熱交換器及びこれを備えた冷凍装置ユニット
【課題】熱交換部の曲げ加工性を向上できる熱交換器及びこれを備えた冷凍装置ユニットを提供する。
【解決手段】第1冷媒―冷媒熱交換部(62)と、第2冷媒―冷媒熱交換部(72)と、連結部材(73)とを備える。第1冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第1扁平管(74)と、第1扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第2扁平管(75)とを有し、第1扁平管内を流れる冷媒と第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。第2冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第3扁平管(74)と、第3扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第4扁平管(75)とを有し、第3扁平管内を流れる冷媒と第4扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との間に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように配置される。
【解決手段】第1冷媒―冷媒熱交換部(62)と、第2冷媒―冷媒熱交換部(72)と、連結部材(73)とを備える。第1冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第1扁平管(74)と、第1扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第2扁平管(75)とを有し、第1扁平管内を流れる冷媒と第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。第2冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第3扁平管(74)と、第3扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第4扁平管(75)とを有し、第3扁平管内を流れる冷媒と第4扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との間に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びこれを備えた冷凍装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2007−163004号公報)に開示のように、第1扁平管及び第1扁平管に密着される第2扁平管を含む熱交換部、を備える熱交換器が提案されている。この熱交換器では、第1扁平管の内部を流れる冷媒と第2扁平管の内部を流れる冷媒との間で熱交換が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱交換器は、配置される機器内の空間に収容されるために、曲げられた状態で使用されることがある。この場合、曲げ加工時において、曲げ方向等によっては、熱交換部が変形することが懸念される。
【0004】
そこで、本発明の課題は、熱交換部の曲げ加工性を向上できる熱交換器及びこれを備えた冷凍装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る熱交換器は、第1冷媒―冷媒熱交換部と、第2冷媒―冷媒熱交換部と、連結部材とを備える。第1冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第1扁平管と、第1扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第2扁平管とを有し、第1扁平管内を流れる冷媒と第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。第2冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第3扁平管と、第3扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第4扁平管とを有し、第3扁平管内を流れる冷媒と第4扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との間に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように配置される。
【0006】
なお、本発明の第1観点に係る熱交換器は、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部以外にも、これらと同様の構成を有する第3冷媒―冷媒熱交換部、第4冷媒―冷媒熱交換部・・・を有していてもよい。
【0007】
ここで、熱交換器は、配置される機器の内部空間の大きさに応じて曲げられた状態で使用されることがある。このような場合、曲げ加工時に、曲げ方向等によっては、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部が変形することが考えられる。
【0008】
そこで、本発明の第1観点に係る熱交換器では、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との間に連結部材が配置されていることにより、変形を抑制しやすい。これにより、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部の曲げ加工性を向上できる。
【0009】
本発明の第2観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点に係る熱交換器であって、連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部に直交する方向に所定の長さを有している。
【0010】
本発明の第2観点に係る熱交換器では、連結部材が、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との隙間を確保するスペーサ部材としての役割を有している。これにより、例えば、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを所定の隙間を空けて配置する必要がある場合、簡易に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との隙間を確保することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点又は第2観点に係る熱交換器であって、第1扁平管、第2扁平管、第3扁平管、及び、第4扁平管は、長手方向に延びる幅広の平面部が上下方向を向くように配置されている。また、第1扁平管、第2扁平管、第3扁平管、及び、第4扁平管は、連結部材とともに、上下方向に延びる軸回りに曲げられて形成されている。
【0012】
本発明の第3観点に係る熱交換器では、このように曲げにくい方向に、第1扁平管、第2扁平管、第3扁平管、及び、第4扁平管が曲げられて形成されている場合であっても(すなわち、このように曲げられることで上下方向に変形が生じる可能性がある場合であっても)、連結部材によって変形が生じる方向である上下方向が拘束されているので、変形を抑制できる。
【0013】
本発明の第4観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点〜第3観点のいずれかに係る熱交換器であって、連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部に、ロウ付けによって固定されている。
【0014】
本発明の第4観点に係る熱交換器では、連結部材が第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とにロウ付けによって固定されているので、例えば、連結部材が固定された第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを他の部材に接続する際、加工がしやすくなる。
【0015】
本発明の第5観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点〜第4観点のいずれかに係る熱交換器であって、連結部材は、伝熱フィンである。
【0016】
本発明の第5観点に係る熱交換器では、熱交換器に一般的に使用される伝熱フィンを連結部材として使用している。よって、連結部材として一般に用いられる部材を用いて、簡易に、曲げ加工性を向上できる。
【0017】
本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットは、本発明の第5観点に係る熱交換器と、空気流れを生成するファンとを備える。熱交換器は、空気が通過しない位置に配置されている、又は、熱交換器の近傍には、空気の熱交換器への接触を回避する空気接触回避部材が配置されている。
【0018】
本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットでは、伝熱フィンでの空気との熱交換を避けることができる。また、これにより、伝熱フィンの上端又は下端に接触している第1扁平管内を流れる冷媒と、伝熱フィンの上端又は下端に接触している第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行うことが可能になる。
【0019】
本発明の第7観点に係る冷凍装置ユニットは、本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットであって、空気―冷媒熱交換器をさらに備える。空気―冷媒熱交換器は、空気―冷媒熱交換部を有する。空気―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第5扁平管を有し、冷媒と空気との間で熱交換を行う。また、熱交換器と、空気―冷媒熱交換器とは、一体化されている。
【0020】
本発明の第7観点に係る冷凍装置ユニットでは、熱交換器と、空気―冷媒熱交換器とを一体化できることで、省スペース化が図れ、且つ、組み立て工数や組み立ての際の部品点数を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点に係る熱交換器では、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部の曲げ加工性を向上できる。
【0022】
本発明の第2観点に係る熱交換器では、簡易に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との隙間を確保することができる。
【0023】
本発明の第3観点に係る熱交換器では、変形を抑制できる。
【0024】
本発明の第4観点に係る熱交換器では、加工がしやすくなる。
【0025】
本発明の第5観点に係る熱交換器では、連結部材として、一般に用いられる部材を用いて、簡易に、曲げ加工性を向上できる。
【0026】
本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットでは、伝熱フィンでの空気との熱交換を避けることができ、伝熱フィンを介して、第1扁平管内を流れる冷媒と第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行うことが可能になる。
【0027】
本発明の第7観点に係る冷凍装置ユニットでは、省スペース化が図れ、且つ、組み立て工数や組み立ての際の部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るエコノマイザ熱交換器を有する一体化熱交換器及び本発明に係る冷凍装置ユニットを備える空気調和装置の概略構成図。
【図2】一体化熱交換器の概略模式図。
【図3】一体化熱交換器を、扁平管、第1扁平管及び第2扁平管の長手方向且つ鉛直方向に沿って切断した断面図の一部。
【図4】熱源側熱交換器の概略構成図。
【図5】エコノマイザ熱交換器の概略構成図。
【図6】図3の切断線VI−VIに沿って切断した、ヘッダの水平方向の断面図。
【図7】図3の切断線VII−VIIに沿って切断した、ヘッダの水平方向の断面図。
【図8】管接着部材の正面図。
【図9】管固定部材の正面図。
【図10】スペーサ部材の正面図。
【図11】連結部材が配置されていない状態でY軸回りに曲げられた冷媒―冷媒熱交換部(2段に積層されている場合)を示した図。
【図12】連結部材が配置されていない状態でY軸回りに曲げられた冷媒―冷媒熱交換部(3段に積層されている場合)を示した図。
【図13】変形例Cに係る一体化熱交換器の概略模式図。
【図14】変形例Dに係る一体化熱交換器の概略模式図。
【図15】中間冷却器を含めた冷媒回路を有する空気調和装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るエコノマイザ熱交換器の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明に係るエコノマイザ熱交換器の実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0030】
(1)空気調和装置1の構成
図1は、本発明に係るエコノマイザ熱交換器7を有する一体化熱交換器3、及び、本発明に係る冷凍装置ユニットとしての室外ユニット20を備える、冷凍装置の一例としての空気調和装置1の概略構成図である。図2は、一体化熱交換器3の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転が可能となるように構成された冷媒回路10を有し、二酸化炭素等の超臨界域で作動する冷媒を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う。
【0031】
冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、一体化熱交換器3と、膨張機構4と、利用側熱交換器5とを有している。圧縮機構2、一体化熱交換器3、及び、膨張機構4は、室外ユニット20に収容され、利用側熱交換器5は、冷凍装置ユニットとしての室内ユニット30に収容されている。なお、室外ユニット20と室内ユニット30とは、冷媒連絡配管13を介して接続されている。以下、冷媒回路10の構成要素について説明する。
