説明

照明装置及び発光装置の作製方法及び製造装置

【課題】フルカラー表示を行う発光装置と、照明装置では、用いる蒸着マスクの開口サイズが異なる。従って別々の蒸着マスクが必要であり、一度に大量の基板を処理する場合には、処理基板枚数に合わせて蒸着マスクを多数用意するため、装置全体のフットプリントが増大することを解決することを課題の一つとする。
【解決手段】カラーフィルタと白色発光素子とを組み合わせることでフルカラーの表示装置を作製する。こうすることで、発光装置の製造ラインと、照明装置の製造ラインと、を一部共通させ、製造装置全体のフットプリントを削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、エレクトロルミネセンス(EL)を発現する発光部材を含む照明装置及び発光装置に関する。また、照明装置及び発光装置の作製に用いられる製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を発光体として用いた発光素子は、次世代の照明への応用が期待されている。有機化合物を発光体として用いた発光素子は、低電圧、低消費電力駆動などの特徴を有している。
【0003】
発光素子を構成するEL層は、少なくとも発光層を有する。また、EL層は、発光層の他に、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層などを有する積層構造とすることもできる。
【0004】
発光素子の発光機構は、一対の電極間にEL層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔がEL層の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に緩和する際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
【0005】
また、このような発光素子においては、一対の電極および発光層を膜状に形成するため、大面積の発光素子を形成することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLED(点光源)、あるいは蛍光灯(線光源)などの光源では得難い特色であるため、上述した発光素子は照明等の光源としての利用価値が高い。
【0006】
また、薄型軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの特徴を有する有機化合物を発光体として用いた発光素子は、次世代のフラットパネルディスプレイへの応用が期待されている。特に、発光素子をマトリクス状に配置した表示装置は、視野角が広く視認性が優れている。
【0007】
近年、フルカラー表示できるディスプレイを実現するため、様々な構成が提案されている。例えば、白色発光素子とカラーフィルタを組み合わせてフルカラー表示を行う構成や、赤色の発光層、緑色の発光層、青色の発光層の3つの発光層を並べてフルカラー表示を行う構成が検討されている。
【0008】
また、赤色、緑色、青色に白色をいれた4色の画素を有する画素群で構成する有機発光デバイスは特許文献1に開示されている。
【0009】
また、複数の異なる色に発光するEL素子を有する発光装置において、少なくとも一つのEL素子は、トリプレット化合物を有し、その他のEL素子はシングレット化合物を有するカラー表示装置は特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願第2002/0186214号明細書
【特許文献2】特開2002−62824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
フルカラー表示を行う発光装置は、赤色発光素子、青色発光素子、および緑色発光素子を複数並べて配置する場合、蒸着マスクを用いて選択的に成膜を行う。
【0012】
また、照明装置は、複数の白色発光素子を並べて配置することとなる。複数の白色発光素子を形成する場合も、それぞれの発光層を選択的に成膜するため、蒸着マスクを用いる。
【0013】
フルカラー表示を行う発光装置と、照明装置では、用いる蒸着マスクの開口サイズが異なる。従って別々の蒸着マスクが必要であり、一度に大量の基板を処理する場合には、処理基板枚数に合わせて蒸着マスクを多数用意することとなる。また、赤色発光素子、青色発光素子、および緑色発光素子を形成するための発光物質を含む有機層の形成は、混色を防ぐために別々の蒸着装置が必要であり、装置全体のフットプリントが増大する。また、蒸着装置には、蒸着室だけではなく、蒸着マスクの位置合わせのためのアライメント手段を設ける場所や、様々な蒸着マスクをストックするための場所も確保する必要があるため、装置全体のフットプリントが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
カラーフィルタと白色発光素子とを組み合わせることでフルカラーの表示装置を作製することができる。こうすることで赤色発光素子形成用の蒸着マスク、青色発光素子形成用の蒸着マスク、および緑色発光素子形成用の蒸着マスクを用いることなく、フルカラーの表示装置を作製する。赤色発光素子形成用の蒸着マスク、青色発光素子形成用の蒸着マスク、および緑色発光素子形成用の蒸着マスクを用いる場合、位置合わせのマージンが必要であるため、隣り合う異なる発光領域との間隔が広くなる。一方、これらの蒸着マスクを用いないのであれば、位置合わせのマージンが不要となり、高精細化ができる。
【0015】
また、蒸着膜が分断される逆テーパ形状またはT字形状の隔壁を利用することによって、発光物質を含む有機層を選択的に形成し、蒸着マスクを用いることなく、白色発光素子を形成し、照明装置及びフルカラーの表示装置を作製する。
【0016】
