説明

照明装置およびその制御方法

【課題】有機EL素子に与えるダメージを低減する。
【解決手段】本発明の照明装置は、それぞれ発光色の異なる複数の有機EL素子の各々を時分割駆動により発光させ、該複数の有機EL素子の各々の発光の合成光を照明光として出力する照明装置であって、前記複数の有機EL素子の各々の発光輝度を検出する輝度センサを具備し、該輝度センサの検出結果に応じて、該複数の有機EL素子の各々の駆動時間を決定する制御部と、前記複数の有機EL素子の各々について前記制御部により決定された駆動時間、前記複数の有機EL素子の各々に駆動電流を供給する駆動部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)素子を光源とする照明装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
白色光を発光する白色有機EL素子を光源とする照明装置がある。このような照明装置では、一般に、複数の白色有機EL素子が直列接続され、定電流駆動されて発光し、その光が照明光として出力される。
【0003】
白色有機EL素子は、材料、製造プロセス等により、電流−電圧特性、色度(色温度)、電流−輝度(光束)特性等の初期特性にばらつきが生じるため、白色有機EL素子を複数用いて照明装置を構成し、直列接続、定電流駆動を行うと、各白色有機EL素子の発光輝度、色度にばらつきが生じ、照明装置が不良となる確率が高くなる。
【0004】
また、発光輝度が駆動電流の電流値に強く依存する白色有機EL素子は、駆動電流が一定であれば、発光輝度も一定のままのはずであるが、実際には、駆動時間の経過に伴い、白色有機EL素子には発光輝度の低下、色度のずれが生じる。さらに、発光輝度の低下、色度のずれは、各白色有機EL素子で一様ではない。従って、照明装置の使用時間が長くなるにつれ、各白色有機EL素子での発光輝度、色度に大きなばらつきが生じた場合には、照明装置は実用に耐えるものではなくなる。
【0005】
特許文献1(特開2006−324089号公報)には、輝度を一定とするために、光源としてそれぞれ、赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を発光する3つの有機EL素子を用い、各有機EL素子の駆動電流の電流値を個別に調整する照明装置が開示されている。この照明装置では、各有機EL素子の発光の合成光が照明光として出力される。そのため、照明光の輝度、色度(色度)は、各有機EL素子の発光輝度に応じて定まる。
【0006】
なお、白色有機EL素子だけでなく、他の発光色の有機EL素子でも、発光輝度は駆動電流の電流値に強く依存し、また、経時的な発光輝度の低下を生じる。
【0007】
上述したように、有機EL素子の発光輝度は駆動電流の電流値に強く依存する。特許文献1に開示の照明装置によれば、3つの有機EL素子の発光輝度に応じて出力される照明光の輝度、色度が定まるため、各有機EL素子の駆動電流の電流値を個別に調整することで、任意の輝度、色度の照明光を出力できる。
【0008】
また、特許文献1に開示の照明装置によれば、有機EL素子の発光輝度が低下した場合にも、駆動電流の電流値を増加させて、発光輝度を上げることで、照明光の輝度や色度の変化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−324089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示の照明装置に用いられる3つの有機EL素子の発光輝度の経時変化の一例を図15(a)に示す。なお、図15(a)は、各有機EL素子の初期輝度を規格化した状態を示している。
【0011】
図15(a)に示すように、各有機EL素子の発光輝度は経時的に低下する。また、発光輝度の低下速度は、各有機EL素子間で異なり、青色光(B)、赤色光(R)、緑色光(G)を発光する有機EL素子の順に速い。
【0012】
各有機EL素子の発光輝度の低下を補正するために、特許文献1に開示の照明装置は、図15(b)に示すように、各有機EL素子の駆動電流の電流値を増加させる。ここで、発光輝度の低下速度が速い有機EL素子ほど、駆動電流の電流値の増加量が大きくなる。
【0013】
しかし、駆動電流の電流値が増加すると、発熱等により有機EL素子へのダメージが増加する。
【0014】
従って、特許文献1に開示の照明装置には、有機EL素子の発光輝度の低下による照明光の変化を抑制するために、有機EL素子の駆動電流の電流値を増加させることで、有機EL素子へのダメージを増加させてしまう。
【0015】
有機EL素子へのダメージが大きくなると、発光輝度の低下が促進される。さらに、発光輝度の低下速度が速い有機EL素子ほど、駆動電流の電流値の増加量が大きいので、ダメージが大きくなり、ますます発光輝度の低下が促進されるという悪循環に陥る。その結果、図15(c)に示すように、発光輝度の低下速度が速い有機EL素子ほど急激に発光寿命が低下する。
【0016】
本発明の目的は、上述した課題を解決することができる照明装置およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために本発明の照明装置は、
それぞれ発光色の異なる複数の有機EL素子の各々を時分割駆動により発光させ、該複数の有機EL素子の各々の発光の合成光を照明光として出力する照明装置であって、
前記複数の有機EL素子の各々の発光輝度を検出する輝度センサを具備し、該輝度センサの検出結果に応じて、該複数の有機EL素子の各々の駆動時間を決定する制御部と、
前記複数の有機EL素子の各々について前記制御部により決定された駆動時間、前記複数の有機EL素子の各々に駆動電流を供給する駆動部と、を有する。
