説明

熱可塑性フラクシングアンダーフィル組成物及び方法

ハンダバンプと、熱可塑性樹脂とフラックスであるアンダーフィルとを有するフリップチップ、及びそのデバイスを製造する方法並びに材料を提供する。得られるデバイスは、プリント回路板に対する簡単なワンステップ適用に適し、フリップチップの製造方法を簡単にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフリップチップ構造に関する。さらに詳しくは、ハンダバンプと熱可塑性の重合体アンダーフィル材料とを含み、ハンダのリフロー工程において溶融を可能とするフリップチップ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
レジスタ、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ、IC、そしてチップキャリア等の電子部品は、通常、2つの配置の内の一つに基づいて回路に実装されている。第1の配置では、部品は基板の一方の面に実装され、部品のリードは基板内のホールを貫通して基板の反対面でハンダ付けされる。第2の配置では、部品は、実装されるのと同じ面でハンダ付けされる。これら後者のデバイスは、「表面実装されている」と呼ばれている。
【0003】
電子部品の表面実装は、非常に小さい回路構造を作製できるという点、そして自動化プロセスに役立つという点において望ましい技術である。フリップチップと言われる表面実装デバイスのタイプは、チップスケールパッケージ又はボールグリッドアレイであり、そのデバイスの下側に取り付けられたパッドに取り付けられた多数の接続リードを有するICを有している。これら表面実装デバイスは、よくエリアアレイパッケージと言われる。フリップチップの使用に関連して、回路板又はデバイスの一方に、各デバイスの下面及び回路板の表面のパッドに対応する位置に配置された微小バンプ又はハンダボール(以下、「バンプ」又は「ハンダバンプ」という)が設けられている。(a)ハンダバンプが基板上のバンプとデバイス上の対応するバンプとの間に保持されるように、基板と接触させた状態でデバイスを配置し、(b)ハンダがリフローする(すなわち溶融する)までアセンブリーを加熱し、そして(c)アセンブリーを冷却することによりデバイスを実装する。冷却するとハンダは硬化するので、エリアアレイデバイスを基板の表面に実装することができる。チップと基板の間のみならず各デバイス間の間隔は通常非常に小さいので、エリアアレイ技術の許容度は限られている。例えば、基板表面からダイの底までのフリップチップの間隔は、通常約15から約75ミクロンの間であり、近い将来には約10ミクロンに近づくと予想されている。
【0004】
エリアアレイ技術に関連した一つの問題は、チップ、ハンダ、そして回路板材料の熱膨張係数が頻繁にかなり異なるという点である。異なる熱膨張の結果、使用時のアセンブリーの加熱により大きな応力が発生する。その応力が接続ハンダにかかることにより、デバイスの特性を低下させたり又はデバイスを完全に動作不能にするような問題を引き起こすことがある。
【0005】
熱膨張の違いから生じる熱機械的疲労を最小限に抑制するため、熱硬化性エポキシが用いられている。具体的には、これらエポキシは、エリアアレイデバイスの周囲を囲む一方、チップの下であってチップの下面とハンダが存在しない基板との間の空間を満たすアンダーフィル材料として使用されている。このようなエポキシ系は、デバイスの部品間の熱膨張の違いに抵抗あるいは違いを低減する物理的なバリアを形成することにより、有る程度の保護を提供している。
【0006】
シリカ粉末のフィラーを含むエポキシ熱硬化性樹脂材料を用いた改良されたアンダーフィル材料が開発された。フィラー材料の量を変えることにより、充填されたエポキシ熱硬化性樹脂の熱膨張係数をIC及びプリント回路板の基材の熱膨張係数に非常に正確に適合させることができる。それにより、フリップチップの下面とハンダ接続部との間の相対的な動きが、これはそれらの材料の熱膨張係数の違いにより生じるものであるが、最小限に抑えられる。したがって、その充填されたエポキシ熱硬化樹脂は、デバイスの動作中に熱機械的疲労により生じるデバイスの故障の可能性を低減することができる。
【0007】
アンダーフィルは、プリント回路板上のエリアアレイデバイスの熱膨張の不一致に関する問題を解決することはできたが、製造プロセスには大きな問題を生じさせた。例えば、アンダーフィルの塗布は特別な装置を用いオフラインで行わなければならない。通常、アンダーフィルは組み立てたフリップチップの3つの縁部まで塗布され、チップの下をずっと流れることができる。一旦材料が反対側の縁部にまで流れて全ての空気がチップの下から排除されると、追加のアンダーフィルを外縁部に付与して、全ての4つの縁部を対称にするすみ肉(fillet)を形成する。これは、信頼性と外観を改良する。次いで、炉の中でアセンブリーを加熱してアンダーフィルを硬化させる。この工程は数時間かかるが、アンダーフィルを硬化させ、かつ完全に硬化させるのに必要である。このように、アンダーフィルは、エリアアレイデバイスを基板に結合させて剪断応力を曲げ応力に置き換え、商業的に価値ある解決策を提供するが、より簡単な製造方法が求められている。
【0008】
最近、アンダーフィルのプロセスを改良及び合理化する試みがなされている。幾分の商業的実現可能性のあることを示した一つの方法は、エリアアレイデバイスを基板に組み立てる前かつハンダ接続を行う前にアンダーフィルを付与する工程を含むものである。この方法では、ハンダ接続部形成が起こることをアンダーフィルが許容する必要がある。プリント回路板へのフリップチップのハンダ付けは、フリップチップ上のハンダバンプ又はプリント回路板上の回路パッドにフラックスを塗布することにより、通常行われる。そのため、フラックスはアンダーフィルの前にバンプに塗布される必要があり、あるいはアンダーフィルはハンダ接続部形成を促進させるフラックス又は固有の特性を有している必要がある。ハンダ付けのためにパッド上の酸化膜を除去して、必要な連続接続部を形成するためパッドを濡らすために、フラックスには活性が要求される。
【0009】
「最初に付与するアンダーフィル」(dispense first underfills)と一般に呼ばれているアンダーフィル又はフローしないアンダーフィルは、自蔵型フラックス薬剤を含むように設計されている。不都合なことに、良好なフラックスに要求される特性と、良好なアンダーフィルに要求される特性とは完全には両立しない。そのため、結果として特性を妥協させる必要がある。最良のフラックス/アンダーフィル材料は、通常、硬化に1時間以上を要する。さらに、フラックス含有アンダーフィルは、自動付与装置を含む特別の装置の使用を必要とする。
【0010】
また、ハンダによる組み立てとアンダーフィルの塗布は、一つの工程の中で行われるので、組み立てが完全に終了するまではフリップチップを試験することはできない。そのため、チップが満足のいくように動作しない場合、アンダーフィルが硬化するまで、チップを除去することができず、それにより再加工が妨げられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の理由により、高価な装置を使用する必要性を低下させ、既存の電子デバイスの組み立てラインに適合する、より効率的なプロセスに対するニーズは存在する。また、再加工可能なアンダーフィルに対するニーズも存在する。さらに、良好なフラックス特性と良好なアンダーフィル特性を提供するとともに、速やかに硬化するフラックス/アンダーフィル材料に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、簡潔に言えば、本発明は、回路板に付属物としてハンダ付けによりICアセンブリを形成する方法に関する。本発明の方法は、ガラス転移温度が約-25℃から約60℃の範囲にある熱可塑性樹脂と、溶媒と、フラックスとを含むアンダーフィル溶液を、表面に少なくとも1個のハンダバンプを有するICデバイスに塗布する工程を有し、それによりそのアンダーフィル溶液を少なくとも1個のハンダバンプとICデバイスの表面に接触させる方法である。次いで、塗布したアンダーフィル溶液から溶媒の少なくとも一部を除去して、ICアセンブリーを回路板に付属させるが、ここで、ICアセンブリーは、ICデバイス、少なくとも1個のハンダバンプ、そしてICデバイスの表面及び少なくとも1個のハンダバンプと接触する熱可塑性フラクシングアンダーフィル(thermoplastic fluxing underfill)を含んでいる。
