説明

照明装置および表示装置

【課題】三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることの可能な表示装置を提供する。
【解決手段】導光板に接着された光変調素子内に、バルクおよび微粒子を含んだ光変調層が設けられている。バルクおよび微粒子は共に光学異方性を有しており、これらの電場に対する応答速度が互いに異なっている。光変調層に電場が印加されると、光変調セルにおいて、バルクの光軸および微粒子の光軸が互いに直交する。このとき、バルクの光軸はバックライト側の偏光板の透過軸と平行となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、二次元表示(平面表示)と三次元表示(立体表示)を行うことの可能な表示装置、およびそのような表示装置のバックライトとして好適に適用可能な照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元表示の可能な表示装置には、専用の眼鏡をかけることが必要なものと、専用の眼鏡が不要なものがある。後者の表示装置では、裸眼で立体映像を視認することができるようにするために、レンチキュラーレンズや、視差バリア(パララックスバリア)が用いられている。これらによって、映像情報が左右の目に振り分けられることにより、左右の目で異なる映像が観察され、その結果、三次元表示が可能となる。
【0003】
しかし、上記の視差バリアを用いた場合には、二次元表示の際に解像度が落ちる。このため、二次元表示の際に解像度を損なうことなく三次元表示を行う技術が特許文献1に開示されている。特許文献1では、液晶素子によってパララックスバリアが構成され、三次元表示のときは不透過部分を作ることで液晶素子がパララックスバリアとなる。そして、二次元表示のときは、全面を透過状態とすることで、液晶素子がパララックスバリアとならず、表示画面上の全ての映像が左右の目に同様に入射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−119889
【特許文献2】特開平11−285030
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の方法では、三次元表示のときにパララックスバリアによって、光が吸収されてしまい、表示輝度が低いという問題があった。
【0006】
特許文献2には、パララックスバリアの代わりに、シリンドリカルレンズと、高分子分散液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)とを用いることによって、輝度の減少を抑える技術が開示されている。しかし、特許文献2に記載の方法では、観察者が表示画面を斜めから見たときに、シリンドリカルレンズの収差により、表示品質が悪くなるという問題があった。
【0007】
本技術はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることの可能な表示装置、およびそのような表示装置に好適に適用可能な照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術による照明装置は、離間して互いに対向配置された第1透明基板および第2透明基板と、第1透明基板または第2透明基板の第1端面に光を照射する光源とを備えている。この照明装置は、さらに、第1透明基板および第2透明基板の間隙に設けられ、かつ電場の大きさに応じて、光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層を有している。光変調層は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に高い第1領域と、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に低い第2領域とを含んでいる。ここで、光変調層が散乱性を示すとき、光変調層は第1方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成するようになっている。
【0009】
本技術による照明装置では、電場の大きさに応じて、光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層が設けられている。これにより、導光板内を伝播している光を、散乱性を示す領域(散乱領域)から取り出すことができる。また、本技術では、光変調層が散乱性を示すとき、光変調層は第1方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成するようになっている。これにより、照明装置から出射された光の偏光軸が、照明装置上に設けた偏光板の透過軸と平行な方向に主な成分を有するようにした場合には、同一輝度の無偏光光を照明装置から出射した場合と比べて、照明装置の光をより効率よく偏光板を透過させることができる。その結果、偏光板を用いた表示パネルのバックライトとして本技術による照明装置を用いた場合に、照明装置の光をより効率よく表示パネルに入射させることができる。従って、二次元表示を行うときよりも画素数を減じて三次元表示を行う場合であっても、表示輝度の高い三次元表示が可能である。ところで、本技術では、三次元表示に際して、パララックスバリアを設ける必要はない。しかし、仮に、パララックスバリアを、バックライトの光出射側に設けたとしても、そのときに、光変調層の一部を散乱領域とし、その散乱領域をパララックスバリアの光透過領域に対応させることで、光変調層から出力された光がパララックスバリアで吸収される割合を極めて低くすることができる。また、本技術では、三次元表示に際して、シリンドリカルレンズを必要としないので、シリンドリカルレンズに起因する収差の問題が生じる虞はない。
【0010】
本技術による表示装置は、2次元配置された複数の画素を有する表示パネルと、表示パネルを間にして互いに対向する第1偏光板および第2偏光板と、第1偏光板を介して表示パネルを照明するバックライトとを備えている。バックライトは、離間して互いに対向配置された第1透明基板および第2透明基板と、第1透明基板または第2透明基板の第1端面に光を照射する光源と、第1透明基板および第2透明基板の間隙に設けられた光変調層とを有している。ここで、光変調層は、電場の大きさに応じて、光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示すものである。この光変調層は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に高い第1領域と、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に低い第2領域とを含んでいる。光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、第1偏光板の透過軸と平行な方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成するようになっている。
【0011】
本技術による表示装置では、バックライト内に、電場の大きさに応じて、光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層が設けられている。これにより、導光板内を伝播している光を、散乱性を示す領域(散乱領域)から取り出すことができる。また、本技術では、光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、第1偏光板の透過軸と平行な方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成するようになっている。これにより、同一輝度の無偏光光をバックライトから出射した場合と比べて、バックライトの光をより効率よく表示パネルに入射させることができる。従って、二次元表示を行うときよりも画素数を減じて三次元表示を行う場合であっても、表示輝度の高い三次元表示が可能である。ところで、本技術では、三次元表示に際して、パララックスバリアを設ける必要はない。しかし、仮に、パララックスバリアを、バックライトの光出射側に設けたとしても、そのときに、光変調層の一部を散乱領域とし、その散乱領域をパララックスバリアの光透過領域に対応させることで、光変調層から出力された光がパララックスバリアで吸収される割合を極めて低くすることができる。また、本技術では、三次元表示に際して、シリンドリカルレンズを必要としないので、シリンドリカルレンズに起因する収差の問題が生じる虞はない。
【発明の効果】
【0012】
本技術による照明装置および表示装置によれば、照明装置から偏光光を出射するようにし、かつ光変調層の一部を散乱領域とすることができるようにしたので、三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係るテレビ放送信号の受送信システムの一例を表す図である。
【図2】図1の受信側装置の機能ブロックの一例を表す図である。
【図3】図1の受信側装置における表示部の構成の一例を表す断面図である。
【図4】図3の光変調素子の構成の一例を表す断面図である。
【図5】図4の電極構造の一例を表す斜視図である。
【図6】図4の電極構造の第1変形例を表す上面図である。
【図7】図4の電極構造の第2変形例を表す上面図である。
【図8】図4の電極構造の第3変形例を表す上面図である。
【図9】図4の電極構造の第4変形例を表す上面図である。
【図10】図4の電極構造の第5変形例を表す上面図である。
【図11】図4の電極構造の第6変形例を表す上面図である。
【図12】図4の電極構造の第7変形例を表す上面図である。
【図13】ITO膜の光学特性およびバックライトの色度変化の場所依存性の一例を表す図である。
【図14】導光スペクトルの位置依存性の一例を表す図である。
【図15】図3の受信側装置における表示部の構成の他の例を表す断面図である。
【図16】図4の光変調層の作用の一例を説明するための模式図である。
【図17】図4の光変調層の作用の他の例を説明するための模式図である。
【図18】図4のバックライトの作用の一例を説明するための模式図である。
【図19】図4のバルクの筋状構造の一例を表す図である。
【図20】表示パネルの偏光板と光変調層の光軸との関係の一例を表す図である。
【図21】表示パネルの偏光板と光変調層の光軸との関係の他の例を表す図である。
【図22】図4の光変調素子の製造過程を説明するための断面図である。
【図23】図22に続く製造過程を説明するための断面図である。
【図24】図23に続く製造過程を説明するための断面図である。
【図25】図3の表示部における三次元表示を説明するための模式図である。
【図26】図3の表示部における二次元表示を説明するための模式図である。
【図27】図4の光変調層の作用の一例を説明するための模式図である。
【図28】図4の光変調層の作用の他の例を説明するための模式図である。
【図29】図4の光変調層および比較例の効果について説明するための図である。
【図30】光変調層の光学特性を測定する装置の一例を表す図である。
【図31】図30の装置で測定した結果の一例を示す図である。
【図32】図30の装置で測定した結果の他の例を示す図である。
【図33】等方性散乱について説明するための概念図である。
【図34】異方性散乱について説明するための概念図である。
【図35】図4の光変調層の一変形例における作用の一例について説明するための模式図である。
【図36】図4の光変調層の一変形例における作用の他の例について説明するための模式図である。
【図37】表示パネルの偏光板と図35の光変調層の光軸との関係の一例を表す図である。
【図38】表示パネルの偏光板と図36の光変調層の光軸との関係の他の例を表す図である。
【図39】第2の実施の形態に係る受信側装置における表示部の構成の一例を表す断面図である。
【図40】図39の光変調素子の構成の一例を表す断面図である。
【図41】図40の光変調層の作用の一例を説明するための模式図である。
【図42】図40の光変調層の作用の他の例を説明するための模式図である。
【図43】表示パネルの偏光板と図41の光変調層の光軸との関係の一例を表す図である。
【図44】表示パネルの偏光板と図42の光変調層の光軸との関係の他の例を表す図である。
【図45】図41の光変調層の一変形例における作用の一例について説明するための模式図である。
【図46】図42の光変調層の一変形例における作用の他の例について説明するための模式図である。
【図47】表示パネルの偏光板と図45の光変調層の光軸との関係の一例を表す図である。
【図48】表示パネルの偏光板と図46の光変調層の光軸との関係の他の例を表す図である。
【図49】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第1変形例を表す断面図である。
【図50】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第2変形例を表す断面図である。
【図51】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第3変形例を表す断面図である。
【図52】図51の光学シートの構成の一例を、散乱領域と共に表す断面図である。
【図53】凸部と線状照明光のなす角と、バックライトのコントラストとの関係を表す図である。
【図54】図51の光学シートの構成の他の例を、散乱領域と共に表す断面図である。
【図55】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第4変形例を表す断面図である。
【図56】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第5変形例を表す断面図である。
【図57】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第6変形例を表す断面図である。
【図58】図57のパララックスバリアの構成の一例を表す断面図である。
【図59】図4の電極構造の第8変形例を表す斜視図である。
【図60】図4の電極構造の第9変形例を表す斜視図である。
【図61】図4の電極構造の第10変形例を表す斜視図である。
【図62】図4の電極構造の第11変形例を表す斜視図である。
【図63】図4の電極構造の第12変形例を表す平面図である。
【図64】図4の電極構造の第13変形例を表す平面図である。
【図65】図4の電極構造の第14変形例を表す平面図である。
【図66】図4の電極構造の第15変形例を表す平面図である。
【図67】図4の電極構造の第16変形例を表す平面図である。
【図68】図4の電極構造の第18変形例を表す平面図である。
【図69】図65〜図68の電極構造におけるパターン密度分布の一例を表す図である。
【図70】図69のパターン密度を有する電極を用いたときの輝度分布の一例を表す図である。
【図71】図65〜図68の電極構造を有する光変調素子の作用の一例について説明するための模式図である。
【図72】図65〜図68の電極構造を有する光変調素子の作用の他の例について説明するための模式図である。
【図73】図63〜図66の電極構造を有する光変調素子の作用のその他の例について説明するための模式図である。
【図74】各実施形態の光源の構成の一例を表す斜視図である。
【図75】各実施形態の導光板の構成の一例を表す斜視図である。
【図76】各実施形態の導光板の構成の他の例を表す斜視図および断面図である。
【図77】図75、図76の導光板の作用の一例を表す模式図である。
【図78】図4の電極構造の第16変形例を表す平面図である。
【図79】図4の電極構造の第17変形例を表す平面図である。
【図80】図4の電極構造の第18変形例を表す平面図である。
【図81】図4の電極構造の第19変形例を表す平面図である。
【図82】図65〜図68、図78〜図81の電極構造におけるパターン密度分布の一例を表す図である。
【図83】図82のパターン密度を有する電極を用いたときの輝度分布の一例を表す図である。
【図84】図4の電極構造の第20変形例を表す平面図である。
【図85】表示パネルの画素とバックライト光との関係の一例を表す模式図である。
【図86】表示パネルの画素とバックライト光との関係の他の例を表す模式図である。
【図87】表示パネルの画素とバックライト光との関係のその他の例を表す模式図である。
【図88】三次元表示における時分割駆動の一例を表す模式図である。
【図89】図88に続く時分割駆動の一例を表す模式図である。
【図90】図89に続く時分割駆動の一例を表す模式図である。
【図91】図90に続く時分割駆動の一例を表す模式図である。
【図92】各実施形態の受信側装置における表示部の構成の第7変形例を表す断面図である。
【図93】一実施例に係る電極レイアウトを表す図である。
【図94】図93の電極レイアウトを拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態
バックライト内に光変調素子(水平配向PDLC)を使用した例
2.第2の実施の形態
バックライト内に光変調素子(垂直配向PDLC)を使用した例
3.変形例
4.実施例
【0015】
<1.第1の実施の形態>
[テレビ放送信号の受送信システムの構成]
図1は、本技術による第1の実施の形態に係る受信側装置200を含むテレビ放送信号100Aの受送信システムの構成例を示すブロック図である。この受送信システムは、例えば、有線(ケーブルTVなど)や無線(地上デジタル波、衛星波など)を介してテレビ放送信号を送信する送信側装置100と、上記の有線や無線を介して送信側装置100からのテレビ放送信号を受信する受信側装置200とを備えている。なお、受信側装置200が本技術の「表示装置」の一具体例に相当する。
【0016】
テレビ放送信号100Aは、二次元表示(平面表示)用の映像データ、または三次元表示(立体表示)用の映像データを含んでいる。ここで、二次元表示用の映像データとは、視点情報を持たない二次元映像データを指している。また、三次元表示用の映像データとは、視点情報を持った二次元映像データを指しており、三次元表示用の映像データは、視点が互いに異なる複数の二次元映像データを含んで構成されている。送信側装置100は、例えば、放送局に設置されたテレビ放送信号送信装置、またはインターネット上のサーバなどである。
【0017】
[受信側装置200の機能ブロック]
図2は、受信側装置200の構成例を示すブロック図である。受信側装置200は、例えば、上記の有線や無線に接続可能なテレビジョンである。受信側装置200は、例えば、アンテナ端子201、デジタルチューナ202、デマルチプレクサ203、演算回路204、およびメモリ205を有している。受信側装置200は、また、例えば、デコーダ206、映像信号処理回路207、グラフィック生成回路208、パネル駆動回路209、表示パネル210、バックライト211、音声信号処理回路212、音声増幅回路213、およびスピーカ214を有している。受信側装置200は、さらに、例えば、リモートコントローラ(以下「リモコン」と称する。)受信回路215、およびリモコン送信機216を有している。なお、表示パネル210が本技術の「表示パネル」の一具体例に相当し、バックライト211が本技術の「照明装置」の一具体例に相当する。
【0018】
アンテナ端子201は、受信アンテナ(図示せず)で受信されたテレビ放送信号を入力する端子である。デジタルチューナ202は、例えば、アンテナ端子201に入力されたテレビ放送信号を処理して、ユーザの選択チャネルに対応した所定のトランスポートストリームを出力するようになっている。デマルチプレクサ203は、例えば、デジタルチューナ202で得られたトランスポートストリームから、ユーザの選択チャネルに対応したパーシャルTS(Transport Stream)を抽出するようになっている。
【0019】
演算回路204は、受信側装置200の各部の動作を制御するものである。演算回路204は、例えば、デマルチプレクサ203で得られたパーシャルTSをメモリ205内に格納したり、メモリ205から読み出したパーシャルTSをデコーダ206に送信したりするようになっている。また、演算回路204は、例えば、二次元表示または三次元表示を指定する制御信号204Aを映像信号処理回路207およびバックライト211に送信するようになっている。演算回路204は、上記の制御信号204Aを、例えば、メモリ205内に格納された設定情報、パーシャルTSに含まれる所定の情報、またはリモコン受信回路215から入力された設定情報に基づいて設定するようになっている。
【0020】
メモリ205は、例えば、受信側装置200の設定情報の格納およびデータ管理を行うものである。メモリ205は、例えば、デマルチプレクサ203で得られたパーシャルTSや、表示方法などの設定情報を格納することが可能となっている。
【0021】
デコーダ206は、例えば、デマルチプレクサ203で得られたパーシャルTSに含まれる映像PES(Packetized Elementary Stream)パケットに対してデコード処理を行うことにより映像データを得るようになっている。デコーダ206は、また、例えば、デマルチプレクサ203で得られたパーシャルTSに含まれる音声PESパケットに対してデコード処理を行うことにより音声データを得るようになっている。ここで、映像データとは、二次元表示用の映像データ、または三次元表示用の映像データを指している。
【0022】
映像信号処理回路207およびグラフィック生成回路208は、例えば、デコーダ206で得られた映像データに対して、必要に応じてマルチ画像処理、グラフィックスデータの重畳処理等を行うようになっている。
【0023】
映像信号処理回路207は、演算回路204から制御信号204Aとして三次元表示を指定する信号が入力された場合であって、かつ、デコーダ206から入力された映像データが三次元表示用の映像データであったときには、例えば、デコーダ206から入力された三次元表示用の映像データに含まれる、視点の互いに異なる複数の二次元映像データを用いて1つの二次元映像データを作成し、作成した二次元映像データを、グラフィック生成回路208に出力する映像データとして選択するようになっている。例えば、三次元表示用の映像データに、視点の互いに異なる2つの二次元映像データが含まれている場合には、映像信号処理回路207は、2つの二次元映像データを、水平方向に1つずつ交互に並べる処理を各行で行っていき、2つの二次元映像データが水平方向に交互に並んだ1つの映像データを作成するようになっている。同様に、例えば、三次元表示用の映像データに、視点の互いに異なる4つの二次元映像データが含まれている場合には、映像信号処理回路207は、4つの二次元映像データを、水平方向に1つずつ周期的に並べる処理を各行で行っていき、4つの二次元映像データが水平方向に1つずつ周期的に並んだ1つの映像データを作成するようになっている。
【0024】
映像信号処理回路207は、演算回路204から制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力された場合であって、かつ、デコーダ206から入力された映像データが三次元表示用の映像データであったときには、例えば、デコーダ206から入力された三次元表示用の映像データに含まれる、視点の互いに異なる複数の二次元映像データのいずれか1つの映像データを、グラフィック生成回路208に出力する映像データとして選択するようになっている。映像信号処理回路207は、演算回路204から制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力された場合であって、かつ、デコーダ206から入力された映像データが二次元表示用の映像データであったときには、例えば、デコーダ206から入力された二次元表示用の映像データを、グラフィック生成回路208に出力する映像データとして選択するようになっている。
【0025】
グラフィック生成回路208は、例えば、画面表示の際に使用するUI(User Interface)画面を生成するようになっている。パネル駆動回路209は、例えば、グラフィック生成回路208から出力された映像データに基づいて表示パネル210を駆動するようになっている。
【0026】
表示パネル210およびバックライト211の構成は、後に詳述する。音声信号処理回路212は、例えば、デコーダ206で得られた音声データに対してD/A変換等の処理を行うようになっている。音声増幅回路213は、例えば、音声信号処理回路212から出力された音声信号を増幅してスピーカ214に供給するようになっている。
【0027】
リモコン受信回路215は、例えば、リモコン送信機216から送信されたリモートコントロール信号を受信し、演算回路204に供給するようになっている。演算回路204は、例えば、リモートコントロール信号に従って受信側装置200の各部を制御するようになっている。
【0028】
[受信側装置200の断面構成]
図3は、受信側装置200における表示部の断面構成の一例を表したものである。なお、図3は、模式的に表したものであり、実際の寸法や形状と同一であるとは限らない。受信側装置200は、表示パネル210と、表示パネル210の背後に配置されたバックライト211とを備えている。
【0029】
表示パネル210は、2次元配置された複数の画素を有しており、各画素または特定の画素が駆動されることにより映像を表示するものである。表示パネル210は、例えば、映像信号に応じて各画素または特定の画素が駆動される透過型の液晶表示パネル(LCD(Liquid Crystal Display))であり、液晶層を一対の透明基板で挟み込んだ構造を有している。表示パネル210は、例えば、バックライト211側から順に、偏光板、透明基板、画素電極、配向膜、液晶層、配向膜、共通電極、カラーフィルタ、透明基板および偏光板を有している。
【0030】
なお、バックライト211側の偏光板が本技術の「第1偏光板」の一具体例に相当し、映像表示面側の偏光板が本技術の「第2偏光板」の一具体例に相当する。また、バックライト211側の偏光板が後述の偏光板210B(図20参照)に相当しており、映像表示面側の偏光板が後述の偏光板210C(図20参照)に相当している。また、表示パネル210のうち一対の偏光板で挟まれた部分(具体的には、透明基板、画素電極、配向膜、液晶層、配向膜、共通電極、カラーフィルタおよび透明基板からなる積層部分)が後述の液晶パネル210A(図20参照)に相当する。
【0031】
