説明

熔接トーチの位置決定を備えた、熔接方法及び熔接システム

本発明は、熔接トーチ10の位置が決定される、熔接トーチ10を用いる熔接方法及び熔接システムに関する。三次元における熔接トーチ10の位置が精度良く決定される。信号34が送信機33によって発せられる。信号は、熔接トーチ10と一体化されたか付随した少なくとも一つのセンサ36によって受信される。受信したデータは、評価ユニット40に送られる。評価ユニット40は、三次元における熔接トーチ10の位置に連関した値を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その位置が決定される熔接トーチを用いる熔接方法に関する。
【0002】
本発明は、さらに、熔接装置と、ホースパックを介して接続することができる熔接トーチと、を含む熔接システムに関する。熔接システムにおいては、熔接トーチの位置を決定するためのデバイスが設けられる。
【背景技術】
【0003】
熔接トーチ用の既知の位置検出システムは、光学システム又は磁気システムに基づく。それによって、ジョイント又は熔接が認識される。又は、熔接のコースはジョイントに沿ってモニターされる。そこで、位置検出システムの送信機と受信機のユニットは、熔接トーチ(例えばガス・ノズル)の外部に取り付けられるか、又は独立したデバイス又はコンポーネントを形成する。したがって、隅肉熔接又は突き合わせ熔接を認識するのに例えば実現可能であり、位置検出システムがジョイントに沿って引かれて熔接に達する。かかる位置検出システムは、例えば、特開昭63−286376号公報及び特開昭58−038672号公報に開示されている。
【0004】
かかるシステムは、それらがスペースでの位置(つまり三次元空間におけるマニュアル熔接トーチの位置)の決定を可能にしない欠陥を含んでいるが、ジョイントのトラッキングだけを可能にする。
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、熔接トーチ、特にマニュアル熔接トーチのための熔接方法及びシステムを提供することである。それは三次元空間における熔接トーチの位置検出を可能にする。
【0006】
方法の項目において、本発明の目的は、信号が、送信機から発信され、熔接トーチに一体化されたか又は付随している少なくとも一つのセンサによって受信されることを達成することであり、また、受信された測定データが評価ユニットに送られて、評価ユニットが、三次元空間における熔接トーチの位置に対する値を決定することを達成することである。そうする際に、そこから取得された位置検出及び熔接の間に決定された熔接トーチの三次元位置の値を、同じ種類の後の適用又は被加工物に用いることができることは有利である。したがって、熔接トーチ・システム及び特にマニュアル熔接トーチ・システムにおいて、品質のモニタリング、熔接再現性及び熔接パラメータの付与(assignment)を提供することは、簡単なやり方で実現可能である。
【0007】
好ましくは、熔接トーチの三次元位置に対する受信された測定データ及び/又は決定した値は、記憶される。
【0008】
好ましくは、熔接トーチの三次元位置に対する値は、あらゆる設定可能な時間(time)で決定され、特に、熔接トーチで行なわれた熔接プロセスの最初及び最後に決定される。
【0009】
三次元位置の値に加えて、連関した熔接パラメータは熔接トーチで行なわれた熔接プロセスのために記憶されるという方策(measure)によって、いつ、異なったものが好ましくは異なった熔接パラメータで熔接される同じ種類の熔接被加工物が実現されるときに、熔接パラメータは、熔接の間の位置の関数として自動的に調節され且つ変更され、一連の製造を加速し、熔接工による誤りの調整を除外することが保証されるだろう。
【0010】
三次元位置の値に加えて、熔接トーチで行なわれた熔接プロセスの連関した時間が記憶されるならば、有利だろう。これは品質のモニタリング及び熔接の時間の文書化と同様に例えば熔接速度の決定も保証するだろう。
【0011】
好ましい方法において、決定した三次元位置の値、選択的には、連関した熔接パラメータ及び時間も、同じ種類の後の熔接プロセスに対する参照値として用いられるという方策(measure)は、ほぼ同一の熔接結果が、熔接工に関係なく同じ種類の異なった被加工物の同様の熔接に対して達成されることを保証する。
【0012】
また、三次元位置及び時間に対して決定された値が、記憶された(deposited)参照(reference)値と比較されるならば、及び、必要ならば、熔接パラメータが修正され、達成された変化が記憶されることは有利である。これは、熔接の一貫した品質を保証するだろう。
【0013】
熔接品質、特に、熔接速度、熔接のシーケンス及び熔接トーチの作業角度(work angle)に関連するデータが、熔接プロセスの間に検出され、好ましくは制御装置に記憶されるという方策(measure)によって、自動文書化及び品質管理が提供されるだろう。あとになっての後戻り(retracement)は容易に実現可能になる。
【0014】
本発明の別の特有の特徴によれば、少なくとも一つの行なわれた熔接プロセスの熔接トーチの三次元位置に対して記憶された値、選択的に参照値及び記憶された変更は、分析、好ましくは訓練のために、熔接装置、特に外部デバイスによって読み取られる。したがって、新人のより迅速でより効率的なトレーニングが可能になるだろう。
【0015】
熔接プロセスの熔接パラメータが決定した三次元位置の値に基づいて自動的に調節されるならば、それは好ましい。したがって、熔接プロセスにおいて異なった熔接方法、特に標準でパルスの熔接方法によっていくつかの熔接を生成することは実現可能である。そこでは熔接装置に関する必要な調整及び転換は、熔接プロセスの間に熔接トーチの所定位置に基づいて自動的に達成される。
【0016】
熔接トーチの三次元位置に対して決定された値は、好ましくは、参照値と比較され、及び熔接トーチの操作者に聴覚的に、又は視覚的に表示される。警告の信号又はグラフィック表示の助けを借りて、それぞれの熔接プロセス用の、又は特別の熔接プロセスの間の熔接トーチの正確な姿勢を熔接装置の操作者に予め設定し且つ示すことが実現可能である。かかるフィードバックにより、熔接工が熔接欠陥(例えば継ぎ目外観の悪化)に直ちに応答することができ、同じことを回避するか、減少することができるだろう。
【0017】
時間の関数として検出された三次元位置の値から、熔接速度が決定され且つ熔接速度のデフォルト値と比較され、且つ聴覚的又は視覚的に熔接トーチの操作者に示すことができる。したがって、かかるフィードバックは、熔接工が過度の熔接速度による熔接欠陥(例えば非常に小さな貫通)に直ちに反応することができることを保証する。更に、好ましくは、熔接トーチの動きの自由度を制限しないように外部手段無しで簡単なやり方で熔接速度を決定することが実現可能であろう。
【0018】
熔接プロセスのスタートがデフォルトの三次元位置で可能にされるだけならば、間違った場所での熔接が回避されるだろう。更に、すべての被加工物に対して熔接工によって結果的に行なわれる所定の熔接シーケンスの定義が可能になることを保証する。したがって、すべての被加工物がそれぞれの位置で適切な数の熔接で生成されることを保護するであろう。
【0019】
熔接装置の操作者の好ましい熔接方向に熔接の開始位置の熔接トーチの三次元位置に対する参照値を適合させる方策により、熔接工は、好ましい手(左手又は右手)で熔接トーチをガイドすることができる。
【0020】
熔接トーチの三次元位置は、好ましくは、非作動の熔接装置で、及び特にまだ開始されていない熔接プロセスで決定される。熔接プロセスからの妨害効果が作成されないので、これは参照値の取得を促進する。同時に、熔接工が熔接プロセスを始めた状態で必要であろう目の保護手段を必要としないので、熔接工は被加工物をよりよい光景で見る。その結果、熔接トーチの増強された(enhanced)位置決めが実現可能になる。熔接工は、熔接トーチの位置に順応するように適切な熔接プロセスの前にシミュレーションを実行することもできる。
【0021】
また、熔接トーチに設けられたセンサに加えてあるいはその代わりに、少なくとも一つのさらにセンサが、作業服に特にリストバンド又は手袋に一体化され、測定データが、好ましくは評価ユニットに送信されることが好適であり、その結果、センサのフレキシブルな配置を可能にする。他の利点は、熔接トーチに設けられたセンサが失敗するかもしれないが、熔接手袋における他のセンサの配置により、熔接トーチの近似位置の決定を可能にして、熔接トーチの簡単でコスト効率の良い構造を保証することである。
【0022】
例えば熔接の開始位置及び熔接パラメータに関係している参照値が、熔接トーチに設けられたメモリに記憶されるならば、熔接トーチは電源と無関係に使用可能であり、それにより、すべての熔接工による好ましい熔接トーチの使用を可能にするであろう。
【0023】