【0013】
また、本発明は、ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃である熱可塑性樹脂とフラックスを含む熱可塑性のアンダーフィル材料に関する。
【0014】
また、本発明は、ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃である熱可塑性樹脂と、溶媒と、フラックスを含む熱可塑性アンダーフィル溶液を含むものである。
【0015】
また、本発明は、ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃である熱可塑性樹脂と、フラックスを含む硬化したアンダーフィルフィルムに関する。
【0016】
本発明についての前述の及び他の特徴並びに利点は、以下の記載及び添付の図面によりさらに明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、ハンダのリフロー操作の間及び後に使用する溶液又はフィルム等の種々の形状を有する熱可塑性フラクシングアンダーフィル材料に関する。好ましくは、本発明の熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、「ノンフロー」型のアンダーフィルであり、ハンダのリフロー操作に先立って数ヶ月前(例えば、少なくとも6ヶ月)、チップ及び/又は基板に予め塗布することが可能であり、フロー、接着及び/又は再加工性を低下させることがない。さらに、本発明の熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、鉛含有又及び鉛フリーのハンダを一緒に用いることができる。これら及び他の特徴により、本発明は、ICデバイス(例えばフリップチップ)と、末端ユーザーの使用(例えばプリント回路板へのハンダのリフロー接続)が可能な熱可塑性フラクシングアンダーフィルとを含むICアセンブリーを形成する独自な方法にも関する。
【0018】
一般に本発明は、適切な電気部品を適切なプリント回路板に接続する方法に関するものである。本発明によれば、適切なタイプの電気部品には、例えば、1個以上の以下のもの、すなわち、ICデバイス(例えばフリップチップ)、レジスタ、コンデンサ、インダクタ、トランジスタ又はエリアアレイデバイスが含まれる。以下の開示内容は、主にICデバイスをプリント回路板に接続する方法に関するものである。しかし、これは本発明の範囲を限定するものと解すべきではない。
【0019】
プリント回路板及び/又はICデバイスに適した基板材料には、例えば、高圧ラミネート(すなわち、熱及び圧力下で熱硬化性樹脂と一体結合された多層の繊維材料)が含まれる。一般に、ラミネート層は、フェノール樹脂又はエポキシ樹脂と結合した電気グレードペーパーあるいはエポキシ樹脂と結合した連続フィラメントのガラスクロスからなる。ラミネート層の特別の例として、フェノール樹脂に含浸した電気ペーパーであるXXXPC、難燃性を有しXXXPCと類似するFR-2、電気ペーパーとエポキシ樹脂の自己消炎性のラミネートであるFR-3、ガラスクロスシートとエポキシ樹脂のラミネートであるG-10、自己消炎性を有しG-10と類似するFR-4、ガラスクロスとエポキシ樹脂の混合物であるG-11、G-11の耐炎性タイプであるFR-5がある。本発明の一態様として、有機系の回路板材料がFR-4のラミネート層であり、上面に、かつ受動部品パターンに密着して配置され、そして両者は一体的にラミネートされる。ラミネートされた有機系材料に加え、ICを結合する基板には、例えば、シリコン又はGaAs等の半導体材料、あるいはアルミナ、チタニア又はジルコニア等の無機酸化物から成るものを用いることもできる。
【0020】
ICデバイスとプリント回路板とを接続するハンダの選定には、いくつかの要因が関係する。例えば、ハンダは、ICデバイスとプリント回路板のリードを形成するのに用いる金属又は金属群と適合する必要がある(すなわち、フラックスによりその金属群から酸化物を除去すると、リフローの間ハンダがリードを濡らして導電性の結合を形成する)。さらに、ハンダの選定は、環境問題及び/又は作業者の安全の問題に関係する。例えば、鉛フリーハンダに対する常に強い要求がある。さらに、ハンダ合金は十分に低温で溶融することが好ましく、そうすればICデバイス又はプリント回路板の劣化を抑制することができる。また、ハンダは、熱可塑性フラクシングアンダーフィルが安定な温度で溶融することが好ましい。例えば、ハンダの一態様として、約300℃より低い温度で溶融する。別の態様では、ハンダは約180℃〜約260℃で溶融する。さらに、別の態様では、約220℃〜約260℃で溶融する。さらに、リフロー操作の時、リフロー温度は、一般的にハンダ合金の融点よりも約10℃〜約40℃高い。例えば、約210℃〜約240℃の比較的高い融点を有するハンダ合金をリフローする場合、リフロー温度は約220℃〜約260℃の間が好ましい。約160℃〜約190℃の比較的低い融点を有するハンダ合金をリフローする場合、リフロー温度は約170℃〜約225℃の間が好ましい。
【0021】
先に述べたように、本発明の熱可塑性フラクシングアンダーフィル材料は、従来の鉛ハンダ(例えば、Sn63Pb37やSn62Pb36Ag2)とともに用いることができる。しかし、一般に鉛フリーハンダ合金と呼ばれ実質的に鉛を含まない、すなわち鉛含有量が通常0.3重量%以下であるハンダ合金を用いることが好ましい。鉛フリーハンダは高い液相温度、及び/又は鉛含有ハンダ合金よりも高いリフロー持続時間を有する。鉛フリーハンダ合金の例としては、Au80Sn20、Sn96.2Ag2.5Cu0.8Sb0.5、Sn65Ag25Sb10、Sn96.5Ag3.5、Sn95.5Ag3.8Cu0.7、Sn96.5Ag3Cu0.5、Sn95.5Ag4Cu0.5、Sn93.6Ag4.7Cu1.7、Sn42Bi58、Sn90Bi9.5Cu0.5、Sn99.3Cu0.7、Sn99Cu1、Sn97Cu3、Sn87.1In10.5Ag2Sb0.4、Sn77.2In20Ag2.8、Sn63.6In8.8Zn27.6、Zn97Sb3、そしてSn95Sb5を挙げることができる。本発明の熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、前述の鉛フリー合金を溶融させるのに好適に用いることができる。
【0022】
ハンダ合金は、通常、液状媒体に粉末状のハンダ金属合金を懸濁又は分散させた混合物であるハンダペーストとして用いる。一般に、室温ではハンダペーストは変形可能であり、どのような形状でも付与することができる。同時に、粘着性があり、接触したものの表面に付着し易い。これらの性質により、ボールグリッドアレイパッケージ(BGAs)等の電子部品の上やBGAsを付属させる基板の上にハンダバンプを形成する場合にハンダペーストは非常に有用である。通常、ハンダペーストは、ステンシル法又はスクリーン印刷法により付着させる。ハンダペーストの一態様として、ハンダペーストをプリント回路板のハンダ濡れ性を有するパッドの上に付着させることができる。さらに別の態様として、ICデバイス及びプリント回路板の両方のハンダ濡れ性を有するパッドの上に付着させることができる。
【0023】
