下端に生じるランナー18の除去面18aには遮光層17が設けられず非遮光部となっているが、キートップ13の底面縁13dに遮光層17が設けられているため、除去面18aからの光漏れを起こすような光の入射を予め遮断することができる。
【0018】
携帯電話機1と異なり、個々のキートップの間に仕切桟が設けられている携帯電話機では、キートップの側面から光漏れを起こしたとしても、仕切桟が光を遮断するため、照光性に与える影響はそれ程大きくはない。しかしながら、図4に示したような仕切桟のない携帯電話機1では、キートップ13の側面13bから光漏れを起こせば、直接外部に光漏れが生じ照光性に与える影響は大きい。そのため本発明は、仕切桟のない携帯電話機1に用いられるキーシートであり、特にフランジのないキートップ13を有するキーシートとして具現化される場合に効果的である。
【0019】
照光式キーシート15の製造は次のように行う。まず、ポリカーボネート、アクリル、ABS等の熱可塑性樹脂やエポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの透光性の樹脂を型成形してキートップ13となる成形体を製造する。樹脂の通り路となるランナー18は成形体に付いたままとしておく。次に、表示部16を形成する着色インキをキートップ13の上面13a全体に印刷し、さらにその表面に表示部16となる文字や記号に対応する形状のマスキングを行っておく。一方、キートップ13の底面13cにも、その縁13dを除いてマスキングを行っておく。そして、マスクした成形体を、必要によりABS樹脂液に浸して樹脂被膜を形成するなどした後、無電解めっきや電気めっきにてマスクした以外の部分に遮光層17を形成する。最後にランナー18を除去してキートップ13を得る。
【0020】
一方、予めシリコーンゴムなどの合成ゴムや熱可塑性エラストマーなどの透光性のゴム状弾性体と、硬質樹脂でなり遮光板としても機能する補強部材19とを一体成形してベースシート14も製造しておく。このベースシート14に透光性の接着材でキートップ13を固着して照光式キーシート15を得る。
【0021】
遮光層17は、LEDなどの照光源Fからの光をほとんど透過させない層であって、好ましくは可視光を9割以上透過しない層とする。上述のようにめっきによる金属層の他、顔料や金属粒子を樹脂に分散して得た遮光性塗料を塗布形成したり、予め遮光性の被膜が形成されているシートをキートップ成形型に配置してキートップ13と一体成形する方法などにより製造することもできる。また、キートップ13の底面13cへの遮光層17の形成を別途印刷で行うなど、適当な方法を組み合わせてキートップ各面の装飾層17を段階的に設けることも可能である。一方、表示部16は、レーザー加工などで遮光層17を削ることで形成することも可能である。
【0022】
キートップ13の底面縁13dに形成される遮光層17の位置や大きさは、ランナー除去面18aの大きさや照光式キーシート15の形状、照光源Fの位置などの種々の条件により変わってくるが、図3で示すように、照光源Fから除去面18aへ向かう直線Lとキートップ13の底面13cとが交差する領域Pを含んだ面に遮光層17を設けるものとすることができる。
【0023】
実施形態の変更例として、照光するキートップ13とともに照光しないキートップを有するキーシートを得る目的のために表示部16を形成しないキートップにも適用できる。そのため、表示部16を有するキートップ13と表示部16を有しないキートップの両者を備えたキーシートとすることができる。この場合は、表示部16を設けないキートップの上面の全体を遮光層17で覆う。
【0024】
図1では、キートップ13の側面13bの下端中央にランナー18が設けられたキートップ13を示したが、ランナー18の位置はキートップ13の側面13bの中央寄りに位置することもありうる。このように除去面18aの位置は変わりうるが、その場合はキートップ底面縁13dに設ける遮光層17を内側に拡げることにより適応可能である。
【0025】
キートップ13の底面縁13dに設けた遮光層17は、キートップ13の底面縁13d全体に及ぶ環状に形成したものから、ランナー18の除去面18aが存在する箇所に対応した底面縁13dの一部に形成したものであっても良い。
【0026】
図1では、透光性のゴム状弾性体と硬質樹脂でなる補強部材19とでなるベースシート14を例示したが、補強部材19のないベースシートを用いても良い。但し、照光源Fからベースシートを透過した後、キートップに入射せずにキーシートの外に漏れる光を減らすために、キートップと接しない部分は遮光性にしたベースシートを用いることが好ましい。また、ゴム状弾性体に遮光性の材料を用いるとともに、キートップへの光の入射を可能ならしめるため、ベースシートのキートップと接する面に開口を設け、キートップの底面縁でキートップとベースシートとが固着しするような構造としても良い。さらに、ベースシートは、ゴム状弾性体でなくとも可撓性がある材料が利用できるので、可撓性の樹脂フィルムにてベースシートを製造することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の照光式キーシートの図6相当の断面図。