【0032】
(2)冷媒回路10の構成要素
(2−1)圧縮機構2
圧縮機構2は、2つの圧縮要素を用いて冷媒を二段圧縮する圧縮機21から構成されている。圧縮機21は、ケーシング21a内に、圧縮要素駆動モータ21bと、駆動軸21cと、前段側圧縮要素2cと、後段側圧縮要素2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮要素駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。駆動軸21cは、前段側圧縮要素2c及び後段側圧縮要素2dに連結されている。すなわち、圧縮機21は、圧縮要素駆動モータ21bが、1本の駆動軸21cを介して、前段側圧縮要素2c及び後段側圧縮要素2dを駆動する、一軸二段圧縮構造を有する。
【0033】
圧縮機21は、吸入管2aから低圧の冷媒を吸入し、吸入された冷媒を前段側圧縮要素2cによって圧縮した後に、圧縮された中間圧の冷媒を中間圧冷媒管9に吐出する。次に、圧縮機21は、中間圧冷媒管9に吐出された中間圧の冷媒を吸入し、吸入された冷媒を後段側圧縮要素2dによって圧縮した後に、圧縮された高圧の冷媒を吐出管2bに吐出する。
【0034】
(2−2)一体化熱交換器3
一体化熱交換器3は、熱源側熱交換器6と、エコノマイザ熱交換器7とが一体化されて構成された熱交換器である。以下、熱源側熱交換器6と、エコノマイザ熱交換器7とについて説明する。
【0035】
(2−2−1)熱源側熱交換器6
熱源側熱交換器6は、圧縮機構2によって圧縮された高圧の冷媒を冷却する放熱器である。熱源側熱交換器6では、冷却源としての空気と、熱源側熱交換器6内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。なお、熱源側熱交換器6を通過する空気流れは、ファン11によって生成される。熱源側熱交換器6の一端は、第1高圧冷媒管3a及び吐出管2bを介して、圧縮機構2に接続されている。第1高圧冷媒管3aは、熱源側熱交換器6の入口と、吐出管2bとに接続される冷媒管である。熱源側熱交換器6の他端は、第2高圧冷媒管3bを介して、エコノマイザ熱交換器7及び後述するインジェクション部8に接続されている。第2高圧冷媒管3bは、熱源側熱交換器6の出口と、エコノマイザ熱交換器7の入口(熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる冷媒の流路の入口)と、インジェクション部8の入口(第2高圧冷媒管3bから分岐された冷媒の流路の入口)とに接続される冷媒管である。
【0036】
(2−2−2)エコノマイザ熱交換器7
エコノマイザ熱交換器7は、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒と、インジェクション部8を流れる中間圧の冷媒との間で熱交換をさせる。ここで、インジェクション部8について説明する。
【0037】
インジェクション部8は、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒を分岐させて、後段側圧縮要素2dの入口に戻す。具体的には、インジェクション部8は、第2高圧冷媒管3bから冷媒を分岐させて、中間圧冷媒管9に戻す。インジェクション部8は、第1インジェクション管8aと、第2インジェクション管8bとから構成される。第1インジェクション管8aは、第2高圧冷媒管3bと、エコノマイザ熱交換器7の入口(第2高圧冷媒管3bから分岐された冷媒の流路の入口)とを接続する。第2インジェクション管8bは、エコノマイザ熱交換器7の出口(第2高圧冷媒管3bから分岐された冷媒の流路の出口)と、中間圧冷媒管9とを接続する。第1インジェクション管8aには、開度制御が可能な戻し弁として機能するインジェクション弁8cが設けられている。インジェクション弁8cは、例えば、電動膨張弁である。インジェクション弁8cは、第2高圧冷媒管3bから分岐した高圧の冷媒を、中間圧冷媒管9内を流れる冷媒の圧力である中間圧付近まで減圧する。
【0038】
エコノマイザ熱交換器7では、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒は、インジェクション部8を流れる中間圧の冷媒との熱交換によって冷却される。インジェクション部8を流れる中間圧の冷媒は、一時的に気液二相状態で流れながら、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒との熱交換によって加熱されて蒸発する。蒸発した中間圧の冷媒は、第2インジェクション管8bを通過した後、中間圧冷媒管9内を流れる冷媒と合流する。
【0039】
以上、一体化熱交換器3について説明したが、一体化熱交換器3の具体的な構成については、後に詳述する。
【0040】
(2−3)膨張機構4
膨張機構4は、例えば、電動膨張弁であり、熱源側熱交換器6及びエコノマイザ熱交換器7において冷却された高圧の冷媒を、利用側熱交換器5に送る前に、冷凍サイクルにおける低圧付近まで減圧する。膨張機構4の一端は、第3高圧冷媒管3cを介して、エコノマイザ熱交換器7に接続されている。第3高圧冷媒管3cは、エコノマイザ熱交換器7の出口(熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる冷媒の流路の出口)と、膨張機構4の入口とに接続される冷媒管である。膨張機構4は、冷媒連絡配管13(具体的には、液側冷媒連絡配管)及び第1低圧冷媒管5aを介して、利用側熱交換器5に接続されている。第1低圧冷媒管5aは、冷媒連絡配管13(具体的には、液側冷媒連絡配管)と、利用側熱交換器5の入口とに接続される冷媒管である。
【0041】
(2−4)利用側熱交換器5
利用側熱交換器5は、膨張機構4によって減圧された低圧の冷媒を加熱して蒸発させる蒸発器である。利用側熱交換器5は、加熱源としての空気と、利用側熱交換器5内を流れる冷媒との間で熱交換をさせる。なお、利用側熱交換器5を通過する空気流れは、ファン12によって生成される。利用側熱交換器5の一端は、冷媒連絡配管13(具体的には、液側冷媒連絡配管)及び第1低圧冷媒管5aを介して、膨張機構4に接続されている。利用側熱交換器5の他端は、第2低圧冷媒管5b、冷媒連絡配管13(具体的には、ガス側冷媒連絡配管)、及び、吸入管2aを介して、圧縮機構2に接続されている。第2低圧冷媒管5bは、利用側熱交換器5の出口と、冷媒連絡配管13(具体的には、ガス側冷媒連絡配管)とを接続する冷媒管である。
【0042】
(3)一体化熱交換器3の構成
図3は、一体化熱交換器3を、後述する扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の長手方向且つ鉛直方向に沿って切断した断面図の一部である。図4は、熱源側熱交換器6の概略構成図である。図5は、エコノマイザ熱交換器7の概略構成図である。図6は、図3の切断線VI−VIに沿って切断した、ヘッダ61の水平方向の断面図である。図7は、図3の切断線VII−VIIに沿って切断した、ヘッダ71の水平方向の断面図である。図8は、管接着部材43aの正面図である。図9は、管固定部材43bの正面図である。図10は、スペーサ部材43cの正面図である。なお、図8〜図10の正面図とは、それぞれ、図3に示す矢印Aの方向に視た図を表している。
【0043】
一体化熱交換器3は、図2に示すように、熱源側熱交換器6の上方にエコノマイザ熱交換器7が配置される2段構造を有している。
【0044】
(3−1)熱源側熱交換器6の構成
熱源側熱交換器6は、図3や図4に示すように、主として、一対のヘッダ61と、空気―冷媒熱交換部62と、複数のコルゲートフィン63とを有している。熱源側熱交換器6は、空気―冷媒熱交換部62とコルゲートフィン63とが交互に積層され、且つ、空気―冷媒熱交換部62に含まれる扁平管64の長手方向の両端部にヘッダ61が接続された構成を有している。
【0045】
(3−1−1)ヘッダ61
ヘッダ61は、鉛直方向に延びるように配置され、上下端が閉じられた円筒形状の金属部材である。なお、ヘッダ61は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からの金属から構成される。ヘッダ61は、図3に示すように、ヘッダ61を主に形成する主部材41を有している。主部材41には、主流路41aと、主流路41aに対して垂直方向に延びる複数の連絡流路41bとが形成されている。主流路41aは、冷媒が鉛直方向に流れるように形成されている。連絡流路41bは、冷媒が、主流路41aから分岐するように且つ水平方向に流れるように形成されている。各々の連絡流路41bは、鉛直方向に所定の間隔を空けて形成されている。連絡流路41bは、扁平管64の冷媒流路穴64a(後述する)と連通する。
【0046】
(3−1−2)空気―冷媒熱交換部62
空気―冷媒熱交換部62は、扁平管64から構成されている。扁平管64は、複数の冷媒流路穴64aが形成され、ヘッダ61の長手方向に垂直な方向に細長く延びる板状の金属管である。なお、扁平管64は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からの金属から構成される。複数の冷媒流路穴64aは、互いに平行になるように形成されている。また、扁平管64は、長手方向に延びる幅広の平面部65が鉛直方向を向くように、且つ、各々が所定の間隔を空けるように、配置されている。
【0047】
(3−1−3)コルゲートフィン63
コルゲートフィン63は、波型形状の金属製(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)の伝熱フィンである。コルゲートフィン63は、各々の扁平管64の間に配置され、扁平管64の平面部65にロウ付けによって固定されている。コルゲートフィン63は、扁平管64と共に、扁平管64内を流れる冷媒と熱交換される空気が流れる空気流路63aを形成する。空気流路63aでは、コルゲートフィン63の延伸方向に直交する方向(すなわち、図4において紙面手前から奥側に向かう方向)に空気が流れる。コルゲートフィン63によって、広い伝熱面積が確保されるので、扁平管64を流れる冷媒と、空気流路63aを通過する空気とは、効率的に熱交換される。
【0048】
なお、図示はしていないが、扁平管64及びコルゲートフィン63は、ヘッダ61に接続された状態において、鉛直方向に延びるY軸(図4や図5を参照)回りに曲げられた形状を有している。より具体的には、熱源側熱交換器6は、平面視形状がコの字形状を有するように構成されている。すなわち、扁平管64及びコルゲートフィン63は、2箇所が、Y軸回りに折り曲げられた形状を有している。
【0049】
(3−2)エコノマイザ熱交換器7
エコノマイザ熱交換器7は、図示はしていないが、熱源側熱交換器6と平面視形状が同様の形状(すなわち、平面視形状がコの字形状)となるように構成されており、主として、図5に示すように、一対のヘッダ71と、複数(本実施形態では、2つ)の冷媒―冷媒熱交換部72と、連結部材73とを有している。なお、冷媒―冷媒熱交換部72の数は、2つに限られるものではない。
【0050】
(3−2−1)ヘッダ71
ヘッダ71は、鉛直方向に延びるように配置され、上下端が閉じられた円筒形状の金属部材である。なお、ヘッダ71は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からの金属から構成される。ヘッダ71は、図3に示すように、ヘッダを主に形成する主部材42を有している。
【0051】
主部材42には、第1主流路42aと、第1連絡流路42bと、第2主流路42cと、第2連絡流路42dとが形成されている。第1主流路42a及び第2主流路42cは、鉛直方向に冷媒が流れるように形成されている。第1連絡流路42bは、第1主流路42aを流れる冷媒が分岐して水平方向に流れるように、形成されている。第1連絡流路42bは、ヘッダ71の長手方向に所定の間隔を空けて形成されている。第2連絡流路42dは、第2主流路42cを流れる冷媒が分岐して水平方向に流れるように、形成されている。第2連絡流路42dは、ヘッダ71の長手方向に所定の間隔を空けて形成されている。第1連絡流路42bと第2連絡流路42dとを流れる冷媒の向きは逆である。第1連絡流路42bは、第1冷媒流路穴74aと連通し、第2連絡流路42dは、第2冷媒流路穴75aと連通する。
【0052】
(3−2−2)冷媒―冷媒熱交換部72
冷媒―冷媒熱交換部72は、長手方向の両端部に、ヘッダ71が接続された構成を有している。冷媒―冷媒熱交換部72は、図3や図5に示すように、第1扁平管74と、第2扁平管75とから構成されている。本実施形態では、下段に、第1扁平管74が、上段に、第2扁平管75が配置されている。
【0053】
第1扁平管74は、ヘッダ71の長手方向に垂直な方向に細長く延びる、板状の金属管である。なお、第1扁平管74は、アルミニウムやアルミニウム合金等から構成されている。第1扁平管74は、主として、長手方向(水平方向)に延びる幅広の平面部76aと、平面部76aからヘッダ71側に延び、管接続部材43に差し込まれる差込部76bとを有している。第1扁平管74は、平面部76a及び差込部76b(具体的には、厚み方向の両端面)が鉛直方向を向くように配置されている。第1扁平管74には、複数の第1冷媒流路穴74aが形成されている。各々の第1冷媒流路穴74aは、第1扁平管74の長手方向に貫通するように形成されている。なお、差込部76bの平面部76aと接触している側の端部とは逆側の端部の高さ位置は、第1冷媒流路穴74aを流れる冷媒が、第1連絡流路42bに流れるように、第1連絡流路42bの高さ位置と略同じである。
【0054】
第2扁平管75は、ヘッダ71の長手方向に垂直な方向に細長く延びる、板状の金属管である。なお、第2扁平管75は、アルミニウムやアルミニウム合金等から構成されている。第2扁平管75は、主として、長手方向(水平方向)に延びる幅広の平面部77aと、平面部77aからヘッダ71側に延び、後述する管接続部材43に差し込まれる差込部77bとを有している。第2扁平管75は、長手方向に延びる幅広の平面部77a及び差込部77b(具体的には、厚み方向の両端面)が鉛直方向を向くように配置されている。第2扁平管75には、複数の第2冷媒流路穴75aが形成されている。各々の第2冷媒流路穴75aは、第2扁平管75の長手方向に貫通するように形成されている。なお、差込部77bの平面部77aと接触している側の端部とは逆側の端部の高さ位置は、第2冷媒流路穴75aを流れる冷媒が、第2連絡流路42dに流れるように、第2連絡流路42dの高さ位置と同じである。
