説明

熱可塑性樹脂基材上の異質の層を除去する方法、熱可塑性樹脂の回収方法及び成形品

【課題】 熱可塑性樹脂基材上に設けられた異質の層を除去する改良された方法を提供すること、及び、熱可塑性樹脂基材からなる成形品から、基材上に設けられた異質の層を除去して、樹脂を当初使用目的で再利用可能な高品質で、安価に、かつ安定して回収しうる方法を提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる基材上に設けられた異質の層を、75℃以上であって該基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、該基材から除去することを特徴とする異質の層の除去方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材上に設けられた異質の層を除去する改善された方法、及び、該基材上に異質の層を有する成形品から熱可塑性樹脂を回収する改善された回収方法に関する。また、本発明は回収された熱可塑性樹脂を成形した成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、近年いろいろな成形品に使用されている。CD−ROM、DVD、DVD−R等の光学材料は、ポリカーボネート基材に色素記録層や反射層が設けられている。また、自動車のバンパ、ダッシュボード、ヘッドランプ、リヤーランプにも熱可塑性樹脂を基材として塗膜や金属反射層を設けた成形品が広く使用されるようになっている。また、高速道路にも透明な防音壁としてポリカーボネート板に紫外線防止層及びハードコート層を設けた成形板を使用する傾向が増えている。
さらに、ポリカーボネート(PC)とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂(ABS)とからなるポリマーアロイは、衝撃強度、寸法安定性、非ハロゲン難燃剤の配合が可能であることから、パソコン、テレビ、複写機、プリンターなどの電気・電子・光学ハウジングとして広く使用されている。これらは商品価値を向上させるための塗装が表面に施されており、裏面では電磁波シールドのための塗装、めっき、スパッタなどの表面処理が施されている。
これらの成形品は、製造工程において発生する不良品、又は、使用済み製品中の該成形品の取り扱いが関心を集めている。従来のように、廃棄物として埋め立てたり、焼却するのではなく、資源として再活用することが重要である。近年、使用済みの製品を回収して、該当成形品を分別し、使用されている熱可塑性樹脂を回収し、リサイクルする努力がなされている。また、行政面からも当該製品のリサイクルが要求されるようになってきている。
成形品に使用された合成樹脂基材を回収するために、該基材上に設けられた異質の層を105℃以上のアルカリ水溶液中で除去する異質の層の除去方法が開示されている(特許文献1)。
【0003】
しかし、従来の方法では、熱可塑性樹脂基材に施された表面加飾、機能層等の除去を効率よく行うことが困難であり、再製品化が必ずしも容易ではない。特に、ポリマーアロイは、ユーザーの更なる安価材料への要求から安価なABS樹脂の配合比率が高くなる傾向にあり、異質の層の除去が困難な場合が散見される。
【0004】
【特許文献1】特許第3270037号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする一つの課題は、熱可塑性樹脂基材上に設けられた異質の層を除去する改良された方法を提供することである。本発明が解決しようとする他の一つの課題は、熱可塑性樹脂基材からなる成形品から、基材上に設けられた異質の層を除去して、樹脂を当初使用目的で再利用可能な高品質で、安価に、かつ安定して回収しうる方法を提供することである。本発明のさらに他の課題は、このようにして得られた熱可塑性樹脂及びこれを成形してなる成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記の課題の一つは以下の手段(1)により達成された。
(1)熱可塑性樹脂からなる基材上に設けられた異質の層を、75℃以上であって該基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、該基材から除去することを特徴とする異質の層の除去方法。
上記発明の好ましいいくつかの実施態様を以下に列挙する。
(2)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネートを60〜95重量部及びスチレン系樹脂を40〜5重量部含有するポリマーアロイである(1)に記載の異質の層の除去方法、
(3)スチレン系樹脂が、アクリロニトリル・ブタジエン・ビニル芳香族共重合体、アクリロニトリル・ビニル芳香族共重合体、アクリロニトリル・エチレンプロピレン共重合体・ビニル芳香族共重合体及びポリブタジエン含有ビニル芳香族共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1つのスチレン系樹脂を含有する(2)に記載の異質の層の除去方法、
(4)基材が、熱可塑性樹脂100重量部に対してリン系難燃剤を1〜20重量部含有する(1)〜(3)いずれか1つに記載の異質の層の除去方法、
(5)異質の層が塗膜層、金属箔層、金属めっき層、金属蒸着層、ハードコート層、紫外線防止層、接着剤層、粘着剤層及びセルロース誘導体層よりなる群から選ばれた(1)〜(4)いずれか1つに記載の異質の層の除去方法。
本発明の上記の課題の他の一つは以下の手段(6)により達成された。
