説明

照明装置及び投写型映像表示装置

【課題】
補助光源を用いて色再現性を高めることができる照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】
この照明装置は、略平行光を出射する白色の第1光源11と、第1光源11からの出射光を反射して特定方向に導く光学要素23aが所定間隔で複数形成された光学部材23と、光学要素23a間に配置され特定方向と平行な方向に略平行光を出射する共に第1光源11における色再現性の観点から不足するとされる波長成分の光を出射する第2光源24と、を有することを特徴とする。また、投写型映像表示装置は、この照明装置と、照明装置から出射された光を変調する光変調素子5と、光変調素子5から出射された映像光を投写する投写レンズと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明装置及び投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタなどに用いられる照明装置としては、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等の白色ランプと、その照射光を平行光化するパラボラリフレクタから成るものが一般的である。更に、近年においては、発光ダイオード(LED)を補助光源とし、白色ランプ(特に、水銀系放電ランプ)における色再現性の観点から不足するとされる波長成分を補うことが考えられている(特許文献1参照)。また、照明装置として複数の光源を用いる多灯式照明装置を用いる投写型映像表示装置が在る(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2002−174854号公報
【特許文献2】特開2002−296679号公報
【特許文献3】特開2001−305656号公報
【特許文献4】特開2000−305040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、発光ダイオードなどを補助光源として用いて白色光源における色再現性を向上させることにおいては更なる改善が求められている。
【0004】
この発明は、上記の事情に鑑み、補助光源を用いて色再現性を高めることができる照明装置及びこれを用いた投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の照明装置は、上記の課題を解決するために、略平行光を出射する第1光源と、前記第1光源からの出射光を特定方向に導く光学要素が所定間隔で複数形成された光学部材と、前記光学要素間に配置されて前記特定方向と平行な方向に略平行光を出射する第2光源群と、を有して成り、前記第1光源として白色光源を備え、前記第2光源群として前記白色光源における色再現性の観点から不足するとされる波長成分の光を出射する補助光源を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、この発明の照明装置は、略平行光を出射する白色の第1光源と、前記第1光源からの出射光を反射して特定方向に導く光学要素が所定間隔で複数形成された光学部材と、前記光学要素間に配置され前記特定方向と平行な方向に略平行光を出射する共に前記第1光源における色再現性の観点から不足するとされる波長成分の光を出射する第2光源と、を有することを特徴とする。
【0007】
上記の構成であれば、白色光源からの白色光に補助光源からの補助光が前記光学部材によって無駄無く利用されて一光軸上に合成される。前記補助光源は略平行光を出射する固体光源を複数個配置して成るものでもよい。
【0008】
また、この発明の投写型映像表示装置は、照明装置から出射された光をライトバルブにより変調して投写する投写型映像表示装置において、前記照明装置として上述のいずれかの照明装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、補助光源を用いて色再現性を高める照明を行うことが可能になり、投写型映像表示装置において高品質な映像投影が行えるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態の照明装置及び投写型映像表示装置を図1及び図2に基づいて説明していく。
【0011】
図1は、この発明の実施形態の照明装置及び投写型映像表示装置を示した概略の構成図である。照明装置1は、白色光源11と、補助光源12と、反射合成部13と、を備えて成る。そして、投写型映像表示装置10は、上記照明装置1と、インテグレータレンズ14と、偏光変換装置15と、コンデンサレンズ2,3,4と、液晶表示パネル5と、投写レンズ6とを備えて成る。なお、かかる図では、説明の簡略化のために単板構成的に光学系を示しているが、いわゆる三板式構成においては、色分離光学系と色合成系とが加わる構成となる。
【0012】
インテグレータレンズ14は、一対のフライアイレンズ14a,14bから成り個々の凸レンズ対が光源11,12からの光を液晶表示パネル5の全面に照射するように設計され、光源11,12から出射された光に存在する部分的な輝度ムラを平均化して画面中央と周辺部とでの光量差を低減すると共に補助光源12の色光を白色光にムラなく混合するようになっている。
【0013】
偏光変換装置15は、偏光ビームスプリッタアレイ(以下、PBSアレイと称する)によって構成される。PBSアレイは、偏光分離膜と位相差板(1/2λ板)とを備える。PBSアレイの各偏光分離膜は、インテグレータレンズ14からの光のうち例えばP偏光を通過させ、S偏光を90°光路変更する。光路変更されたS偏光は隣接の偏光分離膜にて反射され、その前側(光出射側)に設けてある前記位相差板によってP偏光に変換されて出射される。一方、偏光分離膜を透過したP偏光は、そのまま出射される。すなわち、この場合には、ほぼ全ての光はP偏光に変換される。上記の例では、全ての光をP偏光に変換する構成としたが、位相差板位置をP偏光出射位置に設けることで、全てS偏光に変換する構成とすることができる。
【0014】
上記照明装置1から出射された光は、コンデンサレンズ2,3,4を経て液晶表示パネル5に至る。この液晶表示パネル5に入射した光は各画素において設定された光透過率に従って光強度変調を受けて映像光となり、投写レンズ6によって図示しないスクリーンに投影される。
【0015】
以下、照明装置1について詳しく述べていく。前記白色光源11における発光部は、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等から成り、その照射光はパラボラリフレクタによって略平行光となって出射される。
