説明

照明装置

【課題】照明装置における電力損失を抑制する。
【解決手段】第一のスイッチングコンバータの駆動により電源端子からの電圧が降圧され、第二のスイッチングコンバータの駆動により電源端子からの電圧が降圧され、第一のスイッチングコンバータおよび第一の光源は直列に接続され、第二のスイッチングコンバータおよび第二の光源は直列に接続され、第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータは電源端子に並列に接続され、信号検出部は第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータに供給される電力,電圧または電流の総和のリプルを測定し、スイッチング信号生成部は、信号検出部の測定結果に基づいてリプルが小さくなるようにスイッチング信号を生成し、スイッチング信号生成部からのスイッチング信号の出力により第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータが駆動される照明装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に照明装置は、ちらつきが無く,明るく,効率(投入電力に対する発光の割合)が良いことが求められる。それを実現するため、照明装置は光源および電源回路(あるいは駆動回路)で構成されている。光源として例えばLED(発光ダイオード),OLED(有機LED)などが挙げられる。LED,OLEDなどは、効率の高さ,小型軽量,長寿命などの特徴を有している。LEDを発光させるには、3ボルト程度(白色LEDの場合)順方向電圧を満たす電源が必要になる。LEDの発光特性(輝度,色度など)は電流値に大きく依存する。そこで、LEDには、オン時の電流を一定に保ちながら、オンオフを周期的に繰り返すパルス波形で駆動するPWM(パルス幅変調)が広く利用されている。この方法では、オンオフの比率(デューティ)で輝度制御できる。
【0003】
ところで、商用電源は100ボルト(日本の場合)の交流を用いる。したがって、商用の交流電源を用いてLEDを駆動するには、ACからDCへ変換する整流器および電圧変換する降圧器が不可欠になる。また、直流電源としては、交流電源の整流,二次電池,太陽電池などの直流の発電器などがある。それぞれの電圧が異なる場合には、電圧変換する降圧器が必要になる。入力が交流であるならば、降圧器として変圧器(トランス)が考えられる。また、半導体素子を用いて能動的に変圧する装置として、シリーズレギュレータ,スイッチングレギュレータなどがある。さらに、スイッチングレギュレータには、コンデンサを使う方式やインダクタを使う方式などがある。インダクタを使う方式では、スイッチング回路(MOS型FETなど)およびインダクタ(コイル)を組み合わせた回路を用いて、スイッチング回路を十分に高い周波数でオンオフして電圧を変換する。特許文献1および特許文献2では、出力側に接続する負荷をLEDとするときのスイッチングレギュレータの構成を示している。
【0004】
上記のPWM回路およびスイッチングコンバータは、いずれも電源から供給される電圧または電流のオンオフを繰り返すスイッチング回路を備えている。このスイッチング回路を利用して、PWM回路およびスイッチングコンバータを一体化させることで、電圧変換および輝度制御を同時に実現する構成も利用されている。スイッチングコンバータの入力端に電力を供給する電源系統を接続し、出力端には負荷を接続することで、照明装置が構成される。スイッチングコンバータは電源をオンオフするスイッチング回路を備えることから、原理的にリプルを発生する。
【0005】
リプルは他の機器に影響を与えるノイズの要因となる。リプルによるノイズが他の機器に伝達されることにより電力損失が生じる。ノイズによる他の機器に与える影響を減らすため、ノイズフィルタを用いてノイズを除去する方法,スイッチング周波数を高くする方法,スイッチング周波数をランダムに変化させる方法などが知られている。
【0006】
リプル(ノイズ)が発生すること自体を抑える方法として、非特許文献1には多相のスイッチング信号を用いるスイッチングコンバータの構成が示されている。非特許文献1には、複数の降圧器を並列接続して、それぞれのスイッチング信号の位相をずらすことで、出力端で合計されるリプルを減少させる技術が開示されている。特に、非特許文献1には、多相のスイッチング信号を時間方向に隙間無く配置するとき、出力側で合計されるリプルが低減すると開示されている。非特許文献1では、複数の信号の位相がずれた状態をポリフェーズと呼んでいる。ポリフェーズの同意語として多相,マルチフェーズなどがある。また、リプルは信号の微小振動を意味する用語である。以下の説明では、リプルおよびノイズを断り無く混用する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−200053号公報
【特許文献2】特表2008−537459号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Linear Technology、Application Note, AN77,“High Efficiency, High Density, PolyPhase Converters for High Current Applications”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
照明装置の駆動回路として、電源系統の電圧変換をするスイッチングコンバータまたは明るさを制御するPWM回路があるが、いずれも電源をオンオフすることによりリプル(ノイズ)が発生する。
【0010】
このような駆動回路を電源系統から見るならば、電源のオンオフを繰り返すことによるノイズの発生要因である。ノイズは、電源系統を経由または電磁波として空中を伝播して、他の機器に好ましくない影響を与える。また、不要なノイズの発生および伝達により電力損失が増える。
