説明

照明装置および照明装置の製造方法

【課題】様々な照明視野および設置距離に対応可能な多数のバリエーションを有する照明装置のラインナップを、コストを抑制しつつ提供することである。また、本発明の別の目的は、上記のような多数のバリエーションを有する照明装置を実現するための製造方法を提供する。
【解決手段】各セル2は、基板4上に実装された発光素子と、この発光素子とペアを構成するように配置されたレンズとからなり、各セル2における発光素子とレンズとの相対的な位置関係が基板4上の位置に応じて異なっている。これにより、発光素子からの光が基板4の垂直方向に対してセル2別に定められた非ゼロの角度で外部に照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に適した照明装置およびその照明装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、FA(Factory Automation)分野などにおいては、各種の画像処理技術が利用されている。たとえば、特開平10−320538号公報(特許文献1)に開示される視覚センサ装置は、電子部品などの小型の対象物から自動車などの大型の対象物といった幅広い対象物をターゲットとする検査装置である。このような視覚センサでは、たとえば、対象物を撮像して得られた画像データに対して画像認識処理をすることで、当該対象物が良品/不良品が判断される。
【0003】
この特許文献1には、対象物についての画像を取得するためのカメラと、撮像時に当該対象物を照明するための光源とが一体化されている構成が開示されている。
【0004】
ところで、近年の環境問題などに起因して、より消費電力の少ない、LED(light Emitting Diode)などの発光素子を利用した照明装置の開発が急速に進んでいる。上述の特許文献1に開示される視覚センサにおいても、光源としてLEDが採用されている。このようなLEDを用いた照明装置としては、以下のような先行技術が存在する。
【0005】
たとえば、特開2006−179387号公報(特許文献2)に開示される光照射装置では、複数のLEDを、各々の光軸がリング状本体部の軸線方向に向けて所定の傾斜角度を有するように配置し、かつ、当該複数のLEDのうち、同一の円周上に位置するLEDがそれぞれ同一の指向性を有し、さらに、少なくとも一組の隣り合う円周上に位置するLEDが異なる指向性を有するように構成することで、同一円周上に位置するように配置されたLEDごとに点灯切り替え可能となっている。これにより、光照射範囲を調整することができる。
【0006】
さらに、特許文献2に開示される光照射装置では、フレキシブル配線基板の一部を切抜き、切り欠け片を接合して切頭円錐凹面を作ることで照射角度を調整可能となっている。
【0007】
また、特開2009−054293号公報(特許文献3)に開示されるLED照明装置では、被照明物に光を照射する複数のLEDと、これらLEDが実装された基板と、基板を駆動して複数のLEDの光軸方向を変化させる駆動機構とを具備する。これにより、LEDの個数を増やすことなく照明の明るさを安定させる。
【0008】
また、特開2008−139708号公報(特許文献4)に開示されるリング型照明装置では、複数のLED列を同心円状に設けるとともに各LED列に対応させて複数の光学部材を同心円状に設け、各LED列によるワークへの照明態様が互いに異なるように構成する一方、各光学部材を連続させて一体構造とされている。これにより、複数種の対物レンズやワークに1台で対応することができる。
【0009】
また、特開2009−146841号公報(特許文献5)に開示されるLED照明装置では、上面から上方に突起する複数の突起部を有するベース部と、上面に複数のLEDが装着され、突起部の先端が貫通する貫通穴が突起部の数だけ形成され、対応する突起部貫通穴を突起部の先端が貫通することによりベース部の上面側に位置決めされて配置されたLED基板と、貫通穴を貫通した突起部の先端が挿入される挿入穴が突起部の数だけ形成され、突起部の先端が対応する挿入穴に挿入されることによりLED基板の上面の側に位置決めされて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−320538号公報
【特許文献2】特開2006−179387号公報
【特許文献3】特開2009−054293号公報
【特許文献4】特開2008−139708号公報
【特許文献5】特開2009−146841号公報
【特許文献6】特開2006−222413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、視覚センサは、多種多様な対象物を計測することが想定されているので、このような光源(すなわち、照明)は、いずれの対象物にも適用できるように、照明視野および照明距離(設置距離:Work Distance;以下「WD」とも称す。)についての多数のバリエーション(製品群)をラインナップすることが好ましい。
【0012】
しかしながら、上述の特許文献1に開示される視覚センサでは、照明視野およびWDを調整できないので、バリエーションの数だけ筐体やLEDを用意する必要があり、コストアップの要因となるという課題があった。
【0013】
また、特許文献2に開示される光照射装置では、バリエーションの数だけフレキシブル配線基板を用意する必要があり、コストアップの要因となるという課題があった。また、光照射装置の照射方向に対して、各LEDを斜めに配置する必要があり、所望の照明視野およびWDを実現するための、角度の設定および調整が比較的難しいという課題があった。
【0014】
また、特許文献3に開示されるLED照明装置では、機械的に照明視野およびWDを調整する構成を採用するので、構造が相対的に複雑化し、コストアップの要因となるという課題があった。
【0015】
また、特許文献4に開示されるリング型照明装置では、バリエーションの数だけ円環状のレンチキュラレンズを用意する必要があり、コストアップの要因となるという課題があった。
【0016】
また、特許文献5に開示されるLED照明装置では、各照明視野およびWDに応じて設計された複数の突起部を有するベース部をバリエーションの数だけ用意する必要があり、コストアップの要因となるという課題があった。また、1つのレンズホルダ内に複数のレンズを保持するため、基板にLEDを実装する際の位置ずれを補正することができず、LEDとレンズとの間の相対的な位置精度が悪化するという課題もあった。
【0017】
そこで、本発明は、これらの問題を解決するためになされたものであり、その目的は、様々な照明視野および設置距離に対応可能な多数のバリエーションを有する照明装置のラインナップを、コストを抑制しつつ提供することである。また、本発明の別の目的は、上記のような多数のバリエーションを有する照明装置を実現するための製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のある局面に係る照明装置は、基板と、基板上に実装されるとともに、各々の光照射方向が基板に対して実質的に垂直となるように配置された複数の発光素子と、各々が複数の発光素子のうち1つとの間でペアを構成するように配置された複数のレンズとを含む。ペアの各々における発光素子とレンズとの相対的な位置関係が、対応する発光素子が配置されている基板上の位置に応じて異なっている。
【0019】
なお、「相対的な位置関係」が「異なっている」とは、いずれかのペアにおける相対的な位置関係が、少なくとも1つの他のペアにおける相対的な位置関係とは異なっていることを意味するものである。そのため、2つのペアの間で、相対的な位置関係が一致する場合を含み得る。
【0020】
好ましくは、ペアの各々において、レンズは、その光軸が、対応する発光素子の光照射方向の軸に位置合わせされた状態に対して、発光素子からの光を照射すべき方向にずれて配置される。
【0021】
好ましくは、基板は、複数の発光素子からの光が対象物において反射して生じる反射光を通過させるための開口部を含み、ペアの各々において、レンズは、その光軸が、対応する発光素子の光照射方向の軸に比較してより開口部に近接するように配置される。
【0022】
好ましくは、基板は、複数の発光素子からの光が対象物において反射して生じる反射光を受入れるための開口部を含み、開口部を中心として対称な位置に配置されている2つのペアにおいて、一方のペアにおける相対的な位置関係と他方のペアにおける相対的な位置関係との間に対称関係を有する。
【0023】
好ましくは、照明装置は、各々が複数の発光素子のうち1つに対応付けて実装された、発光素子と同数の台座をさらに含む。台座の各々は、対応するレンズを保持するための保持部を含む。
【0024】
さらに好ましくは、レンズの各々の透光可能な断面は、対応する発光素子の光照射断面より大きい。
【0025】
さらに好ましくは、台座の各々は、対応する発光素子に対して予め定められた相対的な位置関係をもって、基板上に実装され、保持部は、それに保持されるレンズの台座に対する相対的な位置関係を調整可能にレンズを保持する。
【0026】
あるいは、さらに好ましくは、保持部は、それに保持されるレンズが台座に対して予め定められた相対的な位置関係をもってレンズを保持するとともに、台座の各々は、対応する発光素子が実装されている基板上の位置に応じて定められる相対的な位置関係をもって、基板上に実装される。
【0027】
好ましくは、レンズは、発光素子から光が入射する側の面の少なくとも一部に、反射面を含む。
【0028】
