説明

照明装置及びそれを備えた表示装置並びに照明装置の製造方法

【課題】表示品位が低下し難い照明装置及び表示装置を提供する。
【解決手段】光源14と、光源14から出射された光を受ける少なくとも1つの側面15aと、少なくとも1つの側面15aから入射した光を出射する出射面15bと、を有する導光体15と、光源14を囲み、両面接着テープ1を介して、導光体15に接着された反射シート16と、を有する、照明装置12であって、両面接着テープ1は、テープ基材の両面にそれぞれ接着層が形成され、各接着層は、2wt%以上10wt%以下の紫外線吸収剤と、0.5wt%以上10wt%以下のヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置及びそれを備えた表示装置並びに照明装置の製造方法に関し、特に、それに用いられる両面接着テープに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、バックライトを有する液晶表示装置は、軍需用途から民生商品まで幅広く使用されている。代表的な使用例としては、液晶テレビ、ノート型PC(パーソナル・コンピュータ)、モニタ、ナビゲーションやPDA(携帯情報端末)が挙げられる。これらの液晶表示装置は、長時間使用していると、表示画面が黄変してくるという問題がある。黄変の原因としては、以下の3つのことが考えられる。
【0003】
1)バックライトに使用する光源が色度シフトする。光源に使用される蛍光材は、各色ごとの蛍光減衰特性が違うからである。
【0004】
2)光源周辺を光学的にカバーする反射シートが黄変する。反射シートに使用される発泡PETフィルムは、光源から発せられる紫外線と熱によって光化学反応が起こる。これにより、反射シートの青色から緑色領域にかけて反射率が低下するからである。
【0005】
3)反射シートと導光体とを固定する両面接着テープが黄変する。両面接着テープの黄変は、上述の光源および反射シートの黄変速度に比べ非常に早い。現状の両面接着テープでは、200時間程度の光源点灯でも液晶表示装置に色度変化を与える。両面接着テープは、粘着剤とテープ基材とからなる。特に、粘着剤の黄変が著しい。
【0006】
ここで、色度シフトとは、CIE標準表色系のXYZ(Yxy)表色において、初期の色度x,yに対する、点灯累積時間後における色度x,yの変化をいう。以下では、初期の色度x,yと、点灯累積時間後に測定した色度x, yとの差分を色度シフト量という。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
両面接着テープの対策として、基材や粘着剤を黒色または灰色等に着色して、色度シフトを抑制することにより、黄変を防止することが提案されている。しかしながら、この着色型両面接着テープは、両面接着テープ自体が紫外線だけでなく、可視光も吸収する。したがって、表示装置全体の輝度が低下するだけでなく、蛍光管近傍の輝度が低下して、表示装置に筋状の輝度ムラを発生する原因となるので、表示品位の観点から好ましくなかった。
【0008】
また、両面接着テープは、光源近傍に設置されるので、光源からの光や熱の影響を受けやすい。これにより、接着力の低下を引き起こし、反射シートが導光体から剥がれる。したがって、初期の光学条件が崩れて、極端な表示品位低下が発生するという問題もある。
【0009】
この問題を解決するために、光学的損失の少ない、言い換えれば光源からの光の影響を受け難いクリアタイプの両面接着テープが提案されている。この両面接着テープによれば、接着層中の残留揮発性ガスを低減し、粘着力の低下を防止して、耐候性を向上させることで、バックライトの光学条件を長期に保持し得る。
【0010】
しかしながら、上述の両面接着テープを用いた液晶表示装置では、バックライトの光源条件の保持は、点灯初期から300時間程度までが限界であり、500時間を超えると、黄変し始めるという問題がある。このときの色度シフトは、1000時間で色度xおよび色度yともに+0.020にもなる。
【0011】
また、自動車用環境基準での信頼性試験を実施すると、粘着保持力の低下によって、反射シートが導光体から剥がれる。したがって、液晶表示装置の輝度分布の悪化による表示品位不良も生じる。
【0012】
本発明は、表示品位が低下し難い照明装置及び表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の照明装置は、1)光源と、2)前記光源から出射された光を受ける少なくとも1つの側面と、前記少なくとも1つの側面から入射した光を出射する出射面と、を有する導光体と、3)前記光源を囲み、両面接着テープを介して、前記導光体に接着された反射シートと、を有する、照明装置であって、前記両面接着テープは、テープ基材の両面にそれぞれ接着層が形成され、前記接着層は、2wt%以上10wt%以下の紫外線吸収剤と、0.5wt%以上10wt%以下のヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する。本明細書では、「テープ」は、リボンなどの長尺の材料に限らず、フィルムやシートなどの材料を包含する。
