説明

照明装置および観察システム

【課題】異なる分光特性を有する2つ以上の照明モードを短時間で切り替えることができる照明装置を提供する。
【解決手段】2つ以上の照明モードにおいて必要となる波長帯域の光を発する光源1,2と、光源1からの所定帯域の光を透過する一方、光源2からの所定帯域の光を透過するともに所定帯域以外の光を光源1からの光の光軸方向に反射して、光源1からの光と光源2からの光とを合成するダイクロイックミラー5と、これら光源1,2の点灯状態を制御する制御部とを備える照明装置を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置およびこれを備える観察システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、白色光源と被照明領域の間に、2つ以上の異なる分光特性を有するフィルタからなる可動フィルタを設け、照明モードによりフィルタを移動させ、白色光から被照明部に透過する光を機械的に切り替える照明装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、明るさ優先モードと色優先モードとを有し、モード設定信号を出力することで、明るさ優先モードと色優先モードとを電気的に切り替える照明装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、ほぼ白色であるランプ等による主の照明光をレーザー光源等による副の照明光により部分的に置き換えて、主の照明光の発光スペクトラムを副の照明光により強調して照明光を生成する照明装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−314370号公報
【特許文献2】特開2006−349731号公報
【特許文献3】特開2002−296680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、分光特性の異なる2つ以上の照明モードで対象物の観察や測定をする場合、作業時間の短縮のために、切り替え時間を短縮することが求められる。また、観察中には、複数の照明モードでの観察を短期間に繰り返して、映像モニタで2画面表示したり、2画面をオーバーレイすることで、特徴的な部位の位置確認を容易にすることも求められる。具体的には、例えば内視鏡における診察において、特定の波長で蛍光を発する病変部を、白色光照明での観察画像に重ねあわせて、病変部の位置を特定する蛍光観察等が挙げられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている切り替え方法では、フィルタを機械的に動かすため、フィルタの切り替えに時間がかかり、その作業時間が長くなってしまう。また、切り替え途中で異なるフィルタの境界領域が光路上に配置された状態では、画像の乱れが生じてしまうという不都合がある。
【0006】
特許文献2に開示されている切り替え方法では、切り替え的に照明モードによりLEDの駆動条件を変更して瞬時にモード切り替えを行うことが可能である。しかし、RGBの各光源からなる照明装置の色バランスを変更できるだけで、求める分光特性を得られない場合が多いという不都合がある。
【0007】
特許文献3に開示されている照明装置には、光源が副の照明光に比して主の照明光の光量が少ない所定の波長帯域において、主の照明光を副の照明光に置き換えることにより、主の照明光の発光スペクトラムの所定の波長帯域を副の照明光により強調して照明光を生成する照明光合成手段の開示はあるが、照明モードの切り替えに関する開示はなく、求める分光特性を得られない場合があるという不都合がある。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、異なる分光特性を有する2つ以上の照明モードを短時間で切り替えることができる照明装置および観察システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、互いに異なる所定帯域の光からなる複数の照明モードで照明領域を照明する照明装置であって、前記複数の照明モードのうち一方の照明モードが必要とする第1の帯域よりも、他方の照明モードが必要とする第2の帯域の方が広い帯域を有し、少なくとも前記第1の帯域の照明光を射出する複数の光源と、該複数の光源のうち少なくとも1つの光源が射出した照明光のうち、前記第1の帯域の光を照明領域方向に透過光として透過すると共に、他の光源が射出した照明光のうち前記第1の帯域以外の光を照明領域方向に反射光として反射し、前記透過光と前記反射光とを光学的に合成する光合成部と、前記複数の照明モードから1つの照明モードを選択する照明モード選択部と、該選択された照明モードに基づいて前記複数の光源が射出する光の光量を制御する制御部とを有し、前記一方の照明モードは前記1つの光源のみを点灯する第1の照明モードであり、前記他方のモードは前記1つの光源および他の光源を共に点灯する第2の照明モードであることを特徴とする照明装置である。
【0010】
また、光合成部に対する各光源の位置を入れ替えた点が、第1の態様とは異なる以下の第2の態様を採用することもできる。
本発明の第2の態様は、互いに異なる所定帯域の光からなる複数の照明モードで照明領域を照明する照明装置であって、前記複数の照明モードのうち一方の照明モードが必要とする第1の帯域よりも、他方の照明モードが必要とする第2の帯域の方が広い帯域を有し、少なくとも前記第1の帯域の照明光を射出する複数の光源と、該複数の光源のうち少なくとも1つの光源が射出した照明光のうち、前記第1の帯域の光を照明領域方向に反射光として反射すると共に、他の光源が射出した照明光のうち前記第1の帯域以外の光を照明領域方向に透過光として透過し、前記反射光と前記透過光とを光学的に合成する光合成部と、前記複数の照明モードから1つの照明モードを選択する照明モード選択部と、該選択された照明モードに基づいて前記複数の光源が射出する光の光量を制御する制御部とを有し、前記一方の照明モードは前記1つの光源のみを点灯する第1の照明モードであり、前記他方のモードは前記1つの光源および他の光源を共に点灯する第2の照明モードであることを特徴とする照明装置である。
【0011】
本発明の第1の態様および第2の態様によれば、照明モードに応じて複数の光源が射出する光の光量を制御し、これら複数の光源が射出した光を光学的に合成することで、照明モードに応じた波長帯域の照明光を提供することができる。
【0012】
ここで、1つの光源と他の光源は、少なくとも部分的に重複する波長帯域の光を発する。そのため、1つの光源と他の光源の両方を点灯させた場合には、波長帯域が互いに補完された光が、合成光として射出される。また、1つの光源と他の光源の一方を点灯させた場合には、いずれかの光源からの光の一部が、合成光として射出される。
【0013】
したがって、例えば、第2の照明モードにおいて、全ての光源を点灯することで、広帯域な光(例えば白色光)を被写体に照射して通常の観察を行うことができる。また、例えば、第1の照明モードにおいて、いずれかの光源のみを点灯することで、狭帯域な光(例えば青色光)を被写体に照射して特殊光観察を行うことができる。このように複数の光源の点灯状態が制御することで、観察モードを瞬時に切り替えることができる。
【0014】
また、光合成部を、単に複数の光源からの光合成手段として作用させるだけでなく、特殊光モードの際に、狭帯域な光の要求する分光特性を作り出す、すなわち不要な波長帯域の成分をカットする波長カットフィルタとしても作用させることができる。これにより、光合成手段と波長カットフィルタの2つを用意する必要を無くして、装置の小型化およびコストの低減を図ることができる。
