説明

照射ユニット、光学式検出装置及び情報処理システム

【課題】従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することができる照射ユニット、光学式検出装置及び情報処理システム等を提供すること。
【解決手段】照射ユニットEUは、第1の光源光を出射する第1の光源部LS1と、第2の光源光を出射する第2の光源部LS2と、第1の光源光が入射される第1の入射部LA1と、第2の光源光が入射される第2の入射部LA2と、第1の入射部LA1と第2の入射部LA2との間に設けられる湾曲した出射部LBとを有するライトガイドとを含む。出射部LBは、第1、第2の入射部LA1、LA2と交差する第1の仮想面SF1に第1の端縁AR1を有し、第1、第2の入射部LA1、LA2と交差し、且つ、第1の仮想面SF1と交差する第2の仮想面SF2に第2の端縁AR2を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照射ユニット、光学式検出装置及び情報処理システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、パーソナルコンピューター、カーナビゲーション装置、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、表示部の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付きの表示装置が用いられる。この表示装置によれば、ユーザーは、表示部に表示された画像を参照しながら、表示画像のアイコン等をポインティングすることで、情報を入力することなどが可能になる。このような表示装置における位置検出方式としては、例えば、表示エリアに沿ってライトガイドを設け、複数の光源からライトガイドを介して照射光を照射し、対象物で反射した照射光を受光部で検出する方式が特許文献1に開示されている。このような構成の光学式位置検出装置では、受光部での受光結果に基づいて対象物の位置を検出する。
【0003】
一方、上述の特許文献1に開示される方式では、表示エリアと同等の大きさのライトガイドが必要となる。従って、投写型表示装置(プロジェクター)やデジタルサイネージ用の表示装置では、携帯電話やパーソナルコンピューターの表示装置に比べて、その表示エリアが広いために、上述の特許文献1に開示される方式を用いた位置検出を実現することは難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の幾つかの態様によれば、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することができる照射ユニット、光学式検出装置及び情報処理システム等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、第1の光源光を出射する第1の光源部と、第2の光源光を出射する第2の光源部と、前記第1の光源光が入射される第1の入射部と、前記第2の光源光が入射される第2の入射部と、前記第1の入射部と前記第2の入射部との間に設けられる湾曲した出射部とを有するライトガイドとを含み、前記出射部は、前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差する第1の仮想面に第1の端縁を有し、前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差し、且つ、前記第1の仮想面と交差する第2の仮想面に第2の端縁を有する照射ユニットに関係する。
【0007】
本発明の一態様によれば、第1の光源光及び第2の光源光に基づいて、第1の仮想面と第2の仮想面とに挟まれた領域に放射状に照射光を出射することができる。
【0008】
また本発明の一態様では、第1の入射部の幅をW1とし、前記出射部の中央部における前記出射部の幅をWAとし、前記第2の入射部の幅をW2とした場合に、WA>2×W1、且つ、WA>2×W2であってもよい。
【0009】
このようにすれば、出射部の中央部の幅を入射部の幅より十分に広くすることができるから、出射部の中央部から広い角度範囲で照射光を出射することができる。その結果、広い範囲で照射光強度分布を形成することが可能になる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記第1の光源部は、第1の発光素子を有し、前記第2の光源部は、第2の発光素子を有し、前記第1の発光素子の光軸方向である第1の光軸方向は、前記第1の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第1の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、前記第2の発光素子の光軸方向である第2の光軸方向は、前記第2の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第2の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定されてもよい。
【0011】
このようにすれば、第1の発光素子から出射される光源光は、第1の仮想面に近い光軸方向に対して強度が高くなる。また第2の発光素子から出射される光源光は、第1の仮想面に近い光軸方向に対して強度が高くなる。その結果、第1の仮想面上では照射光の強度が高くなり、第1の仮想面から第2の仮想面に向かって照射光の強度が低くなる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記第1の発光素子の光軸方向である前記第1の光軸方向は、前記第1の仮想面に沿って設定され、前記第2の発光素子の光軸方向である前記第2の光軸方向は、前記第1の仮想面に沿って設定されてもよい。
【0013】
このようにすれば、第1の発光素子から出射される光源光は、第1の仮想面に沿った方向に対して強度が高くなる。また第2の発光素子から出射される光源光は、第1の仮想面に沿った方向に対して強度が高くなる。その結果、第1の仮想面上では照射光の強度が高くなり、第1の仮想面から第2の仮想面に向かって照射光の強度が低くなる。
【0014】
また本発明の一態様では、前記ライトガイドは、前記第1の仮想面上では出光効率が高く、前記第1の仮想面から前記第2の仮想面に向かって前記出光効率が低くなる出光特性を有してもよい。
【0015】