従って、発光装置の製造ラインと、照明装置の製造ラインと、を一部共通させることができるようになる。一部共通化させることで、製造装置全体のフットプリントを削減する。
【0017】
発光物質を含む有機層を形成する複数の蒸着室は、直列に連結し、インライン方式の製造装置とする。インライン方式の製造装置を用いれば、照明装置または表示装置の大面積化も可能である。各蒸着室間はゲートバルブで仕切られていてもよい。
【0018】
本明細書で開示する本発明の一態様は、ロード室、該ロード室に連結された搬送室、該搬送室に直列に連結された複数の蒸着室と、バッチ式により保護層を形成するスパッタ室と、光学部材を貼りつけた基材を用いて発光素子の封止を行う封止室と、を有することを特徴とする製造装置である。
【0019】
また、上記搬送室、蒸着室、スパッタ室、及び封止室の内部および間において、基板が通過または保管されている間、基板が大気にふれないように密閉されている。
【0020】
また、可撓性基材の一つであるフレキシブルなフィルム基板を用いた表示装置や、照明装置も作製することができる。
【0021】
フレキシブルなフィルム基板を用いた表示装置や、照明装置も作製する場合、さらに上記製造装置の封止室に連結する剥離室や、剥離室に連結する可撓性基材を貼り付けるための貼り合わせ室を設ければよい。
【発明の効果】
【0022】
蒸着マスクを用いずに表示装置や、照明装置を作製することができる。また、蒸着マスクを用いないため、発光装置の製造と、照明装置の製造とを両方行う製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一態様を示す製造装置の上面図の一例である。
【図2】本発明の一態様を示すスパッタ室の一部を示す模式図である。
【図3】本発明の一態様を示す表示装置の上面図及び断面図の一例である。
【図4】本発明の一態様を示す有機層を示す断面図である。
【図5】本発明の一態様を示す成膜の様子を示す模式図と、照明装置の断面図の一例である。
【図6】本発明の一態様を示す製造装置の上面図の一例である。
【図7】本発明の一態様を示す表示装置の断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
発光素子を作製し、発光素子の封止を行うまでのインライン方式の製造装置の上面図の一例を図1に示す。
【0026】
トランジスタ、第1の電極層(反射電極)、及び隔壁が形成されている複数枚の基板を基板投入室(ロード室)にセットし、発光素子を形成し、封止を行って上方射出型の発光装置を作製するまでの流れを以下に簡略に説明する。
【0027】
まず、用いる基板のサイズに合わせて基板投入室221、222、223のいずれか一に複数の基板をセットする。例えば、基板投入室221、222、223にセット可能な基板のサイズは、300mm×360mm、600mm×720mm、620mm×750mmなどとする。
【0028】
そして、搬送室236に設けられた搬送ロボットによりロードロック室225に基板を導入する。ロードロック室225では、前処理として基板に付着している水分などを除去する真空ベークなどを行う。
【0029】
次いで、蒸着室200内に基板を搬送し、蒸着を順次行う。図1では、14個の蒸着室200〜213が直列に接続されており、搬送された基板上に発光物質を含む有機層を適宜成膜する。
【0030】
蒸着室で成膜を行う際、フェイスダウン方式(デポアップ方式ともいう)とすることが好ましく、基板は、被成膜面を下向きにしてセットされている。フェイスダウン方式とは、基板の被成膜面が下を向いた状態で成膜する方式をいい、この方式によればゴミの付着などを抑えることができる。
【0031】
そして、蒸着を終えた基板は、搬送室239に搬送され、その後、搬送室240を経てスパッタ前室である搬送室241に導入される。
【0032】
スパッタ前室である搬送室241では、基板の向きを変えて複数の基板とマスクを基板フォルダにセットし、且つ、スパッタ室内に複数の被処理基板を基板フォルダごと搬送する機構を有する。
【0033】
また、搬送室241には、排気手段が接続され、搬送室241と連結しているスパッタ室内と同じ真空度となるように減圧が行われる。スパッタ室214、215、216のいずれか一で第2の電極層(透光性を有する電極)を形成する。第2の電極層としては、スパッタリングターゲットとしてアルミニウム、インジウム錫酸化物(以下、ITOと呼ぶ)や酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いる。
【0034】
スパッタ室214〜216の一つの構成例を図2に示す。なお、図2は、スパッタ室の内部に配置されている部材の位置関係を示す図である。図2に示すスパッタ室で成膜を行うことによって、発光物質を含む有機層へのスパッタダメージを抑制することができる。
【0035】
スパッタ室内において、基板フォルダ15の固定部材14に固定された複数の基板13を挟むように一対のスパッタリングターゲット11、12を配置する。即ち、図2に示すように、基板フォルダは、基板の表面に対してスパッタリングターゲット表面が概略垂直な位置関係となるように配置されている。
【0036】
図2では、5枚の基板を1ユニットとして基板フォルダに収納し、基板フォルダごと図2中の矢印の方向に移動させて成膜を行う例を示している。基板フォルダを移動させる機構を設けることに限定されず、相対的に移動することができればよいため、一対のスパッタリングターゲットを移動させてもよいし、両方が移動できる機構としてもよい。
【0037】
スパッタリング法を用いて成膜を行う成膜装置は、被処理基板を固定する基板フォルダと、スパッタリングターゲットを保持するターゲットフォルダと、ターゲットフォルダに保持されたスパッタリングターゲットに対応する電極とを有する真空ポンプなどの真空排気手段により減圧可能なスパッタ室と、その電極にスパッタリングのためのDC電圧(またはAC電圧)を印加する電力供給手段と、スパッタ室内にガスを供給するガス供給手段とを有している。
