説明

照明装置

【課題】調光変調データの選択を調光制御信号の周波数により自動的に選択し、施工時の煩わしさをなくした照明装置を提供する。
【解決手段】調光器2から出力され該調光器2の調光レベルに対応付けたデューティ比のパルス幅変調信号である調光制御信号Sに応じて光源の光出力を調光する照明装置10であって、前記光源たるLED光源1の光出力と調光制御信号Sのデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように調光制御信号Sを変調する調光変調データを複数個記憶する記憶部4と、調光制御信号Sの周期により記憶部4に記憶された複数個の前記調光変調データから特定の前記調光変調データを選択する選択部3と、該選択部3で選択された前記調光変調データに基づいて調光制御信号Sを変調した制御信号によりLED光源1を調光して点灯させる点灯回路部5と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光器からの調光制御信号に基づき光源を調光して点灯させる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所望の光量を得るために調光器から出力された調光制御信号を受けて光源の光出力を調光する照明装置が提供されている。照明装置は、たとえば、調光器から出力され、調光器の調光レベルに対応付けたデューティ比のパルス幅変調信号(pulse widthmodulation:以下、PWM信号という)である調光制御信号を受けて光源の光出力を調光して点灯させる。
【0003】
ところで、照明装置に用いられる前記光源には、白熱灯、放電灯である蛍光灯、発光ダイオード(以下、LEDという)や有機EL素子(Organic Electro Luminescence)など様々な種別のものがある。また、LEDは、半導体発光素子であり、LEDから放出される光(たとえば、R(赤色光)G(緑色光)B(青色光))によって、光特性、電気特性などが異なる半導体材料を用いる場合がある。さらに、外部からの調光制御信号を受けて光源への供給電力を制御して光出力を調光する照明装置の構成には、たとえば、インバータ回路を用いる場合や交流の双方向スイッチ制御のためのトライアックを用いる場合がある。このような場合、調光器から出力される調光制御信号を照明装置に単に入力させても、調光器の調光レベルに対して光源の光出力を所望に調光できない場合がある。
【0004】
そのため、図5に示す照明装置10’では、調光器2からの調光制御信号Sを光源たるLED光源1の光出力と、調光制御信号Sのデューティ比と、が略線形となるように変調する変調器8と、該変調器8で変調した制御信号によりLED光源1を調光して点灯させる点灯回路部5と、を具備している(たとえば、特許文献1)。
【0005】
これによって、照明装置10’は、白熱灯の調光に用いられる調光器2を用いた場合においても、電流電圧特性が非線形であるLED光源1の光出力と、調光器2からの調光制御信号Sのデューティ比と、の調光カーブが略線形となるように調光制御信号Sを変調器8により変調して調光器2の調光レベルに対してLED光源1の光出力をリニアに調光できるようにしている。
【0006】
なお、照明装置10’に設けられたLED光源1は、点灯回路部5を介して直流電源7と直列接続されている。また、照明装置10’の平滑コンデンサは、調光器2から照明装置10’に入力される調光制御信号Sを該調光制御信号Sのデューティ比に比例する直流電圧に変換する。照明装置10’の点灯回路部5は、変換された前記直流電圧に基づいてLED光源1を点灯させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−157986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、調光器2から出力される調光制御信号Sは、通常、調光器2の調光レベルに応じてPWM信号のデューティ比のみを変化させており、振幅や周期は調光器2ごとに一定になっている。
【0009】
上述の照明装置10’では、調光器2や前記光源の種別などを考慮して調光制御信号Sに対応させる場合、前記光源の種別ごとに予め複数個の調光カーブを記憶させておき、調光器2や前記光源の種別に対応する調光カーブに切り替えることが考えられる。この場合、照明装置10’は、前記光源の種別に見合った調光カーブとなるように、ディップスイッチなどで調光カーブを切り替えなければならない。同様に、照明装置10’は、照明装置の用途等ごとに光出力特性を変えたい場合も考えられ、この場合も前記光源の種別に対応する調光カーブとなるように、ディップスイッチなどで調光カーブを切り替えなければならない。
