説明

熱処理設備および熱処理方法

【課題】スペース効率が良くなる熱処理設備および熱処理方法を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様は、第1加熱浸炭室10Aおよび第2加熱浸炭室10Bと、第1冷却室12Aおよび第2冷却室12Bと、搬送ユニット28とを有する熱処理設備1において、搬送ユニット28が移動するレール26を挟んで対向して配置される1対の第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aおよび1対の第2加熱浸炭室10Bと第2冷却室12Bがレール26に沿って複数配置されており、搬送ユニット28は、レール26を移動して第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10Bに各々被処理品W1〜W4を搬送可能で、かつ、第1加熱浸炭室10Aから第1冷却室12Aへおよび第2加熱浸炭室10Bから第2冷却室12Bへ被処理品W1〜W4を搬送可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い強度が要求される歯車等の鋼部材に対し熱処理を行う熱処理設備および熱処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加熱室と浸炭室と冷却室とを直列に配置し、加熱室と浸炭室との間および浸炭室と冷却室との間に搬送室を配置した連続真空浸炭炉が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、レール上を移動可能な搬送ユニット上に受け渡しチャンバと保温チャンバが一体となって支持されており、当該保温チャンバは複数の熱処理チャンバと各々結合(ドッキング)することができる熱処理設備が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−132980号公報
【特許文献2】特開2008−170116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の連続真空浸炭炉は加熱室と浸炭室と冷却室と2つの搬送室を直列的に配置しているので、設備が大型化してしまう。そのため、工場内の限られた敷地の範囲内で設備を効率的に配置することができず、スペース効率が良くない。
【0006】
そこで、特許文献2の熱処理設備のように、搬送ユニット上に受渡チャンバと保温チャンバ(冷却室)とを一体として支持することが考えられる。ここで、浸炭、冷却、焼入れをこの順で行う熱処理を特許文献2の熱処理設備で行うことを想定する。この熱処理では被処理品に対し浸炭処理が終わると速やかに当該被処理品を冷却する必要があるので、加熱浸炭室の真向かいに冷却室を配置する必要がある。このとき、2つの加熱浸炭室に対し1つの冷却室を設けることも考えられるが、生産性の向上を考慮すると、2つの加熱浸炭室に各々対応するように2つの冷却室を設ける必要がある。
【0007】
すると、特許文献2の熱処理設備では受渡チャンバと保温チャンバとを一体にしているので、装入テーブルから2つの熱処理チャンバ(加熱浸炭室)に被処理品を搬送するための搬送ユニットと、熱処理チャンバと保温チャンバとの間で被処理品を搬送するための2つの搬送ユニット(受渡チャンバ)が必要になる。このように、合計3つの搬送ユニットが必要になってしまう。そのため、設備が大型化してしまう。
【0008】
また、特許文献2の熱処理設備では受渡チャンバが保温チャンバと一体になっているので、搬送ユニットを移動させる際には保温チャンバの分だけ移動スペースを余分に設けておく必要がある。このことからも、設備が大型化してしまう。さらに、一方の保温チャンバは他方の保温チャンバを追い越すことができず、保温チャンバごとに被処理品の搬送経路を設ける必要がある。このことからも、設備がさらに大型化してしまう。
【0009】
このように、浸炭、冷却、焼入れをこの順で行う熱処理を特許文献2の熱処理システムで行うことを想定すると、設備が非常に大型化してしまう。さらに、安全柵で設備を囲う必要もあるので、工場内の限られた敷地の範囲内で設備を効率的に配置することができない。そのため、スペース効率が良くない。
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、スペース効率が良くなる熱処理設備および熱処理方法を提供すること、を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、被処理品を加熱して前記被処理品に対し真空浸炭処理を行う加熱浸炭室と、前記真空浸炭処理が行われた前記被処理品を冷却する冷却室と、前記被処理品を前記加熱浸炭室へ搬送し、かつ、前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送する搬送ユニットとを有する熱処理設備において、前記搬送ユニットが移動する移動路を挟んで対向して配置される1対の前記加熱浸炭室と前記冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が前記移動路に沿って複数配置されており、前記搬送ユニットは、前記移動路を移動して複数配置されている前記加熱浸炭冷却機構の各々の前記加熱浸炭室へ前記被処理品を搬送可能で、かつ、前記加熱浸炭冷却機構の各々において前記加熱浸炭室から前記冷却室へ前記被処理品を搬送可能であること、を特徴とする。
【0012】
この態様によれば、搬送ユニットが移動する移動路を挟んで対向して配置される1対の加熱浸炭室と冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が移動路に沿って複数配置されている。そして、搬送ユニットは、移動路を移動して複数配置されている加熱浸炭冷却機構の各々の加熱浸炭室へ被処理品を搬送可能で、かつ、加熱浸炭冷却機構の各々において加熱浸炭室から冷却室へ被処理品を搬送可能である。これにより、搬送ユニットの数を少なくできるので、熱処理設備を小型化することができる。したがって、工場などの限られた敷地の範囲内で設備を効率的に配置することができるので、スペース効率が良くなる。
【0013】
上記の態様においては、前記加熱浸炭室にて前記被処理品に対し前記真空浸炭処理を行った後、前記搬送ユニットにより前記被処理品を前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送すること、が好ましい。
【0014】
この態様によれば、加熱浸炭室にて被処理品に対し真空浸炭処理を行った後、搬送ユニットにより被処理品を加熱浸炭室から冷却室へ搬送する。このようにして、真空浸炭処理を行った被処理品を、加熱浸炭室から当該加熱浸炭室に対し搬送ユニットを挟んで対向するように配置されている冷却室へ速やかに搬送して冷却することができる。そのため、被処理品の表面に導入した炭素が被処理品の内部に拡散することを抑制して、被処理品の表面の表面炭素濃度が大きく減少することを防止することができる。したがって、被処理品の表面の高硬度化や高強度化を図ることができる。
【0015】
上記の態様においては、前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットと前記冷却室とを結合させて前記加熱浸炭室の内部と前記搬送ユニットの内部と前記冷却室の内部とを真空にした状態で、前記搬送ユニットにより前記被処理品を前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送すること、が好ましい。
【0016】
