熱交換ファンおよび冷却装置
【課題】小型で冷却能力に優れ、かつ、冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な熱交換ファンを提供する。
【解決手段】羽根部33の内部に形成された流路33aの外側の位置に吸熱側を向けてペルチェ素子35を取り付ける。放熱フィン34aを備えた放熱部34を、ペルチェ素子35の放熱側に位置させる。羽根部33の回転および放熱部34によってペルチェ素子35による冷却液の熱電変換効率を向上し、小型で冷却能力および静音性に優れた熱交換ファンを得ることができる。羽根部33(熱交換ファン)の回転数あるいは回転速度を制御したり、ペルチェ素子35の動作を電気的に制御したりすることにより、冷却対象の温度をきめ細かく制御できる。
【解決手段】羽根部33の内部に形成された流路33aの外側の位置に吸熱側を向けてペルチェ素子35を取り付ける。放熱フィン34aを備えた放熱部34を、ペルチェ素子35の放熱側に位置させる。羽根部33の回転および放熱部34によってペルチェ素子35による冷却液の熱電変換効率を向上し、小型で冷却能力および静音性に優れた熱交換ファンを得ることができる。羽根部33(熱交換ファン)の回転数あるいは回転速度を制御したり、ペルチェ素子35の動作を電気的に制御したりすることにより、冷却対象の温度をきめ細かく制御できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器の冷却システムなどに用いる熱交換ファンおよびこれを備えた冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばロボットや可搬型レーザ溶接機などの、小型で発熱密度が高い電子機器に対しては、ファンなどを用いた空冷式の冷却システムが用いられている。しかしながら、このような空冷式の冷却システムは、冷却能力が必ずしも充分とはいえないため、より冷却能力に優れた冷却システムが望まれている。
【0003】
そこで、冷却液などの冷媒を用いる液冷の冷却システムにおいて、この冷媒を冷却用のファンの羽根部の内部の空洞部分に通過させることにより、冷媒と空気との熱交換を促す構成が知られている。そして、このような熱交換によって冷媒を効果的に冷却し、冷却能力を確保することが可能になる(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−347193号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開2008−215795号公報(第9−10頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、電子機器が小型・高機能化されていく一方で、これらの発熱密度が増加する傾向にある。したがって、より小型で、冷却能力に優れ、かつ、冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な冷却装置が望まれてきている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小型で冷却能力に優れ、かつ、冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な熱交換ファンおよびこれを備えた冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の熱交換ファンは、冷媒が通過可能な流路を内部に備えた回転可能な羽根部と、この羽根部の少なくとも前記流路の外側の位置に吸熱側を向けて取り付けられた熱電変換素子と、放熱フィンを備え、前記熱電変換素子の放熱側に少なくとも一部が位置する放熱部とを具備したものである。
【0008】
請求項2記載の熱交換ファンは、請求項1記載の熱交換ファンにおいて、放熱フィンは、羽根部の回転方向に沿って複数形成されているものである。
【0009】
請求項3記載の熱交換ファンは、請求項1または2記載の熱交換ファンにおいて、羽根部は、流路に連通する孔部を備え、熱電変換素子は、前記孔部を覆って取り付けられているものである。
【0010】
請求項4記載の熱交換ファンは、請求項1または2記載の熱交換ファンにおいて、熱電変換素子は、スケルトン型のペルチェ素子であり、羽根部側および放熱部側に密着して配置され、前記ペルチェ素子と前記羽根部側および前記放熱部側とは、少なくとも密着部が互いに絶縁されているものである。
【0011】
請求項5記載の熱交換ファンは、請求項1ないし4いずれか一記載の熱交換ファンにおいて、熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度をそれぞれ測定して電気信号として出力可能な温度測定手段と、羽根部と放熱部との少なくともいずれかに取り付けられ、前記温度測定手段により出力された電気信号を増幅して外部へと出力可能なアンプ回路とを具備したものである。
【0012】
請求項6記載の熱交換ファンは、請求項1ないし5いずれか一記載の熱交換ファンにおいて、熱電変換素子の周囲を羽根部および放熱部との間で封止する封止部材を具備したものである。
【0013】
請求項7記載の冷却装置は、冷媒を収容するタンクと、このタンクの内部に配置され、このタンクに収容された冷媒を吐出するポンプインペラと、このポンプインペラの冷媒の吐出側が流路に接続された請求項1ないし6いずれか一記載の熱交換ファンと、この熱交換ファンの羽根部および前記ポンプインペラを回転させるモータとを具備したものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、羽根部の内部に形成された流路の外側の位置に吸熱側を向けて熱電変換素子を取り付け、かつ、放熱フィンを備えた放熱部を、熱電変換素子の放熱側に少なくとも一部を位置させることにより、羽根部の回転および放熱部によって熱電変換素子による冷媒の熱電変換効率を向上し、小型で冷却能力に優れた熱交換ファンを得ることができるとともに、羽根部の回転数あるいは回転速度を制御したり、熱電変換素子の動作を電気的に制御したりすることにより、冷却対象の温度をきめ細かく制御できる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、放熱フィンを、羽根部の回転方向に沿って複数形成することにより、放熱部での放熱効果をより向上でき、かつ、羽根部の回転時の放熱フィンによる圧力損失を抑制できるので、冷却能力をより向上できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、流路に連通して羽根部に形成した孔部を覆って熱電変換素子を取り付けることにより、熱電変換素子を冷媒に直接接触させることが可能になるので、熱電変換素子による冷媒の冷却効果をより向上できる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、熱電変換素子をスケルトン型のペルチェ素子として羽根部側および放熱部側とに密着配置することにより、ペルチェ素子による熱電変換効率をより向上できるとともに、ペルチェ素子と羽根部側および放熱部側との少なくとも密着部を互いに絶縁することにより、スケルトン型のペルチェ素子を用いても、このペルチェ素子と羽根部および放熱部との絶縁性を確保できる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、温度測定手段により測定された熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度の電気信号を増幅するアンプ回路を羽根部と放熱部との少なくともいずれかに取り付けることにより、アンプ回路を介して温度測定手段により測定された熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度を外部へと容易に導出でき、熱電変換素子の温度を精度よくモニタできるとともに、アンプ回路で発生する熱をも羽根部の回転によって直接冷却できる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、熱電変換素子の周囲を封止部材により羽根部および放熱部との間で封止することにより、熱電変換素子の内部が外気と触れて結露を生じることを防止できる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の熱交換ファンを備えることにより、冷却能力に優れ冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な冷却装置を構成できるとともに、熱交換ファンの羽根部とタンクに収容された冷媒を吐出するポンプインペラとを共通のモータにより回転させることで、より小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態の熱交換ファンの一部を模式的に示す断面図である。
【図2】同上熱交換ファンを示し、(a)は一部を透過させた斜視図、(b)は縦断側面図である。
【図3】同上熱交換ファンを備えた冷却装置を示す説明側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の熱交換ファンを示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の熱交換ファンの一部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の熱交換ファンの一部を示す分解斜視図である。
【図7】同上熱交換ファンの一部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態の熱交換ファンの一部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0023】
図3において、11は冷却装置を示し、この冷却装置11は、例えばロボットや可搬型レーザ溶接機などの、小型で発熱密度が高い冷却対象である電子機器(図示せず)の冷却用として用いられる液冷式のものである。
【0024】