参照値は、同じ種類の被加工物に対する参照値を同定するための、識別名(identifier)、特に数と共に、記憶される。好ましくは、同様の被加工物の熔接用の熔接トーチの三次元位置は、各熔接パラメータと共に熔接装置に記憶され、メモリにおける参照値として異なる被加工物の同一の三次元位置を回避する。したがって、同じ種類の被加工物に対する参照値として記憶されたあらゆる三次元位置を明白に決めることが実現可能になる。
【0024】
熔接トーチで行なわれた熔接プロセスの間の時間が検出されるならば、熔接速度を決定し、熔接が行なわれた日付を文書化することは実現可能である。
【0025】
熔接プロセスの間に決定された三次元位置の値と、熔接プロセスの熔接速度を計算するために熔接装置の制御装置に連関した時間と、を送る方策(measure)により、熔接速度に関するフィードバックは、適切な手段によって熔接手順の間に熔接工に送られる。
【0026】
本発明のさらなる特徴によれば、送信機と三次元空間における参照点との間の距離が調節される。したがって、送信機と参照点との間の距離の調整は、三次元空間における熔接トーチの位置の正確な計算を可能にさせる。
【0027】
前述の熔接方法は、マニュアルの熔接トーチを用いるマニュアル適用と、熔接ロボットを用いる自動適用と、に対して適用することができる。
【0028】
しかしながら、本発明の目的は上記熔接システムによっても達成される。熔接システムにおいては、三次元空間における熔接トーチの位置の決定に対して、少なくとも一つの送信機及び少なくとも一つのセンサが、熔接トーチに配置されるか又は連関している。そのセンサが評価ユニットと接続されており、そのセンサによって取得された測定データを介して熔接トーチの三次元位置の決定を可能にする。
【0029】
送信機は、コイル、無線基地(radio station)、レーダー基地、又は、特にGPSシステムに係る衛星のような移動可能な送信機によって形成される。熔接トーチの三次元位置を決定するために視覚的な接触がセンサと送信機との間に必要でなければ、それは利点であるだろう。さらに、送信機のあらゆる位置決めは、実現可能であるべきである。他の利点は、既に知られている送信機の使用がコスト効率の良い熔接トーチ構造を保証するということである。
【0030】
熔接トーチによって実現された熔接プロセスの領域の磁界を生成するための少なくとも一つのコイルと、コイルによって生成された磁界を検知するための少なくとも一つのセンサと、を備える位置検出装置の送信機が、熔接トーチに配置されるか熔接トーチに付随されるかという方策(measure)によって、コイルによって生成された磁界があらゆる障害、物、又はスペース内の類似物に浸透し、したがって、熔接トーチの位置の安全な決定を可能にすることが保証される。
【0031】
熔接トーチに一体化されたセンサによっていくつかの熔接トーチの三次元位置の決定を可能にするように送信機がいくつかの熔接プロセス領域及びしたがっていくつかの熔接トーチをカバーするならば、既存の熔接プロセス領域が選択的に拡張され且つ提供される。
【0032】
好ましくは、各熔接プロセス領域は、三次元空間におけるそれ自身の参照点を割り当てる。
【0033】
位置検出センサが磁気抵抗センサによって形成されるならば、低ノイズの高磁界感度が取得される。
【0034】
生成された妨害磁界をフィルタするためのデバイスが、特に、熔接装置の電源により生成され且つアークが提供されるならば、熔接トーチ位置の安全且つ正確な決定が実現可能である。
【0035】
決定された三次元位置、又は参照位置からのズレを聴覚的及び/又は視覚的に表示するためのディスプレイ装置が設けられて、実行されるべき調整措置(corrective measure)を推進するならば、重要な情報が熔接工へ転送される。
【0036】
好ましくは、ディスプレイ装置は、熔接工の作業服及び特に熔接ヘルメットに一体化される。いくつかの熔接プロセスが異なった熔接プロセス領域で並行して実行され、並行して実行されたあらゆる調整措置によって妨害又は影響を受けることなく、自分の熔接プロセスに関係する調整措置について個々の熔接工が事情に通じていることはそれによって保証される。
【0037】
熔接トーチに設けられたセンサに加えて又はその代わりに、少なくとも一つのセンサは、熔接工の作業服及び特にリストバンド又は手袋に設けられるという方策(measure)によって、センサのフレキシブルな配置が保証される。他の利点は、熔接トーチに設けられたセンサが失敗するかもしれないが、熔接手袋にあるさらなるセンサの配置により、熔接トーチの簡単でコスト効率の良い構造を保証するように熔接トーチの近似の位置の決定が可能になるということである。
【0038】
上記配置の代替として、熔接トーチの位置の決定は、少なくとも一つの送信機が熔接トーチと一体化されるか連関されること、及び、センサで取得された測定データにより熔接トーチの三次元位置の値の決定を可能にするために評価ユニットに接続されている少なくとも一つのセンサが三次元空間に配置されることを可能にする。
【0039】
本発明は、添付した模式図により詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
まず第一に、典型的な実施態様の同じ部分が同じ参照数字を有することに注目される。
【0041】
図1は、例えばMIG/MAG熔接、WIG/TIG熔接、電極熔接の方法、ダブルワイヤ/タンデム熔接方法、プラズマ、ハンダ付け(soldering)方法等のような最も多様なプロセス又は方法に対する熔接装置1(すなわち熔接設備)を図示する。
【0042】
熔接装置1は、電力素子3と、制御装置4と、電力素子3及び制御装置4に連関したスイッチ部材5とを含む電源2とをそれぞれ備える。スイッチ部材5及び制御装置4は、ガス容器9と熔接トーチ10との間に、ガス8、特に例えば二酸化炭素、ヘリウム又はアルゴンのような保護ガス及びその他同種のもののためのフィードライン7に配置されたコントロールバルブ6に接続される。
【0043】
さらに、ワイヤ供給機11(それはMIG/MAG熔接において通常使用される)は、制御装置4によって制御することができる。それによって、フィラー材料又は熔接ワイヤ13は、フィードライン12を介して、材料ドラム14又はワイヤ・コイルから、熔接トーチ10の領域に供給される。もちろん、図1に示されるようなアクセサリ装置と同じものを設計するのではなく、先行技術から分かるように、熔接装置1及び特にその基本ハウジングにおけるワイヤ供給機11を一体化することができる。
【0044】
ワイヤ供給機11が、熔接トーチ10の外側のプロセス・サイトに熔接ワイヤ13又はフィラー材料(filler material)を供給することができる。WIG/TIG熔接の場合普通であるように、その端部に対して、好ましくは、消費できない電極が熔接トーチ10内に配置される。
【0045】
消費できない電極(不図示)と被加工物16との間で、アーク15、特に有効なアークを構築するのに必要なパワーが、熔接17ラインを介して、電源2の電力素子3から熔接トーチ10特に電極に供給される。熔接される被加工物16(それはいくつかの部分によって好ましくは形成される)は、別の熔接18ラインによって、熔接装置1特に電源2に接続される。そして、プロセスに対する電力回路がアーク15又はプラズマジェットを構築する(build up)ことが可能になる。
【0046】
熔接トーチ10の冷却を提供するために、熔接トーチ10は、介在された流れ制御20を介して冷却回路19によって、液体容器特に水容器21に接続することができる。冷却剤の供給により熔接トーチ10の冷却を有効にするために、冷却回路19、特に、水容器21に含まれていた液体に用いられた液体ポンプが、熔接トーチ10が作動したときに開始される。
【0047】
熔接装置1はさらに入力及び/又は出力の装置22を備える。それによって、熔接装置1の最も異なった熔接パラメータ、オペレーティング・モード又は熔接プログラムが、それぞれセットされ且つ呼ばれる。そうする際に、入力及び/又は出力装置22によってセットされた、熔接パラメータ、オペレーティング・モード又は熔接プログラムは、制御装置4に伝えられる。その結果として、制御装置4は、熔接システム又は熔接装置1の個々のコンポーネントを制御し、及び/又は、制御のための各参照値を予め決める。
【0048】
示された典型的な実施態様では、更に、熔接トーチ10は、ホースパック23によって、熔接装置1又は熔接システムに接続される。ホースパック23は、熔接装置1から熔接トーチ10まで各ラインを収容する。ホースパック23は、カップリング機構24によって熔接トーチ10に接続されている。しかしながら、ホースパック23に配置された各ラインは、接続ソケット又はプラグ・インの接続体によって熔接装置1の各接触体に接続されている。ホースパック23の適切な歪(strain)除去を保証するために、ホースパック23は、歪除去手段25を介して、ハウジング26特に熔接装置1の基本ハウジングに接続されている。もちろん、熔接装置1に接続するためのカップリング機構24を用いることもできる。
【0049】