【0038】
スパッタリング法は、スパッタ室内を真空装置によって減圧させた後、アルゴンなどの希ガスを導入し、被成膜基板を陽極、スパッタリングターゲットを陰極とし、被成膜基板とスパッタリングターゲットの間にグロー放電を興してプラズマを発生させる。そして、プラズマ中の陽イオンをスパッタリングターゲットに衝突させ、弾き飛ばされるスパッタリングターゲット成分の粒子を、被成膜基板に堆積させて材料膜を形成する。
【0039】
被成膜基板に成膜される膜の膜厚は、スパッタリングターゲットとの距離に反比例する。
【0040】
成膜する際には、スパッタリングターゲットの材料にもよるが、第1のスパッタリングターゲット11と、第2のスパッタリングターゲット12の間に直流(DC)または交流(AC)を印加する。また、基板は、フローティング電位、またはグラウンドなどの固定電位とする。
【0041】
スパッタ室214、215、216で成膜を終えると、搬送室242に搬送される。
【0042】
ここまでの段階で得られる基板断面図と、その上面図を図3に示す。
【0043】
表示装置は、マトリクス状に複数配置された画素101と、画素101を囲む隔壁111(リブとも呼ぶ)を有する。明瞭化のため、図3(A)には、画素には第1の電極層103と、第1の電極層103上に破線で囲って示した発光領域と、矩形の破線で示した第1のトランジスタ120が形成された領域、矩形の破線で示した第2のトランジスタ110が形成された領域を図示している。なお、第2のトランジスタ110のゲート電極は、保持容量と、第1のトランジスタ120のドレイン電極と電気的に接続されている。また、第2のトランジスタ110のドレイン電極は、第1の電極層103と電気的に接続されている。
【0044】
図3(B)は、図3(A)中に示す切断線D−D’、及び切断線E−E’における断面概略図である。断面D−D’は、画素101に設けられる第1のトランジスタ120、及び第2のトランジスタ110を含む領域の断面概略図であり、断面E−E’は、隣接する2つの画素101と、その間の隔壁111とを含む領域の断面概略図である。
【0045】
第1のトランジスタ120は、下地絶縁層121上にゲート電極125と、ゲート電極125上にゲート絶縁層131と、ゲート絶縁層131上に酸化物半導体層123と、酸化物半導体層123と電気的に接続するドレイン電極127と、酸化物半導体層123と電気的に接続するソース電極129とを有している。
【0046】
酸化物半導体層123としては、少なくともIn、Ga、Sn及びZnから選ばれた一種以上の元素を含有する。例えば、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物半導体や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物半導体、In−Sn−Zn系酸化物半導体、In−Al−Zn系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn系酸化物半導体、Al−Ga−Zn系酸化物半導体、Sn−Al−Zn系酸化物半導体や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物半導体、Sn−Zn系酸化物半導体、Al−Zn系酸化物半導体、Zn−Mg系酸化物半導体、Sn−Mg系酸化物半導体、In−Mg系酸化物半導体や、In−Ga−O系の材料、一元系金属の酸化物であるIn系酸化物半導体、Sn系酸化物半導体、Zn系酸化物半導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にInとGaとSnとZn以外の元素、例えばSiOを含ませてもよい。
【0047】
例えば、In−Ga−Zn系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味であり、その組成比は問わない。
【0048】
また、酸化物半導体層は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Zn、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0049】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0050】
第1のトランジスタ120、及び第2のトランジスタ110のスイッチング動作により、第1の電極層103へ供給される電圧あるいは電流が制御され、画素101からの発光が制御される。なお、第1の電極層103は、第1のトランジスタ120、及び第2のトランジスタ110を覆う平坦化絶縁層133上に形成される。
【0051】
逆テーパ形状の隔壁111は、隣接する2つの画素101の第1の電極層103の端部を覆う隔壁109上に形成され、その少なくとも側面の一部が第2の電極層107と接触する。また、画素101からの発光を単色、好ましくは白色とするため、逆テーパ形状の隔壁111は、各画素101間に設けなくともよいが、第2の電極層107と共通電極とを電気的に接続させる箇所には発光物質を含む有機層105が形成されないように逆テーパ形状の隔壁111を設ける。
【0052】
本実施の形態で例示する発光素子は、第1の電極層、第2の電極層、並びに発光物質を含む有機層を備える。第1の電極層と第2の電極層は一方が陽極として機能し、他方が陰極として機能する。発光物質を含む有機層は第1の電極層層と第2の電極層の間に設けられ、該有機層の構成は第1の電極層と第2の電極層の極性、及び材質に合わせて適宜選択すればよい。以下に発光素子の構成の一例を例示するが、発光素子の構成がこれに限定されないことは言うまでもない。発光物質を含む有機層105の具体的な積層例を図4に示す。