【0010】
そのため、照明装置10’の施工者は、調光器2や光源の種別などを考慮して施工する必要があり、照明装置10’の施工が煩わしいものとなる。また、照明装置10’の施工を誤ると照明装置10’から所望の調光された光出力を得ることができない場合がある。
【0011】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、用いられる光源の種別や用途等によらず、施工時の煩わしさをなくした照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、調光器から出力され該調光器の調光レベルに対応付けたデューティ比のパルス幅変調信号である調光制御信号に応じて光源の光出力を調光する照明装置であって、前記光源の光出力と前記調光制御信号のデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように前記調光制御信号を変調する調光変調データを複数個記憶する記憶部と、前記調光制御信号の周期により前記記憶部に記憶された複数個の前記調光変調データから特定の前記調光変調データを選択する選択部と、該選択部で選択された前記調光変調データに基づいて前記調光制御信号を変調した制御信号により前記光源を調光して点灯させる点灯回路部と、を有することを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、調光器から出力された調光制御信号の周期により、複数個の調光変換データから前記光源の種別や照明装置の用途に応じた調光変調データを自動的に選択し、選択された前記調光変調データに基づいて変調された制御信号によって光源を調光して点灯することができる。そのため、照明装置の施工時に前記光源の種別や照明装置の用途に応じて、光出力特性を得るために前記調光制御信号を個別に変調設定する煩わしさをなくすことができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記記憶部に記憶された複数個の前記調光変調データから前記選択部が選択した特定の前記調光変調データの種類を表示する表示部を備えたことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、前記選択部が選択した前記調光変調データの種類を表示する表示部を備えているので、照明装置が自動的に選択した前記調光変調データに基づく照明制御状態を確認することができる。
【0016】
請求項3の発明は、請求項1および請求項2に記載の発明において、前記記憶部が記憶している前記調光変調データの少なくとも1つは、前記光源の光出力と前記調光制御信号のデューティ比とを非線形の調光カーブとなるように変調するデータであることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、前記光源の光出力を前記調光制御信号のデューティ比に対して非線形の調光カーブとなるように変調するデータを含んでおり、選択された前記調光変調データによって前記光源の光出力の最小調整幅(以下、調光の分解能という)を変化させることにより、前記光源の調光速度や前記光源の調光における制御性を変えることができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明は、調光制御信号の周期により記憶部に記憶された複数個の前記調光変調データから特定の前記調光変調データを自動的に選択し、選択された前記調光変調データに基づいて変調した制御信号により光源を調光して点灯することにより、照明装置の施工時に前記光源の種別や照明装置の用途に応じて前記調光制御信号を個別に変調設定する煩わしさをなすことが可能な照明装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の照明装置を用いた照明制御システムを示し、(a)は照明制御システムのブロック図、(b)は照明装置の要部説明図である。
【図2】同上の照明制御システムにおける調光器の模式説明図である。
【図3】同上の照明制御システムにおける照明装置の構成を説明する説明図である。
【図4】同上の照明制御装置に用いられる調光変調データの調光カーブである。
【図5】参考に示す照明装置を用いた照明制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
以下、本実施形態の照明装置について、図1を用いて説明する。
【0021】