熱可塑性樹脂の選定は、大部分、その熱的性質に基づいてなされる。例えば、熱可塑性樹脂はリフロー温度で速やかに流れることが好ましい。これはアンダーフィル中の空隙の生成を最小限に抑制して、アンダーフィル、ICデバイス、そしてプリント回路板の間の結合を最大限に大きくするためである。さらに、本発明の一態様においては、ハンダ合金の融点又は融点以上の温度(例えば約220℃〜260℃)における熱可塑性樹脂の粘度が約30,000cPより小さいことが好ましい。別の態様によれば、約220℃〜約260℃で熱可塑性樹脂の粘度は約10,000cP〜約1,000cPである。さらに別の態様によれば、約180℃〜約240℃で熱可塑性樹脂の粘度は約3,000cP〜約300cPである。
【0024】
さらに、アセンブリオン又はシーメンス等から入手可能なピックアンドプレイスマシン(pick and place machine)を用いてICデバイスを実装する際、ICデバイスをプリント回路板に保持させるに十分な粘着力を有するものを選択することができる。一態様によれば、熱可塑性樹脂は、約80℃〜約125℃で加熱されても、ICを実装するのに十分な粘着力を有する。その温度では、熱可塑性樹脂の粘度は約2,500,000cP〜約100,000cPである。
【0025】
これらの熱特性は、大部分、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)と融点(Tm)に依存する。ガラス転移温度は、ポリマーが固体状態から転移する温度であり、ゴム状の弾性変形状態と粘性変形状態を示す。さらに、Tgにおける転移は、通常、熱膨張係数(CTE)の実質的な増加に関係する。ポリマーの融点は、約25mNの負荷かつ静的温度勾配(ramp)
の下、熱機械分析装置を用いて顕著な寸法変形(例えば約1〜約5%)が起こる温度である。ハンダリフロー温度で十分な流動性と、ICデバイス実装のための十分な粘着性と、再加工性を有する熱可塑性樹脂のTgは約-25℃〜約60℃であることがわかった。約-25℃より低いTgの熱可塑性樹脂は、最大リフロー温度で粘度が低すぎるため、リフロー操作時にICデバイスから流れ出す可能性が大きい。一方、約60℃より大きいTgを有する熱可塑性樹脂は、ICデバイスとプリント回路板との間に所望の結合を形成するに十分な流動性を有していない。また、適切な熱可塑性樹脂は、約50℃〜約150℃にTmを持つことが好ましいことがわかった。本発明の一態様によれば、熱可塑性樹脂は、約-15℃〜約40℃のTgを有し、約60℃〜約150℃のTmを有する。さらに別の態様によれば、熱可塑性樹脂は約20℃〜約40℃にTgを有し、約80℃〜約100℃にTmを有する。さらに別の態様によれば、熱可塑性樹脂は約25℃〜約35℃のTgを有し、約85℃〜約95℃にTmを有する。さらに別の態様によれば、約-5〜約10℃にTgを有し、約50℃〜約65℃にTmを有する。
【0026】
温度だけでなく、熱可塑性樹脂の粘度は、ポリマーの分子量にも関係する。一般に、ポリマーの分子量の増加又は減少とともに、所定温度での熱可塑性樹脂の粘度も変化する。一態様において、熱可塑性樹脂の分子量は約30,000〜約55,000ダルトンである。別の態様によれば、熱可塑性樹脂の分子量は約30,000〜約40,000ダルトンである。さらに別の態様によれば、熱可塑性樹脂の分子量は約30,000〜約36,000ダルトンである。さらに別の態様によれば、熱可塑性樹脂の分子量は約34,000〜約42,000ダルトンである。さらに別の態様によれば、熱可塑性樹脂の分子量は約42,000〜約55,000ダルトンである。
【0027】
熱可塑性樹脂の選定には、熱安定性(すなわち、昇温時の劣化に対する耐性)も考慮する必要がある。別の形で表現すると、選定された熱可塑性樹脂は、熱的に安定である(すなわち、リフロー操作時又は後の剥離/再加工操作時に実質的に劣化しない)とみなすことができる。熱可塑性樹脂の熱安定性は、所定時間所定温度で加熱した時の重量損失で定量することができる。熱可塑性樹脂に対し、温度に少なくとも所望のリフロー操作に必要な最大温度を用い、かつ時間に少なくともその最大温度を維持すべき時間を用いる熱重量分析を行い、その結果、樹脂の重量損失が約10%より少ない場合を、本発明では熱的に安定であるとみなす。例えば、熱可塑性樹脂の一態様として、約250℃で60秒間加熱した時の重量損失が約5重量%より少なければ熱的に安定であるとみなす。別の態様によれば、約300℃で60秒間加熱した時の重量損失が約10重量%より少なければ熱的に安定であるとみなす。さらに、熱可塑性樹脂は耐湿性があることが好ましい。
【0028】
そのような要求を満たす熱可塑性樹脂として、ビスフェノールAのフェノキシ系ポリマー(すなわち、ポリヒドロキシエーテル)が知られている。他の適切な熱可塑性樹脂にはポリスルホンが含まれる。市販のフェノキシ系樹脂の一例は、インケム社(InChem Corporation)から入手可能なINCHEMREZ PHENOXY PKCP-80である。この樹脂は、主鎖のヒドロキシル基にグラフトされたカプロラクトンを約20重量%含むフェノキシ樹脂である。
INCHEMREZ PHENOXY PKCP-80は、分子量が約39,000ダルトンで、示差走査熱量計によるガラス転移温度が約30℃である。カプロラクトンは、熱可塑性樹脂の粘度を減少させる。さらに、カプロラクトンは、フェノキシ樹脂のTgを低下させる。ここで、カプロラクトンを含まなければTgは約90℃である。
【0029】
PKCP-80樹脂は、リフロー温度で適度に流れる。具体的には、PKCP-80樹脂の粘度は、温度約220℃〜約260℃で、約7,000〜約2,500cPである。また、PKCP-80樹脂はICデバイスを実装するのに十分な粘着性を有する。具体的には、PKCP-80樹脂の粘度は、温度約80℃〜約125℃で、約100,000〜約500,000cPである。PKCP-80樹脂は熱的にも安定である。具体的には、約250℃で約90秒加熱すると、樹脂の重量損失は約2%である。さらに、約300℃で約90秒加熱すると、樹脂の重量損失は約5%である。その程度の熱安定性を有していれば、ハンダリフロー操作時に材料熱分解しないとみなすことができる。また、PKCP-80樹脂は、低吸湿性で、約130℃に加熱し85%の相対湿度の雰囲気に曝しても約5%以下の吸湿性しかない。
【0030】
熱可塑性樹脂システム(すなわち、加熱すると柔らかくなり、冷却すると元の状態に戻るポリマー)を用いることにより、本発明のアンダーフィルは、リフロー操作の後でも再加工可能である。通常、熱可塑性樹脂は、架橋したポリマー分子は非常にわずかであり、そのため分子の移動が可能であり、加熱により軟化する。一方、従来のアンダーフィルの多くは、高度に架橋した熱硬化性樹脂を含んでおり、そのためリフロー後軟化することができず、それにより不具合のチップの除去又は再加工が困難であった。
【0031】
熱可塑性の溶融アンダーフィルの層を形成するには、通常、熱可塑性樹脂を適切な溶媒又は混合溶媒に溶解する。特定の溶媒又は溶媒群に大きな問題があるということはないが、溶媒は熱可塑性樹脂を速やかに溶解し、かつ熱可塑性フラクシングアンダーフィル中の成分と反応しないことが必要である。溶媒は、取り扱いが容易かつ安全であるためには高い蒸発温度と沸点を有することが必要であり、さらに溶媒を室温又は乾燥炉で除去するためには十分に低い必要がある(例えば、蒸発温度は約70℃〜約170℃、沸点は約90℃〜約130℃が好ましい)。適切な溶媒には、多くの極性溶媒を用いることができ、例えば、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル類(例えば、乳酸エチル、二塩基エステル(dibasic esters)、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ヘキサンジオールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、エトキシエチルプロピオネート)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1-メトキシ-2-プロパノール、カルビトール、ブチルカルビノール)、そしてそれらの組合せである。本発明の一態様によれば、溶媒は、エチル−エトキシプロピオネートであり、テネシー州キングズポートのイーストマンケミカルから入手することができる。