【0053】
第1の電極層103上には、正孔注入層141と、第1発光ユニット142と、中間層143と、第2発光ユニット144と、中間層145と、第3発光ユニット146と、電子注入層147と、第2の電極層107とが順次積層されている。
【0054】
第1発光ユニット142、第2発光ユニット144、及び第3発光ユニット146は、少なくとも発光物質を含む発光層を備えていればよく、発光層以外の層と積層された構造であっても良い。発光層以外の層としては、例えば正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔輸送性に乏しい(ブロッキングする)物質、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、並びにバイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い)の物質等を含む層が挙げられる。発光物質としては、例えば、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。赤(R)緑(G)青(B)のすべての発光に燐光性化合物を用いると、高い発光効率を得ることができる。
【0055】
図4では、第1発光ユニット142、第2発光ユニット144、及び第3発光ユニット146が3つ積層された構成を有する積層型素子を示している。積層型素子の場合において、第1発光ユニット142から得られる発光の発光色と、第2発光ユニット144から得られる発光の発光色と、第3発光ユニット146から得られる発光の発光色と、を補色の関係にすることによって、白色発光を外部に取り出すことができる。なお、第1発光ユニット142、第2発光ユニット144、及び第3発光ユニット146のそれぞれが補色の関係にある複数の発光層を有する構成としても、白色発光が得られる。補色の関係としては、青色と黄色、あるいは青緑色と赤色などが挙げられる。
【0056】
正孔注入層141は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物を用いることができる。
【0057】
正孔注入層141として、正孔輸送性の高い有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料を用いることが好ましい。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。本実施の形態では、正孔注入層141としてモリブデン酸化物と芳香族アミン化合物の複合材料を用いる。
【0058】
中間層143及び中間層145は、少なくとも電荷発生領域を含んで形成されていればよく、電荷発生領域以外の層と積層された構成であってもよい。電荷発生領域は、同一膜中に正孔輸送性の高い物質とアクセプター性物質を含有する場合だけでなく、正孔輸送性の高い物質を含む層とアクセプター性物質を含む層とが積層されていても良い。なお、電荷発生領域において、正孔輸送性の高い物質に対して質量比で、0.1以上4.0以下の比率でアクセプター性物質を添加することが好ましい。電荷発生領域に用いるアクセプター性物質としては、遷移金属酸化物や元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが特に好ましい。なお、酸化モリブデンは、吸湿性が低いという特徴を有している。また、電荷発生領域に用いる正孔輸送性の高い物質としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の有機化合物を用いることができる。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。
【0059】
電子注入層147は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い物質としては、リチウム(Li)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等のアルカリ金属、アルカリ土類金属、またはこれらの化合物が挙げられる。また、電子輸送性を有する物質中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はマグネシウム(Mg)又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(Mg)を含有させたもの等を用いることもできる。本実施の形態では、第2の電極層107の形成時に受けるスパッタダメージを抑えるため、電子注入層147としてモリブデン酸化物と芳香族アミン化合物の複合材料を用いる。
【0060】
図4に示すように、発光物質を含む有機層105の一層として電荷発生層を配置すると、電流密度を低く保ったまま高輝度領域での発光が可能である。電流密度を低く保てるため、長寿命な素子を実現できる。また、電極材料の抵抗による電圧降下を小さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。
【0061】
また、本実施の形態の表示装置は、上面発光型の場合であるため、発光物質を含む有機層105からの上面発光と、第1の電極層103で反射した下面発光とが干渉して特定の波長の光が強めあうように、第1の電極層103上に光路長調整膜を形成してもよい。当該光路長調整膜は透光性を有し、発光物質を含む有機層105へのキャリアの注入に影響しない膜を用いることが好ましい。
【0062】
なお、一つの画素101は、少なくとも2つのトランジスタを有していれば良く、表示装置の駆動方法、回路構成などにより、複数のトランジスタや、容量素子などの回路素子を有していてもよい。
