熱交換器
【課題】サイドプレートの長手方向端部をコアプレートの爪部に固定するものにおいて、その組付け性を向上することのできる熱交換器を提供する。
【解決手段】コアプレート114には、コアプレート114の長手方向端部の外側壁面114aのタンク120側の端部からU字状に折り返されて、外側壁面114aの外側でチューブ111側へ延設された保持爪114dが形成されており、サイドプレート113の長手方向端部となるサイドプレート端部113bが、外側壁面114aと保持爪114dとの間に挿入された熱交換器において、保持爪114dは、チューブ111側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられて形成された曲げ部114eを有する。
【解決手段】コアプレート114には、コアプレート114の長手方向端部の外側壁面114aのタンク120側の端部からU字状に折り返されて、外側壁面114aの外側でチューブ111側へ延設された保持爪114dが形成されており、サイドプレート113の長手方向端部となるサイドプレート端部113bが、外側壁面114aと保持爪114dとの間に挿入された熱交換器において、保持爪114dは、チューブ111側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられて形成された曲げ部114eを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用のラジエータに用いて好適な熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換器として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。この熱交換器は、複数積層されるチューブの間にフィンが介在されて形成されるコア部を有している。また、チューブの長手方向端部には、コアプレートが設けられている。コアプレートはチューブ接合面に形成されたチューブ孔と、チューブ接合面の周囲に形成された溝部とを備えており、チューブ孔にはチューブの長手方向端部が接合されており、また、溝部にはタンク本体の開口側端部が挿入されている。
【0003】
更に、コアプレートの長手方向の端部となる外側壁面(コアプレート端部)には、タンク本体側からチューブの長手方向の中心側へ向けて180度折り曲げられた保持爪(爪部)が形成されている。そして、コア部のチューブ積層方向の両側に補強用のサイドプレート(インサート)が配設されており、サイドプレートの長手方向端部(末端部)は、上記の外側壁面と保持爪との間に挿入されている。そして、チューブ、フィン、コアプレートは、互いに当接する部位に予め設けられたろう材によって、ろう付されて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−120827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記熱交換器のコア部を組み立てる際には、複数のチューブとフィンとを交互に積層し、積層方向の両最外部にサイドプレートが配置されて積層体が形成される。そして、積層体におけるチューブの長手方向端部がコアプレートのチューブ孔に挿入されると共に、サイドプレートの長手方向端部が外側壁面と保持爪との間に挿入されて、コア部の組立て体が形成される。
【0006】
ここで、上記積層体を形成する時には、主にチューブあるいはフィンの表面に予め設けられたろう材の膜厚分が積み重なって、チューブおよびフィンの積層方向寸法が大きくなり、サイドプレートの長手方向端部における積層方向の位置が積層方向の外方側へずれやすくなり、サイドプレートの長手方向端部を外側壁面と保持爪との間に挿入させる際の組付け性が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、サイドプレートの長手方向端部をコアプレートの爪部に固定するものにおいて、その組付け性を向上することのできる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、複数積層されるチューブ(111)と、
チューブ(111)の積層方向の最外方に配設されると共に、チューブ(111)の長手方向に沿う補強用のサイドプレート(113)と、
積層方向に延びて、チューブ(111)の長手方向端部(111a)が接続されるコアプレート(114)と、
コアプレート(114)に接合されるタンク(120、130)とを備え、
コアプレート(114)には、コアプレート(114)の長手方向端部の外側壁面(114a)のタンク(120、130)側の端部からU字状に折り返されて、外側壁面(114a)の外側でチューブ(111)側へ延設された保持爪(114d)が形成されており、
サイドプレート(113)の長手方向端部となるサイドプレート端部(113b)が、外側壁面(114a)と保持爪(114d)との間に挿入された熱交換器において、
保持爪(114d)は、チューブ(111)側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられて形成された曲げ部(114e)を有することを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、保持爪(114d)には、チューブ(111)側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられた曲げ部(114e)が形成されているので、サイドプレート端部(113b)が挿入される側における外側壁面114aと保持爪(114d)との隙間が広く形成される。
【0011】