【0015】
上記の第1の態様および第2の態様において、前記1つの光源および前記他の光源は、白色光の照明光を出射する光源であるとしても良い。このようにすることで、複数の光源として同じ種類(型番)の光源デバイスを用いることができる。
【0016】
これにより、例えば、第1の光源および第2の光源を点灯することで、広帯域な光(例えば白色光)を被写体に照射して通常の観察を行うことができる。また、例えば、第2の光源のみを点灯することで、狭帯域な光(例えば青色光)を被写体に照射して特殊光観察を行うことができる。
【0017】
本発明の第3の態様は、上記いずれかの照明装置と、前記光合成部により合成された光を被写体に照射する照射光学系と、前記被写体からの反射光を受光する受光手段とを備え、前記制御部が、前記受光手段により受光された反射光の強度に基づいて前記複数の光源の射出光量を制御する観察システムである。
【0018】
本発明の第3の態様によれば、照射光学系により光合成部で合成された光が被写体に照射され、被写体からの反射光が受光手段により受光される。そして、制御部により、受光手段により受光された反射光の強度に基づいて複数の光源の射出光量が制御される。これにより、被写体からの反射光の強度に応じて被写体に照射する光量を調節することができ、被写体の観察精度を向上することができる。
【0019】
上記の第3の態様において、前記受光手段が、前記被写体を撮像する撮像素子であり、前記制御部が、前記撮像素子により取得された画像の明るさが略一定となるように前記複数の光源の射出光量を制御することとしてもよい。
このようにすることで、撮像素子により被写体の画像を取得し、該画像の明るさが一定となるように複数の光源の射出光量を制御することができ、被写体を一定の明るさで観察することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、異なる分光特性を有する2つ以上の照明モードを短時間で切り替えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の各実施形態に係る観察システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の照明装置の概略構成図である。
【図3】図2の第1の光源の分光特性を示すグラフである。
【図4】図2の第2の光源の分光特性を示すグラフである。
【図5】図2のダイクロイックミラーの反射特性を示すグラフである。
【図6】図2の第1の光源からの光のダイクロイックミラー透過後の分光特性を示すグラフである。
【図7】図2の第2の光源からの光のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図8】図2の照明装置から射出される白色光モード時の照明光(図6の光と図7の光とを合成した合成光)の分光特性を示すグラフである。
【図9】図2の第2の光源からの光のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図10】図2の照明装置から射出される特殊光モード時の照明光(図9の光)の分光特性を示すグラフである。
【図11】図2の照明装置において、単純に照明モードを切替える場合のタイミングチャートである。
【図12】図2の照明装置において、2つの照明モードを短時間に交互に切替える場合のタイミングチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態の照明装置における第1の光源の分光特性を示すグラフである。
【図14】本発明の第2の実施形態の照明装置における第2の光源の分光特性を示すグラフである。
【図15】図13の第1の光源からの光のダイクロイックミラー透過後の分光特性を示すグラフである。
【図16】図14の第2の光源からの光のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図17】白色光モード時の照明光(図15の光と図16の光とを合成した合成光)の分光特性を示すグラフである。
【図18】特殊光モード時の照明光(図16の光)の分光特性を示すグラフである。
【図19】本発明の第3の実施形態の照明装置の概略構成図である。
【図20】図19の第1のダイクロイックミラーの反射特性を示すグラフである。
【図21】図19の第2のダイクロイックミラーの反射特性を示すグラフである。
【図22】図19の第1の光源からの光の第1のダイクロイックミラー透過後の分光特性を示すグラフである。
【図23】図19の第2の光源からの光の第1のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図24】図19の第3の光源からの光の第2のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図25】本発明の第4の実施形態の照明装置における第1の光源の分光特性を示すグラフである。
【図26】本発明の第4の実施形態の照明装置における第2の光源の分光特性を示すグラフである。
【図27】本発明の第4の実施形態の照明装置における第3の光源の分光特性を示すグラフである。
【図28】図25の第1の光源からの光の第1のダイクロイックミラー透過後の分光特性を示すグラフである。
【図29】図26の第2の光源からの光の第1のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図30】図27の第3の光源からの光の第2のダイクロイックミラーにより反射された後の分光特性を示すグラフである。
【図31】本発明の第5の実施形態の照明装置の概略構成図である。
【図32】図31の第1のダイクロイックミラーの反射特性を示すグラフである。
【図33】図31の第2のダイクロイックミラーの反射特性を示すグラフである。
【図34】図31の第1および第2の光源の分光特性を示すグラフである。
【図35】図31の照明装置において光路Aを通る光の分光特性を示すグラフである。
【図36】図31の照明装置において光路Bを通る光の分光特性を示すグラフである。
【図37】図31の照明装置において光路Cを通る光の分光特性を示すグラフである。
【図38】本発明の第6の実施形態の照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図39】本発明の第7の実施形態の照明装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図40】図39の照明装置の概略構成を示す平面図である。
【図41】図39の照明装置の部分拡大図である。
【図42】図41の青色LEDの分光特性を示すグラフである。
【図43】図41の緑蛍光体の分光特性を示すグラフである。
【図44】図41の第1のダイクロイックプリズムの反射特性を示すグラフである。
【図45】図41の光源ユニットの分光特性を示すグラフである。
【図46】図41の第2のダイクロイックプリズムの反射特性を示すグラフである。
【図47】図39の照明装置から射出される白色光モード時の照明光の分光特性を示すグラフである。
【図48】図39の照明装置から射出される特殊光モード時の照明光の分光特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る照明装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る照明装置を備える観察システム100の全体構成図である。