このようにすれば、ライトガイドの出光効率が高いほど出射される照射光の強度が高くなるから、第1の仮想面上では照射光の強度が高くなり、第1の仮想面から第2の仮想面に向かって照射光の強度が低くなる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記ライトガイドから出射される前記照射光の照射方向を規定する照射方向設定部を含み、前記照射方向設定部は、前記第1の仮想面上では出光効率が高く、前記第1の仮想面から前記第2の仮想面に向かって前記出光効率が低くなる出光特性を有してもよい。
【0017】
このようにすれば、照射方向設定部の出光効率が高いほど出射される照射光の強度が高くなるから、第1の仮想面上では照射光の強度が高くなり、第1の仮想面から第2の仮想面に向かって照射光の強度が低くなる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記第1の光源部は、前記第1の光源部用の第1の発光素子及び前記第1の光源部用の第2の発光素子を有し、前記第2の光源部は、前記第2の光源部用の第3の発光素子及び前記第2の光源部用の第4の発光素子を有し、前記第1の発光素子の光軸方向である第1の光軸方向は、前記第1の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第1の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、前記第2の発光素子の光軸方向である第2の光軸方向は、前記第2の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度が、前記第2の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、前記第3の発光素子の光軸方向である第3の光軸方向は、前記第3の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第3の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、前記第4の発光素子の光軸方向である第4の光軸方向は、前記第4の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度が、前記第4の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定されてもよい。
【0019】
このようにすれば、第1の発光素子又は第3の発光素子の光量に基づいて第1の仮想面上の照射光の強度が規定され、第2の発光素子又は第4の発光素子の光量に基づいて第2の仮想面上の照射光の強度が規定される。
【0020】
また本発明の一態様では、前記第1の発光素子の光量は、前記第2の発光素子の光量より大きく設定され、前記第3の発光素子の光量は、前記第4の発光素子の光量より大きく設定されてもよい。
【0021】
このようにすれば、光量が大きいほど照射光の強度が高くなるから、第1の仮想面上では照射光の強度が高くなり、第1の仮想面から第2の仮想面に向かって照射光の強度が低くなる。
【0022】
また本発明の一態様では、前記第1の光源部と前記第2の光源部とは、交互に発光してもよい。
【0023】
このようにすれば、第1の光源部が発光することによる照射光の強度分布と、第2の光源部が発光することによる照射光の強度分布とを形成することができる。
【0024】
また本発明の一態様では、前記第1の光源部が発光する期間に、前記第1の光源部が前記第1の光源光を出射することで、第1の照射光強度分布を形成し、前記第2の光源部が発光する期間に、前記第2の光源部が前記第2の光源光を出射することで、前記第1の照射強度分布とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布を形成してもよい。
【0025】
このようにすれば、強度分布が異なる2つの照射光強度分布を交互に形成することができる。
【0026】
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の照射ユニットと、前記照射ユニットから出射した照射光が検出エリアに存在する対象物により反射されることによる反射光を受光する受光部と、前記受光部の受光結果に基づいて、少なくとも前記対象物の位置する方向を検出する検出部とを含む光学式検出装置に関係する。
【0027】
本発明の他の態様によれば、広い範囲で照射光強度分布を形成することができるから、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することなどが可能になる。
【0028】
本発明の他の態様は、第1の光源光を出射する第1の光源部と、第2の光源光を出射する第2の光源部と、前記第1の光源光が入射される第1の入射部と、前記第2の光源光が入射される第2の入射部と、前記第1の入射部と前記第2の入射部との間に設けられる湾曲した出射部とを有するライトガイドと、前記出射部から出射した照射光が検出エリアに存在する対象物により反射されることによる反射光を受光する受光部と、前記受光部の受光結果に基づいて、少なくとも前記対象物の位置する方向を検出する検出部とを含み、前記出射部は、前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差する第1の仮想面に第1の端縁を有し、前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差し、且つ、前記第1の仮想面と交差する第2の仮想面に第2の端縁を有する光学式検出装置に関係する。
【0029】
本発明の他の態様によれば、第1の光源光及び第2の光源光に基づいて、第1の仮想面と第2の仮想面とに挟まれた領域に放射状に照射光を出射することができるから、広い範囲に照射光強度分布を形成することができる。その結果、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することなどが可能になる。
【0030】
本発明の他の態様は、上記いずれかに記載の光学式検出装置と、前記光学式検出装置からの検出情報に基づいて処理を行う情報処理装置と、前記情報処理装置からの画像データに基づいて画像を表示する表示装置とを含む情報処理システムに関係する。
【0031】
本発明の他の態様によれば、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することができるから、例えば投射型表示装置やデジタルサイネージ用の表示装置のように表示エリアが広い場合であっても、従来よりも小型な構成でポインティング等による情報入力などが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1(A)、図1(B)は、照射ユニットの基本的な構成例。