【0063】
そして、スパッタ室217〜220で保護層を第2の電極層上に形成する。そして、保護層の形成を終えた基板は基板ストック室238に搬送する。
【0064】
保護層としては、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または酸化アルミニウム膜を用いることができる。スパッタリングターゲットとしてシリコン、酸化シリコン、アルミニウムを用い、スパッタ室内に酸素ガス、または窒素ガスを供給すれば、保護層を形成することができる。また、アンモニアガスや、一酸化二窒素などをスパッタ室に導入して保護層の成膜を行ってもよい。
【0065】
次いで、さらなる信頼性を向上するため、封止用の基板を用いて封止を行う工程を以下に示す。
【0066】
封止用の基板は、光学部材(ここではカラーフィルタ)が予め設けられた基板を用い、その基板を基板投入室224にセットし、搬送室235に設けられた搬送ロボットによりロードロック室226に導入する。ロードロック室226では、前処理として基板に付着している水分などを除去する真空ベークなどを行う。次いで、シールパターン形成室234に搬送し、封止用の基板に所望のシールパターンを形成する。そして、封止用の基板ストック室244に搬送する。封止用の基板ストック室244ではシール材の仮硬化のためのベークや光照射を行う。
【0067】
そして、搬送室237に設けられた搬送ロボットによって、基板ストック室238に収納されている保護層が形成された基板と、封止用の基板ストック室244に収納されているシールパターンが形成された封止用の基板とを1枚ずつ取り出して、封止室230に搬入する。そして、封止室230で2枚の基板の位置合わせを行って貼り合わせて固定する。
【0068】
最後に、封止用の基板によって封止された発光素子は、基板ストック室238または封止室230から取り出す。こうして、上方射出型の発光装置を作製することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、チャネル形成領域に酸化物半導体層を用いたトランジスタを用いてアクティブマトリクス型の表示装置の作製例を示したが特に限定されず、チャネル形成領域にアモルファスシリコンや、微結晶シリコンや、ポリシリコンや、単結晶シリコンを用いたトランジスタを用いてもよい。また、形状は大型の矩形形状の基板に限定されず、例えば円形の単結晶シリコン基板やSOI基板を用いてもよい。基板の形状が異なっていても、蒸着マスクを用いているわけではないため、基板サイズに対応させれば、同じ製造装置を用いてアクティブマトリクス型の表示装置と、該アクティブマトリクス型の表示装置とは異なる基板サイズを用いた照明装置を作製することもできる。
【0070】
(実施の形態2)
実施の形態1では、アクティブマトリクス型の表示装置の作製例を示したが、本実施の形態では、同じ製造装置を用いて照明装置を作製する例を示す。
【0071】
第1の電極層(反射電極)、第1の隔壁、及び第2の隔壁が形成されている複数枚の基板を基板投入室221、222、223のいずれか一にセットし、発光素子を形成し、封止を行うまでの流れを以下に簡略に説明する。
【0072】
基板投入室にセットされた複数の基板を搬送室236に設けられた搬送ロボットによりロードロック室225に導入する。
【0073】
ロードロック室225では、前処理として基板に付着している水分などを除去する真空ベークなどを行う。次いで、蒸着室200内に搬送し、蒸着を順次行う。図1では、14個の蒸着室が直列に接続され、発光物質を含む有機層を適宜成膜する。実施の形態1と同様に白色の発光素子となるように発光物質を含む有機層を形成する。
【0074】
そして蒸着を終えた基板は、搬送室239に搬送され、その後、搬送室240を経て搬送室241に搬送する。
【0075】
次いで、本実施の形態では、上方射出型の発光素子を形成する場合であるので、第2の電極層としてITOなどを用いてスパッタ成膜を行う。スパッタ前室である搬送室241では、基板の向きを変えて複数の基板とマスクを基板フォルダにセットし、且つ、スパッタ室内に複数の被処理基板を基板フォルダごと搬送する機構を有する。また、搬送室241には、排気手段が接続され、搬送室241と連結しているスパッタ室内と同じ真空度となるように減圧が行われる。スパッタ室214、215、216のいずれか一で選択的に第2の電極層を形成する。
【0076】
図5(A)および図5(B)に第2の隔壁が設けられた基板に第2の電極層(ITOなど)をスパッタ成膜する様子を示す。図5(A)はスパッタ室内の断面構造の一部を示しており、第1のスパッタリングターゲット411上に重なるように第2のスパッタリングターゲット412が配置され、それらの間に基板400が配置される。基板400の平面は、第1のスパッタリングターゲット411の表面となす角度が約90°である。また、基板400には第2の隔壁416が設けられ、第1の電極層と第2の電極層の短絡を防止できる。
【0077】
基板400の側面及び周縁部は、額縁状の固定部材414で保護されており、第2の電極層が成膜されないようにする。特に基板400の側面及び周縁部は、スパッタリングターゲットに近く、スパッタダメージを受ける恐れがあるため、固定部材414で保護することは有用である。
【0078】
図5(B)は、スパッタ室内の上面図を示しており、第1のスパッタリングターゲット411上に6枚の大型基板が配置されている様子を示している。それぞれの基板400には額縁状の固定部材414で保護されており、覆われていない領域に第2の電極層が形成される。また、バッチ式のスパッタ装置とするため、6枚の基板を一つのカセットに収納して成膜を行ってもよい。ここでは6枚の基板を同時に成膜する例を示したが特に限定されず、基板サイズやスパッタリングターゲットサイズによって適宜変更可能である。
