説明

照明用発光ダイオードライトチューブ

【課題】照度を減少せず、光源を均一でブライトスポット無しにさせる照明用発光ダイオードライトチューブを提供する。
【解決手段】照明用発光ダイオードライトチューブ100は、透光性チューブ110、蛍光粉層120、および基板130を備える。蛍光粉層120は、透光性チューブ110の表面に塗布され、厚さが10〜100μmである。基板130は、透光性チューブ110内に設けられ、複数の発光ダイオード131を支える。発光ダイオード131と透光性チューブ110との距離がHであり、2つ発光ダイオード131間の設置位置距離がPであり、H/Pが0.134以上であり、Hが9.5〜38mmである。これにより、照明用発光ダイオードライトチューブ100は、光源の均一度を高めることができると共に、照度を損なうことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライトチューブに関し、特に、照明用発光ダイオードライトチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LEDと略す)は、半導体素子である。最初は、多くの場合、表示灯、表示板等として用いられたが、白光発光ダイオードの出現に伴い、照明にも用いられるようになってきた。発光ダイオードは、21世紀の新型光源であり、効率が高く、寿命が長く、破損しにくく、伝統的な光源が匹敵できない長所を持っている。順電圧を加えると、発光ダイオードは、単色光や、不連続的な光を発生することができ、エレクトロルミネッセンス(Electorluminescent;EL)効果を有する。採用した半導体材料の化学組成成分を変えることによって、発光ダイオードに近紫外線、可視光又は赤外線の光を発生させることができる。
なお、照明用発光ダイオードライトチューブは例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−218160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蛍光灯の仕様が数年続いて用いられていた。蛍光灯の周辺産業の要求に応じるために、照明用発光ダイオードライトチューブが登場した。従来の照明用発光ダイオードライトチューブは、照明用発光ダイオードの諸優勢を踏襲した。しかしながら、発光ダイオードを単に一般的な透光性チューブ内に置けば、発光ダイオードの自体が点光源であることから、例えば、グレア(glare)又は照度分布のバラツキ等の問題を引き起こってしまう。
上記問題を解決するため、本発明は、照度が減少せず、光源を均一でブライトスポット無しにさせる照明用発光ダイオードライトチューブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明による照明用発光ダイオードライトチューブは、透光性チューブ、蛍光粉層、および基板を備える。蛍光粉層は、透光性チューブの表面に塗布され、厚さが10〜100μmである。基板は、透光性チューブ内に設けられ、複数の発光ダイオードを支える。発光ダイオードと透光性チューブとの距離はHであり、2つの発光ダイオード間の設置位置距離はPであるとすると、H/Pは0.134以上であり、Hは9.5〜38mmである。
【0006】
透光性チューブは、長さが200〜1500mmであるガラスチューブであってよい。本発明による照明用発光ダイオードライトチューブは、透光性チューブの一端および他端に位置して基板を透光性チューブ内に密封する2つのカバーを更に備える。一方、透光性チューブと2つのカバーとによって密封空間を形成する。密封空間を真空になるように排気させることにしてもよい。また、例えば、ネオンガス、アルゴンガス等の不活性ガスを密封空間に充填することにしてもよい。これにより、透光性チューブ内の製品を損なう水気、酸素等のガス物質を遮断することができる。
【0007】
蛍光粉粒子の粒径は、1〜40μmであり、蛍光粉層の厚さより小さい。特に、蛍光粉層内部の蛍光粉粒子の粒径は、5〜20μmに抑えられることができる。蛍光粉層は、励起波長が300〜500nmであり、且つ放射波長が400〜700nmである。発光ダイオードの波長は、300〜700nmである。最大光進行角度110〜140度の発光ダイオードを採用することができる。もちろん、光進行角度を110〜180度にしてもよい。
【0008】
そのように、本発明による照明用発光ダイオードライトチューブは、照度と均一度とをともに配慮した白光を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブの断面図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】本発明の一実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブの動作原理を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブにおける発光ダイオードの光照射強度/視角関係図である。