透明基板は、可視光に対して透明な基板、例えば板ガラスからなる。なお、バックライト211側の透明基板には、図示しないが、画素電極に電気的に接続されたTFT(Thin Film Transistor;薄膜トランジスタ)および配線などを含むアクティブ型の駆動回路が形成されている。画素電極および共通電極は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)からなる。画素電極は、透明基板上に2次元配列されたものであり、画素ごとの電極として機能する。他方、共通電極は、カラーフィルタ上に一面に形成されたものであり、各画素電極に対して対向する共通電極として機能する。配向膜は、例えばポリイミドなどの高分子材料からなり、液晶に対して配向処理を行う。
【0032】
液晶層は、例えば、VA(Vertical Alignment)モード、TN(Twisted Nematic)モードまたはSTN(Super Twisted Nematic)モードの液晶からなり、駆動回路(図示せず)からの印加電圧により、バックライト211からの出射光の偏光軸の向きを画素ごとに変える機能を有する。なお、液晶の配列を多段階で変えることにより画素ごとの透過軸の向きが多段階で調整される。カラーフィルタは、液晶層を透過してきた光を、例えば、赤(R)、緑(G)および青(B)の三原色にそれぞれ色分離したり、または、R、G、Bおよび白(W)などの四色にそれぞれ色分離したりするカラーフィルタを、画素電極の配列と対応させて配列したものである。
【0033】
偏光板は、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。なお、偏光板は、透過軸以外の振動方向の光(偏光)を吸収する吸収型の偏光素子であってもよいが、バックライト211側に反射する反射型の偏光素子であることが輝度向上の観点から好ましい。2枚の偏光板はそれぞれ、偏光軸が互いに90°異なるように配置されており、これによりバックライト211からの出射光が液晶層を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。
【0034】
バックライト211は、例えば、表示パネル210を背後から照明するものであり、導光板10と、導光板10の側面に配置した光源20と、導光板10の背後に配置した光変調素子30および反射板40と、光変調素子30を駆動する駆動回路50とを備えている。なお、導光板10は、本技術の「第1透明基板」または「第2透明基板」の一具体例に相当する。光源20は、本技術の「光源」の一具体例に相当する。
【0035】
導光板10は、導光板10の側面に配置した光源20からの光を導光板10の上面に導くものである。この導光板10は、導光板10の上面に配置された表示パネル210に対応した形状、例えば、上面、下面および側面で囲まれた直方体状となっている。なお、以下では、導光板10の側面のうち光源20からの光が入射する側面を光入射面10Aと称するものとする。なお、光入射面10Aが本技術の「第1端面」の一具体例に相当する。導光板10は、例えば、上面および下面の少なくとも一方の面に、所定のパターン化された形状を有しており、光入射面10Aから入射した光を散乱し、均一化する機能を有している。なお、バックライト211に印加する電圧を変調することによって輝度の均一化を行う場合には、パターン化されていない平坦な導光板を導光板10として用いることも可能である。導光板10は、例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)やアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの透明熱可塑性樹脂を主に含んで構成されている。
【0036】
光源20は、線状光源であり、例えば、熱陰極管(HCFL;Hot Cathode Fluorescent Lamp)、冷陰極管(CCFL;Cold Cathode Fluorescent Lamp)、または複数のLED(Light Emitting Diode)を一列に配置したものなどからなる。光源20が複数のLEDからなる場合には、効率、薄型化、均一性の観点から、全てのLEDがホワイトLEDであることが好ましい。なお、光源20が、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含んで構成されていてもよい。光源20は、導光板10の一の側面にだけ設けられていてもよいし(図3参照)、導光板10の2つの側面、3つの側面または全ての側面に設けられていてもよい。
【0037】
反射板40は、導光板10の背後から光変調素子30を介して漏れ出てきた光を導光板10側に戻すものであり、例えば、反射、拡散、散乱などの機能を有している。これにより、光源20からの出射光を効率的に利用することができ、また、正面輝度の向上にも役立っている。この反射板40は、例えば、発泡PET(ポリエチレンテレフタレート)や銀蒸着フィルム、多層膜反射フィルム、白色PETなどからなる。なお、反射板40は、例えば、後述するように、必要に応じて省略することも可能である。
【0038】
光変調素子30は、本実施の形態において、導光板10の背後(下面)に空気層を介さずに密着しており、例えば接着剤(図示せず)を介して導光板10の背後に接着されている。この光変調素子30は、例えば、図4に示したように、透明基板31、下側電極32、配向膜33、光変調層34、配向膜35、上側電極36および透明基板37を反射板40側から順に配置されたものである。なお、下側電極32が本技術の「第1電極」の一具体例に相当し、上側電極36が本技術の「第2電極」の一具体例に相当する。
【0039】
透明基板31,37は、光変調層34を支持するものであり、一般に、可視光に対して透明な基板、例えば、ガラス板や、プラスチックフィルムによって構成されている。下側電極32は、透明基板31のうち透明基板37との対向面上に設けられたものであり、例えば、図5に光変調素子30の一部を抜き出して示したように、面内全体に渡って形成された1枚のベタ膜(面状電極)からなる。また、上側電極36は、透明基板37のうち透明基板31との対向面上に設けられたものであり、例えば、図5に示したように、複数の部分電極36Aによって構成されている。なお、部分電極36Aが本技術の「部分電極」の一具体例に相当する。
【0040】
複数の部分電極36Aは、面内の一の方向(光入射面10Aに平行な方向)に延在する帯状の形状となっている。複数の部分電極36Aのうち特定の複数の部分電極36A(以下、「部分電極36B」と称する。)は、受信側装置200において三次元表示を行うときに、線状照明光の生成に用いられるものである。なお、部分電極36Bが本技術の「第1部分電極」の一具体例に相当する。複数の部分電極36Bは、受信側装置200において三次元表示を行うときの画素ピッチP2(図25参照)に対応するピッチP1(画素ピッチP2と同一ピッチまたはそれに近いピッチ)で配列されている。複数の部分電極36Aのうち部分電極36Bを除く複数の部分電極36A(以下、「部分電極36C」と称する。)は、受信側装置200において二次元表示を行うときに、部分電極36Bと共に、面状照明光の生成に用いられるものである。つまり、受信側装置200において二次元表示を行うときには、面状照明光を生成するために、全ての部分電極36Aが用いられる。なお、部分電極36Cが本技術の「第2部分電極」の一具体例に相当する。複数の部分電極36Bおよび複数の部分電極36Cは、配列方向(光入射面10Aと直交する方向)において交互に配列されている。部分電極36Bの幅W1は、部分電極36Cの幅W2よりも狭くなっており、表示パネル210の画素の幅よりも狭くなっている。部分電極36Bの幅W1は、(表示パネル210の画素の幅−光変調層34の厚さ×2)以下となっていることが好ましい。
【0041】
各部分電極36Aは、例えば、図6に示したように、ブロック形状となっており、かつ複数の部分電極36Aが2次元配置されていてもよい。この場合には、複数の部分電極36Aを1つの線状電極36Dとみなしたときに、各線状電極36Dが上記の部分電極36B,36Cとして用いられてもよい。例えば、複数の線状電極36Dのうち特定の複数の線状電極36Dが、部分電極36Bとして用いられる。複数の線状電極36Dのうち部分電極36Bとして用いられるものを除く複数の線状電極36Dが、部分電極36Cとして用いられる。
【0042】
なお、各部分電極36Aがブロック形状となっており、かつ複数の部分電極36Aが2次元配置されている場合に、表示装置において三次元表示を行うときに、個々の部分電極36Aが点状照明光の生成に用いられてもよい。また、各部分電極36Aがブロック形状となっており、かつ複数の部分電極36Aが2次元配置されている場合に、受信側装置200において2視点から互いに異なる二次元映像を視認可能な二次元表示を行うときにも、個々の部分電極36Aが点状照明光の生成に用いられてもよい。
【0043】
また、例えば、図7に示したように、各部分電極36Cが、面内の一の方向(光入射面10Aに平行な方向)に延在する帯状の複数の部分電極36Eからなっていてもよい。このとき、部分電極36Eの幅が、部分電極36Bの幅と等しくなっていてもよい。また、例えば、図8に示したように、部分電極36Cとして用いられる線状電極36Dが、2次元配置された複数の部分電極36Aで構成されていてもよい。この場合に、線状電極36Dに含まれる複数の部分電極36Aのうち一部の部分電極36Aを1つの線状電極36Fとみなしたときに、各線状電極36Fが面内の一の方向(光入射面10Aに平行な方向)に延在していてもよい。
【0044】
また、例えば、図9に示したように、各部分電極36Aが、光入射面10Aと直角以外の角度で斜めに交差する方向に延在していてもよい。また、各部分電極32Aがブロック形状となっており、かつ複数の部分電極36Aが2次元配置されている場合に、例えば、図10に示したように、各線状電極36Dが、光入射面10Aと直角以外の角度で斜めに交差する方向に延在していてもよい。
【0045】
また、例えば、図11に示したように、各部分電極36Cが、光入射面10Aと直角以外の角度で斜めに交差する方向に延在する帯状の複数の部分電極36Eからなっていてもよい。このとき、部分電極36Eの幅が、部分電極36Bの幅と等しくなっていてもよい。また、例えば、図12に示したように、部分電極36Cとして用いられる線状電極36Dが、2次元配置された複数の部分電極36Aで構成されている場合に、線状電極36Dに含まれる複数の部分電極36Aのうち一部の部分電極36Aを1つの線状電極36Fとみなしたときに、各線状電極36Fが光入射面10Aと直角以外の角度で斜めに交差する方向に延在していてもよい。
【0046】
下側電極32および上側電極36のうち少なくとも上側電極36(バックライト211の上面側の電極)は透明導電膜によって構成されている。この透明導電膜は、例えば、以下の式で示されるような特性を有していることが好ましい(図13(A)参照)。この透明導電膜は、例えば、ITOを含む膜(以下、「ITO膜」と称する。)によって構成されている。なお、下側電極32および上側電極36は、酸化インジウム亜鉛(IZO;Indium Zinc Oxide)、メタルナノワイヤ、カーボンナノチューブ、グラフェンなどによって構成されていてもよい。
【0047】
|A1−A2|≦2.00
A1:450nm〜650nmにおける最大光吸収率(%)
A2:450nm〜650nmにおける最小光吸収率(%)
【0048】
照明光としては、可視光が使用されるので、380〜780nmの範囲で、透明導電膜の光吸収の差が少ないことが好ましい。380〜780nmの範囲で光吸収率の最大値と最小値の差が、10.00以下であることが好ましく、7.00以下であることがより好ましい。特に、透明導電膜がバックライトなどに適用される場合は、使用する光源の波長領域の範囲内で光吸収率の最大値と最小値の差が2.00以下であることが好ましく、1.00以下であることがより好ましい。一般的なLEDを光源として光源などを用いた場合、450〜650nm範囲で、光吸収率の最大値と最小値の差が、2.00以下であることが好ましく、1.00以下であることがより好ましい。なお、吸収率の測定は日本分光製V−550を用い、基板法線方向から5°入射にて反射率、透過率を測定し、100%から反射率、透過率の値を引いた値を吸収率とした。
【0049】
このように、透明導電膜が上記の式に示した特性となっている場合には、光源20から出射された光が導光板10内を伝播していく過程で光変調素子30内の透明導電膜を繰り返し通過したときに、透明導電膜における、吸収の波長依存性が抑制される。透明導電膜が、一般的なITO膜からなる場合には、例えば、図13(B),(C)の破線および図14(A)の矢印に示したように、光源20からの距離が遠くなるにつれて、長波長側の成分が増大していく。一方、透明導電膜が、上記の式に示した特性を有する、膜質改善されたITO膜からなる場合には、例えば、図13(B),(C)の実線および図14(B)に示したように、長波長側の成分が光源20からの距離に応じて変化する割合が低減している。なお、図13(B),(C)の縦軸のΔu’v’は、その値が大きくなるほど、長波長側の成分が大きくなることに対応する指標である。
【0050】
また、例えば、光変調素子30に含まれる一対の下側電極32および上側電極36のうち少なくとも一方が、ITO膜によって構成されているとき、導光している光路中のどこか(例えば、導光板10および光変調素子30の少なくとも一方)に、例えば、長波長側の光を短波長側の光よりもより多く吸収する染料・顔料が含まれていることが好ましい。上記の染料・顔料として、公知の材料を使用することができる。特に、光変調層34の形成に紫外線照射によるプロセスを含む場合には、例えば、光変調素子30を形成した後に、染料・顔料を含む導光板10と光変調素子30とを互いに貼り合わせたり、染料・顔料が紫外線によってダメージを受けないように、染料・顔料を含む部分を紫外線吸収層で紫外線から保護することが好ましい。このように、導光している光路中のどこかに上記の染料・顔料を添加することにより、光源20から出射された光が導光板10内を伝播していく過程で光変調素子30を繰り返し通過したときに、ITO膜を含む光変調素子30の吸収の波長依存性が抑制される。
【0051】
ただし、下側電極32(バックライト211の下面側の電極)については、透明な材料でなくてもよく、例えば、金属によって構成されていてもよい。なお、下側電極32が金属によって構成されている場合には、下側電極32は、反射板40と同様、導光板10の背後から光変調素子30に入射する光を反射する機能も兼ね備えていることになる。従って、この場合には、例えば、図15に示したように、反射板40を省略することも可能である。
【0052】
下側電極32および上側電極36を光変調素子30の法線方向から見たときに、光変調素子30のうち下側電極32および上側電極36が互いに対向している箇所に対応する部分が光変調セル30−1,30−2を構成している(図4参照)。光変調セル30−1は、光変調素子30のうち下側電極32および部分電極36Bが互いに対向している箇所に対応する部分であり、光変調セル30−2は、光変調素子30のうち下側電極32および部分電極36Cが互いに対向している箇所に対応する部分である。光変調セル30−1と光変調セル30−2とは互いに隣接している。
【0053】
各光変調セル30−1,30−2は、下側電極32および上側電極36(部分電極36A)に所定の電圧を印加することにより別個独立に駆動することの可能なものであり、下側電極32および上側電極36(部分電極36A)に印加される電位差の大きさに応じて、光源20からの光に対して透明性(光透過性)を示したり、散乱性を示したりする。なお、透明性、散乱性については、光変調層34を説明する際に詳細に説明する。
【0054】
配向膜33,35は、例えば、光変調層34に用いられる液晶やモノマーを配向させるものである。配向膜の種類としては、例えば、垂直配向膜および水平配向膜があるが、本実施の形態では、配向膜33,35には水平配向膜が用いられる。水平配向膜としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルアルコールなどをラビング処理することにより形成された配向膜、転写やエッチングなどにより溝形状が付与された配向膜が挙げられる。また、水平配向膜としては、例えば、酸化ケイ素などの無機材料を斜方蒸着することにより形成された配向膜、イオンビーム照射により形成されたダイヤモンドライクカーボン配向膜、電極パターンスリットの形成された配向膜が挙げられる。透明基板31,37としてプラスチックフィルムを用いる場合には、製造工程において、透明基板31,37の表面に配向膜33,35を塗布した後の焼成温度ができるだけ低いことが好ましいことから、配向膜33,35として、100℃以下の温度で形成可能なポリアミドイミドを用いることが好ましい。
【0055】
また、垂直、水平いずれの配向膜においても、液晶とモノマーを配向させる機能があれば十分であり、通常の液晶ディスプレイに要求される電圧の繰り返し印加による信頼性などは必要ない。デバイス作成後の電圧印加による信頼性は、モノマーを重合したものと液晶との界面で決まるためである。また、配向膜を用いなくても、例えば、下側電極32および上側電極36間に電場や磁場を印加することによっても、光変調層34に用いられる液晶やモノマーを配向させることが可能である。つまり、下側電極32および上側電極36間に電場や磁場を印加しながら、紫外線照射して電圧印加状態での液晶やモノマーの配向状態を固定させることができる。配向膜の形成に電圧を用いる場合には、配向用と駆動用とで別々の電極を形成するか、液晶材料に周波数によって誘電率異方性の符号が反転する二周波液晶などを用いることができる。また、配向膜の形成に磁場を用いる場合、配向膜として磁化率異方性の大きい材料を用いることが好ましく、例えば、ベンゼン環の多い材料を用いることが好ましい。
【0056】
光変調層34は、電場の大きさに応じて、光源20からの光に対して散乱性もしくは透明性を示すものである。光変調層34は、電場が相対的に小さいときに、光源20からの光に対して透明性を示し、電場が相対的に大きいときに、光源20からの光に対して散乱性を示すものである。光変調層34は、例えば、図4に示したように、バルク34Aと、バルク34A内に分散された微粒子状の複数の微粒子34Bとを含んだ複合層となっている。バルク34Aおよび微粒子34Bは光学異方性を有している。なお、バルク34Aが本技術の「第2領域」の一具体例に相当し、微粒子34Bが本技術の「第1領域」の一具体例に相当する。
【0057】
図16(A)は、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加されていない時(以下、単に「電位差無印加時」と称する。)の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図16(A)において、バルク34A内の配向状態についての記載を省略した。本明細書において、「電位差無印加時」とは、光変調層34が散乱性を示す電位差よりも小さな電位差であって、かつ光変調層34が透明性を示す電位差が印加されている時も含む概念である。
【0058】
図16(B)は、電位差無印加時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。この屈折率楕円体は、様々な方向から入射した直線偏光の屈折率をテンソル楕円体で表したものであり、光が入射する方向からの楕円体の断面を見ることによって、幾何的に屈折率を知ることができるものである。図16(C)は、電位差無印加時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層34を透過する様子の一例を模式的表したものである。
【0059】
図17(A)は、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加されている時(以下、単に「電位差印加時」と称する。)の、微粒子34B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図17(A)において、バルク34A内の配向状態についての記載を省略した。本明細書において、「電位差印加時」は、光変調層34が散乱性を示す電位差が印加されている時を意味するものとする。
【0060】
図17(B)は、電位差印加時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。図17(C)は、電位差印加時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層34において散乱される様子の一例を模式的表したものである。
【0061】
バルク34Aおよび微粒子34Bは、例えば、図16(A),(B)に示したように、電位差無印加時に、バルク34Aの光軸AX1および微粒子34Bの光軸AX2の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX1,AX2とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX1および光軸AX2の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX1の向きと光軸AX2の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0062】
また、微粒子34Bは、例えば、電位差無印加時に、光軸AX2が導光板10の光入射面10Aと平行となる構成となっている。微粒子34Bは、さらに、例えば、電位差無印加時に、光軸AX2が透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差する構成となっている(図16(B)参照)。なお、角度θ1については、微粒子34Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0063】
一方、バルク34Aは、例えば、下側電極32および上側電極36間への電位差印加の有無に拘らず、バルク34Aの光軸AX1が一定となる構成となっている。具体的には、バルク34Aは、例えば、図16(A),(B)、図17(A),(B)に示したように、バルク34Aの光軸AX1が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と所定の角度θ1で交差する構成となっている。つまり、バルク34Aの光軸AX1は、電位差無印加時に、微粒子34Bの光軸AX2と平行となっている。
【0064】
なお、光軸AX2が常に、光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1で交差している必要はなく、例えば製造誤差などによって透明基板31,37の表面と、角度θ1とは若干異なる角度で交差していてもよい。また、光軸AX1,AX2が常に光入射面10Aと平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって光入射面10Aと、小さな角度で交差していてもよい。
【0065】
ここで、バルク34Aおよび微粒子34Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク34Aおよび微粒子34Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、電位差無印加時には、図16(A)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性(光透過性)が得られる。これにより、例えば、図16(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層34内で散乱されることなく、光変調層34を透過する。その結果、例えば、図18(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、光変調層34のうち透明な領域(透過領域30A)の界面(透明基板31の下面および導光板10の上面)において全反射され、透過領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。なお、図18(B)の正面輝度のプロファイルは、導光板10上に拡散シート41を設置し、その拡散シート41を介して測定することにより得られたものである。
【0066】
なお、透過領域30Aの界面の1つである導光板10の上面は、表示パネル210と導光板10との間に存在する間隙と接しているが、その間隙は、導光板10の上面の屈折率よりも低い屈折率の材料で満たされていることが好ましい。そのような低屈折率材料からなる層(低屈折率材料層220(図3参照))は、典型的には空気であるが、低屈折率材料からなる粘着剤もしくは接着剤であってもよい。
【0067】
バルク34Aおよび微粒子34Bは、例えば、電位差印加時には、図17(A),(B)に示したように、光軸AX1および光軸AX2の向きが互いに異なる(交差またはほぼ直交する)構成となっている。また、微粒子34Bは、例えば、電位差印加時に、微粒子34Bの光軸AX2が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば90°)で交差する構成となっている。なお、角度θ2については、微粒子34Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0068】
したがって、電位差印加時には、光変調層34において、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、図17(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層34内で散乱される。その結果、例えば、図18(A)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)を透過すると共に、反射板40側に透過した光は反射板40で反射され、光変調素子30を透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透過領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0069】
なお、バルク34Aおよび微粒子34Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク34Aおよび微粒子34Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0070】
