説明

熱交換装置用の部材配置

【課題】 熱交換機構用部材配置を通過する気状媒体用に技術の現状に比べて改良されたガイドを有する部材配置を提供する。
【解決手段】 内部で気状媒体を少なくとも一部で所定経路に通す少なくとも1つのハウジング(7)と、1つの気状媒体用吸込機構(23)と、少なくとも1つの第1熱交換機構(3)と、少なくとも1つの第2熱交換機構(4)と、気状媒体の流れ方向に少なくとも一部で影響を及ぼしかつ少なくとも2つの異なる位置に調整することのできる少なくとも1つの第1調節機構(9)と、1つの気状媒体用吹出機構(13、14、15、16、18)とを有する熱交換装置用の部材配置において、第1調節機構(9)の少なくとも1つの第1位置のとき実質的に気状媒体の諸部分が第1熱交換機構(3)内に通されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部で気状媒体を少なくとも一部で所定経路に通す少なくとも1つのハウジングと、1つの気状媒体用吸込機構と、少なくとも1つの第1熱交換機構と、少なくとも1つの第2熱交換機構と、気状媒体の流れ方向に少なくとも一部で影響を及ぼしかつ少なくとも2つの異なる位置に調整することのできる少なくとも1つの第1調節機構と、1つの気状媒体用吹出機構とを有する熱交換装置用の部材配置に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の現状によりこのような部材配置が公知である。部材配置は代表的には1つの空気用加熱機構と1つの蒸発器とを有し、こうして車室内の空気調和を保証している。技術の現状により公知の解決では、個々の部材配置内を通過する空気が引き続きすべての個別機構内を送られ、すなわち特に加熱機構および蒸発器内を送られる。これらの部材配置は十分に働くのではあるが、すべての機構に空気を通すと出力損失を生じることがある。
【0003】
さらに、加熱システムもしくは空気調和システムはますますコンパクトになり、そのことから、技術の現状による配置では、混合帯域がますます強く影響を受けることになる。というのも、個々の熱交換機構は空気の流れ方向に関して前後に配置されているからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の課題は、熱交換機構用部材配置を通過する気状媒体用に技術の現状に比べて改良されたガイドを有する部材配置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これは、本発明によれば、第1調節機構の少なくとも1つの第1位置のとき実質的に気状媒体の諸部分が第1熱交換機構に通されないことを特徴とする部材配置によって達成される。有利な実施形態は従属請求項の対象である。
【発明の実施の形態】
【0006】
熱交換装置用の本発明に係る部材配置は、内部で気状媒体を少なくとも一部で所定経路に通す少なくとも1つのハウジングと、1つの気状媒体用吸込機構と、少なくとも1つの第1熱交換機構と、少なくとも1つの第2熱交換機構と、気状媒体の流れ方向に少なくとも一部で影響を及ぼす第1調節機構とを有する。この第1調節機構は少なくとも2つの異なる位置に調整することができる。それに加えて、1つの気状媒体用吹出機構が設けられている。本発明によれば、第1調節機構の少なくとも1つの第1位置のとき実質的に気状媒体の諸部分が第1熱交換機構内に通されない。
【0007】
本発明に係る機構の利点は、空気の特定部分が第1熱交換機構かまたは第2熱交換機構のいずれかを通過し、両方の熱交換機構を順次通過するのではないことにある。こうして、上で述べた技術の現状に比べて出力損失を減らすことができる。さらに、熱交換機構の整列と合せてデフロストおよび足元空間用の各吹出口の好適な配置によって、特に足元用に高い加熱出力が望まれる場合、損失は最小にすることができる。
【0008】
気状媒体は主に部材配置内を流れる空気であり、この空気は最終的に車室内の空気調和のため車室内に送られる。それゆえに以下では気状媒体の代わりに空気にも言及する。
【0009】
空気の流れ方向に影響を及ぼすとは、流れ方向が少なくとも一部で変更され、すなわち特に空気が偏向されることと理解される。
【0010】