【図2】図2(A)〜図2(C)は、照射ユニットによる照射光の強度分布を説明する図。
【図3】図3(A)、図3(B)は、照射ユニットの第1の構成例及びその変形例。
【図4】図4(A)、図4(B)は、照射ユニットの第2の構成例。
【図5】照射ユニットの第3の構成例。
【図6】図6(A)、図6(B)は、照射ユニットの第4の構成例及びその変形例。
【図7】照射ユニットの詳細な構成例。
【図8】図8(A)、図8(B)は、照射ユニットを含む光学式検出装置の基本的な構成例。
【図9】図9(A)、図9(B)は、情報処理システムの構成例。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0034】
1.照射ユニット
図1(A)、図1(B)に、本実施形態の照射ユニットの基本的な構成例を示す。本実施形態の照射ユニットEUは、ライトガイドLG及び第1、第2の光源部LS1、LS2を含む。本実施形態の照射ユニットEUは、後述する光学式検出装置の照射光を出射するための照射ユニットとして用いることができる。なお、本実施形態の照射ユニットEUは、図1(A)、図1(B)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0035】
第1の光源部LS1は、ライトガイドLGの第1の入射部LA1に第1の光源光を出射し、第2の光源部LS2は、ライトガイドLGの第2の入射部LA2に第2の光源光を出射する。第1、第2の光源部LS1、LS2は、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有し、例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。第1の光源光に基づいて第1の照射光LT1が、また第2の光源光に基づいて第2の照射光LT2が照射ユニットEUからそれぞれ照射される。後述するように、これら2つの照射光LT1、LT2は異なる強度分布を有する。
【0036】
ライトガイドLG(導光部材)は、第1、第2の光源部LS1、LS2が出射した光源光を導光するものである。図1(A)に示すように、ライトガイドLGは、第1の光源光が入射される第1の入射部LA1と、第2の光源光が入射される第2の入射部LA2と、第1の入射部LA1と第2の入射部LA2との間に設けられる湾曲した出射部LBとを有する。
【0037】
出射部LBは、第1、第2の入射部LA1、LA2と交差する第1の仮想面SF1に第1の端縁AR1を有する。また、第1、第2の入射部LA1、LA2と交差し、且つ、第1の仮想面SF1と交差する第2の仮想面SF2に第2の端縁AR2を有する。
【0038】
すなわち、出射部LBは、第1の入射部LA1と第2の入射部LA2とを結ぶ第1の端縁AR1(第1の曲線、第1の円弧線)と、第1の入射部LA1と第2の入射部LA2とを結ぶ第2の端縁AR2(第2の曲線、第2の円弧線)と、により規定される曲面によって構成される。
【0039】
ここで第1、第2の仮想面SF1、SF2は、出射部LBの形状を規定するための仮想的な面であって、ライトガイドLGを構成する面(構成要素としての面)ではない。
【0040】
さらに、出射部LBの中央部における出射部LBの幅は、第1、第2の入射部LA1、LA2の幅よりも広い。具体的には、第1の入射部LA1の幅をW1とし、出射部LBの中央部における出射部LBの幅をWAとし、第2の入射部LA2の幅をW2とした場合に、WA>2×W1、且つ、WA>2×W2であってもよい。
【0041】
ここで出射部LBの幅とは、第1の端縁AR1及び第2の端縁AR2に直交する直線において、その直線と第1の端縁AR1との交点をP1とし、その直線と第2の端縁AR2との交点をP2とした場合に、交点P1と交点P2との間の距離である。
【0042】
図示していないが、本実施形態の照射ユニットEUは照射方向設定部LEを含み、この照射方向設定部LEによって、ライトガイドLGの内周側から外周側へと向かう方向に照射方向が設定される。こうすることで、ライトガイドLGにより導光された光源光が、ライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向に、照射光LTとして放射状に出射される。なお、照射ユニットEUの詳細な構成例については、後述する。
【0043】
以下の説明のために、図1(A)に示すように、第1、第2、第3の座標軸方向D1、D2、D3を定義しておく。すなわち、第1の光源部LS1から第2の光源部LS2へ向かう方向を第2の座標軸方向D2とし、第2の座標軸方向D2に垂直で第1の端縁AR1を含む面(第1の仮想面)に沿ってライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向を第1の座標軸方向D1とする。そして第1、第2の座標軸方向D1、D2に垂直な方向を第3の座標軸方向D3とする。
【0044】
第3の座標軸方向D3を上方向とした場合には、第1の端縁AR1は下端縁であり、第2の端縁AR2は上端縁となる。
【0045】
図2(A)〜図2(C)は、本実施形態の照射ユニットEUによる照射光の強度分布を説明する図である。
【0046】
図2(A)は、照射ユニットEUを第3の座標軸方向D3から見た図である。図2(A)には、第1の光源部LS1からの光源光により出射される照射光LT1と、第2の光源部LS2からの光源光により出射される照射光LT2を示す。
【0047】
第1の光源部LS1による照射光LT1は、ライトガイドLGの一端側(第1の入射部LA1が設けられる側)で強度(放射強度、光度)が高くなり、他端側で強度が低くなる。一方、第2の光源部LS2による照射光LT2は、ライトガイドLGの他端側(第2の入射部LA2が設けられる側)で強度が高くなり、一端側で強度が低くなる。
【0048】
このように、光源部LS1、LS2を交互に点灯させることで、2つの照射光強度分布LID1、LID2を交互に形成することができる。すなわち第1の光源部LS1が発光する期間には、ライトガイドLGの一端側の強度(放射強度、光度)が高くなる第1の照射光強度分布LID1を形成し、第2の光源部LS2が発光する期間には、ライトガイドLGの他端側の強度が高くなる第2の照射光強度分布LID2を形成することができる。
【0049】