また、バルク34Aの屈折率差(ΔnP=異常光屈折率neP−常光屈折率noP)や、微粒子34Bの屈折率差(ΔnL=異常光屈折率neL−常光屈折率noL)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率差が大きい場合には、光変調層34の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、導光板10からの光を取り出しやすいからである。
【0071】
また、バルク34Aおよび微粒子34Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク34Aは、例えば、微粒子34Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する筋状構造(図19(A),(B)参照)、多孔質構造、または棒状構造となっている。なお、図19(A),(B)は、光変調素子30に対して電場を印加したときの偏光顕微鏡写真であり、図19(A),(B)中で筋状に明るい箇所が上述した筋状構造に相当している。図19(A)には、液晶とモノマーの重量比を95:5としたときのバルク34Aの筋状構造の様子が示されており、図19(B)には、液晶とモノマーの重量比を90:10としたときのバルク34Aの筋状構造の様子が示されている。バルク34Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク34Aは、例えば、微粒子34Bの配向方向または配向膜33,35の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。
【0072】
バルク34Aの筋状構造、多孔質構造もしくは棒状構造は、例えば、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差する方向に長軸を有している。バルク34Aが筋状構造となっている場合に、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、導光光の散乱性を高くするという観点からは、0.1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下の範囲であることがより好ましい。短軸方向の平均的な筋状組織サイズが0.1μm以上10μm以下となっている場合には、光変調素子30内での散乱能が、380〜780nmの可視領域において略等しくなる。そのため、面内で、ある特定の波長成分の光のみが増加したり、減少したりすることがないので、可視領域でのバランスを面内で取ることができる。短軸方向の平均的な筋状組織サイズが0.1μm未満である場合や、10μmを超える場合には、波長に関係なく、光変調素子30の散乱能が低く、光変調素子30が光変調素子として機能しにくい。
【0073】
また、散乱の波長依存性を少なくするという観点からは、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、0.5μm以上5μm以下の範囲であることが好ましく、1〜3μmの範囲であることがより好ましい。このようにした場合には、光源20から出射された光が導光板10内を伝播していく過程で光変調素子30内のバルク34Aを繰り返し通過したときに、バルク34Aにおける、散乱の波長依存性が抑制される。筋状組織のサイズは、偏光顕微鏡、共焦点顕微鏡、電子顕微鏡などで観察することができる。
【0074】
一方、微粒子34Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク34Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子34B内に含まれる液晶材料(液晶分子)は、例えば棒状分子である。微粒子34B内に含まれる液晶分子として、正の誘電率異方性を有するもの(いわゆるポジ型液晶)を用いることが好ましい。
【0075】
ここで、電位差無印加時には、微粒子34B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX1と平行となっている。このとき、微粒子34B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差している。つまり、微粒子34B内の液晶分子は、電位差無印加時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ1だけ傾斜した状態で配向している。この角度θ1は、プレチルト角と呼ばれるもので、例えば0.1°以上30°以下の範囲であることが好ましい。この角度θ1は、0.5°以上10°以下の範囲であることがより好ましく、0.7°以上2°以下の範囲であることがさらにより好ましい。角度θ1を大きくすると、後述するような理由から散乱の効率が低下する傾向にある。また、角度θ1を小さくし過ぎると、電位差印加時に液晶の立ち上がる方位角がばらつく。例えば、180°反対側の方位(リバースチルト)に液晶が立ち上がることもある。これにより、微粒子34Bとバルク34Aとの屈折率差を有効に利用できないので、散乱効率が低くなり、輝度が小さくなる傾向にある。
【0076】
また、電位差印加時には、微粒子34B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX1と交差または直交(もしくはほぼ直交)している。このとき、微粒子34B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば90°)で交差している。つまり、微粒子34B内の液晶分子は、電位差印加時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ2だけ傾斜した状態もしくは角度θ2(=90°)で真っ直ぐ立った状態で配向している。
【0077】
上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよいが、本実施の形態では紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電位差無印加の状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化することにより形成されたもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。微粒子34Bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリレート基、メタクリレート基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。バルク34Aを上述した筋状構造とする場合には、バルク34Aの原料として、2官能液晶性モノマーを用いることが好ましい。また、バルク34Aの原料に対して、液晶性を示す温度の調整を目的に単官能モノマーを添加したり、架橋密度向上を目的に3官能以上のモノマーを添加したりすることもできる。
【0078】
ところで、上述したように、電位差無印加時には、バルク34Aの光軸AX1および微粒子34Bの光軸AX2はともに、同一の方向に光軸の成分を主に有している。電位差無印加時には、光軸AX1,AX2はともに、図20に示したように、同一の方向を向いており、例えば、配向膜33,35のラビング方向を向いている。また、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2はともに、図20に示したように、光入射面10Aと平行またはほぼ平行となっている。さらに、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、図4、図20に示したように、透明基板31と平行またはほぼ平行となっている。つまり、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、概ね図20中のY軸方向を向いている。
【0079】
さらに、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、バックライト211側の偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸の成分を主に有している。電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、例えば、図20に示したように、透過軸AX10と平行な方向を向いている。透過軸AX10は、例えば、図20に示したように、配向膜33,35のラビング方向を向いている。なお、映像表示面側の偏光板210Cの透過軸AX11は、バックライト211側の偏光板210Bの透過軸AX10と直交している。
【0080】
また、上述したように、電位差印加時には、光軸AX1は、電位差無印加時と同一またはほぼ同一の方向を向いている。電位差印加時には、光軸AX1は、偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸の成分を主に有しており、例えば、図21に示したように、透過軸AX10と平行な方向を向いている。電位差印加時には、光軸AX1は、例えば、光入射面10Aと平行またはほぼ平行となっており、さらに、透明基板31と平行またはほぼ平行となっている。
【0081】
一方、光軸AX2は、電位差印加時には、下側電極32および上側電極36に印加された電位差によって生成される電場の影響を受けて所定の方向に変位している。例えば、電位差印加時には、光軸AX2は、図4、図21に示したように、透明基板31と交差または直交(もしくはほぼ直交)している。つまり、光軸AX2は、下側電極32および上側電極36への電位差印加により、光軸AX2と透明基板31の法線とのなす角度が小さくなる方向に変位している(すなわち立ち上がっている)。このとき、光軸AX2は、光軸AX1と直交またはほぼ直交しており、透明基板31と直交またはほぼ直交している。
【0082】
バルク34Aおよび微粒子34Bの電位差印加時または電位差無印加時の状態は、光変調層30の面内で巨視的な分布を持っていてもよい。具体的には、筋状組織の長さや太さや密度、プレチルト角度θ1、バルク34Aと微粒子34Bの重量比、バルク34Aと微粒子34Bの電位差印加時の光軸AX1,AX2の交差角度、異方性拡散の異方性度合、配向の面内の角度、配向の厚み方向の角度、配向のねじれ角などが、光変調層34において巨視的な面内分布を持っていてもよい。上記のような分布を持たせる手法としては、ラビング強度、紫外線照射量、配向膜の厚み、基板厚み、光配向であれば配向時の偏光方向、紫外線照射時の電場印加、紫外線照射時の磁場印加などに分布を持たせることが考えられる。例えば、液晶性モノマーを紫外線照射で高分子へと重合する際、紫外線強度に分布を持たせることで筋状組織の量に分布を持たせることが出来る。これにより、光源20に近い側で筋状組織の量を少なくして電位差印加時の散乱を弱くし、光源20から遠い側で筋状組織の量を多くして電位差印加時の散乱を強くすることで、出射される光の強度を面内で均一化することが出来る。
【0083】
駆動回路50は、例えば、光変調セル30−2において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となり、さらに、光変調セル30−1において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。また、駆動回路50は、例えば、各光変調セル30−1,30−2において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。つまり、駆動回路50は、電場制御によって、バルク34Aおよび微粒子34Bの光軸AX1,AX2の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0084】
駆動回路50は、制御信号204Aとして三次元表示を指定する信号が入力されたときには、バックライト211から複数の線状照明光を出力させるようになっている。具体的には、駆動回路50は、部分電極36Bを含む光変調セル30−1に、光変調層34が散乱性を示す電位差を印加するとともに、部分電極36Cを含む光変調セル30−2に、光変調層34が透明性を示す電位差を印加するようになっている。言い換えると、駆動回路50は、バックライト211に含まれる全ての光変調セル30−1において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差し、バックライト211に含まれる全ての光変調セル30−2において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行となるように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。
【0085】
また、駆動回路50は、制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力されたときには、バックライト211から面状照明光を出力させるようになっている。具体的には、駆動回路50は、各光変調セル30−1,30−2に、光変調層34が散乱性を示す電位差を印加するようになっている。言い換えると、駆動回路50は、バックライト211に含まれる全ての光変調セル30−1,30−2において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差または直交(もしくはほぼ直交)するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。
【0086】
なお、駆動回路50は、制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力されるとともに、映像データに関する信号も入力されるときには、バックライト211から、映像データに対応した輝度分布を持った面状照明光(例えば、面内の一部が暗い面状照明光)を出力させるようになっていてもよい。ただし、その場合には、上部電極36が表示パネル210の画素に対応したレイアウトになっていることが好ましい。上部電極36が表示パネル210の画素に対応したレイアウトになっている場合に、駆動回路50は、映像データに応じて、一部の光変調セル30−1,30−2に、光変調層34が散乱性を示す電位差を印加するとともに、他の光変調セル30−1,30−2に、光変調層34が透明性を示す電位差を印加するようになっている。
【0087】
以下に、本実施の形態のバックライト211の製造方法について、図22(A)〜(C)から図24(A)〜(C)を参照しながら説明する。
【0088】
まず、ガラス基板またはプラスチックフィルム基板からなる透明基板37上に、ITOなどの透明導電膜36Rを形成する(図22(A))。次に、表面全体にレジスト層を形成したのち、パターニングによりレジスト層に電極パターンを形成する。続いて、露光、現像により上側電極36(部分電極36A)を形成し、レジスト層を除去する(図22(B))。
【0089】
パターニングの方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法、レーザー加工法、パターン印刷法、スクリーン印刷法などを用いることが可能である。また、例えば、メルク社の"ハイパーエッチ"材料を用いてスクリーン印刷した後に所定の加熱を行い、その後、水洗することでパターニングを行うこともできる。電極パターンは駆動方法および部分駆動の分割数によって決定される。電極パターンは、例えば、使用する表示装置の画素ピッチか、それに近いピッチで加工される。電極の加工幅は、加工方法にも依存するが、光りの取り出し効率という観点においてできるだけ細いことが好ましい。電極の加工幅は、例えば、50μm以下、好ましくは20μm、さらに好ましくは5μm以下である。また、ITOナノ粒子をパターン印刷した後、それを焼成することによって電極パターンを形成してもよい。
【0090】
次に、表面全体に配向膜35を塗布したのち、乾燥させ、焼成する(図22(C))。配向膜35としてポリイミド系材料を用いる場合には、溶媒にNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いることが多いが、そのときには、大気下では200℃程度の温度が必要である。なお、この場合に、透明基板37としてプラスチック基板を用いる場合には、配向膜35を100℃で真空乾燥させ、焼成することもできる。その後、配向膜35に対してラビング処理を行う。これにより、配向膜35が水平配向用の配向膜として機能し、さらに配向膜35のラビング方向にプレチルトを形成することが可能となる。
【0091】
同様にして、ガラス基板またはプラスチックフィルム基板からなる透明基板31上に、ITOなどの透明導電膜を形成する。次に、表面全体にレジスト層を形成したのち、パターニングによりレジスト層に電極パターンを形成する。続いて、露光、現像により下側電極32を形成し、レジスト層を除去する。次に、表面全体に配向膜33を塗布したのち、乾燥させ、焼成する。その後、配向膜33に対してラビング処理を行う。これにより、配向膜32が水平配向用の配向膜として機能し、さらに配向膜33のラビング方向にプレチルトを形成することが可能となる。
【0092】
次に、配向膜35上に、セルギャップを形成するためのスペーサ38を乾式または湿式で散布する(図23(A))。なお、真空貼り合わせ法にて光変調セル30−1,30−2を作成する場合には、滴下する混合物中にスペーサ38を混合しておいてもよい。また、スペーサ38の替わりとして、フォトリソ法によって柱スペーサを形成することもできる。続いて、配向膜33上に、貼り合わせおよび液晶の漏れを防止するためのシール剤パターン39を、例えば額縁状に塗布する(図23(B))。このシール剤パターン39はディスペンサー法やスクリーン印刷法にて形成することができる。
【0093】
以下に、真空貼り合わせ法(One Drop Fill法、ODF法)について説明するが、真空注入法やロール貼合方式などで光変調セル30−1,30−2を作成することも可能である。
【0094】
まず、セルギャップ、セル面積などから決まる体積分にあたる液晶とモノマーの混合物42を面内に均一に滴下する(図23(C))。混合物42の滴下にはリニアガイド方式の精密ディスペンサーを用いることが好ましいが、シール剤パターン39を土手として利用して、ダイコータなどを用いてもよい。
【0095】
液晶とモノマーは前述の材料を用いることができるが、液晶とモノマーの重量比は98:2〜50:50、好ましくは95:5〜75:25、より好ましくは92:8〜85:15である。液晶の比率を多くすることで駆動電圧を低くすることができるが、あまり液晶を多くしすぎると電位差印加時の白色度が低下したり、電位差オフ後に応答速度が低下するなど透明時に戻りにくくなったりする傾向がある。
【0096】
混合物42には、液晶とモノマーの他には、重合開始剤を添加する。使用する紫外線波長に応じて、添加する重合開始剤のモノマー比を0.1〜10重量%の範囲内で調整する。混合物42には、この他に、重合禁止剤や可塑剤、粘度調整剤なども必要に応じて添加可能である。モノマーが室温で固体やゲル状である場合には、口金やシリンジ、基板を加温することが好ましい。
【0097】
透明基板31および透明基板37を真空貼り合わせ機(図示せず)に配置したのち、真空排気し、貼り合わせを行う(図24(A))。その後、貼り合わせたものを大気に解放し、大気圧での均一加圧によってセルギャップを均一化する。セルギャップは白輝度(白色度)と駆動電圧の関係から適宜選定できるが、5〜40μm、好ましくは6〜20μm、より好ましくは7〜10μmである。
【0098】
貼り合わせ後、必要に応じて配向処理を行うことが好ましい(図示せず)。クロスニコル偏光板の間に、貼り合わせたセルを挿入した際に、光り漏れが生じている場合には、セルをある一定時間加熱処理したり、室温で放置したりして配向させる。その後、紫外線L3を照射してモノマーを重合させてポリマー化する(図24(B))。このようにして、光変調素子30が製造される。
【0099】
紫外線を照射している時には、セルの温度が変化しないようにすることが好ましい。赤外線カットフィルターを用いたり、光源にUV−LEDなどを用いたりすることが好ましい。紫外線照度は複合材料の組織構造に影響を与えるので、使用する液晶材料やモノマー材料、これらの組成から適宜調整することが好ましく、0.1〜500mW/cm2の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30mW/cm2である。紫外線照度が低いほど駆動電圧が低くなる傾向にあり、生産性と特性の両面から好ましい紫外線照度を選定することができる。
【0100】
そして、導光板10に光変調素子30を貼り合わせる(図24(C))。貼り合わせには、粘着、接着のいずれでもよいが、導光板10の屈折率と光変調素子30の基板材料の屈折率とにできるだけ近い屈折率の材料で粘着、接着することが好ましい。最後に、下側電極32および上側電極36に引き出し線(図示せず)を取り付ける。このようにして、本実施の形態のバックライト211が製造される。
【0101】
このように、光変調素子30を作成し、最後に導光板10に光変調素子30を貼り合わせるプロセスを説明したが、導光板10の表面に、配向膜35を形成した透明基板37を予め貼り合わせてから、バックライト211を作成することもできる。また、枚葉方式、ロール・ツー・ロール方式のいずれでもバックライト211を作成することができる。
【0102】
次に、本実施の形態のバックライト211の作用および効果について説明する。
【0103】
本実施の形態のバックライト211では、三次元表示のときに、各光変調セル30−1において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差または直交(もしくはほぼ直交)し、各光変調セル30−2において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と平行もしくはほぼ平行となるように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)に電圧が印加される。これにより、光変調素子30において、各光変調セル30−1が散乱領域30Bとなり、各光変調セル30−2が透過領域30Aとなる。その結果、光源20から出射され、導光板10内に入射した光は、光変調素子30のうち透過領域30Aを透過し、光変調素子30のうち散乱領域30Bにおいて散乱される(図25)。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板40で反射され、再度、導光板10に戻されたのち、バックライト211の上面から出射される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、導光板10を透過したのち、バックライト211の上面から出射される。このように、三次元表示のときには、透過領域30Aの上面からは光はほとんど出射されず、散乱領域30Bの上面から光が出射される。このようにして、例えば、図25に示したように、正面方向に、複数の線状照明光が出力される。
【0104】
これにより、正面方向に出力された各線状照明光が表示パネル210の背面に入射するので、例えば、各線状照明光に対応する画素配列において各画素行が三次元用画素210Aとなるように三次元表示用の二次元映像データが映像信号処理回路207で生成されたときには、各三次元用画素210A内の共通の位置にある画素(例えば、図25では、画素210−1,210−2,210−3または210−4)には、各線状照明光が略同一の角度で入射する。その結果、各三次元用画素210A内の共通の位置にある画素からは、その画素によって変調された映像光が所定の角度で出力される。このとき、観察者は、左右の目で、互いに異なる視差の映像を観察することになるので、観察者は、表示パネル210に三次元映像(立体映像)が表示されていると認識する。
【0105】
また、本実施の形態のバックライト211では、二次元表示のときに、例えば、各光変調セル30−1,30−2において微粒子34Bの光軸AX2がバルク34Aの光軸AX1と交差または直交(もしくはほぼ直交)するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)に電圧が印加される。これにより、光源20から出射され、導光板10内に入射した光は、光変調素子30の全体に形成された散乱領域30Bにおいて散乱される(図26)。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板40で反射され、再度、導光板10に戻されたのち、バックライト211の上面から出射される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、導光板10を透過したのち、バックライト211の上面から出射される。このように、二次表示のときには、例えば、光変調素子30の上面全体から光が出射され、正面方向に、面状照明光が出力される。
【0106】
これにより、正面方向に出力された面状照明光が表示パネル210の背面に入射するので、例えば、各画素210Bに対応して二次元表示用の二次元映像データが映像信号処理回路207で生成されたときには、各画素210Bには、面状照明光があらゆる角度で入射し、各画素210Bからは、各画素210Bによって変調された映像光が出力される。このとき、観察者は、両目で互いに同一の映像を観察することになるので、観察者は、表示パネル210に二次元映像(平面映像)が表示されていると認識する。
【0107】
また、本実施の形態では、光変調層34が散乱性を示すとき、電場応答性の低いバルク34Aが偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸AX1の成分を主に有しており、電場応答性の高い微粒子34Bがバルク34Aの光軸AX1と交差または直交(もしくはほぼ直交)し、かつ透明基板31と交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向に光軸AX2を有している。これにより、バックライト211から出射された光の偏光軸が偏光板21Bの透過軸AX10と平行な方向に主な成分を有するので、同一輝度の無偏光光をバックライト211から出射した場合と比べて、バックライト211の光をより効率よく液晶パネル210Aに入射させることができる。従って、二次元表示を行うときよりも画素数を減じて三次元表示を行う場合であっても、表示輝度の高い三次元表示が可能である。また、表示輝度の高い二次元表示ももちろん可能である。
【0108】
