説明

照明用光源

【課題】配光特性が良好かつ組立作業が簡単な照明用光源を提供する。
【解決手段】複数の半導体発光素子12が基台20の前面22にそれぞれの主出射方向を前方に向けた状態で平面配置されており、各半導体発光素子12の前方には、それら半導体発光素子12の主出射光の一部を、前記基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射させ、他の一部を前方に向けて透過させるビームスプリッター80が配置された構成の照明用光源1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子を利用した照明用光源に関し、特に配光特性の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、白熱電球の代替品として、LED(Light Emitting Diode)などの半導体発光素子を利用した電球形の照明用光源が普及しつつある。
このような照明用光源は、照射角の狭いLEDを光源としているため、白熱電球と比べて配光特性が狭いという課題を有している。そこで、図15に示すように、特許文献1に記載の照明用光源900では、基台901が、第1基台部902と、第1基台部902の前面の一部の領域から逆錐台状に突出している第2基台部903とからなり、第1基台部902の前面には第1のLED904が配置され、第2基台部903の前面には第2のLED905が配置され、第2基台部903を前方から第1基台部902へ投影した場合において、その投影域内に第1のLED904の発光面が存在し、第2基台部903の側面が光反射面906となった構成を採用している。この構成によって、第1のLED904の出射光を光反射面906によって斜め後方へ反射させ、LEDの照射角の狭さを補って、比較的良好な配光特性を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−86946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の照明用光源900の場合、第1基台部902の前面と第2基台部903の前面とがLEDの搭載面となり、それら2つの搭載面に別途LED904,905を搭載しなければならないため、LEDの搭載面が1つしかない場合と比べて組立作業が煩雑である。また、基台901を、第1基台部902と第2基台部903とからなるような複雑な形状にすると、基台901のコストアップを招く。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであって、配光特性が良好かつ組立作業が簡単な照明用光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る照明用光源は、複数の半導体発光素子が基台の前面にそれぞれの主出射方向を前方に向けた状態で平面配置されており、各半導体発光素子の前方には、それら半導体発光素子の主出射光の一部を前記基台の前面を避けた斜め後方へ反射させ、他の一部を前方に向けて透過させるビームスプリッターが配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る照明用光源は、複数の半導体発光素子が基台の前面に平面配置されている構成であるため、半導体発光素子を基台へ搭載し易く、照明用光源の組立作業が簡単である。また、半導体発光素子の主出射光の一部を基台の前面を避けた斜め後方へ反射させるビームスプリッターを備えているため、照射角が狭い半導体発光素子が平面配置されていても照明用光源の配光特性が良好である。さらに、ビームスプリッターは半導体発光素子の主出射光の他の一部を基台の前方に向けて透過させるため、ビームスプリッターによる影が生じ難く、点灯時の照明用光源の意匠性も良好である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る照明用光源を示す一部破断斜視図
【図2】図1に示すA−A線に沿った断面矢視図
【図3】図2において二点鎖線で囲んだ部分を示す拡大断面図
【図4】第1の実施形態に係る半導体発光モジュールを示す平面図
【図5】第1の実施形態に係るビームスプリッターを示す断面図
【図6】図1に示すB−B線に沿った断面矢視図
【図7】第1の実施形態に係るビームスプリッターの変形例を示す断面図
【図8】照明用光源の配光特性を説明するための配光曲線図
【図9】第2の実施形態に係る照明用光源の要部構成を示す断面図
【図10】第3の実施形態に係る照明用光源の要部構成を示す断面図
【図11】第4の実施形態に係る照明用光源の要部構成を示す断面図
【図12】第5の実施形態に係る照明用光源を説明するための図
【図13】変形例に係る半導体発光モジュールを示す平面図
【図14】変形例に係るグローブに施された拡散処理を説明するための図
【図15】従来の照明用光源を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る照明用光源について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面における部材の縮尺は実際のものとは異なる。また、本願において、数値範囲を示す際に用いる符号「〜」は、その両端の数値を含む。
【0010】
<第1の実施形態>
[概略構成]
図1は、第1の実施形態に係る照明用光源を示す一部破断斜視図である。図2は、図1に示すA−A線に沿った断面矢視図である。図3は、図2において二点鎖線で囲んだ部分を示す拡大断面図である。なお、本願図面において紙面上下方向に沿って描かれた一点鎖線は照明用光源のランプ軸Jを示しており、紙面上方が照明用光源の前方であって、紙面下方が照明用光源の後方である。 図1から図3に示すように、第1の実施形態に係る照明用光源1は、白熱電球の代替品となるLEDランプであって、光源としての半導体発光モジュール10と、半導体発光モジュール10が搭載された基台20と、半導体発光モジュール10を覆うグローブ30と、半導体発光モジュール10を点灯させるための回路ユニット40と、回路ユニット40を収容した回路ホルダ50と、回路ホルダ50を覆うケース60と、回路ユニット40と電気的に接続された口金70と、半導体発光モジュール10からの出射光を拡散させるためのビームスプリッター80とを備える。