【0018】
上記目的を達成するために本発明の照明装置の制御方法は、
それぞれ発光色の異なる複数の有機EL素子の各々を時分割駆動により発光させ、該複数の有機EL素子の各々の発光の合成光を照明光として出力する照明装置の制御方法であって、
制御部が、前記複数の有機EL素子の各々の発光輝度を検出する輝度センサを具備し、該輝度センサの検出結果に応じて、該複数の有機EL素子の各々の駆動時間を決定し、
駆動部が、前記複数の有機EL素子の各々について前記制御部により決定された駆動時間、前記複数の有機EL素子の各々に駆動電流を供給する。
【発明の効果】
【0019】
時分割駆動により複数の有機EL素子を駆動し、各有機EL素子の発光の合成光を照明光として出力する照明装置では、各有機EL素子の単位時間当たりの発光輝度に応じて出力される照明光が定まる。また、各有機EL素子の単位時間当たりの発光輝度は、駆動時間により調整することができる。
【0020】
従って、各有機EL素子の駆動時間を個別に調整することで、任意の輝度、色度の照明光を出力できると共に、有機EL素子の発光輝度の低下による照明光の変化も抑制することができる。
【0021】
また、一般に、有機EL素子へのダメージは、駆動電流の電流値に強く依存するため、駆動時間により単位時間当たりの発光輝度を調整することで、有機EL素子へのダメージを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態の照明装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示す有機EL素子の構成を示す図である。
【図3】図1に示す照明装置からの照明光の出力状態を説明するための図である。
【図4】図1に示す有機EL素子の他の構成を示す図である。
【図5】図1に示す照明装置からの照明光の他の出力状態を示す図である。
【図6】図1に示す制御部の内部構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示すテーブル記憶部に記憶される参照テーブルの構成を示す図である。
【図8】図1に示す有機EL素子に供給される駆動電流のタイミングチャートである。
【図9】有機EL素子に供給される駆動電流の変化を示す図である。
【図10】図1に示す駆動部による駆動電流の供給動作を説明するための図である。
【図11】本発明の第2の実施形態の駆動部による駆動電流の供給動作を説明するための図である。
【図12】本発明の第3の実施形態の有機EL素子に供給される駆動電流のタイミングチャートである。
【図13】本発明の第4の実施形態の駆動部による駆動電流の供給動作を説明するための図である。
【図14】本発明の第5の実施形態の有機EL素子に供給される駆動電流のタイミングチャートである。
【図15】特許文献1に開示の照明装置の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0024】
なお、本発明の照明装置は、有機EL素子を時分割駆動により駆動させるものである。
【0025】
また、以下の実施形態では、照明装置が予め設定された一定の輝度、色度の照明光を出力するための構成および動作について説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態の照明装置10の構成を示す図である。
【0027】
図1を参照すると、本実施形態の照明装置10は、複数の有機EL素子11−R,11−G,11−Bと、電源部12と、制御部13と、駆動部14と、を有する。
【0028】
有機EL素子11−R,11−G,11−Bはそれぞれ、赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)を発光する。なお、以下では、有機EL素子11−R,11−G,11−Bを区別しない場合には、有機EL素子11と称する。また、複数の有機EL素子11の発光色の組み合わせはR,G,Bに限られるものではない。
【0029】
有機EL素子11の構成について図2を参照して説明する。
【0030】
図2(a)は、有機EL素子11−Rの断面図である。
【0031】
図2(a)を参照すると、有機EL素子11−Rは、ガラス基板上201に、陽極202、正孔注入層203、正孔輸送層204、赤色発光層205、電子輸送層206、電子注入層207および陰極208を、この順に積層させた構成である。
【0032】
陽極202および陰極208は、ITO(インジウムスズ酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)を材料とする透明電極である。一般に、有機EL素子の陰極は、Alなどの金属を材料とするため、光透過性を有さない。しかし、本実施形態の有機EL素子11−Rは、陽極202および陰極208が透明電極であるため、光透過性を有する。
【0033】
なお、ITOやIZOを構成材料とする陰極208は、スパッタ法を用いて形成されるが、スパッタ法を用いると、電子注入層207などへのダメージが大きくなる。そのため、ダメージを軽減するために、光透過性を確保できる程度の薄さのAl等の金属膜が電子注入層207の上に積層されることがある。
【0034】
赤色発光層205は、例えば、Alq3(トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム)とDCM2(ジアノメチレンピラン誘導体)とを構成材料とする。
【0035】
また、電子輸送層206は、例えば、有機金属錯体等の材料から構成されるが、Cs,Na,K等のアルカリ金属、または、Mg,Ca等のアルカリ土類金属がドープされることもある。