(6)熱可塑性樹脂からなる基材上に異質の層を設けた成形品を破砕物にする破砕工程、75℃以上であって該基材の動的弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、該破砕物中の該基材から異質の層を除去する工程、及び、その後、過酸化物を含有する水溶液で処理する工程、及び、水で洗浄する工程、を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂の回収方法。
上記発明の好ましい実施態様の例は以下の通りである。
(7)105℃以上のアルカリ水溶液中で異質の層を除去する洗浄工程である、(6)に記載の熱可塑性樹脂の回収方法。
さらに、上記課題の他の1つは以下の手段(8)及び(9)により達成された。
(8)(6)又は(7)に記載の回収方法により回収された熱可塑性樹脂、
(9)(6)又は(7)に記載の回収方法により回収した熱可塑性樹脂を成形してなる成形品。
【発明の効果】
【0007】
上記(1)記載の発明によれば、熱可塑性樹脂からなる基材に設けた異質の層を高い効率で除去することができる。上記(6)に記載の回収方法によると、熱可塑性樹脂を安定した工程により回収でき、更に回収された熱可塑性樹脂を再成形して、成形品とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材上に設けられた異質の層を、75℃以上であって該基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、該基材から除去することを特徴とする異質の層の除去方法に係る。
また、本発明は、熱可塑性樹脂からなる基材上に異質の層を設けた成形品を破砕物にする破砕工程、75℃以上であって該基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、該破砕物中の該基材から異質の層を除去する工程、及び、該基材を過酸化物水溶液中で処理することを特徴とする熱可塑性樹脂の回収方法に係る。
【0009】
本発明において、加熱したアルカリ水溶液中で異質の層を除去する工程においては、アルカリ水溶液の温度が高い程、一般にアルカリの作用は活性となる。しかしながら、アルカリ水溶液の温度を上げてもかえって除去効率が低下する場合のあることが認められた。
この除去効率が上昇から下降へ転じる臨界温度とその作用機構について、本発明者らが鋭意検討を加えた結果、臨界温度は基材樹脂の貯蔵弾性率との関連があることを見出し、本発明を完成したものである。
以下に、本発明の熱可塑性樹脂からなる基材上に設けられた異質の層の除去方法及び、熱可塑性樹脂の回収方法を詳細に説明する。
【0010】
本発明を適用することができる熱可塑性樹脂について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂からなる基材(以下、単に「樹脂基材」ともいう。)は、各種の樹脂基材を対象とすることができる。樹脂基材は、汎用プラスチック及びエンジニアリングプラスチックに大別できる。エンジニアリングプラスチックは、「エンプラ」とも略称され、高強度であり、耐熱性に優れる。エンプラには、熱による軟化が起こりにくい性質(高い耐熱温度)、大きな引っ張り強度、を具備するものが多い。エンプラは、凝集力の大きい化学構造を有し、代表的には、フェニレン基、アミド結合、カーボネート結合、ポリエーテルスルホン構造等を有する。本発明の回収方法は汎用プラスチックにも適用できるが、エンプラに対して好ましく適用できる。
【0011】
以下に本発明の除去方法又は回収方法を適用できる樹脂基材を列挙すると、ポリカーボネート、スチレン系樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルが代表的である。また、本発明の熱可塑性樹脂には、任意成分として、各種の添加剤を配合することができる。配合できる添加剤としては、例えば着色剤、可塑剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、充填剤、発泡剤、難燃剤、防錆剤などが挙げられる。
【0012】
本発明の方法を適用できる熱可塑性樹脂として、ポリマーアロイを好ましく用いることができる。代表的なポリマーアロイは、ポリカーボネート(PC)を60〜95重量部およびスチレン等のスチレン系樹脂を40〜5重量部含有する樹脂が例示できる。
本発明の方法をポリマーアロイに適用する場合も含めて、熱可塑性樹脂100重量部に対して任意成分としてリン系難燃剤を1〜20重量部含有することができ、5〜20重量部含有することが好ましい。
【0013】
本発明の方法を適用する基材樹脂は、95℃以上のガラス転移温度を有することが好ましく、105〜145℃のガラス転移温度を有することがより好ましい。
基材樹脂が熱可塑性樹脂2成分以上からなるポリマーアロイにおいては、樹脂成分中51重量%以上を占める熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、上記当該温度範囲にあることが好ましい。
【0014】
本発明の除去方法又は回収方法を適用できる熱可塑性樹脂について詳しく説明する。
ポリカーボネートとしては、ビスフェノールAなどの2価のフェノールと、炭酸ジエステルあるいはホスゲンとから得られる従来公知のポリカーボネートが使用される。
2価のフェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)の他に、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンなどのビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどのジヒドロキシアリールエーテル類、ジヒドロキシアリールスルフィド類などが例示される。