よって、複数積層されたチューブ(111)の積層方向の最外方にサイドプレート(113)が配設された時に、サイドプレート端部(113b)の積層方向の位置が、積層方向外方へずれることが生じても、曲げ部(114e)による隙間の拡大によって、サイドプレート端部(113b)の位置ずれ分を吸収することができるので、サイドプレート端部(113b)を外側壁面(114a)と保持爪(114d)との間に容易に挿入することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、サイドプレート端部(113b)の保持爪(114d)と対向する側の先端部(113c)には、先細りするテーパ部(113d)が形成されたことを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、テーパ部(113d)によって、サイドプレート端部(113b)の先端部(113c)と、保持爪(114d)における曲げ部(114e)との干渉度合いをより小さくすることができるので、更にサイドプレート端部(113b)の挿入性を向上することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、サイドプレート端部(113b)のチューブ(111)の積層方向および長手方向に直交する方向の寸法は、保持爪(114d)の幅方向の寸法よりも大きく形成されて、
サイドプレート端部(113b)は、保持爪(114d)の幅方向の外側で、タンク(120、130)側に延設された延設端部(113e)を有しており、
チューブ(111)の長手方向における保持爪(114d)のタンク(120、130)側の端部位置は、チューブ(111)の長手方向端部(111a)位置、および延設端部(113e)の先端位置と一致していることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、コアプレート(114)に対するチューブ(111)およびサイドプレート(113)の組付けを行う時に、保持爪(114d)の端部位置に対して、チューブ(111)の長手方向端部(111a)位置、および延設端部(113e)の先端位置を位置決めするにあたって、例えば、コアプレート(114)のタンク(120、130)配設側に、単純な平板状の位置決め部材を配置することで、位置決めの対応が可能となり、位置決め部材の形状をシンプルにして組付けを容易にすることができると共に、サイドプレート端部(113b)によって保持爪(114d)を変形させてしまうことを防止できる。
【0016】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態におけるラジエータの全体を示す正面図である。
【図2】図1におけるII方向から見た矢視図である。
【図3】チューブ、フィンおよびサイドプレートの積層体とコアプレートとを示す分解図である。
【図4】図2におけるIII−III部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図4に示す。第1実施形態は、本発明の熱交換器を、冷却風によって自動車用エンジン(冷却水)を冷却するラジエータ100に適用したものとしている。図1はラジエータ100の全体を示す正面図、図2は図1におけるII方向から見た矢視図、図3はチューブ111、フィン112およびサイドプレート113の積層体とコアプレート114とを示す分解図、図4は図2におけるIII−III部を示す断面図である。
【0020】
ラジエータ100は、図1〜図4に示すように、コア部110、アッパタンク120、ロウアタンク130等を有している。本ラジエータ100は、コア部110のチューブ111内を流れる冷却水が、図1中の上から下方向に向かういわゆるバーチカルフロータイプのものとなっている。
【0021】
コア部110は、チューブ111、フィン112、サイドプレート113、コアプレート114を有している。これらの各部材111〜114は、耐強度性、耐腐食性に優れるアルミニウムあるいはアルミニウム合金から形成されている。
【0022】
チューブ111は、内部を冷却水が流通する管部材であり、例えば帯状の平板材の折り曲げ加工によって、長手方向に直交する断面が扁平状となるように形成されている。また、フィン112は、伝熱面積(放熱面積)を拡大する放熱部材であり、ここでは例えば薄肉の帯板材からローラ加工によって波形に成形されたコルゲートフィンが用いられている。
【0023】
サイドプレート113は、チューブ111に沿って延びるように細長に形成された補強部材である。サイドプレート113の長手方向寸法は、チューブ111の長手方向寸法と同等に設定されている。サイドプレート113の長手方向の中間部における一般部113aは、その断面形状がチューブ積層方向の外方に開口するコの字状に形成されている。また、サイドプレート113の長手方向の端部(以下、サイドプレート端部)113bは、コの字状の一般部113aの底部のみを残す平板状を成しており、チューブ積層方向の外方側に段差が付くように折り曲げられて形成されている。チューブ111の積層方向および長手方向に直交する方向(以下、冷却風流れ方向)におけるサイドプレート端部113bの寸法は、一般部113aにおける冷却風流れ方向の寸法に対して、小さくなるように設定されている。
【0024】
サイドプレート端部113bの先端側は、先端部113cとなっている。そして、サイドプレート端部113bにおいて後述する保持爪114dと対向する側の先端部113cには、先細りするようにテーパ部113dが形成されている。つまり、テーパ部113dは、保持爪114dと対向する側の面の先端部113cに形成された面取り部となっている。テーパ部113dは、例えば、切削加工によって先端部113cを一部切除する、あるいはプレス加工によって先端部113cを一部潰すことによって、先端に向かうほど板厚が小さくなるように形成される。あるいはサイドプレート113自体をプレス加工によって形成する際に、サイドプレート端部113bの打ち抜きラインにおいて保持爪114dと対向する側にプレスダレができるようにして、このプレスダレをテーパ部113dとして活用することもできる。
【0025】
サイドプレート端部113bにおける冷却風流れ方向の寸法は、保持爪114dの冷却風流れ方向の寸法よりも大きく形成されている。そして、サイドプレート端部113bの保持爪114よりも冷却風流れ方向の外側に位置する部位には、アッパタンク120側へ延設された延設端部113eが設けられている。延設端部113eは、保持爪114dを挟むように2つ設けられている。
【0026】
