説明

照明用レンズおよび照明装置

【課題】 基板の数を増加させたりすることなく、一方の方向(例えば下方向)に様々な角度をなす光を出射させることが可能な(照射範囲を広範囲なものにすることが可能な)照明用レンズおよび照明装置を提供する。
【解決手段】 照明用光源1と、照明用レンズ2とを有し、照明用レンズ2は、基部面Bに対して垂直な所定の基準軸X1を有し、照明用光源1から放射された光が入射する入射部3と、入射部3から入射した光を前記所定の基準軸X1に対して左右のいずれか一方の方向または前記所定の基準軸X1に対して上下のいずれか一方の方向に出射させる出射部4とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明用レンズおよび照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されているように、水平面に対して垂直に配置された板状の基板を具備し、LED光源の光軸が基板に対して垂直になるようにLED光源が基板に実装されたLED照明装置が知られている。
【0003】
特許文献1に示されているLED照明装置では、水平面に対して垂直に配置された基板に実装されたLED光源の光軸が、水平に指向せしめられている。そのため、垂直な基板に実装されたLED光源からの光の一部が下向きに照射される。また、特許文献1に示されているLED照明装置では、水平面に対して垂直に配置された基板とは別個に、水平面に対して鋭角をなすように配置された基板が設けられており、その基板の下側の面にLED光源が実装されている。更に、その基板に実装されたLED光源からの光が下向きに照射される。その結果、特許文献1に示されているLED照明装置では、垂直な基板に実装されたLED光源および水平面に対して鋭角をなす基板に実装されたLED光源から、水平面と様々な角度をなす下向きの光を照射することができる。
【0004】
しかしながら、特許文献1にLED照明装置では、水平面と様々な角度をなす下向きの光を照射するために、光軸が水平に指向せしめられたLED光源とは別個に、光軸が下向きに指向せしめられたLED光源を設ける必要がある。その結果、特許文献1に示されているLED照明装置では、LED照明装置全体のコストが嵩んでしまう。
【0005】
この問題点を解決するために、光軸が下向きに指向せしめられたLED光源を設ける必要なく水平面と様々な角度をなす下向きの光を照射することができるLED照明装置が当業者間に望まれている。
【0006】
詳細には、光軸が下向きに指向せしめられたLED光源を実装するための基板を、光軸が水平に指向せしめられたLED光源を実装するための基板とは別個に設ける必要なく、水平面と様々な角度をなす下向きの光を照射することができるLED照明装置が当業者間に望まれている。
【0007】
すなわち、基板の数を削減しつつ、水平面と様々な角度をなす下向きの光を照射することができるLED照明装置が当業者間に望まれている。
【0008】
特許文献2には、図1に示すように、レンズ103の対称軸104に対してある角度にわたって出射光を偏向させるためののこぎり歯状構造109を有する出射面108が開示されている。なお、図1において、符号101はLEDであり、符号105、106、107はLED101から放射された光をレンズ103の対称軸104の方向と略平行なものにする入射部である。
【0009】
本願の発明者は、当初、図1に示すレンズ103を、その偏向させた出射光が下向きとなるように取り付けることを考えた。しかしながら、図1に示すレンズ103では、単純なのこぎり歯状構造109によって、出射光の偏向方向が対称軸104に対して40°に限定されてしまうため、照射範囲が限定され、水平面と様々な角度をなす下向きの光を照射することができない(照射範囲を広範囲なものにすることができない)という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−179664号公報
【特許文献2】特表2002−528861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、基板の数を増加させたりすることなく、一方の方向(例えば下方向)に様々な角度をなす光を出射させることが可能な(照射範囲を広範囲なものにすることが可能な)照明用レンズおよび照明装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、基部面に対して垂直な所定の基準軸を有し、照明用光源から放射された光が入射する入射部と、入射部から入射した光を前記所定の基準軸に対して左右のいずれか一方の方向または前記所定の基準軸に対して上下のいずれか一方の方向に出射させる出射部とを備えている照明用レンズであって、