そして、この冷却装置11は、電子機器を冷却するための水などの液状体である冷媒としての冷却液Lを収容、すなわち貯留したタンクであるリザーバタンク12と、冷却液Lの冷却用の熱交換ファン13と、リザーバタンク12に貯留された冷却液Lを吐出するためのポンプインペラ14と、熱交換ファン13およびポンプインペラ14を回転させるモータ15とを備えている。
【0025】
熱交換ファン13は、図2(a)および図2(b)に示すように、例えばクロスフローファンであり、互いに離間されて同軸に配置された円形状の一対の端板部21,22間に長手状の複数の羽根体23が周方向に離間されて配置されて構成されている。
【0026】
一方および他方の端板部21,22は、略同径に形成されており、各羽根体23が取り付けられる円板状の一方および他方の取付板25,26と、取付板25,26と一体的に固定される有蓋円筒状の一方および他方の閉塞部27,28とにより、中空状に形成されている。また、これら閉塞部27,28の蓋側、すなわち取付板25,26と反対側の中心部には、円筒状の軸部29,30が一体に形成されている。
【0027】
一方および他方の軸部29,30は、熱交換ファン13の回転軸となる部分であり、端板部21,22と同軸状に形成されている。また、一方の軸部29は、先端側がリザーバタンク12に形成された図示しない開口部に挿入されており、この開口部の縁部と外周面との間に配置された図示しないシール部材により、冷却液Lの液漏れが防止されている。さらに、一方の軸部29は、一方の端板部21とリザーバタンク12との間の位置において、外周面がモータ15により回転可能に保持されている。さらに、他方の軸部30は、上記電子機器側に接続されており、この電子機器側へと冷却液Lを移送するように構成されている。
【0028】
各羽根体23は、長尺状に形成されている。また、各羽根体23は、図2(a)および図2(b)に示すように、取付板25,26の径方向に対して傾斜状にそれぞれ配置されている。具体的に、各羽根体23は、熱交換ファン13の回転方向Dの後側から前側へと、取付板25,26の外周縁に徐々に接近するように傾斜して配置されている。そして、各羽根体23は、図1に示すように、羽根部33と、放熱部34と、これら羽根部33と放熱部34との間に配置される熱電変換素子としてのペルチェ素子35とをそれぞれ備えている。
【0029】
各羽根部33は、図1に示すように、内部に、例えば3つの流路33a,33a,33aが互いに幅方向に略等間隔に離間されて形成されている。また、各羽根部33は、軽量化および放熱性を考慮して、例えばアルミニウムなどの部材により形成されている。さらに、各羽根部33は、ペルチェ素子35(放熱部34)側が平面状の羽根平面部33bとなっている。
【0030】
各流路33aは、各羽根部33の長手方向の一端から他端に亘って直線状に連続して形成されており、それぞれ取付板25,26を介して端板部21,22の内部、すなわち各軸部29,30の内部と連通している。したがって、各流路33aは、リザーバタンク12(図3)側からの冷却液Lが通過可能となっている。すなわち、各羽根部33は、それ自体がヒートシンクとして作用するように構成されている。
【0031】
また、各放熱部34は、複数の放熱フィン34aを、例えば各羽根体23(各羽根部33)の回転方向Dと交差(直交)する方向である長手方向に沿って備えており、これら放熱フィン34aが、放熱部34の幅方向に複数形成されている。すなわち、放熱フィン34a,34aの間には、それぞれ放熱溝部34bが形成されている。さらに、各放熱部34は、各ペルチェ素子35(各羽根部33)側が平面状のフィン平面部34cとなっている。そして、各放熱部34は、各羽根部33と同様に、最低限の体積で軽量化および放熱性を確保できるように、例えばアルミニウムなどの部材により形成されている。なお、各放熱部34は、各羽根体23(各羽根部33)につき複数ずつ取り付けてもよく、各羽根部33と略等しい長手寸法に形成して、各羽根体23(各羽根部33)につき1つずつ取り付けてもよい。
【0032】
各放熱フィン34aは、それぞれ各放熱部34の表面積を拡げるためのものであり、互いに略等間隔に離間されている。したがって、放熱溝部34b,34bも互いに略等間隔に離間されている。
【0033】
さらに、各ペルチェ素子35は、熱電変換素子本体としての四角形状(正方形状)のペルチェ素子本体35aと、このペルチェ素子本体35aの両側面に取り付けられた一方および他方の絶縁性の接触部としての保護部である四角形状(正方形状)の一方および他方のセラミック板35b,35cとを一体的に備えている。また、各ペルチェ素子35は、各羽根部33と各放熱部34との間に位置する周囲が封止部材としての樹脂37により封止されている。そして、各ペルチェ素子35により、各羽根部33と各放熱部34とが互いに離間されている。なお、ペルチェ素子35は、各羽根体23(各羽根部33)につき複数ずつ取り付けてもよく、長方形状などに形成してもよい。
【0034】
ペルチェ素子本体35aは、互いに異なる2種類の金属を接合して構成されており、熱電変換効果、すなわちペルチェ効果によって一方の金属から他方の金属へと熱が移動するものである。したがって、ペルチェ素子本体35aは、一主面側が吸熱側、他主面側が放熱側となっている。また、このペルチェ素子本体35aは、それぞれの金属が電極となっており、外部の図示しない制御手段と電気的に接続され、この制御手段からの給電によってペルチェ素子本体35a(ペルチェ素子35)の駆動が制御されるように構成されている。
【0035】
ここで、ペルチェ素子本体35aと制御手段との電気的接続は、例えば熱交換ファン13の回転軸となる軸部29,30などに配置したスリップリングなどを用いてもよく、熱交換ファン13の回転により生じさせた誘導起電力を用いたり、可動部分に機械電気変換素子、すなわち発電機を搭載したりして、電源を確保してもよい。
【0036】
一方のセラミック板35bは、ペルチェ素子本体35aの吸熱側を保護するものであり、平板状に形成され、例えば熱伝導性が良好な接着剤などを介して羽根平面部33bと密着して貼付されている。
【0037】
他方のセラミック板35cは、ペルチェ素子本体35aの放熱側を保護するものであり、平板状に形成され、例えば熱伝導性が良好な接着剤などを介してフィン平面部34cと密着して貼付されている。
【0038】
また、これらセラミック板35b,35cにより、ペルチェ素子35の両面は平面度が確保されている。
【0039】
ここで、セラミック板35b,35cと平面部33b,34cとの間には、ペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度をそれぞれ測定(モニタ)するための温度測定手段としての熱電対39(図2、一方のみ図示)がそれぞれ配置されている。これら熱電対39は、例えば13〜25μm程度の極細のものであれば、セラミック板35b,35cと平面部33b,34cとの間に挟み込んでも、放熱上問題なく正確に温度を測定できる。この場合、熱電対39は、スリップリングなどによって直接外部まで電気的に導出することができる。
【0040】
また、樹脂37は、例えば絶縁性の接着剤などであり、ペルチェ素子35のペルチェ素子本体35aの内部まで充填してもよい。なお、封止部材としては、樹脂以外のものを用いることも可能である。
【0041】
また、図3に示すポンプインペラ14は、リザーバタンク12内の冷却液Lを熱交換ファン13側へと移送するためのものであり、リザーバタンク12内に挿入された熱交換ファン13の一方の軸部29の端部に一体的に連結固定されている。したがって、このポンプインペラ14は、モータ15により、熱交換ファン13と一体的に回転され、この回転によりリザーバタンク12内の冷却液Lを吸い込んで一方の軸部29内、すなわち熱交換ファン13側へと移送(吐出)するように構成されている。
【0042】
そして、モータ15は、例えばインナロータ型のものであり、中心部に挿通された熱交換ファン13の一方の軸部29を周方向に回動させるように構成されている。また、このモータ15は、図示しないモータ制御手段に電気的に接続されており、このモータ制御手段による給電の制御によって、回転数および回転速度が制御されるように構成されている。なお、このモータ制御手段は、上記制御手段と一体で形成してもよいし、別個に形成してもよい。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0044】
モータ制御手段からの給電により、モータ15が所定の回転数および回転速度で回転されると、このモータ15により、熱交換ファン13の一方の軸部29が回転され、この一方の軸部29と一体的に熱交換ファン13と、この一方の軸部29に接続されたポンプインペラ14とがそれぞれ回転する。
【0045】
ポンプインペラ14の回転により、リザーバタンク12内の冷却液Lが加圧されることにより、この冷却液Lが一方の軸部29を介して熱交換ファン13の一方の端板部21の内部に流入し、さらに、図2(b)に示すように、この一方の端板部21から、各羽根体23の流路33aに流入する。
【0046】
一方、熱交換ファン13側では、モータ15により回転されることで各羽根体23の放熱部34の表面側を流れる気流が発生する。同時に、制御手段からの給電により、ペルチェ素子35が駆動し、羽根部33側から吸熱し、放熱部34側へと放熱する。したがって、放熱部34の放熱フィン34aが風を切り、換言すれば、放熱部34が急激な気流の中に位置し、冷却用の外気と効率よく接して充分に冷却されることで、ペルチェ素子35が有する冷却能力を効率よく発揮して、流路33aを通過する冷却液Lにより運ばれてきた熱を、ペルチェ素子35が効率よく放熱部34側へと伝達し、この放熱部34の放熱フィン34aなどの表面を介して周囲の空気へと効率よく放出する。なお、放熱部34から放出される熱によって熱せられた周囲の空気は、熱交換ファン13が回転することによって作り出される気流によって、迅速に熱交換ファン13の近傍から離れて行き、冷却液Lが運ぶ熱が効率よく空気に放出される。
【0047】
このように冷却された冷却液Lは、各流路33aを通過した後、他方の端板部22内で合流し、他方の軸部30を介して電子機器側へと供給され、この電子機器を冷却する。そして、電子機器を冷却した冷却液Lは、図示しない流路を介してリザーバタンク12へと循環される。
【0048】