図2(B)は、照射ユニットEUを第1の座標軸方向D1から見た図である。出射部LBは、第1の仮想面SF1上で第1の光源部LS1と第2の光源部LS2とを結ぶ第1の端縁AR1と、第2の仮想面SF2上で第1の光源部LS1と第2の光源部LS2とを結ぶ第2の端縁AR2と、により規定される曲面によって構成される。
【0050】
図2(C)は、照射ユニットEUを第2の座標軸方向D2から見た図である。第1の光源部LS1による照射光LT1は、第1の仮想面SF1上では強度が高くなり(図2(C)のLT1−S1)、第2の仮想面SF2上では強度が低くなる(図2(C)のLT1−S2)。また第2の光源部LS2による照射光LT2についても、同様である(図2(C)のLT2−S1、LT2−S2)。
【0051】
このように、本実施形態の照射ユニットEUによれば、光源部LS1、LS2を交互に点灯させることで、第1、第2の照射光強度分布LID1、LID2を交互に形成することができる。これらの照射光強度分布LID1、LID2は、3次元的な強度分布である。例えば第1の照射光強度分布LID1は、ライトガイドLGの一端側の強度が高く、他端側の強度が低くなり、且つ、第1の仮想面SF1上で強度が高く、第2の仮想面SF2上で強度が低くなる分布である。また、第2の照射光強度分布LID2は、ライトガイドLGの一端側の強度が低く、他端側の強度が高くなり、且つ、第1の仮想面SF1上で強度が高く、第2の仮想面SF2上で強度が低くなる分布である。また第1の仮想面SF1と第2の仮想面SF2との間の中間の領域における強度は、第1の強度(例えばLT1−S1)と第2の強度(例えばLT1−S2)との間の中間の強度である。
【0052】
図3(A)、図3(B)に、本実施形態の照射ユニットEUの第1の構成例及びその変形例を示す。
【0053】
図3(A)の第1の構成例では、第1の光源部LS1は第1の発光素子LD1を有し、第2の光源部LS2は第2の発光素子LD2を有する。第1の発光素子LD1の光軸方向AX1は、第1の発光素子LD1の光軸方向AX1と第1の仮想面SF1との成す角(図3(A)のθ1)が、第1の発光素子LD1の光軸方向AX1と第2の仮想面SF2との成す角(図3(A)のθ2)より小さくなる方向に設定される。同様に、第2の発光素子LD2の光軸方向AX2は、第2の発光素子LD2の光軸方向AX2と第1の仮想面SF1との成す角が、第2の発光素子LD2の光軸方向AX2と第2の仮想面SF2との成す角より小さくなる方向に設定される。すなわち、第1、第2の発光素子LD1、LD2の光軸方向AX1、AX2は、第1の仮想面SF1により近くなるようにそれぞれ設定される。
【0054】
このようにすることで、第1、第2の発光素子LD1、LD2から出射される光源光は、第1の仮想面SF1に近い光軸方向に対して強度(放射強度、光度)が高くなる。その結果、照射ユニットEUから出射される照射光LT1、LT2は、第1の仮想面SF1上での強度が高くなり、第2の仮想面SF2に向かって強度が低くなる。
【0055】
図3(B)の変形例では、図3(A)の構成例と同じく、第1の光源部LS1は第1の発光素子LD1を有し、第2の光源部LS2は第2の発光素子LD2を有する。そして第1、第2の発光素子LD1、LD2の光軸方向AX1、AX2は、第1の仮想面SF1に沿ってそれぞれ設定される。
【0056】
このようにすることで、第1、第2の発光素子LD1、LD2から出射される光源光は、第1の仮想面SF1上で強度(放射強度、光度)が高くなる。その結果、照射ユニットEUから出射される照射光LT1、LT2は、第1の仮想面SF1上での強度が高くなり、第2の仮想面SF2に向かって強度が低くなる。
【0057】
図4(A)、図4(B)に、本実施形態の照射ユニットEUの第2の構成例を示す。第2の構成例では、ライトガイドLGは、第1の仮想面SF1上(第1の端縁AR1側)では出光効率が高く、第1の仮想面SF1(第1の端縁AR1)から第2の仮想面SF2(第2の端縁AR2)に向かって出光効率が低くなる出光特性を有する。
【0058】
ライトガイドLGの外周側及び内周側の少なくとも一方には、ライトガイドLGからの光源光の出光効率を調整するための加工が施されている。加工手法としては、例えば図4(A)に示すように、スタンパーやインジェクションでドットパターンDPを形成する手法がある。ライトガイドLGにより導光された光源光は、ドットパターンDPにより反射・屈折されて、ライトガイドLGの外周方向に向かって出射する。このドットパターンDPの密度を変化させることで、ライトガイドLGの出光効率を変化させることができる。
【0059】
具体的には、図4(B)に示すように、第1の端縁AR1に向かってドットパターンDPの密度を高くし、第2の端縁AR2に向かってドットパターンDPの密度を低くする。こうすることで、図4(A)に示すように、第1の端縁AR1の近くでは、ドットパターンDPの密度が高いから、ドットパターンDPで反射・屈折してライトガイドLGから出射される出光効率が高くなる。逆に、第2の端縁AR2の近くでは、ドットパターンDPの密度が低いから、ライトガイドLGの出光効率は低くなる。その結果、照射ユニットEUから出射される照射光LT1、LT2は、第1の仮想面SF1(第1の端縁AR1に沿う側)での強度が高くなり(例えば図4(A)のLT1−S1)、第2の仮想面SF2(第2の端縁AR2に沿う側)での強度が低くなる(例えば図4(A)のLT1−S2)。また第1の仮想面SF1と第2の仮想面SF2との間の中間の領域における強度は、第1の強度(例えばLT1−S1)と第2の強度(例えばLT1−S2)との間の中間の強度である。
【0060】
なお、図4(A)、図4(B)では、ドットパターンDPを設ける手法を示しているが、他の手法、例えばライトガイドLGに溝(プリズムパターン)を設ける手法を用いることもできる。また、これらのパターンをライトガイドLGの外周側(照射光が出射される側)に設けてもよい。
【0061】
図5に、本実施形態の照射ユニットEUの第3の構成例を示す。第3の構成例では、照射ユニットEUはライトガイドLGから出射される照射光LTの照射方向を規定する照射方向設定部LEを含み、照射方向設定部LEは、第1の仮想面SF1上では出光効率が高く、第1の仮想面SF1から第2の仮想面SF2に向かって出光効率が低くなる出光特性を有する。
【0062】
具体的には、例えば照射方向設定部LEにグラデーションフィルムGFを設けることで、上記の出光特性を得ることができる。このグラデーションフィルムGFは、透過率の勾配を有するフィルムであって、第1の端縁AR1に沿う側では透過率が高く、第2の端縁AR2に沿う側に向かって透過率が低くなる。こうすることで、照射ユニットEUから出射される照射光LT1、LT2は、第1の仮想面SF1上での強度が高くなり、第2の仮想面SF2に向かって強度が低くなる。