これらの2価フェノールは、必要に応じて2種類以上を用いてもよく、通常は、ビスフェノールA、またはビスフェノールAを主成分とし、少量の他の2価フェノールを含んだものが使用される。
炭酸ジエステルとしては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジエチルカーボネートなどが挙げられる。このうち、ジフェニルカーボネートが好適に使用される。
また、ポリカーボネートは必要に応じて、アリロキシ化合物、モノカルボキシ化合物などの末端封止剤で処理されたものであってもよい。
【0015】
スチレン系樹脂とは、スチレン系単量体と必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれる1種以上を重合して得られるスチレン系樹脂である。
前記スチレン系樹脂成分に用いられるスチレン系単量体としては、ビニル芳香族化合物が挙げられ、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレン等のスチレン誘導体が例示できる。これらの中でも、特にスチレンが好ましい。これらは単独または2種以上用いることができる。
前記スチレン系単量体と共重合可能な他のビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、フェニルアクリレートベンジルアクリレート等のアクリル酸のアリールエステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート等のアクリル酸のアルキルエステル、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のメタクリル酸アリールエステル、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート等のメタクリル酸アルキルエステル、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有メタクリル酸エステル、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸等のα、β−不飽和カルボン酸およびその無水物が挙げられる。
【0016】
一方、前記スチレン系単量体と共重合可能なゴム質重合体としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンランダム共重合体およびブロック共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、アクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルおよびブタジエンの共重合体、ブタジエン・イソプレン共重合体、エチレンプロピレンランダム共重合体およびブロック重合体、エチレン・ブテンのランダム共重合体およびブロック共重合体等のエチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン・メタクリレート共重合体、エチレン・ブチルアクリレート共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸エステルとの共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレンと脂肪族ビニルとの共重合体、エチレン・プロピレン・ヘキサジエン共重合体等のエチレンとプロピレンと非共役ジエンターポリマー、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、およびポリオルガノシロキサンゴム成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分とが分離できないように相互に絡み合った構造を有している複合ゴム(IPN型ゴム)等が挙げられる。
【0017】
このようなスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(SBS樹脂)、水添スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体(水添SBS)、水添スチレン・イソプレン・スチレン共重合体(SEPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)、メチルメタクリレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム・スチレン共重合体(AAS樹脂)、アクリロニトリル・エチレンプロピレン共重合体・スチレン共重合体(AES樹脂)、ポリブタジエン含有スチレン共重合体、およびスチレン・IPN型ゴム共重合体等の樹脂、または、これらの混合物が挙げられる。また、さらにシンジオタクティックポリスチレン等のように立体規則性を有するものであってもよい。また、上記のスチレンに代えて、広く芳香族ビニル化合物を用いることができる。
これらの中でも、アクリロニトリル・ブタジエン・ビニル芳香族共重合体、アクリロニトリル・ビニル芳香族共重合体、アクリロニトリル・エチレンプロピレン共重合体・ビニル芳香族共重合体、ポリブタジエン含有ビニル芳香族共重合体が好ましい。
これらのスチレン系樹脂は、ポリカーボネートとのポリマーアロイにするためにも好ましく使用することができる。
【0018】
ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン、ポリヘキセン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体、エチレン・オクテン共重合体、プロピレン・ブテン共重合体、プロピレン・オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0019】
ポリアミドは、分子構造中にアミド基を含む線状ポリマーの総称であり、合成樹脂の中でも最も古い歴史を持ち、豊富なバリエーションを有する、エンプラを代表する結晶性樹脂である。以下、ポリアミド樹脂を「ナイロン」ともいう。多くの国で、各種エンプラ中最大の市場規模を築き、わが国においても自動車・車両、電子・電気機械、押出分野に広く使用されている。
【0020】
ポリアミドとしては、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,3−または1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)、m−またはp−キリシレンジアミンなどの脂肪族、脂環族または芳香族のジアミンと、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族などのジカルボン酸との重縮合物、ε−アミノカプロン酸、ナフタレンジカルボン酸、11−アミノウンデカン酸などのジカルボン酸との重縮合物、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタムの開環重合物、およびこれらの成分からなる共重合ポリアミド、これらのポリアミドの混合物が挙げられる。このようなポリアミドとして具体的には、ナイロン6、ナイロン66,ナイロン610、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロン6/11などであり、とくにナイロン6、ナイロン66が好ましい。
ナイロンは、自動車・車両関係で最も多く使用され、従来からのインテイクマニホールド等のアンダーフード部品として使用される以外に、最近はフェンダ、ドアパネル等の外板としての用途が開発されている。ナイロン6およびナイロン66が自動車用途に好ましく又広く使用されている。
これらの外板として使用されたナイロン等は回収にあたり、その表面に設けられた塗料膜を除去することが必要である。
本発明は、ガラス繊維により強化したナイロン樹脂にも適用できるが、繊維強化されていないナイロン樹脂基材の回収に好ましく適用できる。
【0021】
ポリエステルとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸などのジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール(プロパンジオール)、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール等の脂肪族グリコール類;シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール類;ビスフェノール類、ハイドロキノン等の芳香族ジオール類などのジオール化合物、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多官能ヒドロキシ化合物との重縮合物である。
具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどが挙げられる。
【0022】
本発明の方法を適用する基材を構成する熱可塑性樹脂に、任意成分としてリン系難燃剤を添加することができる。その添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20部であることが好ましく、5〜20重量部であることがさらに好ましい。リン系難燃剤としては、リン酸エステル化合物又は亜リン酸エステル化合物が例示できる。リン酸エステル化合物としては、分子中に5価のリンを含むリン化合物であり、好ましくは、下記一般式(2)又は(3)で示される化合物が挙げられ、より好ましくは、一般式(2)で示される化合物が挙げられる。リン酸エステル化合物は、2種以上の化合物を併用することもできる。
【0023】
【化1】

【0024】
式(2)中、R3〜R6は、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、p、q、r、sは、0又は1の数を表し、Xは、アリーレン基を表し、yは1〜5の整数を表す。なお、Xは、各々同じでも異なっていてもよい。式(3)中、R7〜R9は、炭素数1〜6のアルキル基又はアルキル置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、u、v、wは、0又は1の数を表す。
【0025】
上記式(2)で示されるリン酸エステル化合物としては、縮合リン酸エステルが挙げられ、5価のリン原子間に介在するアリーレン基としては、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のジヒドロキシ化合物から誘導される2価の基等が挙げられる。
【0026】
縮合リン酸エステルの具体例としては、Xがレゾルシノールから誘導される基の場合、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−tert−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・キシレル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート等が挙げられる。