上述したように、上記第1の実施の形態では、羽根部33の内部に形成された流路33aの外側の位置に吸熱側を向けてペルチェ素子35を取り付け、かつ、放熱フィン34aを備えた放熱部34を、ペルチェ素子35の放熱側に位置させる構成とした。
【0049】
このため、羽根部33の回転および放熱部34によってペルチェ素子35による冷却液Lの熱電変換効率を向上し、小型で冷却能力および静音性に優れた熱交換ファン13を得ることができるとともに、羽根部33(熱交換ファン13)の回転数あるいは回転速度を制御したり、ペルチェ素子35の動作を電気的に制御したりすることにより、冷却対象の温度をきめ細かく制御できる。
【0050】
すなわち、各羽根体23(各羽根部33)自体がヒートシンクとして作用するため、熱交換ファン13の回転によって各羽根体23(各羽根部33)が空気中を高速に動くことにより、通常の静止しているヒートシンクと比較して、表面を流れる空気量が増加するので、ペルチェ素子35および放熱部34を介して冷却液Lと空気との熱交換を効率よく行うことができるとともに、各羽根体23の回転によってペルチェ素子35の放熱側に取り付けた放熱部34が高速の気流に触れ、ペルチェ素子35の放熱側から空気へと効率よくかつ充分に放熱が行われるので、ペルチェ素子35が効率よくかつ充分に冷却能力を発揮できる。
【0051】
また、ペルチェ素子35の放熱側に放熱部34を取り付けているので、冷却対象である電子機器から冷却液Lが奪う熱量に加えて、ペルチェ素子35自身の電力消費に相当する熱量も効果的に空気に逃がすことができ、かつ、放熱部34も熱交換ファン13の回転により高速の気流に曝されるので、放熱部34に冷却用の空気を吹き付けるためのファンなどを別途取り付ける必要もなく、ペルチェ素子35を利用しているにも拘らず、大規模な空冷システムを付加することなく小型の熱交換ファン13を得ることができる。
【0052】
特に、ペルチェ素子35を用いることにより、冷却対象を空気の温度以下にまで冷却可能である。一方で、空気の温度以下にまで冷却をするとペルチェ素子35に結露が発生しやすくなるものの、本実施の形態では、各羽根体23(各羽根部33)自体が回転して風を切るため、結露を抑制できるだけでなく、ペルチェ素子35の周囲を樹脂37により羽根部33および放熱部34との間で封止することにより、ペルチェ素子35の内部が外気と触れて結露を生じることを、より確実に防止できる。
【0053】
しかも、熱交換ファン13は自由空間に配置できるので、ファンからの冷却風をフラジエータに吹き付ける従来の構成と比較して圧力損失が少なくなる。このため、冷却に必要となる風量を、熱交換ファン13を必要以上に大型化することなく充分に確保できる。
【0054】
さらに、熱電対39によりペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度を精度よくモニタできるので、冷却対象あるいは冷却液Lの温度をきめ細かく制御できる。
【0055】
そして、このような熱交換ファン13を備えることにより、冷却能力および静音性に優れ冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な冷却装置11を構成できるとともに、熱交換ファン13の羽根部33とリザーバタンク12に収容された冷却液Lを吐出するポンプインペラ14とを共通のモータ15により回転させることで、より小型化を図ることができる。
【0056】
すなわち、モータ15の力を、冷却液Lを移送するための圧力を発生させることに利用しているため、ポンプを別途設ける必要がない。換言すれば、熱交換ファン13の動力と液送ポンプであるポンプインペラ14の動力とを共通のモータ15によって兼用することにより、これら熱交換ファン13とポンプインペラ14との各々に駆動用の機構を必要とする従来の構成と比較して、構成要素を整理・統合でき、冷却装置11を構成する部品点数を削減できる。さらに、熱交換ファン13は、ラジエータとファンとを兼用した構造となるから、部品点数をより抑制できる。
【0057】
この結果、冷却装置11の信頼性も向上し、かつ、冷却装置11を構築したり、メンテナンスしたりするための労力も軽減されるなど、導入および維持管理が容易になるだけでなく、冷却装置11の性能を見通しよく予想できる。
【0058】
また、熱交換ファンの回転数(回転速度)と液送ポンプが発生させる圧力との2つのパラメータの間には、互いに複雑な相関があり、利用状況に応じて最適な関係に設定することが容易でないのに対して、本実施の形態では、熱交換ファン13の回転数(回転速度)とポンプインペラ14が発生させる圧力との2つのパラメータの関係が製品設計時に予め固定できるので、調整を行う必要がない。
【0059】
次に、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、熱電対39からの電気信号(電圧信号)を、羽根体23(羽根部33)上に搭載した小型のアンプ回路40により増幅して、スリップリングなどを介して外部に電気的に導出するものである。
【0061】
アンプ回路40は、例えば放熱部34の羽根部33と反対側、外側に取り付けられている。また、このアンプ回路40への給電は、ペルチェ素子35への給電と同様の方法で行うことができる。
【0062】
そして、熱電対39により測定されたペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度の電気信号を増幅するアンプ回路40を羽根体23(放熱部34)に取り付けることにより、アンプ回路40を介して熱電対39により測定されたペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度を外部へと容易に導出でき、ペルチェ素子35の温度を精度よくモニタできるので、冷却対象あるいは冷却液Lの温度をきめ細かく制御できるとともに、アンプ回路40で発生する熱をも羽根体23(羽根部33)の回転によって直接冷却できる。
【0063】
なお、上記第2の実施の形態において、アンプ回路40は、いずれか1つの羽根体23に取り付けたが、熱交換ファン13の大きさ、あるいはペルチェ素子35の数などの回路規模に応じて、複数を取り付けてもよい。この場合、1つの羽根体23上に複数のアンプ回路40を取り付けてもよいし、複数の羽根体23のそれぞれに1つずつアンプ回路40を取り付けてもよい。
【0064】
また、アンプ回路40は、放熱部34に取り付ける方が放熱性の面から好ましいものの、充分な放熱性を得ることができれば、羽根部33側に取り付けてもよい。
【0065】
さらに、熱電対39により測定した温度情報を外部へと取り出す際には、例えば小型のアンプ回路40に代えて、無線通信を行う無線通信装置を各羽根体23(各羽根部33)上に実装したり、電源供給経路に重畳したりする方法も可能である。
【0066】
そして、温度測定手段としては、熱電対39以外のものを用いることが可能である。
【0067】
次に、第3の実施の形態を図5を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0068】
この第3の実施の形態は、上記各実施の形態において、ペルチェ素子35がスケルトン型のものである。
【0069】
すなわち、ペルチェ素子35は、絶縁保護用および平面度確保のためのセラミック板などを有さず、ペルチェ素子本体35aのみで構成されている。このため、ペルチェ素子35は、電極が両面に剥き出しとなっている。
【0070】
また、各羽根部33および各放熱部34は、それぞれ表面に例えばアルマイト処理などの絶縁処理が施されており、少なくとも各平面部33b,34cの表面に絶縁皮膜が形成されている。
【0071】
そして、熱電変換素子としてスケルトン型のペルチェ素子35(ペルチェ素子本体35a)を用いて、羽根部33側および放熱部34側に密着配置することにより、セラミック板自身の熱抵抗、および、セラミック板の両面での接触熱抵抗などを考慮することなく最低限の接触熱抵抗で羽根部33側から熱を奪うことができ、ペルチェ素子35による熱電変換効率をより向上できるとともに、ペルチェ素子35と羽根部33側および放熱部34側の少なくとも密着部を互いに絶縁することにより、スケルトン型のペルチェ素子35を用いてもこのペルチェ素子35と羽根部33および放熱部34との絶縁性を確保できる。
【0072】
しかも、ペルチェ素子35は、セラミック板を有しないため、ペルチェ素子35自体の厚みも薄くなり、より小型化が可能になる。
【0073】
なお、上記第3の実施の形態において、ペルチェ素子本体35aを、例えばポリイミドフィルムなどの絶縁フィルムによって保護している構成、あるいは、ペルチェ素子本体35aと羽根部33側および放熱部34側との間に絶縁フィルムを介在させる構成などとしてもよい。この場合には、この絶縁フィルムによって絶縁性が確保されるため、羽根部33、あるいは放熱部34として例えばステンレスなどの導電性を有する部材などを用いることも可能となり、羽根部33や放熱部34の材料選択の幅が広がる。
【0074】
次に、第4の実施の形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
この第4の実施の形態において、各羽根体23は、図6および図7に示すように、断面視で円弧状に湾曲して形成されており、熱交換ファン13の羽断面として最適な形状、すなわち風の流れを考慮した形状となっている。また、各羽根体23は、放熱部34側が外側、羽根部33側が内側となるように端板部21,22間に取り付けられている。
【0076】
また、各羽根部33は、各羽根体23の径小側を形成する湾曲部33cと、この湾曲部33cと反対側で各放熱部34に対向する羽根対向面部33d,33dと、これら羽根対向面部33d,33d間に長手方向に沿って形成された羽根溝部33eとを有している。また、各羽根部33は、流路33aが、幅方向に2つ形成されている。
【0077】
湾曲部33cは、円弧状に湾曲して形成されている。
【0078】
各羽根対向面部33dには、放熱部34を羽根部33に取り付けるための丸孔状の取付孔33fが形成されている。さらに、各羽根対向面部33dには、放熱部34との間に介在される断熱材(熱反射材)である断熱シート41が取り付けられている。各断熱シート41には、各取付孔33fに対応する位置に、丸孔状の挿通孔41aが形成されている。
【0079】
