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熱可塑性エラストマー組成物、ポリオレフィン系樹脂用改質剤、及び樹脂組成物、並びに成形体
説明

熱可塑性エラストマー組成物、ポリオレフィン系樹脂用改質剤、及び樹脂組成物、並びに成形体

【課題】樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させることができる熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物からなるポリオレフィン系樹脂用改質剤、並びに耐衝撃性及び耐光性に優れる樹脂組成物及び成形体を目的する。
【解決手段】特定のビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して得られる共重合体(α)と、熱可塑性エラストマー(β)とを含有する熱可塑性エラストマー組成物。また、該熱可塑性エラストマー組成物からなるポリオレフィン系樹脂用改質剤。また、前記共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)、及びポリオレフィン系樹脂(γ)を含有する樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形して得られる成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物、ポリオレフィン系樹脂用改質剤、及び樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を成形した成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性エラストマーは、各種熱可塑性樹脂、特にポリオレフィン系樹脂に添加することでその耐衝撃性を向上させることができる。そのため、例えばポリプロピレン系樹脂等に熱可塑性エラストマーを添加した樹脂組成物が、自動車内装用部材等に広く用いられている。
【0003】
一方、自動車内装用部材に用いられる樹脂組成物には、耐衝撃性に加えて優れた耐光性が求められるため、ヒンダードアミン型光安定剤(以下、「HALS」という。)が添加されることが極めて多い。
例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に、熱可塑性エラストマーとHALSを添加して樹脂組成物を得る技術が示されている(特許文献1、2)。
【0004】
しかし、特許文献1及び2の技術では、高極性かつ低分子量のHALSを用いて耐光性の向上を図っているため、無極性樹脂であるポリオレフィン系樹脂に対するHALSの分散性が充分に得られず、高度化する耐光性の要求を満足できないことがあった。
そのため、優れた耐衝撃性及び耐光性を有する樹脂組成物を得る技術が望まれている。
【特許文献1】特開2000−44743号公報
【特許文献2】特開2007−131729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させることができる熱可塑性エラストマー組成物及び該熱可塑性エラストマー組成物からなるポリオレフィン系樹脂用改質剤、並びに耐衝撃性及び耐光性に優れる樹脂組成物を目的とする。また、前記樹脂組成物を用いることにより、耐衝撃性及び耐光性に優れる成形体を目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討した結果、ピペリジル基を有する共重合体と熱可塑性エラストマーとを含有する熱可塑性エラストマー組成物をポリオレフィン系樹脂に配合することにより、ポリオレフィン系樹脂の耐衝撃性及び耐光性を向上させることが可能であることを見出した。
即ち、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、下式(1)で表されるビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して得られる共重合体(α)と、熱可塑性エラストマー(β)とを含有する組成物である。
【化1】

(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜2のアルキル基であり、Xは酸素原子又はイミノ基であり、Yは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシル基であり、Zは水素原子又はシアノ基である。)
【0007】
また、本発明のポリオレフィン系樹脂用改質剤は、前記熱可塑性エラストマー組成物からなる改質剤である。
【0008】
また、本発明の樹脂組成物は、下式(1)で表されるビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して得られる共重合体(α)と、熱可塑性エラストマー(β)と、ポリオレフィン系樹脂(γ)とを含有する組成物である。
【化2】

(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜2のアルキル基であり、Xは酸素原子又はイミノ基であり、Yは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシル基であり、Zは水素原子又はシアノ基である。)
【0009】
また、本発明の成形体は、前記樹脂組成物を成形して得られる成形体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱可塑性エラストマーは、樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させることができる。また、本発明のポリオレフィン系樹脂用改質剤は、ポリオレフィン系樹脂に添加することで、耐衝撃性及び耐光性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形して得られる成形体は、耐衝撃性及び耐光性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物(以下、「エラストマー組成物(X)」という。)は、ビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して得られる共重合体(α)と、熱可塑性エラストマー(β)とを含有する組成物である。
本発明のエラストマー組成物(X)を被添加樹脂に添加して樹脂組成物とすることにより、該樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させることができる。前記被添加樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(以下、「PO系樹脂」という。)、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂等の各種熱可塑性樹脂が挙げられる。本発明のエラストマー組成物(X)は、特にPO系樹脂に対して好適に用いることができる。
【0012】