本実施形態の図1(a)に示す照明装置10は、調光器2から出力され該調光器2の調光レベルに対応付けたデューティ比のPWM信号である矩形波状の調光制御信号Sに応じて、光源としてLEDが複数個直列に接続されて成るLED群を複数個並列に接続したLED光源1(図3を参照)の光出力を調光する。照明装置10は、特に、LED光源1の光出力と調光制御信号Sのデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように調光制御信号Sを変調する調光変調データを複数個(図1(b)では、3個)記憶する記憶部4と、調光制御信号Sの周期により記憶部4に記憶された複数個の前記調光変調データから特定の前記調光変調データを選択する選択部3と、該選択部3で選択された前記調光変調データに基づいて調光制御信号Sを変調した制御信号によりLED光源1を調光して点灯させる点灯回路部5と、を有している。また、本実施形態の照明装置10には、記憶部4に記憶された複数個の前記調光変調データから選択部3が選択した特定の前記調光変調データの種類を表示する表示部6を備えている。
【0022】
本実施形態の照明装置10は、施工時に初期設定として調光器2から照明装置10に単方向伝送で出力された調光制御信号Sを選択部3で受け取り、図1(b)に示すように選択部3が受け取った調光制御信号Sの周期により記憶部4に記憶された複数個の前記調光変調データから特定の前記調光変調データを選択するように記憶部4の対応する特定の入力ポートに調光制御信号Sを自動的に出力する。ここで、記憶部4に予め記憶されている前記調光変調データは、調光制御信号Sを補正するパラメータとして調光制御信号Sと1対1で対応する値をデータテーブルとして保存しており、調光制御信号Sのデューティ比に対するLED光源1の光出力を示す調光カーブの形状を変更することができる。なお、選択部3は、照明装置10の施工時に初期設定として選択した調光制御信号Sの周期に対応する記憶部4の入力ポートを記憶する記憶手段を備えていてもよいし、調光器2から調光制御信号Sが照明装置10に入力されるたびに調光制御信号Sの周期に対応する記憶部4の入力ポートを再び選択してもよい。
【0023】
照明装置10は、調光制御信号Sの周期に応じて、調光制御信号Sのデューティ比と、LED光源1の光出力と、の関係を所定の調光カーブの関係を持つように自動的に調光制御信号Sを変調する。そのため、照明装置10は、調光器2から出力される調光制御信号Sで指示された調光器2の調光レベルに対し、自動的に変調した調光レベルでLED光源1を点灯させることができる。
【0024】
以下、本実施形態の照明装置10を用いた照明制御システムについて図2および図3を用いて説明する。最初に、本実施形態の照明制御システム100における調光器2について説明する。
【0025】
図2に示す照明制御システム100における調光器2は、調光操作端末器21、調光制御端末器22およびリレー制御端末器23で構成しており、2線式の信号線Lsによって調光操作端末器21、調光制御端末器22およびリレー制御端末器23をマルチドロップ接続している。
【0026】
調光操作端末器21は、照明装置10の光出力の増加を指示するアップスイッチSuと、光出力の減少を指示するダウンスイッチSdと、照明装置10の前記光源のオンとオフを指示するオン・オフスイッチSaとを備えている。また、調光操作端末器21は、オン・オフスイッチSaの操作に対応して照明装置10の前記光源がオンになったかオフになったかを示す2個の表示灯からなる動作確認灯Daと、調光レベルをバーグラフ表示する複数個の表示灯を一直線上に配列したレベル表示器Dbと、を備える。
【0027】
調光制御端末器22は、調光操作端末器21により光出力の増加または減少が指示されたときに調光操作端末器21から指示された調光レベルに対応付けたデューティ比のPWM信号である調光制御信号Sを出力し、調光操作端末器21により光出力の変化の停止が指示されるまで調光制御信号Sの調光レベルを自動的に変化させる。調光制御端末器22ではアップスイッチSuまたはダウンスイッチSdを押操作したときに調光レベルの変化の開始と変化の方向とが指示され、押操作を解除すると調光レベルの変化の停止が指示される。
【0028】
調光制御端末器22は、調光操作端末器21から調光の指示を受けると内蔵させた発振器と同期させて特定の周波数のPWM信号を調光レベルに対応したデューティ比(ここでは、オン・デューティ比)の調光制御信号Sとして出力する。本実施形態の調光器2の調光制御端末器22は、たとえば、調光制御信号Sの周波数が1kHzのPWM信号を出力することができる。なお、調光器2は、調光制御端末器22を交換することによって調光制御信号Sの周波数を1kHz、0.5kHzや0.1kHzなどに変更させてもよい。
【0029】