本発明に係る部材配置の他の好ましい実施形態では、第1調節機構の第2位置のとき実質的に空気の諸部分が第2熱交換機構内に通されない。すなわち、第1調節機構は2つの位置に移動させることができ、一方の位置のとき空気は実質的に熱交換機構の一方のみを通過し、第2位置のとき実質的に他方の熱交換機構のみを通過する。
【0011】
第1調節機構は、好ましくは極端位置である第1位置と第2位置との間で可変調整可能、好ましくは無段式に調整可能である。個々の中間位置のとき特定空気部分が第1熱交換機構内に達するのに対して、別の空気部分は第2熱交換機構内に達する。こうして第1調節機構の調整によって両方の熱交換機構による割合が調整され、第1位置のときには空気全体が第1熱交換機構内に通され、第2位置のときには実質的に空気が完全に第2熱交換機構内を送られ、中間位置のときには諸部分が各熱交換機構に分割され、例えば20%が第1熱交換機構に、80%が第2熱交換機構に送られる、等とされる。
【0012】
他の好ましい実施形態において、第1調節機構の少なくとも1区域は少なくとも1つの位置において第1熱交換機構の少なくとも1つの区域に隣接する。第1調節機構は好ましくは空気透過フラップである。特別好ましくは第1調節機構は第1位置のとき第1熱交換機構を実質完全に覆う。こうして、空気が第1熱交換機構内に達することが防止され、空気が実質的に完全に第2熱交換機構内を流れることが達成される。
【0013】
他の好ましい実施形態において第1調節機構の少なくとも1区域は少なくとも1つの位置においてハウジングの少なくとも1つの区域に隣接している。調整機構のこの区域は、空気が第2熱交換機構内を通過できないようにハウジングに隣接しており、従って実質的に空気部分全体が完全に第1熱交換機構を通過する。好ましくは第1調節機構の長手稜は実質的に完全にハウジングに隣接する。しかしその逆に、少なくとも1つの位置において第1調節機構が第2熱交換機構の少なくとも1つの区域に隣接することも可能であり、こうしてこの位置のとき第2熱交換機構内を空気が通過することは防止される。
【0014】
それと並んで、第1位置のとき調節機構が少なくとも1区域を第1熱交換機構に隣接され、第2位置のとき第2熱交換機構の少なくとも1区域に隣接させ、好ましくは第1位置のとき第1熱交換機構を実質完全に覆う一方、第2熱交換機構を実質完全に覆うことも可能である。
【0015】
それと並んで調節機構は、第1もしくは第2熱交換機構に達する空気の量を制御および/または調節する摺動調節器の態様に構成しておくこともできる。
【0016】
他の好ましい実施形態において、単一の調節機構の代わりに2つの個別のまたは複数の調節機構を設けておくこともでき、これらの調節機構はそれぞれ第1熱交換機構および/または第2熱交換機構内の空気流を制御および/または調節する。例えば1つの調節機構が第1熱交換機構内の空気流のみを調節するのに対して、他の1つの調節機構は第2熱交換機構内の空気流のみを調節する。
【0017】
それと並んで騒音レベルを下げることができ、このことは同様に出力損失の減少と関連している。さらに、本発明に係る部材配置によって除霜の効率を、しかも特にフロントガラスだけでなく、高めることができる。しかしなお指摘しておくなら、この実施形態によって必ずしも前記利点のすべてが達成されるのではない。
【0018】
他の好ましい実施形態において第1熱交換機構は第2熱交換機構の上に配置されている。そのことがもたらす利点として、空気の流れ方向において熱交換機構の下流側にある混合帯域が改善され、もしくはこれらの帯域内で現れる空気混合の効率が改善される。
【0019】
他の好ましい実施形態において第1調節機構がハウジングの第1部分空間内に収容されており、ハウジングの第1部分空間は空気の流れ方向において第1熱交換機構および第2熱交換機構の上流側に配置されている。このように第1調節機構をハウジングの内部に配置することによって、第1熱交換機構および第2熱交換機構内をそれぞれ通過する空気の諸部分を流れ方向におい各熱交換機構の前で既に制御および/または調節できることが保証される。
【0020】
好ましくは、ハウジングの第2部分空間が設けられており、この部分空間は空気の流れ方向において第1熱交換機構および第2熱交換機構の下流側に配置されている。これは好ましくは混合空間であり、第1熱交換機構または第2熱交換機構を通過した空気の各部分がそのなかで互いに混合され、こうして利用者の希望する混合温度もしくは目標温度が調整される。
【0021】