前述されたコンポーネントのすべてが様々な熔接方法又は熔接装置1(例えばWIGデバイス、MIG/MAG装置、プラズマ装置)に用いるとは限らないか使用しなければならないことは基本的に注目されるべきである。したがって、例えば、空冷式熔接トーチ10のような熔接トーチ10を考え出すことができる。
【0050】
図2乃至5を参照する。本発明に係る位置検出は、部屋にある熔接プロセス領域27(例えばホールでのワークステーション)で行なわれたマニュアル熔接プロセスにより説明される。図示した熔接プロセス領域27は、一部分として、被加工物16のための締め付け(clamping)機構29を含む仕事台28で構成される。画定された開始点が熔接の製造に常に提供されるために、クランプ機構29は、例えば、少なくとも一つの作業角度30と、少なくとも1台の固定装置31とから構成される。図5から明白であるように、被加工物16がいくつかの各部分によって形成されることがあるので、クランプ機構29も、被加工物16の各部分に対して固定手段を備える。しかしながら、それらは簡略化のために示されていない。別の部分については、熔接プロセスの実現のための熔接プロセス領域27は、熔接装置1を備えている。熔接装置1は、ホースパック23を介して、熔接トーチ10又はマニュアル熔接トーチに接続されている。被加工物16又は仕事台28は、さらなる熔接18ラインに接続されている。使用された熔接方法に依存して、ワイヤ供給機(feed)11が設けられるか設けられない。したがって、熔接プロセスは、被加工物16を生成する又は熔接するために始められる。
【0051】
いくつかの各部分から構成された被加工物16を製造するために、熔接プロセス領域27は、熔接工のためにシート(不図示)を提供してもよい。熔接トーチ10による二つの部分の熔接は、一つ又はいくつかの熔接32を生成して永久に熔接部を連結する。この目的のために、熔接工は、熔接プロセスに対して、(最適の熔接品質を得ることを目的として、熔接電流、熔接電圧、ワイヤ供給速度等のような各熔接パラメータをセットするであろう。熔接プロセスの間に、制御装置4は、熔接パラメータを制御してそれらを大略一定に維持する。
【0052】
本発明によれば、三次元空間における熔接トーチ10の位置の値を決定するために、位置検出システムは、熔接プロセスの最初に作動する。この目的のために、信号34を発するために、送信機33は熔接プロセス領域27に配置される。信号34は、熔接トーチ10に一体化されるか付随された、受信機35及びセンサ36のそれぞれによって受信される。
【0053】
三次元空間における位置を決定するために、送信機33、好ましくはデカルト座標系から知られた値X、Y、及びZによってもたらされた信号34から三つの座標を画定することが必要である。したがって、図3でのような熔接トーチ10に一体化された受信機35は、三つのセンサ36,37,38を備える。各センサ36,37,38は、三つの値X、Y、及びZのうちの一つを決定することができる。
【0054】
信号34が、熔接プロセス領域27に設置された他のシステム、又は熔接プロセスによって引き起こされた妨害によって影響を受けることがあり、それにより、センサ36,37,38によって決定された値を変造することがあるので、センサ36,37,38はフィルタデバイス39に付随している。これにより、センサ36,37,38によって決定された、熔接トーチ10の三次元位置に対する値が、評価ユニット40に測定データとして送信されることが可能になる。評価ユニット40は、例えば、熔接装置1に配置されるか、又は別個の外部ユニットを構成する。センサ36,37,38の測定データの送信は、例えば、受信機35又はセンサ36に一体化されたデータ通信装置42によって達成される。データ通信装置は、例えば、ホースパック23に一体化されたデータバス42を介して、熔接装置1に設けられた評価ユニット40に接続されている。
【0055】
かかる構造において、熔接トーチ10は、三次元の位置が変わらないある移動半径を有している。例えば、センサ36,37,38が実際に前方部分、つまり、熔接ワイヤ13が熔接トーチ10から出現するその端に配置されるならば、三次元位置の不変さを維持しながら、熔接トーチ10の後方部分が自由に移動可能になる。その結果、熔接トーチ10の姿勢は考慮されない。
【0056】
しかしながら、熔接トーチ10の姿勢は、いくつかの熔接方法において熔接32の品質にある影響を及ぼすので、センサ36,37,38は熔接トーチ10内で違った風に配置される。
【0057】
図4から明白なように、さらなるセンサ43,44,45は、熔接トーチ10に一体化された三つのセンサ36,37,38に、熔接トーチ10のガスノズル46にさらに一体化される。フィルタユニット39も、センサ43,44,45に付随している。内部データバス47によるセンサ43,44,45は、熔接トーチ10に設けられたデータ通信装置41に接続される。したがって、評価ユニット40は、熔接トーチ10内の二つの異なった位置から測定データを受信して、熔接トーチ10の姿勢が熔接手順の間に考慮に入れられることを可能にする。
【0058】
もちろん、一般に、図3及び4に関して、データ通信装置4がも無線リンクを介して評価ユニット40にセンサ36,37,38の測定データを送信することが可能であることも注目されるべきである。送信された測定データから、評価ユニット40はそれぞれの三次元位置を決定して記憶することができる。好ましくは、これは、既知の算定方式を用いたソフトウェアによって行われる。
【0059】
評価ユニット40及び/又はメモリ48も熔接トーチ10に一体化される。それは、連関した熔接パラメータ(以下に詳細に説明される)と同様に、本発明に係る位置検出、特に三次元位置に関連したデータを熔接トーチ10に記憶するために用いられる。
【0060】
本発明に係る位置検出は、例えば、図3又は4に示された熔接トーチ10を用いることにより、図5に示された被加工物16上で行なわれる。
【0061】
例えば、信号34が送信機33によって発せられるようにして、熔接トーチ10の位置検出が行なわれる。センサ36,37,38、センサ43,44,45によって、受信機35は、前記信号34から熔接トーチ10の三次元位置を決定するための測定データを決定する。それは評価ユニット40に送信されれる。送信された測定データから、評価ユニット40は、熔接トーチ10の三次元位置を計算して記憶する。被加工物16の大きな試料番号が生成されるならば、つまり、いくつかの同一の被加工物16が熔接されるならば、これは特に有利である。この場合、第一の被加工物16を作るときに、熔接トーチ10の三次元位置の画定された数は、熔接プロセスの間に検出され且つ記憶される。そして、その数は、他の同一の被加工物16に対する参照(reference)値となる。
【0062】
いくつかの熔接32は、被加工物16の四つの部分、すなわちベース部49、後部50、側部51、側部52を連結するために必要である。熔接される部品49,50,51,52が異なった材料で作られているか、異なった材料厚さであるならば、異なった熔接パラメータが各熔接32に必要であろう。同様に、異なった熔接方法が、異なった材料に必要である。又は、異なった熔接方法が同一の材料に使用される。例えば、標準熔接が側部51,52をベース部49に熔接するために用いられ、パルス熔接がベース部49を後部50を熔接するために使用される。したがって、それから、異なった熔接パラメータがこれらの熔接32のために生じる(result)。
【0063】
熔接トーチ10のそれぞれの三次元位置の値に加えて、各熔接パラメータが記憶される。したがって、熔接トーチ10の三次元位置に対する参照値に対して、連関した熔接パラメータがさらに保管される(deposited)。
【0064】
手順の異なったモードは、三次元位置及び参照値を記憶するために想定される。この目的のために、熔接32の参照値は、少なくとも二つの三次元位置の値(すなわち開始位置53及び終了位置54)から構成される。したがって、熔接手順では、開始位置53及び終了位置54だけが検出されて、参照値と比較される。それによって、少数のデータだけが熔接32の決定に必要である。これらの二つの位置の間に、例えば所定の時間間隔55の後のさらなる位置が、参照値として取得されて、各熔接パラメータと共に記憶されることは当然である。
【0065】
熔接トーチ10の三次元位置の参照値を固定するために、熔接工は、各継ぎ目32の一つ又はいくつかのテスト熔接を行なう。そうする際に、品質管理が各テスト熔接の後に実行される。したがって、かかる品質管理の結果に基づいて、熔接工は、テスト熔接の間に熔接装置1で調整された熔接パラメータを変更することができる。熔接32の最適の品質が達成されるまで、この手順は熔接工によって繰り返される。
【0066】