【0055】
冷媒―冷媒熱交換部72は、第1扁平管74と第2扁平管75とが、互いに密着するように(すなわち、第1扁平管74の平面部76aと、第2扁平管75の平面部77aとが密着するように)、構成されている。
【0056】
また、複数の冷媒―冷媒熱交換部72は、各々が、第1扁平管74の差込部76b(具体的には、平面部76aと接触している側の端部とは逆側の端部)の下面と、第2扁平管75の差込部77b(具体的には、平面部77aと接触している側の端部とは逆側の端部)の上面との距離d1(図5を参照)が一定に保たれるように、且つ、第1扁平管74の平面部76aの下面と第2扁平管75の平面部77aの上面との距離d2が一定に保たれるように、積層されて配置されている。
【0057】
以上のように、エコノマイザ熱交換器7は、1本の第1扁平管74と1本の第2扁平管75とが互いに密着して構成された冷媒―冷媒熱交換部72が積層された構成を有している。そして、エコノマイザ熱交換器7では、第1扁平管74内(具体的には、第1冷媒流路穴74a)を流れる冷媒と、第2扁平管75内(具体的には、第2冷媒流路穴75a)を流れる冷媒との間で熱交換が行われている。
【0058】
(3−3)連結部材73
連結部材73は、図5に示すように、冷媒―冷媒熱交換部72に直交する方向(具体的には、鉛直方向)に所定の長さを有する部材であり、所定の冷媒―冷媒熱交換部72と、その冷媒―冷媒熱交換部72に隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との間に配置されてこれらの2つの冷媒―冷媒熱交換部72を連結している。連結部材73は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材から構成され、板状部材が長手方向に波形に折り曲げられることによって形成される波形フィンである。連結部材73は、その一端の折り曲げられている部分(上端の山折りの部分)が第1扁平管74の平面部76aの下面にロウ付けによって固定され、その他端の折り曲げられている部分(下端の谷折りの部分)が第2扁平管75の平面部77aの上面にロウ付けによって固定されることにより、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とを連結している。
【0059】
なお、連結部材73が有する所定の長さとは、距離d1及び距離d2を一定に確保できる長さである。
【0060】
以上のように、連結部材は、2つの冷媒―冷媒熱交換部72を連結する機能と、これら2つに冷媒―冷媒熱交換部72の間に隙間を確保するスペーサ部材としての機能とを有している。
【0061】
(3−4)管接続部材43
本実施形態では、熱源側熱交換器6のヘッダ61及びエコノマイザ熱交換器7のヘッダ71は、管接続部材43によって、接続されている。この管接続部材43によって、熱源側熱交換器6とエコノマイザ熱交換器7とが一体化されて一体熱交換器3が構成されている。以下、管接続部材43について説明する。
【0062】
管接続部材43は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材から構成され、図6及び図7に示すように、管接着部材43aと、管固定部材43bと、スペーサ部材43cとを有している。
【0063】
管接着部材43aは、主部材41と、主部材42と、扁平管64と、冷媒―冷媒熱交換部72とに接着している、鉛直方向に延びる板状の部材である。管接着部材43aは、その長手方向に垂直な断面で切断した横断面形状がU字形状を有する部材である。管接着部材43aは、図8に示すように、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75が嵌入する扁平管嵌入孔44aが、鉛直方向に複数配置されている。
【0064】
管固定部材43bは、管接着部材43a、主部材41及び主部材42によって囲まれる空間において、管接着部材43a及びスペーサ部材43cに密着して配置される、鉛直方向に延びる板状の部材である。管固定部材43bは、図9に示すように、複数の扁平管留め孔44bが鉛直方向に沿って形成されている。扁平管留め孔44bは、扁平管嵌入孔44aと同じ高さ位置に設けられている。それぞれの扁平管留め孔44bは、扁平管留め孔形成部144によって形成されている。扁平管留め孔形成部144は、中央部に、その高さ方向の両辺が互いに近付く突出部144aを有している。突出部144aは、扁平管嵌入孔44aと共に、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の端部を固定する。突出部144aによって形成される隙間の高さは、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の厚みよりも小さい。
【0065】
スペーサ部材43cは、管接着部材43a、主部材41及び主部材42によって囲まれる空間において、管固定部材43b及び主部材41(又は主部材42)に密着して配置される、鉛直方向に延びる板状部材である。スペーサ部材43cは、図10に示すように、複数のスペーサ孔44cが鉛直方向に沿って形成されている。スペーサ孔44cは、扁平管嵌入孔44a及び扁平管留め孔44bと同じ高さ位置に設けられている。スペーサ部材43cは、主部材41と管固定部材43bとの間に、及び、主部材42と管固定部材43bとの間に、スペーサ孔44cからなる空間を形成するために設けられている。扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の端面の一部は、図6及び図7に示すように、スペーサ部材43cの端面に接触している。
【0066】
(4)一体化熱交換器3の製造方法
次に、一体化熱交換器3の製造方法について説明する。
【0067】
まず、コルゲートフィン63が固定された空気―冷媒熱交換部62(扁平管64)と、連結部材73が固定された冷媒―冷媒熱交換部72(第1扁平管74及び第2扁平管75)と、を用意する。
【0068】
次に、冷媒―冷媒熱交換部72が空気―冷媒熱交換部62の上方に位置するように配置し、空気―冷媒熱交換部62と、冷媒―冷媒熱交換部72とを、冶具等を用いて仮止めする。
【0069】
次に、仮止めされた、空気−冷媒熱交換部62と冷媒―冷媒熱交換部72とを、それぞれに固定された、コルゲートフィン63及び連結部材73とともに、曲げ加工装置(図示せず)を用いて鉛直方向に延びるY軸回りに曲げる。なお、曲げ加工装置とは、空気−冷媒熱交換部62と冷媒―冷媒熱交換部72とを、それぞれに固定された、コルゲートフィン63及び連結部材73とともに、曲げ型に押し当てることによって曲げ加工を行う装置である。
【0070】
一方では、空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72を間接的に接続するために、1対のヘッダ61と、1対のヘッダ71と、管接続部材43とを用意する。
【0071】
次に、図3に示すように、ヘッダ61とヘッダ71とが、連絡流路41b、第1連絡流路42b及び第2連絡流路42dが平面視において重なるように(具体的には、主部材41の空気―冷媒熱交換部62に対向する側の端面66(図6を参照)と、主部材42の冷媒―冷媒熱交換部72に対向する側の端面78(図7を参照)とが、平面視において一致するように)、ヘッダ61及びヘッダ71を配置する。次に、スペーサ部材43cを、主部材41の空気―冷媒熱交換部62に対向する側の端面66と主部材42の冷媒―冷媒熱交換部72に対向する側の端面78とに密着させるように配置する。次に、管固定部材43bを、スペーサ部材43cの端面に密着させるように配置する。次に、管接着部材43aを、スペーサ部材43c及び管固定部材43bを空気―冷媒熱交換部62や冷媒―冷媒熱交換部72が位置する側から逆側に向かって覆うように、配置する。
【0072】
次に、ヘッダ61及びヘッダ71と、Y軸回りに曲げられた、空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72とを接続する。具体的には、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75を、管固定部材43bの扁平管留め孔44bの奥まで嵌入することで、ヘッダ61及びヘッダ71と空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72とを接続する。
【0073】
最後に、主部材41と、主部材42と、管接続部材43(管接着部材43a、管固定部材43b及びスペーサ部材43c)と、扁平管64と、第1扁平管74と、第2扁平管75とを接着するロウ付け加工を行う。なお、主部材41と、主部材42との間は、ロウ付け加工を行わなくてもよい。以上により、一体化熱交換器3の組み立て工程が完了する。
【0074】
ここで、従来、複数の冷媒―冷媒熱交換部は、第1扁平管を流れる冷媒と第2扁平管を流れる冷媒との間で熱交換が行われればいいので、冷媒―冷媒熱交換部と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部との間には何も配置されていない。しかし、上述したように、冷媒―冷媒熱交換部72は、鉛直方向に延びるY軸回りに曲げられて使用される。ここで、冷媒―冷媒熱交換部72をY軸回りに曲げるのは、空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72の幅方向に延びる(Y軸に対して垂直に延びる)X軸(図6や図7を参照)回りに曲げるよりも曲げにくい。実際に、本発明の発明者が、2段に積層した冷媒―冷媒熱交換部と、3段に積層した冷媒―冷媒熱交換部とを、それぞれ、Y軸回りに曲げてみたところ、上下方向に座屈変形が生じた。これを表したのが、図11及び図12である。なお、図11及び図12においては、第1扁平管74と第2扁平管75との区切り線を省略している。また、図11及び図12においては、2段目以下の第1扁平管74及び第2扁平管75については、第1扁平管74及び第2扁平管75のそれぞれの平面部76a,77aに垂直となり長手方向に延びる面のみ(ハッチングで示す部分)を表している。
【0075】
そこで、本実施形態のように、冷媒―冷媒熱交換部72と冷媒―冷媒熱交換部72との間に連結部材73を配置して、これらに固定すれば、冷媒―冷媒熱交換部72の上下方向の変形が拘束される。これにより、冷媒―冷媒熱交換部72をY軸回りに曲げたとしても、冷媒―冷媒熱交換部72の座屈変形を抑制でき、曲げ加工性を向上できる。
【0076】
なお、冷媒―冷媒熱交換部72では、空気との熱交換が行われないようにするため、本実施形態では、ファン11によって生成される空気流が、エコノマイザ熱交換器7に流れないように、ファン11を覆うベルマウス(図示せず)を、その最上端位置が、エコノマイザ熱交換器7の下端位置(具体的には、冷媒―冷媒熱交換部72の下端位置)よりも下方に位置するように、構成している。
【0077】
(5)空気調和装置の動作
(5−1)全体動作
次に、空気調和装置1の冷房運転時の動作について、冷媒回路10を循環する冷媒の流れに基づいて説明する。冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入される。圧縮機構2に吸入された低圧の冷媒は、前段側圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間圧冷媒管9に吐出される。中間圧冷媒管9において、前段側圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、第2インジェクション管8bから戻された中間圧の冷媒と合流する。合流した中間圧の冷媒は、後段側圧縮要素2dに吸入され、後段側圧縮要素2dによって冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮される。圧縮された高圧の冷媒は、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される。
【0078】
圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、第1高圧冷媒管3aを通じて熱源側熱交換器6に送られる。熱源側熱交換器6に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器6によって外部の空気と熱交換を行って冷却される。熱源側熱交換器6によって冷却された高圧の冷媒の一部は、第2高圧冷媒管3bにおいて、第1インジェクション管8aに分岐される。第1インジェクション管8aに分岐された高圧の冷媒は、インジェクション弁8cによって冷凍サイクルにおける中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器7に送られる。一方、第1インジェクション管8aに分岐された後の(すなわち、第2高圧冷媒管3bを流れる)高圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器7に送られる。エコノマイザ熱交換器7において、第2高圧冷媒管3bからの高圧の冷媒は、第1インジェクション管8aからの中間圧の冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、第1インジェクション管8aからの中間圧の冷媒は、第2高圧冷媒管3bからの高圧の冷媒と熱交換を行って加熱され、第2インジェクション管8bを通じて中間圧冷媒管9に戻される。
【0079】