羽根溝部33eは、ペルチェ素子35の吸熱側、すなわち一方のセラミック板35b側が嵌合して取り付けられる部分であり、底部が平面状の羽根平面部33bとなっており、流路33a,33aに対向している。また、この羽根溝部33eにより、ペルチェ素子35は、流路33a,33aに接近した位置に取り付け可能となっている。
【0080】
また、各放熱部34は、各放熱フィン34aが、各羽根体23(各羽根部33)の回転方向Dに沿って(幅方向に沿って)形成され、互いに長手方向に離間されている。すなわち、各放熱溝部34bは、各羽根体23(各羽根部33)の回転方向Dに沿って形成されている。さらに、放熱部34には、各羽根部33側に、羽根対向面部33d,33dに対向するフィン対向面部34d,34dが形成されているとともに、これらフィン対向面部34d,34d間に、羽根溝部33eに対向するフィン溝部34eが形成されている。そして、各放熱部34には、この放熱部34を各羽根部33に取り付けるための丸孔状の挿入孔34fが形成されている。
【0081】
各放熱フィン34aは、例えば各羽根部33の湾曲部33cと略平行になるように、湾曲して形成されている。
【0082】
各フィン対向面部34dには、上記挿入孔34fが貫通している。また、各フィン対向面部34dには、各羽根対向面部33dとの間に上記断熱シート41が介在されている。
【0083】
フィン溝部34eは、ペルチェ素子35の放熱側、すなわち他方のセラミック板35c側が嵌合して取り付けられる部分であり、羽根溝部33eと略等しい幅寸法を有している。
【0084】
さらに、羽根部33と放熱部34とは、取付部材としての複数のねじ43により固定されている。これらねじ43は、それぞれ断熱体としての断熱ブッシュ44を介して、放熱部34の外側から、挿入孔34f、挿通孔41aおよび取付孔33fに挿入されてねじ止め固定されている。各断熱ブッシュ44は、各ねじ43を介して放熱部34側の熱が羽根部33側に伝達されないようにするためのものである。また、各断熱ブッシュ44は、羽根部33と放熱部34との間に一部が挟まれており、羽根部33と放熱部34との間に隙間(図示せず)を形成している。
【0085】
そして、各羽根部33に各ペルチェ素子35および各放熱部34を取り付ける際には、例えば、熱伝導性を確保するために、ペルチェ素子35の一方のセラミック板35bに例えば熱伝導グリスなどの部材を塗布して、この一方のセラミック板35bを羽根溝部33eに嵌合させて羽根平面部33bと密着させ、各羽根対向面部33dに断熱シート41をそれぞれ取り付けた状態で、ペルチェ素子35の他方のセラミック板35cに例えば熱伝導グリスなどの部材を塗布し、他方のセラミック板35cをフィン溝部34eに嵌合させてフィン平面部34cに密着させるように放熱部34を被せて、断熱ブッシュ44を介してねじ43により放熱部34を羽根部33に固定する。
【0086】
なお、ねじ43により羽根部33と放熱部34とを固定する場合には、ペルチェ素子35の各セラミック板35b,35cは、熱伝導グリスに代えて、例えば放熱性が良好な接着剤により羽根部33と放熱部34とに接着してもよい。また、ねじ43以外でも、例えばリベットなどの取付部材によって羽根部33と放熱部34とを固定してもよい。
【0087】
この状態で、ペルチェ素子35は、断熱シート41によって幅方向の両側が封止されているため、樹脂によって周囲を封止しなくてもよいが、結露をより確実に防止する場合には、樹脂によりペルチェ素子35の周囲を羽根部33と放熱部34との間で封止してもよい。
【0088】
そして、放熱フィン34aを、羽根部33の回転方向に沿って複数形成することにより、放熱部34の表面積を拡大してこの放熱部34での放熱効果をより向上でき、かつ、羽根部33の回転時の放熱フィン34aによる圧力損失を抑制できるので、低騒音化しつつ冷却能力をより向上できる。
【0089】
また、羽根部33と放熱部34とをねじ43などの取付部材によって固定することにより、これら羽根部33と放熱部34とをより強固に固定できるとともに、羽根部33と放熱部34との間に断熱シート41を介在させ、断熱ブッシュ44を介してねじ43を取り付けるとともに、この断熱ブッシュ44を羽根部33と放熱部34との間に介在させてこれら羽根部33と放熱部34との間に隙間を形成することにより、放熱部34およびねじ43を介して羽根部33へと熱が伝わることを確実に防止でき、冷却能力の低下を防止できる。
【0090】
次に、第5の実施の形態を図8を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0091】
この第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態において、各羽根部33の羽根平面部33bに四角形状の孔部33gが形成されているものである。
【0092】
孔部33gは、ペルチェ素子35を取り付けるためのものであり、各流路33aに連通して形成されている。換言すれば、各流路33aは、孔部33gから露出している。また、この孔部33gの内縁部には、環状の羽根部シール部材46が取り付けられている。この羽根部シール部材46は、ペルチェ素子35の一方のセラミック板35b側と密着することにより、ペルチェ素子35が各流路33aを液密に閉塞するように構成されている。
【0093】
このように流路33aに連通して羽根部33に形成した孔部33gを覆ってペルチェ素子35を取り付けることにより、ペルチェ素子35の吸熱側である一方のセラミック板35bを冷却液Lに直接接触させることが可能になる。この結果、一方のセラミック板35bと冷却液Lとの間に介在する部材がなくなるので、ペルチェ素子35によってより効率よく冷却液Lの熱を吸収でき、ペルチェ素子35による冷却液Lの冷却効果をより向上できる。
【0094】
しかも、孔部33gにはペルチェ素子35との間で液密を保つ羽根部シール部材46を取り付けているので、冷却液Lが孔部33gから漏れることもない。
【0095】
なお、上記第4の実施の形態および第5の実施の形態を、上記第2の実施の形態および第3の実施の形態の構成にそれぞれ適用してもよい。さらに、これら第4の実施の形態および第5の実施の形態において、羽根部33と放熱部34とは、対向面部33d,34dを、断熱シート41を介して密着させてもよい。
【0096】
また、上記各実施の形態において、熱交換ファン13は、クロスフローファン以外の任意の形式のファンとすることができる。
【0097】
さらに、モータ15およびポンプインペラ14に代えて、リザーバタンク12に収容された冷却液Lを移送するためのポンプを配置し、このポンプが発生させる圧力を利用して熱交換ファン13を回転させるように構成してもよい。
【0098】
そして、冷却液Lを従来型のラジエータに通過させ、熱交換ファン13によって作り出す気流をこのラジエータ、あるいはこのラジエータに搭載したヒートシンクなどに吹き付けるように構成してもよい。この場合には、更なる冷却効率の向上が見込める。すなわち、従来の強制空冷方式と同様の占有面積であれば、遥かに大きな冷却容量を有することができる。
【0099】
また、冷却対象も熱交換ファン13の羽根体23上に配置する構成としてもよい。この場合には、冷却対象の空気の温度以下になる部分が、常に気流に曝されていることにより、空気中の水蒸気が液体の水として凝集する前に空気中に放散することにより、ペルチェ素子35の冷却能力によって冷却対象を空気の温度以下まで冷却しても、冷却対象に結露が発生しにくくなる。この結果、結露のおそれを考慮することなく、冷却対象を室温以下にまで冷却可能となる。
【0100】
そして、各ペルチェ素子35は、各羽根部33の両面に配置してもよい。この場合には、各羽根体23の内側および外側をそれぞれ高速で通過する気流を利用して、流路33aを通過する冷却液Lを、より効率よく冷却できる。
【0101】
さらに、冷媒としては、液状体でなくても、任意の流動体とすることが可能である。
【0102】
そして、上記各実施の形態の各構成は、その趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
11 冷却装置
12 タンクであるリザーバタンク
13 熱交換ファン
14 ポンプインペラ
15 モータ
33 羽根部
33a 流路
33g 孔部
34 放熱部
34a 放熱フィン
35 熱電変換素子としてのペルチェ素子
37 封止部材としての樹脂
39 温度測定手段としての熱電対
40 アンプ回路
L 冷媒としての冷却液
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器の冷却システムなどに用いる熱交換ファンおよびこれを備えた冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばロボットや可搬型レーザ溶接機などの、小型で発熱密度が高い電子機器に対しては、ファンなどを用いた空冷式の冷却システムが用いられている。しかしながら、このような空冷式の冷却システムは、冷却能力が必ずしも充分とはいえないため、より冷却能力に優れた冷却システムが望まれている。
【0003】
そこで、冷却液などの冷媒を用いる液冷の冷却システムにおいて、この冷媒を冷却用のファンの羽根部の内部の空洞部分に通過させることにより、冷媒と空気との熱交換を促す構成が知られている。そして、このような熱交換によって冷媒を効果的に冷却し、冷却能力を確保することが可能になる(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−347193号公報(第2−3頁、図1)
【特許文献2】特開2008−215795号公報(第9−10頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、電子機器が小型・高機能化されていく一方で、これらの発熱密度が増加する傾向にある。したがって、より小型で、冷却能力に優れ、かつ、冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な冷却装置が望まれてきている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、小型で冷却能力に優れ、かつ、冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な熱交換ファンおよびこれを備えた冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の熱交換ファンは、冷媒が通過可能な流路を内部に備えた回転可能な羽根部と、この羽根部の少なくとも前記流路の外側の位置に吸熱側を向けて取り付けられた熱電変換素子と、放熱フィンを備え、前記熱電変換素子の放熱側に少なくとも一部が位置する放熱部とを具備したものである。