その結果として参照値(つまり熔接トーチ10の三次元位置の値)を記憶するために、熔接工は、熔接トーチ10上の押しボタン56を押圧することにより、熔接手順の初めに、各熔接32のための開始位置53として熔接トーチ10の現在の三次元位置を画定する。これにより、熔接装置1が連関した熔接パラメータで位置を記憶する。もちろん、さらなるデータを記憶すること及び/又は適切な記録手順を開始することができる。この目的のために、熔接手順の開始でタイミング・プロセスを始めることが可能である。熔接プロセスの間に評価ユニット40によって決定された熔接トーチ10の位置、熔接パラメータ及び時間は、例えば、規定の回数で又はプリセットされた時間間隔55の後に同様に記憶される。それは、熔接32内のいくつかの三次元位置57,58,59,60に帰着するであろう。作られる熔接32の端部に達するときに、熔接工は、例えば、押しボタン56を新たに押圧することにより、熔接32の終了位置54を画定する。熔接手順のためのタイミングであるように、連関した熔接パラメータに加えてその位置が記憶される。
【0067】
被加工物16の各熔接32に対する熔接トーチ10の三次元位置が、評価デバイス40によって検出され且つ記憶された後、前記位置は、参照値として、後の同一の被加工物16及びそれらの熔接32に用いられる。
【0068】
もちろん、参照値の採用の前に、熔接工は、熔接装置1、すなわちパーソナルコンピュータ(PC)のような外部部品によって記録されるべきデータを固定し、かつ各熔接パラメータ、追加の機能(function)、回数などを調節する。その後、それらは自動的に記憶される。
【0069】
もちろん、熔接32の三次元位置に対する参照値の取得は、熔接装置1又は熔接プロセスを無効にして達成される。これにより、特に、アーク15によってもたらされた妨害が発生せず、前記位置のより正確な決定が実現可能になるので、評価ユニット40がセンサ36,37,38からより正確な測定データを受け取ることが保証される。この点において、データの取得が最初にいくつかの後の運転ステップで、すなわち、最初において起こるならば、位置の取得が作動している熔接プロセス無しで実現されることが好ましい。実際の熔接パラメータ及び追加の機能(function)が記録されるように、熔接プロセスが作動した状態で、同じ手順が繰り返される。しかしながら、熔接工が、熔接装置1で三次元位置に対する各設定値を調節し且つ記憶することが可能である。
【0070】
したがって、被加工物16の参照値の取得が完了し、それらの参照値は、同じ種類の他の被加工物16に用いることができる。
【0071】
熔接工が、熔接トーチ10上の押しボタン56によって同一の新しい被加工物16の熔接プロセスを始めるときに、位置検出システムが開始し、それにより、実行されるべき三次元空間及び参照値に比較されるべき決定した位置における熔接トーチ10の一定の位置決定をもたらす。熔接工が開始位置53のうちの一つに熔接トーチ10を持っていくときに、開始位置53に関して保管された(deposited)熔接パラメータ及び追加の機能(function)は、好ましくは、評価ユニット40及び熔接装置1の制御装置4によって自動的に調節される。この後にだけ、アーク15の点火が作動して、熔接手順が行なわれる。保管された(deposited)参照値と熔接トーチ10の現在位置との間での一定の比較が達成されているならば、熔接プロセスの間、それは有利であろう。したがって、例えば、熔接トーチ10の現在の熔接速度及び姿勢が、図8及び9に詳細に記載されるように、保管された(deposited)参照値に基づいて、正確かどうかについて熔接工に通知することができる。評価ユニット40がセンサ36,37,38によって提供された測定データに基づいて熔接32の終了位置54を認識するときに、熔接プロセスは例えば自動的に終了するであろう。
【0072】
熔接工が参照値を得ることにより被加工物16のために熔接設置を一度だけ構成するので、これにより熔接プロセスが容易になり且つ加速される。したがって、行なわれるべき様々な熔接プロセス、すなわち生成される熔接32への適合が、同じ種類の後の被加工物16のために自動的に発生するであろう。異なった熔接パラメータ又はオペレーティング・モードの場合には、生成されるそれぞれの熔接32を考慮して、熔接工が熔接装置1を手動で変換することはもはや必要ではない。しかしながら、これが完全に自動的に起こるであろう。したがって、調節不良が防止される。また、被加工物16の生産時間は実質的に低減される。
【0073】
もちろん、熔接32の開始位置53は、開始位置53がそういうものとして認識され、且つ熔接プロセスの作動が可能である許容限度又は許容領域61を備えてもよい。このことは、熔接工が熔接トーチ10の正確な所定位置をとる必要はないという長所を有する。例えば、熔接トーチ10上には、表示要素(例えば発光ダイオード)を設けられる。熔接工が熔接トーチ10を備えた開始位置53の領域61に到着するときに、表示要素が作動する。当然に、聴覚的信号も使用されてもよい。
【0074】
被加工物16の全ての熔接32が完成したとき、熔接工は、記憶された参照点も後続の被加工物16に用いることができるようにクランプ機構29の位置を変更することなく、同じ種類の他の被加工物16を作ってもよい。
【0075】
さらに、熔接トーチ10の位置が認識された状態で、多くの追加の機能(function)又は追加の適用が、それぞれ、行なわれるか実現される。
【0076】
例えば、被加工物16につき作製されるべき熔接32の数をモニターすることができる。そのために、参照値として被加工物16の熔接32の保管された(deposited)開始位置53のために、被加工物16当たりの熔接32の数が固定される。個々の熔接32が片付けられる(work off)ので、それぞれの接近した開始位置53は、制御装置4及び評価ユニット40によって検出される。したがって、同一の被加工物16の熔接の間に、前記開始位置53が熔接トーチ10を備えた熔接工によってターゲットにされていないので、熔接32が熔接されていなければ、それは認識される。したがって、特に、必要とされた熔接32のすべてが実際に熔接されているかどうかに関する品質管理が実現可能になる。開始位置53のすべてが再びクリアーにされて熔接工が新しい被加工物16を処理できることは、被加工物16のすべての継ぎ目32を熔接した後だけである。
【0077】
例えば、品質管理により、正確に仕上げられた被加工物16の数の取得も可能になる。これは、同一の被加工物16の熔接された継ぎ目32の数によって決定することができる。したがって、これから、正確に仕上げられた被加工物16の数が集められる。この目的のために、各データが記憶管理及び特に記憶管理プログラムに送信されるように、好ましくは、熔接装置1又は評価ユニット40がネットワークに接続される。
【0078】
熔接32に沿って熔接トーチ10をガイドすることにより、熔接32がシミュレートされるので、このシステムは、訓練目的に同様に用いることができる。訓練生は、実際に、熔接プロセスを開始することなく、熔接トーチ10の正確な姿勢を実行してもよい。そうする際に、訓練生は、熔接トーチ10のガイドする速度をモニターするのと同時に、プリセットされた熔接速度の順守を学習する。結果的にそこから速度を決定するために二つの位置の間の時間だけを取得する必要があるので、このシステムで速度モニタリングを実現することは実際に簡単である。
【0079】
基本的に、熔接トーチ10の記憶された三次元位置つまり参照値を熔接プロセスの間での熔接トーチ10の実際の三次元位置と比較することは、複数の方法シーケンス・オプションを提示する。それは、熔接装置1又は評価ユニット40に固定的に保管される(deposited)か、ユーザによって選択される。したがって、被加工物16の熔接のための特別のシーケンスの適合(adaptation)は、実現可能になる。
【0080】
この目的のために、例えば、熔接されるべき継ぎ目32の画定されたシーケンスが被加工物16上で強制的に実施される必要がないように、熔接装置1を調節することができる。したがって、熔接工は、例えば、側部51とベース部49との熔接を開始する。第二の熔接工は、ベース部49及び後部50とベース部49との熔接を開始する。また、第三の熔接工は、ベース部49及び側部52とベース部49との熔接を開始する。全く同一の熔接装置1又はいくつかの連続的に配置された熔接装置1を用いて、いわゆる組み立て(assembly)製造が実現可能であることを意味する。この場合、熔接32の開始位置53の取得の間にシーケンスが記憶されることはない。その結果、前記参照値の助けを借りて熔接するときに、シーケンスが選択的に選択されることを可能にする。
【0081】
もちろん、ある被加工物16(不図示)を熔接するときに、熔接32の特別のシーケンスが従わなければならないことが起こる。その場合、熔接32の各開始位置53を検出するとき、熔接トーチ10の三次元位置と共に、適切なさらなる機能(function)(例えば数)が保管される(deposited)。その結果、各シーケンスに従うことを熔接工に強いる。したがって、例えば、開始位置53で記憶された番号3を有する前の熔接が未だ実施されていないならば、保管された(deposited)シーケンス番号(例えば4)を持った開始位置53で熔接を開始することは不可能である。
【0082】