本実施形態に係る観察システム100は、図1に示すように、光源ユニット(照射光学系)11、光源駆動部12および照明制御部(制御部)13から構成される照明装置10と、撮像ユニット(受光手段)21と、画像処理部22と、画像モニタ23と、照明モード選択部29とを備えている。
【0023】
光源ユニット11は、複数の光源を有しており、照明光を被写体Sに照射するようになっている。なお、光学ユニット11の詳細な構成については後述する。
撮像ユニット21は、例えばCCD等の撮像素子であり、光源ユニット11により照射された照明光の被写体Sからの反射光を検出するようになっている。すなわち、撮像ユニット21は、被写体Sからの反射光を受光する受光手段として機能する。また、撮像ユニット21は、被写体Sからの反射光を検出することによって被写体Sを撮像し、撮像信号を画像処理部22に出力するようになっている。
【0024】
画像処理部22は、撮像ユニット21から出力された撮像信号を処理して、被写体Sの画像を生成するようになっている。画像処理部22は入力された照明モード信号の内容に応じて各照明モードに最適な画像処理を選択して、画像信号を生成する。さらに画像処理部22は、生成した被写体Sの画像を画像表示信号として画像モニタ23に出力するとともに、被写体Sの画像の明るさを画面明るさ信号として照明制御部13に出力するようになっている。
画像モニタ23は、画像処理部22から出力された画像表示信号に基づいて、被写体Sの画像をモニタ画面に表示するようになっている。
【0025】
照明制御部13には、画像処理部22から出力された画面明るさ信号の他、例えばスイッチ等の照明モード選択部29から出力された照明モード指示信号が送られる。ここで、照明モード指示信号とは、光源ユニット11から被写体Sに照射する照明光を、例えば白色光や特殊光等に切り替えることを指示する信号である。
【0026】
この照明モード指示信号は、画像処理部22にも送られており、各照明モードに最適な画像処理方法に切替えて画像を生成しても良い。例えば、血液中のヘモグロビンで吸収されやすい415nm近傍と540nm近傍の光のみを照射して血管を明瞭化させる観察方法では、415nm近傍の光の反射光を表示画像のB(ブルー)およびG(グリーン)チャンネル信号として、540nm近傍の光の反射光を表示画像のR(レッド)チャンネル信号として生成して画像モニタ23へ出力すれば良い。
【0027】
照明制御部13は、画像処理部22から出力された画面明るさ信号に基づいて、光源制御信号を生成し、該信号を光源駆動部12に出力する。具体的には、照明制御部13は、画像処理部22により生成された被写体Sの画像の明るさが一定となるように、光源ユニット11により照射する照明光の光量を算出し、光源制御信号として光源駆動部12に出力する。また、照明制御部13は、選択された照明モードに応じて、光源ユニット11の複数の光源のうち、いずれの光源を点灯させるかを光源制御信号として光源駆動部12に出力する。
【0028】
なお、光源駆動部12による制御で被写体Sの画像の明るさを一定に仕切れない場合には、被写体Sの画像を画像モニタ23に表示する際に、画像処理部22にて表示ゲインを調整し被写体Sの画像の明るさが一定となるようにしても良い。
【0029】
光源駆動部12は、照明制御部13から出力された光源制御信号に基づいて、光源ユニット11の複数の光源を駆動させるようになっている。
光源ユニット11は、図2に示すように、光軸が互いに直交する向きに配置された光源(第1の光源)1と、光源(第2の光源)2と、光源1の光軸と光源2の光軸との交点上に配置されたダイクロイックミラー(光合成部)5とを備えている。
【0030】
光源1は、光L1を射出する光源であり、図3に示すように、光量がピークとなる波長帯域を2つ有している。
光源2は、疑似白色光L2を射出する光源であり、図4に示すような光を射出するようになっている。
【0031】
ダイクロイックミラー5は、図5に示すように、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するともに、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を反射するような反射特性を有している。
【0032】
このような反射特性を有することで、ダイクロイックミラー5は、図6に示すように、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、ダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を反射するようになっている。なお、図6において、点線は光源1から射出された光L1、実線はダイクロイックミラー5を透過した光を示している。
【0033】
また、ダイクロイックミラー5は、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、ダイクロイックミラー5は、図7に示すように、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を、光源1から射出される光L1の光軸方向に反射するようになっている。なお、図7において、点線は光源2から射出された光L2、実線はダイクロイックミラー5により反射された光を示している。
【0034】
ここで、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源1および光源2を点灯させる。
この場合には、ダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光とを合成して、この合成光L5を光L1の光軸方向に射出するようになっている。この合成光L5は、図8に示すように、図6に示す分光特性の光(光源1から射出された光L1のうちダイクロイックミラー5を透過した光)と、図7に示す分光特性の光(光源2から射出された光L2のうちダイクロイックミラー5により反射された光)とを重ね合わせた分光特性を有することとなる。
【0035】
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、例えば、光源1を消灯させて光源2のみを点灯させる。
この場合には、ダイクロイックミラー5は、図9に示すように、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過する一方、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を、光源1から射出される光L1の光軸方向に反射して射出するようになっている。この場合において、光L1の光軸方向に射出される光の分光特性は図10に示す通りである。なお、図9において、点線は光源2から射出された光L2、実線はダイクロイックミラー5により反射された光を示している。
【0036】
上記構成を有する観察システム100の作用について以下に説明する。
まず、例えばユーザが複数の照明モードから1つの照明モードを選択することで、照明モード選択部29から、選択された照明モードで照明装置10を駆動させるための照明モード指示信号が送られる。
【0037】