【0011】
[各部構成]
(1)半導体発光モジュール
図4は、第1の実施形態に係る半導体発光モジュールを示す平面図である。図4に示すように、半導体発光モジュール10は、実装基板11と、実装基板11に実装された光源としての複数の半導体発光素子12と、それら半導体発光素子12を被覆するように実装基板11上に設けられた封止体13とを備える。なお、本実施の形態では、半導体発光素子12はLEDであり、半導体発光モジュール10はLEDモジュールであるが、半導体発光素子12は、例えば、LD(レーザダイオード)であっても良く、EL素子(エレクトリックルミネッセンス素子)であっても良い。
【0012】
実装基板11は、中央に略円形の孔部14を有する略円環状の素子実装部15と、素子実装部15の内周縁の一箇所から孔部14の中心へ向けて延出した舌片部16とからなる。舌片部16の後面には、回路ユニット40の配線41が接続されるコネクタ17が設けられており、配線41をコネクタ17に接続することによって半導体発光モジュール10と回路ユニット40とが電気的に接続される。
【0013】
半導体発光素子12は、例えば32個が素子実装部15の前面に環状に実装されている。具体的には、素子実装部15の径方向に沿って並べられた半導体発光素子12を2個で1組として、16組が素子実装部15の周方向に沿って等間隔を空けて並べて円環状に配置されている。なお、本願において環状とは、円環状だけでなく、三角形、四角形、五角形など多角形の環状も含まれる。したがって、半導体発光素子12は、例えば楕円や多角形の環状に実装されていても良い。
【0014】
半導体発光素子12は、1組ごと個別に略直方体形状の封止体13によって封止されている。したがって、封止体13は全部で16個である。各封止体13の長手方向は、素子実装部15の径方向と一致しており、前方側からランプ軸Jに沿って後方側を見た場合において、ランプ軸Jを中心として放射状に配置されている。
【0015】
封止体13は、主として透光性材料からなるが、半導体発光素子12から発せられた光の波長を所定の波長へと変換する必要がある場合には、前記透光性材料に光の波長を変換する波長変換材料が混入される。透光性材料としては、例えばシリコーン樹脂を利用することができ、波長変換材料としては、例えば蛍光体粒子を利用することができる。
【0016】
本実施の形態では、青色光を出射する半導体発光素子12と、青色光を黄色光に波長変換する蛍光体粒子が混入された透光性材料で形成された封止体13とが採用されており、半導体発光素子12から出射された青色光の一部が封止体13によって黄色光に波長変換され、未変換の青色光と変換後の黄色光との混色により生成される白色光が半導体発光モジュール10から出射される。
【0017】
さらに、半導体発光モジュール10は、例えば、紫外線発光の半導体発光素子と三原色(赤色、緑色、青色)に発光する各色蛍光体粒子とを組み合わせたものでも良い。さらに、波長変換材料として半導体、金属錯体、有機染料、顔料など、ある波長の光を吸収し、吸収した光とは異なる波長の光を発する物質を含んでいる材料を利用しても良い。半導体発光素子12はその主出射方向を前方、すなわちランプ軸J方向に向けて配置している。
【0018】
(2)基台
図2に戻って、基台20は、例えば、略円柱形状の貫通孔21を有する略円筒形状であり、その筒軸がランプ軸Jと一致する姿勢で配置されている。したがって、図3に示すように、貫通孔21は前後方向に貫通し、基台20の前面22および後面23はいずれも略円環形状の平面である。そして、基台20の前面22に半導体発光モジュール10が搭載されており、これにより各半導体発光素子12がそれぞれの主出射方向を前方に向けた状態で平面配置された状態となっている。このように全ての半導体発光素子12が基台20の前面22に平面配置された構成であるため、基台20へ半導体発光素子12を容易に搭載することでき、照明用光源の組立作業が簡単である。
【0019】
なお、前面22は略円環形状に限定されず、どのような形状であっても良い。また、前面22は、半導体発光素子を平面配置できるのであれば、必ずしも全体が平面である必要はない。さらに、後面23も平面に限定されない。
【0020】
半導体発光モジュール10は、例えば、ねじを用いてビームスプリッター80と共に基台20に共締めで固定されている。なお、半導体発光モジュール10は基台20へ接着または係合などで固定されていても良い。
【0021】
基台20は、例えば金属材料からなり、金属材料としては、例えばAl、Ag、Au、Ni、Rh、Pd、またはそれらの内の2以上からなる合金、またはCuとAgの合金などが考えられる。このような金属材料は、熱伝導性が良好であるため、半導体発光モジュール10で発生した熱をケース60に効率良く伝導させることができる。
【0022】
照明用光源1は、基台20に貫通孔21が設けられているため軽量である。また、貫通孔21内、および、貫通孔21を介してグローブ30内に、回路ユニット40の一部が配置されているため小型である。
【0023】
(3)グローブ
図2に戻って、グローブ30は、本実施の形態では、一般電球形状であるA型の電球のバルブを模した形状であり、グローブ30の開口側端部31をケース60の前方側端部62内に圧入することにより、半導体発光モジュール10およびビームスプリッター80の前方を覆った状態で、ケース60に固定されている。照明用光源1の外囲器は、グローブ30とケース60とで構成されている。
【0024】
なお、グローブ30の形状は、A型の電球のバルブを模した形状に限定されず、どのような形状であっても良い。さらには、照明用光源はグローブを備えない構成でも良い。また、グローブ30は接着剤などによりケース60に固定されていても良い。
【0025】