前記入射部は、前記所定の基準軸を第1の軸とするとき、該第1の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第1の軸と略平行なものにする第1の入射面と、前記第1の軸と前記一方の方向に所定の角度をなす第2の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第2の軸と略平行なものにする第2の入射面と、前記第1の軸と前記一方の方向とは反対の方向に所定の角度をなす第3の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第3の軸と略平行なものにする第3の入射面とを有し、
前記出射部は、第1のレンズカット部と、第2のレンズカット部とを有し、
第1のレンズカット部は、前記一方の方向の側に、第1の屈折面と、該第1の屈折面と連続した面である第2の屈折面とを備え、前記一方の方向とは反対の方向の側に、第1の全反射面を備え、前記第1の屈折面は、前記第2の入射面で前記第2の軸と略平行なものにされた光を屈折して前記一方の方向の側に出射し、前記第1の全反射面は、前記第1の入射面で前記第1の軸と略平行なものにされた光を全反射して前記第2の屈折面に向かわせ、前記第2の屈折面は、前記第1の全反射面で全反射された光を屈折して前記一方の方向の側に出射するようになっており、
前記第2のレンズカット部は、前記一方の方向の側に、第3の屈折面を備え、前記一方の方向とは反対の方向の側に、第2の全反射面を備え、前記第2の全反射面は、前記第3の入射面で前記第3の軸と略平行なものにされた光を全反射して前記第3の屈折面に向かわせ、前記第3の屈折面は、前記第2の全反射面で全反射された光を屈折して前記一方の方向の側に出射するようになっていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の照明用レンズにおいて、前記第1のレンズカット部と前記第2のレンズカット部との間に形成された谷部は、前記基部面に対して前記第1の入射面よりも高い位置にあることを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の照明用レンズが用いられることを特徴とする照明装置である。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の照明装置において、前記照明用レンズは、入射部から入射した光を前記出射部から前記所定の基準軸に対して下方方向に出射させるように取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、基部面に対して垂直な所定の基準軸を有し、照明用光源から放射された光が入射する入射部と、入射部から入射した光を前記所定の基準軸に対して左右のいずれか一方の方向または前記所定の基準軸に対して上下のいずれか一方の方向に出射させる出射部とを備えている照明用レンズであって、
前記入射部は、前記所定の基準軸を第1の軸とするとき、該第1の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第1の軸と略平行なものにする第1の入射面と、前記第1の軸と前記一方の方向に所定の角度をなす第2の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第2の軸と略平行なものにする第2の入射面と、前記第1の軸と前記一方の方向とは反対の方向に所定の角度をなす第3の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第3の軸と略平行なものにする第3の入射面とを有し、
前記出射部は、第1のレンズカット部と、第2のレンズカット部とを有し、
第1のレンズカット部は、前記一方の方向の側に、第1の屈折面と、該第1の屈折面と連続した面である第2の屈折面とを備え、前記一方の方向とは反対の方向の側に、第1の全反射面を備え、前記第1の屈折面は、前記第2の入射面で前記第2の軸と略平行なものにされた光を屈折して前記一方の方向の側に出射し、前記第1の全反射面は、前記第1の入射面で前記第1の軸と略平行なものにされた光を全反射して前記第2の屈折面に向かわせ、前記第2の屈折面は、前記第1の全反射面で全反射された光を屈折して前記一方の方向の側に出射するようになっており、
前記第2のレンズカット部は、前記一方の方向の側に、第3の屈折面を備え、前記一方の方向とは反対の方向の側に、第2の全反射面を備え、前記第2の全反射面は、前記第3の入射面で前記第3の軸と略平行なものにされた光を全反射して前記第3の屈折面に向かわせ、前記第3の屈折面は、前記第2の全反射面で全反射された光を屈折して前記一方の方向の側に出射するようになっているので、一方の方向に様々な角度をなす光を出射させることができる(照射範囲を広範囲なものにすることができる)。