【0014】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系およびシアノアクリレート系からなる群から選ばれる少なくとも1の紫外線吸収剤であっても良い。
【0015】
前記テープ基材は、紫外線吸収剤を含有するポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記接着層は、アクリル系接着剤を含有していても良い。
【0016】
前記基材の一方面に形成された前記接着層の膜厚が30μm以上100μm以下である。
【0017】
前記両面接着テープの紫外線暴露加速試験による光学シフト量が、色度(x,y)≦±0.003であることが好ましい。なお、色度(x,y)≦±0.003は、色度(x)および色度(y)における光学シフト量の絶対値が、それぞれ0.003以下であることを示す。
【0018】
前記両面接着テープは、前記導光体側における前記接着層の膜厚が30μm以上100μm以下である。
【0019】
前記反射シートは、前記側面側における前記出射面上で、前記導光体に接着されている。
【0020】
自動車環境試験による光学シフト量は、色度(x,y)≦±0.018であり、前記両面接着テープのみに起因する光学シフト量は、色度(x,y)≦±0.003であることが好ましい。なお、色度(x,y)≦±0.015は、色度(x)および色度(y)における光学シフト量の絶対値が、それぞれ0.015以下であることを示す。
【0021】
本発明の表示装置は、本発明の照明装置と、前記照明装置に対して前記出射面側に配置され、前記照明装置から出射された光を変調する表示パネルと、を備える。
【0022】
本発明の照明装置の製造方法は、前記両面接着テープの前記導光体側における前記接着層の膜厚が30μm以上100μm以下である本発明の照明装置を製造する方法であって、前記反射シートの所定位置に、前記両面接着テープを貼り付ける工程と、前記反射シートに貼り付けられた前記両面接着テープと前記導光体とを貼り合わせる工程と、を含む。
【0023】
以下、本発明の作用を説明する。
【0024】
本発明者らが両面接着テープの黄変について詳しく調べたところ、両面接着テープの黄変は、両面接着テープの粘着剤による黄変と、両面接着テープのテープ基材による黄変という2つのモードからなっていることが分かった。より詳細には、両面接着テープの黄変には、比較的短時間で黄変が始まる粘着剤の黄変モードと、比較的長い時間(200時間程度)経過してから徐々に黄変するテープ基材の黄変モードとがあることが分かった。さらに詳しく黄変モードを分析したところ、粘着剤の変成物が形成されることによって、最初の黄変が現れることが分かった。両面接着テープの粘着剤を形成する際、粘着剤のモノマーを連鎖化させるために重合開始剤を添加する。重合開始剤は、分解して反応残査(いわゆる一次ラジカル)が生じる。一次ラジカルは、生成するポリマーの末端に取り込まれているので、粘着剤中に残る。また、通常、重合開始剤の分解速度が遅いので、必要量より多く添加することがある。この場合、未反応の重合開始剤も粘着剤中に残る。
【0025】
さらに、粘着ポリマーに凝集力を付与するために、架橋剤を添加する場合がある。この架橋剤の添加も、粘着剤中に反応残査と未反応物を残留させることになる。これらが存在する粘着剤に紫外線を含む光を照射したり、長期間加熱をしたりすると、ラジカルが発生してポリマーの酸化劣化および共役二重結合の生成による着色(黄変)を引き起こすことが知られている。
【0026】
また、粘着剤自体も同様に、紫外線や加熱等の強いエネルギーにより解重合反応を起こしてラジカルを生じ、酸化劣化や共役二重結合の生成による着色等を引き起こすことも知られている。光や熱による劣化に比較的強いといわれているアクリル系粘着剤であっても、強いエネルギーが長期にわたって照射されると、黄変を起こしてしまう。
【0027】
ついで、シート基材自体の黄変があげられる。シート基材には、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムをはじめ、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、塩化ビニルフィルム、フッ素フィルム、ポリオレフィン系フィルム等が使用される。しかし、極めて耐光性の良いフッ素フィルム以外は、いずれも光や熱による変色の可能性がある。特に、安価で汎用性の高いPETフィルムは、紫外線による劣化や熱劣化、加水分解等を起こしやすく、容易に黄変する。