【0027】
上記式(3)で示されるリン酸エステル化合物として、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル2エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等が挙げられる。これらの化合物は、公知の方法で、オキシ塩化リン等から製造することができる。
【0028】
亜リン酸トリエステル化合物としては、分子中に3価のリンを含むリン化合物であり、好ましくは、下記一般式(4)又は(5)で示される化合物等が挙げられる。亜リン酸エステル化合物は、2種以上の化合物を併用することもできる。
【0029】
【化2】

【0030】
式(4)及び(5)中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜30の芳香族基若しくは置換芳香族基を示し、好ましくは、炭素数6〜30の芳香族基若しくは置換芳香族基を示す。nは、1又は2の数を示し、R2は、nが1の場合、炭素数2〜18のアルキレン基又はアリーレン基を示し、nが2の場合、炭素数4〜18のアルキルテトライル基を示し、R1は各々同じでも異なっていてもよい。また、R1及びR2の置換基は酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を含む置換基であってもよい。
【0031】
1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基、イソオクチル基、イソデシル基、デシル基、ステアリル基、ラウリル基、フェニル基、2−、3−又は4−メチルフェニル基、2,4−又は2,6−ジメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2−、3−又は4−エチルフェニル基、2,4−又は2,6−ジエチルフェニル基、2,3,6−トリエチルフェニル基、2−、3−又は4−tert−ブチルフェニル基、2,4−又は2,6−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−6−エチルフェニル基、オクチルフェニル基、イソオクチルフェニル基、2−、3−又は4−ノニルフェニル基、2,4−ジノニルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0032】
2としては、nが1の場合、例えば、1,2−フェニレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられ、nが2の場合、例えば、下記一般式(6)で示されるペンタエリスリチル構造のテトライル基等が挙げられる。
【0033】
【化3】

【0034】
式(6)中、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。なお、Rは、各々同じでも異なっていてもよい。
【0035】
上記式(4)又は(5)で示される亜リン酸エステル化合物の具体例としては、トリオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジノリルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジラウリルフェニルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)フェニルホスファイト、ジイソオクチルフェニルホスファイト等;(フェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,3−プロパンジオール)ホスファイト、(フェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジメチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(4−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,2−エタンジオール)ホスファイト、(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)(1,4−ブタンジオール)ホスファイト等;ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ジラウリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(3−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,3,6−トリメチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(3−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ビフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジナフチルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0036】
好ましくは、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、亜リン酸エステル化合物の加水分解や熱分解等により生じる化合物を含んでいてもよい。
【0037】