ところで、本実施の形態では、三次元表示に際して、パララックスバリアを設ける必要がない。また、仮に、パララックスバリアを、バックライト211の光出射側に設けたとしても、そのときに、光変調層34の一部を散乱領域30Bとし、その散乱領域30Bをパララックスバリアの光透過領域に対応させることで、光変調層34から出力された光がパララックスバリアで吸収される割合を極めて低くすることができる。また、本実施の形態では、三次元表示に際して、シリンドリカルレンズを必要としないので、シリンドリカルレンズに起因する収差の問題が生じる虞はない。
【0109】
以上のことから、本実施の形態では、バックライト211から出射された光の偏光軸が偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に主な成分を有するようにし、かつ光変調層34の一部を散乱領域30Bとすることができるようにしたので、三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることができる。
【0110】
次に、本実施の形態の受信側装置200の他の効果について説明する。
【0111】
一般に、PDLCは、液晶材料と等方性の低分子材料とを混合し、紫外線照射や溶媒の乾燥などにより相分離を起こさせることによって形成され、液晶材料の微小粒子が高分子材料中に分散された複合層となっている。この複合層中の液晶材料は、電位差無印加時にはランダムな方向を向いているので散乱性を示すが、電位差印加時には電場方向に配向するので、液晶材料の常光屈折率と高分子材料の屈折率とが互いに等しい場合には、正面方向(PDLCの法線方向)において高い透明性を示す。しかし、この液晶材料では、斜め方向においては、液晶材料の異常光屈折率と高分子材料の屈折率との差が顕著となり、正面方向が透明性であっても斜め方向において散乱性が発現してしまう。
【0112】
通常、PDLCを使った光変調素子は、表面に透明導電膜の形成された2枚のガラス板の間にPDLCを挟み込んだ構造となっていることが多い。上述したような構造を有する光変調素子に対して空気中から斜めに光が入射した場合には、その斜め方向から入射した光は空気とガラス板の屈折率差によって屈折し、より小さな角度でPDLCに入射することになる。そのため、このような光変調素子においては、大きな散乱は生じない。例えば、空気中から80°の角度で光が入射した場合には、その光のPDLCへの入射角はガラス界面での屈折によって40°程度にまで小さくなる。
【0113】
しかし、導光板を用いたエッジライト方式では、導光板越しに光が入射するので、光が80°程度の大きな角度でPDLC中を横切ることになる。そのため、液晶材料の異常光屈折率と高分子材料の屈折率との差が大きく、さらに、より大きな角度で光がPDLC中を横切るので、散乱を受ける光路も長くなる。例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶材料の微小粒子が屈折率1.5の高分子材料中に分散されている場合には、正面方向(PDLCの法線方向)においては屈折率差がないが、斜め方向においては屈折率差が大きくなる。このため、斜め方向の散乱性を小さくすることができないので、視野角特性が悪い。さらに、導光板上に拡散フィルムなどの光学フィルムを設けた場合には、斜め漏れ光が拡散フィルムなどによって正面方向にも拡散されるので、正面方向の光漏れが大きくなり、正面方向の変調比が低くなってしまう。
【0114】
一方、本実施の形態では、バルク34Aおよび微粒子34Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク34Aおよび微粒子34Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子30の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0115】
例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶と、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶性モノマーとを混合し、配向膜または電界によって液晶と液晶性モノマーを配向させた状態で液晶性モノマーを重合させると、液晶の光軸と、液晶性モノマーが重合することによって形成されたポリマーの光軸とが互いに一致する。これにより、あらゆる方向で屈折率を一致させることができるので、そのようにした場合には、透明性が高い状態を実現でき、より一層、視野角特性を良くすることができる。
【0116】
また、本実施の形態では、例えば、図18(A),(B)に示したように、透過領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透過領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0117】
ところで、輝度突き上げとは、全面白表示した場合に比べて、部分的に白表示を行った場合の輝度を高くする技術である。CRTやPDPなどでは一般によく使われている技術である。しかし、液晶ディスプレイでは、バックライトは画像にかかわらず全体に均一発光しているので、部分的に輝度を高くすることはできない。もっとも、バックライトを、複数のLEDを2次元配置したLEDバックライトとした場合には、LEDを部分的に消灯することは可能である。しかし、そのようにした場合には、LEDを消灯した暗領域からの拡散光がなくなるので、全てのLEDを点灯した場合と比べて、輝度が低くなってしまう。また、部分的に点灯しているLEDに対して流す電流を大きくすることにより、輝度を増やすことも可能であるが、そのようにした場合には、非常に短時間に大電流が流れるので、回路の負荷や信頼性の点で問題が残る。
【0118】
一方、本実施の形態では、バルク34Aおよび微粒子34Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ない。これにより、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、バックライト211への投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0119】
また、本実施の形態では、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加されていない領域において、微粒子34Bの光軸AX2が、導光板10の光入射面10Aと平行となっており、かつ透明基板31,37の表面と僅かな角度θ1で交差している。つまり、微粒子34B内に含まれる液晶分子が、光入射面10Aと平行な面内において角度θ1だけ傾斜した状態(プレチルト角が付与された状態)で配向している。そのため、電位差印加時に、微粒子34B内に含まれる液晶材料は、ランダムな方位に立ち上がることはなく、光入射面10Aと平行な面内で立ち上がる。このとき、バルク34Aおよび微粒子34Bの光軸AX1,AX2が、光入射面10Aと平行な面内において互いに交差または直交(もしくはほぼ直交)する。この場合に、導光板10の光入射面10Aから入射した光において、透明基板31に対して垂直に振動する光は、微粒子34Bの異常光屈折率とバルク34Aの常光屈折率との差を感じる。このとき、微粒子34Bの異常光屈折率とバルク34Aの常光屈折率との差は大きいことから、透明基板31に対して垂直に振動する光の散乱効率が高くなる。一方、透明基板31に対して平行に振動する光は、微粒子34Bの常光屈折率とバルク34Aの異常光屈折率の差を感じる。このとき、微粒子34Bの常光屈折率とバルク34Aの異常光屈折率の差も大きいことから、透明基板31に対して平行に振動する光の散乱効率も高くなる。従って、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域を伝播する光は、斜め方向の成分を多く含む。例えば、導光板10としてアクリル導光板を用いた場合には、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域内の光は、41.8°以上の角度で伝播する。その結果、斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られるので、表示輝度を向上させることができる。また、上記の輝度突き上げの効果により、表示輝度をさらに向上させることができる。
【0120】
ところで、例えば、電位差無印加時に導光板10の光入射面10Aに垂直に、バルク34Aおよび微粒子34Bの光軸AX1,AX2を配置し、電位差印加時に、微粒子34B内に含まれる液晶材料が、光入射面10Aと垂直な面内で立ち上がるようにした場合には、透明基板31に対して垂直に振動する光は、前述した場合と同様に、微粒子34Bの異常光屈折率とバルク34Aの常光屈折率との差を感じるが、透明基板31に対して平行方向に振動する光は、微粒子34Bの常光屈折率とバルク34Aの常光屈折率との差を感じることになる。ここで、微粒子34Bの常光屈折率とバルク34Aの常光屈折率との差は、ほとんどないか、または全くない。そのため、光入射面10Aから入射した光において、透明基板31に対して垂直に振動する光は、前述した場合と同様に大きな屈折率差を感じるが、透明基板31に対して平行方向に振動する光は、屈折率差をほとんど感じないか、または全く感じない。その結果、透明基板31に対して垂直に振動する光の散乱効率は高くなるが、透明基板31に対して平行に振動する光の散乱効率は低いか、または、ゼロとなる。従って、光入射面10Aに対して光軸AX1,AX2を垂直に配置した場合には、光入射面10Aに対して光軸AX1,AX2を平行に配置した場合に比べて、散乱効率が低くなるので、導光板10から取り出せる輝度が、本実施の形態の光変調素子30よりも低くなる。
【0121】
以上のことから、本実施の形態では、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0122】
<異方性拡散>
次に、本実施の形態における異方性拡散について説明する。図27、図28は、本実施の形態の光変調層34におけるバルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率楕円体の一例を表したものである。図27は、電位差無印加時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率楕円体の一例を表したものであり、図28は、電位差印加時の、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率楕円体の一例を表したものである。
【0123】
繰り返しになるが、図27に示したように、電位差無印加時に、バルク34Aの光軸AX1および微粒子34Bの光軸AX2は、導光板10の光入射面10Aと平行な方向であって、かつ透明基板31,37の表面と角度θ1で交差する方向を向いている。また、繰り返しになるが、図28に示したように、電位差印加時に、バルク34Aの光軸AX1は、電位差無印加時と同じ方向を向いている。さらに、微粒子34Bの光軸AX2は、導光板10の光入射面10Aと平行またはほぼ平行となると共に透明基板31,37の表面と角度θ1よりも大きな角度θ2(例えば90°)で交差する方向を向いている。
【0124】
このように、微粒子34B内の液晶分子は電位差の印加、無印加に応じて上述したような変化を示すが、この変化の過程で、バルク34Aは電位差変化に対して応答しないか、またはバルク34Aの応答速度が遅く、バルク34Aの筋状構造の長軸方向は、ラビング方向(光入射面10Aと平行な方向(図27、図28のY軸方向))を向いている。そのため、電位差印加時には、光源20から出力され、光変調層34内を伝播する光は、バルク34Aの筋状構造の短軸方向の平均的な筋状組織サイズの周期で、微粒子34Bの異常光屈折率とバルク34Aの常光屈折率との差、または微粒子34Bの常光屈折率とバルク34Aの異常光屈折率との差を感じながら伝播する。その結果、光変調層34内を伝播する光は、光変調層34の厚さ方向に大きく散乱し、光入射面10Aと平行な方向にはあまり散乱しない。つまり、光変調層34では、光入射面10Aと平行な面(YZ面)内において、Y軸方向とZ軸方向とで散乱性に異方性がある。このように、光変調層34は、光源20から出力され、光変調層34内を伝播する光に対して異方性散乱を示す。
【0125】
光変調層34では、バルク34Aおよび微粒子34Bの屈折率楕円体から考えると、図28のZ軸方向に伝搬する光において、X軸方向の偏光成分に比べて、Y軸方向(ラビング方向)の偏光成分の方が、散乱能が高い。すなわち、光変調層34は、光変調層34の厚み方向に伝搬する光に対して、偏光方向においても異方的な散乱性を示す。これは、X軸方向に偏光した光は、バルク34Aの常光屈折率と微粒子34Bの常光屈折率との差で散乱するが、これらの値はほぼ同じような値であるため散乱性は低い。一方、Y軸方向に偏光した光は、バルク34Aの異常光屈折率と微粒子34Bの常光屈折率との差で散乱するが、これらの値は大きく異なるため散乱性は高い。
【0126】
以下で、光変調層34が実際に、どの程度の異方性散乱を示すか、その程度を検証する。
【0127】
図29(A),(B)は、導光板からの光の出射角特性を計測した結果を示したものである。図29(A)には、変調層34を用いた場合の結果が示されており、図29(B)には、面内で光学的等方性を示す光変調層を用いた場合の結果が示されている。通常、光変調層の下面には白色反射板を用いるが、光変調層と導光板からの出射特性を正確に知るために、白色反射板の代わりに、黒色吸収層を光変調層の下面に配置した。
【0128】
面内で光学的等方な光変調層を用いた場合には、導光板から取り出される光において、導光板すれすれの成分が多く、正面方向の成分は少ない。これに対して、面内に光学的異方性のある光変調層34を用いた場合には、導光板から取り出される時点で正面方向の光りが相対的に多くなっており、このようなプロファイルは照明装置に適している。さらに、黒状態では、光学的に等方的な変調層の場合でも斜めに漏れている光が、異方的な光変調層に比べて多くなっており、光変調比性能でも有利である。また、導光板上に空気界面を介して光学シートを用いた場合においても、光学シートと空気界面の反射などによってロスする光が多いと考えられるので、やはり導光板からの出射特性は正面方向の成分が多い方が好適である。検証に用いた2つの光変調層では、用いたモノマー材料、液晶材料が異なるので、これら2つの光取り出し強度自身を比較することは難しいが、光変調層として同じ光学物性を持った材料を用いた場合には、面内に光学的異方性のある光変調層34を用いた方が、光の利用効率を高くすることができる。
【0129】
上記の結果から、2つの光変調層を用いた場合に、それぞれの出射角特性が異なっていることがわかったので、次に、光変調層34自身の散乱特性を計測してみた。導光板を用いた状態では、導光板での全反射が生じてしまい、散乱の角度特性を計測することができないので、散乱の角度特性は図30(A),(B)に示した装置で計測した。具体的には、円柱ガラス容器300にマッチングオイル310と光変調層34を入れて、導光板中を導光するような大きな入射角θ(例えば80度)でレーザ光Lを変調層34に照射して散乱の角度特性を評価した。光変調層34に対して大きな入射角θ(例えば80度)でレーザ光Lを入射させたときに、被測定面330に映し出された輝度分布の様子を図31(A)に示した。さらに、このときに、ラビング方向に対して垂直な面内(図27、図28のZX平面内に相当)で、光変調層34内のバルク34Aの光軸AX1(図示せず)と平行な軸を中心軸としてディテクタ320を走査させたときに得られた光強度分布を図31(B)に示した。このときの光強度分布は、図31(A)の(1)の方向の分布に対応している。また、ラビング方向に対して平行な面内であって、かつ光変調層34の光入射面と平行な面内(図27、図28のZY平面内に相当)で、光変調層34内のバルク34Aの光軸AX1(図示せず)と直交する軸を中心軸としてディテクタ320を走査させたときに得られた輝度分布を図31(C)に示した。このときの光強度分布は、図31(A)の(2)の方向の分布に対応している。
【0130】
図31(A)〜(C)から、ラビング方向に対して垂直な面内(図27、図28のZX平面内に相当)の方が、ラビング方向に対して平行な面内(図27、図28のZY平面内)よりも、散乱特性が高く、正面方向(出射角0°)では、50倍程度強度が異なっていた(電位差印加時)。すなわち、光変調層34は、例えば、図31(A)〜(C)に示したように、光変調層34の厚さ方向(Z軸方向)の散乱の方がラビング方向(光入射面10Aと平行な方向(Y軸方向))の散乱よりも大きい異方性散乱特性を有していることがわかった。このことから、バルク34Aの筋状構造の長軸方向がラビング方向(光入射面10Aと平行な方向(図27、図28のY軸方向))を向いている状態で、微粒子34B内の液晶分子を光変調層34の厚さ方向に配向させることにより、光変調層34が、光源20から出射された光に対して上述の異方性散乱を示すことがわかった。
【0131】
図32(A)は、光変調層34の散乱特性である。図32(B)は、液晶が電位差によって傾斜する方位が定まっていない(プレチルト90度)の光変調層の散乱特性である。図32(C)は、等方性のポリマーを用いて面内の光学異方性がないノーマル光変調層の散乱特性である。図32(A)〜(C)から、光変調層34は、他の光変調層に比べて、入射した光が正面方向にまで大きく散乱しており、光変調層34だけが異方性散乱を示していることがわかった。
【0132】
次に、このような異方性散乱を示す場合、導光板からの光り取り出しに優れる理由を説明する。光変調層と導光板、光源を配置した場合、白色パターンが印刷された導光板や前述のノーマル光変調層は、例えば、図33(A)〜(C)に示したように、等方的な散乱特性を示すため、導光板面内と平行方向にも散乱する光が多く、導光条件を破壊するまでに角度を変える確率が小さくなる。一方、光変調層34のような異方性散乱を示す場合、入射した光は、例えば、図34(A)〜(C)に示したように、導光板の面内方向に垂直な方向によく散乱をするので、導光条件を破壊する方向に優先的に散乱をする。このようなことから、異方性散乱を示すことで導光板からの光り取り出し効率が高くなると考えられる。
【0133】
導光光の散乱性を高くするという観点からは、バルク34Aの、短軸方向の平均的な筋状組織サイズは、0.1μm以上10μm以下となっていることが好ましく、0.2μm以上2.0μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0134】
[変形例]
上記実施の形態では、光軸AX1,AX2が、電位差無印加時に、光入射面10Aおよび透明基板31と平行またはほぼ平行な方向を向き、電位差印加時に、光軸AX2が、透明基板31と直交またはほぼ直交(もしくは交差)する方向に変位するようになっていた。しかし、光軸AX1,AX2が、電位差無印加時に、光入射面10Aと直交またはほぼ直交(もしくは交差)する方向であって、かつ透明基板31と平行またはほぼ平行な方向を向き、電位差印加時に、光軸AX2が、透明基板31と直交またはほぼ直交(もしくは交差)する方向に変位するようになっていてもよい。例えば、図35(A),(B)に示したように、光軸AX1,AX2が、電位差無印加時に、光入射面10Aと直交またはほぼ直交する方向であって、かつ透明基板31と平行またはほぼ平行な方向を向き、図36(A),(B)に示したように、電位差印加時に、光軸AX2が、透明基板31と直交またはほぼ直交する方向に変位するようになっていてもよい。
【0135】
ここで、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2はともに、例えば、配向膜33,35のラビング方向を向いている。また、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2はともに、同一の方向に光軸の成分を主に有しており、例えば、同一の方向を向いている。電位差無印加時には、光軸AX1,AX2はともに、図37に示したように、入射面10Aと交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向を向いている。さらに、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、図4、図37に示したように、透明基板31と平行またはほぼ平行となっている。つまり、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、概ね図37中のX軸方向を向いている。
【0136】
さらに、電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、バックライト211側の偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸の成分を主に有している。電位差無印加時には、光軸AX1,AX2は、図37に示したように、透過軸AX10と平行な方向を向いている。透過軸AX10は、例えば、図37に示したように、配向膜33,35のラビング方向を向いている。
【0137】
また、上述したように、電位差印加時には、光軸AX1は、電位差無印加時と同一またはほぼ同一の方向を向いている。電位差印加時には、AX1は、偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸の成分を主に有しており、例えば、図38に示したように、透過軸AX10と平行な方向を向いている。電位差印加時には、光軸AX1は、例えば、入射面10Aと交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向を向いており、さらに、透明基板31と平行またはほぼ平行となっている。
【0138】
一方、光軸AX2は、電位差印加時には、下側電極32および上側電極36に印加された電位差によって生成される電場の影響を受けて所定の方向に変位している。例えば、電位差印加時には、光軸AX2は、図4、図38に示したように、透明基板31と直交またはほぼ直交(もしくは交差)している。つまり、光軸AX2は、下側電極32および上側電極36への電位差印加により、光軸AX2と透明基板31の法線とのなす角度が小さくなる方向に変位している(すなわち立ち上がっている)。このとき、光軸AX2は、光軸AX1と直交またはほぼ直交(もしくは交差)しており、透明基板31と直交またはほぼ直交(もしくは交差)している。
【0139】
以上のことから、本変形例では、上記実施の形態と同様、バックライト211から出射された光の偏光軸が偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に主な成分を有するようにし、かつ光変調層34の一部を散乱領域30Bとすることができるようにしたので、三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることができる。
【0140】
<2.第2の実施の形態>
次に、本技術の第2の実施の形態に係る受信側装置200について説明する。本実施の形態の受信側装置200は、図39に示したように、光変調素子30の代わりに光変調素子60を備えている点で、上記実施の形態の受信側装置200の構成と相違する。そこで、以下では、上記実施の形態の構成との共通点についての説明を適宜、省略し、上記実施の形態の構成との相違点について主に説明する。
【0141】
光変調素子60では、配向膜33,35として垂直配向膜が用いられており、さらに、図40に示したように、光変調層34に代わって光変調層64が設けられている。
【0142】
配向膜33,35として垂直配向膜が用いられている場合には、この垂直配向膜によって、後述のバルク64Aおよび微粒子64Bが透明基板31から傾斜配向したプレチルトが形成されている。垂直配向膜としては、シランカップリング材料や、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリイミド系材料、界面活性剤などを用いることが可能である。例えば、これらの材料を塗布、乾燥した後にラビング処理を行うことにより、ラビング方向にプレチルトが形成される。また、透明基板31,37としてプラスチックフィルムを用いる場合には、製造工程において、透明基板31,37の表面に配向膜33,35を塗布した後の焼成温度ができるだけ低いことが好ましいことから、配向膜33,35としてアルコール系溶媒を使用することの可能なシランカップリング材料を用いることが好ましい。なお、配向膜33,35にラビング処理を施さずに、プレチルトを形成するようにしてもよい。それを実現する方法としては、例えば、配向膜33,35にセルを作成し、そのセルに対して磁場やスリット電極による斜め電場を印加しながら紫外線を照射する方法がある。
【0143】
ただし、配向膜33,35として垂直配向膜を用いるに際しては、微粒子64B内に含まれる液晶分子として、負の誘電率異方性を有するもの(いわゆるネガ型液晶)を用いることが好ましい。
【0144】
次に、本実施の形態の光変調層64について説明する。光変調層64は、バルク64Aと、バルク64A内に分散された微粒子状の複数の微粒子64Bとを含んだ複合層となっている。バルク64Aおよび微粒子64Bは光学異方性を有している。
【0145】
図41(A)は、電位差無印加時の、微粒子64B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図41(A)において、バルク64A内の配向状態についての記載を省略した。図41(B)は、電位差無印加時、バルク64Aおよび微粒子64Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。図41(C)は、電位差無印加時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層64を透過する様子の一例を模式的表したものである。
【0146】
図42(A)は、電位差印加時の、微粒子64B内の配向状態の一例を模式的に表したものである。なお、図42(A)において、バルク64A内の配向状態についての記載を省略した。図42(B)は、電位差印加時の、バルク64Aおよび微粒子64Bの屈折率異方性を示す屈折率楕円体の一例を表したものである。図42(C)は、電位差印加時の、正面方向に向かう光L1と、斜め方向に向かう光L2とが光変調層64において散乱される様子の一例を模式的表したものである。
【0147】