エコノマイザ熱交換器7において冷却された高圧の冷媒は、第3高圧冷媒管3cを通じて膨張機構4に送られる。膨張機構4に送られた高圧の冷媒は、膨張機構4によって減圧されて、冷凍サイクルにおける低圧且つ気液二相状態の冷媒となり、冷媒連絡配管13(液側冷媒連絡配管)及び第1低圧冷媒管5aを通じて利用側熱交換器5に送られる。利用側熱交換器5に送られた低圧且つ気液二相状態の冷媒は、利用側熱交換器5によって外部の空気と熱交換を行って加熱されて蒸発する。利用側熱交換器5において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、冷媒連絡配管(ガス側冷媒連絡配管)、第2低圧冷媒管5b及び吸入管2aを通じて再び圧縮機構2に吸入される。このようにして、空気調和装置1は、冷媒回路10内に冷媒を循環させて冷房運転を行う。
【0080】
(5−2)一体化熱交換器3の動作
一体化熱交換器3における冷媒の流れについて説明する。まず、一体化熱交換器3の下段の熱交換器である熱源側熱交換器6における熱交換について、図2及び図4を参照しながら説明する。圧縮機構2から吐出されて第1高圧冷媒管3a内を流れる高圧の冷媒は、一のヘッダ61内の主流路41aに供給される。主流路41aを流れる高圧の冷媒は、複数の連絡流路41bに分流した後、各扁平管64の第1冷媒流路穴64aに流入する。高圧の冷媒は、各扁平管64の第1冷媒流路穴64aを通過する過程で、空気流路33aを通過する空気と熱交換して冷却される。次に、各扁平管64を通過した高圧の冷媒は、反対側のヘッダ61内の主流路41aに流入する。最終的に、高圧の冷媒は、主流路41aから第2高圧冷媒管3bに送られる。
【0081】
次に、一体化熱交換器3の上段の熱交換器であるエコノマイザ熱交換器7における熱交換について、図2及び図5を参照しながら説明する。なお、図5においては、冷媒の流れを説明するために、本来、紙面手前から視て重なる主流路42a,42cを敢えて紙面手前から視て横に並ぶように表している。熱源側熱交換器6によって冷却されて第2高圧冷媒管3bを流れる高圧の冷媒は、一のヘッダ71内の第1主流路42aに供給される。第1主流路42aを流れる高圧の冷媒は、複数の第1連絡流路42b(図3を参照)に分流した後、各第1扁平管74の第1冷媒流路穴74aに流入する。一方、第2高圧冷媒管3bから分岐してインジェクション弁8cによって減圧されて第1インジェクション管8aを流れる中間圧の冷媒は、高圧の冷媒が供給された側の反対側のヘッダ71内の第2主流路42cに供給される。第2主流路42cを流れる中間圧の冷媒は、複数の第2連絡流路42d(図3を参照)に分流した後、各第2扁平管75の第2冷媒流路穴75aに流入する。第1扁平管74内を流れる高圧の冷媒は、第2扁平管75内を流れる中間圧の冷媒と熱交換される。なお、上述したように、第1扁平管74内の高圧の冷媒の流れ方向は、第2扁平管75内の中間圧の冷媒の流れ方向の反対である。各第1扁平管74を通過して熱交換された高圧の冷媒は、反対側のヘッダ71内の第1主流路42aに流入する。最終的に、高圧の冷媒は、第1主流路42aから第3高圧冷媒管3cに送られる。一方、各第2扁平管75を通過して熱交換された中間圧の冷媒は、反対側のヘッダ71内の第2主流路42cに流入する。最終的に、中間圧の冷媒は、第2主流路42cから第2インジェクション管8bに送られる。
【0082】
(6)特徴
(6−1)
本実施形態のエコノマイザ熱交換器7(熱交換器に相当)では、上述したように、冷媒―冷媒熱交換部72(第1冷媒―冷媒熱交換部に相当)と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72(第2冷媒―冷媒熱交換部に相当)との間に、連結部材73が配置されており、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とに固定されて配置されている。
【0083】
これにより、冷媒―冷媒熱交換部72を構成する第1扁平管74及び第2扁平管75のそれぞれの平面部76a,平面部77aが、上下方向(具体的には、鉛直方向)を向くように配置されており、第1扁平管74及び第2扁平管75を、曲げにくいY軸回りに曲げたとしても、冷媒―冷媒熱交換部72の上下方向の変形が拘束される。よって、冷媒―冷媒熱交換部72の座屈変形を抑制でき、曲げ加工性を向上できる。
【0084】
(6−2)
上述したように、従来、冷媒―冷媒熱交換部と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部との間には、何も配置されていない。よって、従来の構成では、冷媒―冷媒熱交換部と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部との間の距離を一定に確保することが困難である。
【0085】
一方、本実施形態では、連結部材73が、上下方向(具体的には、鉛直方向)に所定の長さを有している。これにより、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との距離(具体的には、距離d1及び距離d2)を、一定に保つことが容易になる。よって、本実施形態の構成では、複数の冷媒―冷媒熱交換部72を、本実施形態のように、各々を所定の間隔を空けて配置するような場合に、有用である。なお、本実施形態では、連結部材73がスペーサ部材としての機能を兼ねていることにより、冷媒―冷媒熱交換部72(具体的には、差込部76b,77bの平面部76a,77aに接触している端部とは逆側の端部)を、管接続部材43(具体的には、管接着部材43a及び管固定部材43b)に形成される扁平管嵌入孔44a及び扁平管留め孔44bに挿入しやすくなり、エコノマイザ熱交換器7の加工性が向上できている。
【0086】
また、本実施形態では、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とにロウ付けによって固定されている。これにより、冷媒―冷媒熱交換部72と連結部材73とが一体化されている。よって、冷媒―冷媒熱交換部72及びこれに固定された連結部材73を、他の部材(本実施形態では、管接続部材43)に接続する際の組み立てがしやすくなり、作業効率を向上できる。
【0087】
(6−3)
本実施形態では、連結部材73は、アルミニウム等の金属部材から構成された伝熱フィンである。本実施形態では、連結部材73として、熱交換器に一般的に適用される部材を適用できるので、簡易に、冷媒―冷媒熱交換部72の曲げ加工性を向上させることができる。また、他の金属部材に比べて軽量な金属から構成される伝熱フィンを連結部材73として使用しているので、加工がしやすい。
【0088】
また、本実施形態では、上述したように、ベルマウスを利用することによって、エコノマイザ熱交換器7が、ファン11によって生成される空気流が通過しない位置に配置されるように構成している。
【0089】
これにより、連結部材73での空気との熱交換を避けることができる。
【0090】
また、本実施形態のように冷媒―冷媒熱交換部72が複数積層されているような構成を採る場合、連結部材73を介して、連結部材73に固定された第1扁平管74(冷媒―冷媒熱交換部72のうち下段に位置する扁平管)内を流れる冷媒と、連結部材73に固定された第2扁平管75(冷媒―冷媒熱交換部72のうち上段に位置する扁平管)内を流れる冷媒との間で熱交換を行うことが可能になる。よって、エコノマイザ熱交換器7での熱交換効率を向上できる。
【0091】
(6−4)
本実施形態では、熱源側熱交換器6(空気―冷媒熱交換器に相当)と、エコノマイザ熱交換器7とが、ヘッダ61,71(具体的には、管接続部材43及びヘッダ61,71)によって、一体化されている。これにより、室外ユニット2の省スペース化を図れる。また、従来に比べて、組み立てに必要な部品点数や組み立て工数が削減できるので、コストも削減できる。
【0092】
(7)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0093】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、連結部材73として、伝熱フィンを用いているが、これに限られるものではなく、他の部材であってもよい。例えば、連結部材73として、空気との熱交換を行いにくいような絶縁体から構成される部材を用いてもよい。この場合、ベルマウスの工夫をしなくても、連結部材73における空気との熱交換を避けることができる。
【0094】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、ベルマウスを利用して、エコノマイザ熱交換器7に空気流が通過しないようにすると説明したが、これに限られるものではない。例えば、エコノマイザ熱交換器7の近傍(例えば、エコノマイザ熱交換器7の周囲)に、空気流のエコノマイザ熱交換器7への接触を回避する空気接触回避部材として、断熱材を配置してもよい。
【0095】
(7−3)変形例C
図13は、本変形例Cに係る一体化熱交換器の概略模式図である。
【0096】
上記実施形態の一体化熱交換器3は熱源側熱交換器6の上方に、エコノマイザ熱交換器7を配置しているが、図13に示すように、エコノマイザ熱交換器7の上方に、熱源側熱交換器6を配置してもよい。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を達成できる。
【0097】
(7−4)変形例D
図14は、本変形例Dに係る一体化熱交換器の概略模式図である。
【0098】
上記実施形態の一体化熱交換器3では、熱源側熱交換器6及びエコノマイザ熱交換器7の2つの熱交換器が鉛直方向に沿って配置されている二段構造を有しているが、図14に示すように、熱源側熱交換器6、エコノマイザ熱交換器7および中間冷却器106の3つの熱交換器が鉛直方向に沿って配置されている三段構造を有してもよい。
【0099】
ここで、中間冷却器106について説明する。図15は、中間冷却器106を含めた冷媒回路110を有する空気調和装置101の概略構成図である。
【0100】
中間冷却器106は、本実施形態における中間圧冷媒管9に設けられる熱交換器である。中間冷却器106は、熱源側熱交換器6と同様に、冷媒と空気とを熱交換させる。具体的には、中間冷却器106は、圧縮機構2の前段側圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された冷媒を、外部空気と熱交換させて冷却する。中間冷却器106によって冷却された中間圧の冷媒は、第2インジェクション管8bから戻された冷媒と合流して、後段側圧縮要素2dに吸入される。
【0101】
本変形例における一体化熱交換器109は、3つの熱交換器が鉛直方向に沿って配置されている。図14に示すように、一体化熱交換器109は、下段の熱交換器が熱源側熱交換器6であり、中段の熱交換器が中間冷却器106であり、上段の熱交換器がエコノマイザ熱交換器7である。実施形態と同様に、熱源側熱交換器6、中間冷却器106およびエコノマイザ熱交換器7の各ヘッダは、少なくとも一部が一体化するように構成されている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を達成できる。
【0102】
なお、一体化熱交換器109の3つの熱交換器の配置は任意であってもよい。例えば、一体化熱交換器109は、中間冷却器106がエコノマイザ熱交換器7の上方に配置される構成を有してもよい。
【0103】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、第1扁平管74及び第2扁平管75は、それぞれ、平面部76a,77aと、差込部76b,77bとを有していると説明したが、この構成に限られるものではなく、平面部76a,77aのみの構成であってもよい。すなわち、第1扁平管74及び第2扁平管75は、一方の端部から他方の端部にかけて水平に延びる管であってもよい。この場合、連結部材73は、距離d2を確保できるような長さを有することになる。
【0104】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72とこれに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との間に、これらにロウ付けによって固定されて配置されていると説明したが、これに限られるものではなく、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との間に、冷媒―冷媒熱交換部72とこれに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とを連結するように配置されていればよい。なお、このような場合の連結方法としては、例えば、冶具等や接着材を用いて仮固定を行う方法が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明では、複数の扁平管が密着され、各々の扁平管内を流れる冷媒間で熱交換が行われる冷媒―冷媒熱交換部を備える熱交換器に種々適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
6 熱源側熱交換器(空気―冷媒熱交換器)
7 エコノマイザ熱交換器(熱交換器)
11 ファン
20 室外ユニット(冷凍装置ユニット)
62 扁平管(第5扁平管)
72 冷媒―冷媒熱交換部(第1冷媒―冷媒熱交換部、第2冷媒―冷 媒熱交換部)
73 連結部材
74 第1扁平管(第1扁平管、第3扁平管)
75 第2扁平管(第2扁平管、第4扁平管)
76 平面部
77 平面部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2007−163004号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及びこれを備えた冷凍装置ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1(特開2007−163004号公報)に開示のように、第1扁平管及び第1扁平管に密着される第2扁平管を含む熱交換部、を備える熱交換器が提案されている。この熱交換器では、第1扁平管の内部を流れる冷媒と第2扁平管の内部を流れる冷媒との間で熱交換が行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱交換器は、配置される機器内の空間に収容されるために、曲げられた状態で使用されることがある。この場合、曲げ加工時において、曲げ方向等によっては、熱交換部が変形することが懸念される。
【0004】
