説明

熱交換器

【課題】排気ガスの熱で水を温める熱交換器に関して排気ガス規制部を高い精度で加工する熱交換器を提供する。
【解決手段】排気ガスを浄化する触媒担体11と、触媒担体11を囲う触媒ケース12と、触媒ケース12を囲い触媒ケース12との間で浄化された排気ガスの通路を形成する第1筒体27と、第1筒体27を囲い第1筒体27との間で水の通路を形成する第2筒体31とを備える熱交換器10において、第1筒体27から触媒ケース12へ、プレス成形により第1筒体27の周方向に断続的に形成される排気ガス規制部27aを突出させ、触媒ケース12と第1筒体27との間を流れる排気ガスを蛇行させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスの熱で水を温める熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コージェネレーション装置が各種提案されている(例えば、特許文献1(図1、図3)参照。)。
【0003】
特許文献の図1にコージェネレーション装置(10)(括弧付き数字は特許文献1記載の符号を示す。以下同じ。)が示されている。エンジン(12)で発電機(27)を作動し、電気エネルギーを得る。エンジン(12)で発生する排気ガスは熱交換器(14)へ送られる。熱交換器(14)へ送られる排気ガスの熱で水を加熱する。熱効率を高める上で、熱交換器(14)は重要な機器である。この熱交換器(14)の詳細を次図で説明する。
【0004】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10に示すように、熱交換器100は、排気ガス導入管101が繋がれる基体102と、この基体102に支持され排気ガスを浄化する触媒担体103と、この触媒担体103を囲うと共に外周に向かって螺旋状に突出する排気ガス規制部104が形成された筒体105と、この筒体105を囲い筒体105との間に排気ガスが流される第1のケース106と、この第1のケース106を囲い複数の排気ガス管107,107を支持すると共に排気ガス管107,107との間に水が流される第2のケース108と、この第2のケース108にそれぞれ繋がれている排気ガス排出管111、水導入管112、水排出管113とからなる。
【0005】
白抜き矢印(1)で示すように、排気ガス導入管101から導入された排気ガスは、白抜き矢印(2)及び(3)で示すように触媒担体103で浄化される。浄化された排気ガスは、図面上側に向かって、筒体105と第1のケース106との間を流される。筒体105と第1のケース106との間を流れる排気ガスは、白抜き矢印(4)で示すように、螺旋状に形成される排気ガス規制部104にガイドされて螺旋状に流れる。筒体105と第1のケース106との間を流れ、基体102の下面に達した排気ガスは、白抜き矢印(5)で示すように、排気ガス管107,107を通って図面下側に向かって流れる。排気ガス管107,107を通過した排気ガスは、白抜き矢印(6)で示すように、排気ガス排出管111から排出される。
【0006】
一方、水導入管112から導入された水は、図面上に向かって第2のケース108内を流れる。水も排気ガスと同様、第2のケース108内を螺旋状に流れる。
第2のケース108内を流れる水は、第1のケース106及び排気ガス管107,107を介して、排気ガスによって温められる。温められた水は、水排出管113から排出される。
【0007】
ところで、排気ガスを螺旋状に流すために、排気ガス規制部104は、筒体105の周方向に螺旋状に連続して形成されている。螺旋状に連続して排気ガス規制部104を形成する一例として、液圧成形加工が挙げられる。
しかし、液圧成形加工は、高い精度で加工を行うことが難しく、この点で課題が残る。即ち、排気ガス規制部を高い精度で加工することのできる技術の提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−21562公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、排気ガス規制部を高い精度で加工することのできる技術の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、排気ガスを浄化する触媒担体と、この触媒担体を囲う触媒ケースと、この触媒ケースを囲い触媒ケースとの間で浄化された排気ガスの通路を形成する第1筒体と、この第1筒体を囲い第1筒体との間で水の通路を形成する第2筒体とを備える熱交換器において、第1筒体から触媒ケースへ排気ガス規制部を突出させ、触媒ケースと第1筒体との間を流れる排気ガスを蛇行させるようにしたことを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明では、排気ガス規制部は、第1筒体の高さ方向に複数段形成され、各段に同形状の排気ガス規制部が2つ形成されると共に、これらの排気ガス規制部は、第1筒体の中心軸に対して対称に形成され、このような一対の排気ガス規制部が、隣り合う段の排気ガス規制部に対して、位相を90°ずらして形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、排気ガス規制部により、触媒ケースと第1筒体との間を流れる排気ガスを蛇行させる。