バルク64Aおよび微粒子64Bは、例えば、図41(A),(B)に示したように、電位差無印加時に、バルク64Aの光軸AX3および微粒子64Bの光軸AX4の向きが互いに一致する(平行となる)構成となっている。なお、光軸AX3,AX4とは、偏光方向によらず屈折率が一つの値になるような光線の進行方向と平行な線を指している。また、光軸AX3および光軸AX4の向きは常に互いに一致している必要はなく、光軸AX3の向きと光軸AX4の向きとが、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよい。
【0148】
また、微粒子64Bは、例えば、電位差無印加時に、光軸AX4が導光板10の光入射面10Aと平行となる構成となっている。微粒子64Bは、さらに、例えば、電位差無印加時に、光軸AX4が透明基板31,37の法線と僅かな角度θ3で交差する構成となっている(図41(B)参照)。なお、角度θ3については、微粒子64Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0149】
一方、バルク64Aは、例えば、下側電極32および上側電極36間への電圧印加の有無に拘らず、バルク64Aの光軸AX4が一定となる構成となっている。具体的には、バルク64Aは、例えば、図41(A),(B)、図42(A),(B)に示したように、バルク64Aの光軸AX3が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と僅かな角度θ3で交差する構成となっている。つまり、バルク64Aの光軸AX3は、電位差無印加時に、微粒子64Bの光軸AX4と平行となっている。
【0150】
なお、光軸AX4が常に、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と角度θ3で交差している必要はなく、例えば製造誤差などによって透明基板31,37の法線と、角度θ3とは若干異なる角度で交差していてもよい。また、光軸AX3,AX4が常に導光板10の光入射面10Aと平行となっている必要はなく、例えば製造誤差などによって導光板10の光入射面10Aと、小さな角度で交差していてもよい。
【0151】
ここで、バルク64Aおよび微粒子64Bの常光屈折率が互いに等しく、かつバルク64Aおよび微粒子64Bの異常光屈折率が互いに等しいことが好ましい。この場合に、例えば、電位差無印加時には、図41(A)に示したように、正面方向および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差がほとんどなく、高い透明性が得られる。これにより、例えば、図41(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層64内で散乱されることなく、光変調層64を透過する。その結果、上記実施の形態と同様、例えば、図18(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、透過領域30Aの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)において全反射され、透過領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて下がる。
【0152】
また、バルク64Aおよび微粒子64Bは、例えば、電位差印加時には、図42(A)に示したように、光軸AX3および光軸AX4の向きが互いに異なる(交差する)構成となっている。また、微粒子64Bは、例えば、電位差印加時に、微粒子64Bの光軸AX4が導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と角度θ3よりも大きな角度θ4で交差するか、または透明基板31,37の表面と平行となる構成となっている。なお、角度θ4については、微粒子64Bを構成する材料を説明する際に詳述する。
【0153】
したがって、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域内を伝播する光は、斜め方向の成分を多く含む。例えば、導光板10としてアクリル導光板を用いた場合には、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域内の光は、41.8°以上の角度で伝播する。その結果、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域内を伝播する光においては、屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られる。これにより、例えば、図42(C)に示したように、正面方向に向かう光L1および斜め方向に向かう光L2は、光変調層64内で散乱される。その結果、上記実施の形態と同様、例えば、図18(A),(B)に示したように、光源20からの光L(斜め方向からの光)は、散乱領域30Bの界面(透明基板31または導光板10と空気との界面)を透過すると共に、反射板40側に透過した光は反射板40で反射され、光変調素子30を透過する。従って、散乱領域30Bの輝度は、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透過領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。
【0154】
なお、バルク64Aおよび微粒子64Bの常光屈折率は、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。また、バルク64Aおよび微粒子64Bの異常光屈折率についても、例えば製造誤差などによって多少ずれていてもよく、例えば、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましい。
【0155】
また、バルク64Aの屈折率差(ΔnP=異常光屈折率neP−常光屈折率noP)や、微粒子64Bの屈折率差(ΔnL=異常光屈折率neL−常光屈折率noL)は、できるだけ大きいことが好ましく、0.05以上であることが好ましく、0.1以上であることがより好ましく、0.15以上であることがさらに好ましい。バルク64Aおよび微粒子64Bの屈折率差が大きい場合には、光変調層64の散乱能が高くなり、導光条件を容易に破壊することができ、導光板10からの光を取り出しやすいからである。
【0156】
また、バルク64Aおよび微粒子64Bは、電場に対する応答速度が互いに異なっている。バルク64Aは、例えば、電場に対して応答しない筋状構造もしくは多孔質構造となっているか、または微粒子64Bの応答速度よりも遅い応答速度を有する棒状構造となっている。バルク64Aは、例えば、低分子モノマーを重合化することにより得られた高分子材料によって形成されている。バルク64Aは、例えば、微粒子64Bの配向方向または配向膜33,35の配向方向に沿って配向した、配向性および重合性を有する材料(例えばモノマー)を熱および光の少なくとも一方によって重合させることにより形成されている。
【0157】
一方、微粒子64Bは、例えば、液晶材料を主に含んで構成されており、バルク64Aの応答速度よりも十分に早い応答速度を有している。微粒子64B内に含まれる液晶材料(液晶分子)は、例えば棒状分子である。微粒子64B内に含まれる液晶分子として、負の誘電率異方性を有するもの(いわゆるネガ型液晶)が用いられている。
【0158】
ここで、電位差無印加時には、微粒子64B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX3と平行となっている。このとき、微粒子64B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と僅かな角度θ3で交差している。つまり、微粒子64B内の液晶分子は、電位差無印加時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ3だけ傾斜した状態で配向している。この角度θ3は、プレチルト角と呼ばれるもので、例えば0.1°以上30°以下の範囲であることが好ましい。この角度θ3は、0.5°以上10°以下の範囲であることがより好ましく、0.7°以上2°以下の範囲であることがさらにより好ましい。角度θ3を小さくすると、後述するような理由から散乱の効率が低下する傾向にある。また、角度θ3を大きくし過ぎると(例えば、ほぼ90°にすると)、電位差印加時に液晶の立ち下がる方位角がばらつく。例えば、180°反対側の方位(リバースチルト)に液晶が立ち下がることもある。これにより、微粒子64Bとバルク64Aとの屈折率差を有効に利用できないので、散乱効率が低くなり、輝度が小さくなる傾向にある。
【0159】
また、電位差印加時には、微粒子64B内において、液晶分子の長軸方向は、光軸AX3と交差(もしくは直交)している。このとき、微粒子64B内の液晶分子の長軸は、導光板10の光入射面10Aと平行となると共に透明基板31,37の法線と角度θ3よりも大きな角度θ4で交差している。つまり、微粒子64B内の液晶分子は、電位差印加時には、導光板10の光入射面10Aと平行な面内において角度θ4だけ傾斜した状態もしくは角度θ4(=90°)で横に寝た状態で配向している。
【0160】
上記した、配向性および重合性を有するモノマーとしては、光学的に異方性を有しており、かつ液晶と複合する材料であればよいが、本実施の形態では紫外線で硬化する低分子モノマーであることが好ましい。電位差無印加の状態で、液晶と、低分子モノマーを重合化することにより形成されたもの(高分子材料)との光学的異方性の方向が一致していることが好ましいので、紫外線硬化前において、液晶と低分子モノマーが同一方向に配向していることが好ましい。微粒子64Bとして液晶が用いられる場合に、その液晶が棒状分子であるときには、使用するモノマー材料の形状も棒状であることが好ましい。以上のことから、モノマー材料としては重合性と液晶性を併せ持つ材料を用いることが好ましく、例えば、重合性官能基として、アクリレート基、メタクリレート基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルエーテル基およびエポキシ基からなる群から選ばれた少なくとも1つの官能基を有することが好ましい。これらの官能基は、紫外線、赤外線または電子線を照射したり、加熱したりすることによって重合させることができる。紫外線照射時の配向度低下を抑制するために、多官能基をもつ液晶性材料を添加することもできる。バルク64Aを上述した筋状構造とする場合には、バルク64Aの原料として、2官能液晶性モノマーを用いることが好ましい。また、バルク64Aの原料に対して、液晶性を示す温度の調整を目的に単官能モノマーを添加したり、架橋密度向上を目的に3官能以上のモノマーを添加したりすることもできる。
【0161】
ところで、上述したように、電位差無印加時には、バルク64Aの光軸AX3および微粒子64Bの光軸AX4はともに、同一の方向に光軸の成分を主に有している。電位差無印加時には、光軸AX3,AX4はともに、同一の方向を向いており、例えば、図40、図43に示したように、透明基板31と直交またはほぼ直交する方向を向いている。また、電位差無印加時には、光軸AX3,AX4はともに、図43に示したように、光入射面10Aと平行またはほぼ平行な方向であって、かつ透明基板31と直交またはほぼ直交する方向を向いている。つまり、電圧無印加時には、光軸AX3,AX4は、概ね図43中のZ軸方向を向いている。
【0162】
また、上述したように、電位差印加時には、光軸AX3は、電位差無印加時と同一またはほぼ同一の方向を向いている。電位差印加時には、AX3は、偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸の成分を主に有しており、例えば、図44に示したように、透過軸AX10と平行な方向を向いている。電位差印加時には、光軸AX3は、例えば、光入射面10Aと平行またはほぼ平行な方向であって、かつ透明基板31と直交またはほぼ直交する方向を向いている。
【0163】
一方、光軸AX4は、電位差印加時には、下側電極32および上側電極36に印加された電位差によって生成される電場の影響を受けて所定の方向に変位している。例えば、電位差印加時には、光軸AX4は、図40、図44に示したように、光入射面10Aと平行またはほぼ平行な方向であって、かつ透明基板31と平行またはほぼ平行な方向を向いている。つまり、光軸AX4は、下側電極32および上側電極36への電位差印加により、光軸AX4と透明基板31の法線とのなす角度が大きくなる方向に変位している(すなわち寝ている)。このとき、光軸AX4は、光軸AX3と直交またはほぼ直交しており、透明基板31と直交またはほぼ直交している。
【0164】
駆動回路50は、例えば、光変調セル30−2において微粒子34Bの光軸AX4がバルク34Aの光軸AX3と平行もしくはほぼ平行となり、光変調セル30−1において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差もしくは直交するように各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。また、駆動回路50は、例えば、各光変調セル30−1,30−2において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、上側電極36)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。つまり、駆動回路50は、電場制御によって、バルク64Aおよび微粒子64Bの光軸AX3,AX4の向きを互いに一致(もしくはほぼ一致)させたり、互いに異ならせたり(もしくは直交させたり)することができるようになっている。
【0165】
駆動回路50は、制御信号204Aとして三次元表示を指定する信号が入力されたときには、バックライト211から複数の線状照明光を出力させるようになっている。具体的には、駆動回路50は、部分電極36Bを含む光変調セル30−1に、光変調層64が散乱性を示す電位差を印加するとともに、部分電極36Cを含む光変調セル30−2に、光変調層64が透明性を示す電位差を印加するようになっている。言い換えると、駆動回路50は、バックライト211に含まれる全ての光変調セル30−1において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差し、バックライト211に含まれる全ての光変調セル30−2において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と平行となるように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。
【0166】
また、駆動回路50は、制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力されたときには、バックライト211から面状照明光を出力させるようになっている。具体的には、駆動回路50は、各光変調セル30−1,30−2に、光変調層64が散乱性を示す電位差を印加するようになっている。言い換えると、駆動回路50は、バックライト211に含まれる全ての光変調セル30−1,30−2において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差または直交(もしくはほぼ直交)するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)へ印加する電位差の大きさを制御するようになっている。
【0167】
なお、駆動回路50は、制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力されるとともに、映像データに関する信号も入力されるときには、バックライト211から、映像データに対応した輝度分布を持った面状照明光(例えば、面内の一部が暗い面状照明光)を出力させるようになっていてもよい。ただし、その場合には、上部電極36が表示パネル210の画素に対応したレイアウトになっていることが好ましい。上部電極36が表示パネル210の画素に対応したレイアウトになっている場合に、駆動回路50は、映像データに応じて、一部の光変調セル30−1,30−2に、光変調層64が散乱性を示す電位差を印加するとともに、他の光変調セル30−1,30−2に、光変調層64が透明性を示す電位差を印加するようになっている。
【0168】
次に、本実施の形態のバックライト211の作用および効果について説明する。
【0169】
本実施の形態のバックライト211では、三次元表示のときに、各光変調セル30−1において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差または直交(もしくはほぼ直交)し、各光変調セル30−2において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と平行もしくはほぼ平行となるように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)に電位差が印加される。これにより、光源20から出射され、導光板10内に入射した光は、光軸AX3と光軸AX4とが互いに平行もしくはほぼ平行となっている透過領域30Aを透過する(図18)。一方、光源20から出射され、導光板10内に入射した光は、光軸AX3と光軸AX4とが互いに交差もしくは直交している散乱領域30Bにおいて散乱される(図18)。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板40で反射され、再度、導光板10に戻されたのち、バックライト211の上面から出射される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、導光板10を透過したのち、バックライト211の上面から出射される。このように、三次元表示のときには、透過領域30Aの上面からは光はほとんど出射されず、散乱領域30Bの上面から光が出射される。このようにして、例えば、図25に示したように、正面方向に、複数の線状照明光が出力される。
【0170】
これにより、正面方向に出力された各線状照明光が表示パネル210の背面に入射するので、例えば、各線状照明光に対応する画素配列において各画素行が三次元用画素210Aとなるように三次元表示用の二次元映像データが映像信号処理回路207で生成されたときには、各三次元用画素210A内の共通の位置にある画素(例えば、図25では、210−1,210−2,210−3または210−4)には、各線状照明光が略同一の角度で入射する。その結果、各三次元用画素210A内の共通の位置にある画素からは、その画素によって変調された映像光が所定の角度で出力される。このとき、観察者は、左右の目で、互いに異なる視差の映像を観察することになるので、観察者は、表示パネル210に三次元映像(立体映像)が表示されていると認識する。
【0171】
また、本実施の形態のバックライト211では、二次元表示のときに、例えば、各光変調セル30−1,30−2において微粒子64Bの光軸AX4がバルク64Aの光軸AX3と交差もしくは直交するように、各光変調セル30−1,30−2の一対の電極(下側電極32、部分電極36A)に電圧が印加される。これにより、光源20から出射され、導光板10内に入射した光は、素子の全体に形成された散乱領域30Bにおいて散乱される(図26)。この散乱光のうち散乱領域30Bの下面を透過した光は反射板40で反射され、再度、導光板10に戻されたのち、バックライト211の上面から出射される。また、散乱光のうち、散乱領域30Bの上面に向かった光は、導光板10を透過したのち、バックライト211の上面から出射される。このように、二次表示のときには、例えば、光変調素子60の上面全体から光が出射され、正面方向に、面状照明光が出力される。
【0172】
これにより、正面方向に出力された面状照明光が表示パネル210の背面に入射するので、例えば、各画素210Bに対応して二次元表示用の二次元映像データが映像信号処理回路207で生成されたときには、各画素210Bには、面状照明光があらゆる角度で入射し、各画素210Bからは、各画素210Bによって変調された映像光が出力される。このとき、観察者は、両目で互いに同一の映像を観察することになるので、観察者は、表示パネル210に二次元映像(平面映像)が表示されていると認識する。
【0173】
ところで、本実施の形態でも、光変調層64が散乱性を示すとき、電場応答性の低いバルク64Bが偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸AX3の成分を主に有しており、電場応答性の高い微粒子64Aがバルク64Bの光軸AX3と交差または直交する方向に光軸AX4を有している。これにより、バックライト211から出射された光の偏光軸が偏光板21Bの透過軸AX10と平行な方向に主な成分を有するので、同一輝度の無偏光光をバックライト211から出射した場合と比べて、バックライト211の光をより効率よく液晶パネル210Aに入射させることができる。従って、二次元表示を行うときよりも画素数を減じて三次元表示を行う場合であっても、表示輝度の高い三次元表示が可能である。また、表示輝度の高い二次元表示ももちろん可能である。
【0174】
また、三次元表示に際して、パララックスバリアを設ける必要がない。また、仮に、パララックスバリアを、バックライト211の光出射側に設けたとしても、そのときに光変調層64は線状にしか光を出力しないので、光変調層64から出力された各線状照明光がパララックスバリアで吸収される割合は極めて低い。また、本実施の形態では、三次元表示に際して、シリンドリカルレンズを必要としないので、シリンドリカルレンズに起因する収差の問題が生じる虞はない。
【0175】
以上のことから、本実施の形態では、バックライト211から出射された光の偏光軸が偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に主な成分を有するようにし、かつ光変調層64の一部を散乱領域30Bとすることができるようにしたので、三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることができる。
【0176】
ところで、本実施の形態では、バルク64Aおよび微粒子64Bが光学異方性材料を主に含んで形成されているので、斜め方向において、散乱性が小さくなり、透明性を向上させることができる。例えば、バルク64Aおよび微粒子64Bが、互いに常光屈折率が等しく、かつ互いに異常光屈折率も等しい光学異方性材料を主に含んで構成され、かつ、下側電極32および上側電極36間に電圧が印加されていない領域では、これらの光軸の向きが一致もしくはほぼ一致する。これにより、正面方向(光変調素子60の法線方向)および斜め方向を含むあらゆる方向において屈折率差が少なくなるか、またはなくなり、高い透明性が得られる。その結果、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくすることができ、視野角特性を良くすることができる。
【0177】
例えば、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶と、常光屈折率1.5、異常光屈折率1.65の液晶性モノマーとを混合し、配向膜または電界によって液晶と液晶性モノマーを配向させた状態で液晶性モノマーを重合させると、液晶の光軸と、液晶性モノマーが重合することによって形成されたポリマーの光軸とが互いに一致する。これにより、あらゆる方向で屈折率を一致させることができるので、そのようにした場合には、透明性が高い状態を実現でき、より一層、視野角特性を良くすることができる。
【0178】
また、本実施の形態では、例えば、図18(A),(B)に示したように、透過領域30Aの輝度(黒表示の輝度)が、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて下がっている。他方、散乱領域30Bの輝度は、全面を均一に発光させている場合(図18(B)中の一点鎖線)と比べて極めて高くなり、しかも、透過領域30Aの輝度が低下した分だけ、部分的な白表示の輝度(輝度突き上げ)が大きくなる。これは、バルク64Aおよび微粒子64Bが光学異方性材料を主に含んで形成されており、斜め方向の散乱性が抑制され、暗状態での導光板からの漏れ光が少ないからである。従って、部分的な暗状態の部分から部分的な明状態の部分に導光するので、バックライトへの投入電力を増やすことなく、輝度突き上げを実現することができる。
【0179】
また、本実施の形態では、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加されていない領域において、微粒子64Bの光軸AX4が、導光板10の光入射面10Aと平行となっており、かつ透明基板31,37の法線と僅かな角度θ3で交差している。つまり、微粒子64B内に含まれる液晶分子が、光入射面10Aと平行な面内において角度θ3だけ傾斜した状態(プレチルト角が付与された状態)で配向している。そのため、電位差印加時に、微粒子64B内に含まれる液晶材料は、ランダムな方位に倒れることはなく、光入射面10Aと平行な面内で倒れる。このとき、バルク64Aおよび微粒子64Bの光軸AX3,AX4が、光入射面10Aと平行な面内において互いに交差もしくは直交する。この場合に、導光板10の光入射面10Aから入射した光において、透明基板31に対して垂直に振動する光は、微粒子64Bの常光屈折率とバルク64Aの異常光屈折率との差を感じる。このとき、微粒子64Bの常光屈折率とバルク64Aの異常光屈折率との差は大きいことから、透明基板31に対して垂直に振動する光の散乱効率が高くなる。一方、透明基板31に対して平行に振動する光は、微粒子64Bの異常光屈折率とバルク64Aの常光屈折率の差を感じる。このとき、微粒子64Bの異常光屈折率とバルク64Aの常光屈折率の差も大きいことから、透明基板31に対して平行に振動する光の散乱効率も高くなる。従って、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域を伝播する光は、斜め方向の成分を多く含む。例えば、導光板10としてアクリル導光板を用いた場合には、下側電極32および上側電極36間に電位差が印加された領域内の光は、41.8°以上の角度で伝播する。その結果、屈折率差が大きくなり、高い散乱性が得られるので、表示輝度を向上させることができる。また、上記の輝度突き上げの効果により、表示輝度をさらに向上させることができる。