【0032】
溶媒に溶解する熱可塑性樹脂の量又は濃度は、まずはICデバイス及び/又はプリント回路板に熱可塑性フラクシングアンダーフィルを塗布する方法に依存する。一般に、溶液中の樹脂の濃度は、塗布する前の熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約20重量%〜約80重量%である。しかし、その範囲を超えても本発明の範囲には含まれる。塗布する方法に応じて、樹脂濃度を範囲の一方の値又は他方の値に近づけることができる。例えば、熱可塑性フラクシングアンダーフィルを流動可能な液体(例えば針又はシリンジでディスペンスすることができる)として付着させる場合、樹脂濃度は通常低い(例えば、熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約30重量%〜約45重量%)。しかし、熱可塑性フラクシングアンダーフィルを、ICデバイスに塗布する前にキャストしてフィルムにする場合、溶液中の樹脂濃度は高い(例えば、熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約40重量%〜約80重量%)。一態様によれば、溶液はエチル−エトキシプロピオネートに溶解した約40重量%のINCHEMREZ PHENOXY PKCP-80を含み、その溶液をキャストしてフィルムにする。
【0033】
本発明の熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、ハンダ付け操作に関わるすべての表面(例えば、ハンダパッド、ハンダバンプ、そしてハンダ合金粉末)から酸化物を除去するフラックス成分も含んでいる。さらに、リフロー時及びその後の十分な時間、酸化を防止する。さらに、フラックス及び/又はその残渣が、ハンダ付けの時又はその後でハンダ金属を腐食させないことが好ましい。
【0034】
また、フラックス成分は、溶媒に溶解又は分散可能であり、かつリフロー温度で熱的に安定であることが好ましい。一般に、フラックス成分は、カルボン酸(例えば、モノ−、ジ−及びポリカルボン酸)を含んでいる。カルボン酸とジカルボン酸は、ハンダ用として好ましいフラックスであるが、多くの低分子の酸はリフロー温度で分解又は蒸発する。そのため、フラックス成分は、高分子量のカルボン酸又はジカルボン酸からなることが好ましい。例えば、C20以上のカルボン酸である、ベヘノール酸、アビエチン酸、ウロカン酸(urocanic acid)、そしてC12以上のジカルボン酸である、ドデカン二酸(dodecanedioic acid)、ドデカンジカルボン酸が好ましい。それらは使用することはできるが、これら材料の多くは室温で固体であり、極性溶媒にはあまり溶解しない。フラックスは、イソステアリン酸及び/又はウエストバコ(Westvaco)製のDIACID 1550等の液体カルボン酸が好ましい。本発明の一態様によれば、フラックス成分が、サウスカロライナ州チャールストンのウエストバコ・ケミカル製の製品名DIACID 1550で販売されている液体ジカルボン酸からなる。DIACID 1550は、適切な溶媒に溶解し、適切な熱安定性を有する。
【0035】
完全に融合し、強力なハンダ接合を形成するためには、ハンダはハンダパッド及び/又はリードを適度に濡らす必要がある。濡れは、主に、ハンダと被ハンダ付け表面との間の金属学的反応と、フラックス成分の有効性に依存する。そのため、フラックス成分がリフローの際に接合させる金属から完全に酸化物を除去できない場合、その酸化物が反応を遅くしたり又は停止させたりする。また、接合は、通常、完全に融合せず、弱く、そしてハンダ接合部にボイドを生成させ易い。特定の理論に基づかなくても、現在、ボイド形成をもたらすメカニズムは、過剰のフラックス又はその蒸気をハンダ合金内部に取り込むことによるものであると信じられている。そのため、熱的に安定であるだけでなく、熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液中のフラックス成分の濃度は、ハンダ合金内部及び被ハンダ付け表面の金属酸化物を完全に除去可能な程度であるべきであり、ボイドを形成する程高濃度である必要はない。典型的には、その目的は、フラックス成分の濃度を熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約1から約10重量%の範囲とすることにより達成される。さらに別の態様として、フラックス成分の濃度は熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約4〜約7重量%である。さらにまた別の態様によれば、フラックス成分の濃度は熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約4重量%である。さらにまた別の態様によれば、フラックス成分の濃度は熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約2.5重量%である。
【0036】
必要に応じて、湿潤剤、脱泡剤、そして熱膨張係数調整剤等の他の添加剤を熱可塑性フラクシングアンダーフィルに添加することもできる。湿潤剤は、典型的には、アンダーフィルのフィルム形成能を向上させるため、及び/又はアンダーフィルの表面張力を低下させてICデバイス及びプリント回路板の表面に対するアンダーフィルの結合を促進させるために添加する。好ましい湿潤剤には、以下の材料、すなわち、変性シリコーン樹脂、フルオロカーボン樹脂、そしてアクリル樹脂が含まれる。アンダーフィルに汎用される湿潤剤はシラン類である。一態様として、熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、BYK 306という製品名でドイツのWeselのビワイケー・ケミー(Byk Chemie)から販売されているシラン型の湿潤剤からなる。BYK 306湿潤剤は、湿潤剤は12重量%で、残部は溶媒である。用いる場合、熱可塑性フラクシング中の湿潤剤の濃度は、典型的には、湿潤剤の効果が発揮される最低限の濃度程度にする必要がある。なぜなら、濃度を高くすると付着力が低下するからである。一般に、アンダーフィル中の湿潤剤の濃度は、溶液の約0.005〜約2.0重量%である。一態様として、湿潤剤の濃度は、熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液の約0.05〜約0.20重量%である。一態様として、熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、約1重量%のBYK 306を含み、ここで、添加量の内訳は湿潤剤が約0.12重量%で付随する溶媒が約0.88重量%である。
【0037】
脱泡剤は、典型的には、熱可塑性樹脂と溶媒を混合する時あるいは混合に先立って添加し、アンダーフィル溶液の脱泡を補助する。別の表現を用いると、脱泡剤は、アンダーフィル溶液中の取り込まれた空気によるポケットの生成を最小限に抑える。取り込まれた空気のポケットは、硬化させたアンダーフィルの中にボイドを生成させ、アンダーフィルの付着力や熱応力補償機能を低下させる。好ましい脱泡剤には、ポリエーテル変性シロキサン類やメチルアルキルシロキサン類が含まれる。アンダーフィルに汎用される脱泡剤は、変性ポリシロキサン類である。アンダーフィル用の脱泡剤には、ドイツのWeselのビワイケー・ケミー製のByk 525、Byk 530、そしてByk 535が含まれる。一態様によれば、熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、コネチカット州ミドルベリーのクロプトン(Crompton)製の市販の変性ポリジメチルシロキサン型脱泡剤、製品名SAG 100からなる。用いる場合、熱可塑性フラクシング中の脱泡剤の濃度は、典型的には、脱泡の効果を発揮することができる最低限の濃度に近い値を用いる必要がある。なぜなら、高濃度にすると付着力が低下するからである。一般に、脱泡剤の濃度は、熱可塑性フラクシングアンダーフィルの約1重量%以下である。例えば、一態様として、熱可塑性フラクシングアンダーフィルは約1重量%のSAG 100を含む。また別の態様として、脱泡剤の濃度は溶液の約0.05〜約0.5重量%である。さらに別の態様によれば、脱泡剤の濃度は溶液の約0.10重量%である。