共重合体(α)は、ビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合させることにより得られる共重合体である。共重合体(α)は、紫外線安定化機能(ラジカル捕捉機能)を有しており、得られる樹脂組成物の耐光性を向上させる役割を果たす。また、熱可塑性エラストマー(β)と併用することにより、熱可塑性エラストマー(β)を単独で使用した場合に比べて耐衝撃性を大きく向上させる役割を果たす。
【0013】
ビニル単量体(a)は、下式(1)で表される単量体である。
【化3】

【0014】
ビニル単量体(a)におけるRは、水素原子又は炭素原子数1〜2のアルキル基である。
また、Xは、酸素原子又はイミノ基である。
また、Yは、水素原子、又は炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシル基の3態様のうちのいずれかである。
また、Zは、水素原子又はシアノ基である。
【0015】
ビニル単量体(a)の具体例としては、ラジカル捕捉機能を有するものが挙げられ、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げられる。
ただし、本発明においては、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを、(メタ)アクリレートはアクリレート又はメタクリレートを、(メタ)アクリルはアクリル又はメタクリルを示す。
ビニル単量体(a)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
ビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)の合計(100質量%)中のビニル単量体(a)の含有率は、1〜50質量%であることが好ましく、6〜50質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることがさらに好ましく、10〜40質量%であることが特に好ましい。
ビニル単量体(a)の含有率が1質量%以上であれば、特にPO系樹脂に添加する場合に、PO系樹脂の優れた特性を低下させることなく耐光性及び耐衝撃性を向上させることが容易になる。また、ビニル単量体(a)の含有率が50質量%以下であれば、特にPO系樹脂に添加する場合に、該PO系樹脂との相溶性を充分に確保できるため、耐光性を向上させることが容易になる。
【0017】
本発明における共重合体(α)の製造には、ビニル単量体(a)と、ビニル単量体(a)以外のその他の単量体(b)を用いる。
【0018】
その他の単量体(b)は、ビニル単量体(a)と共重合させることができるものであればよく、例えば、(メタ)アクリレート単量体、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体が挙げられる。
(メタ)アクリレート単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルメタアクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレートが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−クロルスチレンが挙げられる。
シアン化ビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリルが挙げられる。
【0019】
その他の単量体(b)としては、上記の単量体以外にも、例えば、(メタ)アクリルアミド;ビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、酢酸ビニル等のビニル単量体;(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有ビニル単量体;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジプロピル、イタコン酸ジブチル等のイタコン酸エステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル等のフマル酸エステル;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル;エチレン、プロピレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のオレフィンが挙げられる。
【0020】
なかでも、樹脂組成物の耐光性を向上させる効果に優れる点から、アルキル基の炭素原子数が2以上のアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、分岐アルキル基を有する(メタ)アクリレートがより好ましく、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートがさらに好ましい。
その他の単量体(b)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
ビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して共重合体(α)を得る方法としては、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法を用いることができる。なかでも、重合後の重合物からの共重合体(α)の回収の容易性、重合物の低臭気性、ハンドリング性、耐ブロッキング性及び経済性等に優れる点から、水を媒体とする重合方法、すなわち、乳化重合法又は懸濁重合法を用いることが好ましい。
これらの重合法で共重合体(α)を得る際は、高い重合安定性が得られる点から、塩基性化合物を添加して重合系のpHをアルカリ領域に調整しておくことが好ましい。pH調整剤(重合安定剤)として使用することができる塩基性化合物としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
【0022】
また、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、滴下懸濁重合法等の特定の粒子構造体を得ることができる重合法を用いて重合する場合、その粒子構造は単層構造であっても多層構造であってもよい。ただし、多層構造粒子とする場合には、経済性の点から3層構造以下とすることが好ましい。
【0023】
共重合体(α)を乳化重合法により重合する場合、乳化剤として、例えば、公知のアニオン性又はノニオン性の乳化剤、高分子乳化剤、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する反応性乳化剤を用いることができる。
【0024】
アニオン性乳化剤としては、例えば、商品名「ニューコール560SF」、「同562SF」、「同707SF」、「同707SN」、「同714SF」、「同723SF」、「同740SF」、「同2308SF」、「同2320SN」、「同1305SN」、「同271A」、「同271NH」、「同210」、「同220」、「同RA331」、「同RA332」(以上、日本乳化剤(株)製)、
商品名「ラテムルB−118E」、「レベノールWZ」、「ネオペレックスG−15」(以上、花王(株)製)、
商品名「ハイテノールN08」(第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
【0025】