蛇行させるために、排気ガス規制部は、第1筒体の周方向に断続的に形成される。断続的に形成するため、排気ガス規制部の成形にはプレス成形を用いることができる。プレス成形であれば、排気ガス規制部を高い精度で加工することができる。また、プレス成形であれば、成形にかかる費用が安価である。第1筒体が安価になることで、完成品である熱交換器も安価にすることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、各段に同形状の排気ガス規制部が、中心軸に対して対称に2つ形成されると共に、排気ガス規制部が、隣り合う段の排気ガス規制部に対して、位相を90°ずらして形成されている。隣り合う段の排気ガス規制部の位相が90°ずれているため、排気ガスは周方向を略90°通過してから次の段に移動する。排気ガスの通路を長くすることで、熱交換を行う時間を長くすることができる。熱交換の時間を長くすることで、多くの排気ガスの熱を回収することができる。また、排気ガス規制部を形成することで、熱交換できる接触面積を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る熱交換器の断面図である。
【図2】本発明に係る熱交換器の斜視図である。
【図3】基体及び第1ケースの分解斜視図である。
【図4】第1筒体の展開図である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】第1筒体の成形方法を説明する図である。
【図7】排気ガスが導入されてから触媒担体を通過するまでを説明する図である。
【図8】浄化された排気ガスの流れ及び水の流れを説明する図である。
【図9】実施例2に係る熱交換器の断面図である。
【図10】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0016】
先ず、本発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、熱交換器10は、排気ガスを浄化する円筒状の触媒担体11と、この触媒担体11を囲うと共に保持する触媒ケース12と、この触媒ケース12が支持される基体13と、この基体13に支持され触媒ケース12を囲う第1のケース15と、この第1のケース15を囲うと共に基体13に支持される第2のケース16と、この第2のケース16の下端部近傍の側面に接合され水を第2のケース16内に導入する水導入管17と、この水導入管17の上方で第2のケース16に接合され水を排出する水排出管18と、基体13の下面に接合され基体13内を通過した排気ガスを排出する排気ガス排出管21とからなる。基体13の上端には、他の部材に締結するためのフランジ22が接合されている。
【0017】
基体13は、触媒ケース12が下面に接合されている第1の部材24と、この第1の部材24に接合される第2の部材25とからなる。基体13は、これらの第1の部材24と第2の部材25とを重ね合わせることで中空状に形成されている。
【0018】
第2の部材25に接合されている第1のケース15は、触媒ケース12を囲う円筒形状の第1筒体27と、この第1筒体27の下端部に接合され触媒担体11の下端部を被う第1底部28とからなる。プレス成形により成形された鋼製の第1筒体27及び第1底部28を溶接することで、第1のケース15を製造することができる。
【0019】
第2のケース16は、第1筒体27を囲う略円筒状の第2筒体31と、この第2筒体31の下端に接合され第1底部28を被う第2底部32とからなる。
【0020】
第1の部材24は、底34と、この底34の周縁から第2の部材25に向かって延びる壁部35とからなる。底34に形成されている開口から、排気ガスの導入側(図面上側)に向かって縮径し、断面視テーパ状に形成されるテーパ部36が形成される。テーパ部36の先端には、排気ガスを導入すると共にフランジ22が取り付けられる排気ガス導入口37が形成される。これらのテーパ部36及び排気ガス導入口37が、第1の部材24に一体的に形成されている。
【0021】
即ち、排気ガスを導入する排気ガス導入口37と、この排気ガス導入口37の下流側から連続的に拡径し、排気ガスを触媒担体11に向かって円滑に流すテーパ部36とが、基体13に一体的に形成されている。一体的に形成することで、熱交換器10の部品点数を削減することができる。
【0022】
第2の部材25は、底41と、この底41の周縁から第1の部材24に向かって立ち上げられる壁部42と、基体13内を通過した排気ガスを排出する排気ガス排出口43とからなる。排気ガス排出口43に排気ガス排出管21が接合される。
【0023】