熔接工の熔接方向、つまり、熔接工が彼の左手又は右手によって熔接トーチ10をガイドすることは、熔接32の開始位置53を決定する。参照値によって画定された方向と反対方向に熔接方向が延在するならば、評価ユニット40は、熔接トーチ10の現在位置に基づいて新しい開始位置53を計算する。このことは、もともと終了位置54として規定された参照値が開始位置53として働くことを意味する。さらに、マニュアル熔接トーチ10の姿勢に対する参照値は、熔接工の熔接方向に適合される。したがって、終了位置54は、開始位置53としても役立つ。したがって、単に、開始位置53又は終了位置54のいずれかとして規定された位置で熔接プロセスが開始することができるので、これは保管される(deposited)。
【0083】
熔接プロセスが不注意に中断されているならば、制御装置4はこのことを認識して、各位置は、例えば、開始位置53として一時的に記憶される。これにより、熔接工は中断された熔接32を終了位置54のところまで仕上げることができる。
【0084】
センサ36,37,38によって供給された測定データを連続的に評価することにより、熔接工が熔接トーチ10を備えた熔接32の開始位置53にあるときに、つまり、同じ種類の被加工物16は保管された(deposited)参照値で作成されるときに、評価ユニット40は認識する。この目的のために、同じ種類の被加工物16が同じ位置で仕事台28に固定される必要がある。
【0085】
同様に、すべての熔接32が、被加工物16上で熔接され、熔接トーチ10に一体化されたメモリ48に追加の機能(function)(例えば数)を記憶することは可能である。そうする際に、三次元位置、熔接パラメータなどは、例えば、一つ又はいくつかの熔接装置1における制御装置4に保管される(deposited)。熔接トーチ10の位置に基づいて、異なった熔接装置1の熔接32用の熔接パラメータの適切な調整を可能にするために、各熔接32に対する値は、データバス42又は無線リンクを介して、接続している熔接装置1の制御装置4に送信され、その結果、熔接パラメータを調節する。このことにより、熔接トーチ10が電源2及び熔接装置1から独立して、また熔接工がいずれの適切な熔接装置1に対して熔接トーチ10を接続することを可能にする。
【0086】
もちろん、被加工物16を仕上げた後に、熔接工は新しい被加工物16を生成することができる。例えば、新しい被加工物16に対して、参照値が既に取得されている。新しい被加工物16に対して、クランプ機構29は、仕事台28の上に適切に配置されることになっている。仕事台28上のクランプ機構29の位置は、選択可能である。したがって、異なった寸法の被加工物16を生成することが実現可能である。
【0087】
それによって、異なった被加工物16に対する参照値を取得して記憶することは可能である。二重の参照値を回避するために、つまり、二つの異なった被加工物16が同じ参照値を有することを防止するために、識別名(identifier)が異なった被加工物16に決められる。したがって、あらゆる記憶された参照値は、明白に規定される。
【0088】
このことは、例えば、識別名又は数の「1」の後にそれぞれの参照値を持った被加工物16が保管され(deposited)、数「2」の後にそれぞれの参照値を持った第二の被加工物16が保管される(deposited)ことを意味する。実際、このことは、順番に、数「1」に対応する被加工物16を熔接することができるために、例えば、熔接トーチ10又は熔接装置1に提供された設定要素によって、熔接工がそれぞれの数「1」をセットすることを意味する。この後に、数「1」の後に保管された(deposited)それぞれの参照値が用いられて、したがって、それぞれの熔接パラメータが調整される。この場合、熔接トーチ10又は熔接装置1におけるメモリ48に数及び参照値の両方を記憶することが可能である。又は、熔接トーチ10の被加工物16に対する数と熔接装置1における参照値とを記憶することが可能である。熔接工が被加工物16を交換すれば、熔接工は熔接トーチ10上にそれぞれの数をセットし、したがって、仕事台28にクランプ機構29を配置しなければならない。
【0089】
それぞれの被加工物16に対するクランプ機構29の位置が記憶される。例えばクランプ機構29上に設けられたディスプレイによって同一の被加工物16を生成するときに、これは、簡単なやり方でクランプ機構29の正確な位置決めを可能にする。さらに、熔接工による取り扱いを容易にするように、被加工物16が曲げられる。したがって、そうする際に、参照値は、クランプ機構29の位置に適合される。このことは、例えば、熔接工が開始点に熔接トーチ10を配置し、例えば押しボタンを作動させることにより調整を有効にするように、開始点がクランプ機構29に固定されることで実現され、開始点に関する参照値をあらためて計算する。
【0090】
更に、生成されるべき被加工物16は、クランプ機構29の位置及び/又は記憶された参照値に基づいて自動的に認識される。この目的のために、被加工物16の熔接32のためのそれぞれの熔接パラメータは、熔接手順に対して調節される。同様に、熔接32のシーケンスは、例えば、考慮される。しかしながら、生成されるべき被加工物16の参照値が、他の被加工物16の参照値と一致するならば、それぞれの識別名又は数を入力することにより被加工物16が規定されなければならない適切な手段(measure)により、熔接工が警告を受けるだろう。
【0091】
しかしながら、クランプ機構29の位置に被加工物16に対する参照値を適合させることができる。したがって、被加工物16は、熔接工に好ましいサイトにある仕事台28に固定することができる。仕事台28上の被加工物16の新しい位置に参照値を調整することが行なわれる。
【0092】
熔接トーチ10の典型的な実施態様によれば、送信機33はコイルとして設計されている。そのコイルは、熔接プロセス領域27内の固定位置に取り付けられる。通電状態のコイルは、信号34として機能する磁界を生成する。熔接トーチ10の受信機のセンサ36-38及び43-45のそれぞれが送信機33の磁界を測定することができるために、それらのセンサは、それぞれ、磁気抵抗センサ36-38及び43-45として形成される。コイルの磁界は、センサ36-38及び43-45の電気伝導度を変化させる。それにより、それらの抵抗値を変化させる。熔接トーチ10の三次元の位置の決定用の測定データとして機能する。
【0093】
センサ36-38及び43-45のそれぞれの抵抗値の変化から三次元位置を計算することを評価ユニット40が可能とするために、参照(reference)点62は、好ましくは評価ユニット40に保管される(deposited)。それは、熔接プロセス領域27、例えば固定的に取り付けられた仕事台34の隅での所定位置で、センサ36-38及び43-45の抵抗値をそれぞれ示す。したがって、位置検出の調整が達成される。参照(reference)点62に磁気抵抗センサを取り付けることは同様に可能である。その場合、評価ユニット40は、センサ36-38及び43-45の測定データに関して熔接トーチ10の位置のそれぞれを参照(reference)点62から決定することができるだろう。このことは、仕事台28を自由に移動させることを保証する。
【0094】
更に、送信機33又はコイルによって前記信号34として生成された磁界が、他の妨害磁界、例えば熔接装置1によって生成された磁界、及び特に、アーク15によって生成された磁界、によって重畳される。それによって、センサ36-38及び43-45の測定データは、それぞれ、影響を受けるだろう。したがって、フィルタデバイス39は、特に既知の妨害磁界をフィルタするために、例えば、受信機35又は評価ユニット40に一体化される。これは例えば離散(discrete)フーリエ変換(DFT)によって達成される。したがって、評価ユニット40は、フィルタされ且つ正確な測定データを受信し、同じもの及び参照点62により三次元空間における熔接トーチ10の位置を正確に決定することができる。したがって、開始位置53及び終了位置54のような、被加工物16の熔接32用のそれぞれの熔接パラメータで熔接トーチ10の位置を検出し且つ記憶することが実現可能である。記憶された値は、同じ種類の被加工物16を製造するための参照値として用いられる。それぞれの参照値で保管された(deposited)熔接パラメータは、制御装置4によって好ましくは自動的に調整される。
【0095】
図6は、送信機33がいくつかの熔接プロセス領域27に信号34を供給する典型的な実施態様を図示する。この場合、増加した範囲のために、固定的に取り付けられた送信機33によって単なる一つの熔接プロセス領域27を供給するときに必要とされるよりも高い要因により信号34が増幅されなければならない。コイルが前記信号34として磁界を生成するために前記送信機33として用いられる場合、既知の妨害磁界をフィルタするときに、隣接する熔接プロセス領域27の既知の妨害磁界は、したがって、フィルタデバイス39によってさらに考慮に入れられなければならない。更に、各熔接プロセス領域27は、評価ユニット40が熔接トーチ10の連関した三次元位置を決定するように、例えば、それ自身の参照点62を有するだろう。他方、個々の熔接プロセス領域27は、共通の参照点62(不図示)を有する。それは、評価ユニット40に保管される(deposited)。