本発明の別の局面に係る撮像装置の製造方法は、複数の発光素子を、各発光素子の光照射方向が基板に対して実質的に垂直となるように、当該基板上にそれぞれ実装するステップと、複数の台座を、各台座が複数の発光素子のうち1つに対して予め定められた相対的な位置関係となるように、基板上にそれぞれ実装するステップと、複数のレンズを、各レンズが複数の台座のうち1つに対応付けられるように、台座上にそれぞれ固定するステップとを含む。固定するステップでは、各レンズと当該レンズに対応する発光素子との間の相対的な位置関係が、当該発光素子が配置されている基板上の位置に応じて定められる。
【0029】
本発明のさらに別の局面に係る照明装置の製造方法は、複数の発光素子を、各発光素子の光照射方向が基板に対して実質的に垂直となるように、当該基板上にそれぞれ実装するステップと、複数の台座を、各台座が複数の発光素子のうち1つに対応付けられるように、基板上にそれぞれ実装するステップと、複数のレンズを、各レンズが複数の台座のうち1つに対応付けられるように、台座上にそれぞれ固定するステップとを含む。複数の台座を実装するステップでは、各台座と当該台座に対応する発光素子との間の相対的な位置関係が、当該発光素子が配置されている基板上の位置に応じて定められる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のある局面によれば、発光素子とレンズとのペアの各々において、発光素子からの光が基板の垂直方向に対してペア別に定められた非ゼロの角度で外部に照射されるため、様々な照明視野および設置距離に対応可能な多数のバリエーションを有する照明装置のラインナップを、コストを抑制しつつ提供できる。また、本発明の別の局面によれば、多数のバリエーションを有する照明装置を実現するための製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る視覚センサの要部を示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットを構成するセル2の分解組立図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るレンズの斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットにおけるアライメントを説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットにおけるアライメントの状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットにおける設置距離のバリエーションを提供するための方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットの具現化例のサイズを示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットにおける異なるレンズ形状による照射方向の調整を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットにおける設置距離のバリエーションを提供するための方法を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットの製造工程を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットの製造工程を示す模式図である。
【図13】本発明の実施の形態1に係る照明ユニットの製造中の各状態を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る照明ユニットを構成するセルの分解組立図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係る照明ユニットにおけるアライメントを説明するための図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係る照明ユニットの製造工程を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態2に係る照明ユニットの製造工程を示す模式図である。
【図18】本発明の実施の形態2に係る照明ユニットの製造中の各状態を説明するための図である。
【図19】本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズの構造を示す断面図である。
【図20】本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズによる照明強度の改善効果を説明するための図である。
【図21】本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズによる照明強度の改善効果を説明するための図である。
【図22】本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズによる照射パターンの改善効果を説明するための図である。
【図23】本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズの一例を示す斜視図である。
【図24】本発明の実施の形態の変形例2に係る照明ユニットの概略構成を示す図である。
【図25】本発明の実施の形態の変形例3に係る照明装置の配置構成の一例を示す図である。
【図26】本発明の実施の形態の変形例3に係る照明装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0033】
[実施の形態1]
本発明の実施の形態1においては、一例として、本発明に係る照明装置を上述の特許文献1に開示されるような視覚センサに実装した場合の具現化例を示す。
【0034】
<A.全体装置構成>
図1は、本発明の実施の形態1に係る視覚センサの要部を示す概略構成図である。図1を参照して、本実施の形態に係る視覚センサは、計測対象物(以下、単に「対象物」とも称す。)OBJに対向した位置に配置された撮像ユニット100を有する。この撮像ユニット100が対象物OBJの表面(露出面)を撮像することで画像データを取得する。この取得された画像データは、図示しない処理ユニットに送られて画像認識処理が実行される。そして、この画像認識処理の結果に従って、対象物OBJについての良品/不良品が判断される。
【0035】
より具体的には、撮像ユニット100は、その内部に、照明光を発生する照明ユニット10と、照明光によって照らされた対象物OBJからの反射光を受光する撮像部50と、撮像部50の前段に配置されるレンズユニット40とを含む。
【0036】
照明ユニット10は、その上に複数の発光素子25が実装された基板を含み、各発光素子25が発生する光が紙面左側から紙面右側に向けて照射される。この照射された光は、対象物OBJの表面において反射され、その反射によって生じた反射光は、照明ユニット10に設けられた開口部6を通過してレンズユニット40に入射する。レンズユニット40は、公知の絞り機構やズーム機構(いずれも図示しない)を有しており、撮像部50に入射する反射光の光量や拡大率などを調整する。すなわち、撮像部50が対象物OBJを適切に撮像できるように光学的な調整が行なわれる。撮像部50は、典型的には、CCD(Charge Couple Device)やCMOSイメージセンサなどのデバイスからなる。
【0037】
このように、撮像ユニット100は、照明ユニット10から照射される照明光を用いて、対象物OBJの露出面を示す画像データを取得(すなわち、撮像)する。
【0038】
図1に示すように、本明細書において「照明視野」とは、撮像ユニット100によって有効に照明できる、すなわち、目的の光量を照射できる範囲を意味する。言い換えれば、「照明視野」は、撮像ユニット100を用いて、有効な画像データが取得できる対象物OBJの大きさ(範囲)を意味する。
【0039】
また、本明細書において「設置距離」または「WD」とは、撮像ユニット100によって有効に照明光を照射できる、撮像ユニット100から対象物OBJまでの距離を意味する。
【0040】
<B.照明ユニット構造>
図2は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10の斜視図である。図2を参照して、本実施の形態に係る照明ユニット10は、基板4と、基板4上に整列配置された複数のセル2とを含む。セル2の各々は、対象物OBJを照明するための光を射出する単位であり、後述するように、一対の発光素子と凸形状のレンズとを含む。なお、図2においては、8個のセル2が整列配置された構成を示すが、後述するように、セル2の数がより多い構成、あるいは、セル2の数がより少ない構成を採用することができる。さらに、照明ユニット全体として略正方形となるようにセル2が整列配置されているが、適用先に応じて、それぞれのセル2を任意の位置に配置してもよい。
【0041】
基板4には、複数のセル2からの照明光が対象物OBJにおいて反射して生じる反射光を通過させるための開口部6が形成されている。なお、開口部6の大きさ(開口サイズ)は、図1に示す撮像部50などの開口径、照明視野、WDなどの位置関係に応じて決定される。
【0042】
<C.セル構造>
図3は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10を構成するセル2の分解組立図である。図4は、本発明の実施の形態1に係るレンズの斜視図である。図3および図4を参照して、セル2は、レンズ22と、台座24と、発光素子25とを含む。レンズ22と台座24との間は、接着剤23によって結合されており、台座24と基板4との間は、接着剤27によって結合されている。
