説明

照準望遠鏡の変倍装置

【課題】 小型で軽量とし、銃に装着した状態で、その突出度合いを小さくすることを目的とし、特に小銃の場合、照準装置を装着したままで容易にホルスターに収納することができるという新規な照準装置を提供するものである。
【解決手段】 電源部2と光源部3及びミラーレンズ4とからなり、このミラーレンズ4を起立及び倒して格納可能に軸支してあることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銃に装着して使用する照準望遠鏡の変倍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照準望遠鏡において、高倍率の狭い視野にしてターゲットを見つけることは困難である。一方、低倍率の広い視野にしておけば、ターゲットを見つけるのは容易である。銃にてターゲットを射撃する場合、ズームレンズを高倍率にして射撃することが命中率を高める上で好ましい。しかし、ズームレンズを高倍率にしてターゲットを見つけることは困難である。そこで、ズームレンズをターゲットが見つけ易い低倍率にした状態でターゲットを見付け出し、ターゲットを見付け出した状態で瞬時に高倍率に変倍して射撃することができれば好都合である。
このように低倍率の広い視野と高倍率の狭い視野とを間単に切替える変倍装置は公知である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−256782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、対物レンズと結像レンズとの間に変倍レンズを設け、その変倍レンズをレンズホルダに保持し、そのレンズホルダをアームに取り付け、そのアームを駆動手段により旋回可能とし、駆動手段によりレンズホルダをガイドレール上で光軸に沿った方向に進退可能に移動させる構成としてある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、きわめて簡潔な構造により、低倍率の広い視野から高倍率の狭い視野に瞬時に変更できる新規な変倍装置を提供するものである。
そのために、本発明照準望遠鏡の変倍装置は、ズーム用カム筒に連繋して変倍リングを設け、この変倍リングにズーム用カム筒を高倍率方向に回動する弾性力を付与し、変倍リングにズーム用カム筒の高倍率位置に位置付けたストッパーに係止する係止部を設け、変倍リングを低倍率位置で停止する係脱機構を設け、この係脱機構の解除によりズーム用カム筒を瞬時に高倍率位置に回動変位することを特徴とするものである。
【0006】
また、本発明照準望遠鏡の変倍装置は、ズーム用カム筒を高倍率方向に回動する弾性力を、一端を鏡筒本体に連結し、他端を変倍リングに連結した巻きバネにより付与するものである。
さらに、本発明照準望遠鏡の変倍装置は、上記低倍率が1.0倍であり、高倍率が4.0倍である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の照準望遠鏡の変倍装置は、ズーム用カム筒に連繋して変倍リングを設け、この変倍リングにズーム用カム筒を高倍率方向に回動する弾性力を付与し、変倍リングにズーム用カム筒の高倍率位置に位置付けたストッパーに係止する係止部を設け、変倍リングを低倍率位置で停止する係脱機構を設け、この係脱機構の解除によりズーム用カム筒を瞬時に高倍率位置に回動変位することを特徴とするものであるから、きわめて簡単な構造により、低倍率の広い視野から高倍率の狭い視野に瞬時に変更でき、ターゲットを探し易い低倍率の広い視野でターゲットを照準望遠鏡にとらえ、瞬時に高倍率に変更して照準望遠鏡でターゲットをとらえ易くすることができる効果がある。
また本発明の照準望遠鏡の変倍装置は、ズーム用カム筒を高倍率方向に回動する弾性力を、一端を鏡筒本体に連結し、他端を変倍リングに連結した巻きバネにより付与するものであるから、きわめて簡潔な構造による変倍装置を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明変倍装置の低倍率状態を示す斜視図である。
【図2】照準望遠鏡の低倍率状態の正面図である。
【図3】本発明変倍装置の高倍率状態を示す斜視図である。
【図4】照準望遠鏡の高倍率状態の正面図である。