グローブ30の内面32には、半導体発光モジュール10から発せられた光を拡散させる拡散処理、例えば、シリカや白色顔料等による拡散処理が施されている。グローブ30の内面32に入射した光はグローブ30を透過しグローブ30の外部へと取り出される。
【0026】
(4)回路ユニット
回路ユニット40は、半導体発光素子を点灯させるためのものであって、回路基板42と、当該回路基板42に実装された各種の電子部品43,44とを有している。なお、図面では一部の電子部品にのみ符号を付している。回路ユニット40は、回路ホルダ50内に収容されており、例えば、ネジ止め、接着、係合などにより回路ホルダ50に固定されている。
【0027】
回路基板42は、その主面がランプ軸Jと平行する姿勢で配置されている。このようにすれば、回路ホルダ50内に回路ユニット40をよりコンパクトに格納することができる。また、回路ユニット40は、熱に弱い電子部品43が半導体発光モジュール10から遠い後方側に位置し、熱に強い電子部品44が半導体発光モジュール10に近い前方側に位置するように配置されている。このようにすれば、熱に弱い電子部品44が半導体発光モジュール10で発生する熱によって熱破壊され難い。
【0028】
回路ユニット40と口金70とは、電気配線45,46によって電気的に接続されている。電気配線45は、回路ホルダ50に設けられた貫通孔51を通って、口金70のシェル部71と接続されている。また、電気配線46は、回路ホルダ50の後方側開口54を通って、口金70のアイレット部73と接続されている。
【0029】
回路ユニット40の一部は、基台20の貫通孔21内、および、グローブ30内に配置されている。このようにすることで、基台20よりも後方側における回路ユニット40を収容するためのスペースを小さくすることができる。したがって、基台20と口金70との距離を縮めたり、ケース60の径を小さくしたりすることが可能であり、照明用光源1の小型化に有利である。
【0030】
(5)回路ホルダ
回路ホルダ50は、例えば、両側が開口した略円筒形状であって、大径部52と小径部53とで構成される。前方側に位置する大径部52には回路ユニット40の大半が収容されている。一方、後方側に位置する小径部53には口金70が外嵌されており、これによって回路ホルダ50の後方側開口54が塞がれている。回路ホルダ50は、例えば、樹脂などの絶縁性材料で形成されていることが好ましい。
【0031】
回路ホルダ50の大径部52は基台20の貫通孔21を貫通しており、回路ユニットの一部は回路ホルダ50に収容された状態で基台20の貫通孔21内に配置されている。図3に示すように、回路ホルダ50と基台20とは接触しておらず、回路ホルダ50の外面55と基台20の貫通孔21の内面24との間には隙間が設けられている。また、回路ホルダ50は、半導体発光モジュール10およびビームスプリッター80とも接触しておらず、半導体発光モジュール10の実装基板11と回路ホルダ50の外面55との間、および、回路ホルダ50の前方側端部57とビームスプリッター80との間にも隙間が設けられている。したがって、半導体発光モジュール10で発生した熱が回路ホルダ50へ伝搬し難く、回路ホルダ50が高温になり難いため、回路ユニット40が熱破壊し難い。
【0032】
(6)ケース
図2に戻って、ケース60は、例えば、両端が開口し前方から後方へ向けて縮径した円筒形状を有する。図3に示すように、ケース60の前方側端部62内には基台20とグローブ30の開口側端部31とが収容されており、例えばカシメによりケース60が基台20に固定されている。なお、ケース60、基台20およびグローブ30で囲まれた空間63に接着剤を流し込むなどしてケース60が基台20に固定されていても良い。
【0033】
基台20の後方側端部の外周縁は、ケース60の内周面64の形状にあわせてテーパ形状となっている。そのテーパ面25がケース60の内周面64と面接触しているため、半導体発光モジュール10から基台20へ伝搬した熱が、さらにケース60へ伝導し易くなっている。半導体発光素子12で発生した熱は、主に、基台20およびケース60を介し、さらに回路ホルダ50の小径部53を介して口金70へ伝導し、口金70から照明器具(不図示)側へ放熱される。
【0034】
ケース60は、例えば金属材料からなり、金属材料としては、例えばAl、Ag、Au、Ni、Rh、Pd、またはそれらの内の2以上からなる合金、またはCuとAgの合金などが考えられる。このような金属材料は、熱伝導性が良好であるため、ケース60に伝搬した熱を効率良く口金70側に伝搬させることができる。なお、ケース60の材料は、金属に限定されず、例えば熱伝導率の高い樹脂などであっても良い。
【0035】
(7)口金
図2に戻って、口金70は、照明用光源1が照明器具に取り付けられ点灯された際に、照明器具のソケットから電力を受けるための部材である。口金70の種類は、特に限定されるものではないが、本実施の形態ではエジソンタイプであるE26口金が使用されている。口金70は、略円筒形状であって外周面が雄ネジとなっているシェル部71と、シェル部71に絶縁部72を介して装着されたアイレット部73とを備える。シェル部71とケース60との間には絶縁部材74が介在している。
【0036】
(8)ビームスプリッター
図5は、第1の実施形態に係るビームスプリッターを示す断面図である。図5に示すように、ビームスプリッター80は、例えば、有底筒状であって、両側が開口した略円筒形状の本体部81と、本体部81の後方側開口を塞ぐ略円環形状の取付部82とを備え、回路ホルダ50の前方側端部57に取り付けられている。なお、例えば図3における二点鎖線が本体部81と取付部82との境界である。
【0037】
図6は、図1に示すB−B線に沿った断面矢視図である。図6に示すように、ビームスプリッター80には、孔部83が設けられており、取付部82の外周縁を半導体発光モジュール10の実装基板11の内周縁に載置した状態で、孔部83に挿入したねじ90を基台20のねじ穴26にねじ込むことによって、ビームスプリッター80および実装基板11が基台20に共締めされている。なお、図1に示すように、孔部83は、例えば取付部82の外周縁の3箇所に設けられている。
【0038】