【0028】
以上のような化学反応を長時間抑制することができれば、両面接着テープの黄変を防止できる。両面接着テープの化学的な変化を長期にわたり抑制するために、粘着剤に紫外線吸収剤の添加を試みたところ、粘着剤の光学シフトを抑制し、従来の両面接着テープでは達成できなかった黄変防止が実現された。また、粘着剤とともに、シート基材にも、紫外線吸収剤の添加を試みたところ、黄変防止効果がより顕著になった。
【0029】
さらに、長期にわたり安定した粘着力を持たせるために、光安定化剤も添加することを試みたところ、十分な粘着保持特性を達成することにも成功した。光安定化剤を添加した両面接着テープが、光源の理論寿命である10000時間程度でも十分な光学的安定性を持っていることが、加速試験により確認された。自動車用環境基準における環境試験でも、目視観察において両面接着テープは黄変しておらず、粘着力も保たれていた。したがって、無黄変で表示品位が安定した液晶表示装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、表示品位が低下し難い照明装置及び表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明による実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0032】
(実施形態1)
実施形態1は、本発明の両面接着テープに係る実施形態である。図1は、実施形態1の両面接着テープを模式的に示す断面図である。本実施形態の両面接着テープ1は、テープ基材2と、テープ基材2の両面にそれぞれ形成された接着層3,4とを有する。
【0033】
テープ基材2としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、アクリルフィルム、塩化ビニルフィルム、フッ素フィルム、ポリオレフィン系フィルム、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)などのアクリル系共重合フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリウレタンフィルム等が挙げられる。これらテープ基材1の材料に紫外線吸収剤を練り込み、もしくはテープ基材2に紫外線吸収剤を含浸させることによって、紫外線の暴露による変色をさらに抑制することができる。また、練り込みや含浸などの方法により、テープ基材1にヒンダードアミン系光安定剤を含有させても良い。テープ基材2としては、可視光を透過させる透明のシート基材が好ましい。
【0034】
接着層3,4を構成する粘着剤としては、特に制限されないが、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の粘着剤が挙げられる。これらのうち、コストパフォーマンスと耐紫外線劣化性とのバランスが取れたアクリル系粘着剤が好ましい。
【0035】
接着層3,4は、紫外線吸収剤と光安定剤とを含有する。紫外線吸収剤としては、特に制限されないが、例えばベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、シアノアクリレート系、トリアジン系、サリシレート系、ベンゾエート系等が挙げられる。さらに、これら紫外線吸収剤をポリマーにグラフトしたものや、紫外線吸収剤を多量化したものも使用できる。紫外線吸収剤は、粉末固体のタイプが多く市販されているが、多量に添加する場合には、粘着剤との相溶性の限界からブリードアウトを起こす等の問題がある。この問題を回避するために、常温で液状のタイプを使用することができる。
【0036】
紫外線吸収剤の配合量は、2wt%(質量百分率)以上10wt%以下であり、好ましくは4wt%以上10wt%以下、さらに好ましくは6wt%以上10wt%以下である。紫外線吸収剤の配合量が2wt%未満の場合、紫外線の吸収効果が小さく、比較的短時間で粘着剤の劣化による黄変が見られる。一方、配合量が10wt%を越えると、紫外線吸収剤が固体の場合には、ブリードアウトするおそれがあり、液状の場合には、粘着物性に影響を与えて凝集力の低下を招くおそれがある。
【0037】
光安定剤は、使用する粘着剤の性質によって適宜選択される。ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)は、上記紫外線吸収剤と併用することにより、長時間の紫外線照射に暴露される粘着剤の劣化を防止し、粘着保持力を維持できる点で好ましい光安定剤である。HALSの中でも、第3級アミン(N−CH)タイプは、pKb値が小さく塩基性を示すので、使用する粘着剤によっては、硬化阻害や貯蔵安定性に問題がある。アミノエーテル(N−OR)タイプは、pKb値が大きくほぼ中性を示すので、問題なく使用することができる。光安定剤は、紫外線吸収剤と同様に、常温で液状のタイプを使用することが好ましい。これにより、ブリードアウト等の問題を未然に防止することができる。