リレー制御端末器23は、照明装置10のLED光源1への給電路にリレー接点が挿入されるリレーを内蔵している。リレー制御端末器23は、調光操作端末器21から受け取った信号に従って照明装置10のLED光源1の点灯をオン・オフさせるための負荷制御信号を出力する。
【0030】
調光操作端末器21において、使用者がオン・オフスイッチSa、ダウンスイッチSd、アップスイッチSuのいずれかの操作を行うと、調光操作端末器21は、リレー制御端末器23または調光制御端末器22に信号を送信する。これにより、リレー制御端末器23は、リレーを駆動して照明装置10を制御し、調光制御端末器22は、調光制御信号Sを発生する。
【0031】
調光制御端末器22は、照明装置10におけるLED光源1の調光レベルの変化開始が指示された時点から調光レベルを変化させ、調光レベルの変化終了が指示された時点で調光レベルの変化を停止させる。
【0032】
本実施形態の照明装置10は、図2の照明制御システム100で示すように、リレー制御端末器23のリレー接点を介して商用電源ACに接続されるとともに、調光制御端末器22と接続している。照明装置10と商用電源ACおよびリレー制御端末器23との間は、負荷線Lpにより接続している。また、照明装置10と調光制御端末器22との間は、調光制御信号線Ldにより接続している。
【0033】
なお、調光器2の調光制御端末器22と照明装置10とは、照明装置10の施工時に調光制御信号線Ldの極性を逆に接続することを防止するため、調光制御信号線Ldにフォトカプラを備える調光信号中継回路(図示せず)を介して接続してもよい。
【0034】
また、調光器2の調光制御端末器22と照明装置10とは、調光制御信号線Ldにより調光制御信号Sを伝送するだけでなく、調光器2からの調光制御信号Sを商用電源ACからの電源電圧に重畳させて伝送してもよい。この場合、照明装置10は、ハイパスフィルタ回路などを備え、ハイパスフィルタ回路により、重畳された調光制御信号Sを取り出せばよい。これにより、調光器2と照明装置10との間を有線で接続させる調光制御信号線Ldを削減することができる。同様に、調光器2と照明装置10との間は、有線となる調光制御信号線Ldを用いることなく、赤外線などの電磁波を利用して調光制御信号Sを送信してもよい。たとえば、調光器2として、調光器2の調光レベルに対応付けた調光制御信号Sを赤外線で送信できる赤外線リモコンを用い、照明装置10は、前記赤外線リモコンから送信された赤外線を受光できる受光センサを備えていればよい。
【0035】
次に、本実施形態の照明制御システム100における照明装置10を図3により詳述する。
【0036】
照明装置10は、前記光源として、半導体発光素子であり白色光を発光する白色LED11が複数個直列に接続されて成るLED群12を複数個並列(ここでは、2列)に接続したLED光源1と電気的に接続し、該LED光源1を点灯させる点灯回路部5を備えている。
【0037】
白色LED11は、たとえば、青色光を発光する発光層がInを含有させたGaN系化合物半導体からなる半導体発光素子と、半導体発光素子から放出された青色光の一部を青色光の補色となる黄色光に波長変換するYAl12:CeやTbAl12:Ceなどの蛍光体とを組み合わせたものを用いることができる。なお、LED光源1は、白色LED11だけでなく、発光層がInを含有させたGaN系化合物半導体からなる青色LEDと、青色LEDよりも発光層におけるInの組成比が高いGaN系化合物半導体からなる緑色LEDと、発光層がAlInGaPからなる赤色LEDと、を用いて白色光などの混色光を得るようにしてもよい。
【0038】
本実施形態の照明装置10に用いられる前記光源としては、複数個の白色LED11を接続させたLED光源1だけでなく、1個の白色LED11だけでもよい。また、照明装置10に用いられる前記光源としては、白色LED11のほか、白熱灯、放電灯である蛍光灯や有機EL素子など種々の光源を用いることができる。
【0039】
LED光源1を点灯させる点灯回路部5は、図3(a)に示すように商用電源ACからの交流を全波整流するダイオードブリッジ回路からなる整流回路51と、その脈流出力を予め定める定電圧に平滑化してLED光源1に与える定電圧回路52と、記憶部4からの調光制御信号Sを変調した制御信号VCTLにより定電圧回路52からLED光源1の各LED群12に供給される電流を制御する電流制御回路53と、を備えている。
【0040】