【0038】
今までに説明した熱可塑性樹脂は、典型的には、熱膨張係数(CTE)が約20〜約70 ppm/℃であり、ハンダと基板材料との間のCTEの不一致を減少させるように働く。IC、ハンダ、そして回路板との間のCTEの不一致をさらに減少させるため、本発明の熱可塑性フラクシングアンダーフィルは、熱膨張係数調整剤を含むことができる。CTE調整剤は、基板(例えばフリップチップと回路板)により適合するCTEを有しているので、熱サイクルに伴う熱応力を低減することができる。CTE調整剤は電気絶縁性であり、約10 ppm/℃以下のCTEを持つ。CTE調整剤の例を挙げると、酸化ベリリウム(約8.8 ppm/℃)、アルミナ(約6.5-7.0 ppm/℃)、窒化アルミニウム(約4.2ppm/℃)、炭化ケイ素(約4.0ppm/℃)、二酸化ケイ素(約0.5 ppm/℃)、低膨張セラミックス又はガラス粉末(約1.0〜約9.0ppm/℃)、そしてそれらの混合物である。本発明の一態様において、CTE調整剤は二酸化ケイ素からなる。
【0039】
CTE調製剤の最大粒径(すなわち、粒子の最大断面距離)は、ハンダバンプの高さより低いことが好ましい。完全なハンダ接合に対して悪影響を与える衝撃を最小限に抑えることができるからである。典型的には、CTE調整剤の平均粒径は、約3〜約15ミクロンである。熱可塑性フラクシングアンダーフィル中のCTE調製剤の量は用途によるが、用いる場合、CTE調製剤は典型的には、熱可塑性フラクシングアンダーフィルの約10〜約90重量%である。
【0040】
通常、熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液は、種々の成分を混合することにより調製する。典型的には、調製方法は、溶媒と熱可塑性樹脂を加熱する工程を含み、それにより溶解を促進させる。溶媒中に樹脂を完全に溶解させた後、湿潤剤、脱泡剤、CTE調整剤等の残りの成分を、通常、溶液に溶解又は溶液と混合する。
【0041】
前に説明したように、アンダーフィル溶液を塗布方法に適したレオロジー特性を持つように調製することができる。例えば、溶媒/固形分比が溶液粘度を決める第1の要因であるので、塗布するアンダーフィル溶液を異なる方法を用いて調製することができる。また、ICデバイスウェハーにアンダーフィル溶液を塗布した後、溶媒は実質的に完全に蒸発させられるので、得られる固体アンダーフィルは、最初の粘度やアンダーフィル溶液中の固形分濃度に無関係に同じ組成を持つことになる。これは、溶媒が、アンダーフィル塗布の間の、固形分を保持する単なるビヒクルであるためである。
【0042】
一塗布例では、アンダーフィル溶液をスピンコーティングにより塗布する。スピンコーティングは半導体の処理方法として一般的なものであり、平坦で水平な塗膜を提供するため、回転するウェハーの上に液体を付着させる方法である。アンダーフィルをスピンコーティングする場合の典型的な粘度は、B型粘度計でRVT #6のスピンドルを用い2.5 RPMで測定した粘度が、約80〜約85 Kcpsである。ウェハーに塗布する時、ウェハーの回転速度を約700〜約1500 RPMとすると均一かつ平坦な塗膜を得ることができる。約1200 RPMの回転速度で、良好な塗膜が得られた。
【0043】
熱可塑性フラクシングアンダーフィルの第2の塗布方法は、ステンシル印刷である。この方法は、通常、スピンコーティングに用いた溶液よりもより高粘度の溶液を用いる。チキソトロピー指数(すなわち、機械的剪断による粘度変化)は、印刷特性を調整するためチキソトロピー調整剤を用いて調整することができる。詳細には、溶液のレオロジーは、静置時にはゲル状又は半固体状が好ましく、剪断力が加わると液体のように流動することが好ましい。これにより、スキージーを用いて力を加えるとアンダーフィル溶液はステンシルの間を通って流れるが、基板表面からステンシルを取り除くとステンシルのパターンが保持されている。チキソトロピー調整剤の例としては、ヒュームドシリカが挙げられる。用いる場合、チキソトロピー調整剤は典型的には、アンダーフィル溶液の約0.2から約9重量%である。ステンシルの厚さがウェハーに塗布される材料の量を決定する。バンプの高さよりもステンシルを厚くしてアンダーフィル材料に適用されるブレードがバンプに接触しないようにする必要がある。もし接触すると、バンプに対する損傷又はバンプの変位が発生する可能性がある。
【0044】
印刷方法は、金属ステンシルや、例えばスピードライン社から入手可能な自動ステンシル印刷機を用いる。この方法では、アレイよりも若干大きめの開口を有する金属ステンシルの上に液体アンダーフィルを付着させ、次いで金属製又はゴム製のスキージーを用い開口の上の材料を塗り付ける。アンダーフィルされる材料は、ステンシルの開口の中にアレイを露出させた状態でトレイ(すなわち、JEDECトレイ)又は保持装置に取り付ける。開口の上に材料を塗り付けることにより、材料をデバイスに付着させる。開口高さ、案内高さ(collapse height)、そして熱可塑性組成物の固形分濃度等のプロセスパラメータは、ボイドのない接合部を形成するように細かく調整される。
【0045】
液体アンダーフィルをICデバイス、ウェハー又は他の基板の上に付着させる他の公知の方法には、スプレー法、スクリーン印刷法、そしてニードル付着法がある。液体アンダーフィルを塗布する方法に無関係に、塗布後、溶媒の少なくとも一部をアンダーフィル溶液から蒸発させることによりアンダーフィルの粘度を増加させることができる。通常、炉の中でアンダーフィル溶液を加熱することにより又はウェハーを直接加熱することにより、蒸発を促進させることができる。ウェハーを加熱する場合、同時に強制熱風炉を用いて塗膜から溶媒を除去するのを促進させるのが有効であることが認められている。上面と底面とを加熱することにより、アンダーフィル層の中に溶媒が取り込まれる「スキミング」を抑制することができる。スキミングは、アンダーフィル材料の表面が早く乾燥してフィルム(すなわち、スキン)を形成するため、そのフィルムがバリアとなり溶媒の蒸発を阻害する現象である。乾燥を適切に行えば、得られるアンダーフィル材料は非粘着性であり、かつ取り扱い易い。室温でわずかな粘着性が必要である場合には、粘着付与剤をアンダーフィルに添加することができる。
【0046】
乾燥したアンダーフィル材料の厚さがハンダバンプの高さより小さいことが好ましい。リフロー時に、バンプの案内が可能となるからである。一態様によれば、乾燥したアンダーフィル層の厚さが、ハンダバンプの高さに約50〜約80%である。別の態様によれば、乾燥したアンダーフィル層の厚さが、ハンダバンプの高さに約60〜約70%である。アンダーフィル溶液に含まれる溶媒の量が、乾燥及び溶媒の蒸発に伴うアンダーフィルの厚さの減少量を決定する。そのため、ステンシルの厚さに加え、例えば、アンダーフィル溶液中の溶媒量及び/又は付着厚さを調整することにより、アンダーフィル塗膜の厚さを調整することができる。通常、乾燥アンダーフィルの厚さは、ハンダバンプの高さに応じて約25〜約125ミクロンの範囲とするのが好ましい。
【0047】
また、アンダーフィルを固体のアンダーフィル層としてICデバイスに適用することもできる。具体的には、アンダーフィル溶液を剥離基板(例えば紙)の上にキャストし、乾燥してフィルムとする。得られたフィルムをプリフォームと呼ばれる所定形状にカットし、ICデバイスウェハー(すなわち、多数のICデバイスを含むウェハー)に適用する。加圧又は真空で加熱して、アンダーフィル層をウェハーに結合させる。層の温度は、アンダーフィルのフラックス特性が活性化される温度(例えば約175℃)より高くしない方が好ましい。加圧するよりも真空にする方が好ましい。フィルムとチップの間に空気が取り込まれるのをより効果的に防ぐことができるからである。固体フィルムの一つの利点は、運びやすいこと、保管し易いこと、そして簡単な機械装置で適用できることである。液体でICに塗布したアンダーフィル層の場合と同様に、フィルムの厚さはハンダバンプの高さよりも低くする必要がある。実際、前述の乾燥厚さ範囲を同様に用いることができる。