【0038】
ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、0. 5wt%以上10wt%以下であり、好ましくは0.5wt%以上5wt%以下、さらに好ましくは1wt%以上5wt%以下である。ヒンダードアミン系光安定剤の配合量が0.5wt%未満の場合、粘着剤自体の光安定化効果が小さくなり、光劣化により硬化反応が進んでタックがなくなる現象が見られ、これがテープの剥がれの原因となる。一方、配合量が5wt%を越えると、ブリードアウトや粘着物の低下等の原因となる。
【0039】
本実施形態の両面接着テープは、従来公知の方法を利用することによって製造することができる。例えば、粘着剤を構成する樹脂に、所定量の紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物、その他必要に応じ各種添加剤を配合する。Tダイおよびインフレーショ装置等の一般に使用される押し出し機を用いて、シート基材2の両面に、接着層3,4を製膜する。
【0040】
本実施形態の両面接着テープは、表示装置を構成する部品間の接着に用いることができる。例えば、表示装置に組み込まれるバックライトを構成する部品間の接着に用いることができる。詳細には、バックライトの光学系を構成する光源周辺部品間の接着である。例えば、導光体と反射シートとを固定する両面テープとして、本実施形態の両面接着テープを用いることができる。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1の両面接着テープを用いた照明装置(バックライト)およびこの照明装置が組み込まれた表示装置に係る実施形態である。図2は、実施形態2の表示装置を模式的に示す断面図である。本実施形態の表示装置は、透過型液晶表示装置10である。
【0042】
透過型液晶表示装置10は、透過型液晶表示パネル11と、透過型液晶表示パネル11に対して観察者側と反対側に設けられた照明装置(バックライト)12とを有する。透過型液晶表示パネル11は筐体13の上方に、照明装置12は筐体13の下方に、それぞれ配置されている。なお、本実施形態では、TFT(Thin Film Transistor)駆動型の液晶表示パネルを用いる。本発明の表示装置は、MIM(Metal Insulator Metal) 駆動型やパッシブ(マルチプレックス)駆動型の液晶表示装置にも適用することができる。また、透過型の表示装置に限定されず、透過および反射の機能を併せ持つ透過反射両用型の表示装置にも適用することができる。
【0043】
照明装置12は、光源14と、導光体15と、反射シート16とを有する。光源14として、本実施形態では、CCFT(冷陰極蛍光管)を用いる。このCCFTは直径が2.4mm、ランプ電流(実効)は6.5mArms であり、ランプ面輝度は約40,000cd/mになる。なお、LED(発光ダイオード)や、LEDと線状導光体とを組み合わせた線状光源、あるいは有機EL素子などを用いてもよい。光源14は、平面視においてコの字型になっており、液晶表示装置の短辺側2辺と長辺側1辺に設けられている。
【0044】
導光体15は、光源14から出射された光を受ける少なくとも1つ(本実施形態では3つ)の側面(以下、入射面ともいう。)15aと、この入射面15aから入射した光を出射する出射面15bと、出射面15bに対向する底面15cとを有する。本実施形態では、出射面15bは、入射面15aに略直交するように配置されている。
【0045】
反射シート16は、導光体15の底面15cを覆い、光源14を囲んで、導光体15の出射面15bまで延びている。反射シート16の端部16aは、両面接着テープ1を介して、導光体15に接着されている。詳細には、導光体15の側面(入射面)15a側における出射面15b上で、反射シート16は導光体15に接着されている。なお、両面接着テープ1は、光源14よりも内側になるように、反射シート16に貼り付けられる。
【0046】
両面接着テープ1の幅方向(長手方向に対して略直交する方向)における内側端部1aは、反射シート16の端部16aと面一または端部16aよりも外側になるように設定される。両面接着テープ1の内側端部1aが反射シート16の端部16aを超えると、光源14から出射された光が両面接着テープ1内を導光し、光漏れを生じる。これにより、光源14周辺の輝度むらを生じる。また、有効画面領域が狭小化される。
【0047】