選択された照明モードが白色光モードの場合には、光源1および光源2の両方が駆動される。この場合には、ダイクロイックミラー5により、光源1から射出された光L1のうち波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光とが合成され、この合成光L5が光L1の光軸方向に射出される。この合成光L5は、図8に示すように、図6に示す分光特性の光と、図7に示す分光特性の光とが重ね合わされた、広い波長帯域を有する白色光である。
【0038】
一方、選択された照明モードが特殊光モードの場合には、光源1は消灯され、光源2のみが駆動される。この場合には、ダイクロイックミラー5により、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光が、光源1から射出される光L1の光軸方向に射出される。この場合において、光L1の光軸方向に射出される光は、図10に示すように、狭い波長帯域を有する特殊光である。
【0039】
上記いずれに照明モードにおいても、照明制御部13により、被写体Sの画像の明るさが一定となるように、光源ユニット11から照射される照明光の光量が制御される。以下、この照明光の光量の制御について説明する。
まず、光源ユニット11から照明光が被写体Sに照射され、被写体Sからの反射光が撮像ユニット21により検出される。
【0040】
次に、画像処理部22により、撮像ユニット21から出力された撮像信号を処理して、被写体Sの画像が生成され、この被写体Sの画像が画像モニタ23に表示される。また、被写体Sの画像の明るさが、画面明るさ信号として照明制御部13に出力される。
【0041】
照明制御部13では、画像処理部22からの画面明るさ信号に基づいて、被写体Sの画像の明るさが一定となるように、光源ユニット11により照射する照明光の光量が制御される。上記の照明光の光量制御において、単純に照明モードを切替える場合と、2つの照明モードを短時間に交互に切替える場合のそれぞれについて以下に説明する。
【0042】
まず、単純に照明モードを切替える場合について図11を用いて説明する。
この場合には、白色光モード(T1〜T2の間およびT3以降)では、光源1と光源2を点灯させ、色バランスを崩さないように、2つの光源の光量比を一定に保ったまま、画面の明るさが一定になるよう2つの光源の光量が制御される。
【0043】
また、特殊光モード(T2〜T3の間)では、光源2のみを点灯させ、画面の明るさが一定になるよう、光源2の光量が制御される。
上記のように光源1および光源2を制御することで、白色光モードおよび特殊光モードのいずれにおいても、画像モニタ23に表示される被写体Sの画像の明るさを一定に保つことができる。
【0044】
次に、2つの照明モードを短時間に交互に切替える場合について図12を用いて説明する。
この場合には、特定の波長で励起されて蛍光を発する部位を観察する際、蛍光画像だけを観察しては、特定の部位がどの位置にあるのか判別しづらい。そこで、特殊光で照明した画像と、比較のために別の照明光で観察した画像とを交互に取得し、2つの画像を並べて表示するか、あるいは重ねて表示する。
【0045】
本実施形態の観察システム100では、照明モードを1フレーム(例えば1/60s)ごとに切替えて、照明モード切り替えごとに各照明モードでの画面明るさが一定になるように、各光源の発光量が制御される。すなわち、フレーム内での光量制御は行わず、同じ照明モードでの前回の撮像画面の情報に基づいて各光源の光量制御が行われる。これにより、画像モニタ23に表示される被写体Sの画像の明るさを一定に保つことができる。
【0046】
以上のように、本実施形態の照明装置10および観察システム100によれば、光源1から射出された光L1のうち、所定帯域の光が、ダイクロイックミラー5を透過する。また、光源2から射出された光L2のうち、所定帯域の光がダイクロイックミラー5を透過するともに、所定帯域以外の光が光L1の光軸方向に反射される。これにより、光源1から射出された光L1と光源2から射出された光L2とが合成され、合成光L5として射出される。
【0047】
これにより、例えば、光源1および光源2を点灯することで、広帯域な光(例えば白色光)を被写体Sに照射して通常の観察を行うことができる。また、例えば、光源2のみを点灯することで、狭帯域な光(例えば青色光)を被写体Sに照射して特殊光観察を行うことができる。
なお、本実施形態では、特殊光モードでは、光源1を消灯させて光源2のみを点灯させるとして説明したが、光源2を消灯させて光源1のみを点灯させることとしてもよい。
【0048】
また、ダイクロイックミラー5を、白色光モードのときに単に2つの光源からの光合成手段として作用させるだけでなく、特殊光モードの際に、特殊光の要求する分光特性を作り出す波長カットフィルタとしても作用させている。これにより、光合成手段と波長カットフィルタの2つを用意する必要を無くして、装置の小型化およびコストの低減を図ることができる。
【0049】
また、照明モード切替部により、白色光モードや特殊光モード等の照明モードを切り替えることで、各光源の点灯状態を制御して、被写体Sに観察モードに応じた光を照射することができる。この場合において、分光特性の異なる2つの照明モードの切り替えを、2つの光源の点灯を制御するだけでできるので、照明モードの切り替えが瞬時にできるとともに、可動部を持たないので信頼性を向上することができる。
【0050】
また、撮像ユニット21により被写体Sの画像を取得し、この画像の明るさが一定となるように各光源の光量を制御することで、被写体Sからの反射光の強度に応じて被写体Sに照射する光量を調節することができ、被写体Sの観察精度を向上することができる。また、撮像ユニット21で撮影した被写体Sの明るさが一定になるように光源ユニット11の照明光量が制御されるので、照明モードを切替えても常に適切な画面明るさを維持することができる。
【0051】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る照明装置について、主に図13から図18を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置が第1の実施形態と異なる点は、2つの光源の分光特性がほぼ同一である点である。以下、本実施形態の照明装置について、第1の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0052】
光源1は、図13に示すように、波長帯域の広い光L1を射出するようになっている。
光源2は、図14に示すように、光L1とほぼ同一の分光特性を有する、波長帯域の広い光L2を射出するようになっている。
【0053】
ダイクロイックミラー5は、第1の実施形態と同様に、図5に示すように、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するともに、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を反射するような反射特性を有している。
【0054】
このような反射特性を有することで、ダイクロイックミラー5は、図15に示すように、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、ダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を反射するようになっている。
【0055】
また、ダイクロイックミラー5は、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、ダイクロイックミラー5は、図16に示すように、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を、光源1から射出される光L1の光軸方向に反射するようになっている。