なお、第1の部材及び第2の部材は、共に底部及び壁部からなる構造の他、底部のみからなる部材に底部及び壁部からなる部材を重ね合わせる構造等も採用することができる。即ち、中空状になるものであれば、任意の形状を採用することができる。また、互いの壁部を外周方向に向かって延ばした上で溶接する等、容易に溶接するために適宜形状を変更することや、互いの壁部同士を突き合せて突き合せ溶接を行うこともできる。
【0024】
第1筒体27から触媒ケース12に向かって突出すると共に、先端が触媒ケース12に接触することで排気ガスの流路を規制する排気ガス規制部27aが形成されている。即ち、排気ガスは、この排気ガス規制部27aの形成されている部分を避けるようにして、蛇行して流れる。詳細は後述する。
第1底部28の略中央に、触媒担体11に向かって膨出する膨出部28aが形成されている。
【0025】
第2筒体31は、水導入管17が接続されると共に下端が第2底部32で塞がれる一般部31aと、この一般部31aから拡径し水排出管18が接合される拡径部31bとからなる。一般部31aに水導入管17が接合される水導入口31cが形成され、拡径部31bに水排出管18が接合される水排出口31dが形成されている。
【0026】
触媒担体11の中心軸45に対して、第2筒体31の一般部31aの中心軸46が、水排出口31dから離れる方向にずらされている。
一方、触媒担体11の中心軸45に対して、排気ガス導入口37、テーパ部36、第1筒体27の中心軸は一致している。中心軸45,46がずらされている理由は後述する。
第1の部材24及び第2の部材25の詳細について次図で説明する。
【0027】
図2に示すように、第1の部材24の底34は、第2筒体31の上部に沿って略円形状に形成される一般部34aと、この一般部34aから延び排気ガス排出口(図1、符号43)に被せられる延出部34bとからなる。
【0028】
第2の部材25の底41も同様である。即ち、第2筒体31に一般部41aが被せられ、この一般部41aから延出される延出部41bに排気ガス排出口が設けられると共に排気ガス排出管21が接合されている。排気ガス排出口を形成するのに必要な分だけ延出部41bを設ければよく、第2の部材25を楕円形とした場合等に比べ、コンパクトにすることができる。
第1筒体(図1、符号27)の詳細を次図で説明する。
【0029】
図3に示すように、第1筒体27に複数の排気ガス規制部27aが形成されている。円筒状の第1筒体27の一部に形成されることで、排気ガス規制部27aは、平面視で略C字状を呈する。これらの排気ガス規制部27aは、それぞれが同じ形状に形成されると共に、高さ方向で同じ高さに2箇所ずつ形成されている。同じ高さに形成された2つの排気ガス規制部27aを1段としたときに、このような排気ガス規制部27aが7段形成されている。
【0030】
なお、排気ガス規制部27aの段数は任意であるが、次図で説明するような配置のされ方であることが望ましい。第1筒体27について、さらに詳細に次図で説明する。
【0031】
図4は、第1筒体27を展開し内側から見た図であり、排気ガス規制部27aは、図面手前側に向かって突出している。同じ段(図面水平方向)の排気ガス規制部27a,27a間に形成され、排気ガスが通る規制部間通路27bの長さは、全てαである。
【0032】
同じ段に形成されている規制部間通路27b,27bの中点を、それぞれC1とする。2つの中点C1間の長さPは、第1筒体27の半周の長さに等しい。即ち、規制部間通路27bの中点C1と規制部間通路27bの中点C1とは、180°離して形成される。180°離して形成された排気ガス規制部27aは、第1筒体27の中心軸(図1、符号45)を挟んで対称に形成されている。
【0033】
規制部間通路27bの中点C1は、隣り合う段(図面上下方向)の排気ガス規制部27aの中点C2に高さ方向で一致する。即ち、隣り合う段の排気ガス規制部27aに対して、90°位相をずらして配置されている。
【0034】
排気ガス規制部27aの長さβ、排気ガス規制部27aの一端から規制部間通路27bの中点C1までの長さ(1/2)α、排気ガス規制部27aの他端から規制部間通路27bの中点C1までの長さ(1/2)αを足した長さ、β+(1/2)α・2=Pを1ピッチとする。この場合、1ピッチは180°であると共に、排気ガス規制部27aは、隣り合う段の排気ガス規制部27aに対して、90°位相をずらして配置されているといえる。
【0035】
1ピッチを120°とし、隣り合う排気ガス規制部に対して60°位相をずらす、1ピッチを90°とし、隣り合う排気ガス規制部に対して45°位相をずらすことも可能である。ただし、熱交換量及び製造の容易から1ピッチを180°とし、隣り合う排気ガス規制部に対して90°位相をずらすことが望ましい。
【0036】
排気ガス規制部27aにより、触媒ケース(図1、符号12)と第1筒体27との間を流れる排気ガスを蛇行させる。蛇行させるために、排気ガス規制部27aは、第1筒体27の周方向に断続的に形成される。断続的に形成するため、排気ガス規制部27aの成形にはプレス成形を用いることができる。プレス成形については詳細を後述する。