回収の対象となる樹脂基材上に設けられる「異質の層」とは、樹脂基材とはその化学組成が異なる層である。異質の層は必ずしも連続層を形成している必要はなく、例えば基材上に画像状に設けられた不連続の蒸着層なども含まれる。多くの場合、基材上に設ける「異質の層」は、特定の機能を有する機能層であることが多い。機能層の例を列挙すると、記録材料、特に光記録材料として有用なデジタル記録のための塗布層又は蒸着層があり、色素含有層、金属蒸着層、感光層及び、保護層等が例示できる。
色素含有層には、シアニン系色素等が広く用いられ、金属反射層には、反射特性に優れた金や銀また安価なアルミニウム(合金)の蒸着層等が多用される。また、感光層としては、ハロゲン化銀乳剤層、またはフォトポリマー層や感光性ジアゾ化合物層などの非銀塩感光層が用いられる。
【0038】
保護層などには、光学特性に優れた熱可塑性アクリル系エステル、アクリル酸エステルモノマーやメタクリル酸エステルモノマーなどの共重合体が用いられる。さらに、保護層には、紫外線吸収剤としてベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニルなどのサリチル酸系化合物が用いられ、また紫外線硬化剤も用いられる。
その他、機能層として、塗料層(塗膜層)、ハードコート層、反射防止層、防眩層、視野角拡大層、紫外線防止層、熱線吸収層なども例示できる。
【0039】
さらに、異質の層として、塗膜層、金属箔層、金属めっき層、金属蒸着層、ハードコート層、紫外線防止層、接着剤層、粘着剤層及びセルロース誘導体層が好ましく使用できる。また、ハードコート層として、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂を用いることができる。
異質の層は、その機能によりその厚さは多岐にわたるが、好ましくは150μm以下、より好ましくは0.5〜100μm以下の厚さを有することが好ましい。
【0040】
(破砕工程)
本発明において、熱可塑性樹脂基材から異質の層を除去する方法においては基材を破砕して破砕物にする破砕工程を予め実施することが好ましい。又、本発明の回収方法では、熱可塑性樹脂からなる基材上に異質の層を設けた成形品を破砕物にする破砕工程を最初の必須工程として実施する。
回収される熱可塑性樹脂は、種々の形状を有した成形品として、種々の用途に使用されており、自動車等の車両の成形部品、パソコン等の電気・電子部品の本体ケース(筐体)、CD−ROMやDVDなどの光記録材料等が代表例として挙げられる。パソコンの筐体として同じ用途に使用されていても、PCメーカーが異なると、成形品に使用されている樹脂組成が異なることは普通である。回収に先立って実質的に同一の樹脂組成を有する成形品を分別し、集積することが重要である。
この破砕工程により成形品を予め適当な大きさの粉砕物に破砕することにより洗浄効率を向上させることができる。又、適当な大きさの破砕物から樹脂を回収することにより、回収された熱可塑性樹脂断片を再利用しやすくすることができる。即ち回収樹脂の再ペレット化を容易にすることができ、又この再ペレット化工程を経ることなく成形することができる。
【0041】
本発明の樹脂基材の回収に際しては、回収する樹脂基材をまず選別する。樹脂基材の種類や回収の適否により選別する。次いで、選別された樹脂基材は、成形品は予め適当な大きさに破砕する、又、シート状に近いものは適当な大きさのチップに裁断する。その後、得られる破砕品に異質の層の除去処理ないし熱可塑性樹脂の回収処理を施す。
例えば、ポリカーボネート基材(光学部品は0.6〜1.2mmの厚さが多い。)の回収処理においては、1mmないし10cmの大きさに破砕することが好ましく、1mmないし10mmの粒度に破砕することがさらに好ましい。また、比較的薄いポリエステル基材(厚さ0.05〜0.2mmが多い。)の回収においては、5mmないし3cmの大きさに破砕することが好ましい。
成形品の厚さが約2mm以下の場合、好ましくは約1.0mm以下の場合には、破砕工程はカッターによる裁断とすることができる。成形品の厚さが5mm以上の場合、特に厚さが10mmを超える成形品の場合には、裁断に加えて粉砕を併用して、成形品の厚さも低減した破砕物とすることが好ましい。
【0042】
この破砕には、乾式破砕、湿式破砕のいずれも用いることができる。湿式粉砕には、公知の装置を用いることができ、ハンマークラッシャー、ジョークラッシャー、ハンマーミル、カッターミル、フェザーミル、ターボミル等が例示できる。粉砕温度は、室温〜40℃が好ましく、粉砕時間は1〜100秒の範囲で適宜選択できる。乾式粉砕の場合には、吸気しながら粉砕し、微粒子含有量を低減することができる。湿式破砕の場合には、破砕後に、破砕物は水と遠心濾過又は遠心分離により分離する。この分離の条件を調節することにより微粒子の破砕物含有量を低減することができる。
【0043】
(洗浄処理工程)
本発明に係る異質の層を除去する方法の必須の工程は、異質の層を75℃以上のアルカリ水溶液中で除去する工程(本発明おいて「洗浄工程」ともいう。)である。さらに、本発明では、前記工程を基材である熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率が、5×107Pa以上である温度にて行うが、1×108Pa以上である温度で実施することが好ましい。この貯蔵弾性率が確保される限りにおいて、105℃以上のアルカリ水溶液で異質の層を除去する除去工程又は洗浄工程が好ましい。
熱可塑性樹脂からなる基材の貯蔵弾性率は、ガラス状態では約109Pa以上のオーダーで温度の上昇と共に漸減し、ガラス転移温度の近傍で、約106Paのオーダーにまで低下する。75℃以上で高温であればあるほど、アルカリ水溶液の異質の層を剥離除去する活性は強いと考えられるが、基材が上記の貯蔵弾性率に相当する温度以下である方が、異質の層を除去しやすいことを本発明者らは見いだした。ポリカーボネート又はそのアロイの組成が変化しても、また、難燃性可塑剤の配合量が異なっても、洗浄工程の臨界温度が上記の貯蔵弾性率で一義的に決定されるのは当業者が予期せざることであった。