【図7】本発明の一実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブにおける発光ダイオードの光進行角度の極限を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(一実施形態)
図1において、照明用発光ダイオードライトチューブ100は、透光性チューブ110、蛍光粉層120、および基板130を備える。蛍光粉層120は、透光性チューブ110の表面に塗布され、厚さが10〜100μmである。基板130は、透光性チューブ110内に設けられ、複数の発光ダイオード131を支える。本実施形態による照明用発光ダイオードライトチューブ100は、照明用光源を提供するものである。例としては、発光ダイオード131が青い光を発生させることができ、蛍光粉層120が黄色い蛍光粉であってよい。放熱板150は、表面が基板130に貼り付けられ、発光ダイオード131の放熱に寄与する。例としては、放熱板150は、一方の面が基板130に貼り付けられ、貼り付け箇所に放熱グリースを塗ってもよく、一方の面と反対側の面に例えば放熱フィンのような表面積を増加するための放熱体151を設けてよい。
【0011】
図2において、電源200は、基板130に電気的に接続され、電力を発光ダイオード131に提供する。透光性チューブ110は、ガラスチューブであってよく、長さが200〜1500mmである。例として、ガラスチューブは、主な成分がシリコンであり、カリウム、ナトリウム、ホウ素等のような成分がドーピングされてよい。一方、透光性チューブ110は、透光性チューブ110の一端および他端に位置して基板130を透光性チューブ110内に密封する2つのカバー140を更に備える。もちろん、本実施形態において、透光性チューブ110と2つのカバー140とによって形成される密封空間を真空になるように排気させることにしてもよい。また、例えば、アルゴン、ネオンガス等の不活性ガスを密封空間に充填することにしてもよい。これにより、チューブ内の製品を損なう水気、酸素等のガス物質を遮断し、更に防湿の効果を有する。
【0012】
蛍光粉粒子121の粒径は、1〜40μmであり、蛍光粉層120の厚さより小さい。特に、蛍光粉層120内部の蛍光粉粒子121の粒径は、更に5〜20μmに抑えられることができる。例えば、蛍光粉層120の厚さが10μmであることに応じて、粒径が5μmの蛍光粉粒子121を採用する。更に言うと、蛍光粉層120は、励起波長が300〜500nmであり、且つ放射波長が400〜700nmである。発光ダイオード131の波長は、300〜700nmである。
【0013】
蛍光粉層120は、常温形成工程を介して、水又は溶媒によって常温で透光性チューブ110の表面に塗布される。例を挙げて言うと、常温での水塗布方法によって形成した照明用発光ダイオードライトチューブ100は、形成工程において、加工しやすく、快速に形成することができるという優勢を持っている。そして、発光ダイオード131の発生した光は、透光性チューブ110内で数回反射されてから出るので、光均一性が非常によく、且つ照度が一般的な蛍光灯より高い。一方、基板130は、一側が発光ダイオード131を支え、他側が放熱板150に貼り付けられ、放熱の効果を有し、熱による光減衰を避ける。
【0014】
図3において、基板130は、放熱板150の上に設けられる。全体から言うと、放熱板150、基板130、および発光ダイオード131は、ともに透光性チューブ110の隅に位置する。これにより、発光ダイオード131と光進行方向の透光性チューブ110との間の距離を、透光性チューブ110自体の直径と見なすようになっている。なお、放熱板150は、軽金属(例えばアルミニウム)で形成されたものや放熱パッドであってよい。アルミニウムのフィン板を放熱板150とする場合、放熱板150のサイズを基板130のザイズよりわずかに大きくする。放熱パッドを放熱板150とする場合、放熱板150を基板130と同じサイズにしてもよい。
【0015】
図4において、発光ダイオード131と透光性チューブ110との間の距離はHであり、2つの発光ダイオード131間の設置位置距離はPであり、H/Pは0.134以上であり、且つHは9.5〜38mmである。つまり、Hは、ほぼ透光性チューブ110自体の直径に相当する。透光性チューブ110は、T5、T8、T12等のような国際標準を採用してよい。H/Pの比率の下限を0.134にするのは、本願の発明者が以下のように精密に計算したものである。
【0016】
図5において、発光ダイオード131の光進行角度は、110〜140度であってよい。例えば、最大光進行角度を130度にする。なお、光進行角度は、照度が50%減少した限界を指す。もちろん、光進行角度を180度にしてもよい。図5に示すように、各発光ダイオード131に提供された束光強度I0は、距離に伴って減衰する。光強度が60%だけ残った場合、即ち(3/5)I0である時、両者(I0と(3/5)I0)の間の差異は、人の目で識別される。しかし、本実施形態において、2つ発光ダイオード131の30%照度I0で、互いに重なって照度を補足する。発光ダイオード131が発生した青い光は、重なってから、透光性チューブ110の表面の蛍光粉層120に到達する。これにより、ブライトスポットが除去され、光源を均一にさせることができる。