ノニオン性乳化剤としては、例えば、商品名「ノニポール200」、「ニューポールPE−68」(以上、三洋化成工業(株)製)が挙げられる。
【0026】
高分子乳化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
【0027】
反応性乳化剤としては、例えば、商品名「Antox MS−60」、「同MS−2N」(以上、日本乳化剤(株)製)、
商品名「エレミノールJS−2」(三洋化成工業(株)製)、
商品名「ラテムルS−120」、「同S−180」、「同S−180A」、「同PD−104」(以上、花王(株)製)、
商品名「アデカリアソープSR−10」、「同SE−10」(以上、(株)ADEKA製)、
商品名「アクアロンKH−05」、「同KH−10」、「同HS−10」(以上、第一工業製薬(株)製)等の反応性アニオン性乳化剤、
商品名「アデカリアソープNE−10」、「同ER−10」、「同NE−20」、「同ER−20」、「同NE−30」、「同ER−30」、「同NE−40」、「同ER−40」(以上、(株)ADEKA製)、
商品名「アクアロンRN−10」、「同RN−20」、「同RN−30」、「同RN−50」(以上、第一工業製薬(株)製)等の反応性ノニオン性乳化剤が挙げられる。
これらの乳化剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
また、共重合体(α)を溶液重合法により重合する場合、溶媒として、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、シクロヘキサン等の脂環系溶媒を用いることができる。
これらの溶媒は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
また、共重合体(α)を懸濁重合法により重合する場合、分散安定剤として、例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、澱粉末シリカ等の水難溶性無機化合物、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、セルロース誘導体等のノニオン系高分子化合物、ポリアクリル酸及びその塩、ポリメタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステルとメタクリル酸及びその塩との共重合体等のアニオン系高分子化合物を用いることができる。
なかでも、極少量で分散安定性を保持でき、懸濁重合の分散剤として非常に優れている点から、アニオン系高分子化合物が特に好ましい。
これらの分散安定剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
各種重合法によって重合された共重合体(α)は、各々の重合法に適した方法で固形分(樹脂分)を回収すればよい。
例えば、共重合体(α)を乳化重合法により重合した場合は、スプレードライ法、塩析凝固法、遠心分離法、凍結乾燥法等の方法で樹脂分を回収すればよい。
スプレードライ法による固形分回収法としては、乳化重合して得られた乳化分散体をスプレードライヤーにて、入り口温度を120〜220℃、出口温度を40〜90℃として噴霧乾燥し、粉末回収する方法を用いることができる。出口温度は、回収した2次粒子の1次粒子への解砕性に優れる点から、40〜80℃であることが好ましく、40〜70℃であることが特に好ましい。
【0031】
また、塩析凝固法による固形分回収法としては、乳化分散体を30〜60℃で凝析剤に接触させ、攪拌しながら凝析させてスラリーとし、脱水乾燥して粉末回収することができる。
塩析凝固法における凝析剤としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸等の無機酸類、蟻酸、酢酸等の有機酸類、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム等の塩類を挙げることができる。ただし、塩酸等の酸類による凝固を行なった場合は酸によるヒンダードアミン基の失活の危険性があるため、粉体回収後にアンモニア水等の塩基性水溶液で洗浄することが好ましい。
【0032】
また、共重合体(α)を溶液重合法により重合した場合は、再沈殿法、溶媒揮発除去法等の方法で固形分を回収すればよい。
また、共重合体(α)を懸濁重合法により重合した場合は、濾過回収が最も簡便である。
【0033】
共重合体(α)は、ラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル等の油溶性アゾ化合物;2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシエチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]及びその塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]及びその塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}及びその塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)及びその塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピンアミジン)及びその塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]及びその塩の水溶性アゾ化合物;過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物が挙げられる。
これらのラジカル重合開始剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、乳化重合法により重合を行なう場合には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤を前記ラジカル重合開始剤と組み合わせて用いることが好ましい。
【0034】
共重合体(α)の質量平均分子量(以下、「Mw」という。)は、5,000〜200,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましく、5,000〜50,000であることが特に好ましい。
共重合体(α)のMwが5,000以上であれば、樹脂組成物中からの共重合体(α)のブリードアウトが抑制でき、長期に亘って耐光性向上能を発現させることが容易になる。また、共重合体(α)のMwが200,000以下であれば、樹脂組成物中において共重合体(α)の分散性が高くなることで、高度な耐光性を発現させることが容易になる。
共重合体(α)のMwを調節する方法は特に限定されないが、ラジカル重合開始剤の使用量を調節する方法の他、連鎖移動剤を用いる方法も有効な手段である。
【0035】
共重合体(α)の重合に使用できる連鎖移動剤としては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−オクチルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等のメルカプタン化合物;四塩化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化合物;α−メチルスチレンダイマー等の公知の連鎖移動剤が挙げられる。