図4に示すように、実装基板11の素子実装部15の内周縁には、一箇所に切欠部18が設けられており、また図3に示すように、取付部82の後面には、一箇所に突起84が設けられている。これら切欠部18および突起84を利用すれは、突起84を切欠部18に嵌め込むだけの簡単な作業で、半導体発光素子12の位置に対応する適切な位置にビームスプリッター80を位置決めすることができる。
【0039】
また、取付部82の前面85にも、回路ホルダ50の蓋材58の後方側端部59と係合する略円柱形状の凹部86が設けられており、凹部86に後方側端部59を嵌め込み接着などすることによって、キャップ状の蓋材58がビームスプリッター80に取り付けられる。
【0040】
取付部82の略中央には略円形の孔部87が設けられており、この孔部87を介して回路ホルダ50内の空間と蓋材58内の空間とが連通している。したがって、本来回路ホルダ50内に収容される回路ユニット40の一部を孔部87内および蓋材58内にも収容することができる。また、孔部87が設けられているため、ビームスプリッター80が回路ユニット40収容の邪魔にならない。
【0041】
ビームスプリッター80は、透光性材料からなる。透光性材料としては、例えば、ポリカーボネート等の樹脂材料、ガラス、セラミックなどが考えられる。そして、本体部81の外周面88には鏡面処理が施されている。外周面88に鏡面処理を施す方法としては、例えば金属薄膜や誘電体多層膜などの反射膜を、例えば熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタ法、メッキ、などの方法により形成することが考えられる。
【0042】
図2に示すように、本体部81は、その外径が後方から前方へ向けて漸次拡径した略円筒状であり、後方側からランプ軸Jに沿って前方側を見た場合において、本体部81の外周面88は環状である。本体部81は、その筒軸と基台20の前面22とが直交するような姿勢で、半導体発光モジュール10から浮いた状態で、半導体発光素子12の前方に配置されている。環状に配置された半導体発光素子12の前方は、環状の外周面88で覆われた状態となっており、半導体発光素子12と外周面88とが対向している。すなわち、半導体発光素子12の主出射方向は外周面88に向けられており、外周面88がビームスプリッター80の受光面となっている。
【0043】
半導体発光モジュール10から出射され本体部81の外周面88に入射した主出射光は、図3の光路L1で示すように、その一部が外周面88によって基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射される。また、図3の光路L2で示すように、他の一部は本体部81を透過して前方に向かう。すなわち、ビームスプリッター80のビームスプリッターとしての機能は、主に本体部81によって発揮される。
【0044】
半導体発光素子12の主出射光の一部を基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射させる本体部81を備えているため、照射角が狭い半導体発光素子12を用いていても照明用光源1の配光特性が良好である。また、半導体発光素子12が環状に配置されており、それに対応して外周面88も環状に配置されているため、基台20の前面22を避けた斜め後方への反射は、基台20の外側全周に亘って生じる。したがって、ランプ軸Jを中心とする全周に亘って配光特性が良好である。
【0045】
さらに、本体部81は、一部の光を反射させるだけでなく、他の一部の光を透過させるため、ビームスプリッター80による影が生じ難く、点灯時に照明用光源1を前方から見た場合の意匠性が良好である。
【0046】
本実施の形態では、ビームスプリッター80の反射率(外周面88の反射率)が50%となり、ビームスプリッター80の透過率(外周面88の透過率)が50%となるように、外周面88に鏡面加工が施されている。照明用光源1の配光特性を良好に保つためには、反射率は50%以上であることが好ましい。また、照明用光源1の点灯時の意匠性を良好に保つためには、透過率は40%以上であることが好ましい。まとめると、本体部81による光の吸収が0%と仮定した場合、反射率は、50%〜60%が好ましく、透過率は、40%〜50%が好ましい。
【0047】
なお、反射率および透過率は、外周面88の全体に亘って均一である必要はなく、領域によってそれらが変化する構成でも良い。
図3に示すように、半導体発光モジュール10の封止体13は、前方側からランプ軸Jに沿って後方側を見た場合において、本体部81の真下に位置し、封止体13全体がビームスプリッター80によって覆われている。外周面88の後方側端縁(外周面88のランプ軸J側端縁)89は、半導体発光素子12の照射角θのランプ軸J側の臨界角上、もしくは、当該臨界角よりもランプ軸J側に位置している。この構成により、ビームスプリッター80の後面と半導体発光モジュール10との隙間に出射光が入り難くなっており、出射光のロスが防止されている。
【0048】
本体部81の外周面88は、本体部81の筒軸側に凹入した凹曲面形状である。より具体的には、本体部81をランプ軸J(本体部81の筒軸と一致)を含む仮想面で切断した場合の切断面(以下、「縦断面」と称する)において、外周面88の形状はランプ軸J側に膨らんだ略円弧形状である。言い換えると、前記切断面における外周面88の後方側端縁89と前方側端縁とを結ぶ直線よりもランプ軸J側に凹入した略円弧形状である。具体的には、本実施の形態の場合、縦断面における外周面88の円弧の形状は略楕円弧形状である。
【0049】
このような形状は、より真後ろに近い(よりランプ軸Jと平行に近い)斜め後方に半導体発光素子12の出射光を反射させることに適しており、照明用光源1の配光角を広げるのに有効である。また、反射光を特定の方向に集中させるのにも有利である。
【0050】
なお、本実施の形態では、本体部81の外周面88の全体に鏡面処理が施されているが、必ずしも全体に鏡面処理が施されている必要はなく、外周面88の一部のみに鏡面処理が施されていても良い。一部に鏡面処理を施さないことによって、前方へ抜ける光量を局所的に増加させることができる。