【0048】
フラックスとアンダーフィルを別々に用いるシステムと異なり、本発明のシステムは、アンダーフィル材料がハンダバンプを覆うことができる。これは本発明のアンダーフィル材料がアンダーフィル特性だけでなくフラックス特性も有しているからである。実際、その材料がバンプを覆うことが好ましい。これは覆うことにより、バンプが酸化、汚染、そして機械的損傷から保護されるからである。今まで説明した各適用方法は、バンプをアンダーフィル材料に覆うことができる。
【0049】
ここで、ウェハーはダイシング又は個別化され、個々のエリアアレイデバイス(例えばフリップチップ)となる。その目的のため、ウェハーのダイシング方法として公知の種々の方法を用いることができる。そのプロセスに要求される重要な点は、ウェハー/チップの表面に適用したアンダーフィル材料を劣化させないことである。一態様によれば、ウェハーを固定用テープに付着させ、次いで、例えば、5ミクロンのダイアモンドのカットブレードを備えたDISCOソー(saw)を用い、約30,000 rpmの速度でウェアーを分割する。フィルムの軟化点以下に切断温度を維持するために水流ジェット冷却を用いることもできる。各ダイ又はチップをテープから剥がし、蜂巣状のパック、テープ、そしてリールパッケージ又は産業界で使用されている他の使用可能なダイ保管システムの中に配置する。
【0050】
一旦切断した個々のエリアアレイデバイスは、回路板等に結合させることができる。各エリアアレイデバイスを基板の結合パッドに対して配置及び整列させる。ここで用いる「基板」は、回路板、チップキャリア、別の半導体デバイス、又は金属リードフレームを意味するものとする。フラックスは、基板パッド上の過剰の酸化物を補償するため、あるいは組み立て時にフリップチップを所定の位置に保持するためというような特別の理由に限って用いることができるが、フラックスの添加は必ずしも必要ではない(アンダーフィルが室温で粘着性がない場合あるいは粘着性がでるまで加熱する場合)。
【0051】
次に、エリアアレイデバイスをピックアンドプレイス装置を用いて基板上に配置する。アンダーフィルが室温で粘着性がない場合、基板を約80℃〜約120℃で加熱することが好ましい。これにより熱可塑性樹脂は、ダイを所定位置に保持するのに必要な粘着性が得られる。位置決めされたチップと基板からなるアセンブリーは、通常、特定のハンダに適した加熱プロファイルを与える熱制御機構を各ゾーンが備えたマルチゾーン炉を通過させる。リフロー時、アンダーフィル中のフラックスは、ハンダ上の又はハンダと接触する金属表面に存在する酸化物を減少させ、基板と回路デバイスパッドにハンダ接合を形成する。さらに、約60℃〜約130℃で、熱可塑性樹脂は流動可能に軟化し、ICデバイスと基板表面を濡らすことができる。アセンブリーを冷却すると、ハンダとアンダーフィルは硬化して、ICデバイス、基板、少なくとも1つのハンダ接合、そしてアンダーフィルを含む結合したアセンブリーを形成する。
【0052】
また、熱と圧力を与えるフリップチップボンダーをリフロー炉の代わりに用いることができる。この態様では、ICアセンブリー(熱可塑性フラクシングアンダーフィルでコートしたフリップチップ)を回路板上の導電パッドと接触するように配置し、ボンダーヘッドからの熱によりアンダーフィルが軟化してフラックスを活性化させ、ハンダバンプをリフローさせ、そしてアンダーフィルを軟化させて基板とチップに結合させる。フリップチップボンダーを用いると、既に部品が実装された基板にフリップチップを組み込むことができる。この方法は、再加工されるサイトにチップを接続させるのにも用いることができる。
【0053】
例えば、チップ実装工程で、チップを基板上に正確に配置できなかった場合に、再加工が望ましい。具体的には、微細ピッチで高密度部品のアセンブリーでは、位置合わせミスや接続ミスが起きる。さらに、フリップチップのようにパッケージされていないデバイスを十分に試験するのは困難であるので、チップの不具合又は適切でない実装によりチップが正常に動作しないと最終試験で指摘された場合、チップが取り外せることができることが好ましい。熱硬化性のアンダーフィルは一旦架橋すると再溶融することはできないので、アセンブリーを再加工することはできない。本発明は、アンダーフィルの主成分に熱可塑性樹脂を用いることにより、熱硬化性アンダーフィルの問題点を解消できる。そのため、ハンダの融点(スズ/鉛ハンダでは約183℃)より高く、かつアンダーフィル樹脂の脱結合温度より高い温度にチップ温度を上げることより、前に結合していたチップを取り外すことができる。通常、再加工温度は、ハンダのリフロー温度よりも約15℃〜約25℃高い。しかし、チップボンダー等を用いた場合、局所的に加熱され温度は高くなる。
【0054】
本発明を、図1と2を用いてさらに説明する。図1の模式図から明らかなように、半導体デバイス10は、その表面に適用されたハンダバンプ14を有する半導体ウェハー12の一部を含んでいる。次に図2の模式図から明らかなように、デバイス10は、ハンダバンプ14を有するウェハー12の表面に適用されたフラックス/アンダーフィル材料16を有している。そのアンダーフィル材料16は、バンプ14間の空間を少なくとも占めており、さらにバンプを覆っている。
【0055】
これまでに説明した方法と組成物を用いることにより、熱可塑性樹脂フラクシングアンダーフィルとそのアンダーフィルを含むアセンブリーを製造することができる。本発明の熱可塑性樹脂フラクシングアンダーフィルは、いくつかの利点を提供することができる。例えば、保存寿命の安定性を延ばすことができる(例えば、6ヶ月以上)、機械的衝撃に対する抵抗を大きくする、熱サイクルに伴うデバイスの故障を遅らせる又は防止する、チップに適用すると、末端ユーザーがアンダーフィルを行う必要がなくなる、製造コストを低減する、そして鉛含有及び鉛フリーハンダとともに用いることができる。
【0056】
以下の実施例を用いてさらに本発明について説明する。
【0057】
約40.00重量%のフェノキシPKCP-80 熱可塑性樹脂と、約55.90重量%のエチル3-エトキシプロピオネート溶媒と、約1.00重量%のBYK 306 湿潤剤と、約0.10重量%のSAG 100 脱泡剤と、そして約4重量%のDIACID 1550 ジカルボン酸フラックスとを含む熱可塑性フラクシングアンダーフィルを以下の方法により調製した。溶媒をステンレス鋼のビーカーに入れ、攪拌しながら約70℃になるまで加熱した。熱可塑性樹脂を溶媒に約10%ずつ添加した。具体的には、各10%分は、それが完全に溶媒に溶解するまで攪拌しながら添加した。そして、溶解した時点で、次の10%分を添加して混合した。この操作をすべての熱可塑性樹脂が溶解するまで続け、その時点で加熱を中止した。次いで、BYK 306とSAG 100を添加した。溶液を室温まで冷却した。固形分は約58%、粘度は約9,000cPであった。
【0058】
得られた熱可塑性アンダーフィル溶液を紙にキャストした。ウェットなフィルムの厚さは約0.5mmであった。次にキャストしたウェットフィルムを約120℃で乾燥して溶媒を蒸発させた。乾燥したフィルムの厚さは約0.25mmである。乾燥したフィルムの一部をカットし、ボールグリッドアレイのハンダバンプの上に配置した。ハンダボールは、スズ−鉛共融合金である。その2つを約165℃に加熱した炉の中に配置し、アンダーフィル層をフリップチップ層に接続した。アンダーフィルでコートされたフリップチップをプリント回路板の上に配置し、最大温度約225℃、約90秒のリフロー操作を行った。
【0059】