【0036】
また、電子注入層207は、例えば、LiO(酸化リチウム)、LiF(フッ化リチウム)を構成材料とし、MgとAg、AlとLiなどの金属原子の混合層が、電子注入層207として用いられることもある。
【0037】
なお、両面出力・透明素子として有機EL素子11の駆動電圧を低減したり、発光効率を向上させたりするために、電子注入層207を積層させず、電子輸送層206の上に陰極208が積層されることがある。ITOやIZOを材料とする陰極208の仕事関数は、Alなどの金属膜と比べて仕事関数が大きく、電子輸送層206のLUMO(最低非占有分子軌道 Lowest Unoccupied Molecular. Orbital)準位(電子親和力)と乖離している。そのため、陰極208と電子輸送層206との界面に、陰極208の仕事関数と電子輸送層206のLUMO準位との差に相当するキャリアの注入障壁が形成されることにより、キャリアの注入効率が低くなる。
【0038】
そこで、キャリアの注入効率の低下を防ぐ方法として、電子輸送層206に、LiやCs,Na,K等のアルカリ金属、Ca,Mg等のアルカリ土類金属、または、リチウムキノリン等のアルカリ金属を中心金属にもつ錯体などをドープし、電子注入層としての役割も持たせる方法がある。また、別の方法として、透明陰極208に、LiやCs等のアルカリ金属やCa等のアルカリ土類金属をドープすることで、透明陰極208の仕事関数を低くする方法がある。
【0039】
図2(b)は、有機EL素子11−Gの断面図である。
【0040】
図2(b)を参照すると、有機EL素子11−Gは、有機EL素子11−Rと比較して、赤色発光層205が緑色発光層215に変更された点のみが異なるため、同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】
緑色発光層215は、例えば、Alq3とクマリン化合物(クマリンC545)とを構成材料とする。
【0042】
図2(c)は、有機EL素子11−Bの断面図である。
【0043】
図2(c)を参照すると、有機EL素子11−Bは、有機EL素子11−Rと比較して、赤色発光層205が青色発光層225に変更された点のみが異なるため、同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0044】
青色発光層225は、例えば、DPVBi(4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル)とジスチリルアリーレン誘導体とを構成材料とする。
【0045】
再び、図1を参照すると、有機EL素子11−R,11−G,11−Bが、この順に、積層されて積層体を構成している。各有機EL素子11は光透過性を有するため、各有機EL素子11の発光の合成光が照明光として出力される。
【0046】
なお、図1においては、有機EL素子11−Rの有機EL素子11−Gと反対側の面を光取り出し面として、一方向に照明光が出力される状態を示している。
【0047】
この場合、例えば、図3に示すように、有機EL素子11−Bの有機EL素子11−Gと反対側の面から出力される照明光を光取り出し面の方向に反射する反射板301(図1では不図示)を設けることで、一方向にのみ照明光を出力することができる。
【0048】
また、図4に示すように、最奥の有機EL素子11−Bの背面側の電極を透明電極ではなく、AlやAgなどの金属陰極401とすれば、金属陰極401により照明光を反射して、一方向にのみ照明光を出力することもできる。
【0049】
なお、照明光を反射させて一方向にのみ出力する場合、陰極と一部陽極の反射光や通常光が干渉し、減衰することがある。従って、光路長を制御する必要がある。
【0050】
そこで、図1に示すように、光の波長が短い青色光を発光する有機EL素子11−Bを最奥に配置することで、光路長を制御しやすくなる。
【0051】
本実施形態においても、光路長を制御し、光の干渉を無くすように、有機EL素子11−R,11−G,11−Bは、積層されている。なお、有機EL素子11を積層させる順序は、この順序に限られるものではない。
【0052】
また、反射板301を設けない場合、図5に示すように、有機EL素子11−Rの有機EL素子11−Gと反対側の面と、有機EL素子11−Bの有機EL素子11−Gの反対側の面と、を光取り出し面として、二方向に照明光が出力される。
【0053】
この場合、例えば、照明装置10を室内のドア等の窓や街灯として用いると、昼間は非点灯とすることで視野を遮ることがなく、夜間は点灯することで照明光を出力することができる。
【0054】
電源部12は、各有機EL素子11に供給される駆動電流の供給源である。
【0055】
制御部13は、輝度センサ(不図示)を備えるもので、該輝度センサにより、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれの発光輝度を定期的に検出し、その検出結果に応じて、各有機EL素子11の駆動時間を決定する。
【0056】
なお、一定の照明光を出力するためには、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれの発光輝度も、ある一定の目標値に保つ必要がある。制御部13は、各有機EL素子11の単位時間当たりの発光輝度が目標値に保たれるように、各有機EL素子11の駆動時間を調整する。
【0057】
駆動部14は、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれについて制御部13により決定された駆動時間、電源部12に所定の電流値の駆動電流を供給させ、各有機EL素子11を駆動する。
【0058】