【0180】
ところで、例えば、電位差無印加時に導光板10の光入射面10Aに垂直に、バルク64Aおよび微粒子64Bの光軸AX3,AX4を配置し、電位差印加時に、微粒子64B内に含まれる液晶材料が、光入射面10Aと垂直な面内で倒れるようにした場合には、透明基板31に対して垂直に振動する光は、前述した場合と同様に、微粒子64Bの常光屈折率とバルク64Aの異常光屈折率との差を感じるが、透明基板31に対して平行方向に振動する光は、微粒子64Bの常光屈折率とバルク64Aの常光屈折率との差を感じることになる。ここで、微粒子64Bの常光屈折率とバルク64Aの常光屈折率との差は、ほとんどないか、または全くない。そのため、光入射面10Aから入射した光において、透明基板31に対して垂直に振動する光は、前述した場合と同様に大きな屈折率差を感じるが、透明基板31に対して平行方向に振動する光は、屈折率差をほとんど感じないか、または全く感じない。その結果、透明基板31に対して垂直に振動する光の散乱効率は高くなるが、透明基板31に対して平行に振動する光の散乱効率は低いか、または、ゼロとなる。従って、光入射面10Aに対して光軸AX3,AX4を垂直に配置した場合には、光入射面10Aに対して光軸AX3,AX4を平行に配置した場合に比べて、散乱効率が低くなるので、導光板10から取り出せる輝度が、本実施の形態の光変調素子60よりも低くなる。
【0181】
また、プレチルトを形成しない場合、または、実質的にプレチルト角がほぼ90°となっている場合には、液晶が倒れる方位はランダムになるので、屈折率差は、バルク64Aおよび微粒子64Bの光軸AX3,AX4を導光板10の光入射面10Aと平行にした場合の屈折率差と垂直にした場合の屈折率差との平均になる。従って、これらの場合においても、バルク64Aおよび微粒子64Bの光軸AX3,AX4を導光板10の光入射面10Aと平行にした場合に比べて、取り出せる輝度が低くなる。
【0182】
以上のことから、本実施の形態では、視野角の大きい範囲における光の漏洩を低減またはほとんどなくしつつ、表示輝度を向上させることができる。その結果、正面方向の変調比を高くすることができる。
【0183】
[変形例]
上記第2の実施の形態では、光軸AX3,AX4が、電位差無印加時に、透明基板31と交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向を向き、電位差印加時に、光軸AX4が、光入射面10Aおよび透明基板31と平行またはほぼ平行な方向に変位するようになっていた。しかし、光軸AX3,AX4が、電位差無印加時に、透明基板31と交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向を向き、電位差印加時に、光軸AX4が、透明基板31と平行またはほぼ平行な方向であって、かつ光入射面10Aと交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向に変位するようになっていてもよい。例えば、図45(A),(B)に示したように、光軸AX3,AX4が、電位差無印加時に、透明基板31(図示せず)と交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向を向き、例えば、図46(A),(B)に示したように、電位差印加時に、光軸AX4が、透明基板31と平行またはほぼ平行な方向であって、かつ光入射面10Aと交差または直交(もしくはほぼ直交)する方向に変位するようになっていてもよい。
【0184】
ここで、電位差無印加時には、光軸AX3,AX4はともに、同一の方向に光軸の成分を主に有しており、例えば、同一の方向を向いている。電位差無印加時には、光軸AX3,AX4はともに、例えば、図40、図47に示したように、透明基板31と直交またはほぼ直交する方向を向いている。つまり、電位差無印加時には、光軸AX3,AX4は、概ね図40中のZ軸方向を向いている。
【0185】
また、上述したように、電位差印加時には、光軸AX3は、電位差無印加時と同一またはほぼ同一の方向を向いている。電位差印加時には、AX3は、偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に光軸の成分を主に有しており、例えば、図48に示したように、透過軸AX10と平行な方向を向いている。電位差印加時には、光軸AX3は、例えば、図40、図48に示したように、透明基板31と直交またはほぼ直交する方向を向いている。
【0186】
一方、光軸AX4は、電位差印加時には、下側電極32および上側電極36に印加された電位差によって生成される電場の影響を受けて所定の方向に変位している。例えば、電位差印加時には、光軸AX4は、図48に示したように、光入射面10Aと直交またはほぼ直交する方向に変位している。つまり、光軸AX4は、下側電極32および上側電極36への電位差印加により、光軸AX4と透明基板31の法線とのなす角度が大きくなる方向に変位している(すなわち寝ている)。このとき、光軸AX4は、光軸AX3と直交またはほぼ直交している。
【0187】
以上のことから、本変形例では、上記第2の実施の形態と同様、バックライト211から出射された光の偏光軸が偏光板210Bの透過軸AX10と平行な方向に主な成分を有するようにし、かつ光変調層64の一部を散乱領域30Bとすることができるようにしたので、三次元表示における表示輝度および表示品質の双方を向上させることができる。
【0188】
<3.変形例>
[第1変形例]
上記各実施の形態では、光変調素子30,60は、導光板10の背後(下面)に空気層を介さずに密着して接合されていたが、例えば、図49に示したように、導光板10の上面に空気層を介さずに密着して接合されていてもよい。また、光変調素子30,60は、例えば、図50に示したように、導光板10の内部に設けられていてもよい。ただし、この場合でも、光変調素子30,60は、導光板10と空気層を介さずに密着して接合されていることが必要である。
【0189】
[第2変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例では、導光板10の上に特に何も設けられていなかったが、例えば、図51に示したように、光学シート70(例えば、拡散板、拡散シート、レンズフィルム、偏光分離シートなど)を設けてもよい。このようにした場合には、導光板10から斜め方向に出射した光の一部が正面方向に立ち上がるので、正面輝度を効果的に向上させることができる。
【0190】
光学シート70として、例えば、図52に示したように、複数の帯状の凸部70Aが上面に配列されたレンズフィルムを用いたとする。このとき、凸部70Aが、例えば、図52に示したように、断面が三角形のプリズム形状となっている場合には、凸部70Aは、帯状照明光、または複数の点状照明光の集合体である帯状照明光(以下、単に「帯状照明光」と称する。)を生成する帯状の散乱領域30Bの延在方向と交差または直交する方向に延在していることが好ましい。このようにした場合には、レンズフィルムに入射した帯状照明光を、帯状照明光のまま透過させることができる。なお、凸部70Aの断面形状は、図52に示したように厳密に三角形状となっていなくてもよく、例えば、頂点や斜面に若干の丸みを帯びた三角形状となっていてもよい。
【0191】
図53は、凸部70Aの断面が頂角90度の三角形状となっている場合の、凸部70Aと線状照明光のなす角と、バックライト211のコントラストとの関係を表したものである。図53において、「無し」とは、光学シート70が設けられていないことを意味している。また、図53において、「0度」とは、凸部70Aの延在方向と帯状照明光の延在方向とが互いに等しいことを意味しており、「90度」とは、凸部70Aの延在方向と帯状照明光の延在方向とが互いに直交していることを意味している。図53から、凸部70Aの延在方向と帯状照明光の延在方向とが互いに直交しているときに、コントラストが最も良くなることがわかる。また、図53から、80度から90度の範囲において、コントラストの変化が小さいこともわかる。従って、コントラストの点では、凸部70Aの延在方向と帯状照明光の延在方向とのなす角度が90度±10度の範囲内となっていることが好ましいことがわかる。
【0192】
また、凸部70Aが、例えば、図54(A)〜(C)に示したように、帯状のシリンドリカル形状となっている場合には、凸部70Aは、帯状照明光を生成する帯状の散乱領域30Bの延在方向と平行な方向に延在していることが好ましい。そして、帯状照明光のピッチは、図54(A)〜(C)に示したように、レンズフィルムのピッチの整数倍(1倍、2倍、3倍、・・・)となっていることが好ましく、さらに、帯状照明光の位置は凸部70Aの頂部に対応する位置(例えば凸部70Aの頂部の直下)に存在することが好ましい。このようにした場合には、レンズフィルムに入射した帯状照明光の指向性を向上させることができる。
【0193】
ところで、上述のレンズフィルムのリタデーションは小さいことが好ましい。光変調素子30から、主にラビング方向の偏光の光が生成され、表示パネル210のバックライト211側の偏光板210Bの透過軸AX10がその方向に揃えられている場合には、光変調素子30と表示パネル210との間には偏光状態を変えるリタデーションは無い(小さい)方が好ましい。上述のレンズフィルムの材料としてはCOP(シクロオレフィンポリマー)系樹脂、COC(シクロオレフィンコポリマー)系樹脂、TAC(トリアセチルセルロース)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ガラスなどが好ましい。また、上述のレンズフィルムの偏光軸はラビング方向に平行もしくは垂直であることが好ましい。そのようにした場合には、ラビング方向の偏光の光は上述のレンズフィルムのリタデーションを実質的に感じない。
【0194】
[第3変形例]
また、上記第1の実施の形態およびその変形例において、例えば、図55、図56に示したように、バックライト211の光軸AX1と、偏光板210Bの透過軸AX10とが互いに直交または交差する方向を向いていてもよい。ただし、その場合には、送信側装置100は、バックライト211と、偏光板210Bとの間に、光軸AX1と透過軸AX10とがなす角の二等分線と平行な方向に光軸AX12を有する1/2λ板217を備えていることが好ましい。このようにした場合には、1/2λ板217によって、バックライト211から出射された偏光光の偏光方向を、透過軸AX10と平行な方向に回転させることができる。その結果、光の利用効率を高くすることができる。
【0195】
[第4変形例]
また、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、例えば、図57に示したように、バックライト211の光射出側に、パララックスバリア80が設けられていてもよい。パララックスバリア80は、三次元表示を行うときに、バックライト211の光出力領域を、複数の部分電極36Bとの対向領域またはそれに対応する領域に限定し、散乱領域30Bに隣接する領域(例えば、透過領域30Aの端部)から出力され得るノイズ光を遮断するものである。また、パララックスバリア80は、二次元表示を行うときに、バックライト211の光出力領域を、下側電極32と上側電極36とが互いに対向する領域との対向領域またはそれに対応する領域に拡張し、光変調素子30から出力される光を透過するものである。
【0196】
パララックスバリア80は、例えば、図58に示したように、導光板10側から順に、偏光板81、透明基板82、透明電極83、配向膜84、液晶層85、配向膜86、透明電極87、透明基板88および偏光板89を有している。
【0197】
透明基板82,88は、可視光に対して透明な基板、例えば板ガラスからなる。なお、導光板10側の透明基板には、例えば、図示しないが、透明電極83に電気的に接続されたTFTおよび配線などを含むアクティブ型の駆動回路が形成されている。透明電極83,87は、例えばITOからなる。透明電極83は、例えば、図56に示したように、複数の部分電極83Aによって構成されている。複数の部分電極83Aは、透明基板82上に形成されている。
【0198】
複数の部分電極83Aは、面内の一の方向(光入射面10Aに平行な方向)に延在する帯状の形状となっている。複数の部分電極83Aのうち特定の複数の部分電極83Bの幅W5は、複数の部分電極83Aのうち複数の部分電極83Bを除く複数の部分電極83Cの幅W6よりも狭くなっている。複数の部分電極83Bは、受信側装置200において三次元表示を行うときに、線状照明光の透過、遮断に用いられるものである。複数の部分電極83Bは、受信側装置200において三次元表示を行うときの画素ピッチP2(図25参照)に対応するピッチP4(画素ピッチP2と同一ピッチまたはそれに近いピッチ)で配列されている。複数の部分電極83Bおよび複数の部分電極83Cは、配列方向(光入射面10Aと直交する方向)において交互に配列されている。なお、受信側装置200におい二次元表示を行うときには、面状照明光を生成するために、全ての部分電極83Aが用いられる。
【0199】
透明電極87は、透明基板88上に一面に形成されたものであり、各部分電極83Aに対して対向する共通電極として機能する。配向膜84,86は、例えばポリイミドなどの高分子材料からなり、液晶に対して配向処理を行う。液晶層85は、例えば、VAモード、TNモードまたはSTNモードの液晶からなり、駆動回路50からの印加電圧により、導光板10側からの光の偏光軸の向きを部分電極73Aとの対向部分ごとに変える機能を有する。偏光板81,89は、光学シャッタの一種であり、ある一定の振動方向の光(偏光)のみを通過させる。なお、偏光板81,89は、透過軸以外の振動方向の光(偏光)を吸収する吸収型の偏光素子であってもよいが、導光板10側に反射する反射型の偏光素子であってもよい。偏光板81,89はそれぞれ、偏光軸が互いに90度異なるように又は平行に配置されており、これにより導光板10側からの光が液晶層85を介して透過し、あるいは遮断されるようになっている。
【0200】
駆動回路50は、制御信号204Aとして三次元表示を指定する信号が入力されたときには、パララックスバリア80をスリット状の光透過部として機能させるようになっている。具体的には、駆動回路50は、複数の部分電極73Aのうち特定の複数の部分電極83Bに、パララックスバリア80が透過性を示す電圧を印加するとともに、複数の部分電極83Aのうち複数の部分電極83Bを除く複数の部分電極83Cに、パララックスバリア80が遮光性を示す電圧を印加するようになっている。
【0201】
また、駆動回路50は、制御信号204Aとして二次元表示を指定する信号が入力されたときには、パララックスバリア80全体を光透過部として機能させるようになっている。具体的には、駆動回路50は、各部分電極83Aに、パララックスバリア80が透過性を示す電圧を印加するようになっている。
【0202】
本変形例では、バックライト211の光射出側に、パララックスバリア80が設けられているので、光変調素子30から複数の線状照明光が出力されているときに、散乱領域30Bに隣接する領域から出力され得るノイズ光を遮断することができる。これにより、三次元表示の際に、各画素210−1,210−2,210−3または210−4(図25参照)に対して各線状照明光が入射する角度とは異なる角度で入射する光を低減することができる。その結果、鮮明な3次元映像を得ることができる。
【0203】
[第5変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例では、下側電極32が面全体に形成されたベタ膜(面状電極)となっており、上側電極36が帯状の複数の部分電極36Aによって構成されていた。しかし、例えば、図59に示したように、下側電極32が帯状の複数の部分電極32Aによって構成され、上側電極36が面全体に形成されたベタ膜(面状電極)となっていてもよい。この場合、各部分電極32Aは、各部分電極36Aと同様の構成となっている(図6〜図12参照)。例えば、図59に示したように、一部の部分電極32Aが上記の部分電極36Bに対応する部分電極32Bとなっており、他の部分電極32Aが上記の部分電極36Cに対応する部分電極32Cとなっている。
【0204】
[第6変形例]
例えば、図60に示したように、下側電極32が帯状の複数の部分電極32Aによって構成され、上側電極36も帯状の複数の部分電極36Aによって構成されていてもよい。
【0205】
[第7変形例]
例えば、下側電極32が面全体に形成されたベタ膜(面状電極)となっており、上側電極36がブロック状の部分電極36Aが行列状に配置されたものであってもよい。この場合に、例えば、図61に示したように、光入射面10Aに平行な特定の複数の列に含まれる各部分電極36Aが、上記の部分電極36Bとなっており、光入射面10Aに平行な他の例に含まれる各部分電極36Aが、上記の部分電極36Cとなっている。
【0206】
また、本変形例において、各部分電極36AにTFTのソースまたはドレインが接続され、TFTのゲートに走査線が接続され、TFTのソースおよびドレインのうち部分電極36Aに未接続の方がデータ線に接続されていてもよい。この場合に、駆動回路50が、複数の走査線を順次選択すると共に、各データ線に、映像信号に対応する信号電圧を印加するようになっていてもよい。つまり、駆動回路50が、各部分電極36Aをアクティブマトリクス駆動するようになっていてもよい。
【0207】
[第8変形例]
上記の第5変形例とは逆に、上側電極36が面全体に形成されたベタ膜(面状電極)となっており、下側電極32がブロック状の部分電極32Aが行列状に配置されたものであってもよい。この場合に、例えば、図62に示したように、光入射面10Aに平行な特定の複数の列に含まれる各部分電極32Aが部分電極32Bとなっており、光入射面10Aに平行な他の例に含まれる各部分電極32Aが部分電極32Cとなっている。
【0208】
また、本変形例において、各部分電極32AにTFTのソースまたはドレインが接続され、TFTのゲートに走査線が接続され、TFTのソースおよびドレインのうち部分電極32Aに未接続の方がデータ線に接続されていてもよい。この場合に、駆動回路50が、複数の走査線を順次選択すると共に、各データ線に、映像信号に対応する信号電圧を印加するようになっていてもよい。つまり、駆動回路50が、各部分電極32Aをアクティブマトリクス駆動するようになっていてもよい。
【0209】
[第9変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例では、下側電極32および上側電極36の辺部が直線状となっていたが、非直線状となっていてもよい。例えば、各部分電極36B,36Cにおいて、部分電極36Bのうち部分電極36Cと隣接する辺部が、凹凸形状となっていてもよい。同様に、各部分電極36B,36Cにおいて、部分電極36Cのうち部分電極36Bと隣接する辺部が、凹凸形状となっていてもよい。また、例えば、各部分電極32B,32Cにおいて、部分電極32Bのうち部分電極32Cと隣接する辺部が、凹凸形状となっていてもよい。同様に、各部分電極32B,32Cにおいて、部分電極32Cのうち部分電極32Bと隣接する辺部が、凹凸形状となっていてもよい。
【0210】
各部分電極32B,32C,36B,36Cに形成される凹凸形状は、例えば、図63(A)〜(E)に示したように、ジグザグ形状、波形状、ランプ形状、台形状またはランダム形状となっている。なお、図63(A)〜(E)において、36B(32B)は、36Bまたは32Bを意味しており、他の符号についても同様のことを意味している。
【0211】
各部分電極36Bの凹凸形状は、辺部に沿って配列された複数の凸部36−1によって構成されており、各部分電極36Cの凹凸形状は、辺部に沿って配列された複数の凸部36−2によって構成されている。複数の凸部36−1および複数の凸部36−2は、例えば、図63(A)〜(E)に示したように、互い違いに配置されている。同様に、各部分電極32Bの凹凸形状は、辺部に沿って配列された複数の凸部32−1によって構成されており、各部分電極32Cの凹凸形状は、辺部に沿って配列された複数の凸部32−2によって構成されている。複数の凸部32−1および複数の凸部32−2は、例えば、図63(A)〜(E)に示したように、互い違いに配置されている。
【0212】
各部分電極36Bの凹凸形状の形成されている辺部と、各部分電極36Cの凹凸形状の形成されている辺部との間の間隙(スリット部分)の幅が所定の大きさ以下となっている。同様に、各部分電極32Bの凹凸形状の形成されている辺部と、各部分電極32Cの凹凸形状の形成されている辺部との間の間隙(スリット部分)の幅も所定の大きさ以下となっている。各凸部36−1の先端36−3は、例えば、図63(A)〜(E)に示したように、互いに隣接する2つの凸部36−2の間に形成される凹部36−4の外に配置されている。同様に、各凸部32Dの先端32−3は、例えば、図63(A)〜(E)に示したように、互いに隣接する2つの凸部32−3の間に形成される凹部32−4の外に配置されている。
【0213】
なお、各凸部36−1の先端36−3は、例えば、図64(A)〜(E)に示したように、凹部36−4の中に配置されていてもよい。同様に、各凸部32−1の先端32−3は、例えば、図64(A)〜(E)に示したように、凹部32−4の中に配置されていてもよい。図64(A)〜(E)に示したレイアウトでは、図63(A)〜(E)に示したレイアウトと比べて、スリット部分の幅をより狭くすることが可能である。
【0214】
電極の辺部に凹凸を設けることにより、線状照明光の輝度プロファイルのエッジをぼやかすことが可能であるが、線状照明光の輝度プロファイルのエッジをあまりぼやかしたくない場合には、スリット部分の幅はできるだけ狭い方が好ましい。一方、線状照明光の輝度プロファイルのエッジを積極的にぼやかしたい場合には、スリット部分の幅は狭くなり過ぎないようにすることが好ましい。線状照明光の輝度プロファイルのエッジをぼやかした場合には、例えば、観察者(図示せず)が動いたときに表示映像が突然切り替わるのをなくすることが可能である。
【0215】
なお、各部分電極36Bおよび各部分電極36Cにおいて、互いに隣接する辺部の双方に対して必ずしも凹凸形状が設けられている必要はなく、いずれか一方の辺部にだけ凹凸形状が設けられていてもよい。同様に、各部分電極32Bおよび各部分電極32Cにおいて、互いに隣接する辺部の双方に対して必ずしも凹凸形状が設けられている必要はなく、いずれか一方の辺部にだけ凹凸形状が設けられていてもよい。
【0216】
[第10変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例では、下側電極32および上側電極36には、その内部にパターニングが施されていなかったが、下側電極32および上側電極36の少なくとも一方の内部にパターニングが施されていてもよい。この場合に、下側電極32および上側電極36のうちパターニングされた電極のパターン密度が光源20からの距離に応じて異なっていてもよい。
【0217】
下側電極32または上側電極36が面状電極からなる場合には、例えば、図65、図66に示したように、下側電極32または上側電極36に複数の開口Hが設けられており、開口Hの密度が、上側電極36または下側電極32全体に関して光源20(光入射面10A)からの距離に応じて異なっている。なお、下側電極32および上側電極36の双方が、複数の開口Hを有する面状電極となっており、開口Hの密度が下側電極32および上側電極36の双方において、光源20からの距離に応じて異なっていてもよい。開口Hの形状は、例えば、図65、図66に示したように円形状となっている。なお、開口Hの形状は、それ以外の形状であってもよく、例えば、楕円形状、多角形状であってもよい。図65に示した例では、開口Hの径rは、光源20からの距離に拘わらず一定(r=a1)となっており、単位面積当たりの開口Hの数が、光源20からの距離が遠くなるにつれて少なくなっている。また、図66に示した例では、単位面積当たりの開口Hの数は、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口Hの径rが、光源20からの距離が遠くなるにつれて小さくなっている。なお、図66には、光源20近傍の径rがa2となっており、光源20から最も離れたところの径rがa3(<a2)となっている場合が例示されている。従って、図65、66のいずれの例においても、開口Hの密度(単位面積当たりの開口Hの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。言い換えると、上側電極36または下側電極32のパターン密度(上側電極36または下側電極32のうち開口H以外の部分の単位面積当たりの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて密になっている(大きくなっている)。
【0218】
下側電極32または上側電極36が複数の部分電極からなる場合には、例えば、図67、図68に示したように、部分電極32A,36Aに複数の開口Hが設けられており、開口Hの密度が、部分電極32A,36Aごとに光源20(光入射面10A)からの距離に応じて異なっている。各部分電極32A,36Aについては、開口Hの密度が、光源20からの距離に応じて異なっていてもよいし、光源20からの距離に拘わらず一定となっていてもよい。なお、部分電極32A,36Aの双方が、複数の開口Hを有しており、開口Hの密度が部分電極32A,36Aの双方において、部分電極32A,36Aごとに光源20からの距離に応じて異なっていてもよい。開口Hの形状は、それ以外の形状であってもよく、例えば、楕円形状、多角形状であってもよい。図67に示した例では、開口Hの径rは、光源20からの距離に拘わらず一定(r=a1)となっており、単位面積当たりの開口Hの数が、光源20からの距離が遠くなるにつれて少なくなっている。また、図68に示した例では、単位面積当たりの開口Hの数は、光源20からの距離に拘わらず一定となっており、開口Hの径rが、光源20からの距離が遠くなるにつれて小さくなっている。なお、図68には、光源20近傍の径rがa2となっており、光源20から最も離れたところの径rがa3(<a2)となっている場合が例示されている。従って、図67、図68のいずれの例においても、開口Hの密度(単位面積当たりの開口Hの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて疎になっている(小さくなっている)。言い換えると、部分電極32A,36Aのパターン密度(部分電極32A,36Aのうち開口H以外の部分の単位面積当たりの占有率)が、光源20からの距離が遠くなるにつれて密になっている(大きくなっている)。