【0063】
なお、グラデーションフィルムGFは、後述する照射方向設定部LE(図8)に含まれるプリズムシートPSとルーバーフィルムLFとの間に設けてもよいし、或いはルーバーフィルムLFの外周側に設けてもよい。
【0064】
図6(A)、図6(B)に、本実施形態の照射ユニットEUの第4の構成例及びその変形例を示す。図6(A)に示す第4の構成例では、第1の光源部LS1は、第1の光源部用の第1の発光素子LD1LS1及び第1の光源部用の第2の発光素子LD2LS1を含む。また、図示していないが、第2の光源部LS2は、第2の光源部用の第3の発光素子LD3LS2及び第2の光源部用の第4の発光素子LD4LS2を含む。
【0065】
第1の発光素子LD1LS1の光軸方向である第1の光軸方向LSE1は、第1の光軸方向LSE1と第1の仮想面SF1との成す角度が、第1の光軸方向LSE1と第2の仮想面SF2との成す角度よりも小さくなる方向に設定される。そして、第2の発光素子LD2LS1の光軸方向である第2の光軸方向LSE2は、第2の光軸方向LSE2と第2の仮想面SF2との成す角度が、第2の光軸方向LSE2と第1の仮想面SF1との成す角度よりも小さくなる方向に設定される。また第1の発光素子LD1LS1の光量(明るさ、全光束)は、第2の発光素子LD2LS1の光量より大きく設定される。
【0066】
図6(A)では、例えば第1の発光素子LD1LS1の光軸方向及び光量をベクトルLSE1で示し、第2の発光素子LD2LS1の光軸方向及び光量をベクトルLSE2で示す。発光素子の光量(明るさ、全光束)は発光素子に流れる電流(発光電流)に比例するから、LD1LS1に流れる電流をLD2LS1に流れる電流より大きく設定することで、上記のように光量を設定することができる。
【0067】
同様に、第3の発光素子LD3LS2の光軸方向である第3の光軸方向は、第3の光軸方向と第1の仮想面SF1との成す角度が、第3の光軸方向と第2の仮想面SF2との成す角度よりも小さくなる方向に設定される。そして、第4の発光素子LD4LS2の光軸方向である第4の光軸方向は、第4の光軸方向と第2の仮想面SF2との成す角度が、第4の光軸方向と第1の仮想面SF1との成す角度よりも小さくなる方向に設定される。また、第3の発光素子LD3LS2の光量(明るさ、全光束)は、第4の発光素子LD4LS2の光量より大きく設定される。
【0068】
このようにすることで、第1の仮想面SF1上で強度が高くなり、第2の仮想面SF2に向かって強度が低くなる照射光強度分布を得ることができる。
【0069】
図6(B)に示す変形例では、第1の光源部LS1は、第1の光源部用の第5の発光素子LD5LS1をさらに含む。第5の発光素子LD5LS1の光軸方向は、第1の仮想面SF1と第2の仮想面SF2との中間の方向に設定される。また第5の発光素子LD5LS1の光量(明るさ、全光束)は、第1の発光素子LD1LS1の光量と第2の発光素子LD2LS1の光量との中間の光量に設定される。図6(B)では、例えば第5の発光素子LD5LS1の光軸方向及び光量をベクトルLSE5で示す。
【0070】
同様に、第2の光源部LS2は、第2の光源部用の第6の発光素子LD6LS2をさらに含む。第6の発光素子LD6LS2の光軸方向は、第1の仮想面SF1と第2の仮想面SF2との中間の方向に設定される。また第6の発光素子LD6LS2の光量(明るさ、全光束)は、第3の発光素子LD3LS2の光量と第4の発光素子LD4LS2の光量との中間の光量に設定される。
【0071】
このようにすることで、第1の仮想面SF1上で強度が高くなり、第2の仮想面SF2に向かって強度が低くなる照射光強度分布を得ることができる。さらにこの変形例では、各光源部に3個の発光素子を設けることで、第1の仮想面SF1から第2の仮想面SF2に向かって、照射光強度の滑らかな勾配を得ることが可能になる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態の照射ユニットEUによれば、光源部LS1、LS2を交互に点灯させることで、2つの異なる照射光強度分布(第1、第2の照射光強度分布LID1、LID2)を交互に形成することができる。これらの照射光強度分布LID1、LID2は、3次元的な強度分布であって、例えば第1の照射光強度分布LID1は、ライトガイドLGの一端側(第1の入射部LA1側)の強度が高く、他端側(第2の入射部LA2側)に向かって強度が低くなり、且つ、第1の仮想面SF1上で強度が高く、第2の仮想面SF2に向かって強度が低くなる分布である。
【0073】
図7に、本実施形態の照射ユニットEUの詳細な構成例を示す。図7の構成例の照射ユニットEUは、光源部LS1、LS2と、ライトガイドLGと、照射方向設定部LEを含む。また反射シートRSを含む。そして照射方向設定部LEはプリズムシートPS及びルーバーフィルムLFを含む。なお、本実施形態の照射ユニットEUは、図7の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0074】
光源部LS1、LS2は、光源光を出射するものであり、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有する。この光源部LS1、LS2は例えば赤外光(可視光領域に近い近赤外線)の光源光を放出する。即ち、光源部LS1、LS2が発光する光源光は、ユーザーの指やタッチペン等の対象物により効率的に反射される波長帯域の光や、外乱光となる環境光にあまり含まれない波長帯域の光であることが望ましい。具体的には、人体の表面での反射率が高い波長帯域の光である850nm付近の波長の赤外光や、環境光にあまり含まれない波長帯域の光である950nm付近の赤外光などである。
【0075】
光源部LS1は、図7のF1に示すようライトガイドLGの一端側に設けられる。また第2の光源部LS2は、F2に示すようにライトガイドLGの他端側に設けられる。そして光源部LS1が、ライトガイドLGの一端側(F1)の光入射面に対して光源光を出射することで、照射光LT1を出射し、第1の照射光強度分布LID1を形成(設定)する。一方、光源部LS2が、ライトガイドLGの他端側(F2)の光入射面に対して第2の光源光を出射することで、第2の照射光LT2を出射し、第1の照射光強度分布LID1とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布LID2を形成する。このように照射ユニットEUは、強度分布が異なる照射光を出射することができる。