【0017】
また、請求項3、請求項4記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の照明用レンズが用いられることを特徴とする照明装置であるので、基板の数を増加させたりすることなく、一方の方向(例えば下方の方向)に様々な角度をなす光を出射させることができる(例えば下方への照射範囲を広範囲なものにすることができる)。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】特許文献2のLEDモジュールを示す図である。
【図2】本発明の照明用レンズ、照明装置の構成例を示す図である。
【図3】図2の照明用レンズの入射部の拡大図である。
【図4】図2の照明用レンズの出射部の拡大図である。
【図5】照明用レンズが図2のようになっている場合の出射光路を示す図である。
【図6】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図7】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図8】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図9】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図10】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図11】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図12】本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。
【図13】本発明の照明灯(街路灯)の全体概略図である。
【図14】図13の地面(路面)上のC−C線における本発明の照明灯(街路灯)の路面照度分布を示す図である。
【図15】本発明の照明灯(街路灯)の指向特性を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図2は本発明の照明用レンズ、照明装置の構成例を示す図である。また、図3は図2の照明用レンズの入射部の拡大図、図4は図2の照明用レンズの出射部の拡大図である。
【0021】
図2を参照すると、この照明装置は、照明用光源(例えばLED光源)1と、照明用レンズ2とを備えている。
【0022】
ここで、照明用レンズ2は、基部面Bに対して垂直な所定の基準軸X1を有し、照明用光源(例えばLED光源)1から放射された光が入射する入射部3と、入射部3から入射した光を前記所定の基準軸X1に対して左右のいずれか一方の方向または前記所定の基準軸X1に対して上下のいずれか一方の方向(図2に図示の例では、下方の方向)Yに出射させる出射部4とを備えている。
【0023】
なお、照明用レンズ2は、例えば透明なPMMA(アクリル樹脂)や透明なPC(ポリカーボネート樹脂)などの所定の屈折率を有する材料で形成されている。また、照明用レンズ2は、後述の図9に示すように、図2の奥行き方向に(すなわち、紙面の手前側から奥側方向に)柱状形状のものとなっている。また、以下では、出射部4は、入射部3から入射した光を、前記一方の方向として下方の方向Yに出射させるものとして説明する。
【0024】
図2、図3を参照すると、入射部3は、前記所定の基準軸X1を第1の軸とするとき、該第1の軸X1(θ1=0°とする)を中心とした所定の角度範囲△θ1(例えば、−22.5°〜22.5°)の光を該第1の軸X1と略平行なものにする第1の入射面(レンズ面)11と、前記第1の軸X1と前記一方の方向(下方の方向Y)に所定の角度θ2(例えば、−45°)をなす第2の軸X2を中心とした所定の角度範囲△θ2(例えば、−22.5°〜22.5°)の光を該第2の軸X2と略平行なものにする第2の入射面(レンズ面)12と、前記第1の軸X1と前記一方の方向(下方の方向Y)とは反対の方向(上方の方向)に所定の角度θ3(例えば、45°)をなす第3の軸X3を中心とした所定の角度範囲△θ3(例えば、−22.5°〜22.5°)の光を該第3の軸X3と略平行なものにする第3の入射面(レンズ面)13とを有している。
【0025】
また、図2、図4を参照すると、出射部4は、第1のレンズカット部14と、第2のレンズカット部15とを有している。
【0026】