【0044】
基材上に設けられた異質の層を除去するためのアルカリ水溶液による洗浄に先立って、又は付着した異物を基材から除去するために、破砕物を界面活性剤溶液により洗浄することが有用である。界面活性剤としてノニオン系及びアニオン系を併用することが好ましい。例えば、界面活性剤として、ポリオキシエチレン誘導体及びアルキル・ベンゼンスルホン酸ナトリウムの各1重量%の混合水溶液を使用することができ、破砕物を固液比1:1の比で混合し、90℃で10〜60分間撹拌処理することができる。
【0045】
洗浄工程に好ましく使用するアルカリ水溶液の調製には、苛性アルカリを使用することができる、ここで、「苛性アルカリ」とは、アルカリ金属の水酸化物や炭酸塩を意味し、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。苛性アルカリの他に、界面活性剤、を必要に応じて併用しても良い。
【0046】
本発明におけるアルカリ熱水溶液による工程は、好ましくは、pH10ないし14のアルカリ液を使用する。pHの調節には、pH計を使用するか、pH計の替りに、伝導度計を使用して調節することもできる。
水酸化ナトリウムの濃度は、一般に0.1重量%以上の濃度であれば良いが、0.1〜30重量%であることが好ましく、0.4〜20重量%であることがより好ましい。
使用する水酸化ナトリウムの濃度は、回収する樹脂基材の種類と洗浄温度等に依存する。例えば、ポリカーボネート基材の洗浄処理においては、一般に、0.1ないし20重量%の水酸化ナトリウムが好ましく、0.1ないし10重量%の水酸化ナトリウムがより好ましい。また、ポリエステル基材の洗浄処理においては、0.1ないし4重量%が好ましく、0.1ないし3重量%がより好ましい。
ポリオレフィン基材の洗浄処理においては、1ないし20重量%の水酸化ナトリウムが好ましく使用できる。ポリアミド基材の洗浄処理においては、1ないし20重量%の水酸化ナトリウムが好ましい。スチレン系樹脂基材の洗浄処理においては、1ないし10重量%の水酸化ナトリウムが好ましい。
同じpH値に調節できるならばイオン強度が低い苛性アルカリの使用が好ましい。
【0047】
本発明においては、異質の層(被膜)除去の際に界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤にはノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤があるが、本発明において使用される界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤及びアニオン性界面活性剤が好ましい。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコールエーテル系、特に、高級アルコールのポリエチレングリコールエーテル、アルキルフェノールのポリエチレングリコールエーテルなどが好ましく用いられる。また、アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはノニオン性界面活性剤と併用される。界面活性剤の濃度は、好ましくは0.001ないし10重量%、さらに好ましくは0.001ないし5重量%、最も好ましくは0.01ないし1重量%である。
界面活性剤は、回収原料としての破砕物に付着した又は処理液中に除去され再付着した色素や微小異物を除去するのに有用である。
【0048】
塗料や染料などを除去するために、有機溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン、メチルソロソルブなど基材に対する貧溶剤を併用することができる。
【0049】
また、樹脂基材上の被膜の除去方法は、縦型筒状胴部、該胴部内部下方に設けられ胴部中心軸に垂直な平面と10〜30度の狭角を有する液切り板、及び、該液切り板の上方に液切り板に近接して設けられた撹拌羽根を有する洗浄容器中に、表面に被膜を有する樹脂基材を入れ、洗浄容器内に堆積する樹脂基材の最上部よりも高い液面となる量のアルカリ性水溶液と該樹脂基材とを75℃以上であって、基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度において撹拌羽根の先端の回転速度2〜100m/secで撹拌する被膜除去工程、及び、該樹脂基材からアルカリ水溶液を除去する工程、とすることが好ましい。
【0050】
洗浄処理において、機能層を実質的に除去するとは、基材から機能層を50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは95重量%以上除去することをいう。
【0051】
洗浄工程は、75℃以上であって、基材である熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率が、5×107Pa以上である温度にて行うが、1×108Pa以上である温度で行うことが好ましい。また、105℃以上であって、基材である熱可塑性樹脂の貯蔵弾性率が、5×107Pa以上である温度がより好ましく、1×108Pa以上である温度で行うことが特に好ましい。
【0052】