【0008】
請求項2記載の熱交換ファンは、請求項1記載の熱交換ファンにおいて、放熱フィンは、羽根部の回転方向に沿って複数形成されているものである。
【0009】
請求項3記載の熱交換ファンは、請求項1または2記載の熱交換ファンにおいて、羽根部は、流路に連通する孔部を備え、熱電変換素子は、前記孔部を覆って取り付けられているものである。
【0010】
請求項4記載の熱交換ファンは、請求項1または2記載の熱交換ファンにおいて、熱電変換素子は、スケルトン型のペルチェ素子であり、羽根部側および放熱部側に密着して配置され、前記ペルチェ素子と前記羽根部側および前記放熱部側とは、少なくとも密着部が互いに絶縁されているものである。
【0011】
請求項5記載の熱交換ファンは、請求項1ないし4いずれか一記載の熱交換ファンにおいて、熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度をそれぞれ測定して電気信号として出力可能な温度測定手段と、羽根部と放熱部との少なくともいずれかに取り付けられ、前記温度測定手段により出力された電気信号を増幅して外部へと出力可能なアンプ回路とを具備したものである。
【0012】
請求項6記載の熱交換ファンは、請求項1ないし5いずれか一記載の熱交換ファンにおいて、熱電変換素子の周囲を羽根部および放熱部との間で封止する封止部材を具備したものである。
【0013】
請求項7記載の冷却装置は、冷媒を収容するタンクと、このタンクの内部に配置され、このタンクに収容された冷媒を吐出するポンプインペラと、このポンプインペラの冷媒の吐出側が流路に接続された請求項1ないし6いずれか一記載の熱交換ファンと、この熱交換ファンの羽根部および前記ポンプインペラを回転させるモータとを具備したものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、羽根部の内部に形成された流路の外側の位置に吸熱側を向けて熱電変換素子を取り付け、かつ、放熱フィンを備えた放熱部を、熱電変換素子の放熱側に少なくとも一部を位置させることにより、羽根部の回転および放熱部によって熱電変換素子による冷媒の熱電変換効率を向上し、小型で冷却能力に優れた熱交換ファンを得ることができるとともに、羽根部の回転数あるいは回転速度を制御したり、熱電変換素子の動作を電気的に制御したりすることにより、冷却対象の温度をきめ細かく制御できる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、放熱フィンを、羽根部の回転方向に沿って複数形成することにより、放熱部での放熱効果をより向上でき、かつ、羽根部の回転時の放熱フィンによる圧力損失を抑制できるので、冷却能力をより向上できる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、流路に連通して羽根部に形成した孔部を覆って熱電変換素子を取り付けることにより、熱電変換素子を冷媒に直接接触させることが可能になるので、熱電変換素子による冷媒の冷却効果をより向上できる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、熱電変換素子をスケルトン型のペルチェ素子として羽根部側および放熱部側とに密着配置することにより、ペルチェ素子による熱電変換効率をより向上できるとともに、ペルチェ素子と羽根部側および放熱部側との少なくとも密着部を互いに絶縁することにより、スケルトン型のペルチェ素子を用いても、このペルチェ素子と羽根部および放熱部との絶縁性を確保できる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、温度測定手段により測定された熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度の電気信号を増幅するアンプ回路を羽根部と放熱部との少なくともいずれかに取り付けることにより、アンプ回路を介して温度測定手段により測定された熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度を外部へと容易に導出でき、熱電変換素子の温度を精度よくモニタできるとともに、アンプ回路で発生する熱をも羽根部の回転によって直接冷却できる。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、熱電変換素子の周囲を封止部材により羽根部および放熱部との間で封止することにより、熱電変換素子の内部が外気と触れて結露を生じることを防止できる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、請求項1ないし6いずれか一記載の熱交換ファンを備えることにより、冷却能力に優れ冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な冷却装置を構成できるとともに、熱交換ファンの羽根部とタンクに収容された冷媒を吐出するポンプインペラとを共通のモータにより回転させることで、より小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態の熱交換ファンの一部を模式的に示す断面図である。
【図2】同上熱交換ファンを示し、(a)は一部を透過させた斜視図、(b)は縦断側面図である。
【図3】同上熱交換ファンを備えた冷却装置を示す説明側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の熱交換ファンを示す斜視図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の熱交換ファンの一部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の熱交換ファンの一部を示す分解斜視図である。
【図7】同上熱交換ファンの一部を示す斜視図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態の熱交換ファンの一部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図3を参照して説明する。
【0023】
図3において、11は冷却装置を示し、この冷却装置11は、例えばロボットや可搬型レーザ溶接機などの、小型で発熱密度が高い冷却対象である電子機器(図示せず)の冷却用として用いられる液冷式のものである。
【0024】
そして、この冷却装置11は、電子機器を冷却するための水などの液状体である冷媒としての冷却液Lを収容、すなわち貯留したタンクであるリザーバタンク12と、冷却液Lの冷却用の熱交換ファン13と、リザーバタンク12に貯留された冷却液Lを吐出するためのポンプインペラ14と、熱交換ファン13およびポンプインペラ14を回転させるモータ15とを備えている。
【0025】
熱交換ファン13は、図2(a)および図2(b)に示すように、例えばクロスフローファンであり、互いに離間されて同軸に配置された円形状の一対の端板部21,22間に長手状の複数の羽根体23が周方向に離間されて配置されて構成されている。
【0026】
一方および他方の端板部21,22は、略同径に形成されており、各羽根体23が取り付けられる円板状の一方および他方の取付板25,26と、取付板25,26と一体的に固定される有蓋円筒状の一方および他方の閉塞部27,28とにより、中空状に形成されている。また、これら閉塞部27,28の蓋側、すなわち取付板25,26と反対側の中心部には、円筒状の軸部29,30が一体に形成されている。
【0027】
一方および他方の軸部29,30は、熱交換ファン13の回転軸となる部分であり、端板部21,22と同軸状に形成されている。また、一方の軸部29は、先端側がリザーバタンク12に形成された図示しない開口部に挿入されており、この開口部の縁部と外周面との間に配置された図示しないシール部材により、冷却液Lの液漏れが防止されている。さらに、一方の軸部29は、一方の端板部21とリザーバタンク12との間の位置において、外周面がモータ15により回転可能に保持されている。さらに、他方の軸部30は、上記電子機器側に接続されており、この電子機器側へと冷却液Lを移送するように構成されている。
【0028】
各羽根体23は、長尺状に形成されている。また、各羽根体23は、図2(a)および図2(b)に示すように、取付板25,26の径方向に対して傾斜状にそれぞれ配置されている。具体的に、各羽根体23は、熱交換ファン13の回転方向Dの後側から前側へと、取付板25,26の外周縁に徐々に接近するように傾斜して配置されている。そして、各羽根体23は、図1に示すように、羽根部33と、放熱部34と、これら羽根部33と放熱部34との間に配置される熱電変換素子としてのペルチェ素子35とをそれぞれ備えている。
【0029】
各羽根部33は、図1に示すように、内部に、例えば3つの流路33a,33a,33aが互いに幅方向に略等間隔に離間されて形成されている。また、各羽根部33は、軽量化および放熱性を考慮して、例えばアルミニウムなどの部材により形成されている。さらに、各羽根部33は、ペルチェ素子35(放熱部34)側が平面状の羽根平面部33bとなっている。
【0030】
各流路33aは、各羽根部33の長手方向の一端から他端に亘って直線状に連続して形成されており、それぞれ取付板25,26を介して端板部21,22の内部、すなわち各軸部29,30の内部と連通している。したがって、各流路33aは、リザーバタンク12(図3)側からの冷却液Lが通過可能となっている。すなわち、各羽根部33は、それ自体がヒートシンクとして作用するように構成されている。
【0031】
