説明

照明装置

【課題】熱電変換素子を用いた簡単な回路構成によって、発光ダイオードランプで発生する熱を発光に利用して発光効率を向上させ得る照明装置の提供。
【解決手段】本発明の照明装置は、電源に電気的に接続された第1の半導体発光ダイオード素子と、該半導体発光ダイオード素子を実装した伝熱基板と、該伝熱基板に熱的に接続され且つ電気的に絶縁された熱電変換素子と、該熱電変換素子に接続された第2の半導体発光ダイオード素子とを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードランプ、特に白色発光ダイオードランプを用いた照明装置に関し、さらに詳しくは、熱電変換素子を用いてランプで発生する熱を発光に利用することで一般的な屋内照明の発光効率を向上させたものである。本発明は、従来白色発光ダイオードランプを用いた照明器具において熱として廃棄されていた損失エネルギーを、熱電変換素子を用いて電力として取り出し、これを光に変換して発光量を増加させている。この時、従来公知の技術ではバッテリーを用いるなどの複雑な電源回路を必要としていたが、本発明では熱電変換素子に接続するための追加の発光ダイオード素子を別途用意することで回路を簡素化することができた。
【背景技術】
【0002】
近年、固体照明が脚光を浴びており、中でも白色発光ダイオードランプを用いた照明器具は、その発光効率が急速に改善してきていることから、省エネ照明器具の本命として期待を集めている。現在、研究レベルでは、150lm/Wのものも発表されている。しかし、量産レベルでは未だ数十lm/Wにとどまっている製品が多く、さらなる発光効率の改善が求められている。
【0003】
照明用白色発光ダイオードランプの主流は、現在青色半導体発光ダイオード素子と、青色光励起可視光発光蛍光体粉末を用いたものであるが、蛍光体粉末によって引き起こされれる散乱などが主たる要因となり、白色発光ダイオードランプパッケージからの光の取り出し効率は低く、多くの製品では数%から十数%程度にとどまっている。従来の照明器具の主流である白熱電球や蛍光灯では、可視光に変換されないエネルギーの多くは赤外線あるいは紫外線として放射されるが、白色発光ダイオードランプの場合には損失のほとんどは熱に変わる。半導体発光ダイオード素子が高温になると寿命が短くなり信頼性が低下することから、半導体発光ダイオード素子が実装される部材には、放熱性の高い伝熱基板を用いることが好ましい。
【0004】
これまでにも、発光ダイオード素子から発する熱を熱電変換素子により発電して電力として取り出し、有効に活用しようという発想は有り、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。熱電変換素子を用いた熱電変換モジュールは、通常n型半導体のブロックとp型半導体のブロックとを直列に交互に接続して平板状に構成したモジュールであり、その一方の面と他方の面との温度差により発電する。この熱電変換モジュールを用いるにあたっては、熱源に接する面において、熱源が導電性材料であった場合に、n型半導体のブロックとp型半導体のブロックとをそれぞれの部位で接続している複数の電極間で短絡が発生することを防止するために、熱電変換モジュール表面と熱源とを絶縁板を介して接続することが一般的である。一方で、熱電変換効率を高くするためには、熱源と熱電変換素子との間の熱抵抗が低く、伝熱特性に優れていることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−193031号公報
【特許文献2】特開2004−296989号公報
【特許文献3】特開2006−147865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、その段落番号0040に「LED発光部3で発生した熱が伝熱される部位、例えば基板7や反射部材11や熱伝達部材20に熱的に結合させて」とあるのみであり、絶縁構造については言及されておらず、また熱的結合の具体的態様についても説明が無い。
特許文献2では、熱的な接続について、その段落番号0015に「熱電モジュールと基板との接合は、半田によるろう付けや銀ペーストによる接合が好ましい。」との記載があるが、絶縁構造についての言及は無く、図1の吸熱板が絶縁材料で構成されているものと推測される。熱電変化素子が発電した電力の利用方法、すなわち発電電力の発光素子への供給回路も課題である。
また特許文献1では、段落番号0040に「熱電変換素子26で発生した電力をLED発光部3の制御部8に入力させる」とあり、制御部8が必要である事が述べられている。この場合、当然ながら高コストとなる。