第1のレンズカット部14は、前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、第1の屈折面41と、該第1の屈折面41と連続した面である第2の屈折面42とを備え、前記一方の方向(下方の方向Y)とは反対の方向(上方の方向)の側に、第1の全反射面43を備え、前記第1の屈折面41は、前記第2の入射面(レンズ面)12で前記第2の軸X2と略平行なものにされた光を屈折して前記一方の方向(下方の方向Y)の側に出射し、前記第1の全反射面43は、前記第1の入射面(レンズ面)11で前記第1の軸X1と略平行なものにされた光を全反射して前記第2の屈折面42に向かわせ、前記第2の屈折面42は、前記第1の全反射面43で全反射された光を屈折して前記一方の方向(下方の方向Y)の側に出射するようになっている。なお、第1の屈折面41は、基部面Bに対して所定のカット角θ4をなし、また、第2の屈折面42は、基部面Bに対して所定のカット角θ5をなし、また、第1の全反射面43は、基部面Bに対して所定のカット角θ6をなしている。なお、図2の例では、カット角θ4がカット角θ5よりも大きいものとなっているが、後述のように、出射光の出射方向を所望のものに変える場合、カット角θ4がカット角θ5と同じか、あるいは、カット角θ5よりも小さいものとなることもある。
【0027】
また、第2のレンズカット部15は、前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、第3の屈折面44を備え、前記一方の方向(下方の方向Y)とは反対の方向(上方の方向)の側に、第2の全反射面45を備え、前記第2の全反射面45は、前記第3の入射面(レンズ面)13で前記第3の軸X3と略平行なものにされた光を全反射して前記第3の屈折面44に向かわせ、前記第3の屈折面44は、前記第2の全反射面45で全反射された光を屈折して前記一方の方向(下方の方向Y)の側に出射するようになっている。なお、第3の屈折面44は、基部面Bに対して所定のカット角θ7をなし、また、第2の全反射面45は、基部面Bに対して所定のカット角θ8をなしている。
【0028】
なお、この照明用レンズ2において、第1のレンズカット部14と第2のレンズカット部15との間に形成された谷部Vは、前記基部面Bに対して前記第1の入射面(レンズ面)11よりも高い位置にある。
【0029】
また、図2の例では、照明用光源(例えばLED光源)1は、照明用レンズ2の入射部3の第1、第2、第3の入射面(レンズ面)11、12、13からほぼ等距離のところに位置決めされている。なお、図2の例では、照明用光源(例えばLED光源)1の光軸が、照明用レンズ2の所定の基準軸X1と一致したものとなっている。以下の説明では、照明用光源(例えばLED光源)1の光軸が、照明用レンズ2の所定の基準軸X1と一致しているものとする。
【0030】
図5には、照明用レンズ2の出射部4が図2のようになっている場合の出射光路が示されている。図5からもわかるように、この照明用レンズ2では、第1のレンズカット部14の第1の屈折面41からは、第2の入射面12で第2の軸X2と略平行なものにされた光が屈折されて前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、基部面Bに対して角度φ1で出射する。また、第1のレンズカット部14の第2の屈折面42からは、第1の全反射面43で全反射された光が屈折されて前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、基部面Bに対して角度φ2で出射する。また、第2のレンズカット部15の第3の屈折面44からは、第2の全反射面45で全反射された光が屈折されて前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、基部面Bに対して角度φ3で出射する。このように、出射部4の各屈折面41、42、44からは、前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、それぞれ、一般に互いに異なる角度φ1、φ2、φ3の出射光が出射するので、下方の方向Yに様々な角度をなす光(出射光)を出射させることができる(下方への照射範囲を広範囲なものにすることができる)。
【0031】
なお、後述のように、照明用レンズ2の出射部4の第1のレンズカット部14、第2のレンズカット部15の各カット角θ4、θ5、θ6、θ7、θ8は、適宜、所望の角度に変えることができて、これにより、出射部4からの出射光の出射方向(照射方向)を所望のものに変えることができる。例えば、上述の例では、出射部4の各屈折面41、42、44からは、前記一方の方向(下方の方向Y)の側に、それぞれ、一般に互いに異なる角度φ1、φ2、φ3の出射光が出射するようになっているが、各カット角θ4、θ5、θ6、θ7、θ8を適宜変えることにより、出射光の角度φ1、φ2、φ3を任意所望のものにすることができ、角度φ1、φ2、φ3のうちの例えばいずれか2つを同じものにしたりすることもできる。