このため、第2部分空間内で第1熱交換機構内を通過する気状媒体と第2熱交換機構内を通過する気状媒体との部分的混合が起きる。好ましくは、両方の熱交換機構内を通過した空気、すなわち通過する空気の諸部分が実質的に完全に混合され、こうして最終的に車室内に送られる空気の希望する温度を極力効率的に調整することができる。
【0022】
他の好ましい実施形態において、第2部分空間内に少なくとも1つの気状媒体用誘導機構が設けられている。この誘導機構は、第1調節機構とは異なり、空気の流れ方向を少なくとも一部で変更する定置機構である。
【0023】
他の好ましい実施形態において第1熱交換機構と第2熱交換機構は実質的に互いに並列に配置されている。これは、第1熱交換機構の主膨張方向が第2熱交換機構の主膨張機構と平行に延びることを意味する。
【0024】
他の好ましい実施形態では、少なくとも1つの熱交換機構が所定の長さとこの長さに比べて著しく低減した幅および奥行とを有する。この構成によって、両方の熱交換機構をハウジングの内部で上下に配置でき、そのために構造空間を著しく増大させる必要のないことが達成される。
【0025】
好ましくは少なくとも1つの熱交換機構が冷媒用に多数の貫流機構を有する。冷媒は例えば車両冷却回路からの水、または蒸発器内で使用される空気冷却用冷媒である。好ましくは個々の貫流機構は長さが200mm〜900mm、好ましくは300mm〜800mm、特別好ましくは400mm〜600mmである。これらの長さは、熱交換機構の奥行および幅に比較して、技術の現状で使用される貫流管の長さよりも著しく大きい。この大きくされた長さによって、上で述べたように、個々の熱交換機構を上下に配置できることを達成することができる。
【0026】
他の好ましい実施形態において第3熱交換機構が設けられている。この第3熱交換機構は、好ましくは、COヒートポンプ、排気熱を利用したヒータ、燃料ヒータ、補助ヒータ、電気ヒータ等を含む1群の加熱機構から選択された加熱機構である。この第3熱交換機構は、特に、始動直後でまだ冷却水熱を利用できないときに車両を加熱しまたは少なくとも車両のフロントガラスを除霜できるようにするのに役立つ。
【0027】
好ましい実施形態において第3熱交換機構は第1熱交換機構のものに比べて低減された横断面積を有する。好ましくは、第1熱交換機構はやはり加熱機構、特別好ましくは自動車冷却回路からの水の熱を空気の加熱に利用するような加熱機構である。
【0028】
好ましい実施形態において第3熱交換機構は空気の流れ方向において第1熱交換機構の下流側に配置されている。第1熱交換機構も第3熱交換機構もこの実施例では加熱機構であり、この前後配置によって、特に第1加熱機構が完全にではないがしかし一定の空気加温を既に達成できる時間において、空気の加熱が特別効率的に保証される。
【0029】
他の好ましい実施形態において気状媒体用に多数の吹出機構が設けられている。この多数の吹出機構は自動車室内の例えば前部足元空間、後部足元空間、リヤ領域、フロント領域、ウインドシールドガラスの除霜等のさまざまな領域の温度調節に役立つ。吹出機構は、円形、多角形、特に矩形、楕円形およびそれらの混合形状を有する横断面群から選択される幾何学的横断面を有する。特別好ましい実施形態において吹出口は実質矩形の造形を有し、これにより、騒音レベルのさらなる低減が達成される。それと並んで、矩形横断面の場合製造が安価である。
【0030】
他の好ましい実施形態において少なくとも1つの吹出機構は、進出する空気用に1つの第2調節機構を有する。こうして、相応する吹出機構内を通過する空気の量は調節することができ、自動車室内の個々の領域に達する空気もしくは空気量の個別制御および/または調節が可能である。
【0031】
他の好ましい実施形態において部材配置は1つの送風機構を有する。この送風機構は、例えば車両停止時または低速度のとき空気を所定の速度で部材配置内を移送するのに役立つ。
【0032】
本発明に係る機構のその他の利点は添付図面から明らかとなる。
【実施例】
【0033】
図1は熱交換機構用の本発明にかかる部材配置を概略示す。符号7はハウジングであり、そのなかに第1熱交換機構3と第2熱交換機構4が配置されている。この実施形態では熱交換機構3が加熱機構、熱交換機構4が蒸発器である。吸込口23を介して部材配置に空気が供給され、モータ24を有するファン22によって、空気流を表示する矢印Pの方向に加速される。ハウジング7の内部に調節機構(図示せず)は、空気流が熱交換機構3内または熱交換機構4内のいずれかに通され、最後に(図示しない)吹出口から車室内に達するように配置されている。空気は両方の熱交換機構を順次流通するのでなく、特定の空気部分は第1熱交換機構3または第2熱交換機構4のいずれかを通過する。