【0051】
また、ビームスプリッター80の本体部81の外周面88の形状は、縦断面においてランプ軸J側に膨らんだ略円弧形状に限定されず、図7(a)に示すように、ビームスプリッター80aの本体部81aの外周面88aの形状は、縦断面において直線状であっても良い。また、図7(b)に示すように、ビームスプリッター80bの本体部81bの外周面88bの形状は、縦断面においてランプ軸Jとは反対側に膨らんだ略円弧形状であっても良い。
【0052】
また、本実施の形態に係るビームスプリッター80は有底筒状であったが、図7(c)に示すように、ビームスプリッター80cは、略板状であっても良い。例えば、回路ユニット40が回路ホルダ50内に収まっているのであれば、ビームスプリッター80cに孔部は必要でないので、孔部のない略円板形状のビームスプリッター80cとすることが考えられる。この場合、ビームスプリッター80cには、半導体発光素子12と対向する領域に受光面88cを設けることが考えられる。
【0053】
さらに、図7(d)に示すように、ビームスプリッター80dが、受光面88dが設けられた略円板形状である場合に、ビームスプリッター80dの前面89dを凹曲面形状にして、ビームスプリッター80d内から出射する光を前方へ集中させる構成としても良い。
【0054】
[照明用光源の配光特性]
次に、照明用光源1の配光特性が良好である理由を詳細に説明する。図8は、照明用光源の配光特性を説明するための配光曲線図である。図8に示すように、配光曲線図は、照明用光源1の前後方向を含む360°の各方向に対する光度の大きさを表しており、照明用光源1のランプ軸Jに沿った前方を0°、ランプ軸Jに沿った後方を180°として、時計回りおよび反時計回りにそれぞれ10°間隔に目盛を刻んでいる。配光曲線図の径方向に付した目盛は光度を表しており、光度は各配光曲線における最大値を1とする相対的な大きさで表されている。
【0055】
図8において、一点鎖線を用いて白熱電球の配光曲線Aを示し、破線を用いて特許文献1の照明用光源900の配光曲線Bを示し、実線を用いて本実施の形態に係る照明用光源1の配光曲線Cを示している。
【0056】
配光特性は配光角に基づき評価した。配光角とは、照明用光源における光度の最大値の半分以上の光度が出射される角度範囲の大きさをいう。図8に示す配光曲線の場合は、光度が0.5以上となる角度範囲の大きさである。
【0057】
図8から分かるように、白熱電球の配光角は約315°であり、特許文献1の照明用光源900の配光角は約165°であり、本実施の形態に係る照明用光源1の配光角は約270°である。このように、照明用光源1は、照明用光源900よりも配光角が広く、白熱電球により近い配光角を有する。したがって、照明用光源1は、照明用光源900よりも配光特性が良く、白熱電球に近似した配光特性を有するといえる。
【0058】
なお、照明用光源1の配光角を更に大きくする方法の1つとして、半導体発光素子12を、実装基板11の素子実装部15の外周縁に配置することが考えられる。このようにすれば、ビームスプリッター80によって、より真後ろに近い(よりランプ軸Jと平行に近い)斜め後方に半導体発光素子12の出射光を反射させることができる。
【0059】
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係る照明用光源の要部構成を示す断面図である。図9に示すように、第2の実施の形態に係る照明用光源100は、ビームスプリッター180が回路ホルダ150ではなく半導体発光モジュール110の実装基板111に固定されている点において、第1の実施形態に係る照明用光源1と相違する。その他の構成については基本的に第1の実施形態に係る照明用光源1と略同様である。したがって、上記相違点についてのみ詳細に説明し、その他の構成については説明を簡略若しくは省略する。なお、第1の実施形態と同じ部材については、そのまま第1の実施形態と同じ符号を用いている。
【0060】
第2の実施形態に係る照明用光源100は、白熱電球の代替品となるLEDランプであって、光源としての半導体発光モジュール110と、半導体発光モジュール110が搭載された基台20と、半導体発光モジュール110を覆うグローブ30と、半導体発光モジュール110を点灯させるための回路ユニット40と、回路ユニット40を収容した回路ホルダ150と、回路ホルダ150を覆うケース60と、回路ユニット40と電気的に接続された口金(不図示)と、半導体発光モジュール110からの出射光を拡散させるためのビームスプリッター180とを備える。
【0061】
半導体発光モジュール110は、実装基板111、複数の半導体発光素子(不図示)および113を備え、コネクタ117が実装基板111の舌片部116の後面ではなく前面に設けられている点を除いては、第1の実施形態に係る半導体発光モジュール10と略同じ態様である。なお、コネクタ117には、第1の実施形態と同様に回路ユニット40の配線41が接続される。
【0062】
回路ホルダ150は、前方側端部157にビームスプリッター180ではなく蓋材158の後方側端部159が取り付けられている点を除いては、第1の実施の形態に係る回路ホルダ50と略同じ態様である。
【0063】
ビームスプリッター180は、例えば、第1の実施形態に係るビームスプリッター80のような取付部82を有しておらず、両側が開口した略円筒形状の本体部181だけで構成されている。本体部181は、第1の実施形態に係るビームスプリッター80の本体部81の後方側端部をランプ軸Jに沿って後方に延出させたような略円筒形状であり、第1の実施形態のように回路ホルダ150には固定されておらず、後方側端部189が実装基板111の素子実装面115の前面119に固定されている。
【0064】
本体部181の外周面188は全体が鏡面処理されており受光面となっている。半導体発光モジュール110から出射され外周面188に入射した主出射光は、その一部が外周面188によって基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射され、他の一部が本体部181を透過して前方に向かう。そのため、照射角が狭い半導体発光素子を用いても照明用光源100の配光特性が良好である。さらに、ビームスプリッター180は、一部の光を反射させるだけでなく、他の一部の光を透過させるため、照明用光源100の点灯時の意匠性が良好である。