【0043】
発光素子25は、LEDチップが内蔵され、レンズ部25aとベース部25bとが形成された公知の表面実装型LEDパッケージであり、基板4上に実装される。このとき、発光素子25は、光照射方向が特定の方向に向くように傾ける等の調整をされることなく、後述する通常の表面実装方法によって実装されるため、レンズ部25aの光軸方向すなわち発光素子25の光照射方向が基板4の表面に対して実質的に垂直となるように配置されることになる。典型的には、基板4に形成されたパッド28,29が発光素子25のベース部25bに形成された電極(図示しない)と電気的に接続されるとともに、機械的にも固定される。
【0044】
台座24は、ロの字状の底部24aを有しており、基板4上に実装される発光素子25を取り囲むように配置される。このとき、基板4上に実装された発光素子25と同数の台座24が基板4上に実装される。そして、台座24の各々は、基板4上に実装された発光素子25のうち1つに対応付けられる。基板4上の適切な位置に接着剤27を塗布することで台座24が固定される。実施の形態1においては、台座24は、対応する発光素子25に対して予め定められた相対的な位置関係をもって基板4上に実装される。典型的には、台座24は、台座24の開口部24cの中心軸と発光素子25の中心軸とが一致するように位置決めされた状態で基板4上に実装される。なお、台座24の開口部24cの大きさ(面積)は、発光素子25の断面積より大きくなっている。
【0045】
また、台座24には、対応するレンズ22を保持するための保持部24bが形成されている。保持部24bの上面にレンズ22が装着されることで、底部24aから所定距離だけ上方の位置にレンズ22を保持することができる。
【0046】
レンズ22は、台座24において位置決めされ、発光素子25で生成された照明光を外部へ射出する。すなわち、基板4上に実装された発光素子25と同数のレンズ22が配置され、各レンズ22は、複数の発光素子25のうち1つとの間でペアを構成する。レンズ22は、ベース部22aと、主として発光素子25からの光を収束するための透光性の凸型レンズ部22bとが一体的に構成されている。なお、ベース部22aおよび凸型レンズ部22bのいずれもが透光性を有していてもよいが、発光素子25からの光は、主として凸型レンズ部22bを透過するように位置決めされる。
【0047】
後述するように、本実施の形態に係るセル2においては、レンズ22と発光素子25との間の相対的な位置関係を適切に設定することで、所望の照明視野およびWDを有する照明ユニット10を提供する。すなわち、各セル2においては、レンズ22が対応する発光素子25との間で、発光素子25からの光が基板4の垂直方向に対してセル別に定められた非ゼロの角度で外部に照射されるような相対的な位置関係で配置される。
【0048】
そのため、台座24の保持部24bは、それに保持されるレンズ22の台座24に対する相対的な位置関係を調整可能に22レンズを保持する。
【0049】
具体的には、保持部24bの各々は、その上面がL字状の平坦面となっている。一方、レンズのベース部22aの四隅には、一対の切欠部22cおよび22dがそれぞれ形成され、ベース部22aの切欠部以外の端部22fは、その下面が長方形状の平坦面となっている。この端部22fの下面が保持部24bの上面に載った状態で、切欠部22cおよび22dにおいて、レンズ22と台座24とが接着剤23によって固定される。
【0050】
すなわち、図4に示すように、レンズ22の端部22fの下面(ハッチング部分)の全部または一部が保持部24bの上面と接するように、レンズ22が保持される。
【0051】
台座24とレンズ22との形状およびサイズを上述のような関係で設計することで、台座24に対して所望の相対的な位置関係となるように、レンズ22を位置決めできる。
【0052】
なお、上述したように、レンズ22を発光素子25の中心軸から所定距離だけずらして(バイアスさせて)配置できるように、レンズ22の凸型レンズ部22bにおける断面、すなわちレンズ22の透光可能な断面は、対応する発光素子25のレンズ部25aにおける断面、すなわち発光素子25の光照射断面より大きくなるように構成される。この凸型レンズ部22bの断面サイズは、台座24とレンズ22との間のクリアランスの大きさを考慮して設計される。
【0053】
<D.アライメントによる調整>
図5は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10におけるアライメントを説明するための図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10におけるアライメントの状態を示す図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10における設置距離のバリエーションを提供するための方法を説明するための図である。
【0054】
図5(a)には、発光素子25の光照射方向の光軸Ax1と、レンズ22中心の光軸Ax2とが一致するように位置合わせされている状態を示す。図5(b)には、図5(a)に示す状態に対して、レンズ22が紙面右側に所定距離だけずれて配置されている状態を示す。本明細書において、このような相対的な位置関係を調整する操作および調整された状態を「アライメント」とも称す。上述したように、実施の形態1に係るセル2においては、発光素子25と台座24との間の相対的な位置関係は予め定まっており、台座24に対するレンズ22の相対的な位置関係を調整(レンズアライメント)することで、照明ユニット10から射出される照明光の照明視野およびWDのバリエーションを提供する。
【0055】
より具体的には、図5(a)に示すように、発光素子25の光軸Ax1とレンズ22の光軸Ax2とが一致する場合には、発光素子25で生成された照明光B1は光軸Ax1に沿って伝搬する。このとき、レンズ22の光軸Ax2が光軸Ax1と同一直線上に存在するので、レンズ22を通過した照明光B1はその伝搬方向を保ったまま、照明光B2として外部へ射出される。
【0056】
これに対して、図5(b)に示すように、レンズ22の光軸Ax2が発光素子25の光軸Ax1に対してずれて配置されている場合には、発光素子25で生成された照明光B1がレンズ22に入射した後、その伝搬方向が変化する。すなわち、レンズ22に入射した照明光B1は、レンズ22の中心軸に向けて収束するので、結果的に、発光素子25の光軸Ax1に対して非ゼロの所定角度に傾いた方向に、照明光B2は射出される。光軸Ax1およびAx2は、いずれも基板4と垂直になっているので、照明ユニット10から外部へ照射される照明光B2は、基板4の垂直方向に対してセル別に定められた非ゼロの角度で伝搬することになる。
【0057】
図5に示すように、照明ユニット10から射出される照明光B2の伝搬方向は、レンズ22のアライメント方向と同じ向きに傾くことになる。すなわち、セル2の各々においては、レンズ22は、対応する発光素子25の光照射方向の光軸Ax1に位置合わせされた状態に対して、発光素子25からの光を照射すべき方向にずれて配置される。
【0058】
また、レンズ22のアライメント量(変位量)を大きくさせるほど、照明光B2の射出方向も光軸Ax1に対してより大きく傾くことになる。
【0059】
したがって、適切な変位方向および変位量にアライメントすることによって、所望の照明視野およびWDを実現できる。言い換えれば、同一の発光素子25およびレンズ22を用いつつ、種々のアライメント方向およびアライメント量を設定することで、様々な照明視野およびWDを有する照明ユニット10を提供できる。したがって、照明視野およびWSのバリエーションの数だけ発光素子25やレンズ22を個別に設計したり、発光素子を傾けて実装したりする必要がなく、その結果、製造コストなどを低減できる。
【0060】
照明ユニット10に含まれるそれぞれのセル2が照射する照明光が全体として、目的の照明視野およびWDとなるように、それぞれのセル2においては、基板4上におけるセル2の位置に応じてアライメントされる。たとえば、図6に示すように、照明ユニット10の中心軸(開口部6の中心点に相当)に向けて照明光を照射する場合には、それぞれのセル2において、発光素子25に対するレンズ22がより開口部6に近接する方向にずれた位置に配置される。
【0061】
図6には、発光素子25の光軸Ax1と凸型レンズ部22bの光軸Ax2とが一致している状態(図5(a)の状態に相当)における凸型レンズ部22bの位置を破線(符号21b)で示している。前述の通り、レンズ22の凸型レンズ部22bにおける断面は、対応する発光素子25のレンズ部25aにおける断面より大きくなるように構成されるため、図6に示す通り、基板4の表面に垂直な方向から見て、レンズ部25aは符号21bの領域の中に収まっている。この符号21bに示す基準状態に対して、たとえば、紙面最上段の中央に位置するセル2のレンズ22は、紙面上で開口部6に近接するようにずらして配置されている(紙面下方向へのアライメント量L1)。同様に、紙面最上段の左側に位置するセル2においては、レンズ22が紙面上で開口部6に近接するようにずらして配置されている(紙面右方向へのアライメント量L2および紙面下方向へのアライメント量L3)。また、紙面中段の左側に位置するセル2においては、レンズ22が紙面上で開口部6に近接するようにずらして配置されている(紙面右方向へのアライメント量L4)。
【0062】
他のセル2についても同様に規則に従ってアライメントされている。このように、所望の照明視野およびWDを実現できるように、照明ユニット10を構成するそれぞれのセル2においては、各セル2の基板4上における位置に応じた変位方向および変位量でアライメントされる。