【0034】
空気流は実質的に全幅bに沿って装置のハウジングに進入する。しかしハウジングへの空気流入は、空気が1区域でのみ幅bに沿ってハウジングに進入するように造形することも可能である。
【0035】
図2には本発明に係る部材配置の第1実施形態が側面図で示してある。ここでは空気が(図示しない)吸込口から部材配置の領域5に進入する。図2に示す図示において第1調節機構9の末端区域26はハウジング7の壁区域7aに隣接している。第1調節機構は好ましくは第1熱交換機構3および第2熱交換機構4とまったく同様に板平面に垂直な方向に延びている。こうして、空気が蒸発器の方向に達し得ることが防止され、その代わりに空気は専ら加熱機構の方向に送られる。こうして空気は加温され、引き続きPTC素子6内に達し、吹出口の1つ13、14、16または18を通して加熱および/または空気調和システムから外に送られる。符号11は第1調節機構、すなわち空気フラップ9を枢着した個所もしくはヒンジであり、こうして空気フラップは矢印Pの方向に回すことができる。
【0036】
破線の空気フラップで示唆した第2位置のとき第1調節機構は熱交換機構3に隣接する。その際好ましくは熱交換機構3の表面3a全体が覆われる。隣接とは、調節機構が必ずしも熱交換機構に接触しなければならないことではなく、図2に示すようにこれと実質平行にも延びることと理解される。特殊な実施形態において第1調節機構は熱交換機構3と実際に接触することもできる。隣接によって、相応する機構内を通過する空気の諸部分が低減されることを少なくとも達成されねばならない。
【0037】
それと並んで、他の実施形態において第1調節機構はハウジング上縁の1区域7bにも、または付加的にハウジング内部で内向きの壁(図示せず)に、隣接することができる。
【0038】
専門家なら第1調節機構9の他の可能な配置が明らかとなるが、決定的なのは、既に述べたように、熱交換機構3内に通される空気流が実質妨げられることである。その場合、空気流れは第2熱交換機構4の方向に誘導され、そこを流通する。空気が蒸発器内で冷却され、好ましくは乾燥させられたなら、空気は吹出口の方向に送られる。
【0039】
図2に示す第1調節機構9の極端位置の間の1つの位置において一方の空気部分は加熱機構もしくは第1熱交換機構3内を送られ、別の部分は第2熱交換機構4、すなわちこの実施形態において蒸発器内を送られる。両方の熱交換機構3、4を流通後、空気の流れ方向で熱交換機構の下流側に配置される空間21において個々の空気部分の混合が起き、進出する空気の混合温度が結果的に生じる。好ましくは吹出口13、14、16、18に第2調節機構13a、14a、16aが配置されており、これらの調節機構はこれらの吹出口を通過する空気の量を制御または調節する。
【0040】
吹出口13はウインドシールドガラスをデフロストするためのデフロスト吹出口もしくは除霜吹出口である。符号14は自動車室内のフロント領域に空気を送る吹出口である。符号16は自動車フロント領域の足元用吹出口、符号18は後部足元領域用吹出口である。この後部領域はこの実施形態において第1調節機構を備えていない。
【0041】
この実施形態では、第1調節機構9の中間位置のとき個々の空気部分の極力好ましい混合を達成するために調節機構、好ましくは個々の第2調節機構(13a、14a、16a)が比較的高く取付けられる。そのことは、一方でL1、L2、他方でL3、L4の交差する部分によって表してある。第2空間21内部の分離機構もしくは分離壁23は、加熱された空気が空間21の下側領域に達するのを防止する。
【0042】
図2aには本発明に係る熱交換装置の他の実施形態が示してある。ファン23で加速されて空気は吸込口5を介して熱交換装置のハウジング7に進入する。吸込口5の幅は実質的に装置後壁40の全幅bにわたって、または単に後壁の任意の大きさの区域にわたっても、延びることができる。
【0043】
この実施形態において調節機構9は、ハウジング区域7aにそれが隣接する位置とハウジング区域7bにそれが隣接する位置との間を移動することができる。こうしてこの実施形態でも、各熱交換機構3、4に達する部分は調節することができる。