【0076】
ライトガイドLG(導光部材)は、光源部LS1、LS2が発光した光源光を導光するものである。例えばライトガイドLGは、光源部LS1、LS2からの光源光を曲線状の導光経路に沿って導光し、その形状は曲線形状になっている。具体的には図7ではライトガイドLGは円弧形状になっている。なお図7ではライトガイドLGはその中心角が180度の円弧形状になっているが、中心角が180度よりも小さい円弧形状であってもよい。ライトガイドLGは、例えばアクリル樹脂やポリカーボネートなどの透明な樹脂部材等により形成される。
【0077】
ライトガイドLGの外周側及び内周側の少なくとも一方には、ライトガイドLGからの光源光の出光効率を調整するための加工が施されている。加工手法としては、例えば反射ドットを印刷するシルク印刷方式や、スタンパーやインジェクションで凹凸を付ける成型方式や、溝加工方式などの種々の手法を採用できる。
【0078】
プリズムシートPSとルーバーフィルムLFにより実現される照射方向設定部LEは、ライトガイドLGの外周側に設けられ、ライトガイドLGの外周側(外周面)から出射される光源光を受ける。そして曲線形状(円弧形状)のライトガイドLGの内周側から外周側へと向かう方向に照射方向が設定された照射光LT1、LT2を出射する。即ち、ライトガイドLGの外周側から出射される光源光の方向を、ライトガイドLGの例えば法線方向(半径方向)に沿った照射方向に設定(規制)する。これにより、ライトガイドLGの内周側から外周側に向かう方向に、照射光LT1、LT2が放射状に出射されるようになる。
【0079】
このような照射光LT1、LT2の照射方向の設定は、照射方向設定部LEのプリズムシートPSやルーバーフィルムLFなどにより実現される。例えばプリズムシートPSは、ライトガイドLGの外周側から低視角で出射される光源光の方向を、法線方向側に立ち上げて、出光特性のピークが法線方向になるように設定する。またルーバーフィルムLFは、法線方向以外の方向の光(低視角光)を遮光(カット)する。
【0080】
このように本実施形態の照射ユニットEUによれば、ライトガイドLGの両端に光源部LS1、LS2を設け、これらの光源部LS1、LS2を交互に点灯させることで、2つの照射光強度分布を形成することができる。すなわちライトガイドLGの一端側の強度が高くなる照射光強度分布LID1と、ライトガイドLGの他端側の強度が高くなる照射光強度分布LID2を交互に形成することができる。
【0081】
後述するように、本実施形態の照射ユニットEUを光学式検出装置に用いる場合には、これらの強度分布の異なる照射光による対象物の反射光を受光することで、環境光などの外乱光の影響を最小限に抑えた、より精度の高い対象物の検出が可能になる。即ち、外乱光に含まれる赤外成分を相殺することが可能になり、この赤外成分が対象物の検出に及ぼす悪影響を最小限に抑えることが可能になる。
【0082】
2.光学式検出装置
図8(A)、図8(B)に、本実施形態の照射ユニットEUを含む光学式検出装置の基本的な構成例を示す。本実施形態の光学式検出装置100は、検出部110、処理部120、照射ユニットEU及び受光部RUを含む。なお、本実施形態の光学式検出装置は、図8(A)、図8(B)の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素に置き換えたり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0083】
照射ユニットEUは、図1(A)、図1(B)に示したように、第1の光源光を出射する第1の光源部LS1と、第2の光源光を出射する第2の光源部LS2と、ライトガイドLGとを含む。
【0084】
ライトガイドLGは、第1の光源光が入射される第1の入射部LA1と、第2の光源光が入射される第2の入射部LA2と、第1、第2の入射部LA1、LA2の間に設けられる湾曲した出射部LBとを有する。
【0085】
出射部LBは、第1、第2の入射部LA1、LA2と交差する第1の仮想面SF1に第1の端縁AR1を有する。また、第1、第2の入射部LA1、LA2と交差し、且つ、第1の仮想面SF1と交差する第2の仮想面SF2に第2の端縁AR2を有する。
【0086】
図8(B)に示すように、照射ユニットEUは、検出エリアRDETが設定される対象面SOBに対して斜め方向となる第1の仮想面SF1と、対象面SOBに対して斜め方向となり、且つ、第1の仮想面SF1よりも対象面SOBとの成す角が大きい第2の仮想面SF2とにより規定される照射範囲で、照射光LTを出射する。この照射光LTの強度(放射強度、光度)は、第1の仮想面SF1上において第1の強度S1であり、第2の仮想面SF2上において第1の強度S1よりも強度が低い第2の強度S2である。また、第1の仮想面SF1と第2の仮想面SF2との間の領域における強度は、第1の強度S1と第2の強度S2との中間の強度である。図8(B)に示すように、第1の仮想面SF1と対象面SOBとの成す角をφ1とし、第2の仮想面SF2と対象面SOBとの成す角をφ2とした場合に、φ1<φ2である。
【0087】
ここで第1の仮想面SF1は、照射ユニットEUの出射部LBを構成する曲面を規定する第1の端縁AR1(図1(A))を含む面であり、第2の仮想面SF2は、照射ユニットEUの出射部LBを構成する曲面を規定する第2の端縁AR2(図1(A))を含む面である。
【0088】
受光部RUは、検出エリアRDETに存在する対象物OBにより照射光LTが反射することによる反射光LRを受光する。受光部RUは、後述するように、複数の受光ユニットを含んでもよい。受光ユニットは、例えばフォトダイオードやフォトトランジスターなどで構成することができる。
【0089】
検出部110は、受光部RUの受光結果に基づいて、少なくとも対象物OBの位置する方向(広義には位置検出情報)を検出する。具体的には、例えば図8(B)に示すように、検出部110は、対象物OBが検出されるエリアである検出エリアRDETがX−Y平面に沿った対象面SOBに対して設定される場合に、検出エリアRDETに存在する対象物OBの位置に関する情報(位置検出情報)を検出する。この位置検出情報は、例えば対象物OBが存在する位置のX座標及びY座標に関する情報であり、或いは対象物が存在する方向に関する情報である。また、対象物OBが存在する位置のZ座標に関する情報を含んでもよい。
【0090】