両面接着テープ1は、反射シート16と導光体15とを固定しているので、光源14からの光が直接的に、あるいは導光体15内を導光してきた光が間接的に、暴露される。両面接着テープ1の接着層3,4は、紫外線吸収剤を含有する。例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、光源14から出射された光のうち、水銀の輝線である274、312、365nm線を有効に吸収することができる。しかし、液晶表示装置10内の光源14周辺は、光源14の発熱によって、液晶表示装置10の外部温度よりも高い温度となる。光源14からの紫外線や熱がトリガーとなって、接着層3,4内にラジカルが発生すると、光熱化学反応がおこり、粘着剤成形時の各種添加剤やその未反応物等の副生成物が生成する。このような光熱化学反応を放置した場合、接着層3,4の粘着力低下に直結する。その結果、反射シート16と導光体15とが剥がれて、液晶表示装置10の表示品位を悪化させる。接着層3,4内に発生したラジカルを中和安定化させて、光熱化学反応を抑制し、長期に渡り悪条件下でも粘着力を維持するために、(光)安定剤を接着層3,4中に添加する。
【0048】
接着層3,4の層厚は、それぞれ20μm以上100μm以下の範囲内で適宜決定される。但し、導光体15側における接着層(例えば図1中の接着層4)の膜厚は、反射シート16側における接着層(例えば図1中の接着層3)の膜厚よりも大きくすることが好ましい。例えば、25μmのシート基材1を用いて総厚で75μmの両面接着テープを作製する場合、反射シート16側の接着層3の膜厚を20μm、導光体15側における接着層4の膜厚を30μmにする。言い換えれば、より光源14に近い方の接着層の膜厚を30μm以上100μm以下、好ましくは50μm以上80μm以下にする。
【0049】
導光体15側の接着層を厚くする理由として、両接着層の養生時間の差異が挙げられる。一般に、両面接着テープ1は、反射シート16の加工とともに、貼付け加工される。貼付け加工されてからバックライトとして組み立てられるまでには、時間を要する。したがって、反射シート16に貼り付けられた、両面接着テープ1の接着層3は、十分な養生時間を確保できるので、十分な粘着保持力が生じる。しかし、導光体15の出射面15bと両面接着テープ1とを貼り付けても、すぐには十分な粘着保持力は生じない。よって、導光体15の出射面15bに接する、両面接着テープ1の粘着層4の膜厚を、反射シート16側の粘着層3の膜厚よりも大きくして、初期粘着力を向上させるのが好ましい。
【0050】
本実施形態の透過型液晶表示装置10には、透過型液晶表示パネル11と、照明装置(バックライト)12との間に、下拡散シート17、プリズムシート18および上拡散シート19が配置されている。下拡散シート17には、ツジデン社製D114を用い、プリズムシート18には、住友3M社製BEF2を用い、上拡散シート19には、ツジデン社製D124を用いることができる。本実施形態の液晶表示装置10は、上記ランプ電流値のとき、液晶表示装置中央部で輝度380cd/m、色度(x=0.313, y=0.329)となる。
【0051】
本実施形態の透過型液晶表示装置10の動作について簡潔に説明する。光源14から出射され、入射面15aから導光体15内に入射した光は、導光体15の底面15cや反射シート16により反射されて、出射面15bから出射される。出射面15bから出射された光は、下拡散シート17、プリズムシート18および上拡散シート19を順次透過して、液晶表示パネル11に向かう。液晶表示パネル11は、画素毎に光の変調を行って、画像を表示する。これにより、観察者は、液晶表示パネル11に表示された画像を視認することができる。
【0052】
(実施形態3)
実施形態3は、他の照明装置が組み込まれた表示装置に係る実施形態である。図3は、実施形態3の表示装置を模式的に示す断面図である。なお、図3中、実施形態2の液晶表示装置10の構成要素と実質的に同じ機能を有する構成要素を同じ参照符号で示し、その説明を省略する。
【0053】
本実施形態の導光体25は、楔導光体であり、液晶表示パネル11側の出射面25bはプリズム面である。導光板25は、光源14側の入射面25aと、液晶表示パネル11側に配置された出射面25bと、出射面25bに対向する底面25cと、入射面25aに対向する対向面25dと、入射面、出射面および対向面を介して互いに対向する第1側面および第2側面(いずれも不図示)とを有する。導光板25は、入射面25aから遠ざかるにつれて出射面25bと底面25cとの間隔が狭くなる楔型の形状を有している。また、導光体25の底面15c側には、反射用ピットが形成されている。
【0054】