この態様によれば、加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させて加熱浸炭室の内部と搬送ユニットの内部と冷却室の内部とを真空にした状態で、搬送ユニットにより被処理品を加熱浸炭室から冷却室へ搬送する。そのため、被処理品を加熱浸炭室から冷却室へ速やかに搬送することができ、被処理品の表面に導入した炭素が被処理品の内部に拡散することをより確実に抑制して、被処理品の表面の表面炭素濃度が大きく減少することをより確実に防止することができる。したがって、被処理品の表面の高硬度化や高強度化をより確実に図ることができる。
【0017】
上記の態様においては、前記加熱浸炭室を前記搬送ユニットに向かって移動させて前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットを結合させた後に、結合させた前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットを前記冷却室に向かって移動させることにより、前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットと前記冷却室とを結合させること、が好ましい。
【0018】
この態様によれば、まず、加熱浸炭室を搬送ユニットに向かって移動させて加熱浸炭室と搬送ユニットを結合させる。そして、この後に、結合させた加熱浸炭室と搬送ユニットを冷却室に向かって移動させることにより、加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる。このように、加熱浸炭室と搬送ユニットを一方向に移動させるだけでよいので、加熱浸炭室と搬送ユニットとを移動させる機構および制御手法を簡素化できる。そのため、設備の構造の簡素化を図って、コストを低減することができる。
【0019】
上記の態様においては、前記加熱浸炭室と前記冷却室を各々前記搬送ユニットに向かって移動させることにより、前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットと前記冷却室とを結合させること、が好ましい。
【0020】
この態様によれば、加熱浸炭室と冷却室を各々搬送ユニットに向かって移動させることにより、加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる。これにより、加熱浸炭室を搬送ユニットに向かって移動させながら、冷却室を搬送ユニットに向かって移動させることができる。そのため、加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる時間の短縮を図ることができる。したがって、熱処理に要する時間を短縮することができるので、生産性が向上する。
【0021】
上記の態様においては、前記冷却室にて冷却した前記被処理品を前記加熱浸炭室が配置される側とは反対側から前記冷却室の外部に抽出すること、が好ましい。
【0022】
この態様によれば、冷却室にて冷却した被処理品を加熱浸炭室が配置される側とは反対側から前記冷却室の外部に抽出する。これにより、複数の加熱浸炭室の間や複数の冷却室の間に、被処理品を抽出する機構を配置する必要がなくなる。そのため、複数の加熱浸炭室の間隔や複数の冷却室の間隔を、小さくできる。したがって、スペース効率がさらに良くなる。また、被処理品に対し高周波焼入れを行う高周波焼入機との配置位置の組み合わせを、効率的に行うことができる。
【0023】
上記の態様においては、前記加熱浸炭室は、前記被処理品の表面炭素濃度が0.9%以上となるように、前記被処理品に対し前記真空浸炭処理を行うこと、が好ましい。
【0024】
この態様によれば、加熱浸炭室は、被処理品の表面炭素濃度が0.9%以上となるように、被処理品に対し真空浸炭処理を行う。このように、本発明の熱処理設備を、被処理品の表面炭素濃度が高濃度になるように被処理品に対し真空浸炭処理を行う設備として利用することが考えられる。これにより、熱処理設備の小型化を図ってスペース効率を良くしながら、被処理品の表面炭素濃度が高濃度になるように被処理品に対し真空浸炭処理を行うことができる。
【0025】
上記の態様においては、前記被処理品に対し高周波焼入れを行う高周波焼入機を有し、
前記移動路に沿って前記加熱浸炭冷却機構と前記高周波焼入機とが並んで配置されており、前記搬送ユニットは、前記移動路を移動して前記高周波焼入機へ前記被処理品を搬送可能であること、が好ましい。
【0026】
この態様によれば、被処理品に対し高周波焼入れを行う高周波焼入機を有している。そして、搬送ユニットの移動路に沿って加熱浸炭冷却機構と高周波焼入機とが並んで配置されている。さらに、搬送ユニットは、移動路を移動して高周波焼入機へ被処理品を搬送可能である。このようにして、高周波焼入機を熱処理設備の熱処理ラインに組み込ませている。これにより、スペース効率がさらに良くなる。
【0027】
上記課題を解決するためになされた本発明の他の態様は、被処理品を加熱して前記被処理品に対し真空浸炭処理を行う加熱浸炭室と、前記真空浸炭処理が行われた前記被処理品を冷却する冷却室と、前記被処理品を前記加熱浸炭室へ搬送し、かつ、前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送する搬送ユニットとを使用する熱処理方法において、前記搬送ユニットが移動する移動路を挟んで対向して配置される1対の前記加熱浸炭室と前記冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が前記移動路に沿って複数配置されており、前記搬送ユニットが前記移動路を移動して複数配置されている前記加熱浸炭冷却機構の各々の前記加熱浸炭室へ前記被処理品を搬送し、かつ、前記搬送ユニットが前記加熱浸炭冷却機構の各々において前記加熱浸炭室から前記冷却室へ前記被処理品を搬送すること、を特徴とする。
【0028】
この態様によれば、搬送ユニットが移動する移動路を挟んで対向して配置される1対の加熱浸炭室と冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が移動路に沿って複数配置されている。そして、搬送ユニットは、移動路を移動して複数配置されている加熱浸炭冷却機構の各々の加熱浸炭室へ被処理品を搬送可能で、かつ、加熱浸炭冷却機構の各々において加熱浸炭室から冷却室へ被処理品を搬送可能である。これにより、搬送ユニットの数を少なくできるので、熱処理設備を小型化することができる。したがって、工場などの限られた敷地の範囲内で設備を効率的に配置することができるので、スペース効率が良くなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る熱処理設備および熱処理方法によれば、スペース効率が良くなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施例の熱処理のヒートパターンを示す図である。
【図2】実施例1の熱処理設備の構成図である。
【図3】実施例1の熱処理設備による熱処理工程を表したフローチャート図である。
【図4】実施例1の熱処理設備による熱処理工程を表したフローチャート図である。