【0063】
なお、図6においては、照明ユニット10の中心方向に照明光を照射する場合のアライメントの例を示すが、別の方向に照明光を照射する必要がある場合には、その所望の照射方向に応じたアライメントがなされる。
【0064】
上述のように、セル2の各々における発光素子25とレンズ22との間の相対的な位置関係は、対応する発光素子25が配置されている基板4上の位置に応じて定められる。そして、セル2の各々では、レンズ22は、その光軸Ax2(図5参照)が、対応する発光素子の光照射方向の光軸Ax1(図5参照)に比較して、より開口部6に近接するように配置される。
【0065】
なお、図6に示すように、複数のセル2が開口部6を中心として対称的に配置される構成においては、開口部6を中心として対称な位置に配置されている2つのセル2の間において、一方のセル2における相対的な位置関係と他方のセル2における相対的な位置関係との間に対称関係が成立する。すなわち、たとえば、図6に示す紙面最上段の中央に位置するセル2におけるアライメント量(紙面下方向へのアライメント量L1)と、図6に示す紙面最下段の中央に位置するセル2におけるアライメント量(紙面上方向へのアライメント量L1)とが等しくなるようにする。
【0066】
次に、上述のようなアライメントと照明視野および設置距離(WD)の調整との関係を説明する。図7(a)には、セル2におけるアライメント量が相対的に大きい場合の照射状態を示し、図7(b)には、セル2におけるアライメント量が相対的に小さい場合の照射状態を示す。なお、セル2においては、照明ユニット10の開口部6の方向にレンズ22がアライメントされているものとする。
【0067】
また、所定の軸上にレンズユニット40および撮像部50が整列配置されているものとする(図1参照)。そのため、撮像部50が撮像できる範囲(以下「計測視野」とも称す。)は、撮像部50の光軸Ax3を中心とする範囲となる。なお、この光軸Ax3は、照明ユニット10の開口部6の中心点を貫通するように設定されることが好ましい。
【0068】
図7(a)に示す例では、アライメント量が相対的に大きいので、紙面左側のセル2からの照明光は、照明ユニット10の基板に垂直な方向に対して、相対的に大きな傾き(射出角)をもって照射される。そのため、照明ユニット10から相対的に近接した位置(図7(a)に示す計測視野1に対応する位置)において、光軸Ax3を中心とする範囲が照射される。一方で、照明ユニット10からより離れた位置(図7(a)に示す計測視野2)においては、撮像部50の計測視野からずれた範囲を照明することになる。
【0069】
原則として、撮像部50の計測範囲内における照明強度は、均一であることが好ましい。そのため、図7(a)に示す例では、照明ユニット10のWDは、計測視野1に相当する位置となり、その計測視野1において照明される範囲が照明視野となる。言い換えれば、照明ユニット10のWDは、照明視野の中心が撮像部50の計測視野の中心である光軸Ax3と一致するような場所を意味する。これに対して、計測視野2においては、計測視野の面内光量分布が不均一となるため、適切に対象物OBJを撮像することができない。なお、本明細書において設置距離(WD)は、特定の値のみを意味するものではなく、撮像部50の計測視野を適切に照明することのできる、ある程度の幅をもった距離の範囲をも意味する。
【0070】
一方、図7(b)に示す例では、計測視野2の位置において、照明ユニット10から照射される照明視野の中心が光軸Ax3と一致するようにアライメント量が設定される。すなわち、照明ユニット10からより離れた位置にある対象物OBJに対して適切に照明光を照射できるように、照明光の射出角度がより小さくなっている。この例においては、上述の図7(a)に示す例とは逆に、計測視野1における面内光量分布は不均一となるため、適切に対象物OBJを撮像することができない。
【0071】
このように、製造段階において各セル2におけるアライメント量を適宜調整することで、撮像部50により撮像される対象物OBJがどの程度離れているかに応じた、適切な設置距離(WD)を有する照明ユニット10を提供できる。
【0072】
たとえば、計測視野が5〜10mm、かつ、WDが35〜50mmの製品、計測視野が10〜50mm、かつ、WDが35〜200cmの製品といった具合に、共通のレンズ22、台座24および発光素子25を用いながらも、豊富なラインナップを提供できる。
【0073】
(設計例)
以下、典型的な設計例について示す。
【0074】
図8は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10の具現化例のサイズを示す図である。図8に示すように、照明ユニット10の基板サイズが36mm×36mmであり、各セル2(台座24の外形)のサイズが10mm×10mmであり、開口部6の直径が12mmであるとする。
【0075】
このような場合、以下の2つの場合を考える。
(1)計測視野が5〜10mm(直径値)、かつ、設置距離(WD)が35〜40mm
(2)計測視野が10〜50mm(直径値)、かつ、設置距離(WD)が35〜200mm
上述の(1)の場合は、図7(a)に示すような位置関係に相当し、上述の(2)の場合は、図7(b)に示すような位置関係に相当する。
【0076】
計算機シミュレーションによれば、(1)に示すようなスペックは、0.4mmのアライメント量でレンズ22と発光素子25との間の相対的な位置関係をずらすことで実現できる。また、(1)に示すようなスペックは、0.2mmのアライメント量でレンズ22と発光素子25との間の相対的な位置関係をずらすことで実現できる。
【0077】
<E.レンズ形状による調整>
先に、発光素子25とレンズ22との間の相対的な位置関係を調整(アライメント)することで、照明視野および設置距離(WD)のバリエーションを提供できることについて説明したが、形状の異なる複数の種類のレンズ22を用意することで、より多数の照明視野および設置距離(WD)のバリエーションを提供することもできる。
【0078】
図9は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10における異なるレンズ形状による照射方向の調整を示す図である。図10は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10における設置距離のバリエーションを提供するための方法を説明するための図である。
【0079】
図9を参照して、形状の異なる複数種類のレンズ22の典型例として、レンズ径の異なる2種類のレンズ22Aおよび22Bを用いた場合の光学的な挙動の相違について説明する。図9(a)には、相対的に大きな曲率半径r1を有するレンズ22Aを用いた場合の例を示し、図9(b)には、相対的に小さな曲率半径r2(r2<r1)を有するレンズ22Bを用いた場合の例を示す。
【0080】
図9(a)に示すように、相対的に大きな曲率半径r1を有するレンズ22Aでは、その内部を伝搬する照明光に対する屈折率が小さくなるので、収束半径が相対的に大きくなる。そのため、レンズ22Aを透過して射出される照明光の光束径は、相対的に大きく、より広い範囲を照射することになる。すなわち、各セル2の照明視野は相対的に大きくなる。
【0081】
これに対して、図9(b)に示すように、相対的に小さな曲率半径r2を有するレンズ22Bでは、その内部を伝搬する照明光に対する屈折率が大きくなるので、収束半径が相対的に小さくなる。そのため、レンズ22Bを透過して射出される照明光の光束径は、相対的に小さく、より狭い範囲を照射することになる。すなわち、各セル2の照明視野は相対的に小さくなる。
【0082】
図9に示すように異なるレンズ径を有するレンズを用いた場合の照明視野は、図10に示すようになる。すなわち、図10(a)には、図9(a)に示すようなレンズの曲率半径が相対的に大きな場合を示し、この場合には、照明ユニット10から計測視野2まで離れた位置であっても、計測視野2の全体をカバーするような照明視野を提供できる。これに対して、図10(b)には、図9(b)に示すようなレンズの曲率半径が相対的に小さな場合を示し、この場合には、1つのセル2の照明視野では、計測視野2の全体をカバーできない。
【0083】
ただし、各セル2から照射される照明光の光量が同じであるとすれば、図10(a)の照明視野における照明強度は、図10(b)の照明視野における照明強度より小さくなる。そのため、照明ユニット10を構成するセル2の数および配置構成、計測される対象物OBJの位置や面積などを考慮して、それぞれのセル2からの照明光をどのような範囲に照射するのかが適宜設計される。
【0084】
このように曲率半径(屈折率)の異なる複数種類のレンズ22を用意することで、照明視野を容易に変更することができ、これにより、コストを抑制しつつ、より多くのバリエーションを有する製品群を提供することができる。
【0085】
<F.製造プロセス>
図11は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10の製造工程を示すフローチャートである。図12は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10の製造工程を示す模式図である。図13は、本発明の実施の形態1に係る照明ユニット10の製造中の各状態を説明するための図である。
【0086】