次に、制御部13の内部構成について図6を参照して説明する。
【0059】
図6に示す制御部13は、テーブル記憶部501と、RAM(Random Access Memory)502と、CPU(Central Processing Unit)503と、を有する。
【0060】
テーブル記憶部501は、図7に示すように、有機EL素子11の発光輝度と、その発光輝度で有機EL素子11を駆動した場合の単位時間当たりの発光輝度が一定値となる駆動時間と、が対応付けられた参照テーブルを記憶している。なお、図7は、有機EL素子11−Bの参照テーブルを示しているが、テーブル記憶部501は、有機EL素子11−R,11−Gの参照テーブルも記憶している。
【0061】
有機EL素子11の単位時間当たりの発光輝度は、その単位時間における有機EL素子11の発光輝度の積分値で定まるため、有機EL素子11の発光輝度が低いほど、参照テーブルにおいては長い駆動時間が対応付けられている。
【0062】
RAM502は、輝度センサによる有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれの発光輝度の前回の検出結果やCPU503で処理される制御プログラム等を記憶する。
【0063】
CPU503は、輝度センサにより有機EL素子11の発光輝度を検出すると、テーブル記憶部501に記憶されているその有機EL素子11の参照テーブルを参照し、検出した発光輝度に対応付けられた駆動時間を、その有機EL素子11の駆動時間と決定する。また、CPU503は、各有機EL素子11の駆動時間を駆動部14に通知する。
【0064】
次に、本実施形態の照明装置10の動作について説明する。
【0065】
CPU503が、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれの発光輝度の検出結果に応じて、各有機EL素子11の駆動時間を決定する。具体的には、CPU503が、輝度センサにより有機EL素子11の発光輝度を検出すると、その有機EL素子11の参照テーブルを参照し、検出した発光輝度に対応付けられた駆動時間を、その有機EL素子11の駆動時間と決定する。
【0066】
ここで、例えば、有機EL素子11−Bの発光輝度の今回の検出結果が、RAM502に記憶された前回の検出結果a1からa2に低下したとする。すると、CPU503が、図7に示す有機EL素子11−Bの参照テーブルを参照し、有機EL素子11−Bの発光輝度a2に対応付けられた駆動時間b2を有機EL素子11−Bの駆動時間と決定する。上述したように、参照テーブルでは、発光輝度が低いほど、長い駆動時間が対応付けられているので、有機EL素子11−Bの駆動時間は、b1からb2へと長くなる。
【0067】
以下では、CPU503が、有機EL素子11−R,11−G,11−Bの駆動時間をそれぞれ、tR,tG,tBと決定したとする。
【0068】
駆動部14は、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれについて、CPU503により決定された駆動時間、電源部12に駆動電流を供給させ、各有機EL素子11を駆動する。
【0069】
有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれに供給される駆動電流のタイミングチャートを図8に示す。
【0070】
図8に示すように、有機EL素子11−Bについては、時刻t11から有機EL素子11−Bの駆動時間tBの経過後の時刻t16までの間、有機EL素子11−Rについては、時刻t12から有機EL素子11−Rの駆動時間tRの経過後の時刻t15までの間、有機EL素子11−Gについては、時刻t13から有機EL素子11−Gの駆動時間tGの経過後の時刻t14までの間、駆動電流が供給される。すなわち、各有機EL素子11には、その有機EL素子11の駆動時間に相当する幅を有する矩形電流が供給される。
【0071】
ここで、有機EL素子11−Bの駆動時間は、b1からb1よりも長いb2(=tB)に変更されているため、図9に示すように、有機EL素子11−Bに供給される駆動電流の幅は広くなる。そのため、有機EL素子11−B自体の発光輝度が低下しても、単位時間当たりの発光輝度を目標値に保つことができ、照明光の変化を抑制することができる。
【0072】
次に、駆動部14による有機EL素子11への駆動電流の供給動作について説明する。
【0073】
図10は、有機EL素子11−Bの陽極202および陰極208の電位のタイミングチャートである。なお、図10において、実線は、陽極202の電位を、点線は、陰極208の電位を示す。陽極202と陰極208との電位差が、その有機EL素子11に印加される電圧を示す。また、図10において、図8と同時刻については同じ符号を付す。
【0074】
図10に示すように、駆動部14は、陰極208の電位を常に接地電位とする。
【0075】
時刻t11において、駆動部14は、陽極202の電位を接地電位から正電位とする。なお、正電位は、陽極202と陰極208との電位差が、有機EL素子11−Bに所定の電流値の駆動電流が流れる電圧に相当する電位差となるプラスの電位である。陽極202の電位が正電位となることで、有機EL素子11−Bに所定の電流値の駆動電流が供給され、有機EL素子11−Bが駆動を開始する。
【0076】
時刻t16において、駆動部14は、陽極202の電位を正電位から接地電位とする。陽極202の電位が接地電位となることで、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給が停止される。
【0077】
時刻t17において、駆動部14は、陽極202の電位を接地電位から正電位とする。