これらの連鎖移動剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の使用量は、使用する連鎖移動剤の種類や、ビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)の構成比に応じて適宜選択すればよい。
【0036】
共重合体(α)のガラス転移温度(以下、「Tg」という。)は、ハンドリング性に優れる点から、50℃以上であることが好ましい。特に乳化重合法を用いて多層構造粒子を形成させる場合は、粉体回収の容易さを考慮し、最外層にTgが50℃以上の共重合体層を形成することが好ましい。
【0037】
ただし、Tgは、Foxの計算式により求められる計算Tgを使用する。
Foxの式とは、以下に示すような、共重合体のTg(℃)と、共重合単量体のそれぞれを単独重合した単独重合体のTg(℃)との関係式である。
1/(273+Tg)=Σ(W/(273+Tg))
(式中、Wは単量体iの質量分率、Tgは単量体iの単独重合体のTg(℃)を示す。)
なお、単独重合体のTgとしては、具体的には、「Polymer Handbook 3rd Edition」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION、1989年)に記載された値を使用することができる。
【0038】
本発明のエラストマー組成物(X)に含有される共重合体(α)は、同一組成の共重合体(α)を単独で使用してもよく、組成、分子量、粒子径等の異なる共重合体(α)を2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0039】
エラストマー組成物(X)中の共重合体(α)の含有率は特に限定はなく、エラストマー組成物(X)の全質量を100質量%とした時、1〜50質量%であることが好ましい。共重合体(α)の含有率が1質量%以上であれば、樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させる効果を発現させやすい。
【0040】
本発明のエラストマー組成物(X)は、添加して得られた樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる点から、共重合体(α)と共に熱可塑性エラストマー(β)を含有する。共重合体(α)と熱可塑性エラストマー(β)を併用することにより、熱可塑性エラストマーを単独で使用した場合に比べて高い衝撃強度向上能を発現することができる。
【0041】
熱可塑性エラストマー(β)は特に限定されず、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー等の公知の熱可塑性エラストマーを使用することができ、芳香族ビニル/共役ジエン共重合体系エラストマーが好ましい。
芳香族ビニル/共役ジエン共重合体系エラストマーを構成する芳香族ビニル成分としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、スチレンが特に好ましい。また、共役ジエン成分としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、熱可塑性エラストマー(β)としては、芳香族/共役ジエン共重合体系エラストマーも好ましく、なかでも水素添加された芳香族/共役ジエン共重合体がより好ましく、水素添加されたスチレン/エチレン/ブタジエン共重合体(以下、「水添SEBS」という。)が特に好ましい。
共重合体(α)と共に熱可塑性エラストマー(β)として水添SEBSを用いた場合、相乗的な衝撃強度向上能を得ることができる。
水添SEBSとしては、例えば、商品名「タフテックH1031」、「同H1041」、「同H1043」、「同H1051」、「同H1052」、「同H1053」、「同H1062」、「同1141」、「同1221」、「同1272」(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、商品名「ダイナロン8601P」、「同9901P」(以上、JSR(株)製)が挙げられる。
これらの熱可塑性エラストマー(β)は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
エラストマー組成物(X)中の熱可塑性エラストマー(β)の含有率は特に限定はなく、エラストマー組成物(X)の全質量を100質量%とした時、50〜99質量%であることが好ましい。熱可塑性エラストマー(β)の前記含有率が50質量%以上であれば、樹脂組成物の耐衝撃性を向上させる効果を発現させやすい。
【0044】
本発明のエラストマー組成物(X)は、共重合体(α)と熱可塑性エラストマー(β)を混合することにより得られる。
共重合体(α)と熱可塑性エラストマー(β)の混合方法は特に限定されず、一軸もしくは多軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等の公知の混練機を用いて混合する方法の他、両者を共に溶媒を用いて溶液としたものを混合して混合溶液を得た後、加熱溶媒除去法や再沈殿法等を行なうことにより混合物を得る方法も有効である。
【0045】
本発明のエラストマー組成物(X)は、被添加樹脂に添加して樹脂組成物とした際に該樹脂組成物に高度な性能を発現させる点から、前述の共重合体(α)及び熱可塑性エラストマー(β)以外に、必要に応じて、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、共重合体(α)以外のヒンダードアミン型光安定剤、加工助剤、滑剤、可塑剤、防霧剤、防曇剤、親水性付与剤、無機熱安定剤、粘着防止剤、充填剤、衝撃強度改質剤、顔料、染料、難燃剤、離型剤、防腐剤、抗菌剤、発泡剤、つや消し剤、帯電防止剤、遮熱剤、反射剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0046】
前記添加剤のうち、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、商品名「ヨシノックス BHT」、「同BB」、「同2246G」、「同425」、「同250」、「同930」、「トミノックス SS」、「同TT」、「同917」、「同314」(以上、(株)エーピーアイ・コーポレーション製)、商品名「イルガノックス1010」、「同1010FF」、「同1035」、「同1035FF」、「同1076」、「同1076FD」、「同1076DWJ」、「同1098」、「同135」、「同1330」、「同1425WL」、「同1520L」、「同1520SE」、「同1726」、「同245」、「同245FF」、「同245DWJ」、「同259」、「同3114」、「同3790」、「同5057」、「同565」、「同565DD」(以上、チバ・ジャパン(株)製)、商品名「アデカスタブ AO−20」、「同AO−30」、「同AO−40」、「同AO−50」、「AO−50F」、「同AO−60」、「同AO−60G」、「同AO−70」、「同AO−80」、「同AO−330」、「同A−611」、「同A−611RG」、「同A−612」、「同A−612RG」、「同A−613」、「同A−613RG」、「同AO−51」、「同AO−15」、「同AO−18」、「同328」、「同AO−37」(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