また特許文献2では、熱電変換素子から電力を取り出す電気的接続についてなんら技術的開示がなされておらず、不明である。図2のA−A′断面図では、段落番号0013や図1で言及されているリード線が配線パターンに接続されているかのような図となっているが、そのまま給電系に接続して使用した場合、熱電変換素子は発電素子としてではなく、ペルチェ冷却素子として機能するであろうことは明らかであり、問題である。このような次第により、熱電変換素子が発電した電力を低コストに利用する供給回路が求められていた。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、熱電変換素子を用いた簡単な回路構成によって、発光ダイオードランプで発生する熱を発光に利用して発光効率を向上させ得る照明装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、電源に電気的に接続された第1の半導体発光ダイオード素子と、該半導体発光ダイオード素子を実装した伝熱基板と、該伝熱基板に熱的に接続され且つ電気的に絶縁された熱電変換素子と、該熱電変換素子に接続された第2の半導体発光ダイオード素子とを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の照明装置において、電源スイッチをOFFにした後、前記第2の半導体発光ダイオード素子は、一定期間光り続けるという残光効果を有することが好ましい。
【0010】
本発明の照明装置において、前記伝熱基板はホーロー基板であることが好ましい。
【0011】
本発明の照明装置において、前記熱電変換素子の一方の面に露出したp型半導体とn型半導体とを接続する電極は、直接あるいは熱伝導性グリスのみを介してホーロー基板のホーロー層に密着していることが好ましい。
【0012】
本発明の照明装置において、前記伝熱基板は絶縁材料であることが好ましい。
【0013】
本発明の照明装置において、前記第1および第2の半導体発光ダイオード素子が前記熱電変換素子に対応する位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明の照明装置において、前記第1および第2の半導体発光ダイオード素子が前記伝熱基板に形成された凹部の底面に実装されており、該凹部底面の基板の厚さが基板の他の部位の厚さの半分以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の照明装置は、電源に電気的に接続された半導体発光ダイオード素子と、該半導体発光ダイオード素子を実装した伝熱基板と、該伝熱基板に熱的に接続され且つ電気的に絶縁された熱電変換素子と、該熱電変換素子に接続された半導体発光ダイオード素子とを含む構成としたので、従来廃熱として捨てられていたエネルギーを用いて発電し、この電力を利用して該照明装置の発光量を増加させることができるので、熱電変換素子を用いた簡単な回路構成によって、発光ダイオードランプで発生する熱を発光に利用して発光効率を向上させることができる。
また、放熱性に優れたホーロー基板を用いたことによって、照明装置の放熱性を向上させることができ、素子の長寿命化を図ることができる。
また、絶縁材にホーロー基板のホーロー層を用いたことによって、絶縁性を確保するにあたり、伝熱特性を向上させ、絶縁板を省略できる分、コスト低減を図ることができる。
また、絶縁材にホーロー基板のホーロー層を用い、且つ熱電変換素子の配置と半導体発光ダイオード素子の配置とを対応させ、ホーロー基板の凹部の厚みを薄くしたことで、白色発光ダイオード照明モジュールから熱電変換モジュールへの伝熱特性を向上させることができる。
また、熱電変換素子に直接接続する半導体発光ダイオード素子を追加で用意したことによって、制御部・バッテリー等の機材を用いることなく、熱電変換素子を利用した照明装置を実現することができる。
また、絶縁板を省略し、且つ制御部・バッテリー等を省略できるので、使用機材の削減によるコスト低減を図ることができる。
また、電源に接続された発光素子とは独立して、熱電変換素子に接続された発光素子を設けたことによって、電源スイッチをOFFにした後も、熱電変換素子に接続した発光素子は、しばらくの期間発光を継続するという残光効果を得ることができる。
また、この残光効果が不要の場合には、電源の供給に連動して、熱電変換素子と熱電変換素子に接続する半導体発光ダイオード素子との間の回路をON/OFFするリレーを挿入することにより、残光効果が生じない構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の照明装置の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の照明装置の第1乃至第4実施形態を示す回路図である。
【図3】本発明の照明装置の第2実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の照明装置の第3実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の照明装置の第4実施形態を示す断面図である。