【0056】
ここで、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源1および光源2を点灯させる。
この場合には、ダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光とを合成して、この合成光L5を光L1の光軸方向に射出するようになっている。この合成光L5は、図17に示すように、図15に示す分光特性の光(光源1から射出された光L1のうちダイクロイックミラー5を透過した光)と、図16に示す分光特性の光(光源2から射出された光L2のうちダイクロイックミラー5により反射された光)とを重ね合わせた分光特性を有することとなる。
【0057】
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、例えば、光源1を消灯させて光源2のみを点灯させる。
この場合には、ダイクロイックミラー5は、図16に示すように、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過する一方、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を、光源1から射出される光L1の光軸方向に反射して射出するようになっている。この場合において、光L1の光軸方向に射出される光の分光特性は図18に示す通りである。
【0058】
本実施形態に係る照明装置によれば、前述の第1の実施形態と同様の効果の他、2つの光源として同じ光源を用いて、白色光モードと特殊光モードで被写体Sを照明することができる。また、同じ光源を用いるので、製造や品質管理を容易なものとすることができる。
なお、本実施形態では、特殊光モードでは、光源1を消灯させて光源2のみを点灯させるとして説明したが、光源2を消灯させて光源1のみを点灯させることとしてもよい。
【0059】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態に係る照明装置について、主に図19から図24を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置が前述の各実施形態と異なる点は、光源を3つ備えるとともに光合成部を2つ備える点である。以下、本実施形態の照明装置について、前述の各実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0060】
光源ユニット11は、図19に示すように、光軸が互いに直交する向きに配置された光源(第1の光源)1と、光源(第2の光源)2と、光源(第3の光源)3と、光源1の光軸と光源2の光軸との交点上に配置された第1のダイクロイックミラー(光合成部)5と、光源1の光軸と光源3の光軸との交点上に配置された第2のダイクロイックミラー(光合成部)6とを備えている。
【0061】
光源1,2,3は、第2の実施形態と同様に、図13に示すように、波長帯域の広い光L1,L2,L3をそれぞれ射出するようになっている。
第1のダイクロイックミラー5は、第1の実施形態と同様に、図20に示すように、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するともに、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を反射するような反射特性を有している。
第2のダイクロイックミラー6は、図21に示すように、波長λ0以上の波長帯域の光を透過するともに、波長λ0未満の光を反射するような反射特性を有している。
【0062】
このような反射特性を有することで、第1のダイクロイックミラー5は、図22に示すように、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、第1のダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を反射するようになっている。
【0063】
また、第1のダイクロイックミラー5は、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、第1のダイクロイックミラー5は、図23に示すように、光源2から射出された光L2のうち、波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光を、光源1から射出される光L1の光軸方向に反射するようになっている。
【0064】
また、第2のダイクロイックミラー6は、光源3から射出された光L3のうち、波長λ0以上の波長帯域の光を透過するようになっている。また、第2のダイクロイックミラー6は、図24に示すように、光源3から射出された光L3のうち、波長λ0未満の光を、光源1から射出される光L1の光軸方向に反射するようになっている。
【0065】
ここで、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源1,2,3の全てを点灯させる。
この場合には、第1のダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光とを合成して、この合成光L5を光L1の光軸方向に射出するようになっている。
【0066】
また、第2のダイクロイックミラー6は、第1のダイクロイックミラー5からの合成光L5と、光源3から射出された光L3のうち波長λ0未満の光とを合成して、この合成光L6を光L1の光軸方向に射出するようになっている。この合成光L6は、図22に示す分光特性の光(光源1から射出された光L1のうち第1のダイクロイックミラー5を透過した光)と、図23に示す分光特性の光(光源2から射出された光L2のうち第1のダイクロイックミラー5により反射された光)と、図24に示す分光特性の光(光源3から射出された光L3のうち第2のダイクロイックミラー6により反射された光)とを重ね合わせた分光特性を有することとなる。
【0067】
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、光源1,2,3の少なくとも1つを点灯させ、被写体Sに応じた照明光を照射する。あるいは、特殊光モードにおいては、被写体Sに応じて、各光源の発光量比を異ならせることとしてもよい。
【0068】
本実施形態に係る照明装置によれば、前述の各実施形態と同様の効果の他、光源が3つあるため、各光源の点灯・消灯の組み合わせによって、7通りの照明モードを備えることができ、様々な被写体Sを適切な照明条件で観察することができる。また、各光源の発光量比を異ならせることで、さらに被写体Sの観察精度を向上させることができる。
【0069】
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態に係る照明装置について、主に図25から図30を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置は、前述の第3の実施形態と同様の装置構成を有しており、第3の実施形態と異なる点は、各光源の分光特性がそれぞれ異なる点である。以下、本実施形態の照明装置について、前述の第3の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0070】
光源1は、例えば、緑色や赤色の蛍光体を励起する紫外線LEDであり、図25に示す分光特性を有している。
