説明

照明窓

本発明は、透明な窓ガラス11に接続される照明装置30と、日光遮蔽装置、例えばベネチアンブラインド20とを有する照明窓1に関する。詳細には、前記照明装置30は、一般に、前記窓ガラス11の全領域を覆うOLED31を有し得る。前記日光遮蔽装置20は、随意に、第1の前記窓ガラス11と、付加的な窓ガラス12との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明な窓ガラスと、日光遮蔽装置とを有する照明窓に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許出願公開第DE 103 44 213 A1号は、複数の平行なラメラを備えるベネチアンブラインドであって、ラメラの一方の面が、有機発光ダイオード(OLED)でコーティングされるベネチアンブラインドを開示している。前記ラメラが垂直に並べられる場合、前記OLEDは、部屋の内部を照明するのに用いられ得る。同様な装置は、ドイツ特許第DE 101 31 598 C1号に開示されている。しかしながら、OLEDであって、前記OLEDの関連電気制御装置を備えるOLEDの、可動日光遮蔽装置への取り付けは、簡単な作業ではない。更に、前記日光遮蔽装置の使用中に前記ラメラ上の前記OLEDが損傷を受けるリスクが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、この状況に基づき、窓を照明するための他の手段を提供することにあり、これらの手段は、ロバストであり、且つ費用対効果が優れていることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の照明窓によって達成される。好ましい実施例は、従属請求項において開示されている。
【0005】
広く言えば、本発明による「照明窓」は、任意の物体の任意のサイズ及び形状の開口部をふさぐためのものである。ほとんどの場合、前記開口部は、建物又は乗り物(例えば、車、トレーラハウス若しくは電車)の窓開口部又はドア開口部であろう。前記照明窓は、以下の構成要素を有する。
− 以下では、本発明の好ましい実施例において他の窓ガラスと区別するために、時として、「第1の窓ガラス」と呼ばれる、透明な窓ガラス。この窓ガラスの材料は、一般に、ガラス又は何らかの透明なプラスチックである。前記窓ガラスは、通常、平板であるが、一般的な三次元形状もあり得る。
− 上記の窓ガラスを選択的に覆うための日光遮蔽装置。このような装置の主な目的は、通常通り、日光が前記窓ガラスを通過するのを防ぎ、且つ/又は人が前記窓ガラス越しに部屋をのぞくのを防ぐことにある。前記日光遮蔽装置は、様々な方法で、例えば、(ベネチアン)ブラインド、シャッタ又はカーテンによって実現され得る。前記日光遮蔽装置は、前記日光遮蔽装置を、前記日光遮蔽装置が遮蔽機能を果たすために前記窓ガラスを覆う状態と、前記日光遮蔽装置が多かれ少なかれ前記窓ガラスを通して自由に見ることを可能にする状態とに切り換えることを可能にするなんらかの機構を有する。現状技術においては、このような機構の様々な実施例が知られている。多くの場合、遮蔽機能が要求されないときには、前記日光遮蔽装置全体が、前記窓ガラスの領域の外へ動かされ得る。
− 選択的に光を放射するための照明装置であって、前記窓ガラスに接続され、前記窓ガラスの領域の少なくとも一部を覆う照明装置。前記窓ガラスとの「接続」は、直接的な接続であってもよく、即ち、前記照明装置は、前記窓ガラスの表面に取り付けられてもよく、又は間接的な接続であってもよい、即ち、前記照明装置は、窓枠のような介在素子を介して前記窓ガラスに接続されてもよい。
【0006】
上記の照明窓は、幾つかの利点を有する。第一に、前記窓ガラスは、前記照明装置が容易に取り付けられ得るしっかりした基部を供給する。前記照明装置は、前記窓ガラスの領域の少なくとも一部を覆うので、前記照明装置は、例えば部屋に光を供給することを目的とし、最適に位置決めされた領域に自動的に配置される。最後に、前記日光遮蔽装置は、その本来の遮蔽機能に加えて、前記照明装置によって放射された光が、照明されるべきではない領域に到達することができないことを保証する。従って、例えば、建物の屋外側は、前記建物の屋内照明による意図しない照明から保護され得る。
【0007】
前記照明装置は、好ましくは、透明である。この場合、前記照明装置が前記窓ガラスの全領域を覆う場合であっても、日中、屋外からの、部屋を照明するのに十分な周辺光があるときには、前記照明装置は、光が入るのを妨げない。
【0008】
好ましい実現においては、前記照明装置は、少なくとも1つの有機発光ダイオード(OLED)を有する。OLEDは、低い電圧で動作させられることができ、長い稼動寿命を持ち、多くの色において、大面積で、低コストで、容易に製造され得るという利点を持つ。OLEDについての詳細な情報については、文献(例えば、Klemens Brunner: "Industrialization of OLEDs for Lighting Applications and Displays", American Physical Society, APS March Meeting, March 21-25, 2005;Joseph Shinar(編集): "Organic Light Emitting Devices, A survey", Springer, 2004)を参照されたい。前記照明装置は、随意に、所与の構造に配設される複数のOLEDを有する。従って、例えば、画素が適切に制御される場合に画像を表示することを可能にする画素アレイを実現することが可能である。