【0079】
第2の電極層であるITO膜の成膜後の断面構造を図5(C)に示す。ITO膜の成膜によって、ITO膜が第2の隔壁416によって分断される。第2の隔壁416は、第2の隔壁を間に挟んで配置された第2の電極層508a、508b、508c同士の短絡を防いでいる。
【0080】
図5(C)において、基板400上に、配線533が形成され、配線533を覆う平坦化層534と、平坦化層534上に配線533と電気的に接続する第1の電極層503aとを有している。また、第1の電極層503aの端部を覆う第1の隔壁507と、第1の隔壁507上に重なる第2の隔壁416が設けられている。第1の隔壁507で覆われていない第1の電極層503aの表面に接して発光物質を含む有機層502aが形成され、発光物質を含む有機層502aを覆う第2の電極層508aが形成されて第1の発光素子511が形成されている。第1の発光素子の第2の電極層508aは第2の発光素子512の第1の電極層503bに電気的に接続されており、第1の発光素子と第2の発光素子は直列に接続している。また、第2の発光素子の第2の電極層508bは、隣り合って配置されている第3の発光素子の第1の電極層503cと電気的に接続されており、第2の発光素子と第3の発光素子は直列に接続している。
【0081】
また、蒸着マスクを用いることなく、発光物質を含む有機層と、第2の電極層であるITO膜の成膜を行うため、第2の隔壁416上にも成膜される。蒸着マスクを用いなくとも第2の隔壁416によって、第1の発光素子の発光物質を含む有機層502aと、第2の発光素子の発光物質を含む有機層502bと、第3の発光素子の発光物質を含む有機層502cとの間隔を空けて形成できる。また、蒸着マスクを用いなくとも第2の隔壁416によって、第1の発光素子の第2の電極層508aと、第2の発光素子の第2の電極層508bと、第3の発光素子の第2の電極層508cとの間隔を空けて形成できる。
【0082】
そして、発光素子の第2の電極層の形成を終えた基板は、搬送室242に搬送され、その後、スパッタ室217〜220のいずれか一に導入し、そのスパッタ室で保護層を形成する。そして、保護層の形成を終えた基板は基板ストック室238に搬送する。
【0083】
発光素子の信頼性を向上するため、封止用の透光性を有する基板を用いて封止を行う工程を以下に示す。
【0084】
封止用の基板は、基板投入室224にセットし、搬送室235に設けられた搬送ロボットによりロードロック室226に導入する。ロードロック室226では、前処理として基板に付着している水分などを除去する真空ベークなどを行う。次いで、シールパターン形成室234に搬送し、封止用の基板に所望のシールパターンを形成する。そして、封止用の基板ストック室244に搬送する。封止用の基板ストック室244ではシール材の仮硬化のためのベークや光照射を行う。
【0085】
そして、搬送室237に設けられた搬送ロボットによって、基板ストック室238に収納されている保護層が形成された基板と、封止用の基板ストック室244に収納されているシールパターンが形成された封止用の基板とを1枚ずつ取り出して、封止室230に搬入する。そして、封止室230で2枚の基板の位置合わせを行った後、2枚の基板を貼り合わせて固定する。
【0086】
また、輝度の高い照明装置を作製する場合には、光学部材としてマイクロレンズアレイなどが固定された封止用の基板と封止室230で貼り合わせてもよい。また、輝度の均一性の高い照明装置を作製する場合には、光学部材として拡散板などが固定された封止用の基板と封止室230で貼り合わせてもよい。
【0087】
最後に、封止用の基板によって封止された発光素子は、基板ストック室238または封止室230から取り出す。こうして、上方射出型の発光装置である照明装置を作製することができる。
【0088】
上方射出型の発光装置である照明装置も、第1の電極層と第2の電極層の間に配置される発光物質を含む有機層の積層順番が、実施の形態1に示した表示装置と同一とすることができるため、共通の製造装置を用いて作製することができる。従って、別々の製造装置を用意しなくてもよいため、表示装置専用の製造装置と照明装置専用の製造装置の合計のフットプリントに比べて、トータルの製造装置のフットプリントを縮小できる。また、有機化合物の材料も有効に利用することができる。
【0089】
(実施の形態3)
本実施の形態ではフレキシブルなフィルム基板を用いた表示装置の作製方法の一例を以下に示す。
【0090】
第1の剥離層上にトランジスタを含む層を形成した基板を基板投入室にセットし、発光素子を形成し、第2の剥離層上にカラーフィルタを形成した封止基板を貼りあわせた後、基板を剥離して、フレキシブルな上方射出型の発光装置を作製するまでの流れを以下に簡略に説明する。図6に示す製造装置を用いて、表示装置の断面の一部を図7(A)、図7(B)、及び図7(C)を用いて説明する。なお、簡略化のため、図6において図1と同一である部分には同じ符号を用い、図7(A)、図7(B)、及び図7(C)において図3(B)と同一である部分には同じ符号を用いる。
【0091】
まず、基板100表面上に剥離層701を形成する。剥離層701は、後に形成される積層体を基板100から剥離するために形成する層である。特開2003−174153に記載の技術により、トランジスタを可撓性基材またはフレキシブルなフィルム上に設けることが可能である。本実施の形態では、剥離層701は、タングステン膜を用いる。なお、フレキシブルなプラスチックフィルム上にTFTを設ける方法は、上述(特開2003−174153)に限定されるものではない。例えば、被剥離層と基板との間に剥離層を設け、該剥離層を薬液(エッチャント)或いはエッチングガスで除去して被剥離層と基板とを分離する方法や、被剥離層と基板との間に非晶質シリコン(またはポリシリコン)からなる剥離層を設け、基板を通過させてレーザー光を照射して非晶質シリコンに含まれる水素を放出させることにより、空隙を生じさせて被剥離層と基板を分離させる方法などを用いることが可能である。