【0011】
ノイズを低減する従来技術としてノイズフィルタがある。しかし、ノイズフィルタを用いた場合、ノイズとなる周波数成分をコンデンサなどの内部抵抗で消費するので電力を損失する。また、スイッチング周波数を高くすること、または、ランダムに変化させることは、ノイズの周波数成分を変える効果はあるが、ノイズの発生自体を抑える効果はない。また、スイッチング回路として広く使われているMOSFETのゲート容量は大きいので、スイッチング周波数を高くした場合ゲート駆動の電力が大きくなり、消費電力が増大する。
【0012】
非特許文献1に開示されているノイズ発生を抑える多相スイッチング技術は、出力側のみに着目しており、入力側の電源系統に伝わるノイズを考慮していない。また、安定化電源として出力端に多相のスイッチング信号を時間方向に隙間無く配置することは以下に示す理由により難しい。
【0013】
まず、スイッチングコンバータの原理によれば、出力電圧は、インダクタの部品定数(インダクタンス)およびスイッチング信号のデューティで決まる。一方、多相のスイッチング信号を隙間無く配置することは、それぞれのスイッチング信号のデューティの合計を1(100%)に合わせ込むことを意味する。上記が両立するようにスイッチング信号のデューティを設定することは、インダクタンスおよびデューティで決まる出力電圧に固定することを意味する。しかし、電源回路の構成要素には多くの変動要因,ばらつき,非線形特性などがある。したがって、たとえ初期状態で合わせ込みをしても、温度,寿命などの特性により出力電圧が変動する可能性がある。さらに、入力端に接続する電源系統の特性は事前に分からないことが多い。これらの特性変動によって、出力電圧(または電流)は変化する。電源を安定化させるには、帰還信号に基づいてスイッチング信号のデューティを制御する必要があり、その場合、デューティは初期設定からずれることになる。さらに、スイッチング回路の応答は十分に高速でないことがある。結局、出力端の電圧(電流)安定化および多相のスイッチング信号を時間方向に隙間無く配置することの両立は難しい。
【0014】
上記のように、スイッチング回路を備える光源の駆動回路はノイズを発生させ、電力損失となる。照明装置は長期間の連続動作を行うことがあるので、僅かな電力損失でも累積すれば大きくなる。照明装置の効率向上の点から、ノイズ低減は重要な課題である。
【0015】
本発明の目的は照明装置における電力損失を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明は以下の通りである。
【0017】
(1)第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータと、前記第一のスイッチングコンバータの出力端に接続され、前記第一のスイッチングコンバータからの駆動信号により駆動される第一の光源と、前記第二のスイッチングコンバータの出力端に接続され、前記第二のスイッチングコンバータからの駆動信号により駆動される第二の光源と、第一のスイッチングコンバータの入力端および第二のスイッチングコンバータの入力端に接続された電源端子と、前記第一のスイッチングコンバータの入力端および前記第二のスイッチングコンバータの入力端と電源端子との間に配置された信号検出部と、前記信号検出部に接続されたスイッチング信号生成部と、を有し、前記第一のスイッチングコンバータの駆動により前記電源端子からの電圧が降圧され、前記第二のスイッチングコンバータの駆動により前記電源端子からの電圧が降圧され、前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第一の光源は直列に接続され、前記第二のスイッチングコンバータおよび前記第二の光源は直列に接続され、前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第二のスイッチングコンバータは前記電源端子に並列に接続され、前記信号検出部は前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第二のスイッチングコンバータに供給される電力,電圧または電流のリプルを測定し、前記スイッチング信号生成部は、前記信号検出部の測定結果に基づいて前記リプルが小さくなるようにスイッチング信号を生成し、前記スイッチング信号生成部からの前記スイッチング信号の出力により前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第二のスイッチングコンバータが駆動されることを特徴とする照明装置。
【0018】
(2)上記(1)において、前記第一の降圧回路には第一のスイッチング部が含まれ、前記第二の降圧回路には第二のスイッチング部が含まれ、前記スイッチング信号生成部は、前記第一のスイッチング部および前記第二のスイッチング部の位相およびデューティを制御することを特徴とする照明装置。
【0019】
(3)上記(1)において、前記信号検出部は分散を用いてリプルを測定することを特徴とする照明装置。
【0020】
(4)上記(1)において、前記照明装置は記憶部を有し、前記記憶部は、前記信号検出部による測定結果を一時的に記憶することを特徴とする照明装置。
【0021】
(5)上記(1)において、前記信号検出部はマイクロプロセッサによるプログラム手順に基づき前記リプルを測定することを特徴とする照明装置。
【0022】
(6)上記(1)において、前記信号検出部と第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータとの間に第三のスイッチングコンバータが配置され、前記第三のスイッチングコンバータの駆動により前記電源端子からの電圧が降圧されることを特徴とする照明装置。
【0023】