コアプレート114は、チューブ積層方向に延びる細長の板状部材であり、外周部(全周)にはプレス成形によって溝部114bが形成されている。溝部114bの外側は、チューブ長手方向に立設された壁面となっており、この壁面の端部には複数の爪部114cが設けられている。コアプレート114の全周の壁面のうち、長手方向端部側の壁面は、サイドプレート端部113bが接合される部位となっており、以下、外側壁面114aと呼ぶ。
【0027】
外側壁面114aには、冷却風流れ方向の中心に対して対称位置となるように、爪部114cが複数(2つ)設けられている。2つの爪部114cの間の寸法は、サイドプレート端部113bの冷却風流れ方向の寸法よりも大きく設定されている。この2つの爪部114cの間(中間部)には、保持爪114dが形成されている。保持爪114dは、外側壁面114aのアッパタンク120側の端部から、アッパタンク120側へ突出するように形成された爪部が、チューブ111側へ180度、折り返されて形成されている。即ち、保持爪114dは、外側壁面114aのアッパタンク120側の端部からチューブ111側へU字状に折り返される折り返し部と、この折り返し部から更にチューブ111側へ延設された爪本体部とから形成されている。
【0028】
保持爪114dの冷却風流れ方向の寸法は、サイドプレート端部113bの冷却風流れ方向の寸法よりも小さくなるように形成されている。そして、保持爪114dには、チューブ111側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられた曲げ部114eが形成されている。ここでは、曲げ部114eは、チューブ111の長手方向における保持爪114dのほぼ中央にて先端側が折り曲げられることによって形成されており、先端に向けて直線的に延びるように形成されている。よって、外側壁面114aと保持爪114dとの間において、曲げ部114eの形成されない領域では、サイドプレート端部113bの板厚に相当する隙間が形成されており、また、曲げ部114eの形成された領域では、隙間が先端側に向けて広くなるようになっている。
【0029】
コアプレート114の溝部114bの内側領域には、複数積層されるチューブ111の位置、および各チューブ111の断面形状に対応するチューブ孔114fが複数並ぶように形成されている。
【0030】
上記で説明したチューブ111とフィン112は、交互に複数積層されており(図1中の左右方向に並べられており)、波形に折り曲げられたフィン112の折曲部がチューブ111の外壁面に当接するようになっている。また、チューブ積層方向の最外方のフィン112の更に外方に、サイドプレート113が配設されている。そして、図3に示すように、サイドプレート113は、延設端部113eの先端位置が、各チューブ111の長手方向端部(以下、チューブ端部111a)の位置と一致するように配設されている(図3中の破線)。
【0031】
そして、図4に示すように、各チューブ端部111aは、コアプレート114のチューブ孔114fに貫通挿入されている。また、サイドプレート端部113bは、コアプレート114の外側壁面114aと保持爪114dとの隙間に挿入され、更にサイドプレート端部113bは、外側壁面114aに当接されている。また、延設端部113eは、保持爪114dの冷却風流れ方向の両外側に位置している。ここで、チューブ111の長手方向における保持爪114dのアッパタンク120側の端部位置は、各チューブ端部111aの位置、および延設端部113eの先端位置と一致するように組付けられている(図4中の破線)。
【0032】
そして、各部材111、112、113、114は、チューブ111、サイドプレート113、コアプレート114のそれぞれの表面に設けられたろう材によって、互いに当接される部位が一体的にろう付されて、コア部110を形成している。
【0033】
アッパタンク(タンク)120、ロウアタンク(タンク)130は、コアプレート114の長手方向に沿って延びる細長の半容器体であり、コアプレート114の溝部114bに挿入されるシール用のパッキン(図示せず)を介して、複数の爪部114cによってかしめられることでコアプレート114に機械的に接合されている。複数のチューブ111(チューブ111の内部)は、各タンク120、130の内部空間と連通している。
【0034】
アッパタンク120は、エンジンからの冷却水を各チューブ111に分配するタンクであり、樹脂材(例えばPA材)から形成されている。アッパタンク120は、長手方向に直交する断面形状が略U字状を成し、コアプレート114に対向する側が開口する半容器体としてのタンク本体部121を備えている。そして、タンク本体部121には、冷却水流入用のパイプ部121a、送風機シュラウドを取付けるための複数のシュラウド取付け部121b(4ヶ所)、および車両ボディへの取付け用の車両取付け部121c(2ヶ所)が一体で形成されている。
【0035】
また、ロウアタンク130は、各チューブ111からの冷却水を集合させるタンクであり、樹脂材(例えばPA材)から形成されている。ロウアタンク130は、上記アッパタンク120と同様に、長手方向に直交する断面形状が略U字状を成し、コアプレート114に対向する側が開口する半容器体としてのタンク本体部131を備えている。そして、タンク本体部131には、冷却水流出用のパイプ部131a、送風機シュラウドを取付けるための複数のシュラウド取付け部131b(2ヶ所)、車両ボディへの取付け用の車両取付け部131c(2ヶ所)、およびメンテナンス時に冷却水を排出するためのドレン部131dが一体で形成されている。尚、ロウアタンク130内には、車両の自動変速機用のATF(オートマチックトランスミッションフルード)を冷却するためのオイルクーラ140が内蔵されている。
【0036】
以上のように形成されるラジエータ100は、車両のエンジンルーム内の前方(グリルの後方)に配設され、車両取付け部121c、131cが車両フレームに組付けされる。そして、車両エンジンから延びる入口ホースが、パイプ部121aに装着され、また、エンジンに向けて戻る出口ホースが、パイプ部131aに装着される。
【0037】
車両エンジンから入口ホースを介して、パイプ部121aからアッパタンク120内に流入する冷却水は、複数のチューブ111に分配されて各チューブ111内を流通し、この間に冷却風との熱交換により冷却される。この時、フィン112によってこの熱交換が促進される。そして、冷却水はロウアタンク130で集合されパイプ部131aから流出し、出口ホースを介してエンジンに戻る。