【図5】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図6】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図7】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図8】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図9】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図10】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図11】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図12】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図13】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図14】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図15】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図16】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図17】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図18】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図19】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図20】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図21】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図22】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図23】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図24】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図25】実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図26】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図27】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図28】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図29】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図30】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図31】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図32】加熱浸炭室と搬送ユニットと冷却室とを結合させる例を示す図である。
【図33】実施例2の熱処理設備の構成図である。
【図34】実施例2の熱処理設備による熱処理工程を表したフローチャート図である。
【図35】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図36】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図37】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図38】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図39】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図40】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図41】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図42】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図43】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図44】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図45】実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備の各構成部の配置図である。
【図46】実施例3の熱処理設備の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した実施例について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
〔本実施例の熱処理の説明〕
例えば歯車のような高い表面硬度が求められる機械部品の熱処理として、浸炭、冷却、焼入れをこの順で行う処理(以下、本実施例の熱処理という)がある。ここで、図1は、本実施例の熱処理のヒートパターンを示す図である。そこで、本実施例の熱処理について説明する。
【0033】
図1に示すように、まず、真空浸炭処理工程a1として、加熱浸炭室内を真空下で所定の浸炭温度(例えば、900°〜1050℃)まで加熱した後、その温度のもと、減圧下(例えば、圧力1/100気圧以下の減圧下)で所定の時間(例えば、110分間)保持して、被処理品に対し浸炭処理を行う。このように真空浸炭処理を行うことにより、表面炭素濃度が高濃度(例えば、表面炭素濃度が0.9%以上、好ましくは表面炭素濃度が0.9%〜1.5%)となるように、被処理品(鋼)の表面に炭素を導入する。ここで、表面炭素濃度とは、被処理品の表面から50μmの深さ迄の平均炭素濃度(重量%)である。
【0034】
ここで、真空浸炭処理は、加熱浸炭室内を真空下で所定の浸炭温度まで加熱した後、浸炭ガスとして炭化水素系のガス(例えばメタン,プロパン,エチレン,アセチレン等)を加熱浸炭室内に挿入することにより行われる。そして、この真空浸炭処理によれば、前記のガスが被処理品の表面に接触することによって分解する活性な炭素によって、被処理品の表面に炭素が供給される浸炭期に炭化物が生成して炭素が蓄えられる。そして、続く拡散期に炭化物が分解し、蓄えられていた炭素がマトリックスに溶解することによって、炭素が内部に向って拡散していき浸炭していく。
【0035】
そして、このように真空浸炭処理工程a1を行った後、真空冷却工程a2として、真空引きした冷却室内に冷却ガスを挿入し、大気圧よりも低い減圧下にて所定の時間(例えば、60分間)で被処理品が所定の温度(例えば、常温)になるように、被処理品を冷却(徐冷)する。そして、この真空冷却工程a2を行うことにより、被処理品の表面の組織をパーライト単相の組織にする。なお、被処理品を冷却する速度は、5℃/s〜0.2℃/sの範囲内とすることが望ましい。
【0036】
ここで、本実施例の熱処理においては、真空浸炭処理工程a1にて被処理品に対して真空浸炭処理を行った後、速やかに真空冷却工程a2にて被処理品を冷却する必要がある。その理由として、被処理品の表面に導入した高濃度の炭素が被処理品の内部に拡散することを抑制して、被処理品の表面の表面炭素濃度が大きく減少することを防止するためである。
【0037】
そして、このように真空冷却工程a2を行った後、高周波焼入れ工程a3として、所定の焼入れ温度(例えば、750℃〜850℃)まで高周波による短時間加熱(例えば、20〜30秒間程度の加熱)を行う。これにより、被処理品の表面のパーライト組織中のセメンタイトを長手方向に細かく分断し、炭化物を微細化することができる。そして、このように被処理品の表面に微細な炭化物を多量(例えば、1μm以下の大きさの炭化物の面積率が90%以上を占める量)に生成させることにより、被処理品の表面の高硬度化や高強度化を図ることができる。以上のようにして、本実施例の熱処理が行われる。