反射シート16は、導光体25の底面25cを覆い、光源14を囲んで、導光体25の出射面25bまで延びている。反射シート16の端部16aは、両面接着テープ1を介して、導光体25の出射面25bに接着されている。両面接着テープ1が貼り付けられるプリズム面(出射面)25bには、ピッチが50μm、プリズム高さが略20μmのプリズムが形成されている。このプリズム形成面25bと反射シート16とを両面接着テープ1で接着固定する。両面接着テープ1の粘着層の厚さは、実施形態1と同様に、反射シート16側を20μm、導光体25側を30μmとする。
【0055】
また、反射シート16は、導光体25の対向面25dと、両面接着テープ1を介して、接着固定されている。対向面25d側の出射面25bと、反射シート16の端部とが、面一となるように配置されている。対向面25dに貼り付けられた両面接着テープ1の端部が、反射シート16の端部16aと面一または端部16aよりも底面25c側になるように設定される。
【0056】
光源14は、直径が1.8mm、ランプ電流(実効)が5.0mArms 、ランプ面輝度が約43,000cd/mである。この光源14を液晶表示装置20の長辺側に2灯使用している。反射シート16は、楔導光体25および線状光源14を覆うように、折曲加工して配置されている。反射シート16としては、188μmの発泡PET(東レ社製)を使用することができる。下拡散シート17には、きもと社製のライトアップ100MXAを用い、プリズムシート18には、住友3M社製BEF3を用い、上拡散シート19には、きもと社製のライトアップ100TL4を用いることができる。本実施形態の液晶表示装置10は、上記ランプ電流値のとき、液晶表示装置中央部で輝度420cd/m、色度(x=0.313, y=0.329)となる。
【0057】
(実施例1)
下記の表1に示す粘着剤を用いて、可視光領域でほぼ透明な両面接着テープを作製した。なお、シート基材2には、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を含有する、膜厚25μmのPETフィルムを用いた。接着層3,4の膜厚は、一方の接着層を20μm、他方の接着層を30μmとした。両面接着テープの幅は、1.5mmとした。
【0058】
【表1】

【0059】
表1中、チヌビン1130は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(常温で液体)であり、チヌビン123は、ヒンダードアミン系光安定剤(常温で液体)である。
【0060】
(実施例2および3)
粘着剤に添加する紫外線吸収剤として、トリアジン系紫外線吸収剤(実施例2)、またはシアノアクリレート系紫外線吸収剤(実施例3)に変更した以外は、実施例1と同様にして、両面接着テープをそれぞれ作製した。
【0061】
(比較例1および2)
粘着剤に対しヒンダードアミン系光安定剤の添加をしなかった以外(比較例1)、または紫外線吸収剤とヒンダードアミン系光安定剤の添加をしなかった以外(比較例2)は、実施例1と同様にして、両面接着テープをそれぞれ作製した。
【0062】
(試験例1)
実施例1〜3ならびに比較例1および2に示した両面接着テープを用いて、以下の紫外線暴露加速試験を行った。
【0063】
〔紫外線暴露加速試験〕
この試験は、液晶表示装置のCCFTを10,000時間点灯したときに相当する紫外線を照射する加速試験である。使用した試験機は、岩崎電気社製のアイスーパーUVテスターSUV−F1型であり、放射紫外線強度100±5mW/cm(295〜450nm)、サンプル設置場所の温度+63℃、暴露時間50時間(液晶表示装置では10,000時間に相当する)で行なった。加速試験後の両面接着テープの変色具合を測定するために、測色計としてミノルタ社製のCM2002を使用した。測定条件はSCEモードで、光源はF10、立体角2°とした。加速試験後の両面接着テープを測色する際、サンプルの下に東レ製の耐光性反射シート(188μm)をセットし、同一条件で測定できるようにした。紫外線暴露1時間後、17時間後および50時間後における黄変度(YI値)、色度(x)および色度(y)をそれぞれ測定した。また、加速試験後のタックの有無を指触により調べた。
【0064】
黄変度(YI値)、色度(x)および色度(y)のデータを示す表を図4に示すとともに、図4のデータをグラフ化したものを図5に示した。さらに、表2に、点灯累積時間経過後の変化、言い換えれば黄変度の初期値(紫外線暴露1時間後)から50時間後の変化(ΔYI値)を示すとともに、タックの有無(指触性)を示した。
【0065】
【表2】

【0066】
表2中、「黄変度」の欄における「◎」はΔYI値が約1以下であることを、「○」はΔYI値が約5以下であることを、「X」はΔYI値が約50以上であることを、それぞれ示す。また、「指触性」の欄における「○」は指触性が良好であることを、「X」は接着層が硬化したために指触性がないことを、それぞれ示す。