点灯回路部5の電流制御回路53は、各LED群12毎に設けられるトランジスタQ2,Q2が記憶部4で調光制御信号Sを変調した制御信号VCTLで制御される。電流制御回路53では、記憶部4からの制御信号VCTLが抵抗R0を介してnpn型のトランジスタQ1のコレクタおよびベースに与えられるように接続している。トランジスタQ1のエミッタは、抵抗R1を介してGNDに接続している。各LED群12に対応して設けられるnpn型のトランジスタQ2,Q2は、トランジスタQ1とそれぞれカレントミラー回路を構成している。そのため、トランジスタQ2,Q2のベースは、トランジスタQ1のコレクタおよびベースと接続され、トランジスタQ2,Q2のコレクタは各LED群12の最終段の白色LED11のカソードに接続され、トランジスタQ2,Q2のエミッタは、抵抗R2を介してGNDに接続している。各LED群12のアノード側は、定電圧回路52からの定電圧を印加している。点灯回路部5において、記憶部4からの制御信号VCTLは、前記カレントミラー回路の基準電圧となり、該基準電圧に対応して、LED光源1を流れる電流が制御される。
【0041】
点灯回路部5には、電流制御回路53がLED光源1に供給する電流を一定に制御することができるので、商用電源ACからの交流を整流回路51で全波整流し定電圧回路52で脈流を平滑化した電源を接続させるだけでなく、蓄電池などの直流電源を接続させてもよい。直流電源を用いる場合、点灯回路部5の整流回路51を省略しても同等の機能を実現することができる。なお、照明装置10の電源として直流電源を点灯回路部5に接続させる場合、点灯回路部5は、直流電源の逆接続時に点灯回路部5に電流が流れないように逆接続防止用ダイオードを内蔵するか、該直流電源の極性に拘わらず同等の機能が達成されるように整流回路51を設けておくことがより好ましい。点灯回路部5は、整流回路51を設けることで、交流および直流の両電源に対応することもできる。
【0042】
点灯回路部5は、照明装置10に用いられる前記光源を点灯させるものであり、前記光源や電源によって種々構成が異なる。前記光源としてLED光源1を用いる場合、点灯回路部5は、単に限流抵抗を介して制御信号VCTLを流してLED光源1を点灯させるものでもよい。また、前記光源として蛍光灯などの放電灯を用いる場合は、変調された制御信号VCTLに基づいて駆動するバラストを用いて点灯させるものでもよい。
【0043】
本実施形態の照明装置10における選択部3は、調光器2から出力された調光制御信号Sの周期を判別して周期に応じた記憶部4の入力ポートに出力できればよい。したがって、調光制御信号Sの周期を弁別可能な複数個のフィルタ回路を備え、フィルタ回路ごとに個別の出力ポートを介して記憶部4の対応する入力ポートに出力できるように構成しても良い。また、選択部3は、調光制御信号Sの周期を発信回路と比較回路などからなる計時手段で計時して弁別してもよい。
【0044】
本実施形態の照明装置10に設けられた記憶部4の要部回路の構成を図3(b)に示す。
【0045】
選択部3によって選択された記憶部4の入力ポートに入力された調光制御信号Sは、図3(b)に示す抵抗R21,R22において分圧され、npn型のトランジスタQ21のベースに入力される。トランジスタQ21のエミッタはGNDに接続され、コレクタは抵抗R23,R24を介して、定電圧回路部52の電源ラインに接続される。抵抗R23,R24の接続点は、npn型のトランジスタQ22のベースと接続している。トランジスタQ22のエミッタは定電圧回路部52の電源ラインに接続され、コレクタは抵抗R25,R26を介してGNDに接続される。抵抗R26には並列に積分コンデンサC21が接続されており、その充電電圧がオペアンプ15の非反転入力端に与えられる。
【0046】
また、定電圧回路部52の電源ラインとGNDラインとの間には、抵抗R27,R28,R29の直列回路が接続されており、抵抗R27,R28の接続点と、抵抗R23とトランジスタQ21との接続点との間には、抵抗R27,R28側をアノードとしてダイオードD21が設けられ、抵抗R28,R29の接続点は、npn型のトランジスタQ23のベースに接続される。トランジスタQ23のエミッタはGNDに接続され、コレクタは抵抗R30を介して、抵抗R25,R26の接続点とオペアンプ15の非反転入力端に接続される。
【0047】
したがって、変調した調光制御信号Sがハイレベルであるときには、トランジスタQ21がオンし、これによって抵抗R27を介するトランジスタQ23のベース電流がトランジスタQ21でバイパスされて該トランジスタQ23がオフするとともに、トランジスタQ22のベース電流が流れて該トランジスタQ22がオンし、コンデンサC21が充電される。これに対して、変調した調光制御信号Sがローレベルであるときには、トランジスタQ21がオフし、これによって抵抗R27,R28を介してトランジスタQ23のベース電流が供給されてトランジスタQ23がオンするとともに、トランジスタQ22のベース電流が無くなってトランジスタQ22がオフし、コンデンサC21は放電する。
【0048】