リン系酸化防止剤としては、例えば、商品名「IRGAFOS 168」、「同168FF」、「同12」、「同38」、「同P−EPQ」、「同P−EPQ FD」(以上、チバ・ジャパン(株)製)、商品名「アデカスタブPEP−4C」、「同PEP−8」、「同PEP−8W」、「同PEP−24G」、「同PEP−36」、「同PEP−36Z」、「同HP−10」、「同2112」、「同2112RG」、「同260」、「同522A」、「同1178」、「同1500」、「同C」、「同135A」、「同3010」、「同TPP」(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
これらのリン系酸化防止剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、商品名「イルガノクス PS 800 FD」、「同PS 802 FD」(以上、チバ・ジャパン(株)製)、商品名「アデカスタブAO−412S」、「同AO−503」(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
これらのイオウ系酸化防止剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
紫外線吸収剤としては、例えば、商品名「チヌビンP」、「同P FL」、「同234」、「同326」、「同326FL」、「同329」、「同329FL」、「同360」、「同213」、「同571」、「同1577FF」、「同120」、「キマソーブ81」、「同81FL」(以上、チバ・ジャパン(株)製)、商品名「アデカスタブ LA−32」、「同LA−36」、「同LA−36RG」、「同LA−31」、「同LA−31RG」、「同1413」、「同LA−51」(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0050】
重合体(α)以外のヒンダードアミン型光安定剤としては、「N−Hタイプ」、「N−Rタイプ」、「N−O−Rタイプ」等の既知のヒンダードアミン型光安定化剤を用いることができる。
「N−Hタイプ」のヒンダードアミン型光安定化剤としては、例えば、商品名、「チヌビン770」(チバ・ジャパン(株)製)、商品名「アデカスタブ LA−57」、「同LA−63P」、「同LA−68P」(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
「N−Rタイプ」のヒンダードアミン型光安定化剤としては、商品名、「チヌビン292」、「同144」、「同765」、「キマソーブ119FL」(以上、チバ・ジャパン(株)製)、商品名「アデカスタブ LA−52」、「同LA−62」、「同LA−67」(以上、(株)ADEKA製)が挙げられる。
「N−O−Rタイプ」のヒンダードアミン型光安定化剤としては、商品名、「チヌビン123」、「同494AR」、「同NOR371FF」、「フレームスタブ NOR116FF」(以上、チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
これらのヒンダードアミン型光安定化剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
加工助剤としては、例えば、商品名「メタブレンA−3000」、「同P−700」、「同P−551」、「同L−1000」(以上、三菱レイヨン(株)製)、商品名、「カネエース PA−20」、「同PA−100」(以上、鐘淵化学工業(株)製)、商品名「マークLS−3」、「同LS−5」(以上、(株)AEDKA製)が挙げられる。
これらの加工助剤は、単独で使用できる他、2種以上を組み合わせて使用できる。
【0052】
滑剤としては、例えば、商品名「ATMER SA 1750」、「同SA 1753」、「同SA 1753FD」、「同SA1756」、「同1759」、「同SA 1759FD」(以上、チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
これらの滑剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0053】
可塑剤としては、例えば、商品名「Plasticizer B2714」、「同B2714」、「同P0288」、「同B2715」、「同P0279」、「同P0304」、「同P0291」、「同P0292」、「同P0293」、「同P0296」、「同P0298」、「同P0299」、「同P0300」、「同P0301」、「同P0302」、「同P0303」、「同P0305」、「同P0306」、「同P0307」、「同D3248」、「同E0164」、「同I0157」、「同P0657」、「同P1344」、「同P0468」、「P1021」、「同P0265」、「同P1331」、「同P2069」、「同P0266」、「同P0273」、「同P0270」、「同P0271」、「同P0272」、「同P0683」、「同P0268」、「同P1022」、「同B0881」、「同A1308」、「同S0027」、「同O0054」、「同O0143」、「同F0116」、「同M0009」、「同O0055」、「同A1386」、「同A0931」、「同A1388」、「同B2716」、「同A0163」、「同A0653」、「同A1473」、「同F0117」、「同M0011」、「同S0025」、「同S0028」、「同A0655」、「同S0023」、「同A0162」、「同M0010」、「同S0024」、「同S0103」、「同A0706」、「同A0164」、「同A1387」、「同A0654」、「同A0166」、「同A1308」、「同M0027」、「同O0054」、「同O0143」、「同F0116」、「同M0009」、「同O0055」、「同D1230」、「同D1522」、「同B0828」、「同B0489」、「同B0498」、「同G0082」、「同T0364」、「同G0086」、「同T0923」、「同B0496」、「同B0737」、「同C0602」、「同C0601」、「同E0164」、「同A0086」、「同A0879」、「同C0366」、「同A0822」、「同C0367」、「同C0368」(以上、東京化成工業(株)製)が挙げられる。
これらの可塑剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0054】
親水性付与剤としては、例えば、商品名「イルガサーフ HL 560」(チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
【0055】