光源2は、例えば、黄色(YAG)の蛍光体を励起する青色LEDであり、図26に示す分光特性を有している。
光源3は、例えば紫色LEDであり、図27に示す分光特性を有している。
【0071】
上記構成を有する照明装置において、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源1,2,3の全てを点灯させる。
この場合には、第1のダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち波長λ1〜λ2および波長λ3以上の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1未満および波長λ2〜λ3の光とを合成して、この合成光L5を光L1の光軸方向に射出するようになっている。
【0072】
また、第2のダイクロイックミラー6は、第1のダイクロイックミラー5からの合成光L5と、光源3から射出された光L3のうち波長λ0未満の光とを合成して、この合成光L6を光L1の光軸方向に射出するようになっている。この合成光L6は、図28に示す分光特性の光(光源1から射出された光L1のうち第1のダイクロイックミラー5を透過した光)と、図29に示す分光特性の光(光源2から射出された光L2のうち第1のダイクロイックミラー5により反射された光)と、図30に示す分光特性の光(光源3から射出された光L3のうち第2のダイクロイックミラー6により反射された光)とを重ね合わせた分光特性を有することとなる。
【0073】
本実施形態に係る照明装置によれば、白色光源を用いる第3の実施形態に比べて、各照明モードが必要とする分光特性に近い光源を用いているため、各光源の光利用効率を向上させ、消費電力を低減することができる。
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、光源1,2,3の少なくとも1つを点灯させる。あるいは、被写体Sに応じて、各光源の発光量比を異ならせることとしてもよい。
【0074】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態に係る照明装置について、主に図31から図37を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置は、前述の各実施形態と異なる点は、各光源からの光を一旦分離して再合成する点である。以下、本実施形態の照明装置について、前述の各実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0075】
本実施形態において光源ユニット11は、図31に示すように、光軸が互いに直交する向きに配置された光源(第1の光源)1と、光源(第2の光源)2と、光源1の光軸と光源2の光軸との交点上に配置された第1のダイクロイックミラー(光合成部)5と、光源1の光軸上に配置された第2のダイクロイックミラー(光合成部)6と、光源2の光軸上に配置されたミラー7と、ミラー7による反射方向に配置されたミラー8とを備えている。
【0076】
光源1および光源2は、図34に示す分光特性の光L1,L2をそれぞれ射出するようになっている。
第1のダイクロイックミラー5は、図32に示すように、波長λ1未満の波長帯域の光を透過するともに、波長λ1以上の光を反射するような反射特性を有している。
第2のダイクロイックミラー5は、図33に示すように、波長λ2未満の波長帯域の光を透過するともに、波長λ2以上の光を反射するような反射特性を有している。
【0077】
上記構成を有する照明装置において、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源1および光源2を点灯させる。
この場合には、第1のダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち波長λ1未満の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1以上の光とを合成して、この合成光L5を光L1の光軸方向に射出する。
【0078】
また、第1のダイクロイックミラー5は、光源1から射出された光L1のうち波長λ1以上の波長帯域の光と、光源2から射出された光L2のうち波長λ1未満の光とを合成して、この合成光L5’をミラー7に向けて射出する。
合成光L5’は、ミラー7によりミラー8に向けて反射され、ミラー8により第2のダイクロイックミラー5に向けて反射される。
【0079】
第2のダイクロイックミラー5は、第1のダイクロイックミラー5からの合成光L5のうち波長λ2未満の波長帯域の光と、ミラー8からの合成光L5’のうち波長λ2以上の波長帯域の光とを合成して、この合成光L6を光源1の光軸方向に射出する。
したがって、図31に示す光路A,B,Cを通る光の分光特性は、全て図34に示す分光特性となる。
【0080】
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、例えば、光源2を消灯させて光源1のみを点灯させる。
この場合には、光路Aを通る合成光L5’は、図35に示すように、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1以上の波長帯域の光である。
また、光路Bを通る合成光L5は、図36に示すように、光源1から射出された光L1のうち、波長λ1未満の波長帯域の光である。
【0081】
また、光路Cを通る合成光L6は、図37に示すように、光路Bを通る合成光L5のうち波長λ2未満の波長帯域の光と、光路Aを通る合成光L5’のうち波長λ2以上の波長帯域の光とを合成させた光である。
【0082】
本実施形態に係る照明装置によれば、特殊光モードの際に、狭帯域な光の要求する分光特性を作り出す、すなわち不要な波長帯域の成分をカットすることができる。また、第1のダイクロイックミラー5により反射または透過された光の両方を、第2のダイクロイックミラー5により合成することができ、光利用効率を向上することができる。
なお、本実施形態において、特殊光モードでは、光源2を消灯させて光源1のみを点灯させるとして説明したが、光源1を消灯させて光源2のみを点灯させることとしてもよい。
【0083】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明の第6の実施形態に係る照明装置について、主に図38を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置は、前述の各実施形態と異なる点は、複数の光源を円環状に配置して各光源からの光を重畳して射出する点である。以下、本実施形態の照明装置について、前述の各実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0084】
図38は、本実施形態の照明装置30の概略構成を説明する縦断面図である。
図38に示すように、照明装置30は、円筒状のベース37と、ベース37の内周面に円環状に並んで配置された複数の光源ユニット(光源)31と、円環の中心軸線L上に配置された光源ユニット(光源)32と、円環状に並べられた光源ユニット31の半径方向内方に配置された導光部材40と、導光部材40を支持するロッドベース38と、導光部材40およびロッドベース38を円環の中心軸線L回りに一体的に回転駆動するモータ33と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0085】