【0067】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を用いることによって、紫外線暴露加速試験による光学シフト量を色度(x,y)≦±0. 003にすることができた(図4参照)。
【0068】
(試験例2)
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の添加量を種々変更し、実施例1と同様にして、両面接着テープを作製した。これら両面接着テープについて、試験例1と同様に紫外線暴露加速試験を行った。その結果を図6および図7に示した。
【0069】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を6wt%添加することによって、紫外線暴露加速試験による光学シフト量を色度(x,y)≦±0. 003にすることができた(図6参照)。
【0070】
(試験例3)
紫外線吸収剤またはヒンダードアミン系光安定剤の添加量を下記の表3〜表5に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、両面接着テープを作製した。これら両面接着テープについて、試験例1と同様に紫外線暴露加速試験を行った。
【0071】
【表3】

【0072】
【表4】

【0073】
【表5】

【0074】
表4中、チヌビン328は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(常温で固体)である。表3〜表5において、「黄変度」の欄における「◎」はΔYI値が約1以下であることを、「○」はΔYI値が約5以下であることを、「△」はΔYI値が約15以下であることを、それぞれ示す。また、「○(白化)」は、透明粘着剤が白化することを示す。表3〜表5において、「指触性」の欄には、指触性が良好から不良までを◎、○、△、Xのランク順で表記した。なお、指触性(タック)が高くても、粘着剤が軟化した場合には、評価を1ランク下げて表記した。常温で粘着剤が軟化している場合には、照明装置に用いたとき、光源の熱によりさらに柔らかくなり、凝集性が低下する。凝集性が低下すると、粘着剤が反射シートの端部からはみ出すおそれがある。また、反射シートと導光体との位置ずれが発生するおそれがある。したがって、実用面で問題が生じるので、粘着剤が軟化した場合には、評価を下げて表記することとした。
【0075】
(試験例4)
実施例1の両面接着テープと、市販されている両面接着テープとをそれぞれ用いて、実施形態1の液晶表示装置をそれぞれ製造した。これら液晶表示装置について、以下の自動車環境試験を行った。なお、市販の両面接着テープとして、銘柄A(日東電工社製のMC2030)および銘柄B(3M社製のNo.4597 )を用いた。
【0076】
〔自動車環境試験〕
自動車環境試験では、80℃の温度条件下、液晶表示装置のCCFT(定格電流)を1000時間点灯する。バックライトに使用するCCFTの管電流(実効)を6.5mArms として試験を行なった。自動車環境試験終了後の液晶表示装置の変色具合を以下の条件で測定する。点灯開始から30分後に、輝度、色度(x、y)、色温度を測定する。測定機器はTOPCON社製のBM7を使用した。使用したインバータは、ハリソン東芝ライティング社製HIU−288(周波数F=50KHz)である。インバータ供給用電源は、KENWOOD社製を使用した。測定器は、液晶表示装置の表示面から法線方向に40cm離して設置し、測定視角2°で測定を行った。インバータ供給用電源は、8V〜10Vの範囲で調整した。測定は、室温下(+25℃±2℃の範囲)で行った。
【0077】
自動車環境試験後の液晶表示装置の輝度および光学シフト量を図8および図9に示した。実施例1では、自動車環境試験開始10時間後から1000時間後までの間の光学シフト量を色度(x,y)≦±0. 018にすることができた(図8参照)。
【0078】
両面接着テープに起因する光学的影響だけを調べるために、自動車環境試験に使用したバックライトの両面テープを取り外して、新品のバックライト組品に試験後の両面接着テープを貼り付けて、光学評価を行った。そのときの光学シフト量を図10および図11に示した。
【0079】
実施例1では、両面接着テープのみに起因する光学シフト量を色度(x,y)≦±0. 003にすることができた(図10参照)。
【0080】
本試験例の結果から、銘柄Aおよび銘柄Bの両面接着テープでは、テープ自体がかなり黄変していることが判る。また、反射シートと導光体とが剥がれているので、パネル中央の輝度が半分程度まで低下し、色度(x)および色度(y)がともに大幅に増加している。そのため、液晶表示装置にまで黄変現象が影響していた。
【0081】