【0092】
次いで、剥離層701の表面に薄膜トランジスタの下地絶縁層121を形成する。下地絶縁層121は、薄膜トランジスタへの汚染を防ぐため、酸化シリコン、窒化シリコン、窒化酸化シリコン(SiO)等から選ばれた材料を用いて、単層膜、多層膜で形成することができる。これらの膜はCVD法やスパッタ法で形成することができる。ただし、剥離層701であるタングステン膜と接する下地絶縁層121に酸素を含まない膜を用いる場合、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶液による酸化処理により、タングステン膜表面を酸化させて酸化タングステン層を得た後、下地絶縁層121を成膜し、後の工程で基板の剥離を行う。
【0093】
次いで、下地絶縁層121上に、実施の形態1と同様に、トランジスタ、第1の電極層、隔壁109、及び隔壁111を形成する。隔壁111を形成した基板を実施の形態1と同様に、製造装置の基板投入室221、222、223のいずれか一にセットする。
【0094】
そして、蒸着室200〜213に搬送して発光物質を含む有機層105を形成した後、スパッタ室214〜216にて第2の電極層107を形成する。
【0095】
そして、スパッタ室217〜220で保護層138を第2の電極層107上に形成する。そして、保護層138の形成を終えた基板は基板ストック室238に搬送する。
【0096】
次いで、光学部材(ここではカラーフィルタ)が予め設けられた基板700を用いて貼り合わせを行う工程を図7を用いて以下に示す。なお、必要があれば、さらに光学部材として偏光フィルムが予め設けられた基板を貼り合わせてもよい。
【0097】
基板700には、剥離層702が設けられ、剥離層702上には、下地絶縁層703が設けられている。この剥離層702及び下地絶縁層703は、基板100に形成した剥離層701と下地絶縁層121と同様に作製することができる。
【0098】
そして、下地絶縁層703上にブラックマトリクス704と、第1の着色層705aと、第2の着色層705bと、オーバーコート層706が形成される。ブラックマトリクス704と、第1の着色層705aと、第2の着色層705bがカラーフィルタとして機能する。
【0099】
こうして得られた基板700を基板投入室224にセットし、搬送室235に設けられた搬送ロボットによりロードロック室226に導入する。ロードロック室226では、前処理として基板に付着している水分などを除去する真空ベークなどを行う。次いで、シールパターン形成室234に搬送し、基板700に所望のシールパターンを形成する。本実施の形態では、後の工程で基板の剥離を行うため、基板700と保護層138の間に空気が存在しないようにシール材で充填するようなシールパターンとする。勿論、このシール材は透光性を有する樹脂を用いる。そして、封止用の基板ストック室244に搬送する。封止用の基板ストック室244ではシール材の仮硬化のためのベークや光照射を行う。
【0100】
そして、搬送室237に設けられた搬送ロボットによって、基板ストック室238に収納されている保護層138が形成された基板と、封止用の基板ストック室244に収納されているシールパターンが形成された基板700とを1枚ずつ取り出して、封止室230に搬入する。そして、封止室230で2枚の基板の位置合わせを行って貼り合わせて固定する。
【0101】
封止室230において、一対の基板がシール材707で貼り合わされた状態の断面構造が図7(A)に相当する。
【0102】
そして、貼り合わされた一対の基板を第1の剥離室245に搬送する。第1の剥離室245では、剥離層701に接する層との界面における分子の結合力を弱めて基板100を分離する。本実施の形態では、第1の剥離室245において、物理的手段により基板100を剥離する。物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、何らかの力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる手段を指しており、その手段は、代表的には機械的な力を加えること(例えば人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理)である。第1の剥離室245には、基板100の剥離を行うためのきっかけを形成する装置や、基板の剥離を行う装置や、剥離を行った後の基板100の搬送手段などが設けられている。なお、剥離を行った後の基板100は、基板ストック室246に収納される。
【0103】
次いで、第1の貼り合わせ室247に搬送し、基板100が剥離されて下地絶縁層121が露出した面に可撓性基材709を固定する。可撓性基材709は、フィルム供給室248から供給し、第1の貼り合わせ室247で下地絶縁層121との貼り合わせが行われる。
【0104】
第1の貼り合わせ室247において、可撓性基材709が第1の接着材708で貼り合わされた状態の断面構造が図7(B)に相当する。
【0105】
次いで、貼り合わされた一対の基板を第2の剥離室249に搬送する。第2の剥離室249では、基板700の剥離を行い、剥離を行った後の基板700は、基板ストック室250に収納される。第2の剥離室249には、基板700の剥離を行うためのきっかけを形成する装置や、基板の剥離を行う装置や、剥離を行った後の基板700の搬送手段などが設けられている。本実施の形態では、第2の剥離室249において、物理的手段により基板700を剥離する。
【0106】