【0065】
第2の実施形態に係る照明用光源100は、上記のような構成であるため、ビームスプリッター180と半導体発光モジュール110の実装基板111との間に隙間がなく、半導体発光モジュール110の出射光がその隙間に侵入してロスすることがない。また、ビームスプリッター180を固定し易い。
【0066】
<第3の実施形態>
図10は、第3の実施形態に係る照明用光源の要部構成を示す断面図である。図10に示すように、第3の実施の形態に係る照明用光源200は、ビームスプリッター280が実装基板111に固定されているのではなく、グローブ230に固定されている点において、第2の実施形態に係る照明用光源100と相違する。その他の構成については基本的に第2の実施形態に係る照明用光源100と略同様である。したがって、上記相違点についてのみ詳細に説明し、その他の構成については説明を簡略若しくは省略する。なお、既に説明した実施形態と同じ部材が使用されている場合は、その実施形態と同じ符号を用いている。
【0067】
第3の実施形態に係る照明用光源200は、白熱電球の代替品となるLEDランプであって、光源としての半導体発光モジュール110と、半導体発光モジュール110が搭載された基台20と、半導体発光モジュール110を覆うグローブ230と、半導体発光モジュール110を点灯させるための回路ユニット40と、回路ユニット40を収容した回路ホルダ150と、回路ホルダ150を覆うケース60と、回路ユニット40と電気的に接続された口金(不図示)と、半導体発光モジュール110からの出射光を拡散させるためのビームスプリッター280とを備える。
【0068】
グローブ230は、ランプ軸Jと直交する仮想面によってグローブ230を前後方向に2分割してなる前方側部材231および後方側部材232で構成されており、それら前方側部材231および後方側部材232を合わせて一般電球形状であるA型の電球のバルブを模した形状となる。後方側部材232の後方側端部233はケース60の前方側端部62内に収容されており、ケース60、基台20および後方側部材232が、例えば接着剤を流し込むなどして一体に固着されている。後方側部材232の前方側には前方側部材231が取り付けられている。
【0069】
ビームスプリッター280は、例えば、第1の実施形態に係るビームスプリッター80の本体部81の前方側端部をランプ軸Jから遠ざかるように延出させたような略円筒形状であり、第2の実施形態のように実装基板111には固定されておらず、前方側端部289がグローブ230の後方側部材232に固定されている。具体的には、後方側部材232の前方側端部234には本体部281の前方側端部289を係合させるための係合溝235が設けられており、係合溝235に前方側端部289を係合させることによって固定されている。
【0070】
本体部281の外周面288は全体が鏡面処理されており受光面となっている。半導体発光モジュール110から出射され外周面288に入射した主出射光は、その一部が外周面288によって基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射され、他の一部が本体部281を透過して前方に向かう。そのため、照射角が狭い半導体発光素子を用いても照明用光源100の配光特性が良好である。さらに、ビームスプリッター280は、一部の光を反射させるだけでなく、他の一部の光を透過させるため、照明用光源200の点灯時の意匠性が良好である。
【0071】
第3の実施形態に係る照明用光源200は、上記のような構成であるため、ビームスプリッター280が半導体発光モジュール110や回路ホルダ150と接触していない。したがって、ビームスプリッター280に半導体発光モジュール110で発生した熱が伝わり難い。
【0072】
<第4の実施形態>
図11は、第4の実施形態に係る照明用光源の要部構成を示す断面図である。図11に示すように、第4の実施の形態に係る照明用光源300は、グローブを備えておらず、ビームスプリッター380がグローブの役割を果たす点において、第1の実施形態に係る照明用光源1と相違する。その他の構成については基本的に第1の実施形態に係る照明用光源1と略同様である。したがって、上記相違点についてのみ詳細に説明し、その他の構成については説明を簡略若しくは省略する。なお、第1の実施形態と同じ部材については、第1の実施形態と同じ符号を用いている。
【0073】
第4の実施形態に係る照明用光源300は、白熱電球の代替品となるLEDランプであって、光源としての半導体発光モジュール10と、半導体発光モジュール10が搭載された基台20と、半導体発光モジュール10を点灯させるための回路ユニット40と、回路ユニット40を収容した回路ホルダ350と、回路ホルダ350を覆うケース60と、回路ユニット40と電気的に接続された口金(不図示)と、半導体発光モジュール10からの出射光を拡散させるためのビームスプリッター380とを備える。
【0074】
回路ホルダ350は、前方側端部357にビームスプリッター380ではなく、略板状の蓋材358が取り付けられている点を除いては、第1の実施の形態に係る回路ホルダ50と略同じ態様である。
【0075】
ビームスプリッター380は、前面382が凸曲面形状の板状であって半導体発光モジュール10を覆っており、ビームスプリッター380の後方側端部381がケース60の前方側端部62内に差し込まれた状態でケース60に固定されている。ビームスプリッター380の後面383には、実装基板11上に環状に配置された半導体発光素子(不図示)に対応する位置に、ランプ軸Jを中心とした環状の受光面384が形成されている。受光面384は、縦断面において封止体13を覆うような略円弧形状に形成されており、その受光面384に鏡面加工が施されている。
【0076】