【図6】本発明の照明装置の第5実施形態を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る照明装置の第1実施形態を示す断面図である。図1中、符号1は照明装置、2は熱電変換素子のn型半導体、3は熱電変換素子のp型半導体、4は断熱層、5は電極、6はホーロー基板のホーロー層、7はホーロー基板の鋼板、8は半導体青色発光ダイオード素子、9は蛍光体粉末、10は透明封止樹脂、11は絶縁板、12はヒートシンクである。
【0018】
本実施形態の照明装置1は、白色発光ダイオード照明モジュールと、熱電変換モジュールと、ヒートシンクとから成る。
熱電変換モジュールは、n型半導体2とp型半導体3とを電極5で接続した熱電変換素子を複数個直列または並列に配置し、一方の面を熱源側、もう一方の面を冷却側とすることで、その温度差を元にしてゼーベック効果による起電力を用いて発電するモジュールである。このn型半導体2及びp型半導体3としては、種々の材料が公知であるが、ここでは比較的低温域でも変換効率の高いビスマス・テルル系材料が好適である。
【0019】
断熱層4は、空気層であるか、または窒素などの不活性ガス充填若しくは真空で封止するのが断熱性が高く好ましいが、機械的強度を重視して断熱材料で充填した構造としても良い。
【0020】
熱電変換モジュールの発電量は、熱源側の面から冷却側の面への熱流束に対して変換効率を掛けた値となっており、その発電電力の電圧と電流の配分については、各熱電変換素子の寸法及び直列・並列接続数を勘案することにより適切に設定することが可能である。熱電変換モジュールの熱源側の面は、電極5が露出した状態で図示しない熱伝導性シリコーングリスを介して白色発光ダイオード照明モジュールの伝熱基板であるホーロー基板の裏面に密着している。
【0021】
ホーロー基板は、鋼板7とホーロー層6とから成り、通常であれば熱電変換モジュールは電極の短絡を防止するために絶縁板を介して熱源に接続すべきであろうところを、本実施形態では、ホーロー基板のホーロー層6が絶縁の役割を果たすことから絶縁板を省略することができ、これによりコストを低減できるとともに、熱源のホーロー基板から熱電変換モジュールへの熱伝達効率を高くすることができる。十分に密着させることが可能である場合には、熱伝導性シリコーングリスを用いないこともできる。
【0022】
ホーロー基板の表面には凹部が設けられており、ここに白色発光ダイオードが実装されている。ホーロー基板の表面にはホーロー層6の上に図示しない電極が印刷あるいはスパッタ等により形成されており、凹部底面の電極上に青色半導体発光ダイオード素子8が実装されている。この青色発光ダイオード素子8を被覆するように、蛍光体粉末9を混練した透明封止樹脂10が実装されており、青色発光ダイオード素子8の発する青色光の一部と、該青色光の一部が蛍光体粉末9に吸収され可視光に波長変換された光との混色により白色光が放射される。
【0023】
蛍光体粉末9としては、青色光で励起可能であり可視光を発光する種々の蛍光体材料を用いることが可能であるが、中でも効率の高いYAG:Ce系蛍光体や、青色との混色により色温度の低い温かみのある電球色を発することができるユーロピウム付活αサイアロン蛍光体が好適である。また、ユーロピウム付活βサイアロンなどの青色励起緑色蛍光体とCaSi:EuやCaAlSiN:Euなどの青色励起赤色蛍光体とを混ぜて用いても良い。
【0024】
透明封止樹脂10としては、シリコーン樹脂などが好適である。また、図1に示すように、光の取り出し効率や配光特性に配慮して凸形状のレンズ構造とすることが望ましい。
【0025】
熱電変換モジュールの冷却側の面は、電極の短絡を防止するために、絶縁板11を介して、ヒートシンク12に密着している。熱電変換モジュールと絶縁板11の間、また絶縁板11とヒートシンク12の間には、図示しない熱伝導性シリコーングリスを用いる。ただし、十分に密着させることが可能な場合には、熱伝導性シリコーングリスを用いないこともできる。環境温度が十分低いか、または十分な風量があるなど、熱電変換モジュールの冷却側の温度が十分低くなる場合には、ヒートシンク12を用いないで絶縁板11を露出した構成とすることもできる。また、さらに、短絡が防止される場合には、電極5を露出した構成とすることもできる。
【0026】
本発明の重要な特徴として、白色発光ダイオード照明モジュールに実装された個々の白色発光ダイオードランプの大半は、電源に電気的に接続され外部からの給電を受けており、一部の白色発光ダイオードランプは熱電変換モジュールの発電電力リード線に接続されている。図2に、エネルギーの伝達経路を示す。図2中、符号20は白色発光ダイオードランプ、21は熱電変換素子である。
【0027】