そこで、本発明の課題は、熱交換部の曲げ加工性を向上できる熱交換器及びこれを備えた冷凍装置ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1観点に係る熱交換器は、第1冷媒―冷媒熱交換部と、第2冷媒―冷媒熱交換部と、連結部材とを備える。第1冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第1扁平管と、第1扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第2扁平管とを有し、第1扁平管内を流れる冷媒と第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。第2冷媒―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第3扁平管と、第3扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第4扁平管とを有し、第3扁平管内を流れる冷媒と第4扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う。連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との間に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように配置される。
【0006】
なお、本発明の第1観点に係る熱交換器は、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部以外にも、これらと同様の構成を有する第3冷媒―冷媒熱交換部、第4冷媒―冷媒熱交換部・・・を有していてもよい。
【0007】
ここで、熱交換器は、配置される機器の内部空間の大きさに応じて曲げられた状態で使用されることがある。このような場合、曲げ加工時に、曲げ方向等によっては、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部が変形することが考えられる。
【0008】
そこで、本発明の第1観点に係る熱交換器では、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との間に連結部材が配置されていることにより、変形を抑制しやすい。これにより、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部の曲げ加工性を向上できる。
【0009】
本発明の第2観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点に係る熱交換器であって、連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部に直交する方向に所定の長さを有している。
【0010】
本発明の第2観点に係る熱交換器では、連結部材が、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との隙間を確保するスペーサ部材としての役割を有している。これにより、例えば、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを所定の隙間を空けて配置する必要がある場合、簡易に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との隙間を確保することができる。
【0011】
本発明の第3観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点又は第2観点に係る熱交換器であって、第1扁平管、第2扁平管、第3扁平管、及び、第4扁平管は、長手方向に延びる幅広の平面部が上下方向を向くように配置されている。また、第1扁平管、第2扁平管、第3扁平管、及び、第4扁平管は、連結部材とともに、上下方向に延びる軸回りに曲げられて形成されている。
【0012】
本発明の第3観点に係る熱交換器では、このように曲げにくい方向に、第1扁平管、第2扁平管、第3扁平管、及び、第4扁平管が曲げられて形成されている場合であっても(すなわち、このように曲げられることで上下方向に変形が生じる可能性がある場合であっても)、連結部材によって変形が生じる方向である上下方向が拘束されているので、変形を抑制できる。
【0013】
本発明の第4観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点〜第3観点のいずれかに係る熱交換器であって、連結部材は、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部に、ロウ付けによって固定されている。
【0014】
本発明の第4観点に係る熱交換器では、連結部材が第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とにロウ付けによって固定されているので、例えば、連結部材が固定された第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部とを他の部材に接続する際、加工がしやすくなる。
【0015】
本発明の第5観点に係る熱交換器は、本発明の第1観点〜第4観点のいずれかに係る熱交換器であって、連結部材は、伝熱フィンである。
【0016】
本発明の第5観点に係る熱交換器では、熱交換器に一般的に使用される伝熱フィンを連結部材として使用している。よって、連結部材として一般に用いられる部材を用いて、簡易に、曲げ加工性を向上できる。
【0017】
本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットは、本発明の第5観点に係る熱交換器と、空気流れを生成するファンとを備える。熱交換器は、空気が通過しない位置に配置されている、又は、熱交換器の近傍には、空気の熱交換器への接触を回避する空気接触回避部材が配置されている。
【0018】
本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットでは、伝熱フィンでの空気との熱交換を避けることができる。また、これにより、伝熱フィンの上端又は下端に接触している第1扁平管内を流れる冷媒と、伝熱フィンの上端又は下端に接触している第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行うことが可能になる。
【0019】
本発明の第7観点に係る冷凍装置ユニットは、本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットであって、空気―冷媒熱交換器をさらに備える。空気―冷媒熱交換器は、空気―冷媒熱交換部を有する。空気―冷媒熱交換部では、内部に冷媒が流れる第5扁平管を有し、冷媒と空気との間で熱交換を行う。また、熱交換器と、空気―冷媒熱交換器とは、一体化されている。
【0020】
本発明の第7観点に係る冷凍装置ユニットでは、熱交換器と、空気―冷媒熱交換器とを一体化できることで、省スペース化が図れ、且つ、組み立て工数や組み立ての際の部品点数を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1観点に係る熱交換器では、第1冷媒―冷媒熱交換部及び第2冷媒―冷媒熱交換部の曲げ加工性を向上できる。
【0022】
本発明の第2観点に係る熱交換器では、簡易に、第1冷媒―冷媒熱交換部と第2冷媒―冷媒熱交換部との隙間を確保することができる。
【0023】
本発明の第3観点に係る熱交換器では、変形を抑制できる。
【0024】
本発明の第4観点に係る熱交換器では、加工がしやすくなる。
【0025】
本発明の第5観点に係る熱交換器では、連結部材として、一般に用いられる部材を用いて、簡易に、曲げ加工性を向上できる。
【0026】
本発明の第6観点に係る冷凍装置ユニットでは、伝熱フィンでの空気との熱交換を避けることができ、伝熱フィンを介して、第1扁平管内を流れる冷媒と第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行うことが可能になる。
【0027】
本発明の第7観点に係る冷凍装置ユニットでは、省スペース化が図れ、且つ、組み立て工数や組み立ての際の部品点数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るエコノマイザ熱交換器を有する一体化熱交換器及び本発明に係る冷凍装置ユニットを備える空気調和装置の概略構成図。
【図2】一体化熱交換器の概略模式図。
【図3】一体化熱交換器を、扁平管、第1扁平管及び第2扁平管の長手方向且つ鉛直方向に沿って切断した断面図の一部。
【図4】熱源側熱交換器の概略構成図。
【図5】エコノマイザ熱交換器の概略構成図。
【図6】図3の切断線VI−VIに沿って切断した、ヘッダの水平方向の断面図。
【図7】図3の切断線VII−VIIに沿って切断した、ヘッダの水平方向の断面図。
【図8】管接着部材の正面図。
【図9】管固定部材の正面図。
【図10】スペーサ部材の正面図。
【図11】連結部材が配置されていない状態でY軸回りに曲げられた冷媒―冷媒熱交換部(2段に積層されている場合)を示した図。
【図12】連結部材が配置されていない状態でY軸回りに曲げられた冷媒―冷媒熱交換部(3段に積層されている場合)を示した図。
【図13】変形例Cに係る一体化熱交換器の概略模式図。
【図14】変形例Dに係る一体化熱交換器の概略模式図。
【図15】中間冷却器を含めた冷媒回路を有する空気調和装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係るエコノマイザ熱交換器の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、本発明に係るエコノマイザ熱交換器の実施形態は、本発明の具体例の一つであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0030】
(1)空気調和装置1の構成
図1は、本発明に係るエコノマイザ熱交換器7を有する一体化熱交換器3、及び、本発明に係る冷凍装置ユニットとしての室外ユニット20を備える、冷凍装置の一例としての空気調和装置1の概略構成図である。図2は、一体化熱交換器3の概略構成図である。空気調和装置1は、冷房運転が可能となるように構成された冷媒回路10を有し、二酸化炭素等の超臨界域で作動する冷媒を使用して二段圧縮式冷凍サイクルを行う。
【0031】
冷媒回路10は、主として、圧縮機構2と、一体化熱交換器3と、膨張機構4と、利用側熱交換器5とを有している。圧縮機構2、一体化熱交換器3、及び、膨張機構4は、室外ユニット20に収容され、利用側熱交換器5は、冷凍装置ユニットとしての室内ユニット30に収容されている。なお、室外ユニット20と室内ユニット30とは、冷媒連絡配管13を介して接続されている。以下、冷媒回路10の構成要素について説明する。
【0032】
(2)冷媒回路10の構成要素
(2−1)圧縮機構2
圧縮機構2は、2つの圧縮要素を用いて冷媒を二段圧縮する圧縮機21から構成されている。圧縮機21は、ケーシング21a内に、圧縮要素駆動モータ21bと、駆動軸21cと、前段側圧縮要素2cと、後段側圧縮要素2dとが収容された密閉式構造となっている。圧縮要素駆動モータ21bは、駆動軸21cに連結されている。駆動軸21cは、前段側圧縮要素2c及び後段側圧縮要素2dに連結されている。すなわち、圧縮機21は、圧縮要素駆動モータ21bが、1本の駆動軸21cを介して、前段側圧縮要素2c及び後段側圧縮要素2dを駆動する、一軸二段圧縮構造を有する。
【0033】
圧縮機21は、吸入管2aから低圧の冷媒を吸入し、吸入された冷媒を前段側圧縮要素2cによって圧縮した後に、圧縮された中間圧の冷媒を中間圧冷媒管9に吐出する。次に、圧縮機21は、中間圧冷媒管9に吐出された中間圧の冷媒を吸入し、吸入された冷媒を後段側圧縮要素2dによって圧縮した後に、圧縮された高圧の冷媒を吐出管2bに吐出する。
【0034】
(2−2)一体化熱交換器3
一体化熱交換器3は、熱源側熱交換器6と、エコノマイザ熱交換器7とが一体化されて構成された熱交換器である。以下、熱源側熱交換器6と、エコノマイザ熱交換器7とについて説明する。
【0035】
(2−2−1)熱源側熱交換器6
熱源側熱交換器6は、圧縮機構2によって圧縮された高圧の冷媒を冷却する放熱器である。熱源側熱交換器6では、冷却源としての空気と、熱源側熱交換器6内を流れる冷媒との間で熱交換が行われる。なお、熱源側熱交換器6を通過する空気流れは、ファン11によって生成される。熱源側熱交換器6の一端は、第1高圧冷媒管3a及び吐出管2bを介して、圧縮機構2に接続されている。第1高圧冷媒管3aは、熱源側熱交換器6の入口と、吐出管2bとに接続される冷媒管である。熱源側熱交換器6の他端は、第2高圧冷媒管3bを介して、エコノマイザ熱交換器7及び後述するインジェクション部8に接続されている。第2高圧冷媒管3bは、熱源側熱交換器6の出口と、エコノマイザ熱交換器7の入口(熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる冷媒の流路の入口)と、インジェクション部8の入口(第2高圧冷媒管3bから分岐された冷媒の流路の入口)とに接続される冷媒管である。
【0036】
(2−2−2)エコノマイザ熱交換器7
エコノマイザ熱交換器7は、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒と、インジェクション部8を流れる中間圧の冷媒との間で熱交換をさせる。ここで、インジェクション部8について説明する。
【0037】
インジェクション部8は、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒を分岐させて、後段側圧縮要素2dの入口に戻す。具体的には、インジェクション部8は、第2高圧冷媒管3bから冷媒を分岐させて、中間圧冷媒管9に戻す。インジェクション部8は、第1インジェクション管8aと、第2インジェクション管8bとから構成される。第1インジェクション管8aは、第2高圧冷媒管3bと、エコノマイザ熱交換器7の入口(第2高圧冷媒管3bから分岐された冷媒の流路の入口)とを接続する。第2インジェクション管8bは、エコノマイザ熱交換器7の出口(第2高圧冷媒管3bから分岐された冷媒の流路の出口)と、中間圧冷媒管9とを接続する。第1インジェクション管8aには、開度制御が可能な戻し弁として機能するインジェクション弁8cが設けられている。インジェクション弁8cは、例えば、電動膨張弁である。インジェクション弁8cは、第2高圧冷媒管3bから分岐した高圧の冷媒を、中間圧冷媒管9内を流れる冷媒の圧力である中間圧付近まで減圧する。