【図2】発光状態を示す本発明のキーシートの模式断面図。
【図3】遮光層を設ける領域を示すキートップの模式断面図。
【図4】携帯電話機の外観斜視図。
【図5】従来の照光式キーシートの平面図。
【図6】図5のSA−SA線断面図。
【図7】発光状態を示す従来のキーシートの模式断面図。
【図8】ランナーの付いたキートップの外観斜視図。
【図9】図8の中央縦断面図。
【図10】発光状態を示す別の従来のキーシートの模式断面図。
【図11】図9に相当するさらに別の従来のキートップの断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 携帯電話機
1a 筐体
2 押釦スイッチ
3,13 キートップ
3a,13a 上面
3b,13b 側面
3c,13c 底面
13d 底面縁
4,14 ベースシート
5,15 照光式キーシート(キーシート)
6,16 表示部
7,17 遮光層
8,18 ランナー
8a,18a 除去面
9,19 補強部材
F 照光源(LED)
L 光線
P 領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機やPDAなどの携帯情報端末、各種家庭用リモコンやカードリモコン、各種キーボードなどの電子・電気機器等に利用される押釦スイッチ用の照光式キーシートとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図4に示す携帯電話機1やPDAなどの携帯情報端末、各種家庭用リモコンなどの押釦スイッチ2には、硬質樹脂でなる複数のキートップ3がゴム状弾性体でなるベースシート4に固着した図5や図6に示すキーシート5が用いられている。なかでも夜間や暗所においてキートップ3の表面に表された文字や記号等の表示部6を視認できるように、機器の内部に設けられた照光源からの発光により表示部6が照光するいわゆる文字照光タイプの照光式キーシート5がある。
【0003】
この照光式キーシート5は、図6に示すように、キートップ3の上面3aにおける表示部6以外の部分やキートップ3の側面3bに遮光層7を形成し、キートップ3を覆っている。そのため、図7で示すように、キートップ3の底面3cから入った光は、表示部6のみから照光し、表示部6以外からは光漏れしないようになっている。このような文字照光タイプの照光式キーシート5は、例えば特開2003−249139号公報(特許文献1)に記載されている。
【特許文献1】特開2003−249139号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キートップ3の表示部6以外の部分に遮光層7を設けるには困難な問題がある。キートップ3は、透明なポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を成形して得られるため、キートップ3を射出成形する際に溶融樹脂の通り路となるランナー8がキートップ3の側面3bに設けられることが多い(図8)。このランナー8は、後に除去されて廃棄されるものであるが、ランナー8を残したままの状態で遮光層7を形成した方が、一度に複数のキートップ3に遮光層7を設けることができるため効率的である。すなわち、キートップ3の裏面3cと表示部6をマスキングし、ランナー8が付いた状態のまま樹脂液などに浸けたり、めっきしたりすることによって、マスキング部分を除く上面3aや側面3bに遮光層7を形成する(図9)。その後、図9で示した点線Vに沿ってランナー8の除去を行うが、ランナー8の除去面8aは樹脂材が剥き出しになる。そのため、ベースシート4の裏面に設けた照光源Fから光を当てると、ランナー8が付いていたキートップ3の側面部分(ランナー8の除去面8a)から光漏れを起こし(図10)、文字が視認しにくいという不都合が生じる照光式キーシート5になる。これを避けるためには、ランナー8を除去した後、その除去面8aを改めて遮光する必要がある。
【0005】
この問題を解決する方法として、図11で示すように、ランナー8をキートップ3の側面3bに設けるのではなく、キートップ3の底面3cに設ける方法が検討された。しかしながら、この方法では、金型の成型が困難で、またキートップ底面3cのマスキングも難しい。さらに、もし、ランナー8の除去が精度良く行われず、キートップ底面3cから突出した部分が残ると、キートップ3の押圧操作によってベースシート5が破損するおそれが生じる。そのため、この方法は多くの問題があり現実的に採用できる方法ではなかった。
【0006】
本発明は、このような状況下になされたものであり、その目的は、キートップに設けた表示部以外からの光漏れを抑え、表示部が明るく見易い照光式キーシートを得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成すべく本発明は、側面に非遮光部を有するとともに表示部の周囲が遮光されたキートップと、可撓性のあるベースシートとを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートについて、キートップ底面縁に遮光層を設けたことを特徴とする照光式キーシートを提供する。