【0044】
図3には熱交換機構用の本発明にかかる部材配置の他の実施形態が示してある。この場合、空気は吸込口5を介して部材配置のハウジング7内に達する。この吸込口5の幅はこの実施形態でも、吸込口5が実質的にハウジングの壁40全体に沿って、または図3に示すように単に所定区域に沿って延びるように選択することができる。
【0045】
符号6は、矢印Pの方向でハウジング壁の区域7bに沿って摺動可能な摺動調節器36である。符号37はハウジング7の内部に配置される分離壁であり、この分離壁は空気の流れ方向で熱交換機構3、4の上流側にある空間を2つの部分空間39a、39bに実質密封もしくは気密に区分する。符号41、42はハウジング7の2つの穴であり、穴41は空間39aに通じ、穴42は空間39bに通じている。
【0046】
摺動調節器36が図3においてその最も上の位置にあると、穴41は実質的に完全に遮断され、進入する空気は完全に空間39b内に達し、従って実質的に完全に熱交換機構4内に達する。調節器36がその最も下の位置にあると、逆に穴42が完全に遮断され、空気は専ら空間39a内に達し、従って実質的に完全に熱交換機構3内に達する。これら極端位置の間にある位置のとき空気は部分空間39a内にも部分空間39b内にも達し、既に上で述べたのと同様に、結果的に混合温度を生じることができる。
【0047】
図4には本発明に係る部材配置の他の実施形態が示してある。この場合、枢着個所56の周りで矢印Pの方向に移動可能な第1調節機構51が設けられている。一方の極端位置のとき第1調節機構51はハウジング内部の壁53に隣接し、他方の極端位置のとき壁54に隣接する。第1調節機構51が壁54に隣接する場合、吸込口5または7から進入する空気は第1熱交換機構3を経由する流れ経路のみを占める。その逆に第1調節機構51が壁53に隣接していると、空気は完全に第2熱交換機構4内を流れる。第1調節機構51のこれら両方の極端位置の間で空気は部分空間39a、38bに分配され、諸部分は第1調節機構51のその都度の位置に依存する。この実施形態でも吸込口の幅は異なる寸法設計とすることができる。
【0048】
図5aには本発明に係る部材配置用の1つの熱交換機構4が示してある。
【0049】
図5cには技術の現状による1つの熱交換機構が示してある。本発明に係る部材配置用の熱交換機構4では熱交換機構の幅が長さに対して技術の現状と比べて著しく低減しているのがわかる。図5bに示す第2熱交換機構3も、長さLに対して明確に低減された幅を有する。この構成によって両方の熱交換機構の前記上下配置が容易となる。
【0050】
符号35は貫流機構もしくは貫流管であり、それらを冷媒は流れることができる。この冷媒は入口32もしくは出口33を通して装置に供給しもしくはそこから導出される。符号36a、36bは集合管および/または分配管であり、貫流管35の末端に設けられている。
【0051】
本発明に係る部材配置の熱交換機構4は長さが200mm〜900mm、好ましくは300mm〜800mm、特別好ましくは400mm〜600mmである。熱交換機構3の幅Bは60mm〜250mm、好ましくは80mm〜180mm、特別好ましくは100mm〜140mmである。熱交換機構の有効横断面積は2dm〜9dm、好ましくは3dm〜7dm、特別好ましくは5dm〜6dmである。
【0052】
熱交換機構4の奥行は20mm〜120mm、好ましくは40mm〜90mm、特別好ましくは60mm〜70mmである。
【0053】
図5bには1つの第1熱交換機構3が示してある。この熱交換機構の長さLは200mm〜800mm、好ましくは300mm〜600mm、特別好ましくは350mm〜450mmである。
【0054】
この第1熱交換機構3の幅Bは50mm〜200mm、好ましくは70mm〜150mm、特別好ましくは100mm〜130mmである。
【0055】
第1熱交換機構3の有効横断面積は2dm〜9dm、好ましくは3dm〜8dm、特別好ましくは4dm〜5dmである。
【0056】
上で述べたように、図5cは技術の現状による熱交換機構を示す。この熱交換機構は幅Bが長さLに対して強く高められている。すなわち、横断面は図5a、図5bに示す熱交換機構の場合よりも一層強く正方形の幾何学形状に接近させられている。
【0057】