【0038】
エコノマイザ熱交換器7では、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒は、インジェクション部8を流れる中間圧の冷媒との熱交換によって冷却される。インジェクション部8を流れる中間圧の冷媒は、一時的に気液二相状態で流れながら、熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる高圧の冷媒との熱交換によって加熱されて蒸発する。蒸発した中間圧の冷媒は、第2インジェクション管8bを通過した後、中間圧冷媒管9内を流れる冷媒と合流する。
【0039】
以上、一体化熱交換器3について説明したが、一体化熱交換器3の具体的な構成については、後に詳述する。
【0040】
(2−3)膨張機構4
膨張機構4は、例えば、電動膨張弁であり、熱源側熱交換器6及びエコノマイザ熱交換器7において冷却された高圧の冷媒を、利用側熱交換器5に送る前に、冷凍サイクルにおける低圧付近まで減圧する。膨張機構4の一端は、第3高圧冷媒管3cを介して、エコノマイザ熱交換器7に接続されている。第3高圧冷媒管3cは、エコノマイザ熱交換器7の出口(熱源側熱交換器6から膨張機構4に送られる冷媒の流路の出口)と、膨張機構4の入口とに接続される冷媒管である。膨張機構4は、冷媒連絡配管13(具体的には、液側冷媒連絡配管)及び第1低圧冷媒管5aを介して、利用側熱交換器5に接続されている。第1低圧冷媒管5aは、冷媒連絡配管13(具体的には、液側冷媒連絡配管)と、利用側熱交換器5の入口とに接続される冷媒管である。
【0041】
(2−4)利用側熱交換器5
利用側熱交換器5は、膨張機構4によって減圧された低圧の冷媒を加熱して蒸発させる蒸発器である。利用側熱交換器5は、加熱源としての空気と、利用側熱交換器5内を流れる冷媒との間で熱交換をさせる。なお、利用側熱交換器5を通過する空気流れは、ファン12によって生成される。利用側熱交換器5の一端は、冷媒連絡配管13(具体的には、液側冷媒連絡配管)及び第1低圧冷媒管5aを介して、膨張機構4に接続されている。利用側熱交換器5の他端は、第2低圧冷媒管5b、冷媒連絡配管13(具体的には、ガス側冷媒連絡配管)、及び、吸入管2aを介して、圧縮機構2に接続されている。第2低圧冷媒管5bは、利用側熱交換器5の出口と、冷媒連絡配管13(具体的には、ガス側冷媒連絡配管)とを接続する冷媒管である。
【0042】
(3)一体化熱交換器3の構成
図3は、一体化熱交換器3を、後述する扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の長手方向且つ鉛直方向に沿って切断した断面図の一部である。図4は、熱源側熱交換器6の概略構成図である。図5は、エコノマイザ熱交換器7の概略構成図である。図6は、図3の切断線VI−VIに沿って切断した、ヘッダ61の水平方向の断面図である。図7は、図3の切断線VII−VIIに沿って切断した、ヘッダ71の水平方向の断面図である。図8は、管接着部材43aの正面図である。図9は、管固定部材43bの正面図である。図10は、スペーサ部材43cの正面図である。なお、図8〜図10の正面図とは、それぞれ、図3に示す矢印Aの方向に視た図を表している。
【0043】
一体化熱交換器3は、図2に示すように、熱源側熱交換器6の上方にエコノマイザ熱交換器7が配置される2段構造を有している。
【0044】
(3−1)熱源側熱交換器6の構成
熱源側熱交換器6は、図3や図4に示すように、主として、一対のヘッダ61と、空気―冷媒熱交換部62と、複数のコルゲートフィン63とを有している。熱源側熱交換器6は、空気―冷媒熱交換部62とコルゲートフィン63とが交互に積層され、且つ、空気―冷媒熱交換部62に含まれる扁平管64の長手方向の両端部にヘッダ61が接続された構成を有している。
【0045】
(3−1−1)ヘッダ61
ヘッダ61は、鉛直方向に延びるように配置され、上下端が閉じられた円筒形状の金属部材である。なお、ヘッダ61は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からの金属から構成される。ヘッダ61は、図3に示すように、ヘッダ61を主に形成する主部材41を有している。主部材41には、主流路41aと、主流路41aに対して垂直方向に延びる複数の連絡流路41bとが形成されている。主流路41aは、冷媒が鉛直方向に流れるように形成されている。連絡流路41bは、冷媒が、主流路41aから分岐するように且つ水平方向に流れるように形成されている。各々の連絡流路41bは、鉛直方向に所定の間隔を空けて形成されている。連絡流路41bは、扁平管64の冷媒流路穴64a(後述する)と連通する。
【0046】
(3−1−2)空気―冷媒熱交換部62
空気―冷媒熱交換部62は、扁平管64から構成されている。扁平管64は、複数の冷媒流路穴64aが形成され、ヘッダ61の長手方向に垂直な方向に細長く延びる板状の金属管である。なお、扁平管64は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からの金属から構成される。複数の冷媒流路穴64aは、互いに平行になるように形成されている。また、扁平管64は、長手方向に延びる幅広の平面部65が鉛直方向を向くように、且つ、各々が所定の間隔を空けるように、配置されている。
【0047】
(3−1−3)コルゲートフィン63
コルゲートフィン63は、波型形状の金属製(例えば、アルミニウムやアルミニウム合金)の伝熱フィンである。コルゲートフィン63は、各々の扁平管64の間に配置され、扁平管64の平面部65にロウ付けによって固定されている。コルゲートフィン63は、扁平管64と共に、扁平管64内を流れる冷媒と熱交換される空気が流れる空気流路63aを形成する。空気流路63aでは、コルゲートフィン63の延伸方向に直交する方向(すなわち、図4において紙面手前から奥側に向かう方向)に空気が流れる。コルゲートフィン63によって、広い伝熱面積が確保されるので、扁平管64を流れる冷媒と、空気流路63aを通過する空気とは、効率的に熱交換される。
【0048】
なお、図示はしていないが、扁平管64及びコルゲートフィン63は、ヘッダ61に接続された状態において、鉛直方向に延びるY軸(図4や図5を参照)回りに曲げられた形状を有している。より具体的には、熱源側熱交換器6は、平面視形状がコの字形状を有するように構成されている。すなわち、扁平管64及びコルゲートフィン63は、2箇所が、Y軸回りに折り曲げられた形状を有している。
【0049】
(3−2)エコノマイザ熱交換器7
エコノマイザ熱交換器7は、図示はしていないが、熱源側熱交換器6と平面視形状が同様の形状(すなわち、平面視形状がコの字形状)となるように構成されており、主として、図5に示すように、一対のヘッダ71と、複数(本実施形態では、2つ)の冷媒―冷媒熱交換部72と、連結部材73とを有している。なお、冷媒―冷媒熱交換部72の数は、2つに限られるものではない。
【0050】
(3−2−1)ヘッダ71
ヘッダ71は、鉛直方向に延びるように配置され、上下端が閉じられた円筒形状の金属部材である。なお、ヘッダ71は、アルミニウム又はアルミニウム合金等からの金属から構成される。ヘッダ71は、図3に示すように、ヘッダを主に形成する主部材42を有している。
【0051】
主部材42には、第1主流路42aと、第1連絡流路42bと、第2主流路42cと、第2連絡流路42dとが形成されている。第1主流路42a及び第2主流路42cは、鉛直方向に冷媒が流れるように形成されている。第1連絡流路42bは、第1主流路42aを流れる冷媒が分岐して水平方向に流れるように、形成されている。第1連絡流路42bは、ヘッダ71の長手方向に所定の間隔を空けて形成されている。第2連絡流路42dは、第2主流路42cを流れる冷媒が分岐して水平方向に流れるように、形成されている。第2連絡流路42dは、ヘッダ71の長手方向に所定の間隔を空けて形成されている。第1連絡流路42bと第2連絡流路42dとを流れる冷媒の向きは逆である。第1連絡流路42bは、第1冷媒流路穴74aと連通し、第2連絡流路42dは、第2冷媒流路穴75aと連通する。
【0052】
(3−2−2)冷媒―冷媒熱交換部72
冷媒―冷媒熱交換部72は、長手方向の両端部に、ヘッダ71が接続された構成を有している。冷媒―冷媒熱交換部72は、図3や図5に示すように、第1扁平管74と、第2扁平管75とから構成されている。本実施形態では、下段に、第1扁平管74が、上段に、第2扁平管75が配置されている。
【0053】
第1扁平管74は、ヘッダ71の長手方向に垂直な方向に細長く延びる、板状の金属管である。なお、第1扁平管74は、アルミニウムやアルミニウム合金等から構成されている。第1扁平管74は、主として、長手方向(水平方向)に延びる幅広の平面部76aと、平面部76aからヘッダ71側に延び、管接続部材43に差し込まれる差込部76bとを有している。第1扁平管74は、平面部76a及び差込部76b(具体的には、厚み方向の両端面)が鉛直方向を向くように配置されている。第1扁平管74には、複数の第1冷媒流路穴74aが形成されている。各々の第1冷媒流路穴74aは、第1扁平管74の長手方向に貫通するように形成されている。なお、差込部76bの平面部76aと接触している側の端部とは逆側の端部の高さ位置は、第1冷媒流路穴74aを流れる冷媒が、第1連絡流路42bに流れるように、第1連絡流路42bの高さ位置と略同じである。
【0054】
第2扁平管75は、ヘッダ71の長手方向に垂直な方向に細長く延びる、板状の金属管である。なお、第2扁平管75は、アルミニウムやアルミニウム合金等から構成されている。第2扁平管75は、主として、長手方向(水平方向)に延びる幅広の平面部77aと、平面部77aからヘッダ71側に延び、後述する管接続部材43に差し込まれる差込部77bとを有している。第2扁平管75は、長手方向に延びる幅広の平面部77a及び差込部77b(具体的には、厚み方向の両端面)が鉛直方向を向くように配置されている。第2扁平管75には、複数の第2冷媒流路穴75aが形成されている。各々の第2冷媒流路穴75aは、第2扁平管75の長手方向に貫通するように形成されている。なお、差込部77bの平面部77aと接触している側の端部とは逆側の端部の高さ位置は、第2冷媒流路穴75aを流れる冷媒が、第2連絡流路42dに流れるように、第2連絡流路42dの高さ位置と同じである。
【0055】
冷媒―冷媒熱交換部72は、第1扁平管74と第2扁平管75とが、互いに密着するように(すなわち、第1扁平管74の平面部76aと、第2扁平管75の平面部77aとが密着するように)、構成されている。
【0056】
また、複数の冷媒―冷媒熱交換部72は、各々が、第1扁平管74の差込部76b(具体的には、平面部76aと接触している側の端部とは逆側の端部)の下面と、第2扁平管75の差込部77b(具体的には、平面部77aと接触している側の端部とは逆側の端部)の上面との距離d1(図5を参照)が一定に保たれるように、且つ、第1扁平管74の平面部76aの下面と第2扁平管75の平面部77aの上面との距離d2が一定に保たれるように、積層されて配置されている。
【0057】
以上のように、エコノマイザ熱交換器7は、1本の第1扁平管74と1本の第2扁平管75とが互いに密着して構成された冷媒―冷媒熱交換部72が積層された構成を有している。そして、エコノマイザ熱交換器7では、第1扁平管74内(具体的には、第1冷媒流路穴74a)を流れる冷媒と、第2扁平管75内(具体的には、第2冷媒流路穴75a)を流れる冷媒との間で熱交換が行われている。
【0058】
(3−3)連結部材73
連結部材73は、図5に示すように、冷媒―冷媒熱交換部72に直交する方向(具体的には、鉛直方向)に所定の長さを有する部材であり、所定の冷媒―冷媒熱交換部72と、その冷媒―冷媒熱交換部72に隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との間に配置されてこれらの2つの冷媒―冷媒熱交換部72を連結している。連結部材73は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材から構成され、板状部材が長手方向に波形に折り曲げられることによって形成される波形フィンである。連結部材73は、その一端の折り曲げられている部分(上端の山折りの部分)が第1扁平管74の平面部76aの下面にロウ付けによって固定され、その他端の折り曲げられている部分(下端の谷折りの部分)が第2扁平管75の平面部77aの上面にロウ付けによって固定されることにより、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とを連結している。
【0059】
なお、連結部材73が有する所定の長さとは、距離d1及び距離d2を一定に確保できる長さである。
【0060】
以上のように、連結部材は、2つの冷媒―冷媒熱交換部72を連結する機能と、これら2つに冷媒―冷媒熱交換部72の間に隙間を確保するスペーサ部材としての機能とを有している。
【0061】
(3−4)管接続部材43
本実施形態では、熱源側熱交換器6のヘッダ61及びエコノマイザ熱交換器7のヘッダ71は、管接続部材43によって、接続されている。この管接続部材43によって、熱源側熱交換器6とエコノマイザ熱交換器7とが一体化されて一体熱交換器3が構成されている。以下、管接続部材43について説明する。
【0062】
管接続部材43は、アルミニウムやアルミニウム合金等の金属部材から構成され、図6及び図7に示すように、管接着部材43aと、管固定部材43bと、スペーサ部材43cとを有している。
【0063】
管接着部材43aは、主部材41と、主部材42と、扁平管64と、冷媒―冷媒熱交換部72とに接着している、鉛直方向に延びる板状の部材である。管接着部材43aは、その長手方向に垂直な断面で切断した横断面形状がU字形状を有する部材である。管接着部材43aは、図8に示すように、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75が嵌入する扁平管嵌入孔44aが、鉛直方向に複数配置されている。