【0008】
表示部が照光するキートップとベースシートとを備えた照光式キーシートについて、側面に非遮光部を有し、表示部の周囲が遮光され、底面縁に遮光層を設けたキートップを用いているため、表示部が明るく見易い照光式キーシートである。すなわち、表示部を通じて照光する光はキートップ底面から入るが、キートップ側面の非遮光部に届くような光は予めキートップ底面縁に設けられた遮光層に遮られてキートップに入射しない。そのため、キートップ側面に非遮光部を有するキートップでありながら、キートップ底面縁の遮光層の存在によって、キートップ側面の非遮光部からの光漏れが抑制され、表示部が明るく見易いキートップとなり、高品質の照光式キーシートとなる。
【0009】
本発明は、キートップの底面縁に設けた遮光層が、照光源からキートップ側面の非遮光部へ向かう直線とキートップ底面とが交差する領域を含んで形成されたものである照光式キーシートとすることができる。
【0010】
キートップの底面縁に設けた遮光層が、照光源からキートップ側面の非遮光部へ向かう直線とキートップ底面とが交差する領域を含んで形成されたものとしたため、キートップ側面の非遮光部に届くような光をキートップ底面縁に設けた遮光層で予め入射させないことが可能である。そのため、キートップ側面の非遮光部からの光漏れが抑制され、表示部が明るく見易いキートップとなり、高品質の照光式キーシートとなる。
【0011】
本発明は、機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備える照光式キーシートとすることができる。機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備える照光式キーシートは、キートップの側面から照光すれば、仕切桟がないことから外部への光漏れが顕著となる。しかし、本発明はキートップの底面縁に遮光層を設けてキートップ側面の非遮光部からの光漏れを抑制したため、機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備えるものであっても、キートップ側面からの照光を抑制でき、表示部が明るく見易い高品質の照光式キーシートとすることができる。
【0012】
本発明はまた、キートップが、機器の筐体からの抜止めに機能するフランジの無いキートップである照光式キーシートとすることができる。機器の筐体からの抜止めに機能するフランジの無いキートップを備えた照光式キーシートは、筐体に仕切桟がない機器に用いられることが多く、キートップの側面から照光すれば外部に光漏れを起こし易い。しかし、本発明はキートップの底面縁に遮光層を設けてキートップ側面の非遮光部からの光漏れを抑制したため、フランジの無いキートップを備えるものであっても、表示部が明るく見易い高品質の照光式キーシートとすることができる。
【0013】
さらに本発明は、透光性のキートップを可撓性のあるベースシートに備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートの製造方法について、キートップの上面及び側面に遮光層を設けた後、キートップの側面に生じたランナーを除去する工程と、キートップ底面縁に遮光層を設ける工程と、を実行することを特徴とする照光式キーシートの製造方法を提供する。
【0014】
キートップの上面及び側面に遮光層を設けた後、キートップの側面に生じたランナーを除去する工程と、キートップ底面縁に遮光層を設ける工程とを実行するため、ランナーを除去した後のランナー除去面には遮光層が形成されないが、キートップ底面縁に遮光層が形成されたキートップを得ることができる。このキートップを備えたキーシートは、キートップ側面に非遮光部を有するキートップでありながら、キートップ底面縁の遮光層の存在によって、キートップ側面の非遮光部からの光漏れが抑制され表示部が明るく見易いキートップとなる。そのため、表示部以外の光漏れを抑制できる高品質の照光式キーシートとすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の照光式キーシートおよび本発明の照光式キーシートの製造方法によれば、表示部以外からの光漏れを抑え、表示部が明るく見易い照光式キーシートを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る照光式キーシート(以下「キーシート」ともいう)15は図4で示したような携帯電話機1、即ち、キートップ13の露出面に筐体1aの仕切桟のない携帯電話機1に用いられるキーシートであり、図5で示した照光式キーシート1と同様の外観形状を有している。このキーシート15の断面構造を図1に基づいて説明すると、キーシート15は、透光性のゴム状弾性体でなるベースシート14に透明な硬質樹脂製の複数のキートップ13が固着したものであって、表示部16を除くキートップ13の上面13aと、ランナー18の除去面18aを除くキートップ13aの側面13bとに遮光層17を有し、さらに、キートップ13の底面13cの縁(底面縁)13dにも遮光層17を有している。