【0038】
〔熱処理設備の説明〕
次に、このような本実施例の熱処理を行う熱処理設備について説明する。
【0039】
<実施例1>
まず、実施例1について説明する。まず、実施例1の熱処理設備1の構成について説明する。ここで、図2は、実施例1の熱処理設備1の構成図である。図2に示すように、熱処理設備1は、加熱浸炭室(第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10B)、冷却室(第1冷却室12Aや第2冷却室12B)、搬送部14、加熱浸炭室用真空ポンプ16、冷却室用真空ポンプ18、被処理品投入部20、第1被処理品抽出部22A、第2被処理品抽出部22Bなどを備えている。
【0040】
第1加熱浸炭室10Aと第2加熱浸炭室10Bは、前記の真空浸炭処理工程a1において被処理品(ワーク)に対し真空浸炭処理を行うチャンバ(室)である。また、第1冷却室12Aと第2冷却室12Bは、前記の真空冷却工程a2において被処理品を冷却するチャンバ(室)である。
【0041】
本実施例では、X軸方向について搬送部14(詳細には、後述するレール26)を挟んで、第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aとが対向するように配置されている。そして、この一対の第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aとにより、第1の加熱浸炭冷却機構が形成されている。また、X軸方向について搬送部14(詳細には、後述するレール26)を挟んで、第2加熱浸炭室10Bと第2冷却室12Bとが対向するように配置されている。そして、この一対の第2加熱浸炭室10Bと第2冷却室12Bとにより、第2の加熱浸炭冷却機構が形成されている。そして、第1の加熱浸炭冷却機構と第2の加熱浸炭冷却機構は、X軸方向に直交するY軸方向に沿って(すなわち、後述するレール26の長手方向に沿って)配置されている。このように、加熱浸炭冷却機構は、Y軸方向に沿って2つ形成されている。しかしながら、必要な生産性に応じて加熱浸炭冷却機構は、3つ以上形成されていてもよい。なお、加熱浸炭室と冷却室は、不図示の移動機構(レール上を移動可能な車輪など)を備えており、X軸方向に移動可能となっている。また、加熱浸炭室と冷却室は、被処理品をX軸方向に搬送させる手段(不図示)も備えている。
【0042】
搬送部14は、レール26、搬送ユニット28、真空ポンプ30などを備え、被処理品を搬送する手段である。レール26は、搬送ユニット28が移動する移動路の一例である。このレール26は、その長手方向が前記の第1の加熱浸炭冷却機構と前記の第2の加熱浸炭冷却機構との配列方向、すなわち、図2に示すY軸方向に沿うように形成されている。これにより、搬送ユニット28は、被処理品を搭載してY軸方向に移動することができる。また、搬送ユニット28は、被処理品をX軸方向に搬送させる手段(不図示)も備えている。このようにして、搬送ユニット28は、被処理品をX軸方向およびY軸方向の各方向に搬送可能となっている。
【0043】
そして、後述するように、搬送ユニット28は、レール26を移動して、被処理品投入部20から第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10Bへ被処理品を搬送することができる。また、搬送ユニット28は、第1加熱浸炭室10Aから第1冷却室12Aへ被処理品を搬送することができ、第2加熱浸炭室10Bから第2冷却室12Bへ被処理品を搬送することができる。
【0044】
また、不図示のレールが、図2に示すX軸方向に沿って、第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aとの間、および第2加熱浸炭室10Bと第2冷却室12Bとの間に形成されている。これにより、搬送ユニット28は、X軸方向に移動して加熱浸炭室や冷却室と結合することもできる。なお、搬送ユニット28が移動する移動路として、レールの代わりに通路を形成し、当該通路上を車輪付きの搬送ユニット28が移動するようにしてもよい。
【0045】
また、搬送ユニット28には真空ポンプ30が取り付けられている。この真空ポンプ30は、搬送ユニット28の内部を真空引きするためのポンプである。なお、搬送ユニット28は1台のみ設けられている。
【0046】
加熱浸炭室用真空ポンプ16は、第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10Bの内部を真空引きするためのポンプである。また、冷却室用真空ポンプ18は、第1冷却室12Aや第2冷却室12Bを真空引きするためのポンプである。
【0047】
被処理品投入部20は、被処理品を搬送ユニット28に投入する部分である。また、第1被処理品抽出部22Aと第2被処理品抽出部22Bは、第1冷却室12Aと第2冷却室12Bから各々被処理品を抽出(排出)する部分である。この第1被処理品抽出部22Aと第2被処理品抽出部22Bは、被処理品を排出するためのコンベアを第1冷却室12Aと第2冷却室12Bとに各々直結させている。なお、被処理品に対して高周波焼入れを行う高周波焼入機(不図示)を、第1被処理品抽出部22Aや第2被処理品抽出部22Bに直結させてもよい。
【0048】
本実施例では、搬送ユニット28が移動するレール26を挟んで対向して配置される1対の加熱浸炭室と冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が、レール26の長手方向に沿って複数配置されている。そして、搬送ユニット28は、レール26を移動して複数配置されている加熱浸炭冷却機構の各々の加熱浸炭室(第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10B)へ被処理品を搬送可能である。さらに、搬送ユニット28は、複数配置されている加熱浸炭冷却機構の各々において加熱浸炭室(第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10B)から冷却室(第1冷却室12Aや第2冷却室12B)へ被処理品を搬送可能である。このようにして、1つの搬送ユニット28により、被処理品を各加熱浸炭室まで搬送させたり、被処理品を加熱浸炭室から冷却室へ搬送させることができる。そのため、搬送ユニット28の数を少なくできるので、熱処理設備1を小型化することができる。したがって、工場などの限られた敷地の範囲内で設備を効率的に配置することができるので、スペース効率が良くなる。また、搬送ユニット28は冷却室とは別に設けられているので、搬送ユニット28の移動スペースは小さい。このことからも、スペース効率がさらに良くなる。
【0049】
なお、レール26をY軸方向に延長させて、延長させたレール26の両側に加熱浸炭室と冷却室をさらに配置することにより、容易に設備の増設を行うことができる。このように、熱処理設備1は、被処理品の必要な処理量に応じて容易に拡張させることができる。なお、設備の増設を行う際には、必要に応じて、搬送ユニット28を複数備えるようにしてもよい。
【0050】
次に、図2〜図25を用いて熱処理設備1の動作について説明する。ここで、図3と図4は実施例1の熱処理設備1による熱処理工程を表したフローチャート図であり、図5〜図25は、実施例1の熱処理工程ごとの熱処理設備1の各構成部の配置図である。
【0051】
まず、前記の図2に示すように、被処理品投入部20に被処理品W1と被処理品W2を配置する。また、搬送ユニット28は、第1加熱浸炭室10Aが配置される位置に配置されている。