【0032】
図6、図7、図8は、上述した本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への適用例を示す図である。なお、図6は照明灯(街路灯)50の全体の斜視図、図7は図6の照明装置21の部分のA−A線における断面図、図8は図6の照明装置21の部分のB−B線における断面図である。図7、図8を参照すると、この照明装置21では、4つの基板22a、22b、22c、22d上に、照明用光源(LED光源)1(図7、図8の例では、各基板22a、22b、22c、22dごとに、それぞれ、6つの照明用光源(LED光源)1)が所定間隔を隔てて設置され、各照明用光源(LED光源)1のそれぞれに対応させて上述した本発明の照明用レンズ2(例えば図2に示したような照明用レンズ2)が設けられている。なお、図9には、6つの各照明用光源(LED光源)1および6つの各照明用光源(LED光源)1のそれぞれに対応した上述した本発明の照明用レンズ2が設置された1つの基板(例えば22a)の斜視図が示されている。
【0033】
ここで、6つの各照明用レンズ2の出射部4の第1のレンズカット部14、第2のレンズカット部15の各カット角θ4、θ5、θ6、θ7、θ8は、各照明用レンズ2でそれぞれ同じものにすることもできるが(各照明用レンズ2をそれぞれ同じものにすることもできるが)、図7、図8、図9の例のように、6つの各照明用レンズ2の出射部4の第1のレンズカット部14、第2のレンズカット部15の各カット角θ4、θ5、θ6、θ7、θ8を、6つの各照明用レンズ2ごとに、例えば少しずつ相違させることもできて、これにより、6つの各照明用レンズ2の出射部4からの出射光の出射方向(照射方向)を例えば少しずつ変えて、より一層多様なものにすることができ、下方の方向Yにより一層様々な角度をなす光(出射光)を出射させることができる(下方への照射範囲をより一層広範囲なものにすることができる)。
【0034】
そして、4つの基板22a、22b、22c、22dは、水平面(例えば水平の床面(あるいは地面、路面など))に対して垂直になるように、正四角柱状の支持部26の4つの長方形の側面26a、26b、26c、26dに取り付けられている。ここで、照明用レンズ2は、入射部3から入射した光を出射部4から所定の基準軸X1に対して下方の方向Yに出射させるように取り付けられている。なお、図7、図8において、符号27は、各照明用光源(LED光源)1に電流を供給するための口金である。また、各照明用光源(LED光源)1に電流を供給する駆動回路などは、例えば支持部26内に内蔵されている。
【0035】
また、図6を参照すると、この照明灯(街路灯)50は、床面(あるいは地面、路面など)を照射するために、照明装置21の口金27が、床面(あるいは地面、路面など)から上向きに延びて先端がU字状に湾曲している支柱51に設けられているソケット52に装着されている。詳細には、基板22a,22b,22c,22dが水平面(図示せず)に対して垂直になるように(すなわち、鉛直方向となるように)、照明装置21の口金27がソケット52に装着されている(照明装置21が鉛直方向下向きに装着されている)。換言すれば、照明装置21は、例えば口金を有する水銀灯、例えばフィラメントなどのような発光部と口金とを有する電球などに対して互換性を有するように構成されている。また、図27に示す照明灯(街路灯)50では、照明灯(街路灯)50の支柱51に皿部53が設けられており、皿部53に取り付けられたグローブ(アウターレンズ)54によって照明装置21が覆われている。
【0036】
このような構成の照明灯(街路灯)50では、基板22a,22b,22c,22dが水平面(図示せず)に対して垂直になるように(すなわち、鉛直方向となるように)、照明装置21の口金27がソケット52に装着されており、照明装置21の各照明用レンズ2によって照明用光源(LED光源)1からの光を例えば図5に示したように配光制御することによって、例えば特許文献1のように基板の数を増加させたりすることなく、下方の方向Yに様々な角度をなす光(出射光)を出射させることができ、下方への照射範囲を近場(照明灯(街路灯)50の直下付近)から遠方まで広範囲なものにすることができて、床面(あるいは地面、路面など)を近場(照明灯(街路灯)50の直下付近)から遠方まで広範囲に効率よく照射することができる。
【0037】