また、各放熱部34は、複数の放熱フィン34aを、例えば各羽根体23(各羽根部33)の回転方向Dと交差(直交)する方向である長手方向に沿って備えており、これら放熱フィン34aが、放熱部34の幅方向に複数形成されている。すなわち、放熱フィン34a,34aの間には、それぞれ放熱溝部34bが形成されている。さらに、各放熱部34は、各ペルチェ素子35(各羽根部33)側が平面状のフィン平面部34cとなっている。そして、各放熱部34は、各羽根部33と同様に、最低限の体積で軽量化および放熱性を確保できるように、例えばアルミニウムなどの部材により形成されている。なお、各放熱部34は、各羽根体23(各羽根部33)につき複数ずつ取り付けてもよく、各羽根部33と略等しい長手寸法に形成して、各羽根体23(各羽根部33)につき1つずつ取り付けてもよい。
【0032】
各放熱フィン34aは、それぞれ各放熱部34の表面積を拡げるためのものであり、互いに略等間隔に離間されている。したがって、放熱溝部34b,34bも互いに略等間隔に離間されている。
【0033】
さらに、各ペルチェ素子35は、熱電変換素子本体としての四角形状(正方形状)のペルチェ素子本体35aと、このペルチェ素子本体35aの両側面に取り付けられた一方および他方の絶縁性の接触部としての保護部である四角形状(正方形状)の一方および他方のセラミック板35b,35cとを一体的に備えている。また、各ペルチェ素子35は、各羽根部33と各放熱部34との間に位置する周囲が封止部材としての樹脂37により封止されている。そして、各ペルチェ素子35により、各羽根部33と各放熱部34とが互いに離間されている。なお、ペルチェ素子35は、各羽根体23(各羽根部33)につき複数ずつ取り付けてもよく、長方形状などに形成してもよい。
【0034】
ペルチェ素子本体35aは、互いに異なる2種類の金属を接合して構成されており、熱電変換効果、すなわちペルチェ効果によって一方の金属から他方の金属へと熱が移動するものである。したがって、ペルチェ素子本体35aは、一主面側が吸熱側、他主面側が放熱側となっている。また、このペルチェ素子本体35aは、それぞれの金属が電極となっており、外部の図示しない制御手段と電気的に接続され、この制御手段からの給電によってペルチェ素子本体35a(ペルチェ素子35)の駆動が制御されるように構成されている。
【0035】
ここで、ペルチェ素子本体35aと制御手段との電気的接続は、例えば熱交換ファン13の回転軸となる軸部29,30などに配置したスリップリングなどを用いてもよく、熱交換ファン13の回転により生じさせた誘導起電力を用いたり、可動部分に機械電気変換素子、すなわち発電機を搭載したりして、電源を確保してもよい。
【0036】
一方のセラミック板35bは、ペルチェ素子本体35aの吸熱側を保護するものであり、平板状に形成され、例えば熱伝導性が良好な接着剤などを介して羽根平面部33bと密着して貼付されている。
【0037】
他方のセラミック板35cは、ペルチェ素子本体35aの放熱側を保護するものであり、平板状に形成され、例えば熱伝導性が良好な接着剤などを介してフィン平面部34cと密着して貼付されている。
【0038】
また、これらセラミック板35b,35cにより、ペルチェ素子35の両面は平面度が確保されている。
【0039】
ここで、セラミック板35b,35cと平面部33b,34cとの間には、ペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度をそれぞれ測定(モニタ)するための温度測定手段としての熱電対39(図2、一方のみ図示)がそれぞれ配置されている。これら熱電対39は、例えば13〜25μm程度の極細のものであれば、セラミック板35b,35cと平面部33b,34cとの間に挟み込んでも、放熱上問題なく正確に温度を測定できる。この場合、熱電対39は、スリップリングなどによって直接外部まで電気的に導出することができる。
【0040】
また、樹脂37は、例えば絶縁性の接着剤などであり、ペルチェ素子35のペルチェ素子本体35aの内部まで充填してもよい。なお、封止部材としては、樹脂以外のものを用いることも可能である。
【0041】
また、図3に示すポンプインペラ14は、リザーバタンク12内の冷却液Lを熱交換ファン13側へと移送するためのものであり、リザーバタンク12内に挿入された熱交換ファン13の一方の軸部29の端部に一体的に連結固定されている。したがって、このポンプインペラ14は、モータ15により、熱交換ファン13と一体的に回転され、この回転によりリザーバタンク12内の冷却液Lを吸い込んで一方の軸部29内、すなわち熱交換ファン13側へと移送(吐出)するように構成されている。
【0042】
そして、モータ15は、例えばインナロータ型のものであり、中心部に挿通された熱交換ファン13の一方の軸部29を周方向に回動させるように構成されている。また、このモータ15は、図示しないモータ制御手段に電気的に接続されており、このモータ制御手段による給電の制御によって、回転数および回転速度が制御されるように構成されている。なお、このモータ制御手段は、上記制御手段と一体で形成してもよいし、別個に形成してもよい。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0044】
モータ制御手段からの給電により、モータ15が所定の回転数および回転速度で回転されると、このモータ15により、熱交換ファン13の一方の軸部29が回転され、この一方の軸部29と一体的に熱交換ファン13と、この一方の軸部29に接続されたポンプインペラ14とがそれぞれ回転する。
【0045】
ポンプインペラ14の回転により、リザーバタンク12内の冷却液Lが加圧されることにより、この冷却液Lが一方の軸部29を介して熱交換ファン13の一方の端板部21の内部に流入し、さらに、図2(b)に示すように、この一方の端板部21から、各羽根体23の流路33aに流入する。
【0046】
一方、熱交換ファン13側では、モータ15により回転されることで各羽根体23の放熱部34の表面側を流れる気流が発生する。同時に、制御手段からの給電により、ペルチェ素子35が駆動し、羽根部33側から吸熱し、放熱部34側へと放熱する。したがって、放熱部34の放熱フィン34aが風を切り、換言すれば、放熱部34が急激な気流の中に位置し、冷却用の外気と効率よく接して充分に冷却されることで、ペルチェ素子35が有する冷却能力を効率よく発揮して、流路33aを通過する冷却液Lにより運ばれてきた熱を、ペルチェ素子35が効率よく放熱部34側へと伝達し、この放熱部34の放熱フィン34aなどの表面を介して周囲の空気へと効率よく放出する。なお、放熱部34から放出される熱によって熱せられた周囲の空気は、熱交換ファン13が回転することによって作り出される気流によって、迅速に熱交換ファン13の近傍から離れて行き、冷却液Lが運ぶ熱が効率よく空気に放出される。
【0047】
このように冷却された冷却液Lは、各流路33aを通過した後、他方の端板部22内で合流し、他方の軸部30を介して電子機器側へと供給され、この電子機器を冷却する。そして、電子機器を冷却した冷却液Lは、図示しない流路を介してリザーバタンク12へと循環される。
【0048】
上述したように、上記第1の実施の形態では、羽根部33の内部に形成された流路33aの外側の位置に吸熱側を向けてペルチェ素子35を取り付け、かつ、放熱フィン34aを備えた放熱部34を、ペルチェ素子35の放熱側に位置させる構成とした。
【0049】
このため、羽根部33の回転および放熱部34によってペルチェ素子35による冷却液Lの熱電変換効率を向上し、小型で冷却能力および静音性に優れた熱交換ファン13を得ることができるとともに、羽根部33(熱交換ファン13)の回転数あるいは回転速度を制御したり、ペルチェ素子35の動作を電気的に制御したりすることにより、冷却対象の温度をきめ細かく制御できる。
【0050】
すなわち、各羽根体23(各羽根部33)自体がヒートシンクとして作用するため、熱交換ファン13の回転によって各羽根体23(各羽根部33)が空気中を高速に動くことにより、通常の静止しているヒートシンクと比較して、表面を流れる空気量が増加するので、ペルチェ素子35および放熱部34を介して冷却液Lと空気との熱交換を効率よく行うことができるとともに、各羽根体23の回転によってペルチェ素子35の放熱側に取り付けた放熱部34が高速の気流に触れ、ペルチェ素子35の放熱側から空気へと効率よくかつ充分に放熱が行われるので、ペルチェ素子35が効率よくかつ充分に冷却能力を発揮できる。
【0051】
また、ペルチェ素子35の放熱側に放熱部34を取り付けているので、冷却対象である電子機器から冷却液Lが奪う熱量に加えて、ペルチェ素子35自身の電力消費に相当する熱量も効果的に空気に逃がすことができ、かつ、放熱部34も熱交換ファン13の回転により高速の気流に曝されるので、放熱部34に冷却用の空気を吹き付けるためのファンなどを別途取り付ける必要もなく、ペルチェ素子35を利用しているにも拘らず、大規模な空冷システムを付加することなく小型の熱交換ファン13を得ることができる。
【0052】
特に、ペルチェ素子35を用いることにより、冷却対象を空気の温度以下にまで冷却可能である。一方で、空気の温度以下にまで冷却をするとペルチェ素子35に結露が発生しやすくなるものの、本実施の形態では、各羽根体23(各羽根部33)自体が回転して風を切るため、結露を抑制できるだけでなく、ペルチェ素子35の周囲を樹脂37により羽根部33および放熱部34との間で封止することにより、ペルチェ素子35の内部が外気と触れて結露を生じることを、より確実に防止できる。
【0053】
しかも、熱交換ファン13は自由空間に配置できるので、ファンからの冷却風をフラジエータに吹き付ける従来の構成と比較して圧力損失が少なくなる。このため、冷却に必要となる風量を、熱交換ファン13を必要以上に大型化することなく充分に確保できる。
【0054】
さらに、熱電対39によりペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度を精度よくモニタできるので、冷却対象あるいは冷却液Lの温度をきめ細かく制御できる。
【0055】
そして、このような熱交換ファン13を備えることにより、冷却能力および静音性に優れ冷却対象の温度をきめ細かく制御可能な冷却装置11を構成できるとともに、熱交換ファン13の羽根部33とリザーバタンク12に収容された冷却液Lを吐出するポンプインペラ14とを共通のモータ15により回転させることで、より小型化を図ることができる。