ここでX−Y平面とは、例えばスクリーン(投射面)20によって規定される対象面SOBに沿った平面である。対象面SOBとは、検出エリアRDETの設定対象となる面であって、例えばディスプレイの表示面、或いは投射型表示装置の投射面、或いはデジタルサイネージにおけるディスプレイ面などである。
【0091】
検出エリアRDETとは、対象物OBが検出されるエリア(領域)であって、具体的には、例えば照射光LTが対象物OBに反射されることによる反射光LRを、受光部RUが受光して、対象物OBを検出することができるエリアである。より具体的には、受光部RUが反射光LRを受光して対象物OBを検出することが可能であって、かつ、その検出精度について、許容できる範囲の精度が確保できるエリアである。
【0092】
処理部120は、検出部110からの位置検出情報に基づいて処理を行う。この処理は、例えばコマンド処理及びホバリング処理等を含む。
【0093】
本実施形態の照射ユニットEUは、上述したように、第1の仮想面SF1上において第1の強度S1であり、第2の仮想面SF2上において第1の強度S1よりも強度が低い第2の強度S2である照射光LTを出射する。こうすることで、例えば図8(B)のA1に示す位置にある対象物OBに照射される照射光LTの強度(明るさ、照度)と、A2に示す位置にある対象物OBに照射される照射光LTの強度(明るさ、照度)との差を低減することができる。或いは両者をほぼ等しくすることができる。
【0094】
従って、本実施形態の照射ユニットEUを含む光学式検出装置によれば、対象物OBの位置が照射ユニットEUから遠くなるほど、出射される照射光LTの強度を強くすることができるから、図8(B)のA1の位置での照射光の強度(明るさ、照度)とA2の位置での照射光の強度(明るさ、照度)をほぼ同じにすることができる。その結果、対象物OBの位置検出精度を、検出エリアRDET内において、ほぼ均一にすることが可能になる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態の光学式検出装置によれば、広い範囲で照射光強度分布を形成することができるから、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することなどが可能になる。
【0096】
3.情報処理システム
図9(A)、図9(B)に、本実施形態の情報処理システムの構成例を示す。図9(A)の構成例は、光学式検出装置100、情報処理装置200及び表示装置10を含む。情報処理装置200は、例えばパーソナルコンピューター(PC)などであって、光学式検出装置100からの検出情報に基づいて処理を行う。光学式検出装置100と情報処理装置200とは、USBケーブルUSBCを介して電気的に接続される。表示装置10は、例えば投射型表示装置(プロジェクター)などであって、情報処理装置200からの画像データに基づいて、表示部(スクリーン)20に画像を表示する。ユーザーは、表示部20に表示された画像を参照しながら、表示画像のアイコン等をポインティングすることで、情報処理装置200に対して必要な情報を入力することができる。
【0097】
なお、図9(A)では、光学式検出装置100が表示部20に取り付けられているが、他の場所に取り付けることもできる。例えば、光学式検出装置100を表示装置10に取り付けてもよいし、天井や壁などに取り付けてもよい。また、表示装置10としては、投射型表示装置(プロジェクター)に限定されるものではなく、例えばデジタルサイネージ用表示装置であってもよい。
【0098】
上述したように、本実施形態の光学式検出装置によれば、広い範囲で照射光強度分布を形成することができるから、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することなどが可能になる。従って、投射型表示装置(プロジェクター)やデジタルサイネージ用の表示装置のように表示エリアが広い場合であっても、従来よりも小型な構成でポインティング等による情報入力などが可能になる。
【0099】
図9(B)の構成例では、表示装置10として情報処理装置200(PC)に内蔵されたディスプレイ220が用いられる。光学式検出装置100はディスプレイ220に着脱可能であって、USBケーブルUSBCを介して情報処理装置200と電気的に接続される。
【0100】
上述したように、本実施形態の光学式検出装置によれば、従来よりも小型な構成で対象物の位置を検出することができる。その結果、例えばタッチパネル機能を持たないディスプレイに本実施形態の光学式検出装置を後付けで装着することにより、ディスプレイに手を加えずにタッチパネル機能を付加することなどが可能になる。
【0101】
なお、上述した処理部120が行う処理(コマンド処理及びホバリング処理等)を、情報処理装置200が行ってもよい。
【0102】
なお、以上のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また照射ユニット、光学式検出装置及び情報処理システムの構成、動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0103】
EU 照射ユニット、RU 受光部、LT、LT1、LT2 照射光、LR 反射光、
AR1、AR2 第1、第2の端縁、
RDET 検出エリア、SOB 対象面、OB 対象物、SF1 第1の仮想面、
SF2 第2の仮想面、LG ライトガイド、LA1、LA2 入射部、LB 出射部、
LS1、LS2 光源部、LD1〜LD6 発光素子、RS 反射シート、
PS プリズムシート、LF ルーバーフィルム、LE 照射方向設定部、
LID1 第1の照射光強度分布、LID2 第2の照射光強度分布、
10 表示装置、20 表示部、100 光学式検出装置、110 検出部、
120 処理部、200 情報処理装置、220 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源光を出射する第1の光源部と、
第2の光源光を出射する第2の光源部と、
前記第1の光源光が入射される第1の入射部と、前記第2の光源光が入射される第2の入射部と、前記第1の入射部と前記第2の入射部との間に設けられる湾曲した出射部とを有するライトガイドとを含み、
前記出射部は、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差する第1の仮想面に第1の端縁を有し、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差し、且つ、前記第1の仮想面と交差する第2の仮想面に第2の端縁を有することを特徴とする照射ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の入射部の幅をW1とし、前記出射部の中央部における前記出射部の幅をWAとし、前記第2の入射部の幅をW2とした場合に、WA>2×W1、且つ、WA>2×W2であることを特徴とする照射ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1の光源部は、第1の発光素子を有し、