【0017】
人の目の識別能力を考慮して精密に計算したところ、H/Pの比率は0.134以上である必要があることが発見された。図6から、単独の発光ダイオード131の光照射強度が角度によって発散する変化が見られる。これにより、(3/10)I0の光照射強度が約視角75度に落ちることは観察されることができる。つまり、2つの互いに隣接する発光ダイオード131の交差部をそれぞれの(3/10)I0光照射強度に落ちさせれば、両者が互いに補足することによって、人の目の視覚明度識別能力の下限、即ち60%の総照度I0を発生させることができる。
【0018】
図7に示すように、光進行角度が130度である場合、発光ダイオード131(LED)が発生する光線は、均一に透光性チューブ110の表面に到着することができる。即ち、互いに隣接する2つの発光ダイオード131が光線の交差部で発生したそれぞれの(3/10)I0強度の光は、互いに補足されて(3/5)I0強度の光になり、人の目で識別できるような境界線に達する。各発光ダイオード131間の設置位置距離Pと、発光ダイオード131から透光性チューブ110までの距離Hとは、
【数1】

という式を満たす必要がある。
【0019】
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0020】
100・・・照明用発光ダイオードライトチューブ、
110・・・透光性チューブ、
120・・・蛍光粉層、
121・・・蛍光粉粒子、
130・・・基板、
131・・・発光ダイオード、
140・・・カバー、
150・・・放熱板、
151・・・放熱体、
200・・・電源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性チューブと、
前記透光性チューブの表面に塗布され、厚さが10〜100μmである蛍光粉層と、
前記透光性チューブ内に設けられ、複数の発光ダイオードを支える基板と、
を備え、
前記発光ダイオードと前記透光性チューブとの距離H、2つの前記発光ダイオード間の設置位置距離Pとすると、
H/Pは、0.134以上であり、Hは9.5〜38mmであることを特徴とする照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項2】
前記透光性チューブは、ガラスチューブであることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項3】
前記蛍光粉層内部の蛍光粉粒子の粒径は、1〜40μmであり、前記蛍光粉層の厚さより小さいことを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項4】
前記蛍光粉層内部の蛍光粉粒子の粒径は、5〜20μmであることを特徴とする請求項3に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項5】
前記蛍光粉層は、励起波長が300〜500nmであり、放射波長が400〜700nmであることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項6】
前記複数の発光ダイオードは、波長が300〜700nmであることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項7】
前記複数の発光ダイオードは、最大光進行角度が110〜140度であることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項8】
前記複数の発光ダイオードは、最大光進行角度が110〜180度であることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項9】
前記透光性チューブは、長さが200〜1500mmであることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項10】
前記透光性チューブの一端および他端に位置し前記基板を前記透光性チューブ内に密封する2つのカバーを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。
【請求項11】
前記透光性チューブと前記2つのカバーとによって形成される密封空間に不活性ガスが充填されていることを特徴とする請求項10に記載の照明用発光ダイオードライトチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146626(P2012−146626A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148233(P2011−148233)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(511162510)威力盟電子股▲分▼有限公司 (3)
【Fターム(参考)】