【0038】
本実施形態のラジエータ100は、コア部110の組付けにおいて、サイドプレート端部113bが、コアプレート114の外側壁面114aと保持爪114dとの間に挿入されることで、サイドプレート113が保持爪114dによってコアプレート114に固定されて、両サイドプレート113によって複数のチューブ111およびフィン113が挟み込まれるようになっている。
【0039】
本実施形態では、保持爪114dには先端側が積層方向の外側に向けて曲げられた曲げ部114eが形成されているので、サイドプレート端部113bが挿入される側における外側壁面114aと保持爪114dとの隙間が広く形成される。
【0040】
ここで、複数積層されたチューブ111およびフィン112の積層方向の最外方にサイドプレート113が配設された時に、チューブ111あるいはフィン112の表面に予め設けられたろう材の膜厚分が積み重ねられることによって、サイドプレート端部113bの積層方向の位置が、積層方向外方へずれることが生ずる。しかしながら、上記曲げ部114eによる隙間の拡大によって、サイドプレート端部113bの位置ずれ分を吸収することができるので、サイドプレート端部113bを外側壁面114aと保持爪114dとの間に容易に挿入することができる。
【0041】
また、サイドプレート端部113bの先端部113cに、テーパ部113dを設けるようにしているので、このテーパ部113dによって、先端部113cと曲げ部114eとの干渉度合いをより小さくすることができ、更にサイドプレート端部113bの挿入性を向上することができる。
【0042】
また、チューブ111の長手方向における保持爪114dのアッパタンク120側の端部位置が、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置と一致するようにしているので、コアプレート114に対するチューブ111およびサイドプレート113の組付けを行う時に、保持爪114dの端部位置に対して、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置を位置決めするにあたって、例えば、コアプレート114のアッパタンク120配設側に、単純な平板状の位置決め部材を配置することで、位置決めの対応が可能となり、位置決め部材の形状をシンプルにして組付けを容易にすることができると共に、サイドプレート端部113bによって保持爪114dを変形させてしまうことを防止できる。
【0043】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、曲げ部114eは、直線状に折り曲げされるものとしたが、曲線状にカールするように形成されたものとしても良い。
【0044】
また、サイドプレート端部113bの先端部113cにテーパ部113dを設けるようにしたが、曲げ部114eによるサイドプレート端部113bの良好な挿入性が得られるならば、テーパ部113dは廃止しても良い。
【0045】
また、コアプレート114に対するチューブ111およびサイドプレート113の組付けを行う時に、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置のそれぞれに応じた位置決め部材を用意して対応可能な場合であれば、チューブ111の長手方向における保持爪114dのアッパタンク120側の端部位置に対して、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置が一致しない設定としても良い。
【0046】
また、対象とする熱交換器をエンジン冷却用のラジエータ100としたが、サイドプレート端部113bが、コアプレート114の外側壁面114aと保持爪114dとの間に挿入されるものであれば、これに限らず、エンジンの吸気を冷却するインタークーラ、冷凍サイクル用の凝縮器等に適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
100 ラジエータ(熱交換器)
111 チューブ
111a チューブ端部(チューブの長手方向端部)
113 サイドプレート
113b サイドプレート端部
113d テーパ部
113e 延設端部
114 コアプレート
114a 外側壁面
114d 保持爪
114e 曲げ部
120 アッパタンク(タンク)
130 ロウアタンク(タンク)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用のラジエータに用いて好適な熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の熱交換器として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。この熱交換器は、複数積層されるチューブの間にフィンが介在されて形成されるコア部を有している。また、チューブの長手方向端部には、コアプレートが設けられている。コアプレートはチューブ接合面に形成されたチューブ孔と、チューブ接合面の周囲に形成された溝部とを備えており、チューブ孔にはチューブの長手方向端部が接合されており、また、溝部にはタンク本体の開口側端部が挿入されている。
【0003】
更に、コアプレートの長手方向の端部となる外側壁面(コアプレート端部)には、タンク本体側からチューブの長手方向の中心側へ向けて180度折り曲げられた保持爪(爪部)が形成されている。そして、コア部のチューブ積層方向の両側に補強用のサイドプレート(インサート)が配設されており、サイドプレートの長手方向端部(末端部)は、上記の外側壁面と保持爪との間に挿入されている。そして、チューブ、フィン、コアプレートは、互いに当接する部位に予め設けられたろう材によって、ろう付されて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−120827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記熱交換器のコア部を組み立てる際には、複数のチューブとフィンとを交互に積層し、積層方向の両最外部にサイドプレートが配置されて積層体が形成される。そして、積層体におけるチューブの長手方向端部がコアプレートのチューブ孔に挿入されると共に、サイドプレートの長手方向端部が外側壁面と保持爪との間に挿入されて、コア部の組立て体が形成される。