(7)上記(1)において、前記第一のスイッチングコンバータは、第一のスイッチング部,第一のインダクタ,第一のダイオードを有し、前記第一のスイッチング部がオン時には、前記第一のインダクタを通過する電流が徐々に増加し、前記第一のスイッチング部がオフ時には、前記第一のインダクタを通過する電流が徐々に増加し、前記第二のスイッチングコンバータは、第二のスイッチング部,第二のインダクタ,第二のダイオードを有し、前記第二のスイッチング部がオン時には、前記第二のインダクタを通過する電流が徐々に増加し、前記第二のスイッチング部がオフ時には、前記第二のインダクタを通過する電流が徐々に増加することを特徴とする照明装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、光源照明装置における電力損失を抑制できる。上記した以外の課題,構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例の照明装置の構成を示す図。
【図2】光源の接続例を示す図。
【図3】スイッチングコンバータの構成例を示す図。
【図4】本発明の一実施例の構成を示す図。
【図5(1)】本発明の一実施例の動作を示す図。
【図5(2)】本発明の一実施例の動作を示す図。
【図5(3)】本発明の一実施例の動作を示す図。
【図6】リプル値の特性を示す図。
【図7】本発明の一実施例の効果を示す図。
【図8】本発明の一実施例の効果を示す図。
【図9】本発明の一実施例の構成を示す図。
【図10】本発明の一実施例の広域照明の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の実施例は本願発明の内容の具体例を示すものであり、本願発明がこれらの実施例に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、実施例を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【実施例1】
【0027】
図1に照明装置の基本構成例を示す。ここで照明装置10は電源端子100,スイッチングコンバータ101および光源103で構成される。光源103にはLED(発光ダイオード),OLED(有機LED)などを利用できる。スイッチングコンバータ101は、電源系統をオンオフして得られるパルスを駆動信号102として出力して、光源103を駆動する。ここで、電力系統は屋外からの引込み線,屋内の電源配線,分電盤、またはコンセントなどの設備を指す。スイッチングコンバータ101の入力端を電源端子100に接続し、電源端子100は電源系統に接続される。電源系統として商用電源と呼ばれる100ボルトの交流または48ボルトの直流などが利用される。電源系統が交流であれば整流器を用いて直流に変換してから利用し、直流であればそのまま利用する。
【0028】
光源103の発光の明るさは、駆動信号102の電圧,電流,波形などで決める。電圧と電流とは非線形の依存関係にあるので、駆動信号102をオンオフの2値信号として、デューティ(周期とオン時間との比率)で明るさを決める。
【0029】
照明装置10には、ちらつきが感じられない十分な明るさが求められる。人間の視覚特性として感知できる明るさの時間的変化は100Hz程度であることが知られている。したがって、照明装置10として1000Hzまでの周波数成分を安定化すれば、ちらつきを防止できる。例えば、スイッチングコンバータ101のスイッチング周波数を100kHz、PWM周期を1kHzとすれば、PWM周期のなかに100個(=100kHz/1kHz)のスイッチング周波数を含むことになる。この100個のスイッチング周波数に同期してオンとオフを行えば、最小0から最大100までのパルスを出力できる。この出力で光源103を駆動すれば、明るさを0から100まで変化させることができる。
【0030】
照明装置10の効率は、消費電力(例えばワットW)と発光輝度(例えば全光束lum)との比率(例えばlum/W)で計算される。光源103の発光効率と、スイッチングコンバータ101の変換効率との組み合わせで照明装置10の効率が決まる。降圧回路としてスイッチングコンバータ101を用いる場合、スイッチングコンバータ101のスイッチングによるリプル(ノイズ)が発生して、スイッチングコンバータ101の入力側およびスイッチングコンバータ101の出力側へ伝わる。一般に、スイッチングコンバータ101を安定化電源として利用する場合は出力の安定性が重要なので、リプル(ノイズ)を除去するためにフィルタ回路が使われる。
【0031】
それに対して、本実施例ではスイッチングコンバータ101の出力端に光源103を接続する。スイッチングコンバータ101の周波数が視覚的に感知されなければ、リプルを除去する必要はないので、スイッチングコンバータ101の出力端にある光源103には平均的な明るさが反映される。
【0032】
このように、スイッチングコンバータ101の出力端のリプルを許容することでフィルタ回路が不要になり、回路構成の自由度が増える。本実施例ではスイッチングコンバータ101の入力端のリプルの発生を抑えるように回路を構成する。
【0033】
図2に、光源103としてLEDを用いた回路構成を説明する。LEDは一般のダイオードと同様に電圧と電流とに非線形特性な関係を持つので、スイッチングコンバータ101と組み合わせて利用する。照明装置として白色光を出すには、LEDとして赤色LED、青色LEDおよび緑色LEDを用いる場合、青色LEDにYAG蛍光体を用いる場合などが挙げられる。特定の色を出すには、上記のLEDを個別に光源103として用いればよい。白色LEDの場合、電流が流れ始める順方向電圧はおよそ3ボルト以上4ボルト以下である。照明装置10として1個のLEDでは光量が不足するとき、複数個のLEDを直列または並列に組み合わせて明るさを確保する。LEDの組み合わせによって電源の供給方法が変わってくる。例えば、30個の白色LEDを直列接続すれば、順方向電圧の合計は100ボルト近くになるので、商用電源を整流するだけで電圧を変換する必要がない。この方法では、電源電圧=順方向電圧×LED個数、の関係を満たすように回路を作ることから、LEDの個数が限定される。したがって、求められる明るさをLEDの個数で調整するのが困難になる。また、一つの故障が全体動作を遮断し、故障個所に高い電圧が掛かることがある。