【0064】
管固定部材43bは、管接着部材43a、主部材41及び主部材42によって囲まれる空間において、管接着部材43a及びスペーサ部材43cに密着して配置される、鉛直方向に延びる板状の部材である。管固定部材43bは、図9に示すように、複数の扁平管留め孔44bが鉛直方向に沿って形成されている。扁平管留め孔44bは、扁平管嵌入孔44aと同じ高さ位置に設けられている。それぞれの扁平管留め孔44bは、扁平管留め孔形成部144によって形成されている。扁平管留め孔形成部144は、中央部に、その高さ方向の両辺が互いに近付く突出部144aを有している。突出部144aは、扁平管嵌入孔44aと共に、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の端部を固定する。突出部144aによって形成される隙間の高さは、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の厚みよりも小さい。
【0065】
スペーサ部材43cは、管接着部材43a、主部材41及び主部材42によって囲まれる空間において、管固定部材43b及び主部材41(又は主部材42)に密着して配置される、鉛直方向に延びる板状部材である。スペーサ部材43cは、図10に示すように、複数のスペーサ孔44cが鉛直方向に沿って形成されている。スペーサ孔44cは、扁平管嵌入孔44a及び扁平管留め孔44bと同じ高さ位置に設けられている。スペーサ部材43cは、主部材41と管固定部材43bとの間に、及び、主部材42と管固定部材43bとの間に、スペーサ孔44cからなる空間を形成するために設けられている。扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75の端面の一部は、図6及び図7に示すように、スペーサ部材43cの端面に接触している。
【0066】
(4)一体化熱交換器3の製造方法
次に、一体化熱交換器3の製造方法について説明する。
【0067】
まず、コルゲートフィン63が固定された空気―冷媒熱交換部62(扁平管64)と、連結部材73が固定された冷媒―冷媒熱交換部72(第1扁平管74及び第2扁平管75)と、を用意する。
【0068】
次に、冷媒―冷媒熱交換部72が空気―冷媒熱交換部62の上方に位置するように配置し、空気―冷媒熱交換部62と、冷媒―冷媒熱交換部72とを、冶具等を用いて仮止めする。
【0069】
次に、仮止めされた、空気−冷媒熱交換部62と冷媒―冷媒熱交換部72とを、それぞれに固定された、コルゲートフィン63及び連結部材73とともに、曲げ加工装置(図示せず)を用いて鉛直方向に延びるY軸回りに曲げる。なお、曲げ加工装置とは、空気−冷媒熱交換部62と冷媒―冷媒熱交換部72とを、それぞれに固定された、コルゲートフィン63及び連結部材73とともに、曲げ型に押し当てることによって曲げ加工を行う装置である。
【0070】
一方では、空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72を間接的に接続するために、1対のヘッダ61と、1対のヘッダ71と、管接続部材43とを用意する。
【0071】
次に、図3に示すように、ヘッダ61とヘッダ71とが、連絡流路41b、第1連絡流路42b及び第2連絡流路42dが平面視において重なるように(具体的には、主部材41の空気―冷媒熱交換部62に対向する側の端面66(図6を参照)と、主部材42の冷媒―冷媒熱交換部72に対向する側の端面78(図7を参照)とが、平面視において一致するように)、ヘッダ61及びヘッダ71を配置する。次に、スペーサ部材43cを、主部材41の空気―冷媒熱交換部62に対向する側の端面66と主部材42の冷媒―冷媒熱交換部72に対向する側の端面78とに密着させるように配置する。次に、管固定部材43bを、スペーサ部材43cの端面に密着させるように配置する。次に、管接着部材43aを、スペーサ部材43c及び管固定部材43bを空気―冷媒熱交換部62や冷媒―冷媒熱交換部72が位置する側から逆側に向かって覆うように、配置する。
【0072】
次に、ヘッダ61及びヘッダ71と、Y軸回りに曲げられた、空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72とを接続する。具体的には、扁平管64、第1扁平管74及び第2扁平管75を、管固定部材43bの扁平管留め孔44bの奥まで嵌入することで、ヘッダ61及びヘッダ71と空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72とを接続する。
【0073】
最後に、主部材41と、主部材42と、管接続部材43(管接着部材43a、管固定部材43b及びスペーサ部材43c)と、扁平管64と、第1扁平管74と、第2扁平管75とを接着するロウ付け加工を行う。なお、主部材41と、主部材42との間は、ロウ付け加工を行わなくてもよい。以上により、一体化熱交換器3の組み立て工程が完了する。
【0074】
ここで、従来、複数の冷媒―冷媒熱交換部は、第1扁平管を流れる冷媒と第2扁平管を流れる冷媒との間で熱交換が行われればいいので、冷媒―冷媒熱交換部と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部との間には何も配置されていない。しかし、上述したように、冷媒―冷媒熱交換部72は、鉛直方向に延びるY軸回りに曲げられて使用される。ここで、冷媒―冷媒熱交換部72をY軸回りに曲げるのは、空気―冷媒熱交換部62及び冷媒―冷媒熱交換部72の幅方向に延びる(Y軸に対して垂直に延びる)X軸(図6や図7を参照)回りに曲げるよりも曲げにくい。実際に、本発明の発明者が、2段に積層した冷媒―冷媒熱交換部と、3段に積層した冷媒―冷媒熱交換部とを、それぞれ、Y軸回りに曲げてみたところ、上下方向に座屈変形が生じた。これを表したのが、図11及び図12である。なお、図11及び図12においては、第1扁平管74と第2扁平管75との区切り線を省略している。また、図11及び図12においては、2段目以下の第1扁平管74及び第2扁平管75については、第1扁平管74及び第2扁平管75のそれぞれの平面部76a,77aに垂直となり長手方向に延びる面のみ(ハッチングで示す部分)を表している。
【0075】
そこで、本実施形態のように、冷媒―冷媒熱交換部72と冷媒―冷媒熱交換部72との間に連結部材73を配置して、これらに固定すれば、冷媒―冷媒熱交換部72の上下方向の変形が拘束される。これにより、冷媒―冷媒熱交換部72をY軸回りに曲げたとしても、冷媒―冷媒熱交換部72の座屈変形を抑制でき、曲げ加工性を向上できる。
【0076】
なお、冷媒―冷媒熱交換部72では、空気との熱交換が行われないようにするため、本実施形態では、ファン11によって生成される空気流が、エコノマイザ熱交換器7に流れないように、ファン11を覆うベルマウス(図示せず)を、その最上端位置が、エコノマイザ熱交換器7の下端位置(具体的には、冷媒―冷媒熱交換部72の下端位置)よりも下方に位置するように、構成している。
【0077】
(5)空気調和装置の動作
(5−1)全体動作
次に、空気調和装置1の冷房運転時の動作について、冷媒回路10を循環する冷媒の流れに基づいて説明する。冷凍サイクルにおける低圧の冷媒は、吸入管2aから圧縮機構2に吸入される。圧縮機構2に吸入された低圧の冷媒は、前段側圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された後に、中間圧冷媒管9に吐出される。中間圧冷媒管9において、前段側圧縮要素2cから吐出された中間圧の冷媒は、第2インジェクション管8bから戻された中間圧の冷媒と合流する。合流した中間圧の冷媒は、後段側圧縮要素2dに吸入され、後段側圧縮要素2dによって冷凍サイクルにおける高圧まで圧縮される。圧縮された高圧の冷媒は、圧縮機構2から吐出管2bに吐出される。
【0078】
圧縮機構2から吐出された高圧の冷媒は、第1高圧冷媒管3aを通じて熱源側熱交換器6に送られる。熱源側熱交換器6に送られた高圧の冷媒は、熱源側熱交換器6によって外部の空気と熱交換を行って冷却される。熱源側熱交換器6によって冷却された高圧の冷媒の一部は、第2高圧冷媒管3bにおいて、第1インジェクション管8aに分岐される。第1インジェクション管8aに分岐された高圧の冷媒は、インジェクション弁8cによって冷凍サイクルにおける中間圧付近まで減圧された後に、エコノマイザ熱交換器7に送られる。一方、第1インジェクション管8aに分岐された後の(すなわち、第2高圧冷媒管3bを流れる)高圧の冷媒は、エコノマイザ熱交換器7に送られる。エコノマイザ熱交換器7において、第2高圧冷媒管3bからの高圧の冷媒は、第1インジェクション管8aからの中間圧の冷媒と熱交換を行って冷却される。一方、第1インジェクション管8aからの中間圧の冷媒は、第2高圧冷媒管3bからの高圧の冷媒と熱交換を行って加熱され、第2インジェクション管8bを通じて中間圧冷媒管9に戻される。
【0079】
エコノマイザ熱交換器7において冷却された高圧の冷媒は、第3高圧冷媒管3cを通じて膨張機構4に送られる。膨張機構4に送られた高圧の冷媒は、膨張機構4によって減圧されて、冷凍サイクルにおける低圧且つ気液二相状態の冷媒となり、冷媒連絡配管13(液側冷媒連絡配管)及び第1低圧冷媒管5aを通じて利用側熱交換器5に送られる。利用側熱交換器5に送られた低圧且つ気液二相状態の冷媒は、利用側熱交換器5によって外部の空気と熱交換を行って加熱されて蒸発する。利用側熱交換器5において加熱されて蒸発した低圧の冷媒は、冷媒連絡配管(ガス側冷媒連絡配管)、第2低圧冷媒管5b及び吸入管2aを通じて再び圧縮機構2に吸入される。このようにして、空気調和装置1は、冷媒回路10内に冷媒を循環させて冷房運転を行う。
【0080】
(5−2)一体化熱交換器3の動作
一体化熱交換器3における冷媒の流れについて説明する。まず、一体化熱交換器3の下段の熱交換器である熱源側熱交換器6における熱交換について、図2及び図4を参照しながら説明する。圧縮機構2から吐出されて第1高圧冷媒管3a内を流れる高圧の冷媒は、一のヘッダ61内の主流路41aに供給される。主流路41aを流れる高圧の冷媒は、複数の連絡流路41bに分流した後、各扁平管64の第1冷媒流路穴64aに流入する。高圧の冷媒は、各扁平管64の第1冷媒流路穴64aを通過する過程で、空気流路33aを通過する空気と熱交換して冷却される。次に、各扁平管64を通過した高圧の冷媒は、反対側のヘッダ61内の主流路41aに流入する。最終的に、高圧の冷媒は、主流路41aから第2高圧冷媒管3bに送られる。
【0081】
次に、一体化熱交換器3の上段の熱交換器であるエコノマイザ熱交換器7における熱交換について、図2及び図5を参照しながら説明する。なお、図5においては、冷媒の流れを説明するために、本来、紙面手前から視て重なる主流路42a,42cを敢えて紙面手前から視て横に並ぶように表している。熱源側熱交換器6によって冷却されて第2高圧冷媒管3bを流れる高圧の冷媒は、一のヘッダ71内の第1主流路42aに供給される。第1主流路42aを流れる高圧の冷媒は、複数の第1連絡流路42b(図3を参照)に分流した後、各第1扁平管74の第1冷媒流路穴74aに流入する。一方、第2高圧冷媒管3bから分岐してインジェクション弁8cによって減圧されて第1インジェクション管8aを流れる中間圧の冷媒は、高圧の冷媒が供給された側の反対側のヘッダ71内の第2主流路42cに供給される。第2主流路42cを流れる中間圧の冷媒は、複数の第2連絡流路42d(図3を参照)に分流した後、各第2扁平管75の第2冷媒流路穴75aに流入する。第1扁平管74内を流れる高圧の冷媒は、第2扁平管75内を流れる中間圧の冷媒と熱交換される。なお、上述したように、第1扁平管74内の高圧の冷媒の流れ方向は、第2扁平管75内の中間圧の冷媒の流れ方向の反対である。各第1扁平管74を通過して熱交換された高圧の冷媒は、反対側のヘッダ71内の第1主流路42aに流入する。最終的に、高圧の冷媒は、第1主流路42aから第3高圧冷媒管3cに送られる。一方、各第2扁平管75を通過して熱交換された中間圧の冷媒は、反対側のヘッダ71内の第2主流路42cに流入する。最終的に、中間圧の冷媒は、第2主流路42cから第2インジェクション管8bに送られる。
【0082】
(6)特徴
(6−1)
本実施形態のエコノマイザ熱交換器7(熱交換器に相当)では、上述したように、冷媒―冷媒熱交換部72(第1冷媒―冷媒熱交換部に相当)と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72(第2冷媒―冷媒熱交換部に相当)との間に、連結部材73が配置されており、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とに固定されて配置されている。
【0083】
これにより、冷媒―冷媒熱交換部72を構成する第1扁平管74及び第2扁平管75のそれぞれの平面部76a,平面部77aが、上下方向(具体的には、鉛直方向)を向くように配置されており、第1扁平管74及び第2扁平管75を、曲げにくいY軸回りに曲げたとしても、冷媒―冷媒熱交換部72の上下方向の変形が拘束される。よって、冷媒―冷媒熱交換部72の座屈変形を抑制でき、曲げ加工性を向上できる。
【0084】
(6−2)
上述したように、従来、冷媒―冷媒熱交換部と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部との間には、何も配置されていない。よって、従来の構成では、冷媒―冷媒熱交換部と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部との間の距離を一定に確保することが困難である。
【0085】
一方、本実施形態では、連結部材73が、上下方向(具体的には、鉛直方向)に所定の長さを有している。これにより、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との距離(具体的には、距離d1及び距離d2)を、一定に保つことが容易になる。よって、本実施形態の構成では、複数の冷媒―冷媒熱交換部72を、本実施形態のように、各々を所定の間隔を空けて配置するような場合に、有用である。なお、本実施形態では、連結部材73がスペーサ部材としての機能を兼ねていることにより、冷媒―冷媒熱交換部72(具体的には、差込部76b,77bの平面部76a,77aに接触している端部とは逆側の端部)を、管接続部材43(具体的には、管接着部材43a及び管固定部材43b)に形成される扁平管嵌入孔44a及び扁平管留め孔44bに挿入しやすくなり、エコノマイザ熱交換器7の加工性が向上できている。