【0016】
また、補助光源12は、LEDチップ12a…がアレイ状に配置されると共に各LEDチップ12aの光出射側に平行光化用のレンズセル12b…を配置して成るものである。補助光源12は例えばインテグレータレンズ14と相似形に形成される。LEDチップ12a…は透明樹脂によりモールドされており、この透明樹脂が凸状に形成されて前記レンズセル12b…を成している。
【0017】
LEDチップ12aとしては、白色光源11において色再現性の観点から不足するとされる赤色波長成分を出射するものを選んでいる。勿論、同一波長の光を出射するLEDチップだけを設けるのではなく、赤色光範囲で互いに出射光波長が異なるLEDを配置してもよい。また、複数のLEDを群に分けて選択的に通電が行なえるようにスイッチを設け、選択的に発光させることができるようにしてもよい。これによれば、所定の波長成分の光量を増減して色再現調整範囲の拡大を図ることができる。なお、個々に作製されたモールド済みLEDをアレイ状に配置して補助光源12とすることもできる。
【0018】
反射合成部13は、例えば、ガラス基板表面に多数の三角柱状部を条設し、前記三角柱状部における山形に向かい合う面に高反射率を有する反射膜を蒸着し、当該面を第1,第2反射面13a,13bとした構造を有する。そして、光源11,12は、当該光源11から出射される光束の光軸と当該光源12から出射される光束の光軸とが共に反射合成部13の反射面13a,13bと垂直な平面上において垂線O(図では反射光の光軸と垂線Oを共通化して示している)と所定の角度αをなすように、対称に配置されている。また、白色光源11から出射された光は反射面13aに反射されて垂線Oに平行な方向に反射され、補助光源12から出射された光は反射面13bに反射されて垂線Oに平行な方向に反射されるように、前記三角柱状部における山形に向かい合う面(反射面13a,13b)の角度(頂角)及び光源11,12の位置が設定されている。すなわち、反射合成部13によって、白色光源11からの出射光と補助光源12からの出射光とが一光軸上で無駄なく合成される。
【0019】
なお、上記実施例では、反射合成部13を用いて第1,第2光源11,12の両光を合成するようにしたが、例えばガラス基板表面に多数の三角柱状部を条設した透明部材を用い、第1,第2光源11,12の両光を透過屈折させて合成するようにしてもよいものである。
【0020】
図2に他の実施形態を示す。この図2に示す反射合成部23は、前述の反射合成部13において第1反射面13aを残して反射面23aとし、第2反射面13bが位置していた領域に凹部23bを形成したものに相当する。各凹部23b…にはモールド済みLED24…が設けられている。
【0021】
白色光源11から出射された光は反射面23aによって反射される。LED24…は前記反射の方向と平行な方向に略平行光を出射する。LED24…は補助光源を成すものであり、白色光源11における色再現性の観点から不足するとされる波長成分の光を出射する。白色光及び補助光は図示しないインテグレータレンズによってムラなく混合されて液晶表示パネルに導かれる。
【0022】
なお、以上の実施形態においては、透過型の液晶表示パネル5を用いたが、これに限るものではなく、反射型の液晶表示パネルを用いてもよいし、或いは、液晶表示パネルに代えて例えば微小ミラーを個別に駆動するタイプの光変調素子を用いてもよいものである。また、固体光源は発光ダイオード(LED)に限るものではない。また、点光源に限らず、面光源(有機EL等)を補助光源としてもよいものである。また、色純度が高い固体光源を補助光源として用いるのがよいが、色純度が高いのであればランプ光源を補助光源として用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施形態の照明装置及び投写型映像表示装置の光学系を示した説明図である。
【図2】この発明の他の実施形態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 照明装置
2,3,4 コンデンサレンズ
5 液晶表示パネル
6 投写レンズ
10 投写型映像表示装置
11 白色光源
12 補助光源(12a:LEDチップ,12b:レンズセル)
13 反射合成部(13a:第1反射面,13b:第2反射面)
14 インテグレータレンズ
15 偏光変換装置
23 反射合成部(23a:反射面,23b:凹部)
24 LED


【特許請求の範囲】
【請求項1】
略平行光を出射する第1光源と、前記第1光源からの出射光を特定方向に導く光学要素が所定間隔で複数形成された光学部材と、前記光学要素間に配置されて前記特定方向と平行な方向に略平行光を出射する第2光源と、を有して成り、前記第1光源として白色光源を備え、前記第2光源として前記白色光源における色再現性の観点から不足するとされる波長成分の光を出射する補助光源を備えたことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
略平行光を出射する白色の第1光源と、
前記第1光源からの出射光を反射して特定方向に導く光学要素が所定間隔で複数形成された光学部材と、
前記光学要素間に配置され前記特定方向と平行な方向に略平行光を出射する共に前記第1光源における色再現性の観点から不足するとされる波長成分の光を出射する第2光源と、
を有することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明装置において、
前記第2光源は固体光源であることを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の照明装置と、
前記照明装置から出射された光を変調する光変調素子と、
前記光変調素子から出射された映像光を投写する投写レンズと、
を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−66300(P2008−66300A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−216369(P2007−216369)
【出願日】平成19年8月22日(2007.8.22)
【分割の表示】特願2003−335242(P2003−335242)の分割
【原出願日】平成15年9月26日(2003.9.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】