【0034】
一方、LEDを並列接続(直列および並列を混在させてもよい)する構成について考える。まず、1個または複数個のLEDを直列接続した単体のLED回路を作る。そして、そのLED回路を並列接続して光源103とする。この場合、LEDの個数で明るさを容易に調整できる。また、LEDの一つが故障しても、その故障したLEDを含まない別のLED回路は発光を続けられる。しかし、LEDの個数に応じて供給する電圧を変換しなければならない。例えば、明るさを確保するために30個のLEDを使うとして、10個のLEDを直列接続するLED回路を3並列にするならば、順方向電圧の合計は30ボルト程度になる。この場合、商用電源(100ボルト)を利用するならば、電圧変換するスイッチングコンバータ101が必要になる。LED回路に流れる電流を安定にするには、光源103の全体に1個のスイッチングコンバータ101を備えるのではなく、それぞれのLED回路に直列にスイッチングコンバータ101を備える方がよい。
【0035】
LED回路を並列接続するとき、輝度制御は複数個のLEDを組み合わせて輝度を制御する。個々のスイッチング周波数を100kHz、PWM周波数を1kHzとした場合、輝度の段数は100となる。それぞれのLED回路の輝度の組み合わせにより光源103全体の輝度の段数が決まる。
【0036】
本実施例では、明るさ調整や故障対策などの観点から、照明装置10として、光源103(上記例ではLED回路)を並列に接続した方が望ましい。このようにLED回路を並列に接続するとき、個々のLED回路の電圧および電流を安定にするため、個々のLED回路にスイッチングコンバータ101を備える。これは、スイッチングコンバータ101の入力側の電源端子100から見れば、複数のスイッチングコンバータ101が負荷として光源103に接続されていることになる。したがって、スイッチングコンバータ101において発生するリプル(ノイズ)は低い方が望ましい。
【0037】
図3は、スイッチングレギュレータ方式によるスイッチングコンバータ101の基本構成を示す図である。スイッチングコンバータ101は、スイッチング信号生成部104,スイッチング部106,インダクタ107および還流用のダイオード108を備える。スイッチング信号105を用いてスイッチング部106を駆動することで電源端子100からの電圧が降圧される。このスイッチングコンバータ101がスイッチング信号105に同期することにより、電流の変化(電流リプル)が発生する。
【0038】
スイッチング部106がオンのとき、電源端子100からの入力電流はインダクタ107を流れる。このとき、ダイオード108には電圧が逆向きにかかるので電流は流れない。
【0039】
次に、スイッチング部106がオフのとき、電源端子100からの入力電流はなくなるが、インダクタ107にある磁場は徐々に減少していき、電流が流れようとする。このとき、ダイオード108が、インダクタ107で発生する電流の通り道となる。
【0040】
つまり、スイッチング部106がオンのときは、電源端子100からの入力電流が出力電流となり、スイッチング部106がオフのときは、インダクタ107が発電する電流が出力電流となり、途切れることなく電流が出力される。スイッチングコンバータ101の出力側の駆動信号102に現れるスイッチング周期内の電流の上昇分ΔIonおよび下降分ΔIoffは次式で表される。ここで、Viは入力電圧、Voは出力電圧、Tonはオン時間、Toffはオフ時間、Lはインダクタンスである。定常状態において、出力電圧Voはオン時間およびオフ時間(デューティ)で決まる。リプルの周波数成分は、スイッチング信号105の周波数およびデューティに依存する。スイッチングコンバータ101の出力側の負荷が光源103であるとき、スイッチング周波数が十分に高ければ、リプルによる明るさの変化は視覚的に感知されにくい。一方、スイッチングコンバータ101の入力側の電源端子100には、スイッチングコンバータのスイッチング周波数に同期したリプルが伝わることになる。
【0041】
【数1】

【0042】
【数2】

【0043】
【数3】

【0044】
スイッチングコンバータ101の回路定数(インダクタンスなど)は使用部品で決まるので、スイッチング信号105で動作を制御する。定常状態では、電流リプルの上昇分と電流リプルの下降分とが同値となり、スイッチング信号105のデューティに基づいて出力電流は安定する。例えば、デューティ50%の安定状態では、電流リプルの上昇分と電流リプルの下降分が同値となり、出力電圧は入力電圧の2分の1になる。一方、初期状態から定常状態に至るまでの非定常状態では、電流リプルの上昇分は電流リプルの下降分と異なる。
【0045】
初期状態において出力電流がIaであれば、電流リプルの上昇分が電流リプルの下降分より大きくなり、スイッチング周期毎に徐々に出力電流が累積し、出力電圧が増加する。さらに出力電流が増加すれば、出力電圧が増加して、電流リプルの上昇分よりも電流リプルの下降分が大きくなる。上記の繰り返しにより、初期状態から定常状態へ徐々に移行して出力電流はIbで安定する。
【0046】
複数のスイッチング周期の間隔でスイッチング信号105をオンオフするとき、初期状態から定常状態への移行と、定常状態から停止状態への移行を繰り返すことになる。ここで、停止とは何の動作もしていないことを指す。この移行の繰り返しは、例えば前記したPWM周期のオンオフ動作に当てはまる。したがって、スイッチングコンバータ101とPWMとを組み合わせた出力信号の波形は振幅変調された2値レベルのパルス系列になる。出力信号の振幅は移行時間の設定で変化する。PWMのデューティのみならず、PWM周期(オンオフ時間)で平均的な出力を制御できる。