【0086】
また、本実施形態では、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とにロウ付けによって固定されている。これにより、冷媒―冷媒熱交換部72と連結部材73とが一体化されている。よって、冷媒―冷媒熱交換部72及びこれに固定された連結部材73を、他の部材(本実施形態では、管接続部材43)に接続する際の組み立てがしやすくなり、作業効率を向上できる。
【0087】
(6−3)
本実施形態では、連結部材73は、アルミニウム等の金属部材から構成された伝熱フィンである。本実施形態では、連結部材73として、熱交換器に一般的に適用される部材を適用できるので、簡易に、冷媒―冷媒熱交換部72の曲げ加工性を向上させることができる。また、他の金属部材に比べて軽量な金属から構成される伝熱フィンを連結部材73として使用しているので、加工がしやすい。
【0088】
また、本実施形態では、上述したように、ベルマウスを利用することによって、エコノマイザ熱交換器7が、ファン11によって生成される空気流が通過しない位置に配置されるように構成している。
【0089】
これにより、連結部材73での空気との熱交換を避けることができる。
【0090】
また、本実施形態のように冷媒―冷媒熱交換部72が複数積層されているような構成を採る場合、連結部材73を介して、連結部材73に固定された第1扁平管74(冷媒―冷媒熱交換部72のうち下段に位置する扁平管)内を流れる冷媒と、連結部材73に固定された第2扁平管75(冷媒―冷媒熱交換部72のうち上段に位置する扁平管)内を流れる冷媒との間で熱交換を行うことが可能になる。よって、エコノマイザ熱交換器7での熱交換効率を向上できる。
【0091】
(6−4)
本実施形態では、熱源側熱交換器6(空気―冷媒熱交換器に相当)と、エコノマイザ熱交換器7とが、ヘッダ61,71(具体的には、管接続部材43及びヘッダ61,71)によって、一体化されている。これにより、室外ユニット2の省スペース化を図れる。また、従来に比べて、組み立てに必要な部品点数や組み立て工数が削減できるので、コストも削減できる。
【0092】
(7)変形例
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、上記の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0093】
(7−1)変形例A
上記実施形態では、連結部材73として、伝熱フィンを用いているが、これに限られるものではなく、他の部材であってもよい。例えば、連結部材73として、空気との熱交換を行いにくいような絶縁体から構成される部材を用いてもよい。この場合、ベルマウスの工夫をしなくても、連結部材73における空気との熱交換を避けることができる。
【0094】
(7−2)変形例B
上記実施形態では、ベルマウスを利用して、エコノマイザ熱交換器7に空気流が通過しないようにすると説明したが、これに限られるものではない。例えば、エコノマイザ熱交換器7の近傍(例えば、エコノマイザ熱交換器7の周囲)に、空気流のエコノマイザ熱交換器7への接触を回避する空気接触回避部材として、断熱材を配置してもよい。
【0095】
(7−3)変形例C
図13は、本変形例Cに係る一体化熱交換器の概略模式図である。
【0096】
上記実施形態の一体化熱交換器3は熱源側熱交換器6の上方に、エコノマイザ熱交換器7を配置しているが、図13に示すように、エコノマイザ熱交換器7の上方に、熱源側熱交換器6を配置してもよい。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を達成できる。
【0097】
(7−4)変形例D
図14は、本変形例Dに係る一体化熱交換器の概略模式図である。
【0098】
上記実施形態の一体化熱交換器3では、熱源側熱交換器6及びエコノマイザ熱交換器7の2つの熱交換器が鉛直方向に沿って配置されている二段構造を有しているが、図14に示すように、熱源側熱交換器6、エコノマイザ熱交換器7および中間冷却器106の3つの熱交換器が鉛直方向に沿って配置されている三段構造を有してもよい。
【0099】
ここで、中間冷却器106について説明する。図15は、中間冷却器106を含めた冷媒回路110を有する空気調和装置101の概略構成図である。
【0100】
中間冷却器106は、本実施形態における中間圧冷媒管9に設けられる熱交換器である。中間冷却器106は、熱源側熱交換器6と同様に、冷媒と空気とを熱交換させる。具体的には、中間冷却器106は、圧縮機構2の前段側圧縮要素2cによって冷凍サイクルにおける中間圧まで圧縮された冷媒を、外部空気と熱交換させて冷却する。中間冷却器106によって冷却された中間圧の冷媒は、第2インジェクション管8bから戻された冷媒と合流して、後段側圧縮要素2dに吸入される。
【0101】
本変形例における一体化熱交換器109は、3つの熱交換器が鉛直方向に沿って配置されている。図14に示すように、一体化熱交換器109は、下段の熱交換器が熱源側熱交換器6であり、中段の熱交換器が中間冷却器106であり、上段の熱交換器がエコノマイザ熱交換器7である。実施形態と同様に、熱源側熱交換器6、中間冷却器106およびエコノマイザ熱交換器7の各ヘッダは、少なくとも一部が一体化するように構成されている。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を達成できる。
【0102】
なお、一体化熱交換器109の3つの熱交換器の配置は任意であってもよい。例えば、一体化熱交換器109は、中間冷却器106がエコノマイザ熱交換器7の上方に配置される構成を有してもよい。
【0103】
(7−5)変形例E
上記実施形態では、第1扁平管74及び第2扁平管75は、それぞれ、平面部76a,77aと、差込部76b,77bとを有していると説明したが、この構成に限られるものではなく、平面部76a,77aのみの構成であってもよい。すなわち、第1扁平管74及び第2扁平管75は、一方の端部から他方の端部にかけて水平に延びる管であってもよい。この場合、連結部材73は、距離d2を確保できるような長さを有することになる。
【0104】
(7−6)変形例F
上記実施形態では、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72とこれに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との間に、これらにロウ付けによって固定されて配置されていると説明したが、これに限られるものではなく、連結部材73は、冷媒―冷媒熱交換部72と、これに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72との間に、冷媒―冷媒熱交換部72とこれに隣接する冷媒―冷媒熱交換部72とを連結するように配置されていればよい。なお、このような場合の連結方法としては、例えば、冶具等や接着材を用いて仮固定を行う方法が挙げられる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明では、複数の扁平管が密着され、各々の扁平管内を流れる冷媒間で熱交換が行われる冷媒―冷媒熱交換部を備える熱交換器に種々適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
6 熱源側熱交換器(空気―冷媒熱交換器)
7 エコノマイザ熱交換器(熱交換器)
11 ファン
20 室外ユニット(冷凍装置ユニット)
62 扁平管(第5扁平管)
72 冷媒―冷媒熱交換部(第1冷媒―冷媒熱交換部、第2冷媒―冷 媒熱交換部)
73 連結部材
74 第1扁平管(第1扁平管、第3扁平管)
75 第2扁平管(第2扁平管、第4扁平管)
76 平面部
77 平面部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0107】
【特許文献1】特開2007−163004号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒が流れる第1扁平管(74)と、前記第1扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第2扁平管(75)とを有し、前記第1扁平管内を流れる冷媒と前記第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う第1冷媒―冷媒熱交換部(72)と、
内部に冷媒が流れる第3扁平管(74)と、前記第3扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第4扁平管(75)とを有し、前記第3扁平管内を流れる冷媒と前記第4扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う第2冷媒―冷媒熱交換部(72)と、
前記第1冷媒―冷媒熱交換部と前記第2冷媒―冷媒熱交換部との間に、前記第1冷媒―冷媒熱交換部と前記第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように配置される連結部材(73)と、
を備える、熱交換器(7)。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1冷媒―冷媒熱交換部及び前記第2冷媒―冷媒熱交換部に直交する方向に所定の長さを有している、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1扁平管、前記第2扁平管、前記第3扁平管、及び、前記第4扁平管は、長手方向に延びる幅広の平面部(76,77)が上下方向を向くように配置されており、
前記第1扁平管、前記第2扁平管、前記第3扁平管、及び、前記第4扁平管は、前記連結部材とともに、上下方向に延びる軸回りに曲げられて形成されている、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第1冷媒―冷媒熱交換部及び前記第2冷媒―冷媒熱交換部に、ロウ付けによって固定されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記連結部材は、伝熱フィンである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
請求項5に記載の熱交換器(7)と、
空気流を生成するファン(11)と、
を備え、
前記熱交換器は、空気が通過しない位置に配置されている、又は、前記熱交換器の近傍には、空気の前記熱交換器への接触を回避する空気接触回避部材が配置されている、
冷凍装置ユニット(20)。
【請求項7】
内部に冷媒が流れる第5扁平管(62)を有し、前記冷媒と空気との間で熱交換を行う空気―冷媒熱交換部を有する空気―冷媒熱交換器(6)、
をさらに備え、
前記熱交換器と、前記空気―冷媒熱交換器とは、一体化されている、
請求項6に記載の冷凍装置ユニット。
【請求項1】
内部に冷媒が流れる第1扁平管(74)と、前記第1扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第2扁平管(75)とを有し、前記第1扁平管内を流れる冷媒と前記第2扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う第1冷媒―冷媒熱交換部(72)と、
内部に冷媒が流れる第3扁平管(74)と、前記第3扁平管に密着され内部に冷媒が流れる第4扁平管(75)とを有し、前記第3扁平管内を流れる冷媒と前記第4扁平管内を流れる冷媒との間で熱交換を行う第2冷媒―冷媒熱交換部(72)と、
前記第1冷媒―冷媒熱交換部と前記第2冷媒―冷媒熱交換部との間に、前記第1冷媒―冷媒熱交換部と前記第2冷媒―冷媒熱交換部とを連結するように配置される連結部材(73)と、
を備える、熱交換器(7)。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1冷媒―冷媒熱交換部及び前記第2冷媒―冷媒熱交換部に直交する方向に所定の長さを有している、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1扁平管、前記第2扁平管、前記第3扁平管、及び、前記第4扁平管は、長手方向に延びる幅広の平面部(76,77)が上下方向を向くように配置されており、
前記第1扁平管、前記第2扁平管、前記第3扁平管、及び、前記第4扁平管は、前記連結部材とともに、上下方向に延びる軸回りに曲げられて形成されている、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記連結部材は、前記第1冷媒―冷媒熱交換部及び前記第2冷媒―冷媒熱交換部に、ロウ付けによって固定されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記連結部材は、伝熱フィンである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
請求項5に記載の熱交換器(7)と、
空気流を生成するファン(11)と、
を備え、
前記熱交換器は、空気が通過しない位置に配置されている、又は、前記熱交換器の近傍には、空気の前記熱交換器への接触を回避する空気接触回避部材が配置されている、
冷凍装置ユニット(20)。
【請求項7】
内部に冷媒が流れる第5扁平管(62)を有し、前記冷媒と空気との間で熱交換を行う空気―冷媒熱交換部を有する空気―冷媒熱交換器(6)、
をさらに備え、
前記熱交換器と、前記空気―冷媒熱交換器とは、一体化されている、
請求項6に記載の冷凍装置ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−36696(P2013−36696A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173753(P2011−173753)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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