図11を参照して、まず、ステップS102において、照明ユニット10を構成する基板4を用意する。続くステップS104において、用意された基板4に対して、所定数の発光素子25を実装する。典型的には、公知の表面実装方法を用いて、用意された基板4上の所定位置に発光素子25が一括または順次実装される。すなわち、パッド28,29上にクリームはんだを印刷した後にチップマウンタで発光素子25を載置し、その後リフロー炉で加熱してクリームはんだを溶かし、発光素子25の図示しない電極をパッドにはんだ付けすることにより、発光素子25を基板4に固定する。これにより、複数の発光素子25が、各発光素子25の光照射方向が基板4に対して実質的に垂直となるように、当該基板4上にそれぞれ実装される。なお上記の一般的な表面実装方法を用いると、各発光素子25の基板4における実装位置には一定の範囲内でずれが生じる。
【0087】
さらに続くステップS106において、発光素子25が実装された基板4が洗浄(典型的には、イソプロピルアルコールなどへの浸漬処理)され、さらにステップS108において、恒温槽などで浸漬後の基板4を乾燥する。ステップS108の実行後、図12の「1.発光素子実装」工程に示すような基板4が得られる。図13(a)には、8個の発光素子25が実装された状態の基板4を示す。
【0088】
以上のような工程によって、発光素子が実装された状態の基板4が得られると、ステップS110以下に示すような台座24の実装工程へ進む。
【0089】
ステップS110において、基板4上に実装されている発光素子25の位置認識を行う。これは、前述の通り基板4上に実装される発光素子25が基板4に対して常に同じ位置関係をもって実装されるとは限らないからである。より具体的には、図12の「2.ベアチップ認識」工程に示すように、公知の画像処理技術を用いて、ベアチップ(外装などの施されていない状態の発光素子25)の位置が特定される。
【0090】
続くステップS112において、基板4上の特定された発光素子25の位置に応じて定められる範囲に、接着剤27を塗布する。作業工程上、接着剤27としては、紫外線硬化樹脂(以下、「UV接着剤」とも称す。)が用いられることが多いが、熱硬化性あるいは可視硬化性の接着剤を用いてもよい。このとき、図12の「3.接着剤塗布」工程に示すように、画像認識結果に従って公知のディスペンサ(液体定量吐出装置)が位置決めされた後、所定量の接着剤27が塗布される。図13(b)には、発光素子25を取り囲む四辺に接着剤27が塗布された状態の基板4を示す。
【0091】
続くステップS114において、対象の発光素子25に対して、一定の相対的な位置関係を有するように、台座24が実装される。本実施の形態においては、台座24の開口部24cの中心が発光素子25の中心と位置するように、台座24が実装される。より具体的には、図12の「4.台座実装」工程に示すように、公知のロボット装置を用いて台座24を吸着しつつ、目的の相対位置に位置決めを行う。
【0092】
さらにステップS116において、基板4に台座24が配置されると、接着剤27に対して紫外線硬化する。より具体的には、図12の「5.UV硬化」工程に示すように、公知の紫外線照射装置を用いて、接着剤27に対して所定量の紫外線を照射する。図13(c)には、発光素子25を取り囲むように台座24が実装された状態を示す。
【0093】
なお、ステップS114とステップS116との間の工程において、台座24および接着剤27を安定化するためにプレアニール処理(熱処理)を行ってもよい。
【0094】
以上の工程により、1つのセル2における台座24の実装が完了する。すなわち、ステップS110〜S116の工程においては、複数の台座24を、各台座24が複数の発光素子25のうち1つに対して予め定められた相対的な位置関係となるように、基板4上にそれぞれ実装する。
【0095】
次に、レンズ22のアライメントおよび実装が行われる。
ステップS120において、台座24のレンズ22を保持する範囲に接着剤23を塗布する。接着剤23についても、上述の接着剤27と同様に、紫外線硬化樹脂(以下、「UV接着剤」とも称す。)が用いられることが多いが、熱硬化性あるいは可視硬化性の接着剤を用いてもよい。このとき、図12の「6.接着剤塗布」工程に示すように、台座24の保持部24bの四隅に所定量の接着剤23が塗布される。
【0096】
続くステップS122において、台座24に対して、その位置に応じた所望の相対的な位置関係を有するように、レンズ22が実装される。すなわち、上述の図6に示したように、基板4上の位置に応じたアライメント量が生じるように、対応する台座24を基準としてレンズ22が位置決めされる。より具体的には、図12の「7.レンズアライメント+実装」工程に示すように、公知のロボット装置を用いてレンズ22を吸着しつつ、目的の相対位置に位置決めを行う。
【0097】
さらにステップS124において、台座24にレンズ22が配置されると、接着剤23に対して紫外線硬化する。より具体的には、図12の「8.UV硬化」工程に示すように、公知の紫外線照射装置を用いて、接着剤23に対して所定量の紫外線を照射する。図13(d)には、台座24に対してレンズ22が実装された状態を示す。
【0098】
なお、ステップS122とステップS124との間の工程において、レンズ22および接着剤23を安定化するためにプレアニール処理(熱処理)を行ってもよい。
【0099】
以上の工程により、1つのセル2におけるレンズ22の実装が完了する。すなわち、ステップS120〜S124の工程においては、複数のレンズ22を、各レンズ22が複数の台座24のうち1つに対応付けられるように、台座24上にそれぞれ固定する。このとき、各レンズ22に対応する発光素子25からの光が基板4の垂直方向に対してセル別に定められた非ゼロの角度で外部に照射されるように、各レンズ22と当該対応する発光素子25との間の相対的な位置関係を位置決めする。相対的な位置関係の各々は、対応する発光素子25が配置されている基板4上の位置に応じて定められる。
【0100】
その後、ステップS130において、基板4上に実装された発光素子25のすべてについて、レンズ22の実装が完了したか否かを判断する。レンズ22の実装が未完了の発光素子25が存在すれば(ステップS130においてNO)、ステップS110以下の処理が繰返される。
【0101】
これに対して、すべての発光素子25に対するレンズ22の実装が完了していれば(ステップS130においてYES)、ステップS132において、照明ユニット10に対する検査を行う。検査で良品と判断されると、完成品として出荷される。図13(e)には、照明ユニット10として組み上がった状態を示す。
【0102】
<G.作用・効果>
本実施の形態によれば、共通の基板上に、共通の発光素子、台座、レンズを任意の相対的な位置関係で実装することにより、照明視野および設置距離(WD)の仕様を様々に異ならせた多数のバリエーション(製品群)を、コストを抑制しつつラインナップできる。
【0103】
[実施の形態2]
上述の実施の形態1においては、発光素子と台座とをそれぞれ基板に固定した上で、台座に対するレンズの固定位置をずらせることで、発光素子とレンズの相対的な位置関係をアライメントする構成について例示した。一方、実施の形態2においては、レンズを特定の位置関係で固定できる台座を用いて、この台座の発光素子に対する相対的な位置関係をアライメントする構成について例示する。
【0104】
<A.全体装置構成>
本発明の実施の形態2に係る視覚センサは、上述の図1に示す実施の形態1に係る視覚センサと同様の構成を採用するので、詳細な説明は繰返さない。
【0105】
<B.照明ユニット構造>
本発明の実施の形態2に係る照明ユニット10についても、図2に示す実施の形態1に係る照明ユニットと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。ただし、セル2に代えて、セル3が使用される。
【0106】
<C.セル構造>
図14は、本発明の実施の形態2に係る照明ユニット10を構成するセル3の分解組立図である。図14を参照して、セル3は、レンズ32と、台座34と、発光素子25とを含む。レンズ32と台座34との間は、後述する「ツメ」状の部材による係合によって固定される。台座34と基板4との間は、接着剤37によって結合されている。
【0107】
発光素子25は、基板4上に実装される。この実装形態については、上述の実施の形態1に係るセル2と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0108】
台座34は、ロの字状の底部34aを有しており、基板4上に実装される発光素子25を取り囲むように配置される。すなわち、基板4上に実装された発光素子25と同数の台座34が基板4上に実装される。そして、台座34の各々は、基板4上に実装された発光素子25のうち1つに対応付けられる。基板4上の適切な位置に接着剤37を塗布することで台座34が固定される。
【0109】
実施の形態2においては、台座34は、対応する発光素子25が配置されている基板4上の位置に応じて定められる相対的な位置関係に従って、対応する発光素子25に対して相対配置される。すなわち、発光素子25に対して、台座34がアライメントされる。この詳細については、後述する。なお、台座34をアライメントできるように、台座34の開口部34cの大きさ(面積)は、発光素子25の断面積より大きくなっている。
【0110】