ICデバイスと熱可塑性フラクシングアンダーフィルを有するICアセンブリーについて、機械的衝撃や熱機械的応力による破損に対する耐性を評価した。具体的には、アセンブリーを含む製品を落下させた時の機械的衝撃に対する抵抗を測定する落下衝撃試験によりアセンブリーを試験した。熱可塑性フラクシングアンダーフィルを用いることにより、エリアアレイデバイスの落下衝撃に対する耐衝撃性が、アンダーフィルがない場合に比べ少なくとも10倍向上した。落下衝撃に対する耐衝撃性は、デバイスの基板接続の頑丈さを示す重要な指標である。その方法は、10個のデバイスを備えた基板に50gの錘を付け、錘を付けた基板を約2mの高さから落下させ水平面に衝突させた。基板からデバイスが外れたり、デバイスの電気接続が開放状態となると破損として記録した。熱可塑性フラクシングアンダーフィルを含むアセンブリーについて、-40℃から125℃の熱サイクルにより発生する応力に対する耐性を調べる熱衝撃信頼性試験も行った。このサイクルを1000回行った熱可塑性フラクシングアンダーフィルの破損率は50%以下であった。
【0060】
低分子の熱可塑性樹脂からなる希釈剤を用いて第2の熱可塑性フラクシングアンダーフィルを調製した。これは、アンダーフィルの熱可塑性樹脂成分全体のTgとTmを低下させることにより、通常の又は比較的低いリフロー温度において低粘度で案内する必要があるデバイスに対するアンダーフィルの適用性を評価するためである。配合は、約28重量%のPKCP-80、約8重量%のエトキシ化ビスフェノールA熱可塑性樹脂(アルドリッチケミカル製)、約62重量%のシクロヘキサノン、約2.5重量%のDIACID 1550、そして約1重量%のBYK 306である。成分を8オンスのポリプロピレン製ジャーに入れ、ボールミルローラーの上で約100rpmで2日間回転させた。この製造方法は閉鎖系であり、かつ熱を使わないので、混合操作時に溶媒の蒸発を減少又はなくすことができる。蒸発を大きく減少又はなくすことができるので、利点として、この方法はバラツキがないアンダーフィル溶液を調製することができる。次にその材料を、シリンジを用いて、共融状態のバンプされた10mm×10mmのAmkor CABGA(ひとつながりの)デバイスの上にディスペンスした。コートされた溶液が付いたままのデバイスを、70℃で1時間、次いで165℃で1時間乾燥した。付着させることによりハンダボールの高さの約85%の塗膜が得られた。乾燥工程は2回行った。
【0061】
コートされた10mm×10mmのデバイスを、次に市販のフラックスの中に浸け、手でFR4基板の上に置き、リフロープロファイルを通過させて相互接続を形成し、そして予め塗布したアンダーフィルを溶融させる。落下衝撃試験のデータは、デバイスの残存率(ひとつながりの中の電気的開放として定義される)の顕著な向上を示しており、アンダーフィルのないデバイスの約10倍であった。
【0062】
上記の記載は説明を目的としたものであり、限定する目的でないことは理解されたい。多くの態様は、上記の記載を読めば当業者には自明であろう。本発明の範囲は、上記の説明のみに基づいて決められるべきではなく、特許請求の範囲と、その特許請求の範囲と均等な全範囲に基づいて決められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】表面に塗布されるハンダバンプを有する半導体ウェハーの一部を示す模式図である。
【図2】表面に塗布されるハンダバンプと、そのハンダバンプの上に塗布されるフラックス/アンダーフィル材料を有する半導体ウェハーの一部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0064】
10 半導体デバイス
12 半導体ウェハー
14 ハンダバンプ
16 フラックス/アンダーフィル材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路板に付属させるICアセンブリーをハンダ付けにより作製する方法であって、
ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃である熱可塑性樹脂とフラックスとを含むアンダーフィル材料を、表面に少なくとも1個のハンダバンプを有するICデバイスに塗布する工程を有し、
アンダーフィル材料を少なくとも1個のハンダバンプと接触させかつICデバイスの表面と接触させて回路板に付属するICデバイスを作製し、
ここで、上記ICアセンブリーは、ICデバイスと、少なくとも1個のハンダバンプと、ICデバイス表面と接触し、かつ少なくとも1個のハンダバンプと接触する熱可塑性フラクシングアンダーフィルとを有する、ICアセンブリーの製造方法。
【請求項2】
上記アンダーフィル材料が、上記熱可塑性樹脂と上記フラックスに加えて溶剤を含む溶液材料であり、上記方法が、アンダーフィル材料を塗布後、アンダーフィル溶液材料から溶剤の少なくとも一部を除去する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記アンダーフィル材料が、上記熱可塑性樹脂と上記フラックスに加えて溶剤を含む溶液材料であり、上記方法が、アンダーフィル材料を塗布後、アンダーフィル溶液材料から溶剤を除去する工程を含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記アンダーフィル材料が、上記熱可塑性樹脂と上記フラックスに加えて溶剤を含む溶液材料であり、上記方法が、アンダーフィル材料を塗布後、アンダーフィル溶液材料から溶剤を除去して回路板に付属するICアセンブリーを形成する工程を含み、上記ICアセンブリーが、ICデバイス、少なくとも1個のハンダバンプ、そしてICデバイス表面と接触し、かつ少なくとも1個のハンダバンプと接触する硬化した熱可塑性フラクシングのアンダーフィルを含む請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記溶剤が、ケトン、エステル、アルコール、そしてそれらの混合物からなる群から選択された極性溶剤である請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
上記溶剤が、エチルエトキシプロピオン酸、メチルエチルケトン、そしてシクロヘキサノンからなる群から選択された溶剤である請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
上記アンダーフィル材料が、上記熱可塑性樹脂と上記フラックスに加えて溶剤を含む溶液材料であり、上記方法が、アンダーフィル材料を塗布後、硬化させたアンダーフィルムフィルムをICデバイスに付着させて回路板に付属するICアセンブリーを作製する工程を含み、上記ICアセンブリーが、ICデバイス、少なくとも1個のハンダバンプ、そしてICデバイス表面と少なくとも1個のハンダバンプに付着する硬化した熱可塑性フラクシングアンダーフィルを含む請求項1記載の方法。
【請求項8】
上記熱可塑性樹脂の融点が、約50℃〜約150℃である請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
上記熱可塑性樹脂の融点が、約80℃〜約100℃である請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
ガラス転移温度が約-15℃〜約40℃である請求項1から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
ガラス転移温度が約20℃〜約40℃である請求項1から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
ガラス転移温度が約-5℃〜約-10℃である請求項1から9のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
上記熱可塑性樹脂の分子量が約30,000〜約55,000ダルトンである請求項1から12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