光源ユニット31は、周方向に所定の間隔をあけて、円環の半径方向内方に光軸を向けて複数配置されており、図示しない電源から駆動電流が供給されることにより、円環の半径方向内方に照明光を射出するようになっている。
【0086】
導光部材40は、光源ユニット31の半径方向内方に配置された導光ロッド34と、導光ロッド34の半径方向内方において円環の中心軸線L上に配置されたダイクロイックプリズム35と、ダイクロイックプリズム35の反射方向に配置された照明レンズ36とを備えている。
【0087】
導光ロッド34は、光源ユニット31から射出された照明光を入射させる入射面39を有しており、入射面39に入射させた照明光を円環の半径方向内方に導光するようになっている。
【0088】
ダイクロイックプリズム35は、導光ロッド34により導光された照明光のうち、所定帯域の光を円環の中心軸線Lに沿う方向に反射する一方、所定帯域以外の光を透過するようになっている。また、ダイクロイックプリズム35は、光源ユニット32から射出された照明光のうち、前記所定帯域以外の光を透過して円環の中心軸線Lに沿う方向に射出するようになっている。
【0089】
照明レンズ36は、ダイクロイックプリズム35からの光を被写体Sに照射するようになっている。
このような構成を有することで、導光部材40は、光源ユニット31から半径方向内方に射出された照明光と、光源ユニット32から円環の中心軸線Lに沿う方向に射出された照明光とを合成して、合成光を中心軸線Lに沿う方向に射出するようになっている。
【0090】
ロッドベース38は、導光部材40の入射面39を半径方向外方に配置した状態で、導光部材40を中心軸線L回りに回転自在に支持する円柱状の部材である。
モータ33は、ロッドベース38の中心軸線Lに沿う方向下方に配置されており、導光部材40およびロッドベース38を中心軸線L回りに一体的に回転駆動するようになっている。
図示しない制御部は、モータ33の回転と同期して、導光ロッド34の入射面39に対向する光源ユニット31を順次パルス点灯させるようになっている。
【0091】
上記制御を行う照明装置10の動作について以下に説明する。
照明装置30を起動させると、モータ33によって導光部材40が中心軸線L回りに回転駆動され、導光部材40の入射面39に対向する光源ユニット31が順次パルス点灯させられる。これにより、光源ユニット31から射出された高強度の照明光を、導光部材40の入射面39に連続的に入射させ、ダイクロイックプリズム35に導光する。一方、光源ユニット32からも照明光が射出され、ダイクロイックプリズム35に導光される。
【0092】
ダイクロイックプリズム35では、光源ユニット31からの照明光(導光ロッド34により導光された照明光)のうち、所定帯域の光が円環の中心軸線Lに沿う方向に反射される。また、光源ユニット32からの照明光のうち、前記所定帯域以外の光が円環の中心軸線Lに沿う方向に透過する。これにより、光源ユニット31からの照明光と光源ユニット32からの照明光との合成光が、照明レンズ36から被照明物に向けて重畳して射出される。
【0093】
上記構成を有する照明装置において、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源ユニット31を順次パルス点灯させるとともに、光源ユニット32を常時点灯させる。
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、例えば、光源ユニット31を順次パルス点灯させるとともに、光源ユニット32を消灯させる。
【0094】
本実施形態に係る照明装置によれば、光源ユニット31に用いられる発光体(例えばLED)のDC駆動時の光量が、光源ユニット32(例えばランプ光源)に比べて低い場合でも、高電流のパルス点灯光を重畳して出射させるため、ランプ光源に匹敵するような高出力の重畳光を射出することができる。
【0095】
なお、本実施形態において、特殊光モードでは、光源ユニット31を順次パルス点灯させるとともに光源ユニット32を消灯させるとして説明したが、光源ユニット31の一部を順次パルス点灯させるとともに光源ユニット32を消灯させることとしてもよく、全ての光源ユニット31を消灯させるとともに光源ユニット32を常時点灯させることとしてもよい。
【0096】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態に係る照明装置について、主に図39から図48を参照して説明する。
本実施形態に係る照明装置は、前述の第6の実施形態と異なる点は、円環状に配置する光源を円環の軸線に沿う方向に複数配置した点である。以下、本実施形態の照明装置について、第6の実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0097】
図39は、本実施形態の照明装置50の概略構成を説明する縦断面図である。
本実施形態の照明装置50は、図39に示すように、円筒状のベース37と、ベース37の内周面に円環状に並んで配置された複数の光源ユニット(光源)31と、円環状に並べられた光源ユニット31の半径方向内方に配置された導光部材60と、導光部材60を支持するロッドベース38と、導光部材60およびロッドベース38を円環の中心軸線L回りに一体的に回転駆動するモータ33と、円環の中心軸線L上に配置された第2のダイクロイックプリズム51と、第2のダイクロイックプリズム51に向けて光軸が配置された光源ユニット(光源)32と、これらを制御する制御部(図示略)とを備えている。
【0098】
光源ユニット31は、図40に示すように、周方向に所定の間隔をあけて、円環の半径方向内方に光軸を向けて複数配置されており、図示しない電源から駆動電流が供給されることにより、円環の半径方向内方に照明光を射出するようになっている。
また、光源ユニット31は、図41に示すように、複数の光源が円環の中心軸線Lに沿う方向に配置されている。
【0099】
光源ユニット31は、図42に示す分光特性を有する青色LED31aを下段に備えている。光源ユニット31は、図43に示す分光特性を有し、青色LEDで励起した緑蛍光体31bを発光体として上段に備えている。
【0100】
導光部材60は、緑蛍光体31bの半径方向内方に配置された導光ロッド61と、導光ロッド61の半径方向内方において円環の中心軸線L上に配置されたプリズム62と、青色LED31aの半径方向内方に配置された導光ロッド63と、導光ロッド63の半径方向内方において円環の中心軸線L上に配置された第1のダイクロイックプリズム64とを備えている。
なお、導光部材60は、上段・下段の入射端面の方向が回転軸に対して対称となるように設けられており、回転バランスが大きくずれないようになっている。
【0101】
導光ロッド61は、緑蛍光体31bから射出された照明光を円環の半径方向内方に導光するようになっている。
プリズム62は、導光ロッド61により導光された照明光を円環の中心軸線Lに沿う方向に反射するようになっている。
【0102】
導光ロッド63は、青色LED31aから射出された照明光を円環の半径方向内方に導光するようになっている。
第1のダイクロイックプリズム64は、図44に示す反射特性を有しており、青色LED31aから射出された照明光のうち、所定帯域の光を円環の中心軸線Lに沿う方向に反射する一方、所定帯域以外の光を透過するようになっている。また、第1のダイクロイックプリズム64は、緑蛍光体31bから射出された照明光のうち、前記所定帯域以外の光を透過して円環の中心軸線Lに沿う方向に射出するようになっている。
【0103】
光源ユニット32は、図45に示す分光特性を有しており、青緑LEDを発光体として備えている。