【0009】
前記照明装置がOLEDで実現される場合、前記OLEDは、好ましくは、直接、前記窓ガラスに配置される。このようにして、構成上の手間を最小限しかかけずに、しっかりした構造が得られ得る。前記OLEDは、前記窓ガラスのいずれの側に配置されてもよく、即ち、(ここ及び以下においては、定義上、前記日光遮蔽装置の方へ向けられている側である)前記窓ガラスの背面、又は前記窓ガラスの正面に配置され得る。OLEDは、随意に、前記窓ガラスの両面に配置され得る。
【0010】
OLEDを備える照明窓の別の実施例においては、前記OLEDは、透明な担体、例えば窓ガラスによって覆われる。これは、通常、室内に面し、それ故、物体との接触(指紋を残す接触など)にさらされる前記窓ガラスの正面に前記OLEDが配置される場合にとりわけ有用である更なる保護を前記OLEDに供給する。
【0011】
前記日光遮蔽装置は、好ましくは、前記照明装置の方へ向けられ得る側に反射面を持つ。前記反射面は、例えば、明るい(例えば白色)又は鏡面コーティングによって得られ得る。前記日光遮蔽装置に反射面を設けることには、前記照明装置からの光が、後方へ反射され、前記窓の外側に失われないという利点がある。
【0012】
前記日光遮蔽装置は多様な方法で実現され得ることは既に述べた。好ましい実施例においては、それは、複数の平行なラメラを有するベネチアンブラインドとして実現される。このような設計には、前記ラメラの間に、残りの光が通り抜け得る隙間が設けられ得るという利点がある。これらの隙間は、前記窓ガラスの全領域にわたって一様に分散させられることができ、ほぼ一様な光分布を供給する。
【0013】
上記の場合には、前記ラメラの、前記窓ガラスに対する角度は、随意に、調節され得る。このようにして、前記窓ガラスの事実上覆われる領域は、変えられることができ、ユーザの要求に合わせて適応させられ得る。
【0014】
本発明の他の発展例においては、前記照明窓は、(前記照明装置が接続される)前記第1の窓ガラスに対して平行に延在する付加的な又は「第2の」透明な窓ガラスを有する。このようにして、とりわけ、2枚の前記窓ガラスの間に真空がある場合に改善された断熱特性を持つ窓が構成され得る。
【0015】
上記の実施例の他の発展例によれば、前記日光遮蔽装置は、前記第1の窓ガラスを覆うとき、前記第1の窓ガラスと前記第2の窓ガラスとの間に配置される。前記日光遮蔽装置を2枚の窓ガラスの間に配置することには、前記遮蔽装置のために余分な空間が必要とされず、前記遮蔽装置が汚れ及び損傷作用から最適に保護されるという利点がある。
【0016】
本発明のこれら及び他の態様を、下記の実施例に関して説明し、明らかにする。これらの実施例は、一例として、添付図面を用いて説明されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】OLEDが屋内窓ガラスの正面に配置される、本発明による照明窓を概略的に示す。
【図2】OLEDが屋内窓ガラスの背面に配置される、このような照明窓の別の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図において、整数の100の倍数だけ異なる同様な参照符号は、同一の又は同様な構成要素を指す。
【0019】
図1は、本発明による照明窓1の特定の実施例の断面を示している。窓1は、例えば、建物(図示せず)の窓開口部又はドア開口部に配置され得る。それは、一般に、分かりやすくするために図に示されてはいないが、現状技術において知られているフレームなどのような他の構成要素を有する。
【0020】
照明窓1は、第1の主要構成要素として、狭義の窓10を有し、窓10は、ここでは、各々、第1の透明な平面窓ガラス11及び第2の透明な平面窓ガラス12から成る。2枚の窓ガラス11、12は、実質的に、同じ設計、同じ寸法のものであってもよく、ここでは、第1の窓ガラス11は、窓開口部の屋内又は部屋側(INT)に配置され、第2の窓ガラス12は、屋外又は戸外側(EXT)に配置される。2枚の窓ガラス11、12の間の空間は、より優れた断熱を供給するために真空にされてもよい。
【0021】
照明窓1は、この例においては、ひも22に取り付けられる複数の平行なラメラ21を備えるベネチアンブラインドによって実現されている、日光遮蔽装置20を更に有する。ひも22は、それらの上端部で、制御及びモータユニット23に取り付けられる。ラメラ21は、両方のひも22を同期をとって上方へ引っ張ることによって、2枚の窓ガラス11及び12の間の空間から取り除かれることができ、窓を完全に透明にする。ラメラ21の、第1の窓ガラス11に対する角度αを変えるために、ひも22の一方だけを他方に対して引っ張るということがなされてもよい。このようにして、第1の窓ガラス11の事実上覆われる領域は、望ましいように調節され得る。
【0022】