【0219】
本変形例では、下側電極32および上側電極36の少なくとも一方の内部がパターニングされている。さらに、下側電極32および上側電極36のうちパターニングされた電極のパターン密度が電極全体に関して光源20からの距離に応じて異なっている。そのため、光出射領域における透過領域30Aおよび散乱領域30Bの密度分布を所望の分布にすることができる。これにより、バックライト211の光出射領域のうち光源20側の領域の輝度を、光変調素子30,60を設けていない場合よりも低く抑え、かつバックライト211の光出射領域のうち光源20から離れた領域の輝度を、光変調素子30,60を設けていない場合よりも高くすることができる。その結果、例えば、バックライト211の光出射領域全体を暗状態とした場合だけでなく、例えば、バックライト211の光出射領域全体を明状態とした場合にも、面内輝度を均一化することができる。従って、例えば、光源20に近い領域と、光源20から遠い領域とにおいて白表示をしたときに、双方の領域の白輝度を等しくすることが可能となる。また、例えば、白表示する領域よりも光源20に近い領域と、白表示する領域よりも光源20から遠い領域とにおいて黒表示をしたときに、これらの領域の黒輝度を等しくすることが可能となる。以上のことから、本変形例では、面内輝度を均一化しつつ、変調比を高くすることができる。
【0220】
さらに、本変形例において、パターニング密度分布の設計例および計算例を示す。例えば、下側電極32および上側電極36のいずれか一方が、図69のAに示したようなパターニング密度分布を有していてもよい。なお、図69のBは、下側電極32および上側電極36のいずれに対しても、光源20からの距離に応じたパターニングがなされていないときのパターン密度分布を示している。
【0221】
下側電極32および上側電極36のいずれか一方が、図69のAに示したようなパターニング密度分布を有している場合には、図70のAに示したように、バックライト211の面内輝度を均一化することができる。なお、図70のBは、下側電極32および上側電極36のいずれに対しても、光源20からの距離に応じたパターニングがなされていないときの面内輝度分布を示している。
【0222】
[第11変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、各部分電極36Aに対して、光源20からの距離に拘わらず同一の電圧が駆動回路50から印加されるようになっていてもよいし、光源20からの距離に応じた電圧が駆動回路50から印加されるようになっていてもよい。同様に、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、各部分電極32Aに対して、光源20からの距離に拘わらず同一の電圧が駆動回路50から印加されるようになっていてもよいし、光源20からの距離に応じた電圧が駆動回路50から印加されるようになっていてもよい。
【0223】
上述したように、各部分電極36Aまたは各部分電極32Aに対して光源20からの距離に応じた電圧が印加される場合には、バックライト211上面の一部分だけが白輝度となるような照明光を出力したときに、その白輝度となる部分が光源20に近いときと、光源20から遠いときとで、白輝度の大きさに差が生じる虞を低減することができる。
【0224】
[第12変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、例えば、各部分電極36Aが、さらに複数の微小電極によって構成されていてもよい。同様に、各部分電極32Aが、さらに複数の微小電極によって構成されていてもよい。
【0225】
[第13変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、駆動回路50は、散乱領域30Bを光入射面10Aと直交する方向に走査するように、下側電極32および上側電極36に電圧を印加するようにしてもよい。例えば、図71、図72、図73に順に示したように、駆動回路50による下側電極32および上側電極36への電圧印加により、散乱領域30Bを、光源20側に向かって遷移させることができる。
【0226】
[第14変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、光源20は、例えば、図74(A)に示したように、線状光源21と、反射ミラー22とにより構成されていてもよい。線状光源21は、例えば、HCFL、またはCCFLからなる。反射ミラー22は、線状光源21から発せられた光のうち光入射面10Aに直接入射しない方向に向かう光を光入射面10A側に反射するものである。光源20は、例えば、図74(B)または図74(C)に示したように、複数の点状光源23を一列に配置して構成されたものであってもよい。各点状光源23は、光入射面10Aに向かって光を射出するようになっており、例えば、光入射面10Aとの対向面に発光スポットを有する発光素子からなる。そのような発光素子としては、例えば、LED、または、レーザダイオード(LD;Laser Diode)などが挙げられる。効率、薄型化、均一性の観点からは、各点状光源23がホワイトLEDであることが好ましい。なお、光源20に含まれる複数の点状光源23が、例えば、赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを含んで構成されていてもよい。
【0227】
複数の点状光源23は、例えば、図74(B),(B)に示したように、2個以上の点状光源23ごとに、共通の基板24上に設けられていてもよい。この場合、1つの基板24と、その基板24上に設けられた複数の点状光源23とにより、光源ブロック25が構成されている。基板24は、例えば、点状光源23と駆動回路50とを電気的に接続する配線が形成された回路基板であり、各点状光源23は、この回路基板上に実装されている。共通の基板24上に設けられた各点状光源23(光源ブロック25内の各点状光源23)は、駆動回路50によって一括で(非独立に)駆動されるようになっており、例えば、図示しないが、互いに並列に、または互いに直列に、接続されている。また、互いに異なる基板24上に設けられた点状光源23(各光源ブロック25内の点状光源23)は、駆動回路50によって互いに独立に駆動されるようになっていてもよい。このとき、互いに異なる基板24上に設けられた点状光源23(各光源ブロック25内の点状光源23)は、例えば、図74(C)に示したように、互いに異なる電流経路に接続されている。
【0228】
光源20は、図74(A)〜(C)に示したように、導光板10の1つの側面にだけ設けられていてもよいし、図示しないが、導光板10の2つの側面、3つの側面または全ての側面に設けられていてもよい。また、光源20が3つの側面または全ての側面に設けられている場合には、部分点灯を行うときにだけ、互いに対向する2つの側面に設けられた光源20だけを点灯させ、全面点灯を行うときに全ての光源20を点灯させるようにしてもよい。
【0229】
[第15変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、導光板10が、例えば、図75(A)に示したように、帯状の複数の凸部11を上面に有していてもよい。なお、導光板10は、例えば、図75(B)に示したように、帯状の複数の凸部11を下面に有していてもよい。また、導光板10は、例えば、図示しないが、帯状の複数の凸部11を導光板10の内部に有していてもよい。また、導光板10の内部が空洞状になっていてもよいし、密に充填されていてもよい。
【0230】
各凸部11は、光入射面10Aの法線と平行な方向に延在しており、例えば、図75(A),(B)に示したように、導光板10の一の側面から、その側面と対向する他の側面まで連続して形成されている。各凸部11の配列方向の断面は、例えば、矩形状、台形状、または三角形状となっている。各凸部11の配列方向の断面が矩形状となっている場合には、光の直進性が非常に高く、大型のバックライトに適している。各凸部11の配列方向の断面が台形状となっている場合には、射出成型、溶融押し出し成型、熱プレス成型などで各凸部11を形成する際に使用する金型の加工が容易であり、かつ成型時の離型性もよく、欠陥の減少による歩留まりや成型速度を向上させることができる。
【0231】
互いに隣り合う凸部11同士の間には、平坦面が設けられていてもよいし、平坦面がなくてもよい。各凸部11の高さは、面内で均一になっていてもよいし、面内で不均一になっていてもよい。例えば、図76(A),(B)に示したように、導光板10の1つの側面が光入射面10Aとなっているときに、各凸部11の高さが、光入射面10A側で相対的に低く、光入射面10Aと対向する側面側で相対的に高くなっていてもよい。また、例えば、導光板10の側面のうち互いに対向する一対の側面が光入射面10Aとなっているときに、各凸部11の高さが、双方の光入射面10Aおよびその近傍で相対的に低く、それ以外の部分で相対的に高くなっていてもよい。各凸部11のうち、光入射面10Aおよびその近傍の高さは、ゼロまたは実質的にゼロとなっていてもよい。例えば、図76(A),(B)に示したように、各凸部11の高さが、光入射面10A側から、光入射面10Aから遠ざかるにつれて高くなっていてもよい。このとき、各凸部11の高さが、光入射面10A側から、光入射面10Aと対向する側面側に向かう中途で、一定になるようになっていてもよい。なお、図76(A)に示したような高さの不均一な複数の凸部11が導光板10の上面以外の箇所に設けられていてもよく、例えば、導光板10の下面または内部に設けられていてもよい。
【0232】
上述のように、凸部11の高さ(言い換えると、凸部11同士の間に形成される溝の深さ)を変えることにより、光の直進性を変化させることができる。例えば、図76(A),(B)に示したように、各凸部11を光入射面10Aおよびその近傍にも設けた場合には、例えば、図77(A)に例示したように、1つの光源ブロック25を点灯させると、その光源ブロック25から出力された光L1は、横方向(幅方向)にあまり広がらずに導光板10内を伝播するようになる。この場合、光入射面10Aの近傍において、点状光源23同士の間に暗い部分が発生する場合があり、その場合には、画質が低下する虞がある。そこで、そのような場合には、例えば、図76(A),(B)に示したように、各凸部11の高さを光入射面10Aおよびその近傍で相対的に低くしたり、またはゼロにしたりすることが好ましい。このようにすることにより、光源ブロック23から出力された光L1を、例えば、図76(B)に示したように、光入射面10Aおよびその近傍において、点状光源23の発散角で横方向(幅方向)に広げ、光入射面10Aから離れた領域においては、ほぼ一定の幅で伝播させることができる。
【0233】
[第16変形例]
上記第7変形例において、光源20が、例えば、図74(B)または図74(C)に示したように、複数の光源ブロック25を一列に配置して構成されたものであってもよい。この場合に、互いに隣接する2つの光源ブロック25の間隙が広くなっているときには、開口Hの、単位面積あたりの密度が、光入射面10Aと平行な方向において、光源ブロック25寄りの箇所で相対的に大きく、光源ブロック25から離れた箇所で相対的に小さくなっていてもよい。例えば、図78、図79に示したように、開口H(半径一定)の、単位面積あたりの数が、光入射面10Aと平行な方向において、光源ブロック25寄りの箇所で相対的に多く、光源ブロック25から離れた箇所で相対的に少なくなっていてもよい。また、例えば、図80、図81に示したように、開口Hの半径が、光入射面10Aと平行な方向において、光源ブロック25寄りの箇所で相対的に大きく、光源ブロック25から離れた箇所で相対的に小さくなっていてもよい。このようにした場合には、光入射面10Aと平行な方向において、光源ブロック25寄りの輝度を、開口Hを設けていない場合よりも低く抑え、かつ光源ブロック21から離れた箇所の輝度を、開口Hを設けていない場合よりも高くすることができる。その結果、例えば、バックライト1,2の光射出領域全体を明状態とした場合に、面内輝度を均一化することができる。例えば、光入射面10Aから2mm離れた箇所でのパターニング密度が図82のAに示したような分布となっている場合には、図83のAに示したように、光入射面10Aと平行な方向において、面内輝度を均一化することができる。一方、例えば、光入射面10Aから2mm離れた箇所でのパターニング密度が図82のBに示したような平坦な分布となっている場合には、図83のBに示したように、光入射面10Aと平行な方向において、面内輝度が大きく変化してしまう。なお、本変形例において、光源ブロック25の代わりに、点状光源23が用いられている場合には、開口Hの、単位面積あたりの密度が、光入射面10Aと平行な方向において、点状光源23寄りの箇所で相対的に大きく、点状光源23から離れた箇所で相対的に小さくなっていてもよい。このようにした場合にも、光入射面10Aと平行な方向において、面内輝度を均一化することができる。
【0234】
[第17変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、各部分電極36Cが、面内の一の方向(光入射面10Aに平行な方向)に延在する帯状の複数の部分電極36Eからなっている場合に、部分電極36Bの幅W1および部分電極36Eの幅W3が、光源20からの距離に応じて異なっていてもよい。例えば、図84に示したように、部分電極36Bの幅W1および部分電極36Eの幅W3が、光源20寄りの箇所で相対的に小さく、光源20から離れた箇所で相対的に大きくなっていてもよい。このようにした場合には、例えば、バックライト1,2の光射出領域全体を明状態とした場合に、面内輝度を均一化することができる。また、例えば、光入射面10Aと直交する方向において、光源20に近い領域と、光源20から遠い領域とにおいて白表示をしたときに、双方の領域の白輝度を等しくすることが可能となる。
【0235】
[第18変形例]
上記各実施の形態およびそれらの変形例において、三次元表示のときには、例えば、図85(A)の太枠で示したように、表示パネル210の4つの画素210−1〜210−4が1つの三次元用画素210Dとして駆動される。このとき、バックライト211は、例えば、図85(B)に示したように、三次元用画素210Dごとに1つずつ散乱領域30Bを形成し、各画素210−1〜210−4に、互いに異なる入射角でバックライト光を入射させる。これにより、各三次元用画素210D内の共通の位置にある画素(例えば、図25では、210−1,210−2,210−3または210−4)には、各帯状照明光が略同一の角度で入射する。その結果、各三次元用画素210D内の共通の位置にある画素からは、その画素によって変調された映像光が所定の角度で出力される。このとき、観察者は、例えば、図85(C)に示した画素210aからの映像光を右目で観察すると同時に、図85(D)に示した画素210aからの映像光を左目で観察することになる。つまり、観察者は、左右の目で、互いに異なる視差の映像を観察することになる。その結果、観察者は、表示パネル210に三次元映像(立体映像)が表示されていると認識する。
【0236】
ここで、横方向の画素ピッチPxと、縦方向の画素ピッチPyとを対比すると、縦方向の画素ピッチPyは、横方向の画素ピッチPxの数倍も大きくなっている。そのため、観察者は、縦方向と横方向とで画素ピッチの大きく異なる映像を観察することになる。このとき、観察者は、映像品質が劣化しているように感じる場合がある。
【0237】
そこで、例えば、図86(A)に示したように、各散乱領域30Bを、隣接する他の散乱領域30Bとの関係で、画素210aの幅の分だけ左右方向(Y軸方向)にずらして配置する。このようにした場合には、図86(B)に示したように、横方向の画素ピッチPxと、縦方向の画素ピッチPyとを、図85(C),(D)のときよりも近づけることができる。その結果、映像品質の劣化を抑えることができる。
【0238】
なお、図87(A)に示したように、各散乱領域30Bを斜めストライプ状にして配置してもよい。このようにした場合であっても、図87(B)に示したように、横方向の画素ピッチPxと、縦方向の画素ピッチPyとを、図85(C),(D)のときよりも近づけることができる。その結果、映像品質の劣化を抑えることができる。なお、パネルサイズが3.5インチ、画素数が縦800×横480×3(RGB)の表示パネルの場合には、各散乱領域30Bの傾斜角は、4視差で71.57度となる。
【0239】
[第19変形例]
また、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、表示パネル210を駆動する駆動回路(図示せず)は、表示パネル210を時分割に駆動するようにしてもよい。この場合に、駆動回路50は、所定の周期内において、表示パネル210の表示が、視差の数と等しい数の画素行内で1画素行ずつ順次切り換わるのと同期して、バックライト211からの帯状照明光の出力箇所を切り替える。例えば、図88、図89、図90、図91に順に示したように、駆動回路50は、1フレーム期間(1/60秒)内において、表示パネル210の表示が、4画素行内で1画素行ずつ順次切り換わるのと同期して、バックライト211からの帯状照明光の出力箇所を切り替える。このとき、表示パネル210を駆動する駆動回路(図示せず)は、1フレーム期間(1/60秒)内において、表示パネル210の表示が、視差の数と等しい数の画素行内で1画素行ずつ順次切り換わるように、各画素に対して映像信号に対応する電圧を印加する。このように、切り替えを高速に行うことにより、観察者は、瞬間に光っている画素数の4倍の画素を知覚するようになり、実質的な解像度をあげることができる。
【0240】
[第20変形例]
また、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、透明基板31および透明基板37のうち少なくとも一方が、導光板10と一体に形成されたものであってもよい。例えば、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、透明基板37が導光板10と接している場合には、透明基板37が導光板10と一体に形成されていてもよい。このとき、透明基板37は、特許請求の範囲の「第1透明基板」または「第2透明基板」の一具体例に相当する。また、例えば、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、透明基板31が導光板10と接している場合には、透明基板31が導光板10と一体に形成されていてもよい。このとき、透明基板31は、特許請求の範囲の「第1透明基板」または「第2透明基板」の一具体例に相当する。また、例えば、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、透明基板31,37がともに導光板10と接している場合には、透明基板31,37が導光板10と一体に形成されていてもよい。このとき、透明基板31または透明基板37が、特許請求の範囲の「第1透明基板」または「第2透明基板」の一具体例に相当する。
【0241】
[第21変形例]
また、上記各実施の形態およびそれらの変形例において、反射板40の代わりに、光反射抑制層が設けられていてもよい。光反射抑制層は、例えば、低反射率材料が基材の表面に塗布されたものであってもよいし、光を吸収する材料が基材の表面に塗布されたものであってもよい。例えば、図92に示したように、反射板40の代わりに、光反射抑制層90が設けられていてもよい。光反射抑制層90は、例えば、低反射率材料が基材の表面に塗布されたもの、または、光を吸収する材料が基材の表面に塗布されたものからなる。このように、光反射抑制層90を設けることにより、反射板40を設けたときに反射板40で反射された光が透過領域30Aを透過して表示パネル210に入射する割合を低く抑えることができる。その結果、コントラストを上げることができる。
【0242】
<4.実施例>
次に、上記各実施の形態およびそれらの変形例に係るバックライト211の実施例について説明する。なお、下記の実施例は例示であり、本技術は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0243】
図93は、実施例および比較例に係るバックライト211の下側電極32および上側電極36のレイアウトの一例を表したものである。図94は、実施例1〜10および比較例1、2における上側電極36の一部を拡大して表したものである。各実施例および各比較例では、上側電極36を、1つの部分電極36Bおよび1つの部分電極36Cを一組として、複数組を配列した構成とし。さらに、各実施例および各比較例では、上側電極36に対して、各部分電極36Bと接続された配線36Gと、各部分電極36Cと接続された配線36Hを表示領域外に設けた。各実施例および各比較例では、下側電極32を、ベタ膜で構成した。
【0244】
各実施例および各比較例において、下側電極32および上側電極36の表面上にポリイミドの配向膜を塗布後、それぞれの配向膜を所定の方向(図93参照)にラビングし、下側電極32上の配向膜の表面にスペーサを散布し、上側電極36上の配向膜の表面に、環状の封止剤を描画した。その後、面状電極32Sが部分電極36B,36Cと対向する領域に配置されるとともに、配線32Sが配線36Gまたは配線36Hと対向する領域であって、光源20からできるだけ離れた箇所となるように、下側電極32と、上側電極36とを貼り合わせた。次に、下側電極32と上側電極36との隙間に、予め作成しておいた混合物(液晶、液晶性モノマー、重合開始剤)を真空注入したのち、紫外線を照射して光変調素子を完成させた。画素サイズによって決まる所望のギャップを形成するために、導光板を光変調素子の上面に貼り付けた。なお、導光板を貼り付けずに、ガラス基板そのものを導光板として用いてもよい。光変調素子の背面に、後述の表1に示した特徴を有する反射板を配置した。次に、LED光源を所定の間隔で端面(光入射面)に配置し、バックライトを完成させた。
【0245】
(評価方法)
(1)表示能
三次元表示性能は、次のように評価した。作成したバックライトの下側電極32および上側電極36の間に100V、60Hz交流パルス電圧を印加して、ストライプ状表示にした後、TFT液晶表示用パネルに三次元表示信号を入力しながら、最も三次元表示が優れるようにTFT液晶表示用パネルとストライプ状パターンをアライメントし固定した。その状態で目視にて三次元での表示性能を評価した。
一方、二次元表示能は、作成したバックライトが全面発光状態となるように下側電極32および上側電極36の間に電圧を印加して、TFT液晶表示用パネルには二次元表示用信号を入力して目視にて二次元での表示能を評価した。
(2)コントラスト比
三次元表示にしたときのバックライトの光射出部と非光射出部の光量を顕微分光装置にてそれぞれの輝度を測定した。光射出部と非光射出部の輝度比をコントラスト比とした。
(3)明るさ
作成したバックライト上に偏光フィルムを載せて正面方向の輝度を測定してこれを明るさとした。
【0246】
表1は、実施例1〜8および比較例1における構成および評価結果を示したものである。
【表1】

【0247】
(実施例1)
160mm×125mmサイズのガラス基板(厚み0.7mm)上に、以下に示したレイアウトでITO膜をパターニングすることにより上側電極36を作成した。
部分電極36Cの幅(L_2D):299.6μm
部分電極36Bの幅(L_3D):83μm
スペース幅(L_B):60μm
ピッチ(P):502.6μm
部分電極36B,36Cと基板辺部とのなす角:71.56度
さらに、別のガラス基板上に、ITO膜を面状に形成することにより下側電極32を作成した。セルギャップが7μmとなるように、そしてラビング方向が光入射面と平行となるように、2枚のガラス基板を貼り合わせて光変調素子を作成した。さらに、その光変調素子の上側電極36側のガラス基板に、厚さ2.0mmのアクリル導光板を貼り合わせ、光変調素子の下側電極32側のガラス基板に、反射板として黒色反射シートを配置した。表示用液晶パネルとして、10.4インチ、800×600×RGBを用いた。
(実施例2)
部分電極36Bの幅(L_3D)を63μmにし、スペース幅(L_B)を70μmにした以外は、実施例1と同じ構成とした。
(実施例3)
セルギャップを4μmとした以外は、実施例2と同じ構成とした。
(実施例4)
反射板として、3M社製のESRミラーを用いた以外は、実施例1と同じ構成とした。
(実施例5)
作成したバックライトの上部に、ラビング方向と偏光フィルムの透過軸方向が互いに平行となるように偏光フィルムを配置した以外は、実施例3と同じ構成とした。
(実施例6)
作成したバックライトの上部に、ラビング方向と偏光フィルムの透過軸方向が45度で交差するように偏光フィルムを配置した以外は、実施例3と同じ構成とした。
(実施例7)
作成したバックライトの上部に、ラビング方向と偏光フィルムの透過軸方向が互いに直交するように偏光フィルムを配置した以外は、実施例3と同じ構成とした。
(実施例8)
ラビング方向を光入射面と垂直とし、作成したバックライトの上部に、ラビング方向と偏光フィルムの透過軸方向が互いに平行となるように偏光フィルムを配置した以外は、実施例5と同じ構成とした。
(比較例1)
反射シート、射出成形導光板、拡散シート、プリズムシート、DBEFシート、および固定バリア(透過領域幅が83μmでピッチ502.6μmとなるようにガラス基板上にクロムをパターニングしたもの)をこの順に重ねてストライプ状の発光パターンが得られるようにした。
【0248】
(考察)
比較例1では、三次元表示が得られるが、表示が暗く、さらに、固定バリアが用いられているため二次元表示は得られなかった。一方、実施例1〜実施例3では、二次元表示および三次元表示の両方の表示が得られ、しかも、明るさも実用に耐えうるレベルであった。また、実施例1の部分電極36Bの幅を83μmから63μmに狭めた実施例2では、三次元表示での2重像が軽減された。実施例1において、バックライトの発光パターン幅を顕微鏡観察したところ、発光パターン幅が電極幅よりも広がっており、さらに、表示用パネルから決まる三次元用のストライプ表示幅よりも広がっていた。一方、実施例2において、バックライトの発光パターン幅を顕微鏡観察したところ、発光パターン幅が電極幅よりも広がっていたものの、表示用パネルから決まる三次元用のストライプ表示幅よりも狭くなっていた。このことから、バックライトの発光パターン幅が表示用パネルから決まる三次元用のストライプ表示幅よりも狭くなるように、部分電極36Bの幅を調整することにより、三次元表示での2重像を軽減することができると考えられる。
【0249】