【0006】
ここで、上記積層体を形成する時には、主にチューブあるいはフィンの表面に予め設けられたろう材の膜厚分が積み重なって、チューブおよびフィンの積層方向寸法が大きくなり、サイドプレートの長手方向端部における積層方向の位置が積層方向の外方側へずれやすくなり、サイドプレートの長手方向端部を外側壁面と保持爪との間に挿入させる際の組付け性が悪くなるという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、サイドプレートの長手方向端部をコアプレートの爪部に固定するものにおいて、その組付け性を向上することのできる熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0009】
請求項1に記載の発明では、複数積層されるチューブ(111)と、
チューブ(111)の積層方向の最外方に配設されると共に、チューブ(111)の長手方向に沿う補強用のサイドプレート(113)と、
積層方向に延びて、チューブ(111)の長手方向端部(111a)が接続されるコアプレート(114)と、
コアプレート(114)に接合されるタンク(120、130)とを備え、
コアプレート(114)には、コアプレート(114)の長手方向端部の外側壁面(114a)のタンク(120、130)側の端部からU字状に折り返されて、外側壁面(114a)の外側でチューブ(111)側へ延設された保持爪(114d)が形成されており、
サイドプレート(113)の長手方向端部となるサイドプレート端部(113b)が、外側壁面(114a)と保持爪(114d)との間に挿入された熱交換器において、
保持爪(114d)は、チューブ(111)側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられて形成された曲げ部(114e)を有することを特徴としている。
【0010】
この発明によれば、保持爪(114d)には、チューブ(111)側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられた曲げ部(114e)が形成されているので、サイドプレート端部(113b)が挿入される側における外側壁面114aと保持爪(114d)との隙間が広く形成される。
【0011】
よって、複数積層されたチューブ(111)の積層方向の最外方にサイドプレート(113)が配設された時に、サイドプレート端部(113b)の積層方向の位置が、積層方向外方へずれることが生じても、曲げ部(114e)による隙間の拡大によって、サイドプレート端部(113b)の位置ずれ分を吸収することができるので、サイドプレート端部(113b)を外側壁面(114a)と保持爪(114d)との間に容易に挿入することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、サイドプレート端部(113b)の保持爪(114d)と対向する側の先端部(113c)には、先細りするテーパ部(113d)が形成されたことを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、テーパ部(113d)によって、サイドプレート端部(113b)の先端部(113c)と、保持爪(114d)における曲げ部(114e)との干渉度合いをより小さくすることができるので、更にサイドプレート端部(113b)の挿入性を向上することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、サイドプレート端部(113b)のチューブ(111)の積層方向および長手方向に直交する方向の寸法は、保持爪(114d)の幅方向の寸法よりも大きく形成されて、
サイドプレート端部(113b)は、保持爪(114d)の幅方向の外側で、タンク(120、130)側に延設された延設端部(113e)を有しており、
チューブ(111)の長手方向における保持爪(114d)のタンク(120、130)側の端部位置は、チューブ(111)の長手方向端部(111a)位置、および延設端部(113e)の先端位置と一致していることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、コアプレート(114)に対するチューブ(111)およびサイドプレート(113)の組付けを行う時に、保持爪(114d)の端部位置に対して、チューブ(111)の長手方向端部(111a)位置、および延設端部(113e)の先端位置を位置決めするにあたって、例えば、コアプレート(114)のタンク(120、130)配設側に、単純な平板状の位置決め部材を配置することで、位置決めの対応が可能となり、位置決め部材の形状をシンプルにして組付けを容易にすることができると共に、サイドプレート端部(113b)によって保持爪(114d)を変形させてしまうことを防止できる。
【0016】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態におけるラジエータの全体を示す正面図である。
【図2】図1におけるII方向から見た矢視図である。
【図3】チューブ、フィンおよびサイドプレートの積層体とコアプレートとを示す分解図である。
【図4】図2におけるIII−III部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0019】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図4に示す。第1実施形態は、本発明の熱交換器を、冷却風によって自動車用エンジン(冷却水)を冷却するラジエータ100に適用したものとしている。図1はラジエータ100の全体を示す正面図、図2は図1におけるII方向から見た矢視図、図3はチューブ111、フィン112およびサイドプレート113の積層体とコアプレート114とを示す分解図、図4は図2におけるIII−III部を示す断面図である。
【0020】