次いで、第2の貼り合わせ室251に搬送し、剥離されて下地絶縁層703が露出した面に可撓性基材711を固定する。可撓性基材711は、フィルム供給室252から供給し、第2の貼り合わせ室251で下地絶縁層703との貼り合わせが行われる。
【0107】
可撓性基材709及び可撓性基材711は、樹脂材料を用いることができ、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドを用いることができる。また、基材フィルムは、接着性合成樹脂フィルムであるアクリル樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂、ビニル共重合樹脂、ウレタン樹脂等を用いることができる。また、本実施の形態では、上方射出型の発光装置であるため、可撓性基材709は、透光性を有していない金属フィルムを用いることができ、例えばステンレスからなるフィルムを用いることがきる。可撓性基材709として、ステンレスからなるフィルムを用いると水分などを遮断できるため発光素子の信頼性が向上し、発光素子やトランジスタで発熱した熱を放熱することもできる。
【0108】
第2の貼り合わせ室251において、可撓性基材711が第2の接着材710で貼り合わされた状態の断面構造が図7(C)に相当する。
【0109】
そして、貼り合わせを終えた一対の可撓性基材は、取り出し室253に搬送して製造装置から取り出される。以上のように、図6に示す製造装置を用いることによって、一対の可撓性基材を用いたフレキシブルな表示装置が完成する。
【0110】
また、本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。例えば、実施の形態2と組み合わせることで、一対の可撓性基材を用いたフレキシブルな照明装置を作製することができる。
【符号の説明】
【0111】
11 第1のスパッタリングターゲット
12 第2のスパッタリングターゲット
13 基板
14 固定部材
15 基板フォルダ
101 画素
100 基板
103 電極層
105 有機層
107 電極層
109 隔壁
110 トランジスタ
111 隔壁
120 トランジスタ
121 下地絶縁層
123 酸化物半導体層
125 ゲート電極
127 ドレイン電極
129 ソース電極
131 ゲート絶縁層
133 平坦化絶縁層
138 保護層
141 正孔注入層
142 発光ユニット
143 中間層
144 発光ユニット
145 中間層
146 発光ユニット
147 電子注入層
200 蒸着室
201〜213 蒸着室
214〜216 スパッタ室
217〜220 スパッタ室
221〜223 基板投入室
224 基板投入室
225 ロードロック室
226 ロードロック室
230 封止室
234 シールパターン形成室
235 搬送室
236 搬送室
237 搬送室
238 基板ストック室
239 搬送室
240 搬送室
241 搬送室
242 搬送室
244 基板ストック室
245 剥離室
246 基板ストック室
247 第1の貼り合わせ室
248 フィルム供給室
249 剥離室
250 基板ストック室
251 第2の貼り合わせ室
252 フィルム供給室
253 取り出し室
400 基板
411 スパッタリングターゲット
412 スパッタリングターゲット
414 固定部材
416 隔壁
502a 有機層
502b 有機層
502c 有機層
503a 電極層
503b 電極層
503c 電極層
508a 電極層
508b 電極層
508c 電極層
507 隔壁
511 発光素子
512 発光素子
533 配線
534 平坦化層
700 基板
701 剥離層
702 剥離層
703 下地絶縁層
704 ブラックマトリクス
705a 着色層
705b 着色層
706 オーバーコート層
707 シール材
708 接着材
709 可撓性基材
710 接着材
711 可撓性基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロード室、
該ロード室に連結された搬送室、
該搬送室に連結され、互いに直列に連結された複数の蒸着室と、
該複数の蒸着室に連結され、バッチ式により保護層を形成するスパッタ室と、
該スパッタ室に連結され光学部材を貼りつけた基材を用いて発光素子の封止を行う封止室と、を有する製造装置。
【請求項2】
請求項1において、さらにターゲットの表面に対して基板の表面は、垂直な位置関係になるよう構成されている基板フォルダを有する製造装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記複数の蒸着室は、発光物質を含む有機層を形成することを特徴とする製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、さらに、前記封止室に直列に連結された剥離室を有し、基板を剥離することを特徴とする製造装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、さらに、
前記封止室に直列に連結され、基板の一部を剥離することを特徴とした剥離室と、
前記基板の剥離された面に可撓性基材を貼り付けるための貼り合わせ室と、を有する製造装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、前記光学部材は、カラーフィルタまたはマイクロレンズアレイであることを特徴とする製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−186158(P2012−186158A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28690(P2012−28690)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】