【0052】
次に、図5に示すように、搬送ユニット28を被処理品投入部20が配置される位置まで移動させる(ステップS1)。次に、図6に示すように、搬送ユニット28内を大気圧にし、第1扉32を開ける(図6において破線で示す)(ステップS2)。次に、図7に示すように、被処理品投入部20から1つ目の被処理品W1を搬送ユニット28内に受け取る(ステップS3)。そして、第1扉32を閉める。
【0053】
次に、図8に示すように、搬送ユニット28内を真空にして、当該搬送ユニット28を第1加熱浸炭室10Aが配置される位置まで移動させる(ステップS4)。次に、図9に示すように、第1加熱浸炭室10AをX軸方向について搬送ユニット28に向かって移動させて、第1加熱浸炭室10Aを搬送ユニット28の第1扉32側(図9の左側)の側面に結合(ドッキング)させる(ステップS5)。
【0054】
次に、図10に示すように、搬送ユニット28の第1扉32と第1加熱浸炭室10Aの扉34を開けて(図10において破線で示す)、被処理品W1を搬送ユニット28から第1加熱浸炭室10Aに搬送する(ステップS6)。次に、図11に示すように、搬送ユニット28の第1扉32と第1加熱浸炭室10Aの扉34を閉めて、第1加熱浸炭室10Aを移動させて、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28とを切り離す(ステップS7)。このようにして、第1加熱浸炭室10Aの内部に被処理品W1を配置する。そして、被処理品W1に対し前記の真空浸炭処理工程a1の処理を開始する。
【0055】
次に、被処理品W1の場合と同様にして、図12に示すように、第2加熱浸炭室10Bの内部に2つ目の被処理品W2を配置する。すなわち、搬送ユニット28を被処理品投入部20が配置される位置まで移動させ(ステップS8)、搬送ユニット28内を大気圧にする(ステップS9)。次に、被処理品投入部20から被処理品W2を搬送ユニット28内に受け取る(ステップS10)。次に、搬送ユニット28内を真空にして、当該搬送ユニット28を第2加熱浸炭室10Bが配置される位置まで移動させ(ステップS11)、第2加熱浸炭室10Bを搬送ユニット28に結合させる(ステップS12)。次に、被処理品W2を搬送ユニット28から第2加熱浸炭室10Bに搬送し(ステップS13)、第2加熱浸炭室10Bと搬送ユニット28とを切り離す(ステップS14)。このようにして、図12に示すように、第2加熱浸炭室10Bの内部に被処理品W2を配置する。そして、被処理品W2に対し前記の真空浸炭処理工程a1の処理を開始する。
【0056】
次に、図13に示すように、第1加熱浸炭室10Aが配置される位置まで搬送ユニット28を移動させる(ステップS15)。次に、図14に示すように、X軸方向について第1加熱浸炭室10Aを搬送ユニット28に向かって移動させて、第1加熱浸炭室10Aを搬送ユニット28の第1扉32側(図14の左側)の側面に結合させる(ステップS16)。次に、図15に示すように、結合させた第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28をX軸方向について搬送ユニット28に向かって移動させて、搬送ユニット28の第2扉36側(図15の右側)の側面を第1冷却室12Aの入口扉38側(図15の左側)の側面に結合させる(ステップS17)。このようにして、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させる。
【0057】
次に、第1加熱浸炭室10Aにて被処理品W1に対し前記の真空浸炭処理工程a1の処理が完了する。そして、図16に示すように、第1加熱浸炭室10Aの扉34と、搬送ユニット28の第1扉32および第2扉36と、第1冷却室12Aの入口扉38とを開ける(図16において各扉について破線で示す)(ステップS18)。このようにして、第1加熱浸炭室10Aの内部と搬送ユニット28の内部と第1冷却室12Aの内部とを連通させる。このとき、第1加熱浸炭室10Aの内部と搬送ユニット28の内部と第1冷却室12Aの内部を真空にした状態としている。
【0058】
次に、図17に示すように、搬送ユニット28により被処理品W1を第1加熱浸炭室10Aから第1冷却室12Aに搬送する(ステップS19)。このようにして、被処理品W1を第1冷却室12Aの内部に配置する。そして、被処理品W1に対し前記の真空冷却工程a2の処理を開始する。ここで、第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aとが搬送ユニット28を挟んでX軸方向に対向するように配置されており、第1加熱浸炭室10Aの内部と搬送ユニット28の内部と第1冷却室12Aの内部を同時に真空にした状態としているので、被処理品W1の搬送時間を短縮することができる。このようにして、第1加熱浸炭室10Aにて被処理品W1に対し真空浸炭処理工程a1の処理を行った後、速やかに第1冷却室12Aにて被処理品W1に対し真空冷却工程a2の処理を行うことができる。そのため、被処理品W1の表面に導入した炭素が被処理品W1の内部に拡散することを抑制して、被処理品W1の表面の表面炭素濃度が減少することを防止できる。
【0059】
次に、図18に示すように、第1加熱浸炭室10Aの扉34と搬送ユニット28の第1扉32および第2扉36と第1冷却室12Aの入口扉38とを閉めて、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aを切り離す(ステップS20)。
【0060】
次に、被処理品W1の場合と同様にして、図19に示すように、第2冷却室12Bの内部に被処理品W2を配置する。すなわち、第2加熱浸炭室10Bが配置される位置まで搬送ユニット28を移動させる(ステップS21)。次に、第2加熱浸炭室10Bを搬送ユニット28に結合させ(ステップS22)、搬送ユニット28を第2冷却室12Bに結合させる(ステップS23)。このようにして、第2加熱浸炭室10Bと搬送ユニット28と第2冷却室12Bとを結合させる。次に、第2加熱浸炭室10Bにて被処理品W2に対し前記の真空浸炭処理工程a1の処理が完了し、第2加熱浸炭室10Bの扉34と、搬送ユニット28の第1扉32および第2扉36と、第2冷却室12Bの入口扉38とを開ける(ステップS24)。このようにして、第2加熱浸炭室10Bの内部と搬送ユニット28の内部と第2冷却室12Bの内部とを連通させる。次に、被処理品W2を第2加熱浸炭室10Bから第2冷却室12Bへ搬送し(ステップS25)、第2加熱浸炭室10Bと搬送ユニット28と第2冷却室12Bを切り離す(ステップS26)。このようにして、図19に示すように、被処理品W2を第2冷却室12Bの内部に配置する。そして、被処理品W2に対し前記の真空冷却工程a2の処理を開始する。
【0061】
次に、図20に示すように、被処理品W1の場合および被処理品W2の場合と同様にして、第1加熱浸炭室10Aの内部に3つ目の被処理品W3を配置し、第2加熱浸炭室10Bの内部に4つ目の被処理品W4を配置する。すなわち、搬送ユニット28を被処理品投入部20が配置される位置まで移動させ(ステップS27)、搬送ユニット28内を大気圧にする(ステップS28)。次に、被処理品投入部20から被処理品W3を搬送ユニット28内に受け取る(ステップS29)。次に、搬送ユニット28内を真空にして、当該搬送ユニット28を第1加熱浸炭室10Aが配置される位置まで移動させ(ステップS30)、第1加熱浸炭室10Aを搬送ユニット28に結合させる(ステップS31)。次に、被処理品W3を搬送ユニット28から第1加熱浸炭室10Aに搬送し(ステップS32)、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28とを切り離す(ステップS33)。このようにして、第1加熱浸炭室10Aの内部に被処理品W3を配置する。そして、被処理品W3に対し前記の真空浸炭処理工程a1の処理を開始する。