排気ガスが通過する排気ガス通路と水が通過する水通路について、詳細を次図で説明する。
【0037】
図5に示すように、触媒担体11の中心軸45に、触媒ケース12、第1筒体27の中心軸が一致している。即ち、触媒担体11の中心軸45は、第1筒体27の中心軸45であるともいえる。
第2筒体31の一般部31aの中心軸46に対して、第1筒体27の中心軸45が、σ1だけ水排出管18(水排出口)側にずらされている。
即ち、相対的に見て、第1筒体27の中心軸45は、第2筒体31の中心軸46に対して、水排出口側に近付けて配置されている。
【0038】
排気ガスは、触媒担体11内を図面表から裏に向かって流れ、浄化された排気ガスが、触媒ケース12と第1筒体27との間の排気ガス通路を図面裏から表に向かって通過する。
【0039】
水は、第1筒体27と第2筒体31との間の水通路を、図面裏から表に向かって流れる。第1筒体27の中心軸45を水排出管18(水排出口)側に近付けて配置することで、第1筒体27と第2筒体31との間に形成される水通路は、水排出管18側で狭く(σ2)、水排出管18から離れた部位で広く形成される(σ3)。即ち、水排出口近傍で流路面積が狭く、水排出口から離れた部位で流路面積が広い。このように形成されている理由については、後述する。
第1筒体27の成形方法について次図で詳細に説明する。
【0040】
図6(a)に、第1筒体(図1、符号27)の成形に用いられるプレス成形装置を概念的に示す図である。プレス成形装置50は、半割円柱状のパンチ51,51と、半割円柱状のダイ52,52とからなる。
【0041】
パンチ51,51はそれぞれ、中心部が下方に向かって縮径するテーパ形状部54,54を有すると共に、排気ガス規制部(図6(b)、符号27a)を成形するために凹状に形成された複数の凹溝部55を有している。パンチ51,51の上部と下部とにそれぞれ引張りばね56,56が取り付けられている。
【0042】
ダイ52,52は、凹溝部55,55のそれぞれに対応する部位に、排気ガス規制部を成形するために凸状に形成された複数の凸状部57を有している。ダイ52,52は、図面左右方向に移動することができる。
【0043】
テーパ形状部54,54の間に臨むように、昇降可能な昇降部材59が設けられている。昇降部材59は、テーパ形状部54,54に接触するテーパ面61,61がそれぞれ矩形を呈する。
【0044】
このようなプレス成形装置50による第1筒体の成形方法を説明する。まず、パンチ51,51とダイ52,52との間に筒状の素材62をセットする。素材をセットしたら、昇降部材59を下降させる。昇降部材59が下降することで、引張りばね56,56の力に抗してパンチ51,51が周方向に広がるように前進する。パンチ51,51を周方向に向かって前進させると共にダイ52,52を中心に向かって前進させる。
【0045】
図6(b)に示すように、パンチ51,51とダイ52,52とで素材62を挟み込むことで、排気ガス規制部27aが成形される。昇降部材59を上昇させることで、引張りばね56,56の力により、パンチ51,51は中心に向かって後退する。パンチ51,51を後退させるのと共にダイ52,52も周方向に向かって後退させる。これにより、排気ガス規制部27aが成形された素材62を取り出すことができる。
【0046】
凹溝部55の形成される位置が異なるパンチ、凸状部57の形成される位置が異なるダイを用いて、同様の方法により、90°位相をずらして排気ガス規制部を形成することで、第1筒体を形成することができる。
【0047】
プレス成形であれば、排気ガス規制部27aを高い精度で加工することができる。また、プレス成形であれば、成形にかかる費用が安価である。第1筒体が安価になることで、完成品である熱交換器(図1、符号10)も安価にすることができる。
熱交換器の作用を次図以降で説明する。
【0048】
図7の矢印(1)で示すように、排気ガス導入口37から導入された排気ガスは、触媒担体11に向かって流れる。排気ガスは、矢印(2)で示すように、触媒担体11内を通過し、浄化される。浄化された排気ガスは、矢印(3)で示すように、触媒担体11の下端から触媒ケース12と第1筒体27との間に向かって流れる。
【0049】
第1底部28に膨出部28aが形成されていることで、排気ガスを触媒ケース12と第1筒体27との間に向かって円滑に流すことができる。即ち、膨出部28aは、排気ガスの流れを導くガイドの役割を果たす。
触媒担体11から出た後の作用について次図で説明する。
【0050】
図8に示すように、排気ガスは、排気ガス規制部27aを避けるようにして、蛇行しながら上に向かって流れる。蛇行し第1筒体27の上端から出た排気ガスは、基体13の内部を通過し、排気ガス排出口43及び排気ガス排出管21から外部へ排出される。
【0051】