【0078】
以下、同様にして、有機EL素子11−Bに駆動電流が供給される。
【0079】
なお、図10においては、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給動作について説明したが、有機EL素子11−R,11−Gにも同様の動作により駆動電流が供給されるため、説明を省略する。
【0080】
このように本実施形態によれば、照明装置10は、有機EL素子11の発光輝度の検出結果に応じて、各有機EL素子11の駆動時間を決定する。
【0081】
照明装置10から出力される照明光は、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれの単位時間当たりの発光輝度に応じて定まる。また、各有機EL素子11の単位時間当たりの発光輝度は、各有機EL素子11の駆動時間に応じて定まる。
【0082】
従って、各有機EL素子11の駆動時間を個別に調整することで、任意の輝度、色度の照明光を出力できると共に、有機EL素子11の発光輝度が低下した場合にも、照明光の変化を抑制できる。
【0083】
また、有機EL素子11へのダメージは、駆動電流の電流値に強く依存するため、駆動時間により単位時間当たりの発光輝度を調整することで、ダメージを軽減できる。さらに、有機EL素子11へのダメージが軽減されることで、照明装置10の長寿命化を図ることもできる。
【0084】
(第2の実施形態)
本実施形態の照明装置20は、第1の実施形態と比較して、有機EL素子11の陰極208の電位を変化させることで、有機EL素子11に駆動電流を供給する点が異なる。上記の動作を実現するために、本実施形態では、駆動部14は、第1の実施形態と異なる以下のような動作を行う。
【0085】
すなわち、本実施形態では、駆動部14は、有機EL素子11の陽極202の電位は常に正電位とし、陰極208の電位を、駆動時間には接地電位とし、非駆動時間には正電位とする。
【0086】
以下、本実施形態の駆動部14による有機EL素子11への駆動電流の供給動作について図11を参照して説明する。なお、以下では、有機EL素子11−Bに図8と同様の駆動電流を供給する場合を例として説明する。また、図11において、図8の各時刻と同時刻については同じ符号を付す。
【0087】
図11は、有機EL素子11−Bの陽極202および陰極208の電位のタイミングチャートである。なお、図11において、実線は、陽極202の電位を、点線は、陰極208の電位を示す。
【0088】
図11に示すように、駆動部14は、陽極202の電位を常に正電位とする。なお、正電位は、第1の実施形態と同様のプラスの電位である。
【0089】
また、駆動部14は、時刻t0から有機EL素子11−Bに駆動電流の供給を開始する時刻t11までの間、陰極208の電位を正電位とする。
【0090】
時刻t11において、駆動部14は、陰極208の電位を正電位から接地電位とする。陰極208の電位が接地電位となることで、陰極202と陰極208との電位差が、有機EL素子11−Bに所定の電流値の駆動電流が流れる電圧に相当する電位差となり、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給が開始される。
【0091】
時刻t16において、駆動部14は、陰極208の電位を接地電位から正電位とする。陰極208の電位が正電位となることで、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給が停止される。また、駆動部14は、次に有機EL素子11−Bに駆動電流の供給を開始する時刻t17までの間、陰極208の電位を正電位とする。
【0092】
時刻t17において、駆動部14は、陰極208の電位を正電位から接地電位とし、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給が開始される。以下、同様にして、有機EL素子11−Bに駆動電流が供給される。
【0093】
なお、図11においては、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給動作について説明したが、有機EL素子11−R,11−Gにも同様の動作により駆動電流が供給されるため、説明を省略する。
【0094】
第1の実施形態のように、有機EL素子11の駆動時に、陽極202の電位を接地電位から正電位として駆動電流を供給すると、有機EL素子11の立ち上がり、すなわち、発光開始が遅くなる。これは、有機EL素子11の持つ容量に電荷が充電された後に発光が開始されるため、電荷が充電される時間分だけ立ち上がりが遅くなるからである。
【0095】
しかし、本実施形態の照明装置20によれば、有機EL素子11の非駆動時間に陽極202および陰極208の電位を正電位とすることで、電荷の充電を行っておく。そのため、駆動時に、電荷の充電のための立ち上がりの遅れがなくなり、有機EL素子11の応答速度を速くすることができる。
【0096】
(第3の実施形態)
本実施形態の照明装置30は、第1および第2の実施形態と比較して、駆動する有機EL素子11を順次切り替える点が異なる。上記の動作を実現するために、本実施形態では、駆動部14は、第1および第2の実施形態と異なる以下のような動作を行う。
【0097】
すなわち、本実施形態では、駆動部14は、有機EL素子11を順次切り替えて、電源部12に駆動電流を供給させる。
【0098】
有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれに供給される駆動電流のタイミングチャートを図12に示す。
【0099】