ラジエータ100は、図1〜図4に示すように、コア部110、アッパタンク120、ロウアタンク130等を有している。本ラジエータ100は、コア部110のチューブ111内を流れる冷却水が、図1中の上から下方向に向かういわゆるバーチカルフロータイプのものとなっている。
【0021】
コア部110は、チューブ111、フィン112、サイドプレート113、コアプレート114を有している。これらの各部材111〜114は、耐強度性、耐腐食性に優れるアルミニウムあるいはアルミニウム合金から形成されている。
【0022】
チューブ111は、内部を冷却水が流通する管部材であり、例えば帯状の平板材の折り曲げ加工によって、長手方向に直交する断面が扁平状となるように形成されている。また、フィン112は、伝熱面積(放熱面積)を拡大する放熱部材であり、ここでは例えば薄肉の帯板材からローラ加工によって波形に成形されたコルゲートフィンが用いられている。
【0023】
サイドプレート113は、チューブ111に沿って延びるように細長に形成された補強部材である。サイドプレート113の長手方向寸法は、チューブ111の長手方向寸法と同等に設定されている。サイドプレート113の長手方向の中間部における一般部113aは、その断面形状がチューブ積層方向の外方に開口するコの字状に形成されている。また、サイドプレート113の長手方向の端部(以下、サイドプレート端部)113bは、コの字状の一般部113aの底部のみを残す平板状を成しており、チューブ積層方向の外方側に段差が付くように折り曲げられて形成されている。チューブ111の積層方向および長手方向に直交する方向(以下、冷却風流れ方向)におけるサイドプレート端部113bの寸法は、一般部113aにおける冷却風流れ方向の寸法に対して、小さくなるように設定されている。
【0024】
サイドプレート端部113bの先端側は、先端部113cとなっている。そして、サイドプレート端部113bにおいて後述する保持爪114dと対向する側の先端部113cには、先細りするようにテーパ部113dが形成されている。つまり、テーパ部113dは、保持爪114dと対向する側の面の先端部113cに形成された面取り部となっている。テーパ部113dは、例えば、切削加工によって先端部113cを一部切除する、あるいはプレス加工によって先端部113cを一部潰すことによって、先端に向かうほど板厚が小さくなるように形成される。あるいはサイドプレート113自体をプレス加工によって形成する際に、サイドプレート端部113bの打ち抜きラインにおいて保持爪114dと対向する側にプレスダレができるようにして、このプレスダレをテーパ部113dとして活用することもできる。
【0025】
サイドプレート端部113bにおける冷却風流れ方向の寸法は、保持爪114dの冷却風流れ方向の寸法よりも大きく形成されている。そして、サイドプレート端部113bの保持爪114よりも冷却風流れ方向の外側に位置する部位には、アッパタンク120側へ延設された延設端部113eが設けられている。延設端部113eは、保持爪114dを挟むように2つ設けられている。
【0026】
コアプレート114は、チューブ積層方向に延びる細長の板状部材であり、外周部(全周)にはプレス成形によって溝部114bが形成されている。溝部114bの外側は、チューブ長手方向に立設された壁面となっており、この壁面の端部には複数の爪部114cが設けられている。コアプレート114の全周の壁面のうち、長手方向端部側の壁面は、サイドプレート端部113bが接合される部位となっており、以下、外側壁面114aと呼ぶ。
【0027】
外側壁面114aには、冷却風流れ方向の中心に対して対称位置となるように、爪部114cが複数(2つ)設けられている。2つの爪部114cの間の寸法は、サイドプレート端部113bの冷却風流れ方向の寸法よりも大きく設定されている。この2つの爪部114cの間(中間部)には、保持爪114dが形成されている。保持爪114dは、外側壁面114aのアッパタンク120側の端部から、アッパタンク120側へ突出するように形成された爪部が、チューブ111側へ180度、折り返されて形成されている。即ち、保持爪114dは、外側壁面114aのアッパタンク120側の端部からチューブ111側へU字状に折り返される折り返し部と、この折り返し部から更にチューブ111側へ延設された爪本体部とから形成されている。
【0028】
保持爪114dの冷却風流れ方向の寸法は、サイドプレート端部113bの冷却風流れ方向の寸法よりも小さくなるように形成されている。そして、保持爪114dには、チューブ111側へ延設された先端側が積層方向の外側に向けて曲げられた曲げ部114eが形成されている。ここでは、曲げ部114eは、チューブ111の長手方向における保持爪114dのほぼ中央にて先端側が折り曲げられることによって形成されており、先端に向けて直線的に延びるように形成されている。よって、外側壁面114aと保持爪114dとの間において、曲げ部114eの形成されない領域では、サイドプレート端部113bの板厚に相当する隙間が形成されており、また、曲げ部114eの形成された領域では、隙間が先端側に向けて広くなるようになっている。
【0029】
コアプレート114の溝部114bの内側領域には、複数積層されるチューブ111の位置、および各チューブ111の断面形状に対応するチューブ孔114fが複数並ぶように形成されている。
【0030】
上記で説明したチューブ111とフィン112は、交互に複数積層されており(図1中の左右方向に並べられており)、波形に折り曲げられたフィン112の折曲部がチューブ111の外壁面に当接するようになっている。また、チューブ積層方向の最外方のフィン112の更に外方に、サイドプレート113が配設されている。そして、図3に示すように、サイドプレート113は、延設端部113eの先端位置が、各チューブ111の長手方向端部(以下、チューブ端部111a)の位置と一致するように配設されている(図3中の破線)。
【0031】