前記第2の光源部は、第2の発光素子を有し、
前記第1の発光素子の光軸方向である第1の光軸方向は、前記第1の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第1の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、
前記第2の発光素子の光軸方向である第2の光軸方向は、前記第2の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第2の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定されることを特徴とする照射ユニット。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1の発光素子の光軸方向である前記第1の光軸方向は、前記第1の仮想面に沿って設定され、
前記第2の発光素子の光軸方向である前記第2の光軸方向は、前記第1の仮想面に沿って設定されることを特徴とする照射ユニット。
【請求項5】
請求項2において、
前記ライトガイドは、前記第1の仮想面上では出光効率が高く、前記第1の仮想面から前記第2の仮想面に向かって前記出光効率が低くなる出光特性を有することを特徴とする照射ユニット。
【請求項6】
請求項2において、
前記ライトガイドから出射される前記照射光の照射方向を規定する照射方向設定部を含み、
前記照射方向設定部は、前記第1の仮想面上では出光効率が高く、前記第1の仮想面から前記第2の仮想面に向かって前記出光効率が低くなる出光特性を有することを特徴とする照射ユニット。
【請求項7】
請求項2において、
前記第1の光源部は、前記第1の光源部用の第1の発光素子及び前記第1の光源部用の第2の発光素子を有し、
前記第2の光源部は、前記第2の光源部用の第3の発光素子及び前記第2の光源部用の第4の発光素子を有し、
前記第1の発光素子の光軸方向である第1の光軸方向は、前記第1の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第1の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、
前記第2の発光素子の光軸方向である第2の光軸方向は、前記第2の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度が、前記第2の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、
前記第3の発光素子の光軸方向である第3の光軸方向は、前記第3の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度が、前記第3の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定され、
前記第4の発光素子の光軸方向である第4の光軸方向は、前記第4の光軸方向と前記第2の仮想面との成す角度が、前記第4の光軸方向と前記第1の仮想面との成す角度よりも小さくなる方向に設定されることを特徴とする照射ユニット。
【請求項8】
請求項7において、
前記第1の発光素子の光量は、前記第2の発光素子の光量より大きく設定され、
前記第3の発光素子の光量は、前記第4の発光素子の光量より大きく設定されることを特徴とする照射ユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記第1の光源部と前記第2の光源部とは、交互に発光することを特徴とする照射ユニット。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1の光源部が発光する期間に、
前記第1の光源部が前記第1の光源光を出射することで、第1の照射光強度分布を形成し、
前記第2の光源部が発光する期間に、
前記第2の光源部が前記第2の光源光を出射することで、前記第1の照射強度分布とは強度分布が異なる第2の照射光強度分布を形成することを特徴とする照射ユニット。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載の照射ユニットと、
前記照射ユニットから出射した照射光が検出エリアに存在する対象物により反射されることによる反射光を受光する受光部と、
前記受光部の受光結果に基づいて、少なくとも前記対象物の位置する方向を検出する検出部とを含むことを特徴とする光学式検出装置。
【請求項12】
第1の光源光を出射する第1の光源部と、
第2の光源光を出射する第2の光源部と、
前記第1の光源光が入射される第1の入射部と、前記第2の光源光が入射される第2の入射部と、前記第1の入射部と前記第2の入射部との間に設けられる湾曲した出射部とを有するライトガイドと、
前記出射部から出射した照射光が検出エリアに存在する対象物により反射されることによる反射光を受光する受光部と、
前記受光部の受光結果に基づいて、少なくとも前記対象物の位置する方向を検出する検出部とを含み、
前記出射部は、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差する第1の仮想面に第1の端縁を有し、
前記第1の入射部及び前記第2の入射部と交差し、且つ、前記第1の仮想面と交差する第2の仮想面に第2の端縁を有することを特徴とする光学式検出装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の光学式検出装置と、
前記光学式検出装置からの検出情報に基づいて処理を行う情報処理装置と、
前記情報処理装置からの画像データに基づいて画像を表示する表示装置とを含むことを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−160040(P2012−160040A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19513(P2011−19513)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】