照明窓1は、最後に、ここでは、第1の窓ガラス11の(定義上、部屋INTに面する)正面領域のほぼ全体にわたって延在する透明なOLED31によって実現されている、照明装置30を有する。OLEDの損傷を防ぐため、窓1の屋内側において、他の窓ガラス32が、それらを覆う。
【0023】
有機発光ダイオードは、費用対効果の優れた製造のための大面積で高効率の光源を供給する。一般的なOLEDは、以下の一連の層、即ち、
− ガラス基板と、
− 第1の金属又は金属酸化物の透明な電極と、
− 正孔注入層、電子ブロック層、放射層、正孔ブロック層又は電子輸送層であり得る有機発光層を含む有機層と、
− 第2の金属又は金属酸化物の電極と、
− ガラス基板とを有する。
【0024】
OLEDは、透明にもされ得る。この特徴は、図1に示されている照明窓1に組み込まれるOLED31のために用いられる。
【0025】
日中は、日光が、窓1を通って部屋側(INT)に入り得る。夜は、OLED31をオンにし、部屋を人工的に照明するために人がスイッチに触れ得る。光は両方向に放射されるので、部屋(INT)だけでなく、屋外(EXT)も照明されるであろう。しかしながら、これは、窓1に組み込まれるベネチアンブラインド20によって防止され得る。好ましくは、ラメラ21の部屋側は、OLED31によって放射された光を向け直して、部屋の中へと戻すために、反射コーティングを有する。
【0026】
図2は、照明窓101の別の実施例を示している。図1の設計に対する違いは、ここでは、OLED131が、第1の窓ガラス11の背面に、即ち、ベネチアンブラインド20に面する側に配置されることである。それ故、第1の窓ガラス11が、窓101の部屋側における、OLED131の、人又は他の物体との接触を防ぎ、図1の付加的な窓ガラス32なしで済ますことを可能にする。
【0027】
要約すると、提案する照明窓システムの主な特徴は、以下の通りである。
− 窓にOLEDとベネチアンブラインドとの両方が組み込まれる。
− 日中は、日光が、前記窓を通って部屋に入り得る。ブラインドが、日光を完全に若しくは部分的に遮断するのに用いられることができ、又は(例えば、天井から部屋へ拡散光が反射されるように天井へ)日光を案内するのに用いられることができる。
− 夜は、組み込まれているOLEDが、部屋を照明することができる。その場合、(とりわけ、ブラインド上に反射層がコーティングされている場合に)ブラインドが、光を反射するのに用いられる。
− OLEDが、電気的に供給される(ドライバ回路)。
− ブラインドが、手動で又は電気的に制御され得る。
− 制御ユニットが、OLEDの光出力及びブラインド(覆われる領域及び角度α)を制御するよう実現され得る。
【0028】
最後に、本願においては、「有する」という用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外せず、幾つかの手段の機能を単一のプロセッサ又は他のユニットが実現してもよいことを指摘しておく。本発明は、一つ一つの新規な特有の特徴、及び特有の特徴の一つ一つの組み合わせにある。更に、請求項の参照符号は、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明窓であって、
− 透明な窓ガラスと、
− 前記窓ガラスを選択的に遮蔽するための日光遮蔽装置と、
− 前記窓ガラスに接続され、前記窓ガラスの領域の少なくとも一部を覆う照明装置とを有する照明窓。
【請求項2】
前記照明装置が透明であることを特徴とする請求項1に記載の照明窓。
【請求項3】
前記照明装置がOLEDを有することを特徴とする請求項1に記載の照明窓。
【請求項4】
前記OLEDが、前記窓ガラス上に配置されることを特徴とする請求項3に記載の照明窓。
【請求項5】
前記OLEDが、透明な担体によって覆われることを特徴とする請求項3に記載の照明窓。
【請求項6】
前記日光遮蔽装置が、前記照明装置の方へ向けられ得る側に反射面を持つことを特徴とする請求項1に記載の照明窓。
【請求項7】
前記日光遮蔽装置が、複数のラメラを備えるベネチアンブラインドを有することを特徴とする請求項1に記載の照明窓。
【請求項8】
前記ラメラの、前記窓ガラスに対する角度が、調節され得ることを特徴とする請求項7に記載の照明窓。
【請求項9】
前記照明窓が、第1の前記窓ガラスに対して平行に延在する付加的な透明な窓ガラスを有することを特徴とする請求項1に記載の照明窓。
【請求項10】
前記日光遮蔽装置が、前記第1の窓ガラスを覆うとき、前記第1の窓ガラスと前記付加的な窓ガラスとの間に配置されることを特徴とする請求項9に記載の照明窓。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−526405(P2010−526405A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504962(P2010−504962)
【出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【国際出願番号】PCT/IB2008/051623
【国際公開番号】WO2008/135893
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】