【0047】
図4は、本実施例の照明装置10の構成例を示す。照明装置10は、スイッチングコンバータ101,スイッチングコンバータ101の出力端に接続された光源103,電源端子100とスイッチングコンバータ101との間に置かれた信号検出部200および信号検出部200の検出信号に基づいてスイッチング部106のスイッチング信号105を生成するスイッチング信号生成部104、を備える。スイッチング信号生成部104は信号検出部200に接続されている。複数個のスイッチングコンバータ101を電源端子100に並列接続する。信号検出部200は電源端子100から複数のスイッチングコンバータ101に供給される電力,電圧,電流等を測定する。スイッチング信号生成部104は信号検出部200の検出結果に基づいてスイッチング信号105を生成する。
【0048】
ここで、二つのスイッチングコンバータ101が並列接続され、それぞれのスイッチング信号105の位相が180度ずれているとする。それぞれのスイッチングコンバータ101はスイッチング信号105に同期して電圧変換を行い、それぞれのスイッチングコンバータ101の出力端に接続された光源103を駆動する。一方、電源端子100にはそれぞれのスイッチングコンバータ101の入力端が共通に接続され、電源端子100から電力供給をうける。
【0049】
それぞれのスイッチングコンバータ101の出力端において、スイッチング動作により発生するリプルはそれぞれの光源103の明るさに変換される。一方、それぞれのスイッチングコンバータ101の入力端では、両者のリプルが加算される。もしも、入力端のリプルがスイッチング信号105と同じ波形ならば、入力端のリプルが最小(小さく)になる((小さく)なる)ようにスイッチング信号105のデューティを設定すれば良い。原理的には、一方のスイッチング信号105の位相に対して他方のスイッチング信号105の位相を180度ずらし、それぞれのスイッチング信号105を50%デューティとすれば、それぞれのスイッチングコンバータ101において電源がオンオフするタイミングは補完しあうので、リプルはキャンセルされるはずである。しかし、現実の回路構成では、リプルは2値信号ではなくアナログ的に歪んだ波形になるので、位相が180度ずれた50%デューティの二つのスイッチング信号105がリプルを最小にできるとは限らない。
【0050】
そこで、スイッチングコンバータ101の入力端にある電源端子100とスイッチングコンバータ101との接続点に、リプルを検出する信号検出部200を配置する。信号検出部200が検出する信号は電力,電圧,電流などである。そして、信号検出部200が検出した検出信号からリプルの大きさを算出して、リプル値としてそれぞれのスイッチング信号生成部104に出力する。そして、信号検出結果に基づいて、入力端のリプルが最小になるようにスイッチング信号生成部104がスイッチング信号105を生成する。
【0051】
スイッチング信号生成部104は、それぞれのスイッチングコンバータ101の周波数,位相およびデューティを制御する。ただし、周波数の制御は必ずしも必要ないので、以下では位相およびデューティの制御を前提として説明する。
【0052】
信号変動を定量化する方法には幾つかの手法があるが、本実施例ではリプルの定量化方法として分散または絶対値の総和を利用する。一定期間内のサンプル点について(信号値−平均値)の二乗を累積することで分散が求められる。分散(縦軸)が凹曲線になるようにパラメータ(横軸)で調整することで、リプルが最小になるパラメータを見つけることができる。
【0053】
また、信号の振幅値を累積するために、信号の絶対値の総和を利用しても良い。一定期間内のサンプル点を対象にするΣ|信号値−平均値|で総和が求められる。記号||は絶対値を算出する演算子とする。絶対値の総和を用いた場合でも、リプルが最小になるパラメータを見つけることができる。分散は二乗するための回路(たとえば乗算回路)が必要になるが、理論的な解析に適した特性を持つ。絶対値は四則演算を用いないので理論的な解析に適さないが、演算回路により符号を変えるだけで絶対値が求まるので簡単になる。
【0054】
本実施例では、デユーティをパラメータとして、スイッチングコンバータ101の入力端で検出される信号の分散を算出する。そして、分散(すなわちリプル)を最小になるようにデユーティを求める。数学的な原理に基づいてリプルの最小値が算出されているが、本実施例では実用的な分解能の誤差を持つことを許容する。時間的に変化する信号の分散を算出する上記の一定期間の範囲をスイッチング周期またはスイッチング周期の倍数とすることで、リプルの変化を繰り返し検出できる。
【0055】
図5を用いて、スイッチングコンバータ101の入力端のリプル動作について説明する。図5(1)に示すような1回路構成の場合、周期的にオンオフするスイッチング信号105を用意して、電源から供給する電流をスイッチング部106でオンオフする。これにより、オン時にはインダクタ107を通過する電流が徐々に増加し、オフ時には徐々に低下する。つまり、電源系統から入力される電流(オン時にインダクタ107を流れる電流)が徐々に増加する三角波となる。しかし、実際の回路はアナログ的な動作をすることから、電源系統から入力する電流は歪みを持った波形となる。そして、スイッチング周期に同期した電流波形の繰り返しがリプルとなる。
【0056】