第2のダイクロイックプリズム51は、図46に示す反射特性を有しており、第1のダイクロイックプリズム64から射出された照明光のうち、所定帯域の光を円環の中心軸線Lに沿う方向に透過する一方、所定帯域以外の光を反射するようになっている。また、第2のダイクロイックプリズム51は、光源ユニット32から射出された照明光のうち、前記所定帯域以外の光を円環の中心軸線Lに沿う方向に反射するようになっている。
【0104】
これにより、第2のダイクロイックプリズム51は、光源ユニット31の出射する光のうち、特殊光として不要な青緑の帯域光をカットするとともに、光源ユニット32の出射光を照明方向に合成するようになっている。すなわち、第2のダイクロイックプリズム51は、光路合成と不要帯域カットの役目を兼ねている。
【0105】
ベース37の外周面には、図39および図40に示すように、光源ユニット31から発生してベース37に伝達された熱を回収するヒートパイプ52が設けられている。また、ヒートパイプ52は、外気との熱交換を行う放熱フィン53に接続されている。このような構成を有することで、光源ユニット31から発生した熱を、ベース37およびヒートパイプ52を介して、放熱フィン53によって照明装置50の外部に放散するようになっている。
【0106】
上記制御を行う照明装置50の動作について以下に説明する。
照明装置50を起動させると、モータ33によって導光部材60が中心軸線L回りに回転駆動され、導光部材60の入射面に対向する光源ユニット31が順次パルス点灯させられる。これにより、光源ユニット31から射出された高強度の照明光を、導光部材60の入射面に連続的に入射させ、第2のダイクロイックプリズム51に導光する。一方、光源ユニット32からも照明光が射出され、第2のダイクロイックプリズム51に導光される。
【0107】
第2のダイクロイックプリズム51では、光源ユニット31からの照明光のうち、所定帯域の光が円環の中心軸線Lに沿う方向に透過される。また、光源ユニット32からの照明光のうち、前記所定帯域以外の光が円環の中心軸線Lに沿う方向に反射する。これにより、光源ユニット31からの照明光と光源ユニット32からの照明光との合成光が、照明レンズ36から被照明物に向けて重畳して射出される。
【0108】
上記構成を有する照明装置において、被写体Sに白色光を照射する白色光モードにおいては、光源ユニット31を順次パルス点灯させるとともに、光源ユニット32を常時点灯させる。これにより、図47に示す分光特性を有する照明光を被写体Sに照射することができる。
【0109】
また、被写体Sに特殊光を照射する特殊光モードにおいては、例えば、光源ユニット31を順次パルス点灯させるとともに、光源ユニット32を消灯させる。これにより、図48に示す分光特性を有する照明光を被写体Sに照射することができる。
【0110】
本実施形態に係る照明装置によれば、第6の実施形態の効果に加えて、特殊光モードで用いる2つの発光波長帯(青/緑)を常時発光させることができ、それぞれの発光強度を向上することができる。
【0111】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、第1の実施形態では本発明の照明装置を観察システムに適用した例を説明したが、このような照明装置が適用可能なシステムの例としては、特殊光(赤外光観察や薬剤蛍光検察など)を用いる内視鏡システムや、蛍光観察を行う顕微鏡システムなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0112】
1 光源(第1の光源)
2 光源(第2の光源)
3 光源(第3の光源)
5 ダイクロイックミラー(光合成部)
6 ダイクロイックミラー(光合成部)
10 照明装置
11 光源ユニット(照射光学系)
12 光源駆動部
13 照明制御部(制御部)
21 撮像ユニット(受光手段)
22 画像処理部
23 画像モニタ
29 照明モード選択部
100 観察システム
L 中心軸線
S 被写体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる所定帯域の光からなる複数の照明モードで照明領域を照明する照明装置であって、
前記複数の照明モードのうち一方の照明モードが必要とする第1の帯域よりも、他方の照明モードが必要とする第2の帯域の方が広い帯域を有し、
少なくとも前記第1の帯域の照明光を射出する複数の光源と、
該複数の光源のうち少なくとも1つの光源が射出した照明光のうち、前記第1の帯域の光を照明領域方向に透過光として透過すると共に、他の光源が射出した照明光のうち前記第1の帯域以外の光を照明領域方向に反射光として反射し、前記透過光と前記反射光とを光学的に合成する光合成部と、
前記複数の照明モードから1つの照明モードを選択する照明モード選択部と、
該選択された照明モードに基づいて前記複数の光源が射出する光の光量を制御する制御部とを有し、
前記一方の照明モードは前記1つの光源のみを点灯する第1の照明モードであり、前記他方のモードは前記1つの光源および他の光源を共に点灯する第2の照明モードであることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
互いに異なる所定帯域の光からなる複数の照明モードで照明領域を照明する照明装置であって、
前記複数の照明モードのうち一方の照明モードが必要とする第1の帯域よりも、他方の照明モードが必要とする第2の帯域の方が広い帯域を有し、
少なくとも前記第1の帯域の照明光を射出する複数の光源と、
該複数の光源のうち少なくとも1つの光源が射出した照明光のうち、前記第1の帯域の光を照明領域方向に反射光として反射すると共に、他の光源が射出した照明光のうち前記第1の帯域以外の光を照明領域方向に透過光として透過し、前記反射光と前記透過光とを光学的に合成する光合成部と、
前記複数の照明モードから1つの照明モードを選択する照明モード選択部と、
該選択された照明モードに基づいて前記複数の光源が射出する光の光量を制御する制御部とを有し、
前記一方の照明モードは前記1つの光源のみを点灯する第1の照明モードであり、前記他方のモードは前記1つの光源および他の光源を共に点灯する第2の照明モードであることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
前記1つの光源および前記他の光源は、白色光の照明光を出射する光源であることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載の照明装置と、
前記光合成部により合成された光を被写体に照射する照射光学系と、
前記被写体からの反射光を受光する受光手段とを備え、
前記制御部が、前記受光手段により受光された反射光の強度に基づいて前記複数の光源の射出光量を制御する観察システム。
【請求項5】
前記受光手段が、前記被写体を撮像する撮像素子であり、
前記制御部が、前記撮像素子により取得された画像の明るさが略一定となるように前記複数の光源の射出光量を制御する請求項4に記載の観察システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【公開番号】特開2012−78503(P2012−78503A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222668(P2010−222668)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】