そして、図4に示すように、各チューブ端部111aは、コアプレート114のチューブ孔114fに貫通挿入されている。また、サイドプレート端部113bは、コアプレート114の外側壁面114aと保持爪114dとの隙間に挿入され、更にサイドプレート端部113bは、外側壁面114aに当接されている。また、延設端部113eは、保持爪114dの冷却風流れ方向の両外側に位置している。ここで、チューブ111の長手方向における保持爪114dのアッパタンク120側の端部位置は、各チューブ端部111aの位置、および延設端部113eの先端位置と一致するように組付けられている(図4中の破線)。
【0032】
そして、各部材111、112、113、114は、チューブ111、サイドプレート113、コアプレート114のそれぞれの表面に設けられたろう材によって、互いに当接される部位が一体的にろう付されて、コア部110を形成している。
【0033】
アッパタンク(タンク)120、ロウアタンク(タンク)130は、コアプレート114の長手方向に沿って延びる細長の半容器体であり、コアプレート114の溝部114bに挿入されるシール用のパッキン(図示せず)を介して、複数の爪部114cによってかしめられることでコアプレート114に機械的に接合されている。複数のチューブ111(チューブ111の内部)は、各タンク120、130の内部空間と連通している。
【0034】
アッパタンク120は、エンジンからの冷却水を各チューブ111に分配するタンクであり、樹脂材(例えばPA材)から形成されている。アッパタンク120は、長手方向に直交する断面形状が略U字状を成し、コアプレート114に対向する側が開口する半容器体としてのタンク本体部121を備えている。そして、タンク本体部121には、冷却水流入用のパイプ部121a、送風機シュラウドを取付けるための複数のシュラウド取付け部121b(4ヶ所)、および車両ボディへの取付け用の車両取付け部121c(2ヶ所)が一体で形成されている。
【0035】
また、ロウアタンク130は、各チューブ111からの冷却水を集合させるタンクであり、樹脂材(例えばPA材)から形成されている。ロウアタンク130は、上記アッパタンク120と同様に、長手方向に直交する断面形状が略U字状を成し、コアプレート114に対向する側が開口する半容器体としてのタンク本体部131を備えている。そして、タンク本体部131には、冷却水流出用のパイプ部131a、送風機シュラウドを取付けるための複数のシュラウド取付け部131b(2ヶ所)、車両ボディへの取付け用の車両取付け部131c(2ヶ所)、およびメンテナンス時に冷却水を排出するためのドレン部131dが一体で形成されている。尚、ロウアタンク130内には、車両の自動変速機用のATF(オートマチックトランスミッションフルード)を冷却するためのオイルクーラ140が内蔵されている。
【0036】
以上のように形成されるラジエータ100は、車両のエンジンルーム内の前方(グリルの後方)に配設され、車両取付け部121c、131cが車両フレームに組付けされる。そして、車両エンジンから延びる入口ホースが、パイプ部121aに装着され、また、エンジンに向けて戻る出口ホースが、パイプ部131aに装着される。
【0037】
車両エンジンから入口ホースを介して、パイプ部121aからアッパタンク120内に流入する冷却水は、複数のチューブ111に分配されて各チューブ111内を流通し、この間に冷却風との熱交換により冷却される。この時、フィン112によってこの熱交換が促進される。そして、冷却水はロウアタンク130で集合されパイプ部131aから流出し、出口ホースを介してエンジンに戻る。
【0038】
本実施形態のラジエータ100は、コア部110の組付けにおいて、サイドプレート端部113bが、コアプレート114の外側壁面114aと保持爪114dとの間に挿入されることで、サイドプレート113が保持爪114dによってコアプレート114に固定されて、両サイドプレート113によって複数のチューブ111およびフィン113が挟み込まれるようになっている。
【0039】
本実施形態では、保持爪114dには先端側が積層方向の外側に向けて曲げられた曲げ部114eが形成されているので、サイドプレート端部113bが挿入される側における外側壁面114aと保持爪114dとの隙間が広く形成される。
【0040】
ここで、複数積層されたチューブ111およびフィン112の積層方向の最外方にサイドプレート113が配設された時に、チューブ111あるいはフィン112の表面に予め設けられたろう材の膜厚分が積み重ねられることによって、サイドプレート端部113bの積層方向の位置が、積層方向外方へずれることが生ずる。しかしながら、上記曲げ部114eによる隙間の拡大によって、サイドプレート端部113bの位置ずれ分を吸収することができるので、サイドプレート端部113bを外側壁面114aと保持爪114dとの間に容易に挿入することができる。
【0041】
また、サイドプレート端部113bの先端部113cに、テーパ部113dを設けるようにしているので、このテーパ部113dによって、先端部113cと曲げ部114eとの干渉度合いをより小さくすることができ、更にサイドプレート端部113bの挿入性を向上することができる。
【0042】
また、チューブ111の長手方向における保持爪114dのアッパタンク120側の端部位置が、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置と一致するようにしているので、コアプレート114に対するチューブ111およびサイドプレート113の組付けを行う時に、保持爪114dの端部位置に対して、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置を位置決めするにあたって、例えば、コアプレート114のアッパタンク120配設側に、単純な平板状の位置決め部材を配置することで、位置決めの対応が可能となり、位置決め部材の形状をシンプルにして組付けを容易にすることができると共に、サイドプレート端部113bによって保持爪114dを変形させてしまうことを防止できる。
【0043】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、曲げ部114eは、直線状に折り曲げされるものとしたが、曲線状にカールするように形成されたものとしても良い。
【0044】
また、サイドプレート端部113bの先端部113cにテーパ部113dを設けるようにしたが、曲げ部114eによるサイドプレート端部113bの良好な挿入性が得られるならば、テーパ部113dは廃止しても良い。