図12に示すように、有機EL素子11−Rについては、時刻t21から有機EL素子11−Rの駆動時間tRの経過後の時刻t22までの間、有機EL素子11−Gについては、時刻t23から有機EL素子11−Gの駆動時間tGの経過後の時刻t24までの間、有機EL素子11−Bについては、時刻t25から有機EL素子11−Bの駆動時間tBの経過後の時刻t26までの間、駆動電流が供給される。
【0100】
第1の実施形態においては、複数の有機EL素子11の駆動時間が重複する時間帯があり、この時間帯には、電源部12は、複数の有機EL素子11に同時に駆動電流を供給する必要がある。複数の有機EL素子11に同時に駆動電流を供給するには、高い電流供給能力が電源部12に必要となり、そのような電源部12を設けることは、コストの増大を招くことになる。
【0101】
しかし、本実施形態の照明装置30によれば、駆動電流を供給する有機EL素子11を順次切り替えるため、複数の有機EL素子11に同時に駆動電流を供給することがなくなる。従って、電源部12に必要とされる電源供給能力は、第1の実施形態の場合と比べて低くなり、コストの増大を防ぐことができる。
【0102】
なお、第1の実施形態のように、陽極202の電位を変化させることで、あるいは、第2の実施形態のように、陰極208の電位を変化させることで、各有機EL素子11に駆動電流を供給することができる。
【0103】
(第4の実施形態)
本実施形態の照明装置40は、第1から第3の実施形態と比較して、有機EL素子11の非駆動時間に、駆動時間に印加される電圧とは逆極性の逆バイアス電圧を印加する点が異なる。上記の動作を実現するために、本実施形態では、駆動部14は、第1から第3の実施形態と異なる以下のような動作を行う。
【0104】
すなわち、本実施形態では、駆動部14は、電源部12に、有機EL素子11の駆動時間には駆動電流を供給させると共に、非駆動時間には、逆バイアス電圧をその有機EL素子11へ印加させる。
【0105】
以下、本実施形態の駆動部14による有機EL素子11への駆動電流の供給動作について図13を参照して説明する。なお、以下では、有機EL素子11−Bに図8と同様の駆動電流を供給する場合を例として説明する。また、図13において、図8の各時刻と同時刻については同じ符号を付す。
【0106】
図13は、有機EL素子11−Bの陽極202および陰極208の電位のタイミングチャートである。なお、図13において、実線は、陽極202の電位を、点線は、陰極208の電位を示す。
【0107】
図13に示すように、駆動部14は、陰極208の電位を常に接地電位とする。
【0108】
また、駆動部14は、時刻t0から有機EL素子11−Bに駆動電流の供給を開始する時刻t11までの間、陽極202の電位を負電位とする。なお、負電位は、陽極202と陰極208との間に、有機EL素子11−Bが破壊されない程度の電位差が生じるような所定のマイナスの電位である。陽極202の電位が負電位となることで、有機EL素子11に逆バイアス電圧が印加される。
【0109】
時刻t11において、駆動部14は、陽極202の電位を負電位から正電位とする。陽極202が正電位となることで、有機EL素子11−Bに所定の電流値の駆動電流の供給が開始される。
【0110】
時刻t16において、駆動部14は、陽極202の電位を負電位とする。陽極202が負電位となることで、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給が停止されると共に、逆バイアス電圧が印加される。また、駆動部14は、次に有機EL素子11−Bに駆動電流の供給を開始する時刻t17までの間、陽極202の電位を負電位とし、その間、有機EL素子11−Bに逆バイアス電圧が印加される。
【0111】
時刻t17において、駆動部14は、陽極202の電位を負電位から正電位とする。陽極202が正電位となることで、有機EL素子11−Bに駆動電流の供給が開始される。
【0112】
以下、同様にして、有機EL素子11−Bには、図8と同様の駆動電流が供給されると共に、非駆動時間には、逆バイアス電圧が印加される。
【0113】
なお、図13においては、有機EL素子11−Bへの駆動電流の供給動作について説明したが、有機EL素子11−R,11−Gにも同様の動作により駆動電流の供給および逆バイアス電圧の印加が行われるので、説明を省略する。
【0114】
また、図13においては、有機EL素子11−Bに図8と同様の駆動電流を供給する例を用いて説明したが、図12に示すように、有機EL素子11を切り替えて駆動電流を供給する場合にも、有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれの非駆動時間に逆バイアス電圧を印加してもよい。
【0115】
有機EL素子11の発光は、キャリアの発光層への注入による有機材料の酸化還元の繰り返しを基にしており、一方向への継続的な電圧の印加は、有機EL素子11内部の電荷の蓄積を招く。有機EL素子11内部に電荷が蓄積された状態が続くと、有機材料の劣化を促進し、発光輝度の低下の一因となる。
【0116】
しかし、本実施形態の照明装置40によれば、有機EL素子11の非駆動時間に逆バイアス電圧を印加することにより、有機EL素子11内部における電荷の蓄積が緩和されるため、有機材料の劣化の促進を抑制することができる。
【0117】
なお、駆動時間が長い有機EL素子ほど、印加する逆バイアス電圧の電圧値を大きくすることが望ましい。
【0118】
有機EL素子11の駆動時間が長くなるほど、その有機EL素子11内部における電荷の蓄積が大きくなる。また、有機EL素子11の駆動時間が長くなるほど、逆バイアス電圧が印加される時間は短くなる。すなわち、駆動時間の長い有機EL素子11ほど、電荷の蓄積が大きくなるにも関わらず、電荷の蓄積を緩和するのに用いることができる時間が短くなる。