本実施例では、図5(2)または図5(3)に示すように、複数のスイッチングコンバータ101の位相をずらして動作させる。このとき、出力波形および電源系統から入力する電流波形は位相がずれて重なり合うことになる。原理的には、2回路の場合、二つのスイッチングコンバータ101の位相を180度ずらしたデューティ50%の2値信号であれば、各回路が入力または出力する2値信号は、時間的な隙間を小さくし重なり合うのでリプルは抑制される。また、3回路の場合、三つのスイッチングコンバータ101の位相を120度ずらしたデューティ33.3%の2値信号であれば、各回路が入力または出力する2値信号は、時間的な隙間を小さくし重なり合うことでリプルは抑制される。しかし、現実の回路は前記したような歪みを作るので、事前にリプルを抑制にするまたは最初にする条件が分からない。そこで、複数のスイッチングコンバータ101の電流波形を総和した入力電流波形(リプル)を、電源および複数のスイッチングコンバータ101の接続点で測定する。
【0057】
図6に、リプルとデューティとの関係を示す。ここでは簡単のため、複数のスイッチングコンバータ101のデューティ値を共通とする。これにより、それぞれのデューティ値を独立して設定する場合に比べて設定回路を多数用意する必要はなく、回路を小さく簡単にできる。また、複数のスイッチングコンバータ101のデューティを別々に設定しても良い。複数のスイッチングコンバータ101の部品定数が異なり、デューティとリプル波形との関係が一定でない場合、複数のスイッチングコンバータ101のデューティを別々に設定することが有効である。
【0058】
リプルを分散として算出して縦軸におき、デューティを横軸にとれば、両者の関係は最小値を持つ凹曲線で表される。つまり、位相が180度ずれた2組の2値信号のデューティを0から100%に振ったとき、デューティが0%および100%のときリプル(分散)が最大となり、デューティが50%のとき最小(この例では0)になる。リプルの最小点からデューティを大小のどちらに動かしてもリプルは大きくなる。初期時にはリプルが最小になるデューティは不明である。したがって、スイッチング信号105のデューティを微小に変化させたときのリプルの大きさの変化から、探索型の手順(数学の分野で使われる繰り返し探索の手法に相当)を利用して、リプルの最小点を見つけることができる。リプル値の算出方法およびリプルの最小点の見つけ方は一意ではないので、手順の途中で適宜切り替えても良い。本実施例は、リプルの最小点を見つける手順を備えて、リプル値が最小となるようにデューティをスイッチング信号生成部104に伝達し、スイッチング部106を駆動する。こうして、構成部品の変動,ばらつき,非線形特性,温度,寿命などによる特性変化があっても、リプル低減の効果が安定して得られる。また、電源系統を経由して、他の機器へ伝わるノイズを減らせる。
【0059】
なお、周知のように、数値計算で得られる結果には誤差が含まれる。例えば、ニュートン・ラプソン法などの数値計算で誤差を小さく抑えるためには、繰り返し演算の変数のステップ幅を小さくする、または、繰り返し回数を多くする、などの手法が取り入れられる。一方、これらの手法は計算の負荷(言い換えれば計算時間)を増大させる。したがって、数値計算の実用的な使い方として、繰り返し回数などの適宜な条件を設定しておき、条件が満たされた時点で計算を中断することが多い。上記で述べたリプルの最小点の探索の結果にも、数値計算による誤差がある。さらに、デジタル信号処理においては、量子化誤差や時間的な離散化による誤差などが存在する。本実施例における最小とは、誤差による数値の幅があることを許容するものである。
【0060】
複数のスイッチングコンバータ101の位相をずらして巡回的に動作させることは、スイッチング信号105の生成を巡回的に行うことを意味する。リプルの検出結果をスイッチング信号105の生成に反映するまでには、一巡の待ち時間がある。例えば、二つのスイッチングコンバータ101を交互に動作させてリプル低減するときにはスイッチング信号105は交互に生成される。つまり、一方のスイッチングコンバータ101は他方のスイッチングコンバータ101の動作を待つことになる。三つのスイッチングコンバータ101を組み合わせた場合、自分の順番に戻るまでに二つのスイッチングコンバータ101の動作を待つことになる。スイッチングコンバータ101の個数が増えるほど、スイッチングコンバータ101の待ち時間が増える。
【0061】
そこで、本実施例では、リプルを検出してからスイッチング信号105を生成するまでの期間、リプルの検出結果を一時的に記憶する記憶部(メモリまたはレジスタ)を備える。これらのリプル検出,検出結果の一時記憶,読み出し,スイッチング信号105の生成などの手順は、何らかのクロックに基づいて実行される。また、リプル検出信号の移動平均の算出を行うため、移動平均値を算出する一定期間の信号を記憶する回路を備えても良い。一定期間の時間窓を移動しながら、その期間に含まれる信号の平均値を出力することにより移動平均が求められる。これにより、リプル検出信号で発生するノイズを抑制できる。
【0062】
図7(1)および図7(2)にリプル低減の効果を半導体シミュレータ(SPICE)で計算した一例を示す。図7(1)に、本実施例に基づき、二つのスイッチングコンバータ101を並列にして、入力側の電源端子100に共通に接続して動作させたときの入力電流の波形を示す。図7(2)に、単一のスイッチングコンバータ101で同等の入力電流が流れるように動作させたときの入力電流の波形を示す。縦軸は電流(mA)、横軸は時間(ms)を示す。
【0063】
図7(1)および図7(2)には、3種のデュティー(50%,60%,72%)について3本の波形をプロットしてある。単位の%は、周期期間のうち入力電流が流れる時間の割合を示す。0%であればオフ状態、100%であればオン状態を意味する。図中の波形は、時間0の初期状態からスイッチング動作の繰り返しによる安定状態へ移行して様子を示している。図中の波形はスイッチング信号105のデューティで変化して、リプルの振幅が変化することが見て取れる。
【0064】