【0096】
送信機33は、例えば、無線基地、レーダー基地又は局所的な位置検出システム(LPS)を備える。それらの場合では、適切なセンサ36-38及び43-45が用いられなければならない。したがって、フィルタデバイス39は、妨害ソースに適合しなければならない。かかるシステムは、いくつかの熔接プロセス領域27と共に、又は送信機33と受信機35との間のより大きな距離のために好ましくは用いられる。
【0097】
もちろん、受信機35のデータ通信装置41は、熔接トーチ10の位置を決定するために、熔接プロセス領域27のそれぞれのセンサ36-38及び43-45の測定データを、外部の評価ユニット63に送信することができる。ここで、再び、熔接トーチ10の検出された三次元位置は、参照値として記憶される。
【0098】
更に、外部デバイスのためのインターフェースは、データの交換を可能にするために、評価ユニット40又は外部評価ユニット63と一体化される。この場合、評価用に記憶されたデータは、例えば、コンピュータ64によって読み取ることができる。コンピュータ64は、ケーブル65によって外部評価ユニット63と結合される。コンピュータ64は、同様に、無線リンク(不図示)によって外部評価ユニット63と結合されてもよい。熔接トーチ10の三次元位置が、参照値(例えば熔接32の開始位置53)と認識されるならば、保管された(deposited)連関した熔接パラメータは、外部の評価ユニット63によって熔接装置1に送信される。これは、例えば、ラジオ・ユニット66によって達成される。熔接装置1は、送信されたデータ及び特に熔接パラメータを受け取る。
【0099】
外部の評価ユニット63は、部屋内にあるあらゆる熔接プロセス領域27に責任を負っている。この点で、外部評価ユニット63の記憶されたデータが読み取られるか、又は被加工物16の熔接32のための参照値が、主として、例えば、コンピュータ64によって好ましくは取り込まれることが好ましい。
【0100】
送信機33も、図7により詳細に示されるように、衛星(satellite)を備える。その場合、送信機33は、一つ以上の熔接プロセス領域27に信号34を供給する。そこでは、送信機33が自由に移動可能なように部屋の外に配置される。熔接プロセス領域27への供給は、例えば、既知のGPS衛星の信号34によって行われてもよい。したがって、熔接トーチ10に一体化される受信機35のそれぞれのセンサ36-38及び43-45は、いわゆるGPS受信機と置換される。そして、データ通信装置41、そして、その結果として評価ユニット40にあるいは外部の評価ユニット63に測定データを送信する。これらから、熔接トーチ10の三次元位置及び、被加工物16の熔接32のために結果的に取得された位置は、それぞれの熔接パラメータを備えた参照値として取得され且つ記憶される。既知であるように、参照値は同一の被加工物16の製造のために用いられる。
【0101】
さらに、図8及び9に示されるように、参照値は熔接プロセスの間に調整措置corrective measure)のために用いられる。図8及び9は、熔接トーチ10の実際の三次元の位置が熔接プロセスの間に保管された(deposited)参照値と比較されるという典型的な実施態様を図示する。
【0102】
既に説明されているように、三次元の位置は、被加工物16の熔接32を熔接する過程で、熔接トーチ10の位置取得の間にそれぞれの熔接パラメータで参照値として記憶される。したがって、参照値は、モニタリングや修正目的のために用いられる。例えば、同じ種類の被加工物16の熔接プロセスの間での熔接トーチ10の正確な姿勢及び熔接速度のモニタリングために、別々に下に記載されるだろう。選択的に、調整措置はモニタリング結果に基づいて始められて、最適な熔接品質を保証する。当然に、参照値は、熔接トーチ10の位置の認識や熔接32の開始位置53のために用いられる。
【0103】
図8によれば、デフォルトの熔接速度vが熔接プロセスの間モニターされる、それによって、熔接速度vの低下が認識される。
【0104】
図8に示されるように、開始位置53及び終了位置54、及び開始位置53及び終了位置54との間の四つの他の三次元位置57、58、59及び60が、例えば、図5に従って被加工物16のベース部49と側部51とを接続する熔接32のために熔接トーチ10の位置検出の間に、所定の時間間隔55の後に取得される。開始位置53の規定で、タイミングが始められたので、終了位置54も同様に、位置57、58、59及び60のための時間が、保管された(deposited)。位置データから、熔接32の長さsが計算される。それから、その結果、熔接速度vは、既知の時間によって計算される。熔接トーチ10の三次元位置の参照値に加えて、熔接速度vが記憶される。
【0105】
熔接手順の間に、熔接工は、最適な品質の熔接32を達成するために、参照値によってプリセットされた熔接速度vを保持するべきである。これは、時間間隔55の終了時に保管された(deposited)参照値と熔接トーチ10の、現在位置(つまり実際の値)とを比較することによって達成される。
【0106】
評価ユニット40が熔接トーチ10の現在位置を開始位置53に対する参照値と認識して、熔接工が熔接プロセスを作動させるときに、熔接パラメータはしたがって調節され、また、タイミングが開始される。時間間隔55の終了に際して、実際の値の取得が起こる。熔接トーチ10の現在位置は、評価ユニット40によって決定され、連関した時間の値で記憶される。そうする際に、現在の値は参照値と比較される。そして、結果が評価される。位置57及び58の場合であるときに、実際の値が参照値に一致して、所定の許容限度内に存するならば、正確な熔接速度vが存在するだろう。
【0107】
例えば実際の値が参照値の許容限度以下に低下したことを参照値と実際の値との比較が明らかにするならば、位置58,67と、熔接32の距離sに関する熔接速度vのコースとの間で明白であるように、熔接速度vがこの時間間隔55の間に非常に低いという結果になるであろう。熔接32の必要な質がほぼ維持されることを可能にするために、したがって、熔接パラメータは、例えば熔接電流を低下させることにより、熔接トーチ10の実際の値の位置に基づいて制御装置4によって適合される。熔接プロセスの間のかかる調整措置は、例えば、被加工物16が溶融することを防止する。
【0108】
再び所望の熔接速度vに達するために、熔接工が熔接速度vを増加又は減少すべきことを例えば警告信号で熔接工に通知される。これは、例えば、高い可聴音範囲における警告信号が熔接工からしたがって熔接速度vを増加させることを要求することにより達成される。この目的のために、適切な参照値及び熔接パラメータは、後の時間間隔55に対する制御装置4又は評価ユニット40によって計算される。したがって、計算された位置58が到達するまで、熔接速度vは増加する。また、増加した熔接速度vは、位置68から再び低下するだろう。この目的のために、熔接工は、例えば、低周波の警告信号を受け取るだろう。したがって、現在の熔接速度vは、位置60に対する所定の熔接速度vが再び到達して、警告信号が静かになるまで、参照値によってプリセットされた熔接速度vに徐々に適合される。その時間間隔55の間に、つまり、位置68と位置60との間に、この実際の値が位置67で時期尚早に評価されているので、位置59の参照値と実際の値との比較は起こらない。
【0109】
位置60では、マニュアルの熔接トーチ10の位置の実際の値が、参照値に再び一致しているので、熔接32は、位置60から終了位置54まで、所定の熔接速度vで仕上げることができる。より正確な速度をモニタリングすることを可能にするためにいくつかのかかる参照値を記憶することは可能である。
【0110】
図9は、プリセットされた作業角度69又は熔接トーチ10の姿勢が、熔接プロセスの間にモニターされる典型的な実施態様を図示する。あらゆる変化が認識されている。
【0111】
本発明によれば、熔接32に対する熔接トーチ10の三次元位置を持った熔接プロセスが許されているだけである。三次元位置は、熔接32の開始位置53に対する参照値として記憶された。同様に、図4に記載された熔接トーチ10は好ましくは使用される。それによって、開始位置53に加えて、熔接トーチ10の姿勢又は作業角度69が考慮される。熔接トーチ10のこの構成では、二つの熔接トーチ位置の値が、センサ36-38及び43-45のそれぞれによって生じて、例えば、参照値として評価ユニット40に記憶される。そうする際に、センサ43,44,45の測定データから計算された熔接トーチ10の位置は、例えば、得られた熔接32のための参照値として役立つだろう。センサ36,37,38の測定データから計算された熔接トーチ10の三次元位置は、熔接トーチ10の姿勢に対する参照値として働く。
【0112】