【0119】
従って、各有機EL素子11に印加する逆バイアス電圧の電圧値を一定とすると、駆動時間の長い有機EL素子11では、蓄積された電荷の緩和が十分に行われないおそれがある。そこで、駆動時間が長い有機EL素子11ほど、印加する逆バイアス電圧の電圧値を大きくすることで、駆動時間が長い有機EL素子11についても、電荷の蓄積を十分に緩和することができる。
【0120】
(第5の実施形態)
本実施形態の照明装置50は、第1から第4の実施形態と比較して、複数の有機EL素子11の各々が所定値以上の発光輝度で発光することができる時間である発光寿命に応じて、各有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を調整する点が異なる。上記の動作を実現するために、本実施形態では、駆動部14は、第1から第4の実施形態と異なる以下のような動作を行う。
【0121】
すなわち、駆動部14は、発光寿命が短い有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を低くし、発光寿命が長い有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を高くする。
【0122】
有機EL素子11−R,11−G,11−Bの発光寿命にはばらつきがある。従って、第1から第4の実施形態のように、有機EL素子11−R,11−G,11−Bに共通の電流値の駆動電流を供給すると、各有機EL素子11の発光寿命が尽きるのにばらつきが生じる。
【0123】
一方、上述したように、有機EL素子11へのダメージは、駆動電流の電流値に強く依存する。そこで、発光寿命が短い有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値は低くすることで、ダメージを低減し、発光寿命が尽きるのを遅らすことができる。また、発光寿命が長い有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を高くすることで、ダメージを増加させ、発光寿命が尽きるのを早めることができる。そのため、各有機EL素子11の発光寿命が尽きるばらつきを少なくすることができる。
【0124】
本実施形態の駆動部14により有機EL素子11−R,11−G,11−Bそれぞれに供給される駆動電流のタイミングチャートを図14に示す。
【0125】
なお、一般的に、有機EL素子11−Gが最も発光寿命が長く、次に有機EL素子11−R、そして、有機EL素子11−Bが最も発光寿命が短い。
【0126】
そこで、図14に示すように、駆動部14は、有機EL素子11−Bには、第1から第4の実施形態で供給される駆動電流の電流値Iよりも低い電流値ILの駆動電流を供給する。一方、駆動部14は、有機EL素子11−R,11−Gには、電流値Iよりも高い電流値IHの駆動電流を供給する。また、駆動部14は、発光寿命が長い有機EL素子11ほど、供給する駆動電流の電流値を高くする。すなわち、有機EL素子11−Rには、電流値IH1の駆動電流を、有機EL素子11−Gには、電流値IH1よりも高い電流値IH2の駆動電流を供給する。
【0127】
ここで、有機EL素子11−Bについては、第1から第4の実施形態よりも供給される駆動電流の電流値が低いため、発光輝度も低下する。発光輝度が低下すると、有機EL素子11−Bの単位時間当たりの発光輝度を一定に保つためには、駆動時間を長くする必要がある。すなわち、有機EL素子11−Bについては、第1から第4の実施形態における駆動時間tBよりも長い駆動時間tB'となる。
【0128】
一方、有機EL素子11−R,11−Gについては、第1から第4の実施形態よりも供給される駆動電流の電流値が高いため、発光輝度も増加する。発光輝度が増加すると、有機EL素子11−Bの単位時間当たりの発光輝度を一定に保つためには、駆動時間を短くする必要がある。すなわち、有機EL素子11−R,11−Gについては、第1から第4の実施形態における駆動時間tR,tGよりも短い駆動時間tR,tG'となる。
【0129】
従って、図14に示すように、駆動部14は、有機EL素子11−Bについては、時刻t31から有機EL素子11−Bの駆動時間tB'の経過後の時刻t36までの間、電流値ILの駆動電流を供給し、有機EL素子11−Rについては、時刻t32から有機EL素子11−Rの駆動時間tR'の経過後の時刻t35までの間、電流値IH1の駆動電流を供給し、有機EL素子11−Gについては、時刻t33から有機EL素子11−Gの駆動時間tG'の経過後の時刻t34までの間、電流値IH2の駆動電流を供給する。
【0130】
このように、本実施形態の照明装置50によれば、有機EL素子11−R,11−G,11−B各々の発光寿命に応じて、各有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を調整する。
【0131】
有機EL素子11へのダメージは、駆動電流の電流値に強く依存するため、発光寿命が短い有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を低くすることで、ダメージを軽減し、長寿命化を図ることができる。また、発光寿命が長い有機EL素子11に供給する駆動電流の電流値を高くすることで、ダメージは大きくし、発光寿命が尽きるのを早め、各有機EL素子11の発光寿命が尽きるばらつきを減らすことができる。
【0132】
なお、上述した有機EL素子11の発光寿命の特性はあくまでも一例であり、有機材料の特性によっては、有機EL素子11−Rや有機EL素子11−Bの方が長寿命であることもある。