図7(1)および図7(2)からわかるように、図7(1)のリプル振幅は図7(2)のリプル振幅の約半分になっている。しかし、リプル振幅を小さくするための条件を設計段階において事前に確定することは難しい。実用的な回路の波形形状はデューティ設定値や部品特性のばらつきなどで変化するためである。
【0065】
図8(1)および図8(2)は、上記と同じ条件でシミュレーションした二つの構成の入力電流波形の周波数成分を示している。横軸が周波数(Hz)、縦軸が周波数成分の大きさ(デシベルdB)であり、下側のプロットほど周波数成分が小さい。
【0066】
図8(1)は二つのスイッチングコンバータ101で動作した場合である。図8(2)は一つのスイッチングコンバータ101で動作した場合である。ノイズとなる周波数成分の大きさを1000Hzとした場合、図8(1)の方が、図8(2)よりも下側にプロットされている。つまり、図8(1)の方が図8(2)に比べてノイズを低減できる。
【実施例2】
【0067】
他の実施例について詳細に説明する。信号検出部200を用いて電圧を検出するには、グランドと検出点との電位差を測定する。信号検出部200を用いて電流を検出するには、信号回路に入れた抵抗の両端電圧を測定し、電圧値を抵抗値で割り算する。信号検出部200を用いて電力を検出するには、上記の電圧および電流の測定を行った結果を掛け合わせて算出する。
【0068】
これらの信号はAD変換器を用いてデジタルデータに変換して、リプルの算出に使うことができる。リプルを分散として算出する場合は、スイッチング周期などの時間範囲に渡る測定データを利用する。この演算は、ハード回路で作れる。また、マイクロプロセッサを用いて、ソフトウェアで記述した手順で上記演算を実行することができる。
【0069】
AD変換器を内蔵するマイクロプロセッサであれば、電圧または電流を容易に測定できる。また、マイクロプロセッサのソフトウェアでリプルの検出結果を用いたスイッチング信号105を生成しても良い。手順をソフトウェアで記述してデジタル的に動作させることにより、アナログ的な変動要因を排除できる。また、動作特性の修正,アップデートなどをソフトの書き換えだけで実現できるので、実装済みの回路の保守管理が容易になる。
【0070】
また、AD変換器は各種のセンサとの接続が容易であるから、例えば、輝度センサと組み合わせて、外部環境の明るさや自らの発光量などを測定して、その結果に基づいてスイッチングコンバータ101の動作を決めることもできる。
【実施例3】
【0071】
他の実施例について詳細に説明する。図9は、スイッチングコンバータ101を階層的に接続する構成例を示している。スイッチングコンバータ101への入力は商用電源の交流100ボルトとする。
【0072】
まず、整流回路で直流に変換するが、入力電圧は高いので、第一段階および第二段階で降圧を繰り返してから負荷を駆動する。言い換えれば、スイッチングコンバータ101を分岐状(図8中の例は2分岐)に接続する。この場合、並列に接続された二つのスイッチングコンバータ(第一のスイッチングコンバータ201,第二のスイッチングコンバータ202とする)と信号検出部200との間に別のスイッチングコンバータ(第三のスイッチングコンバータ203とする)が接続される。第三のスイッチングコンバータ203の駆動により電源端子100からの電圧が降圧される。
【0073】
電源系統と同じ電圧を扱うのは第三のスイッチングコンバータ203による第一段階のみで、第一のスイッチングコンバータ201および第二のスイッチングコンバータ202による第二段階の構成部品の耐圧は低くて良い。たとえば、スイッチング部106をFETトランジスタで作るとき、耐圧が下がることにより、FETトランジスタの部品特性の選択の幅が広がると共にコストを低下できる。同様に、耐圧が下がることにより、部品寿命が延びることが期待できるので、保守管理のコストを低減できる。
【実施例4】
【0074】
図10は、多数の照明装置を配線する構成例を示す。単一の照明装置303では明るさおよび照射面積が不足するとき、多数の照明装置303を組み合わせて広域照明エリア301とし、明るさを確保する。ここで、電源端子100と多数の照明装置303とを接続するとき、スイッチングコンバータ,光源および配線の組み合わせには以下の様な幾つかの方法がある。
【0075】
方式1:入力する交流高圧電源を整流および降圧してから、各照明装置303まで配線して、光源103を駆動する。
【0076】
方式2:入力する交流高圧電源を、各照明装置303まで配線して、各照明装置303において整流および降圧を行い、光源103を駆動する。
【0077】
方式3:入力する交流高圧電源を、整流および降圧(第一の降圧)してから、各照明装置303まで配線して、各照明装置303において降圧(第二の降圧)を行い、光源103を駆動する。
【0078】
方式3では、電源系統からの電圧および光源103の駆動電圧とは異なる中間電圧を生成してから、複数の照明装置303への配線を行う。例えば、電源系統の100ボルト交流を第一のスイッチングコンバータ302に入力して、整流および第一の降圧により48ボルト直流の中間電圧に変換する。次に、この中間電圧を複数の照明装置303へ配線し、各照明装置303において48ボルト直流を第二の降圧によりLED照明に適した電圧に変換してLEDを発光させる。複数の照明装置303にはそれぞれ第二のスイッチングコンバータ304および光源103が備えられている。各照明装置303は、中間電圧の配線のリプルを抑えるように動作する。
【0079】
方式3の構成では、高圧電源の代わりに低圧の直流で配線することで安全性を高められ、電磁ノイズの発生を抑えることができる。また、各照明装置に配置するスイッチングコンバータ304への入力電圧が低くなるので、耐圧の低い部品で回路を構成すれば良く、発生するノイズを低く抑えることができる。
【0080】