一方、本発明の両面接着テープを用いた液晶表示装置では、試験後の光学特性が初期の光学特性とほとんど変化しておらず、良好な結果を得ることができた。よって、本発明によれば、無黄変の液晶表示装置を提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施形態1の両面接着テープを模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態2の表示装置を模式的に示す断面図である。
【図3】実施形態3の表示装置を模式的に示す断面図である。
【図4】試験例1の結果を示す表である。
【図5】図4をグラフ化したものである。
【図6】試験例2の結果を示す表である。
【図7】図6をグラフ化したものである。
【図8】試験例4の結果を示す表である。
【図9】図8をグラフ化したものである。
【図10】両面接着テープに起因する光学的影響だけを調べた場合の結果を示す表である。
【図11】図10をグラフ化したものである。
【符号の説明】
【0083】
1 両面接着テープ
2 シート基材
3,4 接着層
10,20 透過型液晶表示装置
11 透過型液晶表示パネル
12 照明装置
14 光源
15,25 導光体
15a 入射面
15b 出射面
16 反射シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射された光を受ける少なくとも1つの側面と、前記少なくとも1つの側面から入射した光を出射する出射面と、を有する導光体と、
前記光源を囲み、両面接着テープを介して、前記導光体に接着された反射シートと、を有する、照明装置であって、
前記両面接着テープは、テープ基材の両面にそれぞれ接着層が形成され、
前記接着層は、2wt%以上10wt%以下の紫外線吸収剤と、0.5wt%以上10wt%以下のヒンダードアミン系光安定剤と、を含有する、照明装置。
【請求項2】
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系およびシアノアクリレート系からなる群から選ばれる少なくとも1の紫外線吸収剤である、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記テープ基材は、紫外線吸収剤を含有するポリエチレンテレフタレートフィルムであり、前記接着層は、アクリル系接着剤を含有する、請求項1または2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記基材の一方面に形成された前記接着層の膜厚が30μm以上100μm以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記両面接着テープの紫外線暴露加速試験による光学シフト量は、色度(x,y)≦±0.003である、請求項1から4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記両面接着テープは、前記導光体側における前記接着層の膜厚が30μm以上100μm以下である、請求項4に記載の照明装置。
【請求項7】
前記反射シートは、前記側面側における前記出射面上で、前記導光体に接着されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
自動車環境試験による光学シフト量は、色度(x,y)≦±0.018であり、前記両面接着テープのみに起因する光学シフト量は、色度(x,y)≦±0.003である、請求項1から7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の照明装置と、前記照明装置に対して前記出射面側に配置され、前記照明装置から出射された光を変調する表示パネルと、を備える、表示装置。
【請求項10】
請求項6に記載の照明装置を製造する方法であって、
前記反射シートの所定位置に、前記両面接着テープを貼り付ける工程と、
前記反射シートに貼り付けられた前記両面接着テープと前記導光体とを貼り合わせる工程と、を含む、照明装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−311235(P2008−311235A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−190465(P2008−190465)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【分割の表示】特願2002−182794(P2002−182794)の分割
【原出願日】平成14年6月24日(2002.6.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(391046562)株式会社倉本産業 (18)
【Fターム(参考)】