このように、本実施形態によれば、白色発光ダイオード照明モジュールにおいて、従来は熱として損失になっていたエネルギーの一部を白色光として取り出すことができ、照明装置全体としての発光効率を向上させることができる。
また、従来熱電変換素子を含む照明器具において必要とされていた制御部やバッテリーを不要とし、これを達成することができたので、装置を簡略化し、コストを低く抑えることに成功した。
また、ホーロー基板を用いホーロー層6を絶縁層として用い、熱源である照明モジュールと熱電変換モジュールとの接続構造を工夫したため、効率良く熱を伝達することが可能となり、廃熱を電気に変換する効率を向上させることができる。また、これにより絶縁板を省略することが可能となり、コスト低減を図ることができる。
さらに、本実施形態の構成によれば、電源スイッチをOFFにした際に、熱電変換素子に接続された半導体発光ダイオード素子は、照明モジュールの伝熱基板が冷却され、熱電変換モジュールの表面と裏面との温度差がある閾値以下に低下するまでの期間、光り続けるという残光効果を有することとなる。これは、特許文献1及び特許文献2などにおいて従来当業者によって予期されていなかった本発明特有の作用効果である。通常、一般家屋の屋内照明においては、蛍光灯と共にナツメ球など光量の少ない常夜灯が併用されており、このことからも本発明のこの残光効果が有用であることは自明である。
【0028】
[第2実施形態]
図3は、本発明の照明装置の第2実施形態を示す断面図である。図3中、符号101は照明装置、102は熱電変換素子のn型半導体、103は熱電変換素子のp型半導体、104は断熱層、105は電極、108は半導体青色発光ダイオード素子、109は蛍光体粉末、110は透明封止樹脂、111A及び111Bは絶縁板、12はヒートシンクである。本実施形態の照明装置101は、前述した第1実施形態の照明装置1とほぼ同様に構成されており、白色発光ダイオード照明モジュールと、熱電変換モジュールと、ヒートシンクとから成っている。
【0029】
熱電変換モジュールは、第1実施形態に示した電極5が露出した構成に限定されるものでは無く、図3の絶縁板111Bを介して熱源に接するものであっても良い。この場合には、伝熱基板としては、白色発光ダイオードを実装する表面にのみホーロー層を塗布し、裏面は鋼板を露出させた片面ホーロー基板を用いることが可能である。また、その他様々な金属基伝熱基板を用いることが可能である。また、あらかじめ絶縁板111Bを熱電変換モジュールに固定する手順とすることにより、製造工程の途中における熱電変換モジュールの機械的強度を確保し、製造を容易とすることができる。この場合、伝熱基板から熱電変換モジュールへの熱抵抗が若干増加し、変換効率が第1実施形態の場合よりも低下する懸念がある。また、絶縁板111Bの追加が必要である。それ以外の作用効果においては第1実施形態と同様である。
【0030】
[第3実施形態]
図4は、本発明の照明装置の第3実施形態を示す断面図である。図4中、符号201は照明装置、202は熱電変換素子のn型半導体、203は熱電変換素子のp型半導体、204は断熱層、205は電極、208は半導体青色発光ダイオード素子、209は蛍光体粉末、210は透明封止樹脂、211は絶縁板、212はヒートシンク、214は絶縁伝熱基板である。本実施形態の照明装置201は、前述した第1実施形態の照明装置1とほぼ同様に構成されており、白色発光ダイオード照明モジュールと、熱電変換モジュールと、ヒートシンクとから成っている。
【0031】
本実施形態では、伝熱基板として、ホーロー基板に代えて、熱伝導性の高い絶縁材料からなる絶縁伝熱基板214を用いたことを特徴としている。絶縁伝熱基板214を用いることで、半導体青色発光ダイオード素子208を実装した基板と熱電変換モジュールとを直接接続でき、伝熱効率をより向上させることができ、また構造を簡略化することができる。
【0032】
[第4実施形態]
図5は、本発明の照明装置の第4実施形態を示す断面図である。図5中、符号301は照明装置、302は熱電変換素子のn型半導体、303は熱電変換素子のp型半導体、304は断熱層、305は電極、306はホーロー基板のホーロー層、307はホーロー基板の鋼板、308は半導体青色発光ダイオード素子、309は蛍光体粉末、310は透明封止樹脂、311は絶縁板、312はヒートシンクである。本実施形態の照明装置201は、前述した第1実施形態の照明装置1とほぼ同様に構成されており、白色発光ダイオード照明モジュールと、熱電変換モジュールと、ヒートシンクとから成っている。
【0033】