【0056】
すなわち、モータ15の力を、冷却液Lを移送するための圧力を発生させることに利用しているため、ポンプを別途設ける必要がない。換言すれば、熱交換ファン13の動力と液送ポンプであるポンプインペラ14の動力とを共通のモータ15によって兼用することにより、これら熱交換ファン13とポンプインペラ14との各々に駆動用の機構を必要とする従来の構成と比較して、構成要素を整理・統合でき、冷却装置11を構成する部品点数を削減できる。さらに、熱交換ファン13は、ラジエータとファンとを兼用した構造となるから、部品点数をより抑制できる。
【0057】
この結果、冷却装置11の信頼性も向上し、かつ、冷却装置11を構築したり、メンテナンスしたりするための労力も軽減されるなど、導入および維持管理が容易になるだけでなく、冷却装置11の性能を見通しよく予想できる。
【0058】
また、熱交換ファンの回転数(回転速度)と液送ポンプが発生させる圧力との2つのパラメータの間には、互いに複雑な相関があり、利用状況に応じて最適な関係に設定することが容易でないのに対して、本実施の形態では、熱交換ファン13の回転数(回転速度)とポンプインペラ14が発生させる圧力との2つのパラメータの関係が製品設計時に予め固定できるので、調整を行う必要がない。
【0059】
次に、第2の実施の形態を図4を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0060】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、熱電対39からの電気信号(電圧信号)を、羽根体23(羽根部33)上に搭載した小型のアンプ回路40により増幅して、スリップリングなどを介して外部に電気的に導出するものである。
【0061】
アンプ回路40は、例えば放熱部34の羽根部33と反対側、外側に取り付けられている。また、このアンプ回路40への給電は、ペルチェ素子35への給電と同様の方法で行うことができる。
【0062】
そして、熱電対39により測定されたペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度の電気信号を増幅するアンプ回路40を羽根体23(放熱部34)に取り付けることにより、アンプ回路40を介して熱電対39により測定されたペルチェ素子35の吸熱側と放熱側との温度を外部へと容易に導出でき、ペルチェ素子35の温度を精度よくモニタできるので、冷却対象あるいは冷却液Lの温度をきめ細かく制御できるとともに、アンプ回路40で発生する熱をも羽根体23(羽根部33)の回転によって直接冷却できる。
【0063】
なお、上記第2の実施の形態において、アンプ回路40は、いずれか1つの羽根体23に取り付けたが、熱交換ファン13の大きさ、あるいはペルチェ素子35の数などの回路規模に応じて、複数を取り付けてもよい。この場合、1つの羽根体23上に複数のアンプ回路40を取り付けてもよいし、複数の羽根体23のそれぞれに1つずつアンプ回路40を取り付けてもよい。
【0064】
また、アンプ回路40は、放熱部34に取り付ける方が放熱性の面から好ましいものの、充分な放熱性を得ることができれば、羽根部33側に取り付けてもよい。
【0065】
さらに、熱電対39により測定した温度情報を外部へと取り出す際には、例えば小型のアンプ回路40に代えて、無線通信を行う無線通信装置を各羽根体23(各羽根部33)上に実装したり、電源供給経路に重畳したりする方法も可能である。
【0066】
そして、温度測定手段としては、熱電対39以外のものを用いることが可能である。
【0067】
次に、第3の実施の形態を図5を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0068】
この第3の実施の形態は、上記各実施の形態において、ペルチェ素子35がスケルトン型のものである。
【0069】
すなわち、ペルチェ素子35は、絶縁保護用および平面度確保のためのセラミック板などを有さず、ペルチェ素子本体35aのみで構成されている。このため、ペルチェ素子35は、電極が両面に剥き出しとなっている。
【0070】
また、各羽根部33および各放熱部34は、それぞれ表面に例えばアルマイト処理などの絶縁処理が施されており、少なくとも各平面部33b,34cの表面に絶縁皮膜が形成されている。
【0071】
そして、熱電変換素子としてスケルトン型のペルチェ素子35(ペルチェ素子本体35a)を用いて、羽根部33側および放熱部34側に密着配置することにより、セラミック板自身の熱抵抗、および、セラミック板の両面での接触熱抵抗などを考慮することなく最低限の接触熱抵抗で羽根部33側から熱を奪うことができ、ペルチェ素子35による熱電変換効率をより向上できるとともに、ペルチェ素子35と羽根部33側および放熱部34側の少なくとも密着部を互いに絶縁することにより、スケルトン型のペルチェ素子35を用いてもこのペルチェ素子35と羽根部33および放熱部34との絶縁性を確保できる。
【0072】
しかも、ペルチェ素子35は、セラミック板を有しないため、ペルチェ素子35自体の厚みも薄くなり、より小型化が可能になる。
【0073】
なお、上記第3の実施の形態において、ペルチェ素子本体35aを、例えばポリイミドフィルムなどの絶縁フィルムによって保護している構成、あるいは、ペルチェ素子本体35aと羽根部33側および放熱部34側との間に絶縁フィルムを介在させる構成などとしてもよい。この場合には、この絶縁フィルムによって絶縁性が確保されるため、羽根部33、あるいは放熱部34として例えばステンレスなどの導電性を有する部材などを用いることも可能となり、羽根部33や放熱部34の材料選択の幅が広がる。
【0074】
次に、第4の実施の形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
この第4の実施の形態において、各羽根体23は、図6および図7に示すように、断面視で円弧状に湾曲して形成されており、熱交換ファン13の羽断面として最適な形状、すなわち風の流れを考慮した形状となっている。また、各羽根体23は、放熱部34側が外側、羽根部33側が内側となるように端板部21,22間に取り付けられている。
【0076】
また、各羽根部33は、各羽根体23の径小側を形成する湾曲部33cと、この湾曲部33cと反対側で各放熱部34に対向する羽根対向面部33d,33dと、これら羽根対向面部33d,33d間に長手方向に沿って形成された羽根溝部33eとを有している。また、各羽根部33は、流路33aが、幅方向に2つ形成されている。
【0077】
湾曲部33cは、円弧状に湾曲して形成されている。
【0078】
各羽根対向面部33dには、放熱部34を羽根部33に取り付けるための丸孔状の取付孔33fが形成されている。さらに、各羽根対向面部33dには、放熱部34との間に介在される断熱材(熱反射材)である断熱シート41が取り付けられている。各断熱シート41には、各取付孔33fに対応する位置に、丸孔状の挿通孔41aが形成されている。
【0079】
羽根溝部33eは、ペルチェ素子35の吸熱側、すなわち一方のセラミック板35b側が嵌合して取り付けられる部分であり、底部が平面状の羽根平面部33bとなっており、流路33a,33aに対向している。また、この羽根溝部33eにより、ペルチェ素子35は、流路33a,33aに接近した位置に取り付け可能となっている。
【0080】
また、各放熱部34は、各放熱フィン34aが、各羽根体23(各羽根部33)の回転方向Dに沿って(幅方向に沿って)形成され、互いに長手方向に離間されている。すなわち、各放熱溝部34bは、各羽根体23(各羽根部33)の回転方向Dに沿って形成されている。さらに、放熱部34には、各羽根部33側に、羽根対向面部33d,33dに対向するフィン対向面部34d,34dが形成されているとともに、これらフィン対向面部34d,34d間に、羽根溝部33eに対向するフィン溝部34eが形成されている。そして、各放熱部34には、この放熱部34を各羽根部33に取り付けるための丸孔状の挿入孔34fが形成されている。
【0081】
各放熱フィン34aは、例えば各羽根部33の湾曲部33cと略平行になるように、湾曲して形成されている。
【0082】
各フィン対向面部34dには、上記挿入孔34fが貫通している。また、各フィン対向面部34dには、各羽根対向面部33dとの間に上記断熱シート41が介在されている。
【0083】
フィン溝部34eは、ペルチェ素子35の放熱側、すなわち他方のセラミック板35c側が嵌合して取り付けられる部分であり、羽根溝部33eと略等しい幅寸法を有している。
【0084】
さらに、羽根部33と放熱部34とは、取付部材としての複数のねじ43により固定されている。これらねじ43は、それぞれ断熱体としての断熱ブッシュ44を介して、放熱部34の外側から、挿入孔34f、挿通孔41aおよび取付孔33fに挿入されてねじ止め固定されている。各断熱ブッシュ44は、各ねじ43を介して放熱部34側の熱が羽根部33側に伝達されないようにするためのものである。また、各断熱ブッシュ44は、羽根部33と放熱部34との間に一部が挟まれており、羽根部33と放熱部34との間に隙間(図示せず)を形成している。
【0085】
そして、各羽根部33に各ペルチェ素子35および各放熱部34を取り付ける際には、例えば、熱伝導性を確保するために、ペルチェ素子35の一方のセラミック板35bに例えば熱伝導グリスなどの部材を塗布して、この一方のセラミック板35bを羽根溝部33eに嵌合させて羽根平面部33bと密着させ、各羽根対向面部33dに断熱シート41をそれぞれ取り付けた状態で、ペルチェ素子35の他方のセラミック板35cに例えば熱伝導グリスなどの部材を塗布し、他方のセラミック板35cをフィン溝部34eに嵌合させてフィン平面部34cに密着させるように放熱部34を被せて、断熱ブッシュ44を介してねじ43により放熱部34を羽根部33に固定する。
【0086】
なお、ねじ43により羽根部33と放熱部34とを固定する場合には、ペルチェ素子35の各セラミック板35b,35cは、熱伝導グリスに代えて、例えば放熱性が良好な接着剤により羽根部33と放熱部34とに接着してもよい。また、ねじ43以外でも、例えばリベットなどの取付部材によって羽根部33と放熱部34とを固定してもよい。