難燃剤としては、例えば、商品名「アデカスタブPFR」、「同FP−600」、「同FP−700」、「同FP−2000」、「同FP−2200」(以上、(株)ADEKA製)、商品名「レオフォス35」、「同65」、「同95」、「同110」、「同TPP」、「同RDP」、「同BAPP」、「同CDP」、「同クロニテックスTCP」、「同TXP」、「レオモールTIBP」、「同TOP」、「KP−140」、「レオルーブHYD−110」、「エンパラ40」、「同70」、「同K−43」、「同K−45」、「同K−47」、「同K−50」、「同AR−500」、「ポリセーフ100」、「同100−T」、「同100−NDT」、「同FCP−5」、「同FCP−6」、「同NS−80A」、「同NS−80B」、「同NH−12」、「同MG−23X」(以上、味の素ファインテクノ(株)製)、商品名「FLAMESTAB NOR 116FF」、「MELAPUR MC 25」、「同200/70」(以上、チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
これらの難燃剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0056】
抗菌剤としては、例えば、商品名「IRGUARD B1000」、「同B5000」、「同B5120」、「同B6000」、「同B7000」、「同B7250」、「同B7620」、「同B7920」(以上、チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
これらの抗菌剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0057】
帯電防止剤としては、例えば、商品名「IRGASTAT P16」、「同P18」、「同P20」、「同P22」(以上、チバ・ジャパン(株)製)が挙げられる。
これらの帯電防止剤は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0058】
本発明のポリオレフィン系樹脂用改質剤は、前述のエラストマー組成物(X)からなる改質剤である。
本発明のエラストマー組成物(X)は、このようにPO系樹脂に添加してポリオレフィン系の樹脂組成物を得るポリオレフィン系樹脂用改質剤として用いることが特に好ましい。PO系樹脂にポリオレフィン系樹脂用改質剤を添加することにより、耐衝撃性及び耐光性に特に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0059】
本発明の樹脂組成物(以下、「樹脂組成物(Y)」という。)は、前述の共重合体(α)及び熱可塑性エラストマー(β)と、PO系樹脂(γ)とを含有する、ポリオレフィン系の樹脂組成物である。
PO系樹脂(γ)は、エチレン又はプロピレン成分を主成分とする樹脂である。
PO系樹脂(γ)中のエチレン及びプロピレン成分の含有率(いずれか一方のみの場合はその成分の含有率)は、PO系樹脂(γ)の重合に用いる全単量体100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが特に好ましい。
【0060】
PO系樹脂(γ)としては、例えば、エチレン単独重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体、エチレン/ビニルアルコール共重合体等のエチレン系樹脂;プロピレン単独重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/メタクリル酸共重合体、プロピレン/アクリル酸共重合体、プロピレン/エチルアクリレート共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0061】
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、例えば、商品名「ノバテック HD HJ360」、「同HJ362N」、「同HJ560」、「同HJ580」、「同HJ490」、「同HJ590N」、「同HY420」、「同HY530」、「同HY430」、「同HY331」、「同HY540」、「同HE421」、「同HE321E」、「同HF313」、「同HF111」、「同HF133」、「同HF560」(以上、日本ポリエチレン(株)製)、商品名「ミネロン」、「ミネエース」、「ミネファン」(以上、三共ポリエチレン(株)製)、商品名「エバフレックス」、「エルバロイAC」、「ニュクレル」(以上、三井デュポンポリケミカル(株)製)が挙げられる。
【0062】
プロピレン系樹脂の具体例としては、例えば、商品名「ノバテックPP」、「ウィンテック」、「ニューコン」、「ニューストレン」、「ニューフォーマー」、「ファンクスター」(以上、日本ポリプロ(株)製)、商品名「プライムポリプロ J105G」、「同J106G」、「同J106MG」、「同J108M」、「同BJS−MU」、「同J704LB」、「同J704MG」、「同J705MG」、「同J715M」、「同J717ZG」、「同111G」、「同B221WA」、「同J232WA」、「同B241」、「同F113G」、「同F109V」、「同F227D」、「同F219DA」、「同F329RA」(以上、(株)プライムポリマー製)が挙げられる。
これらのPO系樹脂(γ)は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
樹脂組成物(Y)中の共重合体(α)の含有率は、樹脂組成物(Y)の全質量を100質量%としたとき、0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。共重合体(α)の含有率が0.1質量%以上であれば、耐衝撃性及び耐光性に優れた樹脂組成物(Y)が得られやすい。共重合体(α)の含有率が10質量%以下であれば、樹脂組成物(Y)を構成するPO系樹脂の特性を損なわずに、耐衝撃性及び耐光性を向上させやすい。
【0064】
樹脂組成物(Y)中の熱可塑性エラストマー(β)の含有率は、樹脂組成物(Y)の全質量を100質量%としたとき、2〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。熱可塑性エラストマー(β)の含有率が2質量%以上であれば、耐衝撃性に優れた樹脂組成物(Y)が得られやすい。熱可塑性エラストマー(β)のの含有率が40質量%以下であれば、樹脂組成物(Y)を構成するPO系樹脂の特性を損なわずに、耐衝撃性を向上させやすい。
【0065】
樹脂組成物(Y)中のPO系樹脂(γ)の含有率は、樹脂組成物(Y)の全質量を100質量%としたとき、50〜97.9質量%であることが好ましく、65〜94質量%であることがより好ましい。PO系樹脂(γ)の含有率が50質量%以上であれば、PO系樹脂の特性が損なわれ難い。PO系樹脂(γ)の含有率が97.9質量%以下であれば、樹脂組成物(Y)の耐衝撃性及び耐光性を向上させやすい。
【0066】
共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)及びPO系樹脂(γ)を含む樹脂組成物(Y)を得る方法としては、共重合体(α)と熱可塑性エラストマー(β)を予め混合してエラストマー組成物(X)(ポリオレフィン系樹脂用改質剤)を得た後に、該エラストマー組成物(X)をPO系樹脂(γ)に混合する方法(1)であってもよく、共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)及びPO系樹脂(γ)を一度に混合する方法(2)であってもよい。
【0067】
方法(1)及び方法(2)における混合方法は、特に限定されず、例えば、一軸もしくは多軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等の公知の混練機を用いた混合方法が挙げられる。