そのため、変調した調光制御信号Sのデューティ比が大きくなる程、コンデンサC21の充電電圧は高くなる。記憶部4では、コンデンサC21の充電電圧がオペアンプ15で電力増幅されて、電流制御回路53の基準電圧となる制御信号VCTLとして出力される。そして、デューティ比が100%における制御信号VCTLの電圧レベルは、前記定電圧を抵抗R25,R26で分圧した値となり、分圧値を変化することで、任意の値に設定することができる。デューティ比が100%における電圧から、デューティ比が0%に対応した0Vまで、制御信号VCTLの電圧レベルをリニアに変化させることができる。記憶部4では、選択部3からの出力ポートごとに抵抗25,26の値が異なる上述の要部回路を複数個設けてもよい。
【0049】
また、ここで選択部3にマイクロコンピュータ(図示せず)を備え、該マイクロコンピュータにて、抵抗25,26の代わりに複数個の抵抗の合成抵抗により、抵抗値を記憶部4に記憶された調光カーブに合わせて可変とする構成に形成することもできる。これにより、選択部3の前記マイクロコンピュータが調光制御信号Sの周期に応じて前記合成抵抗の抵抗値を連続的に変化させ、記憶部4から前記調光カーブに基づく制御信号VCTLを出力させることもできる。
【0050】
選択部3は、図1(b)に示すように調光器2から出力され調光器2の調光レベルに対応付けたデューティ比の調光制御信号Sにおける周波数を判定し、該周波数に応じて前記光源たるLED光源1の光出力と調光制御信号Sのデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように調光制御信号Sを変調する調光変調データが予め複数個記憶された記憶部4から特定の調光変調データを選択するように調光制御データの周期に応じて記憶部4の各入力ポートへ信号を送信する。
【0051】
なお、本実施形態の記憶部4では、調光制御信号Sを変調するため、記憶部4に調光制御信号Sのデューティ比をどのように変調するかの調光カーブのパラメータをデータテーブルの形で記憶している。また、記憶部4は、選択部3が選択したデータテーブルに基づき入力された調光制御信号Sのデューティ比を抽出してデータテーブルに照合し、データテーブルから出力する変調した調光制御信号Sのデューティ比を決定している。記憶部4は、このようなデータテーブルを複数個記憶させておき選択部3で選択したデータテーブルに基づいて調光制御信号Sを変調すれば任意の入出力の関係を設定することができる。照明装置10の記憶部4において、複数個の前記調光変調データを記憶するためには、RAMなどの各種半導体記憶装置を用いて構成すればよい。なお、調光制御信号Sを変調させるためには、記憶部4に記憶させたデータテーブルを用いる場合だけでなく、データテーブルの代わりに調光カーブに相当する所定の関数として記憶させておいてもよい。
【0052】
以下、本実施形態の照明装置10に用いられる調光変調データについて、図4を用いて説明する。なお、図4には、縦軸に光出力、横軸に調光制御信号Sのデューティ比とした前記光源の光出力特性を調光カーブとして示してある。
【0053】
本実施形態の照明装置10において、複数個の調光変調データとなるデータテーブルを記憶する記憶部4には、たとえば、図4に示す前記光源たるLED光源1の光出力と調光制御信号Sのデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように調光制御信号Sを変調する3種類のデータテーブルをそれぞれ記憶している。記憶部4は、選択部3から入力される入力ポートに応じたデータテーブルで変調した制御信号VCTLを点灯回路部5に転送する。点灯回路部5は、照明装置10に入力される調光制御信号Sが調光変調データによって変調された調光レベルに応じた光出力を出力するようにLED光源1を点灯制御する。
【0054】
照明装置10は、たとえば、別途設けられた光センサなどと連動させ、照明装置10のLED光源1を昼光などの外来光を考慮して調光し、予め設定した設計照度に自動で補正することでエネルギーの消費を抑制することに寄与させる省エネルギー照明の用途に用いる場合がある。このような照明装置10における省エネルギー照明の用途では、LED光源1の照度の設定や省エネルギーの計算がしやすいように、たとえば、図4(a)に示すように調光制御信号Sのデューティ比の減少に比例して直線的にLED光源1の光出力が増加する特性を示す調光カーブとすればよい。
【0055】
また、照明装置10は、店舗の商品陳列、舞台やスタジオなどにおける演出照明の用途では、照明対象に対する人間の目の解像度や感度を考慮して調光できるように、たとえば、図4(b)に示すように調光制御信号Sのデューティ比の増加の累乗に比例して光出力が増加する特性を示す調光カーブにすることができる。