【0062】
次に、搬送ユニット28を被処理品投入部20が配置される位置まで移動させ(ステップS34)、搬送ユニット28内を大気圧にする(ステップS35)。次に、被処理品投入部20から被処理品W4を搬送ユニット28内に受け取る(ステップS36)。次に、搬送ユニット28内を真空にして、当該搬送ユニット28を第2加熱浸炭室10Bが配置される位置まで移動させ(ステップS37)、第2加熱浸炭室10Bを搬送ユニット28に結合させる(ステップS38)。次に、被処理品W4を搬送ユニット28から第2加熱浸炭室10Bに搬送し(ステップS39)、第2加熱浸炭室10Bと搬送ユニット28とを切り離す(ステップS40)。このようにして、第2加熱浸炭室10Bの内部に被処理品W4を配置する。そして、被処理品W4に対し前記の真空浸炭処理工程a1の処理を開始する。
【0063】
次に、図21に示すように、第1冷却室12Aにて被処理品W1に対して真空冷却工程a2の処理(冷却)が完了し、第1冷却室12A内を大気圧にする(ステップS41)。次に、図22に示すように、第1冷却室12Aの出口扉40を開ける(ステップS42)。次に、図23に示すように、被処理品W1を第1冷却室12Aから第1被処理品抽出部22Aへ抽出する(ステップS43)。このように、第1冷却室12Aにて冷却した被処理品W1をX軸方向について第1加熱浸炭室10Aが配置される側とは反対側から第1冷却室12Aの外部に抽出する。
【0064】
次に、図24に示すように、第1冷却室12Aの出口扉40を閉めて、冷却室用真空ポンプ18により第1冷却室12A内を真空にする(ステップS44)。そして、第1被処理品抽出部22Aへ抽出した被処理品W1は、その後、不図示の高周波焼入機に搬送される。そして、被処理品W1に対し前記の高周波焼入れ工程a3を行う。なお、第1被処理品抽出部22Aと高周波焼入機とを直結させておき、被処理品W1を第1被処理品抽出部22Aから自動で高周波焼入機に搬送してもよい。
【0065】
次に、図25に示すように、被処理品W1の場合と同様にして、被処理品W2を第2被処理品抽出部22Bへ抽出(排出)する。すなわち、第2冷却室12Bにて被処理品W2に対して真空冷却工程a2の処理(冷却)が完了し、第2冷却室12B内を大気圧にする(ステップS45)。次に、第2冷却室12Bの出口扉40を開けて(ステップS46)、被処理品W2を第2冷却室12Bから第2被処理品抽出部22Bへ抽出し(ステップS47)、第2冷却室12B内を真空にする(ステップS48)。そして、第2被処理品抽出部22Bへ抽出した被処理品W2は、その後、不図示の高周波焼入機に搬送される。そして、被処理品W2に対し前記の高周波焼入れ工程a3を行う。なお、第2被処理品抽出部22Bと高周波焼入機とを直結させておき、被処理品W2を第2被処理品抽出部22Bから自動で高周波焼入機に搬送してもよい。なお、被処理品W3と被処理品W4に対しても、被処理品W1や被処理品W2の場合と同様に、真空冷却工程a2の処理と高周波焼入れ工程a3の処理を行う。
【0066】
なお、前記のステップS16とステップS17において第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させ、また、前記のステップS22とステップS23において第2加熱浸炭室10Bと搬送ユニット28と第2冷却室12Bとを結合させる方法は、以下のように変更してもよい。なお、以下の図26〜図32に関する説明においては、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させる方法を代表して説明するが、第2加熱浸炭室10Bと搬送ユニット28と第2冷却室12Bとを結合させる方法についても同様であるので説明を省略する。
【0067】
例えば、図26に示すように、X軸方向について第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aを各々搬送ユニット28に向かって移動させることにより、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させてもよい。
【0068】
あるいは、例えば、まず、図27に示すように搬送ユニット28を第1加熱浸炭室10Aに向かって移動させて第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28を結合させた後、図28に示すように結合させた第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28を第1冷却室12Aに向かって移動させて、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させてもよい。
【0069】
あるいは、例えば、まず、図29に示すように搬送ユニット28を第1冷却室12Aに向かって移動させて第1冷却室12Aと搬送ユニット28を結合させた後、図30に示すように結合させた第1冷却室12Aと搬送ユニット28を第1加熱浸炭室10Aに向かって移動させて、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させてもよい。
【0070】
あるいは、例えば、まず、図31に示すように第1冷却室12Aを搬送ユニット28に向かって移動させて第1冷却室12Aと搬送ユニット28を結合させた後、図32に示すように結合させた第1冷却室12Aと搬送ユニット28を第1加熱浸炭室10Aに向かって移動させて、第1加熱浸炭室10Aと搬送ユニット28と第1冷却室12Aとを結合させてもよい。
【0071】
以上のような実施例1によれば、搬送ユニット28が移動するレール26を挟んで対向して配置される1対の加熱浸炭室と冷却室からなる加熱浸炭冷却機構がレール26に沿って複数配置されている。すなわち、複数の加熱浸炭室(第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10B)と複数の冷却室(第1冷却室12Aや第2冷却室12B)が、レール26を挟んでX軸方向について各々対向して配置されている。そして、搬送ユニット28は、レール26を移動して第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10Bへ被処理品W1〜W4を搬送することができる。さらに、搬送ユニット28は、第1加熱浸炭室10Aから第1冷却室12Aへ被処理品W1〜W4を搬送することができ、第2加熱浸炭室10Bから第2冷却室12Bへ被処理品W1〜W4を搬送することができる。
【0072】
このようにして、1つの搬送ユニット28により、被処理品W1〜W4をY軸方向に搬送して各加熱浸炭室まで搬送したり、被処理品W1〜W4をX軸方向に搬送して加熱浸炭室から冷却室へ搬送することができる。そのため、搬送ユニット28の数を少なくできるので、熱処理設備1を小型化することができる。したがって、工場などの限られた敷地の範囲内で設備を効率的に配置することができるので、スペース効率が良くなる。また、被処理品投入部20と第1被処理品抽出部22Aと第2被処理品抽出部22Bを自由に配置できるので、スペース効率が良くなる。
【0073】
また、X軸方向について、第1加熱浸炭室10Aと第1冷却室12Aがレール26を挟んで対向して配置され、第2加熱浸炭室10Bと第2冷却室12Bがレール26を挟んで対向して配置されている。そして、加熱浸炭室(第1加熱浸炭室10Aや第2加熱浸炭室10B)にて被処理品W1〜W4に対し真空浸炭処理を行った後、搬送ユニット28により被処理品W1〜W4を加熱浸炭室から冷却室(第1冷却室12Aや第2冷却室12B)へ搬送する。