また、台座34には、対応するレンズ32をスナップフィット方式によって保持するための保持部34bが形成されている。保持部34bは底部34aの四隅に配置され、底部34aから基板4に垂直な方向に伸びる基部34eと、基部34eの先端から底部34aの内側に向かって伸びるように形成されたテーパ部34fと、底部34aから基部34eと同じ方向に基部34eの途中まで伸びる支持部34dとからなる。レンズ32が、基板4の垂直方向に沿って紙面上側から紙面下側に押込まれると、まずレンズ32のベース部32aがテーパ部34fを押すことによって、それぞれの保持部34bが底部34aの外側へ歪む。レンズ32がさらに押込まれると、ベース部32aの下面が支持部34dの上面に押し当てられる。テーパ部34fは、ベース部32aの下面が支持部34dと接触した状態で、ベース部32aの上面が位置する高さまで形成されている。そのため、レンズ32が支持部34dに接触する程度まで押込まれると、テーパ部34fとベース部32aの側面との接触がなくなり、それぞれの保持部34bが底部34aの内側へ復帰する。これにより、テーパ部34fと支持部34dがベース部32aの四隅を把持し、レンズ32の基板4に垂直な方向への移動が規制される。
【0111】
また、同一辺上に並んで配置される保持部34bの間の距離は、ベース部32aに形成された一対の切欠部32cの間の距離と一致するように構成されている。すなわち、ベース部32aの切欠部32cが両側に配置されている保持部34bの基部34eの側面と接触するように、レンズ32は装着される。その結果、レンズ32のX−X方向への移動が規制される。以上により、レンズ32が台座34に固定される。
【0112】
このように、台座34の保持部34bは、それに保持されるレンズ32が台座34に対して予め定められた相対的な位置関係を維持できるように構成される。
【0113】
レンズ32は、台座34に固定され、発光素子25で生成された照明光を外部へ射出する。すなわち、基板4上に実装された発光素子25と同数のレンズ32が配置され、各レンズ32は、複数の発光素子25のうち1つとの間でペアを構成する。レンズ32は、ベース部32aと、主として発光素子25からの光を収束するための透光性の凸型レンズ部32bとが一体的に構成されている。なお、ベース部32aおよび凸型レンズ部32bのいずれもが透光性を有していてもよいが、発光素子25からの光は、主として凸型レンズ部32bを透過するように位置決めされる。
【0114】
なお、上述したように、台座34(および、台座34に固定されるレンズ32)を発光素子25の中心軸から所定距離だけずらして(バイアスさせて)配置するので、レンズ32の凸型レンズ部32bにおける断面、すなわち、レンズ32の透光可能な断面は、対応する発光素子25の光照射断面より大きくなるように構成される。
【0115】
本実施の形態に係るセル3においては、台座34(および、台座34に固定されるレンズ32)と発光素子25との間の相対的な位置関係を適切に設定することで、所望の照明視野およびWDを有する照明ユニット10を提供する。すなわち、各セル3においては、台座34(および、台座34に固定されるレンズ32)が対応する発光素子25との間で、発光素子25からの光が基板4の垂直方向に対してセル別に定められた非ゼロの角度で外部に照射されるような相対的な位置関係で配置される。
【0116】
そのため、台座34の底部34aは、発光素子25に対して台座34をアライメントできるように、発光素子25の実装面積に対して、最大アライメント量に応じたマージンを有するように設計される。すなわち、底部34aの開口面積は、発光素子25の実装面積より大きい。
【0117】
このように、台座34の底部34aを上述のような大きさで設計することで、台座34(および、台座34に固定されるレンズ32)を、発光素子25に対して所望の相対的な位置関係となるように位置決めできる。
【0118】
<D.アライメントによる調整>
図15は、本発明の実施の形態2に係る照明ユニット10におけるアライメントを説明するための図である。図15(a)には、発光素子25の光照射方向の光軸Ax1と、レンズ32中心の光軸Ax2とが一致するように位置合わせされている状態を示す。図15(b)には、図15(a)に示す状態に対して、台座34(および、台座34に固定されるレンズ32)が紙面右側に所定距離だけずれて配置されている状態を示す。
【0119】
上述したように、実施の形態2に係るセル3においては、レンズ32と台座34との間の相対的な位置関係は予め定まっており、発光素子25に対する台座34の相対的な位置関係を調整(台座アライメント)することで、照明ユニット10から射出される照明光の照明視野およびWDのバリエーションを提供する。
【0120】
より具体的には、図15(a)に示すように、発光素子25の光軸Ax1とレンズ22の光軸Ax2とが一致する場合には、発光素子25で生成された照明光B1は光軸Ax1に沿って伝搬する。このとき、レンズ32の光軸Ax2が光軸Ax1と同一直線上に存在するので、レンズ22を通過した照明光B1はその伝搬方向を保ったまま、照明光B2として外部へ射出される。
【0121】
これに対して、図15(b)に示すように、台座34がアライメントされ、台座34に固定されているレンズ32の光軸Ax2が発光素子25の光軸Ax1に対してずれて配置されている場合には、発光素子25で生成された照明光B1がレンズ32に入射した後、その伝搬方向が変化する。すなわち、レンズ32に入射した照明光B1は、レンズ32の中心軸に向けて収束するので、結果的に、発光素子25の光軸Ax1に対して非ゼロの所定角度に傾いた方向に、照明光B2は射出される。光軸Ax1およびAx2は、いずれも基板4の垂直方向に定義されるので、照明ユニット10から外部へ照射される照明光B2は、基板4の垂直方向に対してセル別に定められた非ゼロの角度で伝搬することになる。
【0122】
図15に示すように、照明ユニット10から射出される照明光B2の伝搬方向は、台座34のアライメント方向と同じ向きに傾くことになる。すなわち、セル3の各々においては、台座34は、対応する発光素子25の光照射方向の光軸Ax1に位置合わせされた状態に対して、発光素子25からの光を照射すべき方向にずれて配置される。また、台座34のアライメント量(変位量)を大きくさせるほど、照明光B2の射出方向も光軸Ax1に対してより大きく傾くことになる。
【0123】
したがって、適切な変位方向および変位量にアライメントすることによって、所望の照明視野およびWDを実現できる。言い換えれば、同一の発光素子25、レンズ32および台座34を用いつつ、種々のアライメント方向およびアライメント量を設定することで、様々な照明視野およびWDを有する照明ユニット10を提供できる。したがって、照明視野およびWSのバリエーションの数だけ発光素子25、レンズ32および台座34を個別に設計するような必要がなく、その結果、製造コストなどを低減できる。
【0124】
なお、照明ユニット10全体としての設計などについては、上述の図6〜図8と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0125】
<E.レンズ形状による調整>
上述の実施の形態1において例示したように、形状の異なる複数の種類のレンズ32を用意することで、より多数の種類の照明視野および設置距離(WD)のバリエーションを提供することもできる。
【0126】
その原理的な説明などについては、上述の図9と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0127】
特に、実施の形態2においては、台座34の保持部34bが「スナップフィット」形状であるので、レンズ32を容易に装着できる。そのため、ベース部32aの大きさを共通につつ、凸型レンズ部32bの形状を異ならせた複数のレンズ群を用意することで、照明視野を容易に変更することができる。これにより、コストを抑制しつつ、より多くのバリエーションを有する製品群を提供することができる。
【0128】
さらに、基板4上に発光素子25および台座34のみを装着した半製品を先に製造しておき、顧客から注文があった時点で、要求された照明視野およびWDに応じたレンズ32を先に用意していた半製品に装着することで、コストを抑制しつつ、顧客の要求に迅速かつ細やかに対応することができる。
【0129】
<F.製造プロセス>
図16は、本発明の実施の形態2に係る照明ユニット10の製造工程を示すフローチャートである。図17は、本発明の実施の形態2に係る照明ユニット10の製造工程を示す模式図である。図18は、本発明の実施の形態2に係る照明ユニット10の製造中の各状態を説明するための図である。
【0130】
図16を参照して、まず、ステップS202において、照明ユニット10を構成する基板4を用意する。続くステップS204において、用意された基板4に対して、所定数の発光素子25を実装する。典型的には、公知の表面実装方法を用いて、用意された基板4上の所定位置に発光素子25が一括または順次実装される。これにより、複数の発光素子25が、各発光素子25の光照射方向が基板4に対して実質的に垂直となるように、当該基板4上にそれぞれ実装される。
【0131】
さらに続くステップS206において、発光素子25が実装された基板4が洗浄(典型的には、イソプロピルアルコールなどへの浸漬処理)され、さらにステップS208において、恒温槽などで浸漬後の基板4を乾燥する。ステップS208の実行後、図17の「1.発光素子実装」工程に示すような基板4が得られる。図18(a)には、8個の発光素子25が実装された状態の基板4を示す。
【0132】
以上のような工程によって、発光素子が実装された状態の基板4が得られると、ステップS210以下に示すような台座34の実装工程へ進む。
【0133】