【0056】
また、照明装置10は、LED光源1を用いて白熱灯に似せた発光特性が得られる擬似白熱電灯の用途に調光できるように、たとえば、図4(c)に示す調光カーブの形状にすることもできる。
【0057】
また、調光器2は、照明装置10に合わせ用途に応じて選択することができる。たとえば、省エネルギー用の調光器2は、光センサを搭載した調光器2であり、演出照明の用途であれば、たとえば、会議用やプレゼンテーション用などオフィスでのシーンによって異なるシーン設定のできる調光器2が挙げられる。
【0058】
本実施形態の照明制御システム100において、調光器2は、演出照明や省エネルギー照明の用途など用途に応じて異なる周波数の調光制御信号Sを送信する。たとえば、調光器2は、省エネルギー照明の用途では1kHz、演出照明の用途では0.5kHz、擬似白熱電灯用途では0.1kHzとなるように照明装置10に調光制御信号Sを送信する。照明装置10は、自身が点灯すべき前記光源と調光器2から送信される用途に応じた調光制御信号Sにより選択された調光カーブを選択した空間演出とすることができる。本実施形態の照明装置10は、調光器2から送信された調光制御信号Sに基づいて調光カーブを選択するので、施工を簡略化することが可能となる。
【0059】
なお、本実施形態の照明装置10は、照明装置10が自動的に選択した調光制御信号Sを外部から認識できるように表示部6を備えている。この表示部6は、たとえば、図4(a)の調光カーブであれば赤色の光を放射する赤色LEDを点灯させ、図4(b)の調光カーブであれば緑色の光を放射する緑色LEDを点灯させ、図4(c)の調光カーブであれば青色の光を放出する青色LEDを点灯するように構成すればよい。このような表示部6は、照明装置10が自動的に選択した調光制御信号Sを外部から認識できれば図2に示すように照明装置10の器具本体に必ず設ける必要もなく、調光器2を構成する筐体の一部に配置してもよい。
【0060】
また、照明装置10は、照明用途に応じて、調光レベルの変化に対する調光速度も変化できるように構成してある。たとえば、省エネルギー照明の用途であれば、急に外来光がなくなった場合などはいち早く前記光源の光出力を向上させる必要がある。また、演出照明の用途ではきめ細やかな調光制御が求められる。そのため、照明装置10は、省エネルギー照明の用途において、調光レベルに対して光出力の最小調整幅(以下、調光の分解能という)を大きくし調光速度を速くしている。また、照明装置10は、演出照明の用途において、調光の分解能を省エネルギー照明の用途よりも小さくし、調光の制御性をよくしている。これにより、本実施形態の照明装置10は、前記光源の種別や照明用途に応じた照明の空間演出を行えるとともに、簡易に施工することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 LED光源(光源)
2 調光器
3 選択部
4 記憶部
5 点灯回路部
6 表示部
10 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光器から出力され該調光器の調光レベルに対応付けたデューティ比のパルス幅変調信号である調光制御信号に応じて光源の光出力を調光する照明装置であって、
前記光源の光出力と前記調光制御信号のデューティ比とを所定の調光カーブの関係になるように前記調光制御信号を変調する調光変調データを複数個記憶する記憶部と、前記調光制御信号の周期により前記記憶部に記憶された複数個の前記調光変調データから特定の前記調光変調データを選択する選択部と、該選択部で選択された前記調光変調データに基づいて前記調光制御信号を変調した制御信号により前記光源を調光して点灯させる点灯回路部と、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶された複数個の前記調光変調データから前記選択部が選択した特定の前記調光変調データの種類を表示する表示部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記記憶部が記憶している前記調光変調データの少なくとも1つは、前記光源の光出力と前記調光制御信号のデューティ比とを非線形の調光カーブとなるように変調するデータであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−9011(P2011−9011A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150153(P2009−150153)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】