したがって、同一の被加工物16を作成するときに、熔接トーチ10の三次元位置を参照値として認識するときに、熔接トーチ10の姿勢が考慮されるだろう。その結果、熔接トーチ10の三次元位置の両方が、連関して保管された(deposited)参照値に一致するか、所定の許容範囲内に存するならば、熔接パラメータは自動的に調節される。したがって、開始位置53から明白なように、熔接プロセスは、熔接トーチ10の正確な姿勢を持った画定された開始位置53で始めることができる。
【0113】
所定の時間間隔55の後、熔接トーチ10の作業角度69に対する実際の値は、例えば、評価ユニット40によって決定され、熔接32の位置57に関して、連関した参照値と比較される。熔接トーチ10の作業角度69の実際の値が、参照値の許容限度以内にあるならば、制御装置4は好ましくは熔接プロセスを妨害しない。図9によれば、これは、熔接32の位置57,58での場合である。
【0114】
熔接工が、例えば後の時間間隔55の内で、つまり、位置58,59の間で、熔接トーチ10の姿勢又は作業角度69を変更するならば、熔接トーチ10の作業角度68の実際の値が、参照値の許容限度を越えるだろう。したがって、急勾配の作業角度69(位置59を参照)となる。これは、熔接32の距離sに関する作業角度68のコースから明白である。熔接32の品質をほぼ一定に保つように、熔接パラメータは、制御装置4によって熔接トーチ10の変更された姿勢に適合される。さらに、熔接工は、熔接トーチ10のプリセットされた姿勢を再び取ることを要求することができる。これは、適切な警告信号を介して、例えば、後の時間間隔55に、つまり位置59と60との間に、達成される。この場合、作業角度69は減少して、したがって、位置60まで参照値によってプリセットされた作業角度69に徐々に適合される。そして、警告信号が静かになる。したがって、熔接32は正確な作業角度69で終えることができる。
【0115】
一般に、熔接トーチ10の間違った姿勢及び誤った熔接速度と同様に、熔接工に送信された認識された調整措置は、熔接トーチ10の三次元位置と共に記憶されることは、図8,9に関して注目されるべきである。これらの調整措置データ並びに参照値は、例えば、評価ユニット40、外部評価ユニット63又は制御装置4から例えば、コンピュータ64によって結果的に読み取ることができる。それらは、例えば、行なわれた熔接プロセスの分析に用いられる。そうする際に、熔接された継ぎ目32(つまり実際の値)と参照値との間の差は、明白になるであろう。したがって、熔接32の品質の自動文書化(documentation)は、熔接プロセス、及び個々の熔接手順のために行なわれる。
【0116】
もちろん、実際の値と参照値との間で一定の比較を行うことを通じて、現在の熔接速度及び熔接トーチの姿勢を熔接工に知らせることができる。それは非常に短い時間間隔55を意味する。これは、例えば、熔接ヘルメットに一体化されたディスプレイによって、又は警告信号によって行うことができる。この目的のために、それぞれの調整措置をとるのに必要なデータを受け取るために、受信機は熔接ヘルメットに一体化されてもよい。
【0117】
ディスプレイは、例えば、上向きの矢印で速度の増加を、下向きの矢印で速度の低下を示す。また、矢印の無いものは、実際の熔接速度が正確であるか許容範囲内にあることを意味する。矢印の代わりに、数を用いてもよい。ディスプレイに加えて、又はディスプレイの代わりに、熔接ヘルメットに一体化された拡声器が、例えば、警告信号を出してもよい。図8で既に説明されたように、高周波の発信音は、速度の増加を意味し、低周波の発信音は速度の減少を意味する。発信音がしないことは、実際の熔接速度が正確であるか許容範囲内にあることを示す。類似的に、記載されたディスプレイ及び警告信号が、他のタイプの発信音を選択することにより急勾配すぎるか小さすぎる作業角度69を示すために用いられてもよい。
【0118】
熔接速度v及び/又は作業角度69は、同様に、熔接トーチ10又は仕事台28に設けられたディスプレイ装置に表示されるか図式に表わされてもよい。これは、例えば、訓練目的のために用いられる。必要な調整措置が、熔接プロセスの間に熔接工に通信されるか表示される。したがって、異なった熔接方法の実際的な学習過程が加速される。熔接される継ぎ目32が、つまり、熔接プロセスを始めること無しで、シミュレートされるか事実上(virtually)熔接される場合、これを用いることができることは言うまでもない。
【0119】
図2乃至9に従って前述の典型的な実施態様において、熔接トーチ10の三次元の位置を決定するための測定データを評価ユニット40に送信する受信機35のセンサ35-38及び43-45は、熔接トーチ10に一体化される。
【0120】
熔接工の作業服、及び特に熔接手袋や腕時計やリストバンドに、センサ36-38及び43-45を一体化することも可能である。この場合、好ましくは、参照値に加えて熔接工のためのコードが保管されて(deposited)もよい。これは、例えば、受信機35に一体化されたデータ通信装置41が、評価ユニット40に規定のコードを同時に送信するという点で達成される。これによって評価ユニット40が熔接工の名前又は数を割り当てる(assign)ことができる。したがって、それらは保管される(deposited)。しかしながら、そのような場合、作業服の変化がかかる変化前のような同じ位置を正確に保証しないので、許容限度を上げなければならないだろう。
【0121】
センサ36-38及び43-45の代わりに、熔接トーチ10に送信機33を一体化することも可能である。その場合、受信機35は、送信機33の前述のタスクを担っている(assume)。逆の場合も同じである。したがって、受信機35及びセンサは、部屋に取り付けられ、無線リンク又はケーブル接続によって評価ユニット40と接続される。したがって、後のものは、再び熔接トーチ10の三次元位置を決定して記憶することができる。もちろん、後のものが熔接トーチ10の寸法に影響を及ぼさないように、この種の位置検出装置は、送信機33のサイズに依存する。
【0122】
基本的に、図2乃至9に示された熔接トーチ10の位置を検出するための方法は、記載されたシステムと同様に、マニュアル熔接トーチにおいて適用可能であるだけでなく、自動熔接装置において適用可能である。自動熔接装置の場合では、つまり、同じ種類の被加工物16の熔接32の品質の文書化及び記憶、及び後の分析を可能にするために、焦点が特に品質保証にある。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】熔接装置を典型的に示す図である。
【図2】部屋に設けられた送信機を備えた部屋内の熔接プロセス領域にあるマニュアル熔接トーチの、本発明に係る位置検出を示す。
【図3】一体化センサ(integrated sensor)を備えたマニュアル熔接トーチの模式図である。
【図4】一体化センサ及び追加のセンサを備えたマニュアル熔接トーチの模式図である。
【図5】適切な熔接により互いに接続されたいくつかの部分から構成された被加工物の模式図である。
【図6】前記部屋に設けられた送信機を備えた部屋内のいくつかの熔接プロセス領域にあるいくつかの熔接トーチの、本発明に係る位置検出を示す。
【図7】外部送信機を用いて、一つの部屋内のいくつかの熔接プロセス領域にあるいくつかの熔接トーチの位置検出を示す。
【図8】非常に遅い熔接速度を検出する間の熔接プロセスの模式図である。
【図9】非常に急勾配の熔接トーチの作業角度を検出する間の熔接プロセスの模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熔接トーチ(10)の位置が決定される熔接トーチ(10)を用いる熔接方法であって、
信号(34)が、送信機(33)によって発せられて、当該信号は、熔接トーチ(10)に一体化したか又は付随した少なくとも一つのセンサ(36)によって受信されて、
受信された測定データは、評価ユニット(40)に送信され、評価ユニット(40)は三次元空間における熔接トーチ(10)の位置に対する値を決定することを特徴とする熔接方法。
【請求項2】
受信された測定データ及び/又は熔接トーチ(10)の三次元位置に対する決定された値が記憶されることを特徴とする請求項1に記載の熔接方法。
【請求項3】
熔接トーチ(10)の三次元位置に対する値が、あらゆる設定可能な時間で、特に、熔接トーチ(10)で行なわれた熔接プロセスの開始及び終了で決定されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熔接方法。
【請求項4】
三次元位置の値に加えて、熔接トーチ(10)で行なわれた熔接プロセスに対する連関した熔接パラメータが記憶されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の熔接方法。
【請求項5】
三次元位置の値に加えて、熔接トーチ(10)で行なわれた熔接プロセスの連関した時間が記憶されることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項6】