図6aには熱交換機構(4)の他の実施形態が示してある。矢印Pはこの熱交換機構に衝突する空気の流れ方向である。図5aに示す熱交換機構とは異なり、入口管32および出口管33は両方とも集合管37aおよび/または分配管37bの末端に配置されている。
【0058】
図6bは第1熱交換機構の他の実施形態を示す。この場合、入口管32および出口管33は集合管37aおよび分配管37bに関してそれぞれ逆の末端に配置されている。
【0059】
入口管および出口管の配置は部材は位置内部の空間的条件に適合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】熱交換装置用の本発明に係る部材配置の略図である。
【図2】熱交換装置用の本発明に係る部材配置の第1実施形態を示す。
【図2a】熱交換装置用の本発明に係る部材配置の他の実施形態を示す。
【図3】熱交換装置用の本発明に係る部材配置の他の実施形態を示す。
【図4】熱交換装置用の本発明に係る部材配置の他の実施形態を示す。
【図5a】本発明に係る部材配置用の第2熱交換機構を示す。
【図5b】本発明に係る部材配置用の第1熱交換機構を示す。
【図5c】技術の現状による熱交換機構を示す。
【図6a】本発明に係る部材配置用の技術の現状による第2熱交換機構の他の実施形態を示す。
【図6b】本発明に係る部材配置用の技術の現状による第2熱交換機構の他の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で気状媒体を少なくとも一部で所定経路に通す少なくとも1つのハウジング(7)と、1つの気状媒体用吸込機構(23)と、少なくとも1つの第1熱交換機構(3)と、少なくとも1つの第2熱交換機構(4)と、気状媒体の流れ方向に少なくとも一部で影響を及ぼしかつ少なくとも2つの異なる位置に調整することのできる少なくとも1つの第1調節機構(9)と、1つの気状媒体用吹出機構(13、14、15、16、18)とを有する熱交換装置用の部材配置において、第1調節機構(9)の少なくとも1つの第1位置のとき実質的に気状媒体の諸部分が第1熱交換機構(3)内に通されないことを特徴とする部材配置。
【請求項2】
第1調節機構(9)の少なくとも1つの第2位置のとき実質的に気状媒体の諸部分が第2熱交換機構(4)内に通されないことを特徴とする、請求項1記載の部材配置。
【請求項3】
第1熱交換機構(3)と第2熱交換機構(4)が空間的に実質上下に配置されていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項4】
第1熱交換機構(3)が第2熱交換機構(4)の上に配置されていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項5】
第1調節機構(9)が第1位置と第2位置との間で好ましくは無段式に調整可能であることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項6】
第1調節機構(9)の少なくとも1区域が少なくとも1つの位置において第1熱交換機構(3)の少なくとも1つの区域に隣接し、好ましくはハウジング(7)の少なくとも1つの区域(26)と接触していることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項7】
第1調節機構(9)の少なくとも1区域が少なくとも1つの位置においてハウジングの少なくとも1つの区域(26)に隣接し、好ましくはハウジング(7)の少なくとも1つの区域(26)と接触していることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項8】
第1調節機構(9)がハウジング(7)の第1部分空間(21)内に収容されており、ハウジングの第1部分空間(21)が気状媒体の流れ方向において第1熱交換機構(3)および第2熱交換機構(4)の上流側に配置されていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項9】
ハウジング(7)の第2部分空間(23)が設けられており、この部分空間が気状媒体の流れ方向において第1熱交換機構(3)および第2熱交換機構(4)の下流側に配置されていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項10】