また、本発明の樹脂組成物(Y)は、使用目的に応じて、射出成形、カレンダー成形、ブロー成形、熱成形、発泡成形、押出成形、真空成形等の公知の成形法で成形することができる。
【0068】
樹脂組成物(Y)には、高度な性能を発現させるために、必要に応じて、前述のヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、紫外線吸収剤、共重合体(α)以外のヒンダードアミン型光安定剤、加工助剤、滑剤、可塑剤、防霧剤、防曇剤、親水性付与剤、無機熱安定剤、粘着防止剤、充填剤、衝撃強度改質剤、顔料、染料、難燃剤、離型剤、防腐剤、抗菌剤、発泡剤、つや消し剤、帯電防止剤、遮熱剤、反射剤等の添加剤が含有されていてもよい。
【0069】
樹脂組成物(Y)に添加剤を含有させる方法は、特に限定されない。
例えば、方法(1)の場合は、エラストマー組成物(X)に添加剤を配合したものをPO系樹脂(γ)に混合する方法であってもよく、添加剤が含有されていないエラストマー組成物(X)、添加剤、及びPO系樹脂(γ)を一度に混合する方法であってもよい。
また、方法(2)の場合は、共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)、PO系樹脂(γ)、及び添加剤を一度に混合する方法等が挙げられる。
【0070】
本発明の樹脂組成物(Y)は、優れた耐衝撃性及び耐光性を有していることから、例えば、自動車内外装用、建材用外装材、外装部材、電線被覆材、スポーツ用品、繊維製品、医療用品、食品容器、家電用部材、OA機器、家庭用品、家具、各種フィルム等の用途に用いることができる。
【0071】
本発明の成形体は、樹脂組成物(Y)を成形して得られる成形体である。樹脂組成物(Y)を使用目的に応じた前記成形法により成形することにより、耐衝撃性及び耐光性に優れた成形体が得られる。
本発明の成形体は、前述の通りであり、その形状及び寸法は用途に応じて適宜選択することができる。
【0072】
以上説明した本発明のエラストマー組成物(X)は、共重合体(α)及び熱可塑性エラストマー(β)を共に含有することから、添加して得られた樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させることができる。また、本発明のポリオレフィン系樹脂用改質剤は、PO系樹脂に添加することで、耐衝撃性及び耐光性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
また、本発明の樹脂組成物(Y)は、共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)、及びPO系樹脂(γ)を含有しているため、耐衝撃性及び耐光性に特に優れている。また、本発明の成形体は、樹脂組成物(Y)を用いているため、耐衝撃性及び耐光性に特に優れていた成形体である。
【実施例】
【0073】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。尚、本実施例における「部」は「質量部」を意味する。
【0074】
[合成例1] 共重合体(α−1)の製造
下記の原料混合物を、ホモミキサーを用いて10,000rpmで5分間攪拌し、乳化混合物を得た。
原料混合物:
ビニル単量体(a) 4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン 20部
その他の単量体(b) イソブチルメタクリレート 80部
重合安定剤 水酸化ナトリウム 0.015部
連鎖移動剤 n−オクチルメルカプタン 0.8部
乳化剤 ネオペレックスG−15(商品名、花王(株)製)
(有効成分16%) (固形分として) 9部
重合開始剤 ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド 0.3部
脱イオン水 200部
【0075】
温度計、窒素導入部、冷却管及び攪拌装置を備えたセパラブルフラスコに、上記の乳化混合物を投入し、容器内を窒素置換した。
次いで、フラスコ内を攪拌しながら昇温させ、内温が43℃に達した時点で、下記の還元剤水溶液を投入し、重合を開始した。
還元剤水溶液:
硫酸第一鉄七水塩 0.0008部
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.0024部
ナトリウムアルデヒドスルホキシレート 0.62部
脱イオン水 10部
【0076】
内温を60℃で1時間保持した後、さらに内温を80℃まで昇温させて2時間保持し、乳化重合物を得た。その後、得られた乳化重合物を室温まで冷却し、酢酸カルシウム(30部)を含む熱水(300部)中に滴下して、凝析を行なった。凝析物を分離洗浄後、65℃で20時間乾燥し、共重合体(α−1)を得た。
共重合体(α−1)のMwは12,000であり、Tgは60℃であった。
【0077】
[合成例2及び3]共重合体(α−2)、(α−3)の製造
ビニル単量体(a)、その他の単量体(b)、重合安定剤、連鎖移動剤、乳化剤、重合開始剤、脱イオン水の組成を表1に示すように変更した以外は、合成例1と同様にして共重合体(α−2)及び(α−3)を得た。
共重合体(α−2)のMwは40,000であり、Tgは50℃であった。また、共重合体(α−3)のMwは13,000であり、Tgは70℃であった。
【0078】
【表1】

【0079】
表1中の表記は以下の意味を示す。
HALS1:4−メタクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン
iBMA :イソブチルメタクリレート
EHA :2−エチルヘキシルアクリレート
MMA :メチルメタクリレート
nOM :n−オクチルメルカプタン
乳化剤 :「ネオペレックス G−15」(商品名、花王(株)製)(有効成分16%)
重合開始剤:ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド
【0080】
[実施例1]
合成例1で得られた共重合体(α−1)2部、及び熱可塑性エラストマー(β)である「タフテック H1062」(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)20部を、φ30mm同方向二軸押出機(L/D=30)を用いて、スクリュー回転数200rpm、シリンダー温度160℃の条件で押出し、エラストマー組成物(X)を得た。
次いで、得られたエラストマー組成物(X)とPO系樹脂(γ)である「ノバテック MA−03」(商品名、日本ポリプロ(株)製)78部とを、それぞれ95℃で12時間乾燥させ、φ30mm同方向二軸押出機(L/D=30)を用いて、スクリュー回転数200rpmにて押出し、ペレット状の樹脂組成物(Y)を調製した。
さらに、該樹脂組成物(Y)を用いて、射出成形機「SAV−60」(商品名、(株)山城精機製作所製)により試験片(縦37mm×横48mm×厚さ3mm)を作製した。
次いで、得られた試験片に対して耐衝撃性試験及び耐光性試験を実施した。
【0081】
[実施例2及び3]
共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)、PO系樹脂(γ)の組成を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様の方法で試験片を得た。