ステップS210において、基板4上に実装されている発光素子25の位置認識を行う。これは、基板4上に実装される発光素子25が基板4に対して常に同じ位置関係をもって実装されるとは限らないからである。より具体的には、図17の「2.ベアチップ認識」工程に示すように、公知の画像処理技術を用いて、ベアチップ(外装などの施されていない状態の発光素子25)の位置が特定される。
【0134】
続くステップS212において、基板4上の特定された発光素子25の位置に応じて定められる範囲に、接着剤37を塗布する。このとき、図17の「3.接着剤塗布」工程に示すように、画像認識結果に従って公知のディスペンサ(液体定量吐出装置)が位置決めされた後、所定量の接着剤37が塗布される。図18(b)には、発光素子25を取り囲む四辺に接着剤37が塗布された状態の基板4を示す。
【0135】
続くステップS214において、対象の発光素子25に対して、その位置に応じた所望の相対的な位置関係を有するように、台座34が実装される。すなわち、上述の図6に示したように、基板4上の位置に応じたアライメント量が生じるように、対応する発光素子25を基準として台座34が位置決めされる。より具体的には、図17の「4.台座アライメント+実装」工程に示すように、公知のロボット装置を用いて台座24を吸着しつつ、目的の相対位置に位置決めを行う。
【0136】
さらにステップS216において、基板4に台座34が配置されると、接着剤37に対して紫外線硬化する。より具体的には、図17の「5.UV硬化」工程に示すように、公知の紫外線照射装置を用いて、接着剤37に対して所定量の紫外線を照射する。図18(c)には、発光素子25を取り囲むように台座34が実装された状態を示す。
【0137】
なお、ステップS214とステップS216との間の工程において、台座34および接着剤37を安定化するためにプレアニール処理(熱処理)を行ってもよい。
【0138】
以上の工程により、1つのセル3における台座34の実装が完了する。すなわち、ステップS210〜S216の工程においては、複数の台座34を、各台座34が複数の発光素子25のうち1つに対応付けられるように、基板4上にそれぞれ実装する。このとき、対応する発光素子25からの光が対応するレンズ32を透過した後に基板4の垂直方向に対してセル別に定められた非ゼロの角度で外部に照射されるように、各台座34についての当該対応する発光素子25との間の相対的な位置関係を位置決めする。この相対的な位置関係の各々は、対応する発光素子25が配置されている基板4上の位置に応じて定められる。
【0139】
その後、ステップS220において、基板4上に実装された発光素子25のすべてについて、台座34の実装が完了した否かを判断する。台座34の実装が未完了の発光素子25が存在すれば(ステップS220においてNO)、ステップS210以下の処理が繰返される。
【0140】
これに対して、すべての発光素子25に対する台座34の実装が完了していれば(ステップS220においてYES)、各台座34に対して、レンズ32を装着する(ステップS222)。より具体的には、図17の「6.レンズ装着」工程に示すように、公知のロボット装置または人手にて、所望のレンズが台座34の保持部34bに順次装着される。すなわち、複数のレンズ32を、各レンズ32が複数の台座34のうち1つに対応付けられるように、台座34上にそれぞれ固定する。図18(d)には、すべての台座34が実装された状態を示し、図18(e)には、各台座34にレンズ32が装着された状態を示す。
【0141】
続くステップS224において、照明ユニット10に対する検査を行う。検査で良品と判断されると、完成品として出荷される。
【0142】
<G.作用・効果>
本実施の形態によれば、共通の基板上に、共通の発光素子、台座、レンズを目的の相対的な位置関係で実装することにより、照明視野および設置距離(WD)の仕様を様々に異ならせた多数のバリエーション(製品群)を、コストを抑制しつつラインナップできる。
【0143】
特に、本実施の形態によれば、台座を実装後に、必要なレンズを装着すればよいので、より作業工程を簡略化できるとともに、事後的にバリエーションを増加させることもできる。
【0144】
[実施の形態3]
上述の実施の形態1および2においては、発光素子25に対して、レンズおよび台座がそれぞれ独立した部品として実装される構成を例示したが、レンズと台座とを一体的に形成してもよい。この場合には、レンズと台座とを一体化した部品を発光素子に対して、位置決めすることになる。
【0145】
その他の構成や製造方法については、上述の実施の形態1および2と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0146】
[実施の形態1〜3の変形例1]
上述の実施の形態1〜3に係る各セルにおいては、発光素子25から光が入射する側の面の少なくとも一部に反射面を含むレンズを採用してもよい。
【0147】
図19は、本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズの構造を示す断面図である。図20および図21は、本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズによる照明強度の改善効果を説明するための図である。図22は、本発明の実施の形態の変形例1に係るレンズによる照射パターンの改善効果を説明するための図である。
【0148】
図19(a)には、上述の実施の形態1において説明したレンズ22の断面構造を示し、図19(b)には、本変形例に係るレンズ22#の断面構造を示す。
【0149】
図19(b)に示すように、本変形例に係るレンズ22#では、ベース部22aが、レンズ22に比較してより発光素子25の側に膨らむような形状となっており、発光素子25が発生する照明光をより放射面に導くように構成される。特に、レンズ22#においては、発光素子25からの光が入射する側の面に、反射面22eが形成される。反射面22eは、典型的には、アルミ蒸着などの方法によって構成されるアルミミラーである。なお、反射面22eとしては、正反射を生じるように鏡面仕上げが好ましい。もちろん、反射面22eの材質や製法などについては、公知の任意の技術を用いることができる。
【0150】
図19を参照して、本変形例に係るレンズ22#を用いることによって、照射強度が改善できることについて説明する。
【0151】
図19(a)に示すように、反射面22eを設けない構造においては、発光素子25から射出された出射角が相対的に小さい照明光は、凸型レンズ部22bに入射した後、照明光B1として対象物OBJへ照射される。これに対して、発光素子25から射出された出射角が相対的に大きい照明光は、凸型レンズ部22bに入射することができず、レンズ22の射出面とは異なる部分から外部へ射出され(符号B12)、もしくは、レンズ22内で減衰してしまう。そのため、発光素子25が発生する照明光の一部のみを対象物OBJへ照射することしかできない。
【0152】
これに対して、図19(b)に示すように、反射面22eを設ける構造を採用することで、発光素子25から射出された出射角が相対的に大きい照明光であっても、ベース部22aの射出面側の界面で反射された後、反射面22eに入射する。さらに、反射面22eで反射された照明光は、ベース部22a内を伝搬して、射出面側から外部へ照射される(符号B13)。
【0153】
そのため、発光素子25が発生する照明光の多くを対象物OBJへ照射することができる。したがって、このようなレンズ22#を用いることで、同じ発光素子25を採用した場合であっても、その照射される照明光の強度をより高めることができる。
【0154】
図20に示すように、あるセル2から照射される照明視野内における照明強度のプロファイルを比較した結果を、図21に示す。図21(a)には、図20に示す照明視野の対角線A1−A1上の照明強度プロファイルを示し、図21(b)には、図20に示す照明視野の対辺A2−A2上の照明強度プロファイルを示す。これらの照明強度プロファイルは、計算機シミュレーションにより算出したものである。なお、図21において、「レンズのみ」は、図19(a)に示す反射面22eを含まないレンズ22を用いた場合のプロファイルを示し、「レンズ+反射面」は、図19(b)に示す反射面22eを含むレンズ22#を用いた場合のプロファイルを示す。
【0155】
図19(a)には、それぞれの場合の照明強度プロファイルに加えて、照明視野における面内均一性(最大強度に対する各部分の強度の比率)が90%を確保できる範囲を示している。
【0156】
図19(a)に示すように、対角線A1−A1において、レンズ22を用いた場合には55mmの範囲が面内均一性90%を確保できており、一方、レンズ22#を用いた場合には100mmの範囲が面内均一性90%を確保できている。また、図19(b)に示すように、対辺A2−A2において、レンズ22を用いた場合には40mmの範囲が面内均一性90%を確保できており、一方、レンズ22#を用いた場合には70mmの範囲が面内均一性90%を確保できている。
【0157】
すなわち、反射面22eを含むレンズ22#を用いた場合には、反射面22eを含まないレンズ22を用いた場合の照明強度プロファイルに比較して、90%の面内均一性を確保できている領域が、約1.8倍に拡大されていることがわかる。これにより、反射面22eを含むレンズ22#を用いることで、面内均一性が改善されるといえる。
【0158】
たとえば、特定の照明視野内の面内均一性を確保する場合を考える。まず、反射面22eを含まないレンズ22を用いる場合には、図22(a)に示すように、計測視野において、各セル2から照射される照明光が重複するようなパターンを用意して、計測視野内の面内均一性を確保する必要がある。すなわち、上述したように、反射面22eを含まないレンズ22を用いる場合には、面内均一性を確保できる範囲が相対的に狭いので、複数の照明光を重ねる必要がある。そのため、目的の計測視野外に照明光が照射されることになるので、照明効率が必然的に低下する。