図10、図11、図12は、上述した本発明の照明用レンズ、照明装置の照明灯(街路灯)への他の適用例を示す図である。なお、図10は照明灯(街路灯)70の全体の斜視図、図11は図10の照明装置31の部分のA−A線における断面図、図12は図10の照明装置31の部分のB−B線における断面図である。なお、図10、図11、図12において、図6、図7、図8と同様の箇所には同じ符号を付している。図11、図12を参照すると、この照明装置31では、4つの基板22a、22b、22c、22d上に、照明用光源(LED光源)1(図11、図12の例では、各基板22a、22b、22c、22dごとに、それぞれ、6つの照明用光源(LED光源)1)が所定間隔を隔てて設置され、各照明用光源(LED光源)1のそれぞれに対応させて上述した本発明の照明用レンズ2(例えば図2に示したような照明用レンズ2)が設けられている。なお、6つの各照明用光源(LED光源)1および6つの各照明用光源(LED光源)1のそれぞれに対応した上述した本発明の照明用レンズ2が設置された1つの基板(例えば22a)の斜視図は、図9に示したものと同様である。
【0038】
ここで、6つの各照明用レンズ2の出射部4の第1のレンズカット部14、第2のレンズカット部15の各カット角θ4、θ5、θ6、θ7、θ8は、各照明用レンズ2でそれぞれ同じものにすることもできるが(各照明用レンズ2をそれぞれ同じものにすることもできるが)、図11、図12、図9の例のように、6つの各照明用レンズ2の出射部4の第1のレンズカット部14、第2のレンズカット部15の各カット角θ4、θ5、θ6、θ7、θ8を、6つの各照明用レンズ2ごとに、例えば少しずつ相違させることもできて、これにより、6つの各照明用レンズ2の出射部4からの出射光の出射方向(照射方向)を例えば少しずつ変えて、より一層多様なものにすることができ、下方の方向Yにより一層様々な角度をなす光(出射光)を出射させることができる(下方への照射範囲をより一層広範囲なものにすることができる)。
【0039】
そして、4つの基板22a、22b、22c、22dは、水平面(例えば水平の床面(あるいは地面、路面など))に対して垂直になるように、正四角柱状の支持部36の4つの長方形の側面36a、36b、36c、36dに取り付けられている。ここで、照明用レンズ2は、入射部3から入射した光を出射部4から所定の基準軸X1に対して下方の方向Yに出射させるように取り付けられている。なお、図11、図12において、符号37は、各照明用光源(LED光源)1に電流を供給するための口金である。また、各照明用光源(LED光源)1に電流を供給する駆動回路などは、例えば支持部36内に内蔵されている。
【0040】
また、図10を参照すると、この照明灯(街路灯)70は、床面(あるいは地面、路面など)を照射するために、照明装置31の口金37が、床面(あるいは地面、路面など)から上向きに延びている支柱71に設けられているソケット72に装着されている。詳細には、基板22a,22b,22c,22dが水平面(図示せず)に対して垂直になるように(すなわち、鉛直方向となるように)、照明装置31の口金37がソケット72に装着されている(照明装置31が鉛直方向上向きに装着されている)。換言すれば、照明装置31は、例えば口金を有する水銀灯、例えばフィラメントなどのような発光部と口金とを有する電球などに対して互換性を有するように構成されている。また、図10に示す照明灯(街路灯)70では、照明灯(街路灯)70の支柱71に皿部73が設けられており、皿部73に取り付けられたグローブ(アウターレンズ)74によって照明装置21が覆われている。
【0041】
このような構成の照明灯(街路灯)70では、基板22a,22b,22c,22dが水平面(図示せず)に対して垂直になるように(すなわち、鉛直方向となるように)、照明装置31の口金37がソケット72に装着されており、照明装置31の各照明用レンズ2によって照明用光源(LED光源)1からの光を例えば図5に示したように配光制御することによって、図6、図7、図8の照明灯(街路灯)50と同様に、例えば特許文献1のように基板の数を増加させたりすることなく、下方の方向Yにより一層様々な角度をなす光(出射光)を出射させることができ、下方への照射範囲を近場(照明灯(街路灯)70の直下付近)から遠方まで広範囲なものにすることができて、床面(あるいは地面、路面など)を近場(照明灯(街路灯)70の直下付近)から遠方まで広範囲に効率よく照射することができる。
【0042】
図13には、例えば図10の照明灯(街路灯)70の全体概略図が示されている。なお、図13において、符号GRは地面(路面)である。図14は図13の地面(路面)GR上のC−C線における本発明の照明灯(街路灯)70の路面照度分布を示す図である。図14から、本発明の照明灯(街路灯)70では、その直下位置(0m)から半径10mまでの路面を十分な照度(明るさ)で照らすことができることがわかる。また、図15には、本発明の照明灯(街路灯)70の指向特性が示されている。なお、図15において、角度は、鉛直下方方向を0°とし、水平方向を90°とし、鉛直上方方向を180°としたときに、鉛直下方方向から鉛直上方方向に向けての角度であり、図15から、本発明の照明灯(街路灯)70では、鉛直下方方向から鉛直上方方向に向けて0°〜約60°の角度範囲にのみ(すなわち、下方方向にのみ)、所定の照度の照射がなされることがわかる。