連関した熔接パラメータ及び時間と共に、決定された三次元位置の値が、同じ種類の後の熔接プロセスに対する参照値として用いられることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項7】
連関した熔接パラメータ及び時間と共に、三次元位置に対して決定された値が、保管された参照値と比較され、もし必要とされるならば、熔接パラメータが修正されて、達成された変化が記憶されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項8】
熔接品質に関係するデータ、特に、熔接速度、熔接(32)のシーケンス及び熔接トーチ(10)の作業角度(69)は、熔接プロセスの間に取得され且つ記憶されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項9】
少なくとも一つの実行された熔接プロセスの熔接トーチ(10)の三次元位置に対して記憶された値、選択的には参照値及び記憶された変更は、分析のために読み取られることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項10】
熔接プロセスの熔接パラメータが、決定された三次元位置の値に基づいて自動的に調節されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項11】
熔接トーチ(10)の三次元位置に対して決定された値が、参照値と比較され、且つ聴覚的又は視覚的に熔接トーチ(10)の操作者に示されることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項12】
時間の関数として決定された三次元位置の値から、熔接速度は、確認されるとともに、熔接速度のデフォルト値と比較され、そして、聴覚的又は視覚的に、熔接トーチ(10)の操作者に示されることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項13】
熔接プロセスの開始が、熔接トーチ(10)のデフォルトの三次元位置で許可されることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項14】
熔接(32)の開始位置(53)の熔接トーチ(10)の三次元位置に対する参照値が、熔接トーチ(10)の操作者の好ましい熔接方向に適合されることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項15】
熔接トーチ(10)の三次元位置が非作動の熔接装置(1)で決定されることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項16】
熔接トーチ(10)の操作者の作業服、特にリストバンド又は手袋に一体化された少なくとも一つのセンサ(43)の測定データが、評価ユニット(40)に送信されることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項17】
熔接(32)の開始位置(53)に対する参照値、及び熔接パラメータは、熔接トーチ(10)に設けられたメモリ(48)に記憶されることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項18】
参照値に加えて、同じ種類の被加工物(16)に対する参照値を同定するための識別名が記憶されることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項19】
熔接トーチ(10)で行なわれた熔接プロセスの間の時間が検出されることを特徴とする、請求項1乃至18のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項20】
熔接プロセスの熔接速度を計算するために、熔接プロセスの間に決定された三次元位置の値、及び連関した時間が、熔接装置(1)の制御装置(4)に送信されることを特徴とする、請求項19に記載の熔接方法。
【請求項21】
三次元空間における、送信機(33)と参照点との間の距離が調節されることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか一つに記載の熔接方法。
【請求項22】
熔接装置(1)と、ホースパック(23)を介して接続可能な熔接トーチ(10)と、を含む熔接システムであって、
熔接トーチ(10)の位置を決定するためのデバイスが設けられており、
三次元空間における熔接トーチ(10)の位置を決定するために、少なくとも一つの送信機(33)及び少なくとも一つのセンサ(36)は、熔接トーチ(10)に配置されるか、あるいは、熔接トーチ(10)に付随して、
センサ(36)によって取得した測定データを介して熔接トーチ(10)の三次元位置の値の決定を可能にするために、当該センサ(36)は評価ユニット(40)と接続されていることを特徴とする熔接システム。
【請求項23】
コイル、無線基地、レーダー基地又は特にGPSシステムに係る衛星のような移動可能である送信機(33)によって、送信機(33)が形成されることを特徴とする、請求項22に記載の熔接システム。
【請求項24】
位置検出装置の送信機(33)は、熔接トーチ(10)の熔接プロセスの領域(27)に磁界を生成するための少なくとも一つのコイルを備えて、コイルによって生成された磁界を検出するための少なくとも一つのセンサ(36)が、熔接トーチ(10)に配置されるか、あるいは、熔接トーチ(10)に付随していることを特徴とする、請求項22又は23に記載の熔接システム。
【請求項25】
熔接トーチ(10)に一体化されるか又は熔接トーチ(10)に付随したセンサ(36,37,38)を介して、いくつかの熔接トーチ(10)の三次元位置を決定することができるように、送信機(33)がいくつかの熔接プロセス領域(27)及びいくつかの熔接トーチ(10)をカバーすることを特徴とする、請求項22乃至24のいずれか一つに記載の熔接システム。
【請求項26】
各熔接プロセス領域(27)が、三次元空間におけるそれ自身の参照点(62)に割り当てられていることを特徴とする、請求項22乃至25のいずれか一つに記載の熔接システム。
【請求項27】
前記センサ(36)が磁気抵抗センサ(36)によって形成されることを特徴とする、請求項22乃至26のいずれか一つに記載の熔接システム。
【請求項28】
特に熔接装置(1)の電源(2)及びアーク(15)によって生成された妨害磁界をフィルタするためのデバイス(39)が設けられていることを特徴とする、請求項22乃至27のいずれか一つに記載の熔接システム。
【請求項29】
決定された三次元位置又は参照位置からの偏りを聴覚的及び/又は視覚的に表示するためのディスプレイ装置が、実行されるべき調整措置を推進するために設けられていることを特徴とする、請求項22乃至28のいずれか一つに記載の熔接システム。
【請求項30】
前記ディスプレイ装置が、熔接工の作業服及び特に熔接ヘルメットに一体化されることを特徴とする、請求項29に記載の熔接システム。
【請求項31】
少なくとも一つのセンサ(36)が、熔接工の作業服及び特にリストバンドあるいは手袋に設けられていることを特徴とする、請求項22乃至30のいずれか一つに記載の熔接システム。
【請求項32】
熔接装置(1)と、ホースパック(23)を介して接続可能な熔接トーチ(10)と、を含む熔接システムであって、
熔接トーチ(10)の位置を決定するためのデバイスが設けられており、
熔接トーチ(10)の位置を決定するために、少なくとも一つの送信機(33)は、熔接トーチ(10)と一体化されるかあるいは熔接トーチ(10)に付随して、
少なくとも一つのセンサ(36)は三次元空間に配置され、
センサ(36)によって取得した測定データを介して熔接トーチ(10)の三次元位置の値を決定することを可能にするために、当該センサ(36)が、評価ユニット(40)と接続されていることを特徴とする熔接システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2009−500178(P2009−500178A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520668(P2008−520668)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【国際出願番号】PCT/AT2006/000204
【国際公開番号】WO2007/009131
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(504380611)フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (65)
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
【Fターム(参考)】