半導体発光モジュール10から出射されビームスプリッター380の受光面384に入射した主出射光は、その一部が受光面384によって基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射され、他の一部がビームスプリッター380を透過して前方に向かう。そのため、照射角が狭い半導体発光素子を用いても照明用光源300の配光特性が良好である。さらに、ビームスプリッター380は、一部の光を反射させるだけでなく、他の一部の光を透過させるため、照明用光源100の点灯時の意匠性が良好である。
【0077】
第4の実施形態に係る照明用光源300は、上記のような構成であるため、グローブを必要としないぶん部材点数が少なく、照明用光源300の組立作業がより簡単である。
<第5の実施形態>
図12は、第5の実施形態に係る照明用光源を説明するための図であって、図12(a)は照明用光源の要部構成を示す断面図であり、図12(b)は半導体発光モジュールの平面図である。図12(a)に示すように、第5の実施の形態に係る照明用光源400は、半導体発光モジュール410にはランプ軸J付近にも半導体発光素子412が配置されている点において、第2の実施形態に係る照明用光源100と相違する。その他の構成については基本的に第2の実施形態に係る照明用光源100と略同様である。したがって、上記相違点についてのみ詳細に説明し、その他の構成については説明を簡略若しくは省略する。なお、既に説明した実施形態と同じ部材が使用されている場合は、その実施形態と同じ符号を用いている。
【0078】
第5の実施形態に係る照明用光源400は、白熱電球の代替品となるLEDランプであって、光源としての半導体発光モジュール410と、半導体発光モジュール410が搭載された基台20と、半導体発光モジュール410を覆うグローブ30と、半導体発光モジュール410を点灯させるための回路ユニット40と、回路ユニット40を収容した回路ホルダ350と、回路ホルダ150を覆うケース60と、回路ユニット40と電気的に接続された口金(不図示)と、半導体発光モジュール410からの出射光を拡散させるためのビームスプリッター180とを備える。
【0079】
図12(b)に示すように、半導体発光モジュール410は、略円環形状ではなく略円形状の実装基板411を有し、実装基板411には半導体発光素子412が環状に配置されているだけでなく、その環の内側にも配置されている。具体的には、例えば、実装基板411の中央領域(ランプ軸J付近の領域)に、例えば2個を1組とする4組の半導体発光素子412が配置されている。それら4組の半導体発光素子412は、ビームスプリッター180の内側に位置している。なお、半導体発光素子412は1組ごと封止体413により封止されている。また、実装基板411の後面にはコネクタ417が設けられている。
【0080】
第5の実施形態に係る照明用光源400は、上記のような構成であるため、ビームスプリッター180の内側に位置する半導体発光素子412から出射された光が、ビームスプリッター180に殆ど干渉されることなく前方へ向かう。したがって、前方へ向かう光量を大きくすることができるため、ビームスプリッター180による影が生じ難い。
【0081】
<変形例>
以上、本発明の構成を第1〜第5の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施の形態に限られない。例えば、第1〜第5の実施形態に係る照明用光源の部分的な構成、および下記の変形例に係る構成を、適宜組み合わせてなる照明用光源であっても良い。また、上記実施の形態に記載した材料、数値等は好ましいものを例示しているだけであり、それに限定されることはない。さらに、本発明の技術的思想の範囲を逸脱しない範囲で、照明用光源の構成に適宜変更を加えることは可能である。
【0082】
例えば、本発明に係る半導体発光モジュールは、半導体発光素子を複数ではなく1つだけ備える構成であっても良い。
また、図13(a)に示す半導体発光モジュール510のように、封止体513を、実装基板511の素子実装部515に、封止体513の長手方向が素子実装部515の周方向に沿うように配置しても良い。実装基板511の素子実装部515には複数の半導体発光素子512が素子実装部515の周方向に沿って並べて配置され、それら半導体発光素子512は2個を1組として封止体513により封止されており、封止体513の長手方向は素子実装部15の周方向に沿っている。このような構成とすれば、発光する部分が素子実装部515の周方向においてより連続に近い状態となるため、周方向の照度むらが生じ難い。
【0083】
また、図13(b)に示す半導体発光モジュール610のように、複数の半導体発光素子612を、実装基板611の素子実装部615に、素子実装部615の周方向に沿って千鳥状に配置しても良い。半導体発光素子612は、例えば1個ずつ個別の封止体613で封止されている。このような構成とすれば、発光する部分をより満遍なく素子実装部615上に形成することができ、より配光特性が良好になる。
【0084】
また、図13(c)に示す半導体発光モジュール710のように、複数の半導体発光素子712を、実装基板711の素子実装部715に、素子実装部715の周方向に沿って並べて配置し、全ての半導体発光素子712を1つの略円環形状の封止体713で封止しても良い。このような構成とすれば、発光する部分を素子実装部715の周方向に連続させることができるため、周方向の照度むらが生じ難い。
【0085】
また、図13(d)に示す半導体発光モジュール810のように、基台20に複数を組み合わせて搭載するものであっても良い。例えば、実装基板811は略半円弧形状の素子実装部815と素子実装部815の一箇所から延出した舌片部816とからなり、素子実装部815には複数の半導体発光素子812が円弧状に並べて配置されており、それら半導体発光素子812が1つの略円弧形状の封止体813で封止されている。また、舌片部816にはコネクタ817が設けられている。このような構成であったとしても、各半導体発光モジュール810が基台20の前面22に搭載される、すなわち平面配置されるのであれば、組立作業は煩雑にならない。