【0043】
なお、図6、図7、図8、図9、図10、図11、図12の例では、正四角柱状の支持部26、36が用いられ、4つの基板22a、22b、22c、22dが設けられているが、支持部としては正n(nは3以上の整数)角柱状のものを用いることができ、これにn個の基板を設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、例えば街路灯や道路灯、体育館などの屋内照明灯、室内照明灯、スポットライトなどに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 照明用光源(例えばLED光源)
2 照明用レンズ
3 入射部
4 出射部
11 第1の入射面(レンズ面)
12 第2の入射面(レンズ面)
13 第3の入射面(レンズ面)
14 第1のレンズカット部
15 第2のレンズカット部
41 第1の屈折面
42 第2の屈折面
43 第1の全反射面
44 第3の屈折面
45 第2の全反射面
21、31 照明装置
22a、22b、22c、22d 基板
26、36 支持部
27、37 口金
50、70 照明灯(街路灯)
51、71 支柱
52、72 ソケット
53、73 皿部
54、74 グローブ(アウターレンズ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部面に対して垂直な所定の基準軸を有し、照明用光源から放射された光が入射する入射部と、入射部から入射した光を前記所定の基準軸に対して左右のいずれか一方の方向または前記所定の基準軸に対して上下のいずれか一方の方向に出射させる出射部とを備えている照明用レンズであって、
前記入射部は、前記所定の基準軸を第1の軸とするとき、該第1の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第1の軸と略平行なものにする第1の入射面と、前記第1の軸と前記一方の方向に所定の角度をなす第2の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第2の軸と略平行なものにする第2の入射面と、前記第1の軸と前記一方の方向とは反対の方向に所定の角度をなす第3の軸を中心とした所定の角度範囲の光を該第3の軸と略平行なものにする第3の入射面とを有し、
前記出射部は、第1のレンズカット部と、第2のレンズカット部とを有し、
第1のレンズカット部は、前記一方の方向の側に、第1の屈折面と、該第1の屈折面と連続した面である第2の屈折面とを備え、前記一方の方向とは反対の方向の側に、第1の全反射面を備え、前記第1の屈折面は、前記第2の入射面で前記第2の軸と略平行なものにされた光を屈折して前記一方の方向の側に出射し、前記第1の全反射面は、前記第1の入射面で前記第1の軸と略平行なものにされた光を全反射して前記第2の屈折面に向かわせ、前記第2の屈折面は、前記第1の全反射面で全反射された光を屈折して前記一方の方向の側に出射するようになっており、
前記第2のレンズカット部は、前記一方の方向の側に、第3の屈折面を備え、前記一方の方向とは反対の方向の側に、第2の全反射面を備え、前記第2の全反射面は、前記第3の入射面で前記第3の軸と略平行なものにされた光を全反射して前記第3の屈折面に向かわせ、前記第3の屈折面は、前記第2の全反射面で全反射された光を屈折して前記一方の方向の側に出射するようになっていることを特徴とする照明用レンズ。
【請求項2】
請求項1記載の照明用レンズにおいて、前記第1のレンズカット部と前記第2のレンズカット部との間に形成された谷部は、前記基部面に対して前記第1の入射面よりも高い位置にあることを特徴とする照明用レンズ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の照明用レンズが用いられることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項3記載の照明装置において、前記照明用レンズは、入射部から入射した光を前記出射部から前記所定の基準軸に対して下方方向に出射させるように取り付けられていることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−145892(P2012−145892A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6183(P2011−6183)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】