【0017】
本実施形態の照光式キーシート15では、図2で示すように、プリント基板(図示せず)上のLEDなどの照光源Fから発光し、キートップ13の内部を通って表示部16から照光する。キートップ13の側面13b下端に生じるランナー18の除去面18aには遮光層17が設けられず非遮光部となっているが、キートップ13の底面縁13dに遮光層17が設けられているため、除去面18aからの光漏れを起こすような光の入射を予め遮断することができる。
【0018】
携帯電話機1と異なり、個々のキートップの間に仕切桟が設けられている携帯電話機では、キートップの側面から光漏れを起こしたとしても、仕切桟が光を遮断するため、照光性に与える影響はそれ程大きくはない。しかしながら、図4に示したような仕切桟のない携帯電話機1では、キートップ13の側面13bから光漏れを起こせば、直接外部に光漏れが生じ照光性に与える影響は大きい。そのため本発明は、仕切桟のない携帯電話機1に用いられるキーシートであり、特にフランジのないキートップ13を有するキーシートとして具現化される場合に効果的である。
【0019】
照光式キーシート15の製造は次のように行う。まず、ポリカーボネート、アクリル、ABS等の熱可塑性樹脂やエポキシ、シリコーン等の熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの透光性の樹脂を型成形してキートップ13となる成形体を製造する。樹脂の通り路となるランナー18は成形体に付いたままとしておく。次に、表示部16を形成する着色インキをキートップ13の上面13a全体に印刷し、さらにその表面に表示部16となる文字や記号に対応する形状のマスキングを行っておく。一方、キートップ13の底面13cにも、その縁13dを除いてマスキングを行っておく。そして、マスクした成形体を、必要によりABS樹脂液に浸して樹脂被膜を形成するなどした後、無電解めっきや電気めっきにてマスクした以外の部分に遮光層17を形成する。最後にランナー18を除去してキートップ13を得る。
【0020】
一方、予めシリコーンゴムなどの合成ゴムや熱可塑性エラストマーなどの透光性のゴム状弾性体と、硬質樹脂でなり遮光板としても機能する補強部材19とを一体成形してベースシート14も製造しておく。このベースシート14に透光性の接着材でキートップ13を固着して照光式キーシート15を得る。
【0021】
遮光層17は、LEDなどの照光源Fからの光をほとんど透過させない層であって、好ましくは可視光を9割以上透過しない層とする。上述のようにめっきによる金属層の他、顔料や金属粒子を樹脂に分散して得た遮光性塗料を塗布形成したり、予め遮光性の被膜が形成されているシートをキートップ成形型に配置してキートップ13と一体成形する方法などにより製造することもできる。また、キートップ13の底面13cへの遮光層17の形成を別途印刷で行うなど、適当な方法を組み合わせてキートップ各面の装飾層17を段階的に設けることも可能である。一方、表示部16は、レーザー加工などで遮光層17を削ることで形成することも可能である。
【0022】
キートップ13の底面縁13dに形成される遮光層17の位置や大きさは、ランナー除去面18aの大きさや照光式キーシート15の形状、照光源Fの位置などの種々の条件により変わってくるが、図3で示すように、照光源Fから除去面18aへ向かう直線Lとキートップ13の底面13cとが交差する領域Pを含んだ面に遮光層17を設けるものとすることができる。
【0023】
実施形態の変更例として、照光するキートップ13とともに照光しないキートップを有するキーシートを得る目的のために表示部16を形成しないキートップにも適用できる。そのため、表示部16を有するキートップ13と表示部16を有しないキートップの両者を備えたキーシートとすることができる。この場合は、表示部16を設けないキートップの上面の全体を遮光層17で覆う。
【0024】
図1では、キートップ13の側面13bの下端中央にランナー18が設けられたキートップ13を示したが、ランナー18の位置はキートップ13の側面13bの中央寄りに位置することもありうる。このように除去面18aの位置は変わりうるが、その場合はキートップ底面縁13dに設ける遮光層17を内側に拡げることにより適応可能である。
【0025】
キートップ13の底面縁13dに設けた遮光層17は、キートップ13の底面縁13d全体に及ぶ環状に形成したものから、ランナー18の除去面18aが存在する箇所に対応した底面縁13dの一部に形成したものであっても良い。
【0026】