【0086】
次に、本発明に係るグローブ30に関しての変形例を説明する。グローブ30には、ビームスプリッター80により基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射した光が到達する領域(図2おいて符号34で示す領域。以下、開口部近傍領域34と称する。)に、それ以外の領域よりも光拡散性が高くなるような拡散処理が施されていても良い。
【0087】
図14は、変形例に係るグローブに施された拡散処理を説明するための図であり、グローブ30の開口部近傍領域34を切断し、その切断面のみを表した端面図であり、ランプ軸Jを含む平面で切断した端面図である。
【0088】
グローブ30の内周面32には、開口部近傍領域34に、半径R(例えば、R=40μm)を有する半球状の第1の窪み35が一様に複数形成されている。また、各第1の窪み35の内面には、第1の窪み35よりも小さい半径r(例えば、r=5μm)を有する半球状の第2の窪み36が一様に複数形成されている。なお、第1の窪み35の半径は、R=20μm〜40μmの範囲が好ましく、第2の窪みの半径は、r=2μm〜8μmの範囲が好ましい。
【0089】
このように、一様に形成した微小な窪み(ディンプル)の各々に、これよりも小さい窪み(ディンプル)を一様に形成するといった、二重の窪み構造の領域を形成することにより、外周面88によって基台20の前面22を避けた斜め後方へ反射された光をグローブ30(の開口部近傍領域34)で拡散して、配光範囲をさらに後方に広げることができる。
【0090】
特に、このような二重窪み構造を開口部近傍領域34のみに形成し、それ以外の領域には二重窪み構造を形成しないことで、斜め後方へ反射された光以外の光、例えば前方や側方へ向かう光を、グローブ30でロスさせることなく効率良くグローブ30の外側へ取り出すことができる。
【0091】
また、半導体発光素子はその主出射方向を前方、すなわちランプ軸J方向に向けて配置したが、半導体発光素子をランプ軸J方向に対して全て、あるいは一部を傾けて配置しても良く、これにより、配光の制御性が向上し、所望の配光を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、照明一般に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1,100,200,300,400 照明用光源
12,512,612,712,812 半導体発光素子
18 内面
20 基台
21 貫通孔
22 前面
30 グローブ
35,36 窪み
40 回路ユニット
50,150,350 回路ホルダ
55 外面
80,180,280,380 ビームスプリッター
88,188,288,384 外周面(受光面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体発光素子が基台の前面にそれぞれの主出射方向を前方に向けた状態で平面配置されており、各半導体発光素子の前方には、それら半導体発光素子の主出射光の一部を前記基台の前面を避けた斜め後方へ反射させ、他の一部を前方に向けて透過させるビームスプリッターが配置されていることを特徴とする照明用光源。
【請求項2】
前記複数の半導体発光素子は、前記基台の前面に環状に配置されており、前記ビームスプリッターは、それら半導体発光素子と対向する環状の受光面を有し、当該受光面に入射した光の一部を前記基台の前面を避けた斜め後方へ反射させ、他の一部を前方に向けて透過させることを特徴とする請求項1記載の照明用光源。
【請求項3】
前記ビームスプリッターは筒状の本体部を有し、前記本体部は、その筒軸が前記基台の前面と直交し、その外径が後方から前方へ向けて漸次拡径し、その外周面が前記複数の半導体発光素子の前方を覆っており、前記本体部の外周面が前記受光面であることを特徴とする請求項2記載の照明用光源。
【請求項4】
前記本体部の外周面は、前記本体部の筒軸側に凹入した凹曲面形状であることを特徴とする請求項3記載の照明用光源。
【請求項5】
前記ビームスプリッターは、反射率が50%〜60%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明用光源。
【請求項6】
前記ビームスプリッターは、透過率が40%〜50%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の照明用光源。
【請求項7】
前記基台は前後方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔内には前記複数の半導体発光素子を点灯させるための回路ユニットの少なくとも一部が配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の照明用光源。
【請求項8】
前記ビームスプリッターの前方を覆うグローブを備え、当該グローブは、前記斜め後方へ反射した光が到達する領域の方がそれ以外の領域よりも光拡散性が高いことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の照明用光源。
【請求項9】
半導体発光素子をランプ軸方向に対して全て、あるいは一部を傾けて配置したことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の照明用光源。
【請求項10】
前記グローブの内周面には、前記斜め後方へ反射した光が到達する領域に複数の窪みが形成されており、それぞれの窪みの内面にはさらに窪みが形成されていることを特徴とする請求項8に記載の照明用光源。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−151145(P2012−151145A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6412(P2011−6412)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】