【0087】
この状態で、ペルチェ素子35は、断熱シート41によって幅方向の両側が封止されているため、樹脂によって周囲を封止しなくてもよいが、結露をより確実に防止する場合には、樹脂によりペルチェ素子35の周囲を羽根部33と放熱部34との間で封止してもよい。
【0088】
そして、放熱フィン34aを、羽根部33の回転方向に沿って複数形成することにより、放熱部34の表面積を拡大してこの放熱部34での放熱効果をより向上でき、かつ、羽根部33の回転時の放熱フィン34aによる圧力損失を抑制できるので、低騒音化しつつ冷却能力をより向上できる。
【0089】
また、羽根部33と放熱部34とをねじ43などの取付部材によって固定することにより、これら羽根部33と放熱部34とをより強固に固定できるとともに、羽根部33と放熱部34との間に断熱シート41を介在させ、断熱ブッシュ44を介してねじ43を取り付けるとともに、この断熱ブッシュ44を羽根部33と放熱部34との間に介在させてこれら羽根部33と放熱部34との間に隙間を形成することにより、放熱部34およびねじ43を介して羽根部33へと熱が伝わることを確実に防止でき、冷却能力の低下を防止できる。
【0090】
次に、第5の実施の形態を図8を参照して説明する。なお、上記各実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0091】
この第5の実施の形態は、上記第4の実施の形態において、各羽根部33の羽根平面部33bに四角形状の孔部33gが形成されているものである。
【0092】
孔部33gは、ペルチェ素子35を取り付けるためのものであり、各流路33aに連通して形成されている。換言すれば、各流路33aは、孔部33gから露出している。また、この孔部33gの内縁部には、環状の羽根部シール部材46が取り付けられている。この羽根部シール部材46は、ペルチェ素子35の一方のセラミック板35b側と密着することにより、ペルチェ素子35が各流路33aを液密に閉塞するように構成されている。
【0093】
このように流路33aに連通して羽根部33に形成した孔部33gを覆ってペルチェ素子35を取り付けることにより、ペルチェ素子35の吸熱側である一方のセラミック板35bを冷却液Lに直接接触させることが可能になる。この結果、一方のセラミック板35bと冷却液Lとの間に介在する部材がなくなるので、ペルチェ素子35によってより効率よく冷却液Lの熱を吸収でき、ペルチェ素子35による冷却液Lの冷却効果をより向上できる。
【0094】
しかも、孔部33gにはペルチェ素子35との間で液密を保つ羽根部シール部材46を取り付けているので、冷却液Lが孔部33gから漏れることもない。
【0095】
なお、上記第4の実施の形態および第5の実施の形態を、上記第2の実施の形態および第3の実施の形態の構成にそれぞれ適用してもよい。さらに、これら第4の実施の形態および第5の実施の形態において、羽根部33と放熱部34とは、対向面部33d,34dを、断熱シート41を介して密着させてもよい。
【0096】
また、上記各実施の形態において、熱交換ファン13は、クロスフローファン以外の任意の形式のファンとすることができる。
【0097】
さらに、モータ15およびポンプインペラ14に代えて、リザーバタンク12に収容された冷却液Lを移送するためのポンプを配置し、このポンプが発生させる圧力を利用して熱交換ファン13を回転させるように構成してもよい。
【0098】
そして、冷却液Lを従来型のラジエータに通過させ、熱交換ファン13によって作り出す気流をこのラジエータ、あるいはこのラジエータに搭載したヒートシンクなどに吹き付けるように構成してもよい。この場合には、更なる冷却効率の向上が見込める。すなわち、従来の強制空冷方式と同様の占有面積であれば、遥かに大きな冷却容量を有することができる。
【0099】
また、冷却対象も熱交換ファン13の羽根体23上に配置する構成としてもよい。この場合には、冷却対象の空気の温度以下になる部分が、常に気流に曝されていることにより、空気中の水蒸気が液体の水として凝集する前に空気中に放散することにより、ペルチェ素子35の冷却能力によって冷却対象を空気の温度以下まで冷却しても、冷却対象に結露が発生しにくくなる。この結果、結露のおそれを考慮することなく、冷却対象を室温以下にまで冷却可能となる。
【0100】
そして、各ペルチェ素子35は、各羽根部33の両面に配置してもよい。この場合には、各羽根体23の内側および外側をそれぞれ高速で通過する気流を利用して、流路33aを通過する冷却液Lを、より効率よく冷却できる。
【0101】
さらに、冷媒としては、液状体でなくても、任意の流動体とすることが可能である。
【0102】
そして、上記各実施の形態の各構成は、その趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
11 冷却装置
12 タンクであるリザーバタンク
13 熱交換ファン
14 ポンプインペラ
15 モータ
33 羽根部
33a 流路
33g 孔部
34 放熱部
34a 放熱フィン
35 熱電変換素子としてのペルチェ素子
37 封止部材としての樹脂
39 温度測定手段としての熱電対
40 アンプ回路
L 冷媒としての冷却液
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が通過可能な流路を内部に備えた回転可能な羽根部と、
この羽根部の少なくとも前記流路の外側の位置に吸熱側を向けて取り付けられた熱電変換素子と、
放熱フィンを備え、前記熱電変換素子の放熱側に少なくとも一部が位置する放熱部と
を具備したことを特徴とした熱交換ファン。
【請求項2】
放熱フィンは、羽根部の回転方向に沿って複数形成されている
ことを特徴とした請求項1記載の熱交換ファン。
【請求項3】
羽根部は、流路に連通する孔部を備え、
熱電変換素子は、前記孔部を覆って取り付けられている
ことを特徴とした請求項1または2記載の熱交換ファン。
【請求項4】
熱電変換素子は、スケルトン型のペルチェ素子であり、羽根部側および放熱部側に密着して配置され、
前記ペルチェ素子と前記羽根部および前記放熱部とは、少なくとも密着部が互いに絶縁されている
ことを特徴とした請求項1または2記載の熱交換ファン。
【請求項5】
熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度をそれぞれ測定して電気信号として出力可能な温度測定手段と、
羽根部と放熱部との少なくともいずれかに取り付けられ、前記温度測定手段により出力された電気信号を増幅して外部へと出力可能なアンプ回路と
を具備したことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の熱交換ファン。
【請求項6】
熱電変換素子の周囲を羽根部および放熱部との間で封止する封止部材を具備した
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の熱交換ファン。
【請求項7】
冷媒を収容するタンクと、
このタンクの内部に配置され、このタンクに収容された冷媒を吐出するポンプインペラと、
このポンプインペラの冷媒の吐出側が流路に接続された請求項1ないし6いずれか一記載の熱交換ファンと、
この熱交換ファンの羽根部および前記ポンプインペラを回転させるモータと
を具備したことを特徴とした冷却装置。
【請求項1】
冷媒が通過可能な流路を内部に備えた回転可能な羽根部と、
この羽根部の少なくとも前記流路の外側の位置に吸熱側を向けて取り付けられた熱電変換素子と、
放熱フィンを備え、前記熱電変換素子の放熱側に少なくとも一部が位置する放熱部と
を具備したことを特徴とした熱交換ファン。
【請求項2】
放熱フィンは、羽根部の回転方向に沿って複数形成されている
ことを特徴とした請求項1記載の熱交換ファン。
【請求項3】
羽根部は、流路に連通する孔部を備え、
熱電変換素子は、前記孔部を覆って取り付けられている
ことを特徴とした請求項1または2記載の熱交換ファン。
【請求項4】
熱電変換素子は、スケルトン型のペルチェ素子であり、羽根部側および放熱部側に密着して配置され、
前記ペルチェ素子と前記羽根部および前記放熱部とは、少なくとも密着部が互いに絶縁されている
ことを特徴とした請求項1または2記載の熱交換ファン。
【請求項5】
熱電変換素子の吸熱側と放熱側との温度をそれぞれ測定して電気信号として出力可能な温度測定手段と、
羽根部と放熱部との少なくともいずれかに取り付けられ、前記温度測定手段により出力された電気信号を増幅して外部へと出力可能なアンプ回路と
を具備したことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の熱交換ファン。
【請求項6】
熱電変換素子の周囲を羽根部および放熱部との間で封止する封止部材を具備した
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の熱交換ファン。
【請求項7】
冷媒を収容するタンクと、
このタンクの内部に配置され、このタンクに収容された冷媒を吐出するポンプインペラと、
このポンプインペラの冷媒の吐出側が流路に接続された請求項1ないし6いずれか一記載の熱交換ファンと、
この熱交換ファンの羽根部および前記ポンプインペラを回転させるモータと
を具備したことを特徴とした冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−2187(P2011−2187A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146697(P2009−146697)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(508175503)キーナスデザイン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(508175503)キーナスデザイン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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