【0159】
これに対して、反射面22eを含むレンズ22#を用いた場合には、図22(b)に示すように、面内均一性を確保できる範囲を相対的に広くできるので、各セル2の照明視野を計測視野にほぼ一致させるように構成できる。すなわち、各セル2から照射される照明光を、目的の計測視野内にのみ照射できるので、照明効率を高めることができる。シミュレーション結果によれば、図22に示す例においては、反射面22eを含まないレンズ22を用いる場合に比較して、反射面22eを含むレンズ22#を用いることで、照明効率(照明強度)を約1.5倍に向上できることがわかった。
【0160】
なお本変形例に係るレンズの反射面22eは、特開2006−222413(特許文献6)に開示されているような複数の反射領域として形成してもよい。このような反射面が形成されたレンズの一例を図23に示す。
【0161】
すなわち、図23に示すレンズ22には、そのベース部22aの基板側に所定の区画毎に複数の反射面22eが形成される。そして、この反射面22eで反射された発光素子25から光が、レンズ22の全面側へ照射される。
【0162】
本変形例によれば、対象物OBJに対して、効率的に照明光を照射できるので、照明強度を高めることができる。照明強度(照明効率)を高めることで、計測精度を向上できるとともに、必要な照明強度をより少ない電力量で実現できるため、消費電力や発生熱を抑制することもできる。
【0163】
[実施の形態1〜3の変形例2]
図24は、本発明の実施の形態の変形例2に係る照明ユニットの概略構成を示す図である。図24に示すように、目的の照明視野および照明距離(WD)についてのバリエーションをラインナップする際には、必要な全体光量を調整する必要もある。すなわち、照明視野が大きくなるほど、単位面積あたりの照明強度は低下する。そのため、必要な照明強度を確保するためには、図24(a)に示すような8個のセルを配置した照明ユニット10だけでなく、図24(b)に示すような12個のセルを配置した照明ユニット10Aや、図24(c)に示すような24個のセルを配置した照明ユニット10Bを構成してもよい。
【0164】
さらに、セルの配置パターンについては、計測対象の対象物OBJの状態や設置状況などに応じて、適宜設計することができる。特に、本実施の形態に係るセルは、互いに独立に構成されているので、特に制約を受けることなく基板上に実装できる。
【0165】
[実施の形態1〜3の変形例3]
上述の実施の形態1〜3においては、本発明を照明ユニット10および撮像部50が一体化された撮像ユニット100として具現化した例を示したが、撮像部50とは別に、照明装置として具現化してもよい。
【0166】
たとえば、図25に示すように、複数のセル2がアレイ状に配置されてなる照明装置200を4台用いて、対象物OBJを照明してもよい。すなわち、レンズユニット40および撮像部50を中心にして、四方に照明装置200を配置して対象物OBJを照明する。
【0167】
この場合には、各照明装置200と対象物OBJとの相対的な位置に応じて、各照明装置200に含まれる各セル2のアライメント量が決定される。典型的には、各照明装置200において、各セル2は、そのセル2が配置されている照明装置200の短手方向に光を照射するようにアライメントの量および方向を決定する。このようにそれぞれのセル2を構成することによって、各照明装置200からは、その一方の短辺側により多くの照明光が照射されることになる。したがって、このより多くの照明光を照射する方向を対象物OBJが配置される側に一致させることで、対象物OBJを適切に照明できる。
【0168】
図26は、本発明の実施の形態の変形例3に係る照明装置の斜視図である。図26を参照して、本変形例に係る照明装置200は、基板4上に2列にわたって配置された複数のセル2を含む。各セル2の構成は、上述したものと同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0169】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0170】
2,3 セル、4 基板、6 開口部、10,10A,10B 照明ユニット、22,22A,22B レンズ、22a ベース部、22b 凸型レンズ部、22c 切欠部、22d 切欠部、22e 反射面、23,37 接着剤、24 台座、24a 底部、24b 保持部、24c 開口部、25 発光素子、25a レンズ部、25b ベース部、27 接着剤、32 レンズ、32a ベース部、32b 凸型レンズ部、34 台座、34a 底部、34b 保持部、34c 開口部、40 レンズユニット、50 撮像部、100 撮像ユニット、200 照明装置、OBJ 対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に実装されるとともに、各々の光照射方向が前記基板に対して実質的に垂直となるように配置された複数の発光素子と、
各々が前記複数の発光素子のうち1つとの間でペアを構成するように配置された複数のレンズとを備え、
前記ペアの各々における前記発光素子と前記レンズとの相対的な位置関係が、対応する前記発光素子が配置されている前記基板上の位置に応じて異なっている、照明装置。
【請求項2】
前記ペアの各々において、前記レンズは、その光軸が、対応する前記発光素子の光照射方向の軸に位置合わせされた状態に対して、前記発光素子からの光を照射すべき方向にずれて配置される、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記基板は、前記複数の発光素子からの光が対象物において反射して生じる反射光を通過させるための開口部を含み、
前記ペアの各々において、前記レンズは、その光軸が、対応する前記発光素子の光照射方向の軸に比較してより前記開口部に近接するように配置される、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記基板は、前記複数の発光素子からの光が対象物において反射して生じる反射光を受入れるための開口部を含み、
前記開口部を中心として対称な位置に配置されている2つの前記ペアにおいて、一方のペアにおける前記相対的な位置関係と他方のペアにおける前記相対的な位置関係との間に対称関係を有する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項5】
各々が前記複数の発光素子のうち1つに対応付けて実装された、前記発光素子と同数の台座をさらに備え、
前記台座の各々は、対応する前記レンズを保持するための保持部を含む、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記レンズの各々の透光可能な断面は、対応する前記発光素子の光照射断面より大きい、請求項5に記載の照明装置。
【請求項7】
前記台座の各々は、対応する前記発光素子に対して予め定められた相対的な位置関係をもって、前記基板上に実装され、
前記保持部は、それに保持される前記レンズの前記台座に対する相対的な位置関係を調整可能に前記レンズを保持する、請求項5に記載の照明装置。
【請求項8】
前記保持部は、それに保持される前記レンズが前記台座に対して予め定められた相対的な位置関係をもって前記レンズを保持するとともに、
前記台座の各々は、対応する前記発光素子が実装されている前記基板上の位置に応じて定められる相対的な位置関係をもって、前記基板上に実装される、請求項5に記載の照明装置。
【請求項9】
前記レンズは、前記発光素子から光が入射する側の面の少なくとも一部に、反射面を含む、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項10】
複数の発光素子を、各発光素子の光照射方向が基板に対して実質的に垂直となるように、当該基板上にそれぞれ実装するステップと、
複数の台座を、各台座が前記複数の発光素子のうち1つに対して予め定められた相対的な位置関係となるように、前記基板上にそれぞれ実装するステップと、
複数のレンズを、各レンズが前記複数の台座のうち1つに対応付けられるように、前記台座上にそれぞれ固定するステップとを備え、前記固定するステップでは、各レンズと当該レンズに対応する発光素子との間の相対的な位置関係が、当該発光素子が配置されている前記基板上の位置に応じて定められる、照明装置の製造方法。
【請求項11】
複数の発光素子を、各発光素子の光照射方向が基板に対して実質的に垂直となるように、当該基板上にそれぞれ実装するステップと、
複数の台座を、各台座が前記複数の発光素子のうち1つに対応付けられるように、前記基板上にそれぞれ実装するステップと、
複数のレンズを、各レンズが前記複数の台座のうち1つに対応付けられるように、前記台座上にそれぞれ固定するステップとを備え、
前記複数の台座を実装するステップでは、各台座と当該台座に対応する発光素子との間の相対的な位置関係が、当該発光素子が配置されている前記基板上の位置に応じて定められる、照明装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−138982(P2011−138982A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299154(P2009−299154)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】