第2部分空間(23)内で第1熱交換機構(3)内を通過する気状媒体と第2熱交換機構(4)内を通過する気状媒体との部分的混合が起きることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項11】
第2部分空間(21)内に少なくとも1つの気状媒体用誘導機構(23)が設けられていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項12】
第1熱交換機構(3)と第2熱交換機構(4)が実質的に互いに並列に配置されていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項13】
少なくとも1つの熱交換機構(3、4)が所定の長さとこの長さに比べて著しく低減した幅および奥行とを有することを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項14】
1つの第3熱交換機構(6)が設けられていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項15】
少なくとも1つの熱交換機構が冷媒用に多数の貫流機構を有することを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項16】
貫流機構の長さが200mm〜900mm、好ましくは300mm〜800mm、特別好ましくは400mm〜600mmであることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項17】
第3熱交換機構(6)が、COヒートポンプ、排気熱を利用したヒータ、燃料ヒータ、補助ヒータ、電気ヒータ等を含む1群の加熱機構から選択された加熱機構であることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項18】
第3熱交換機構(6)が、第1熱交換機構(3)のものに比べて低減された横断面積を有することを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項19】
第1熱交換機構(3)が加熱機構であることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項20】
第3熱交換機構(6)が気状媒体の流れ方向において第1熱交換機構(3)の下流側に配置されていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項21】
気状媒体用に多数の吹出機構(13、14、15、16、18)が設けられていることを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項22】
少なくとも1つの吹出機構が実質矩形の横断面を有することを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項23】
少なくとも1つの吹出機構が、進出する気状媒体用に1つの第2調節機構(13a)を有することを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。
【請求項24】
部材配置がさらに1つの送風機構を有することを特徴とする、特に先行請求項の少なくとも1項記載の部材配置。

【図1】
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【図2】
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【図2a】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2007−529352(P2007−529352A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500090(P2007−500090)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001365
【国際公開番号】WO2005/084972
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(504435081)ベール フランス ルファッシェ エス・アー・エス (10)
【Fターム(参考)】