ところで、これらの照明装置を電源配線で接続された装置群と捉えるならば、それぞれの照明装置の動作を制御できることが望ましい。照明装置を制御するために制御信号を伝達する信号線を配線しても良いが、別の解決策として電源配線系統に何らかの制御信号を重畳させる方法がある。本発明の構成により電源系統のリプル(ノイズ)を抑えることができるので、重畳させる制御信号の誤り率を減らせる。前記の例では、中間電圧の配線系のリプルを抑えることで、複数の照明装置に伝達する制御信号を容易に重畳させることができる。
【符号の説明】
【0081】
10,303 照明装置
100 電源端子
101 スイッチングコンバータ
102 駆動信号
103 光源
104 スイッチング信号生成部
105 スイッチング信号
106 スイッチング部
107 インダクタ
108 ダイオード
200 信号検出部
201,302 第一のスイッチングコンバータ
202,304 第二のスイッチングコンバータ
203 第三のスイッチングコンバータ
301 広域照明エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータと、
前記第一のスイッチングコンバータの出力端に接続され、前記第一のスイッチングコンバータからの駆動信号により駆動される第一の光源と、
前記第二のスイッチングコンバータの出力端に接続され、前記第二のスイッチングコンバータからの駆動信号により駆動される第二の光源と、
第一のスイッチングコンバータの入力端および第二のスイッチングコンバータの入力端に接続された電源端子と、
前記第一のスイッチングコンバータの入力端および前記第二のスイッチングコンバータの入力端と電源端子との間に配置された信号検出部と、
前記信号検出部に接続されたスイッチング信号生成部と、を有し、
前記第一のスイッチングコンバータの駆動により前記電源端子からの電圧が降圧され、
前記第二のスイッチングコンバータの駆動により前記電源端子からの電圧が降圧され、
前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第一の光源は直列に接続され、
前記第二のスイッチングコンバータおよび前記第二の光源は直列に接続され、
前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第二のスイッチングコンバータは前記電源端子に並列に接続され、
前記信号検出部は前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第二のスイッチングコンバータに供給される電力,電圧または電流のリプルを測定し、
前記スイッチング信号生成部は、前記信号検出部の測定結果に基づいて前記リプルが小さくなるようにスイッチング信号を生成し、
前記スイッチング信号生成部からの前記スイッチング信号の出力により前記第一のスイッチングコンバータおよび前記第二のスイッチングコンバータが駆動されることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一の降圧回路には第一のスイッチング部が含まれ、
前記第二の降圧回路には第二のスイッチング部が含まれ、
前記スイッチング信号生成部は、前記第一のスイッチング部および前記第二のスイッチング部の位相およびデューティを制御することを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記信号検出部は分散を用いてリプルを測定することを特徴とする照明装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記照明装置は記憶部を有し、
前記記憶部は、前記信号検出部による測定結果を一時的に記憶することを特徴とする照明装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記信号検出部はマイクロプロセッサによるプログラム手順に基づき前記リプルを測定することを特徴とする照明装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記信号検出部と第一のスイッチングコンバータおよび第二のスイッチングコンバータとの間に第三のスイッチングコンバータが配置され、
前記第三のスイッチングコンバータの駆動により前記電源端子からの電圧が降圧されることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記第一のスイッチングコンバータは、第一のスイッチング部,第一のインダクタ,第一のダイオードを有し、
前記第一のスイッチング部がオン時には、前記第一のインダクタを通過する電流が徐々に増加し、
前記第一のスイッチング部がオフ時には、前記第一のインダクタを通過する電流が徐々に増加し、
前記第二のスイッチングコンバータは、第二のスイッチング部,第二のインダクタ,第二のダイオードを有し、
前記第二のスイッチング部がオン時には、前記第二のインダクタを通過する電流が徐々に増加し、
前記第二のスイッチング部がオフ時には、前記第二のインダクタを通過する電流が徐々に増加することを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(1)】
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【図5(2)】
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【図5(3)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−4054(P2012−4054A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140055(P2010−140055)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】