【0074】
これにより、真空浸炭処理を行った被処理品W1〜W4を、冷却室へ速やかに搬送して冷却することができる。そのため、被処理品W1〜W4の表面に導入した炭素が被処理品W1〜W4の内部に拡散することを抑制して、被処理品W1〜W4の表面の表面炭素濃度が大きく減少することを防止することができる。したがって、被処理品W1〜W4の表面の高硬度化や高強度化を図ることができる。
【0075】
また、加熱浸炭室と搬送ユニット28と冷却室とを結合させて加熱浸炭室の内部と搬送ユニット28の内部と冷却室の内部とを真空にした状態で、搬送ユニット28により被処理品W1〜W4を加熱浸炭室から冷却室へ搬送する。
【0076】
そのため、真空浸炭処理を行った被処理品W1〜W4を、冷却室へ速やかに搬送して冷却することができる。したがって、被処理品W1〜W4の表面に導入した炭素が被処理品W1〜W4の内部に拡散することをより確実に抑制して、被処理品W1〜W4の表面の表面炭素濃度が大きく減少することをより確実に防止することができる。ゆえに、被処理品W1〜W4の表面の高硬度化や高強度化をより確実に図ることができる。また、加熱浸炭室の内部と搬送ユニット28の内部と冷却室の内部とを真空の状態にしているので、被処理品W1〜W4が酸化することも防止できる。
【0077】
また、X軸方向について加熱浸炭室を搬送ユニット28に向かって移動させて加熱浸炭室と搬送ユニット28を結合させた後に、結合させた加熱浸炭室と搬送ユニット28をX軸方向について冷却室に向かって移動させることにより、加熱浸炭室と搬送ユニット28と冷却室とを結合させる。このように、加熱浸炭室と搬送ユニット28をX軸方向について一方向に移動させるだけでよいので、加熱浸炭室と搬送ユニット28とを移動させる機構および制御手法を簡素化できる。そのため、設備の構造の簡素化を図って、コストを低減することができる。
【0078】
あるいは、加熱浸炭室を搬送ユニット28に向かって移動させながら、冷却室を搬送ユニット28に向かって移動させて加熱浸炭室と搬送ユニット28と冷却室とを結合させてもよい。これにより、加熱浸炭室と搬送ユニット28と冷却室とを結合させる時間の短縮を図ることができる。したがって、熱処理に要する時間を短縮することができる
【0079】
また、冷却室にて冷却した被処理品W1〜W4をX軸方向について加熱浸炭室が配置される側とは反対側から被処理品抽出部(第1被処理品抽出部22Aや第2被処理品抽出部22B)により冷却室の外部に抽出する。このようにして、被処理品W1〜W4を冷却室からそのままX軸方向に沿って搬送して抽出する。これにより、スペース効率をさらに良くすることができる。また、被処理品に対し高周波焼入れを行う高周波焼入機(不図示)との配置位置の組み合わせを、効率的に行うことができる。
【0080】
また、第1加熱浸炭室10Aと第2加熱浸炭室10Bは、被処理品W1〜W4の表面炭素濃度が高濃度(例えば、0.9%以上)となるように、被処理品W1〜W4に対し真空浸炭処理を行う。このように、熱処理設備1を、本実施例の熱処理を行う設備として利用する。これにより、熱処理設備の小型化を図ってスペース効率を良くしながら、本実施例の熱処理を行うことができる。
【0081】
<実施例2>
次に、実施例2について説明する。以下の説明では、実施例1と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。実施例2の熱処理設備2の構成は、実施例1と比較して、第1被処理品抽出部22Aと第2被処理品抽出部22Bの位置が異なる。具体的には、図33に示すように、Y軸方向について、第1冷却室12A、第1被処理品抽出部22A、第2冷却室12B、第2被処理品抽出部22Bの順に配列されるようにして配置している。
【0082】
そこで、図33〜図45を用いて実施例2の熱処理設備2の動作を説明する。ここで、図34は実施例2の熱処理設備2による熱処理工程を表したフローチャート図であり、前記の図3と図4に対して異なる部分のみを示し、詳細にはステップS40からの続きを示している。また、図35〜図45は、実施例2の熱処理工程ごとの熱処理設備2の各構成部の配置図である。
【0083】
まず、図35に示すように全ての加熱浸炭室と冷却室に被処理品が配置された状態から、図36に示すように搬送ユニット28を第1冷却室12Aに結合させる(ステップS51)。次に、図37に示すように、第1冷却室12Aにて被処理品W1に対して真空冷却工程a2の処理(冷却)が完了し、搬送ユニット28の第2扉36と第1冷却室12Aの扉42を開けて、第1冷却室12Aと搬送ユニット28を連通させる(ステップS52)。次に、図38に示すように、被処理品W1を第1冷却室12Aから搬送ユニット28へ搬送する(ステップS53)。
【0084】
次に、図39に示すように、搬送ユニット28の第2扉36と第1冷却室12Aの扉42を閉めて、第1冷却室12Aを移動させて、第1冷却室12Aと搬送ユニット28とを切り離す(ステップS54)。次に、図40に示すように、搬送ユニット28を第1被処理品抽出部22Aが配置される位置まで移動させる(ステップS55)。次に、図41に示すように、搬送ユニット28内を大気圧にする(ステップS56)。次に、図42に示すように、搬送ユニット28の第2扉36を開けて、被処理品W1を第1被処理品抽出部22Aに搬送する(ステップS57)。
【0085】
次に、図43に示すように、搬送ユニット28の第2扉36を閉める(ステップS58)。次に、図44に示すように、搬送ユニット28内を真空にし、移動させる(ステップS59)。そして、第1被処理品抽出部22Aへ抽出した被処理品W1は、その後、不図示の高周波焼入機に搬送される。そして、被処理品W1に対し前記の高周波焼入れ工程a3を行う。
【0086】
次に、被処理品W1の場合と同様にして、図45に示すように、被処理品W2を第2被処理品抽出部22Bに搬送する。すなわち、搬送ユニット28を第2冷却室12Bに結合させる(ステップS60)。次に、第2冷却室12Bにて被処理品W2に対して真空冷却工程a2の処理(冷却)が完了し、第2冷却室12Bと搬送ユニット28を連通させ(ステップS61)、被処理品W2を第2冷却室12Bから搬送ユニット28へ搬送する(ステップS62)。次に、第2冷却室12Bと搬送ユニット28とを切り離し(ステップS63)、搬送ユニット28を第2被処理品抽出部22Bが配置される位置まで移動させる(ステップS64)。次に、搬送ユニット28内を大気圧にし(ステップS65)、被処理品W2を第2被処理品抽出部22Bに搬送する(ステップS66)。次に、搬送ユニット28の第2扉36を閉めて(ステップS67)、搬送ユニット28内を真空にして移動させる(ステップS68)。このように第2被処理品抽出部22Bへ抽出した被処理品W2は、その後、不図示の高周波焼入機に搬送される。そして、被処理品W2に対し前記の高周波焼入れ工程a3を行う。
【0087】
以上のような実施例2においても、前記の実施例1の効果と同様な効果を得ることができる。このように、第1被処理品抽出部22Aや第2被処理品抽出部22Bの配置位置を、自由に設定できる。
【0088】
<実施例3>
次に、実施例3について説明する。以下の説明では、実施例1や実施例2と同等の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に述べる。実施例3の熱処理設備3では、図46に示すように、被処理品W1〜W4に対し前記の高周波焼入れ工程a3を行う高周波焼入機44を有する。そして、Y軸方向についてレール26の長手方向に沿って、複数の加熱浸炭冷却機構と高周波焼入機44とが並んで配置されている。そして、搬送ユニット28は、レール26を移動することにより、第1冷却室12Aや第2冷却室12Bから高周波焼入機44へ被処理品W1〜W4を搬送することができる。このようにして、高周波焼入機44を熱処理ラインの中に組み込ませている。そのため、被処理品を高周波焼入機まで運搬するため経路(スペース)を別途設ける必要がなくなり、省スペースにすることができる。従って、実施例1や実施例2に比べてスペース効率がさらに良くなる。また、人による運搬工数をなくすことができる。