【図5】低倍率状態にある変倍リングの正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
図中符号1がズーム機構のズーム用カム筒で、ズーム機構を構成する一対のレンズ(図示せず)を近接、離反するためのカム溝2,2を有する。
このズーム用カム筒1の後端に変倍リング3を連繋して嵌装してある。このズーム用カム筒1と変倍リング3とを連繋するために、変倍リング3の内周の一部に係止凹部4を形成し、この係止凹部4にズーム用カム筒1に突設した係止ピン5を嵌めて係合させてある。変倍リング3を想像線で示したズーム環6に連繋し、このズーム環6を回動操作してズーム用カム筒1を回動しズーム作動するようにしてある。図示した実施例では、ズームの倍率を4.0,3.5,3.0,2.5,2.0,1.0と変化するようにしてある。
【0010】
ズーム用カム筒1を高倍率方向に回動する弾性力をズーム用カム筒1に付与してあり、そのために図示する実施例では巻きバネ7を設けてある。この巻きバネ7はその一端8を鏡筒本体9に連結し、他端10を変倍リング3に連結してある。
ズーム環6には、ズーム用カム筒1が高倍率位置即ち4.0倍位置にまで回動すれば、その回動を停止するためのストッパ11をネジ形式で着脱自在に設けてあり、一方変倍リング3に該ストッパ11と係止する係止部12を設けてある。
【0011】
一方、ズーム環6と変倍リング3には、巻きバネ7の巻き込み方向に抗してズーム用カム筒1を低倍率位置即ち1.0倍位置に位置を確保するための係脱機構13を設けてある。この係脱機構13は、変倍リング3に後向きに突設した係止ピン14と、この係止ピン14に係脱するよう軸ピン16に回動自在に軸支したラッチ15とからなり、このラッチ15に係止ピン14に係止する方向の弾力が与えられ、押しボタン17を押して係止ピン14とラッチ15との係止を解くようにしてある。
【0012】
図1及び図5が低倍率即ち1.0倍位置を示してあり、照準望遠鏡をのぞいたときには図2に示すようにターゲットが見える。即ち、この状態が広い視野であるから、ターゲットを見付け易い。このようにターゲットを見付けた状態で、係脱機構13の押しボタン17を押すと、係止ピン14とラッチ15の係合が解かれ、ズーム用カム筒1が巻きバネ7の弾力によって高倍率の方向に回動し、変倍リング3の係止部12がストッパ11に係止し、ズーム機構が高倍率即ち4.0倍になる。この状態でターゲットが図4に示すように見える。
【0013】
叙上の如く、本発明変倍装置によれば、低倍率の広い視野状態でターゲットを見付け出し、瞬時に狭い高倍率状態に変倍でき、しかもきわめて簡潔な構造によって変倍装置を提供できる効果がある。
【符号の説明】
【0014】
1 ズーム用カム筒
2 カム溝
3 変倍リング
4 係止凹部
5 係止ピン
6 ズーム環
7 巻きバネ
8 一端
9 鏡筒
10 他端
11 ストッパ
12 係止部
13 係脱機構
14 係止ピン
15 ラッチ
16 軸ピン
17 押しボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズーム用カム筒に連繋して変倍リングを設け、この変倍リングにズーム用カム筒を高倍率方向に回動する弾性力を付与し、変倍リングにズーム用カム筒の高倍率位置に位置付けたストッパーに係止する係止部を設け、変倍リングを低倍率位置で停止する係脱機構を設け、この係脱機構の解除によりズーム用カム筒を瞬時に高倍率位置に回動変位することを特徴とする照準望遠鏡の変倍装置。
【請求項2】
ズーム用カム筒を高倍率方向に回動する弾性力を、一端を鏡筒本体に連結し、他端を変倍リングに連結した巻バネにより付与する上記請求項1に記載の照準望遠鏡の変倍装置。
【請求項3】
上記低倍率が1倍であり、高倍率が4倍である上記請求項1又は2に記載の照準望遠鏡の変倍装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−249895(P2010−249895A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96666(P2009−96666)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(593043392)株式会社東京スコープ (5)
【Fターム(参考)】