【0045】
また、コアプレート114に対するチューブ111およびサイドプレート113の組付けを行う時に、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置のそれぞれに応じた位置決め部材を用意して対応可能な場合であれば、チューブ111の長手方向における保持爪114dのアッパタンク120側の端部位置に対して、チューブ端部111a位置、および延設端部113eの先端位置が一致しない設定としても良い。
【0046】
また、対象とする熱交換器をエンジン冷却用のラジエータ100としたが、サイドプレート端部113bが、コアプレート114の外側壁面114aと保持爪114dとの間に挿入されるものであれば、これに限らず、エンジンの吸気を冷却するインタークーラ、冷凍サイクル用の凝縮器等に適用するようにしても良い。
【符号の説明】
【0047】
100 ラジエータ(熱交換器)
111 チューブ
111a チューブ端部(チューブの長手方向端部)
113 サイドプレート
113b サイドプレート端部
113d テーパ部
113e 延設端部
114 コアプレート
114a 外側壁面
114d 保持爪
114e 曲げ部
120 アッパタンク(タンク)
130 ロウアタンク(タンク)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数積層されるチューブ(111)と、
前記チューブ(111)の積層方向の最外方に配設されると共に、前記チューブ(111)の長手方向に沿う補強用のサイドプレート(113)と、
前記積層方向に延びて、前記チューブ(111)の長手方向端部(111a)が接続されるコアプレート(114)と、
前記コアプレート(114)に接合されるタンク(120、130)とを備え、
前記コアプレート(114)には、前記コアプレート(114)の長手方向端部の外側壁面(114a)の前記タンク(120、130)側の端部からU字状に折り返されて、前記外側壁面(114a)の外側で前記チューブ(111)側へ延設された保持爪(114d)が形成されており、
前記サイドプレート(113)の長手方向端部となるサイドプレート端部(113b)が、前記外側壁面(114a)と前記保持爪(114d)との間に挿入された熱交換器において、
前記保持爪(114d)は、前記チューブ(111)側へ延設された先端側が前記積層方向の外側に向けて曲げられて形成された曲げ部(114e)を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記サイドプレート端部(113b)の前記保持爪(114d)と対向する側の先端部(113c)には、先細りするテーパ部(113d)が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記サイドプレート端部(113b)の前記チューブ(111)の積層方向および長手方向に直交する方向の寸法は、前記保持爪(114d)の幅方向の寸法よりも大きく形成されて、
前記サイドプレート端部(113b)は、前記保持爪(114d)の幅方向の外側で、前記タンク(120、130)側に延設された延設端部(113e)を有しており、
前記チューブ(111)の長手方向における前記保持爪(114d)の前記タンク(120、130)側の端部位置は、前記チューブ(111)の長手方向端部(111a)位置、および前記延設端部(113e)の先端位置と一致していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【請求項1】
複数積層されるチューブ(111)と、
前記チューブ(111)の積層方向の最外方に配設されると共に、前記チューブ(111)の長手方向に沿う補強用のサイドプレート(113)と、
前記積層方向に延びて、前記チューブ(111)の長手方向端部(111a)が接続されるコアプレート(114)と、
前記コアプレート(114)に接合されるタンク(120、130)とを備え、
前記コアプレート(114)には、前記コアプレート(114)の長手方向端部の外側壁面(114a)の前記タンク(120、130)側の端部からU字状に折り返されて、前記外側壁面(114a)の外側で前記チューブ(111)側へ延設された保持爪(114d)が形成されており、
前記サイドプレート(113)の長手方向端部となるサイドプレート端部(113b)が、前記外側壁面(114a)と前記保持爪(114d)との間に挿入された熱交換器において、
前記保持爪(114d)は、前記チューブ(111)側へ延設された先端側が前記積層方向の外側に向けて曲げられて形成された曲げ部(114e)を有することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記サイドプレート端部(113b)の前記保持爪(114d)と対向する側の先端部(113c)には、先細りするテーパ部(113d)が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記サイドプレート端部(113b)の前記チューブ(111)の積層方向および長手方向に直交する方向の寸法は、前記保持爪(114d)の幅方向の寸法よりも大きく形成されて、
前記サイドプレート端部(113b)は、前記保持爪(114d)の幅方向の外側で、前記タンク(120、130)側に延設された延設端部(113e)を有しており、
前記チューブ(111)の長手方向における前記保持爪(114d)の前記タンク(120、130)側の端部位置は、前記チューブ(111)の長手方向端部(111a)位置、および前記延設端部(113e)の先端位置と一致していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−185526(P2011−185526A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51095(P2010−51095)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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