【0133】
また、第1の実施形態のように、陽極202の電位を変化させることで、あるいは、第2の実施形態のように、陰極208の電位を変化させることで、各有機EL素子11に駆動電流を供給することができる。
【0134】
また、照明装置50において、第3の実施形態のように、駆動電流を供給する有機EL素子11を順次、切り替えるようにしたり、第4の実施形態のように、有機EL素子11の非駆動時間に逆バイアス電圧を供給したりしてもよい。
【0135】
また、上述した各実施形態において、照明光のちらつきを無くすために、各有機EL素子11の単位時間あたりの駆動時間と駆動時間以外の非駆動時間との比であるDuty比は、1/50以上、さらには、1/150以上であることが望ましい。
【符号の説明】
【0136】
10 照明装置
11 有機EL素子
12 電源部
13 制御部
14 駆動部
201 ガラス基板
202 陽極
203 正孔注入層
204 正孔輸送層
205 赤色発光層
206 電子輸送層
207 電子注入層
208 陰極
215 緑色発光層
225 青色発光層
301 反射板
401 金属電極
501 テーブル記憶部
502 RAM
503 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ発光色の異なる複数の有機EL素子の各々を時分割駆動により発光させ、該複数の有機EL素子の各々の発光の合成光を照明光として出力する照明装置であって、
前記複数の有機EL素子の各々の発光輝度を検出する輝度センサを具備し、該輝度センサの検出結果に応じて、該複数の有機EL素子の各々の駆動時間を決定する制御部と、
前記複数の有機EL素子の各々について前記制御部により決定された駆動時間、前記複数の有機EL素子の各々に駆動電流を供給する駆動部と、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、
前記制御部は、
前記複数の有機EL素子の各々について、該有機EL素子の発光輝度と、該発光輝度で駆動した場合の該有機EL素子の単位時間当たりの発光輝度が所定値となる駆動時間と、が対応付けて記憶する参照テーブルを備え、
前記輝度センサにより発光輝度が検出された有機EL素子についての前記参照テーブルを参照して、前記検出された発光輝度と対応付けられた駆動時間を、該有機EL素子の駆動時間と決定することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項2記載の照明装置において、
前記駆動部は、前記複数の有機EL素子の各々の、所定値以上の発光輝度で発光することができる時間に応じて、該複数の有機EL素子の各々に供給する駆動電流の電流値を調整することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記駆動部は、前記有機EL素子の駆動時間以外の時間には、前記駆動時間に該有機EL素子に印加される電圧とは逆極性の電圧を印加することを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記複数の有機EL素子の各々は、発光層を挟持する陽極および陰極を具備し、
前記駆動部は、前記有機EL素子の駆動時間には、該有機EL素子の、陰極の電位を第1の電位とし、陽極の電位を、前記有機EL素子に前記駆動電流が流れる際に生じる前記陽極と陰極との電位差の分だけ前記第1の電位よりも高い第2の電位とし、前記駆動時間以外の時間には、前記陽極および陰極の電位を前記第2の電位とすることを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記駆動部は、前記駆動電流を供給する有機EL素子を順次切り替えることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の照明装置において、
前記複数の有機EL素子の各々は、光透過性を有するとともに、積層されることにより、一端の有機EL素子の他の有機EL素子と対向しない面である第1の光取り出し面と、他端の有機EL素子の他の有機EL素子と対向しない面である第2の光取り出し面と、が形成された積層体を構成し、
前記照明光は、前記第1または第2の光取り出し面の少なくとも一方から出力されることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1または7記載の照明装置において、
前記制御部は、単位時間あたりの前記有機EL素子の駆動時間と駆動時間以外の時間との比であるDuty比を1/50以上とすることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
それぞれ発光色の異なる複数の有機EL素子の各々を時分割駆動により発光させ、該複数の有機EL素子の各々の発光の合成光を照明光として出力する照明装置の制御方法であって、
制御部が、前記複数の有機EL素子の各々の発光輝度を検出する輝度センサを具備し、該輝度センサの検出結果に応じて、該複数の有機EL素子の各々の駆動時間を決定し、
駆動部が、前記複数の有機EL素子の各々について前記制御部により決定された駆動時間、前記複数の有機EL素子の各々に駆動電流を供給することを特徴とする照明装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−33447(P2012−33447A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174308(P2010−174308)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】