白抜き矢印(5)で示すように、水導入管17及び水導入口31cから導入された水は、一部が白抜き矢印(6)で示されるように、水排出口31dに向かって水排出口31dまでの最短経路を通過する。導入された水の残部は、第1筒体27の外周を周り、白抜き矢印(7)で示すように、水排出口31dから離れた部位を上に向かって流れる。上に向かって流れた水は、白抜き矢印(8)で示すように、水排出口31d及び水排出管18から外に向かって流れる。第1筒体27を介して、排気ガスの熱が水に伝わる。即ち、水が温められる。
【0052】
隣り合う段の排気ガス規制部27aの位相が90°ずれているため、排気ガスは周方向を略90°通過してから次の段に移動する。排気ガスの通路を長くすることで、熱交換を行う時間を長くすることができる。熱交換の時間を長くすることで、多くの排気ガスの熱を回収することができる。
【0053】
加えて、基体13は、第1の部材24と、この第1の部材24に接合される第2の部材25とからなる、排気ガスの通路を兼ねる中空体である。触媒担体11や筒体27,31を支持するための基体13を、排気ガスの通路としても用いる。基体13の周縁に別途排気ガスの通路を設ける必要がなくなり、熱交換器10を小型化することができる。
【0054】
さらに、第1底部28に膨出部28aが形成されている。膨出部28aが形成されることで、噴流で流すことができ、また、水の流路面積を大きく取ることができる。水の流路面積を大きくすることで、水の流量を増やすことができる。水の流量が多いことで水温の急激な上昇を防ぎ、水が沸騰することを防ぐことができる。水の沸騰を防ぐことで、水を円滑に流し、効率よく熱交換を行うことができる。
【0055】
加えて、水排出口31d側の流路面積を狭く、水排出口31dから離れた部位の流路面積を広くした(併せて図5も参照)。水導入口31cから水排出口31dまでの最短距離を通過する流路の面積を狭めることで、最短距離を通過する水の流量を減少させる。一方、水排出口31dから遠く、水の流れにくい部位の流路面積を広げ、水の流量を増加させる。これにより、第1筒体27と第2筒体31との間の全周にわたってより均一に水を流すことができる。より均一に水を流すことで、水を円滑に流すことができ、熱交換の効率を高めることができる。
本発明の別実施例について次図以降で説明する。
【実施例2】
【0056】
次に、本発明の実施例2を図面に基づいて説明する。
図9は実施例2の熱交換器の断面構成を示し、上記図1に対応させて表している。
図9に示すように、熱交換器70は、基体71を構成する第2の部材72が、第1筒体73の上端から一体的に形成される。プレス成形により第2の部材72と第1筒体73とを一体的に形成し、プレス成形で排気ガス規制部27aを形成する。第2の部材72の下面には、第2筒体31が取り付けられている。
【0057】
第1筒体73の端部に第2の部材72を一体的に形成した場合も、本発明の効果を得ることができる。また、第1底部28も一体的に成形してもよい。
【0058】
熱交換器70は、第2の部材72と第1筒体73とを一体的に形成することで、部品点数を削減することができると共に、組み立て工数を削減することができる。
【0059】
尚、本発明に係る熱交換器は、コージェネレーション装置や、その他の用途に適用することは差し支えない。また、本発明に係る熱交換器には、水に冷却水を用いることが望ましく、用途に応じて、最適な種類の媒体を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の熱交換器は、コージェネレーション装置に好適である。
【符号の説明】
【0061】
10,70…熱交換器、11…触媒担体、12…触媒ケース、27,73…第1筒体、27a…排気ガス規制部、31…第2筒体、45…第1筒体の中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを浄化する触媒担体と、この触媒担体を囲う触媒ケースと、この触媒ケースを囲い前記触媒ケースとの間で浄化された排気ガスの通路を形成する第1筒体と、この第1筒体を囲い前記第1筒体との間で水の通路を形成する第2筒体とを備える熱交換器において、
前記第1筒体から前記触媒ケースへ排気ガス規制部を突出させ、
前記触媒ケースと前記第1筒体との間を流れる排気ガスを蛇行させるようにしたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記排気ガス規制部は、前記第1筒体の高さ方向に複数段形成され、
各段に同形状の前記排気ガス規制部が2つ形成されると共に、これらの排気ガス規制部は、前記第1筒体の中心軸に対して対称に形成され、
このような一対の排気ガス規制部が、隣り合う段の前記排気ガス規制部に対して、位相を90°ずらして形成されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−68376(P2013−68376A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208314(P2011−208314)
【出願日】平成23年9月25日(2011.9.25)
【出願人】(000138521)株式会社ユタカ技研 (134)
【Fターム(参考)】