次いで、得られた試験片に対して耐衝撃性試験及び耐光性試験を実施した。
【0082】
[実施例4]
共重合体(α−1)、熱可塑性エラストマー(β)、PO系樹脂(γ)を、それぞれ95℃で12時間乾燥させ、φ30mm同方向二軸押出機(L/D=30)を用いて、スクリュー回転数200rpmにて一括して押出してペレット状の樹脂組成物(Y)とした以外は、実施例1と同様の方法で試験片を得た。
次いで、得られた試験片に対して耐衝撃性試験及び耐光性試験を実施した。
【0083】
[比較例1]
表2に示す組成の熱可塑性エラストマー(β)とPO系樹脂(γ)とを、それぞれ95℃で12時間乾燥させた後、φ30mm同方向二軸押出機(L/D=30)を用いて、スクリュー回転数200rpmにて押出し、ペレット状の樹脂組成物を調製した。さらに、該樹脂組成物を用いて実施例1と同様の方法で試験片を得た。
次いで、得られた試験片に対して耐衝撃性試験及び耐光性試験を実施した。
【0084】
[比較例2]
熱可塑性エラストマー(β)とPO系樹脂(γ)とをそれぞれ95℃で12時間乾燥させた後、それらとヒンダードアミン型光安定剤である「アデカスタブ LA−57」(商品名、(株)ADEKA製)とを表2に示す割合で用い、比較例1と同様の方法でペレット状の樹脂組成物を調製し、試験片を得た。
次いで、得られた試験片に対して耐衝撃性試験及び耐光性試験を実施した。
【0085】
[比較例3]
用いたヒンダードアミン型光安定剤を「アデカスタブ LA−63P」(商品名、(株)ADEKA製)に変更した以外は、比較例2と同様の方法で試験片を得た。
次いで、得られた試験片に対して耐衝撃性試験及び耐光性試験を実施した。
【0086】
[比較例4]
熱可塑性エラストマー(β)を用いずに、共重合体(α−1)及びPO系樹脂(γ)を95℃で12時間乾燥した後、表2に示す割合でφ30mm同方向二軸押出機(L/D=30)を用いて、スクリュー回転数200rpmにて押出し、ペレット状の樹脂組成物を調製し、該樹脂組成物を用いて実施例1と同様の方法で試験片を得た。
【0087】
[評価方法]
実施例及び比較例で得られた試験片の評価は、以下に示す耐衝撃性試験及び耐光性試験により行なった。
(耐衝撃性試験)
実施例及び比較例で得られた試験片を用い、ASTM D256に従って、厚み6.4mm、ノッチ付きで23℃の条件でアイゾット衝撃強度を測定し、以下の基準で判定した。
○:アイゾット衝撃強度が78J/m以上
△:アイゾット衝撃強度が76J/m以上78J/m未満
×:アイゾット衝撃強度が76J/m未満
【0088】
(耐光性試験)
実施例及び比較例で得られた試験片を、評価装置「デューパネル光コントロールウエザーメーター」(商品名、スガ試験機(株)製)に入れ、連続照射、試験温度63℃の条件で、72時間経過後の△YI値を測定したものを耐光性の指標とし、以下の基準で判定した。尚、△YI値測定は日本電色工業(株)製 分光式色差計「SE−2000」を用いて、反射法により実施した。
○:△YI値が「5」未満
×:△YI値が「5」以上
実施例及び比較例で得られた試験片に対する耐衝撃性試験及び耐光性試験の結果を表2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
ただし、表2における表記は以下の意味を示す。
SEBS1:「タフテック H1062」(商品名、旭化成ケミカルズ(株)製)
HALS2:「アデカスタブ LA−57」(商品名、(株)ADEKA製)
HALS3:「アデカスタブ LA−63P」(商品名、(株)ADEKA製)
PP :「ノバテック MA−03」(商品名、日本ポリプロ(株)製)
方法(1):共重合体(α)と熱可塑性エラストマー(β)を予め混合してエラストマー組成物(X)を得た後に、該エラストマー組成物(X)をPO系樹脂(γ)に混合する方法。
方法(2):共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)及びPO系樹脂(γ)を一度に混合する方法。
【0091】
表2に示すように、共重合体(α)、熱可塑性エラストマー(β)、及びPO系樹脂(γ)を含有する本発明の樹脂組成物(Y)は、優れた耐衝撃性及び耐光性を示した。
一方、共重合体(α)を用いなかった比較例1〜3では、共重合体(α)以外のヒンダードアミン型光安定剤を用いた場合であっても実施例に比べて耐光性が著しく劣っていた。また、耐衝撃性も実施例に比べて劣っていた。
また、熱可塑性エラストマー(β)を用いなかった比較例4では、充分な耐光性が得られたものの、耐衝撃性が実施例に比べて著しく劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のエラストマー組成物(X)及びポリオレフィン系樹脂用改質剤は、樹脂組成物の耐衝撃性及び耐光性を向上させることができ、また、本発明の樹脂組成物及び成形体は高度な耐光性及び耐衝撃性を有している。そのため、自動車内外装用、建材用外装材、外装部材、電線被覆材、スポーツ用品、繊維製品、医療用品、食品容器、家電用部材、OA機器、家庭用品、家具、各種フィルム等の用途に好適に用いることができ、工業上極めて有益である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(1)で表されるビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して得られる共重合体(α)と、熱可塑性エラストマー(β)とを含有する熱可塑性エラストマー組成物。
【化1】

(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜2のアルキル基であり、Xは酸素原子又はイミノ基であり、Yは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシル基であり、Zは水素原子又はシアノ基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物からなるポリオレフィン系樹脂用改質剤。
【請求項3】
下式(1)で表されるビニル単量体(a)及びその他の単量体(b)を重合して得られる共重合体(α)と、熱可塑性エラストマー(β)と、ポリオレフィン系樹脂(γ)とを含有する樹脂組成物。
【化2】

(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜2のアルキル基であり、Xは酸素原子又はイミノ基であり、Yは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、又は炭素原子数1〜20のアルコキシル基であり、Zは水素原子又はシアノ基である。)
【請求項4】
請求項3に記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。

【公開番号】特開2009−286819(P2009−286819A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137684(P2008−137684)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】