【0089】
なお、図46に示す例では、実施例1の熱処理設備1に高周波焼入機44を追加した仕様になっているが、これに限定されず、実施例2の熱処理設備2に高周波焼入機44を追加した仕様としてもよい。
【0090】
以上のような実施例3によれば、前記の実施例1の効果と実施例2の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。実施例3の熱処理設備3は、被処理品W1〜W4に対し高周波焼入れを行う高周波焼入機44を有している。そして、Y軸方向についてレール26に沿って加熱浸炭冷却機構と高周波焼入機44とが並んで配置されている。このようにして、高周波焼入機44を熱処理設備3の熱処理ラインの中に組み込ませている。これにより、スペース効率がさらに良くなる。
【0091】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。前記の実施例1〜実施例3では、熱処理設備1〜3により本実施例の熱処理を行う例を示したが、これに限定されず、熱処理設備1〜3は、その他の浸炭処理(例えば、被処理品の表面炭素濃度として高濃度が要求されない通常の浸炭を行う熱処理など)にも応用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 熱処理設備
2 熱処理設備
3 熱処理設備
10A 第1加熱浸炭室
10B 第2加熱浸炭室
12A 第1冷却室
12B 第2冷却室
14 搬送部
22A 第1被処理品抽出部
22B 第2被処理品抽出部
28 搬送ユニット
32 (搬送ユニットの)第1扉
34 (第1加熱浸炭室の)扉
36 (搬送ユニットの)第2扉
38 (冷却室の)入口扉
40 (冷却室の)出口扉
42 (冷却室の)扉
44 高周波焼入機
a1 真空浸炭処理工程
a2 真空冷却工程
a3 高周波焼入れ工程
W1 被処理品
W2 被処理品
W3 被処理品
W4 被処理品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理品を加熱して前記被処理品に対し真空浸炭処理を行う加熱浸炭室と、前記真空浸炭処理が行われた前記被処理品を冷却する冷却室と、前記被処理品を前記加熱浸炭室へ搬送し、かつ、前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送する搬送ユニットとを有する熱処理設備において、
前記搬送ユニットが移動する移動路を挟んで対向して配置される1対の前記加熱浸炭室と前記冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が前記移動路に沿って複数配置されており、
前記搬送ユニットは、前記移動路を移動して複数配置されている前記加熱浸炭冷却機構の各々の前記加熱浸炭室へ前記被処理品を搬送可能で、かつ、前記加熱浸炭冷却機構の各々において前記加熱浸炭室から前記冷却室へ前記被処理品を搬送可能であること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項2】
請求項1の熱処理設備において、
前記加熱浸炭室にて前記被処理品に対し前記真空浸炭処理を行った後、前記搬送ユニットにより前記被処理品を前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送すること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項3】
請求項2の熱処理設備において、
前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットと前記冷却室とを結合させて前記加熱浸炭室の内部と前記搬送ユニットの内部と前記冷却室の内部とを真空にした状態で、前記搬送ユニットにより前記被処理品を前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送すること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項4】
請求項3の熱処理設備において、
前記加熱浸炭室を前記搬送ユニットに向かって移動させて前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットを結合させた後に、結合させた前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットを前記冷却室に向かって移動させることにより、前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットと前記冷却室とを結合させること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項5】
請求項3の熱処理設備において、
前記加熱浸炭室と前記冷却室を各々前記搬送ユニットに向かって移動させることにより、前記加熱浸炭室と前記搬送ユニットと前記冷却室とを結合させること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つの熱処理設備において、
前記冷却室にて冷却した前記被処理品を前記加熱浸炭室が配置される側とは反対側から前記冷却室の外部に抽出すること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1つの熱処理設備において、
前記加熱浸炭室は、前記被処理品の表面炭素濃度が0.9%以上となるように、前記被処理品に対し前記真空浸炭処理を行うこと、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1つの熱処理設備において、
前記被処理品に対し高周波焼入れを行う高周波焼入機を有し、
前記移動路に沿って前記加熱浸炭冷却機構と前記高周波焼入機とが並んで配置されており、
前記搬送ユニットは、前記移動路を移動して前記高周波焼入機へ前記被処理品を搬送可能であること、
を特徴とする熱処理設備。
【請求項9】
被処理品を加熱して前記被処理品に対し真空浸炭処理を行う加熱浸炭室と、前記真空浸炭処理が行われた前記被処理品を冷却する冷却室と、前記被処理品を前記加熱浸炭室へ搬送し、かつ、前記加熱浸炭室から前記冷却室へ搬送する搬送ユニットとを使用する熱処理方法において、
前記搬送ユニットが移動する移動路を挟んで対向して配置される1対の前記加熱浸炭室と前記冷却室からなる加熱浸炭冷却機構が前記移動路に沿って複数配置されており、
前記搬送ユニットが前記移動路を移動して複数配置されている前記加熱浸炭冷却機構の各々の前記加熱浸炭室へ前記被処理品を搬送し、かつ、前記搬送ユニットが前記加熱浸炭冷却機構の各々において前記加熱浸炭室から前記冷却室へ前記被処理品を搬送すること、
を特徴とする熱処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【公開番号】特開2013−64184(P2013−64184A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204127(P2011−204127)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】