本実施形態では、半導体発光ダイオード素子の配置を熱電変換素子に対応させたものとすることを特徴とする。前述した第1実施形態〜第3実施形態の構成では、熱電変換モジュール内の各素子の位置と、そもそもの熱源である白色発光ダイオード照明モジュール内の各半導体発光ダイオード素子とが一対一に対応していないため、伝熱基板による横方向の熱伝導が白色発光ダイオード照明モジュールから熱電変換モジュールへの伝熱特性に大きく影響することとなり、伝熱基板をある程度厚くする必要があった。しかし、この第4実施形態の構成とすることにより、横方向への熱伝導の影響は十分小さなものとなる。この構成では、半導体発光ダイオード素子実装位置の伝熱基板の厚さは、信頼性の確保に必要な機械的強度が確保できる範囲内で薄ければ薄いほど良く、例えば第1実施形態ではホーロー基板の鋼板の厚み1mmに対して凹部の深さ0.4mm、凹部底面の基板の厚み0.6mmとしていたところを、本実施形態では凹部の深さ0.6mm、凹部底面の基板の厚み0.4mmとするといったように、凹部底面の基板の厚さが基板の他の部位の厚さの半分以下であるようにすることが好適である。もちろん、機械的強度に影響が出ない場合には、伝熱基板全体を薄くすることも可能である。
【0034】
[第5実施形態]
図6は、本発明の照明装置の第5実施形態を示す回路図である。本実施形態の照明装置は、図6に示す回路を採用したこと以外は、前述した第1実施形態〜第4実施形態における照明装置の構成を採用することができる。
【0035】
前述した第1実施形態〜第4実施形態では、図2に示す回路によって電源スイッチをOFFにした後も残光効果が得られるようにしているが、この残光効果が不要な用途もある。そのような場合には、図6に示すように、電源の供給に連動して、熱電変換素子321と熱電変換素子321に接続する半導体発光ダイオード素子320との間の回路をON/OFFするリレー322を挿入することにより、残光効果が生じない構成とすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1,101,201,301…照明装置、2,102,202,302…n型半導体、3,103,203,303…p型半導体、4,104,204,304…断熱層、5,105,205,305…電極、6,306…ホーロー層、7,307…鋼板、8,108,208,308…半導体青色発光ダイオード素子、9,109,209,309…蛍光体粉末、10,110,210,310…透明封止樹脂、11,111A,111B,211,311…絶縁板、12,112,212,312…ヒートシンク、20…白色発光ダイオードランプ、21…熱電変換素子、214…絶縁伝熱基板、320…半導体発光ダイオード素子、321…熱電変換素子、322…リレー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に電気的に接続された第1の半導体発光ダイオード素子と、該半導体発光ダイオード素子を実装した伝熱基板と、該伝熱基板に熱的に接続され且つ電気的に絶縁された熱電変換素子と、該熱電変換素子に接続された第2の半導体発光ダイオード素子とを含むことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
電源スイッチをOFFにした後、前記第2の半導体発光ダイオード素子は、一定期間光り続けるという残光効果を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記伝熱基板はホーロー基板であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記熱電変換素子の一方の面に露出したp型半導体とn型半導体とを接続する電極は、直接あるいは熱伝導性グリスのみを介してホーロー基板のホーロー層に密着していることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項5】
前記伝熱基板は絶縁材料であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
前記第1および第2の半導体発光ダイオード素子が前記熱電変換素子に対応する位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記第1および第2の半導体発光ダイオード素子が前記伝熱基板に形成された凹部の底面に実装されており、該凹部底面の基板の厚さが基板の他の部位の厚さの半分以下であることを特徴とする請求項6に記載の照明装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−99486(P2012−99486A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259181(P2011−259181)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【分割の表示】特願2007−270427(P2007−270427)の分割
【原出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】