セルギャップを4μmと狭くした実施例3では、実施例1よりも、さらに三次元表示性とコントラスト比が改善された。これは、上述の発光パターン幅の広がりが電極エッジのフリンジフィールドの影響であると考えられるので、セル厚減少によってこの影響が低減したことに因ると推察できる。さらには、光変調層における透明状態は完全なものではなく、微小な散乱性を持っているので、セル厚が薄くなることで、透明状態での散乱による漏れ光が実質的に減少していると考えられる。
【0250】
実施例5〜7を比較すると、バックライトに載せる偏光フィルムの透過軸方向によって明るさが変化していることがわかった。このことから、光変調素子から射出する光がラビング方向に偏光していると考えられる。この結果から、明るさを重要視する場合は、ラビング方向と、表示用液晶パネルのバックライト側の偏光板の透過軸とを互いに平行にすることが好ましいことが分かる。また、実施例5と実施例7を比較すると、実施例5の方が表示が明るいことから、明るさを重要視する場合は、ラビング方向と光入射面とができるだけ平行となるようにすることが好ましいことがわかった。また、実施例5は実施例8より輝度が高い。これにより、ラビング方向(=バルクおよび微粒子の電位差無印加時の配向方向)は光入射面と平行となっていることが良いことが分かる。理由は<異方性拡散>の部分に記載してある。
【0251】
表2は、実施例9,10および比較例2における構成および評価結果を示したものである。
【表2】

【0252】
(実施例9)
60mm×85mmサイズのガラス基板(厚み0.7mm)上に、以下に示したレイアウトでITO膜をパターニングすることにより上側電極36を作成した。
部分電極36Cの幅(L_2D):209.4μm
部分電極36Bの幅(L_3D):50.2μm
スペース幅(L_B):3.2μm
ピッチ(P):266.0μm
部分電極36B,36Cと基板辺部とのなす角:71.56度
さらに、別のガラス基板上に、ITO膜を面状に形成することにより下側電極32を作成した。セルギャップが7μmとなるように、そしてラビング方向が光入射面と平行となるように、2枚のガラス基板を貼り合わせた。さらに、液晶注入前の空セルの状態で片側のガラス基板を0.2mmまで研磨し薄くした後、液晶注入を行うことにより、光変調素子を作成した。さらに、その光変調素子の上側電極36側のガラス基板に、厚さ2.0mmのアクリル導光板を貼り合わせ、光変調素子の下側電極32側のガラス基板に、反射板として黒色反射シートを配置した。表示用液晶パネルとして、3.7インチ、800×360×RGBを用いた。
(実施例10)
部分電極36Bの幅(L_3D)を42.2mにし、スペース幅(L_B)を11.2μmにした以外は、実施例9と同じ構成とした。
(比較例2)
反射シート、射出成形導光板、拡散シート、プリズムシート、DBEFシート、および固定バリア(透過領域幅が50.2μmでピッチ266.0μmとなるようにガラス基板上にクロムをパターニングしたもの)をこの順に重ねてストライプ状の発光パターンが得られるようにした。
【0253】
(考察)
比較例2では、三次元表示が得られるが、表示が暗く、さらに、固定バリアが用いられているので二次元表示が得られなかった。一方、実施例9、実施例10では、二次元表示および三次元表示の両方の表示が得られ、しかも明るさも実用に耐えうるレベルであった。また、実施例9の部分電極36Bの幅を50.2μmから42.2μmに狭めた実施例10では、三次元表示での2重像が軽減された。これは、上述の実施例3と同様の理由に因る。
【0254】
また、例えば、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)
離間して互いに対向配置された第1透明基板および第2透明基板と、
前記第1透明基板または前記第2透明基板の第1端面に光を照射する光源と、
前記第1透明基板および前記第2透明基板の間隙に設けられ、かつ電場の大きさに応じて、前記光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層と
を有し、
前記光変調層は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に高い第1領域と、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に低い第2領域とを含み、
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記光変調層は第1方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成する
照明装置。
(2)
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域は、前記第1方向に光軸の成分を主に有するとともに、前記第1領域は、前記第2領域の光軸と交差または直交する方向に光軸を有し、
前記光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸と平行な方向に偏光方向を有する偏光光を生成する
(1)に記載の照明装置。
(3)
前記第1領域は、液晶材料を主に含んで構成され、
前記第2領域は、高分子材料を主に含んで構成され、かつ筋状構造、多孔質構造または棒状構造となっており、
前記筋状構造、多孔質構造または棒状構造の長手方向が、前記偏光光の偏光方向と一致またはほぼ一致している
(2)に記載の照明装置。
(4)
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1端面と平行な方向を向いている
(2)に記載の照明装置。
(5)
前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とをさらに備え、
前記第1電極または前記第2電極は、前記第1端面と斜めに交差する方向に延在する複数の部分電極を有する
(2)ないし(4)のいずれか1つに記載の照明装置。
(6)
前記第1透明基板または前記第2透明基板は、前記第1端面と直交する方向に延在する溝構造を有している
(2)ないし(5)のいずれか1つに記載の照明装置。
(7)
2次元配置された複数の画素を有する表示パネルと、
前記表示パネルを間にして互いに対向する第1偏光板および第2偏光板と、
前記第1偏光板を介して前記表示パネルを照明する照明装置と
を備え、
前記照明装置は、
離間して互いに対向配置された第1透明基板および第2透明基板と、
前記第1透明基板または前記第2透明基板の第1端面に光を照射する光源と、
前記第1透明基板および前記第2透明基板の間隙に設けられ、かつ電場の大きさに応じて、前記光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層と
を有し、
前記光変調層は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に高い第1領域と、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に低い第2領域とを含み、
前記光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、前記第1偏光板の透過軸と平行な方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成する
表示装置。
(8)
前記光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、前記第1偏光板の透過軸と平行な方向に偏光方向を有する偏光光を生成する
(7)に記載の表示装置。
(9)
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域は、第1方向に光軸の成分を主に有するとともに、前記第1領域は、前記第2領域の光軸と交差または直交する方向に光軸を有し、
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1偏光板の透過軸と平行な方向を向いている
(8)に記載の表示装置。
(10)
前記第1領域は、液晶材料を主に含んで構成され、
前記第2領域は、高分子材料を主に含んで構成され、かつ筋状構造、多孔質構造または棒状構造となっており、
前記筋状構造、多孔質構造または棒状構造の長手方向が、前記偏光光の偏光方向と一致またはほぼ一致している
(9)に記載の表示装置。
(11)
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1端面と平行な方向を向いている
(9)に記載の表示装置。
(12)
前記照明装置は、前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とをさらに有し、
前記第1電極または前記第2電極は、前記第1端面と斜めに交差する方向に延在する複数の部分電極を有する
(9)ないし(11)のいずれか1つに記載の表示装置。
(13)
前記第1透明基板または前記第2透明基板は、前記第1端面と直交する方向に延在する溝構造を有する
(9)ないし(12)のいずれか1つに記載の表示装置。
(14)
前記光変調層が透明性を示すとき、前記第1領域および前記第2領域の光軸はともに、同一の方向に光軸の成分を主に有する
(7)ないし(13)のいずれか1つに記載の表示装置。
(15)
前記光変調層が透明性を示すとき、前記第1領域および前記第2領域の光軸はともに、同一の方向を向いている
(14)に記載の表示装置。
(16)
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1透明基板と平行またはほぼ平行な方向であって、かつ前記第1端面と平行またはほぼ平行な方向を向いており、前記第1領域の光軸は、前記第1透明基板と交差または直交する方向を向いている
(7)ないし(15)のいずれか1つに記載の表示装置。
(17)
前記照明装置は、前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とを有し、
前記第1電極および前記第2電極は、当該第1電極および当該第2電極に電圧が印加されたときに、前記第1領域の光軸が前記第1透明基板と交差または直交する方向を向くように構成されている
(16)に記載の表示装置。
(18)
前記照明装置は、前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とを有し、
前記第1電極および前記第2電極は、当該第1電極および当該第2電極に電圧が印加されたときに、前記第1領域の光軸が前記第2領域の光軸と交差または直交する方向を向くように構成されている
(7)ないし(17)のいずれか1つに記載の表示装置。
(19)
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、複数の開口を有する面状電極となっており、
前記開口の密度が、前記第1端面からの距離に応じて異なっている
(18)に記載の表示装置。
(20)
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、複数の部分電極からなり、
当該表示装置は、三次元表示を行うときには、前記複数の部分電極のうち特定の複数の第1部分電極に、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加するとともに、前記複数の部分電極のうち前記複数の第1部分電極を除く複数の第2部分電極に、前記光変調層が透明性を示す電圧を印加することにより、複数の線状照明光を出力させる駆動部を備えた
(18)に記載の表示装置。
(21)
前記複数の第1部分電極は、前記複数の線状照明光の配列方向において、前記表示装置において三次元表示を行うときの画素ピッチに対応するピッチで配列されている
(20)に記載の表示装置。
(22)
各第1部分電極の幅は、前記表示パネルの画素の幅よりも狭くなっている
(20)に記載の表示装置。
(23)
各第1部分電極の幅は、(前記表示パネルの画素の幅−前記光変調層の厚さ×2)以下となっている
(22)に記載の表示装置。
(24)
前記駆動部は、二次元表示を行うときには、各部分電極に、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加することにより、面全体が明るい面状照明光を出力させるか、または、前記複数の部分電極の一部に、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加するとともに、前記複数の部分電極のうち、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加していない1または複数の部分電極に、前記光変調層が透明性を示す電圧を印加することにより、面内の一部が暗い面状照明光を出力させる
(18)に記載の表示装置。
(25)
前記照明装置と前記第1偏光板との間に、前記バックライトの上面の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率材料層を備えた
(7)ないし(24)のいずれか1つに記載の表示装置。
(26)
前記低屈折率材料層は、空気からなる
(25)に記載の表示装置。
(27)
前記照明装置は、前記第1透明基板および前記第2透明基板との関係で、前記表示パネルとは反対側に、光反射抑制層を有する
(7)ないし(26)のいずれか1つに記載の表示装置。
【符号の説明】
【0255】
10…導光板、10A…光入射面、11…凸部、20…光源、30,60…光変調素子、30−1,30−2…光変調セル、30A…透過領域、30B…散乱領域、31,37…透明基板、32…下側電極、32A,32B,32C,36A,36B,36C,83B…部分電極、32B−1,36B−1…微小電極、33,35…配向膜、34,64…光変調層、34A,64A…バルク、34B,64B…微粒子、36…上側電極、36D…透明導電膜、38…スペーサ、39…シール剤パターン、40…反射板、41…拡散シート、42…混合物、50…駆動回路、70…光学シート、90…光反射抑制層、100…送信側装置、100A…テレビ放送信号、200…受信側装置、201…アンテナ端子、202…デジタルチューナ、203…デマルチプレクサ、204…演算回路、204A…制御信号、205…メモリ、206…デコーダ、207…映像信号処理回路、208…グラフィック生成回路、209…パネル駆動回路、210…表示パネル、210A…液晶パネル、210B,210−1〜210−4…画素、210D…三次元用画素、211…バックライト、212…音声信号処理回路、213…音声増幅回路、214…スピーカ、215…リモコン受信回路、216…リモコン送信機、220…低屈折率材料層、300…ガラス容器、310…マッチングオイル、320…ディテクタ、330…、被測定面、AX1〜AX5…光軸、AX10,AX11…透過軸、H…開口、θ1〜θ4…角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
離間して互いに対向配置された第1透明基板および第2透明基板と、
前記第1透明基板または前記第2透明基板の第1端面に光を照射する光源と、
前記第1透明基板および前記第2透明基板の間隙に設けられ、かつ電場の大きさに応じて、前記光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層と
を有し、
前記光変調層は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に高い第1領域と、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に低い第2領域とを含み、
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記光変調層は第1方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成する
照明装置。
【請求項2】
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域は、前記第1方向に光軸の成分を主に有するとともに、前記第1領域は、前記第2領域の光軸と交差または直交する方向に光軸を有し、
前記光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸と平行な方向に偏光方向を有する偏光光を生成する
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記第1領域は、液晶材料を主に含んで構成され、
前記第2領域は、高分子材料を主に含んで構成され、かつ筋状構造、多孔質構造または棒状構造となっており、
前記筋状構造、多孔質構造または棒状構造の長手方向が、前記偏光光の偏光方向と一致またはほぼ一致している
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1端面と平行な方向を向いている
請求項2に記載の照明装置。
【請求項5】
前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とをさらに備え、
前記第1電極または前記第2電極は、前記第1端面と斜めに交差する方向に延在する複数の部分電極を有する
請求項2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1透明基板または前記第2透明基板は、前記第1端面と直交する方向に延在する溝構造を有している
請求項2に記載の照明装置。
【請求項7】
2次元配置された複数の画素を有する表示パネルと、
前記表示パネルを間にして互いに対向する第1偏光板および第2偏光板と、
前記第1偏光板を介して前記表示パネルを照明する照明装置と
を備え、
前記照明装置は、
離間して互いに対向配置された第1透明基板および第2透明基板と、
前記第1透明基板または前記第2透明基板の第1端面に光を照射する光源と、
前記第1透明基板および前記第2透明基板の間隙に設けられ、かつ電場の大きさに応じて、前記光源からの光に対して散乱性もしくは透明性を示す光変調層と
を有し、
前記光変調層は、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に高い第1領域と、光学異方性を有すると共に電場に対する応答性が相対的に低い第2領域とを含み、
前記光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、前記第1偏光板の透過軸と平行な方向に偏光成分を主に有する偏光光を生成する
表示装置。
【請求項8】
前記光変調層は、当該光変調層が散乱性を示すとき、前記第1偏光板の透過軸と平行な方向に偏光方向を有する偏光光を生成する
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域は、第1方向に光軸の成分を主に有するとともに、前記第1領域は、前記第2領域の光軸と交差または直交する方向に光軸を有し、
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1偏光板の透過軸と平行な方向を向いている
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1領域は、液晶材料を主に含んで構成され、
前記第2領域は、高分子材料を主に含んで構成され、かつ筋状構造、多孔質構造または棒状構造となっており、
前記筋状構造、多孔質構造または棒状構造の長手方向が、前記偏光光の偏光方向と一致またはほぼ一致している
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1端面と平行な方向を向いている
請求項9に記載の表示装置。
【請求項12】
前記照明装置は、前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とをさらに有し、
前記第1電極または前記第2電極は、前記第1端面と斜めに交差する方向に延在する複数の部分電極を有する
請求項9に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1透明基板または前記第2透明基板は、前記第1端面と直交する方向に延在する溝構造を有する
請求項9に記載の表示装置。
【請求項14】
前記光変調層が透明性を示すとき、前記第1領域および前記第2領域の光軸はともに、同一の方向に光軸の成分を主に有する
請求項7に記載の表示装置。
【請求項15】
前記光変調層が透明性を示すとき、前記第1領域および前記第2領域の光軸はともに、同一の方向を向いている
請求項14に記載の表示装置。
【請求項16】
前記光変調層が散乱性を示すとき、前記第2領域の光軸は、前記第1透明基板と平行またはほぼ平行な方向であって、かつ前記第1端面と平行またはほぼ平行な方向を向いており、前記第1領域の光軸は、前記第1透明基板と交差または直交する方向を向いている
請求項7に記載の表示装置。
【請求項17】
前記照明装置は、前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とを有し、
前記第1電極および前記第2電極は、当該第1電極および当該第2電極に電圧が印加されたときに、前記第1領域の光軸が前記第1透明基板と交差または直交する方向を向くように構成されている
請求項16に記載の表示装置。
【請求項18】
前記照明装置は、前記第1透明基板の表面に設けられた第1電極と、前記第2透明基板の表面に設けられた第2電極とを有し、
前記第1電極および前記第2電極は、当該第1電極および当該第2電極に電圧が印加されたときに、前記第1領域の光軸が前記第2領域の光軸と交差または直交する方向を向くように構成されている
請求項7に記載の表示装置。
【請求項19】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、複数の開口を有する面状電極となっており、
前記開口の密度が、前記第1端面からの距離に応じて異なっている
請求項18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方が、複数の部分電極からなり、
当該表示装置は、三次元表示を行うときには、前記複数の部分電極のうち特定の複数の第1部分電極に、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加するとともに、前記複数の部分電極のうち前記複数の第1部分電極を除く複数の第2部分電極に、前記光変調層が透明性を示す電圧を印加することにより、複数の線状照明光を出力させる駆動部を備えた
請求項18に記載の表示装置。
【請求項21】
前記複数の第1部分電極は、前記複数の線状照明光の配列方向において、前記表示装置において三次元表示を行うときの画素ピッチに対応するピッチで配列されている
請求項20に記載の表示装置。
【請求項22】
各第1部分電極の幅は、前記表示パネルの画素の幅よりも狭くなっている
請求項20に記載の表示装置。
【請求項23】
各第1部分電極の幅は、(前記表示パネルの画素の幅−前記光変調層の厚さ×2)以下となっている
請求項22に記載の表示装置。
【請求項24】
前記駆動部は、二次元表示を行うときには、各部分電極に、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加することにより、面全体が明るい面状照明光を出力させるか、または、前記複数の部分電極の一部に、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加するとともに、前記複数の部分電極のうち、前記光変調層が散乱性を示す電圧を印加していない1または複数の部分電極に、前記光変調層が透明性を示す電圧を印加することにより、面内の一部が暗い面状照明光を出力させる
請求項18に記載の表示装置。
【請求項25】
前記照明装置と前記第1偏光板との間に、前記バックライトの上面の屈折率よりも低い屈折率の低屈折率材料層を備えた
請求項7に記載の表示装置。
【請求項26】
前記低屈折率材料層は、空気からなる
請求項25に記載の表示装置。
【請求項27】
前記照明装置は、前記第1透明基板および前記第2透明基板との関係で、前記表示パネルとは反対側に、光反射抑制層を有する
請求項7に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【図81】
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【図82】
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【図83】
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【図84】
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【図85】
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【図86】
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【図87】
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【図88】
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【図89】
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【図90】
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【図91】
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【図92】
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【図93】
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【図94】
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【公開番号】特開2012−252993(P2012−252993A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173349(P2011−173349)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】