上記熱可塑性樹脂の粘度が、温度約220℃〜約260℃において約30,000cPより小さい請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
上記熱可塑性樹脂の粘度が、温度約220℃〜約260℃において、約10,000〜約1,000cPである請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
上記熱可塑性樹脂が、主鎖の水酸基にグラフトされたカプロラクトンを約20重量%含むフェノール樹脂であり、分子量が約39,000ダルトンであり、ガラス転移温度が約30℃、粘度が温度約220℃〜約260℃において約7,000〜約2,500cPである請求項1から15のいずれか一つに記載の方法。
【請求項17】
上記フラックスが、分子当たり20個以上の炭素原子を含むモノカルボン酸と、分子当たり12個以上の炭素原子を含むジカルボン酸とからなる群から選択される請求項1から16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項18】
上記モノカルボン酸と上記ジカルボン酸が、室温で液体であり、かつ極性溶剤に溶解する請求項17記載の方法。
【請求項19】
上記フラックスがイソステアリン酸である請求項1から16のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
上記アンダーフィル溶液が、熱可塑性樹脂を約20〜約60重量%と、溶剤を約40〜約80重量%と、フラックスを約1〜約10重量%含む請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項21】
上記アンダーフィル溶液が、湿潤剤を含む請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項22】
上記湿潤剤が、シラン、フルオロカーボン、そしてアクリル樹脂からなる群から選択される請求項21記載の方法。
【請求項23】
上記湿潤剤の濃度が、アンダーフィル溶液の約0.005〜約2.0重量%である請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
上記アンダーフィル溶液が、脱泡剤を含む請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項25】
上記脱泡剤が、ポリエーテル変性シロキサン、メチルアルキルシロキサン又はそれらの組合せである請求項24記載の方法。
【請求項26】
上記脱泡剤が、変性ポリジメチルシロキサンである請求項24記載の方法。
【請求項27】
さらに、ICアセンブリーを回路板の上に配置してICアセンブリーが配置された回路板を作製する工程と、
ICアセンブリーが配置された回路板をリフロー温度まで加熱し、フラックスによりハンダを溶融させてICデバイスを回路板にハンダ付けする一方、熱可塑性フラクシングアンダーフィルを流動させ、金属ハンダ接続と、回路板とICデバイスとの間に結合した熱可塑性アンダーフィルとを有し、ICデバイスが付属した回路板を作製する工程と、を有する請求項2から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項28】
上記リフロー温度が、約300℃より低い請求項27記載の方法。
【請求項29】
上記リフロー温度が、約220℃〜約260℃である請求項27記載の方法。
【請求項30】
請求項2から6のいずれか一つの方法を用いてICデバイスと回路板との間に塗布される熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液であって、
ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃で、約250℃で90秒のハンダ付け条件に曝しても熱可塑性樹脂の重量損失が約10%より少ない熱安定性を備えた熱可塑性樹脂と、
上記の安定性を備えた熱可塑性樹脂を溶解する溶剤と、
上記ICデバイスの中のハンダアセンブリーを溶融させて回路板に移動させるフラックスと、を有する熱可塑性フラクシングアンダーフィル溶液。
【請求項31】
上記溶剤が、ケトン、エステル、アルコール、そしてそれらの組合せからなる群から選択された極性溶剤である請求項30記載の熱可塑性アンダーフィル溶液。
【請求項32】
上記溶剤が、ケトン−エトキシプロピオン酸、メチルエチルケトン、そしてシクロヘキサンからなる群から選択される請求項30記載の熱可塑性アンダーフィル溶液。
【請求項33】
上記フラックスが、分子当たり20個以上の炭素原子を含むモノカルボン酸と、分子当たり12個以上の炭素原子を含むジカルボン酸とからなる群から選択される請求項30から32のいずれか一つの記載の熱可塑性アンダーフィル溶液。
【請求項34】
上記モノカルボン酸と上記ジカルボン酸が室温で液体であり、極性溶媒に溶解する請求項33記載の熱可塑性アンダーフィル溶液。
【請求項35】
上記フラックスが、イソステアリン酸である請求項30から32のいずれか一つに記載の熱可塑性アンダーフィル溶液。
【請求項36】
請求項1の記載の方法を用いてICデバイスと回路板との間に塗布される熱可塑性フラクシングアンダーフィル材料であって、
ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃で、約250℃で90秒のハンダ付け条件に曝しても重量損失が約10%より少ない熱安定性を備えた熱可塑性樹脂と、
上記ICデバイスのハンダアセンブリー中のハンダを溶融させて回路板に移動させるフラックスと、を有する熱可塑性フラクシングアンダーフィル材料。
【請求項37】
上記フラックスが、分子当たり20個以上の炭素原子を含むモノカルボン酸と、分子当たり12個以上の炭素原子を含むジカルボン酸とからなる群から選択される請求項36記載の熱可塑性アンダーフィル材料。
【請求項38】
上記モノカルボン酸と上記ジカルボン酸が室温で液体であり、極性溶媒に溶解する請求項37記載の熱可塑性アンダーフィル材料。
【請求項39】
上記フラックスがイソステアリン酸である請求項36記載の熱可塑性アンダーフィル材料。
【請求項40】
請求項7の記載の方法を用いてICデバイスと回路板との間に塗布される硬化したアンダーフィルフィルムであって、
ガラス転移温度が約-25℃〜約60℃で、約250℃で90秒のハンダ付け条件に曝しても重量損失が約10%より少ない熱安定性を備えた熱可塑性樹脂と、
上記ICデバイスの中のハンダアセンブリーを溶融させて回路板に移動させるフラックスと、を有する硬化したアンダーフィルフィルム。
【請求項41】
上記フラックスが、分子当たり20個以上の炭素原子を含むモノカルボン酸と、分子当たり12個以上の炭素原子を含むジカルボン酸とからなる群から選択される請求項40記載の硬化したアンダーフィルフィルム。
【請求項42】
上記モノカルボン酸と上記ジカルボン酸が室温で液体であり、極性溶媒に溶解する請求項41記載の硬化したアンダーフィルフィルム。
【請求項43】
上記フラックスが、イソステアリン酸である請求項42記載の硬化したアンダーフィルフィルム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−504684(P2007−504684A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533714(P2006−533714)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/018569
【国際公開番号】WO2004/112095
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(598085065)フライズ・メタルズ・インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】FRY’S METALS, INC
【Fターム(参考)】