図1では、透光性のゴム状弾性体と硬質樹脂でなる補強部材19とでなるベースシート14を例示したが、補強部材19のないベースシートを用いても良い。但し、照光源Fからベースシートを透過した後、キートップに入射せずにキーシートの外に漏れる光を減らすために、キートップと接しない部分は遮光性にしたベースシートを用いることが好ましい。また、ゴム状弾性体に遮光性の材料を用いるとともに、キートップへの光の入射を可能ならしめるため、ベースシートのキートップと接する面に開口を設け、キートップの底面縁でキートップとベースシートとが固着しするような構造としても良い。さらに、ベースシートは、ゴム状弾性体でなくとも可撓性がある材料が利用できるので、可撓性の樹脂フィルムにてベースシートを製造することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の照光式キーシートの図6相当の断面図。
【図2】発光状態を示す本発明のキーシートの模式断面図。
【図3】遮光層を設ける領域を示すキートップの模式断面図。
【図4】携帯電話機の外観斜視図。
【図5】従来の照光式キーシートの平面図。
【図6】図5のSA−SA線断面図。
【図7】発光状態を示す従来のキーシートの模式断面図。
【図8】ランナーの付いたキートップの外観斜視図。
【図9】図8の中央縦断面図。
【図10】発光状態を示す別の従来のキーシートの模式断面図。
【図11】図9に相当するさらに別の従来のキートップの断面図。
【符号の説明】
【0028】
1 携帯電話機
1a 筐体
2 押釦スイッチ
3,13 キートップ
3a,13a 上面
3b,13b 側面
3c,13c 底面
13d 底面縁
4,14 ベースシート
5,15 照光式キーシート(キーシート)
6,16 表示部
7,17 遮光層
8,18 ランナー
8a,18a 除去面
9,19 補強部材
F 照光源(LED)
L 光線
P 領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側面に非遮光部を有するとともに表示部の周囲が遮光されたキートップと、可撓性のあるベースシートとを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートにおいて、
キートップ底面縁に遮光層を設けたことを特徴とする照光式キーシート。
【請求項2】
キートップの底面縁に設けた遮光層が、照光源からキートップ側面の非遮光部へ向かう直線とキートップ底面とが交差する領域を含んで形成されたものである請求項1記載の照光式キーシート。
【請求項3】
機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備える請求項1または請求項2記載の照光式キーシート。
【請求項4】
キートップが、機器の筐体からの抜止めに機能するフランジの無いキートップである請求項1〜請求項3何れか1項記載の照光式キーシート。
【請求項5】
透光性のキートップを可撓性のあるベースシートに備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートの製造方法において、
キートップの上面及び側面に遮光層を設けた後、キートップの側面に生じたランナーを除去する工程と、
キートップ底面縁に遮光層を設ける工程と、
を実行することを特徴とする照光式キーシートの製造方法。
【請求項1】
側面に非遮光部を有するとともに表示部の周囲が遮光されたキートップと、可撓性のあるベースシートとを備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートにおいて、
キートップ底面縁に遮光層を設けたことを特徴とする照光式キーシート。
【請求項2】
キートップの底面縁に設けた遮光層が、照光源からキートップ側面の非遮光部へ向かう直線とキートップ底面とが交差する領域を含んで形成されたものである請求項1記載の照光式キーシート。
【請求項3】
機器の筐体に形成した仕切桟の無い操作開口から露出させる複数のキートップを備える請求項1または請求項2記載の照光式キーシート。
【請求項4】
キートップが、機器の筐体からの抜止めに機能するフランジの無いキートップである請求項1〜請求項3何れか1項記載の照光式キーシート。
【請求項5】
透光性のキートップを可撓性のあるベースシートに備え、ベースシートの裏面に臨ませる照光源の発光により表示部が照光する照光式キーシートの製造方法において、
キートップの上面及び側面に遮光層を設けた後、キートップの側面に生じたランナーを除去する工程と、
キートップ底面縁に遮光層を設ける工程と、
を実行することを特徴とする照光式キーシートの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−185700(P2006−185700A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−376868(P2004−376868)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000237020)ポリマテック株式会社 (234)
【Fターム(参考)】
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