貯蔵弾性率は、基板と同一の組成を有する熱可塑性樹脂の試験片に対して正弦波状に変化する歪みを与えたときに示す応答を測定して得られる複素弾性率の実数部分として測定できる。貯蔵弾性率は動的弾性率とも呼ばれる。貯蔵弾性率の温度変化は、試験片の温度を段階的に変化させて粘弾性の測定を行うことにより求めることができる。本発明においては、レオメトリクス社製RMS800を用いて、温度を3℃ずつ上昇させながら試験片の複素弾性率を測定し、動的粘弾性率によってこれを評価した。貯蔵弾性率は、連続関数として得られ、ガラス転移温度近傍で1×109Pa以上から5×106Pa以下に低下する。
図4に、特定のPC−ABSポリマーアロイの一例について、貯蔵弾性率、損失弾性率及びtanδの温度変化を示す。
【0053】
洗浄液の加熱は、通常1気圧以上の水蒸気または熱水、バーナーや電熱により行われる。加圧式洗浄装置を使用することが好ましく、耐高圧(0.2ないし0.5MPa=2ないし5kgf/cm2)の洗浄装置を用いることが好ましい。
洗浄時間は5ないし150分(5分以上150分以下)が好ましく、5ないし100分がより好ましく、10ないし60分がさらに好ましい。
【0054】
さらに、アルカリ熱水溶液による洗浄処理は、2段以上、好ましくは2段ないし3段に分割して実施することができる。
最初のアルカリ洗浄工程に続いて、別のアルカリ洗浄工程により異質の層を除去する2段のアルカリ洗浄工程を採用することにより、比較的短時間の合計洗浄時間により、再利用可能な高品質の合成樹脂等を回収することができる。2段以上の苛性アルカリの処理においては、各段のアルカリ水溶液のアルカリ濃度、温度またはチップの密度を変えて洗浄することもできる。複数のアルカリ洗浄工程の間に、必要に応じて、液切りまたは水洗処理を入れることができる。
【0055】
(過酸化物含有水溶液による処理工程)
本発明の回収方法において、アルカリ洗浄に引き続き、過酸化物を含有する水溶液により樹脂基材を洗浄することが好ましい。この場合において、洗浄に用いられる過酸化物には、−O−O−結合をもつ酸化物や多価原子価をもつ金属の酸化物が挙げられる。好ましくは、過酸化水素及びその塩、オゾン、過硫酸及びその塩などである。過酸化物の濃度は、0.1ないし10重量%であることが好ましい。また、過酸化物水溶液の温度は65ないし95℃であることが好ましく、80ないし90℃であることがさらに好ましい。過酸化物は残留金属や染料の完全除去に有用である。過酸化水素の0.1ないし10重量%の液は、そのpHが2ないし5(弱酸性)であり、痕跡のアルカリ洗浄液を除去する最終洗浄液として好ましく使用できる。
【0056】
(水洗処理工程)
本発明では、熱アルカリ水溶液による洗浄処理及び過酸化物水溶液による処理に続いて、水洗処理をすることが好ましい。基材からアルカリ水溶液や過酸化物水溶液を除去する処理を水洗処理という。
詳しくは、苛性アルカリ処理及び過酸化物水溶液処理をうけたチップから、処理液を排除する、または異質の層を溶解または微粉化した異物を除去するために、通常は水を用いて洗浄する処理をいう。好ましくは10ないし60℃、さらに好ましくは10ないし30℃の水を用いて処理する。水洗処理の後、有機溶剤、例えば、エタノール、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類や、トルエンや石油エーテルなど、またこれらを含有する水性溶液で、洗浄し、乾燥することもできる。
【0057】
乾燥工程とは、処理済チップを、50ないし200℃、好ましくは80ないし120℃の温度に加熱して、水分を好ましくは2重量%以下さらには1重量%以下になるまで乾燥する処理をいう。再熔融し、再生ペレットを作成するためには、真空乾燥し水分を0.2重量%以下にする方がよい。
【0058】
本発明の回収方法に使用できる加圧式洗浄装置としては、米国出願公開2001/0020483A1及び特開2004−27072に記載の装置を例示できる。図1に、この加圧式の洗浄装置の概要を示す。
【0059】
図1において、加圧式洗浄装置は、架台80に固定された圧力容器40及び撹拌羽根駆動機構70からなる。圧力容器40は、横断面が円形の縦型筒状容器であり、筒状胴部1の上部に鏡板3が設けられ、この鏡板3の中央部31にはチップ投入口等に使用できる蓋35が設けられ、蓋35はクラッチドアにより開閉できるようになっている。鏡板3には更に洗浄液供給口37が設けられている。圧力容器40の底部には上に凸の形状を有する逆鏡板5が接続されている。逆鏡板5の中央部近くには、撹拌羽根駆動機構70の撹拌軸が、好ましくは圧力容器40の中心軸Xに対して傾斜して、貫通して設けられている。
【0060】
本発明の圧力容器40の筒状胴部1下方には、チップ取出口13が設けられ、又、筒状胴部1の内部下方には胴部を横断する液切り板12が設けられている。
【0061】
液切り板12は、好ましくは、容器の中心軸に対する垂直面ではなく、この垂直面との狭角が10ないし30度となるように傾けて設ける。更に好ましくは、液切り板の最下部の位置とチップ取出口の最下端が一致させて、洗浄済みのチップの排出を容易にすることができる。
【0062】
上面91は、撹拌軸スペース51の上面と共に洗浄空間の底面を構成し、この底面の上方には、間隙93をあけてほぼ平行に液切り板12が設けられていることになる。液切り板12には、前述のように、それを貫通するか、又は好ましくはそれを貫通し下面が上面よりも大きな直径を有する多数の小孔17が設けられている。小孔の上面直径を1〜3mmにすることが好ましく、又、1.5〜2.5mmにすることが更に好ましい。これらの小孔の下面直径は、液切り板の厚さにも依存するが、上面直径の1.5〜3.0倍であることが好ましい。
液切り板12の上方には、液切り板12に近接して撹拌羽根93が設けられ、撹拌羽根93は、撹拌羽根駆動機構4のモータ14により変速機15を経て駆動され、逆鏡板5及び液切り板12を貫通して設けられた撹拌軸16に固着され回転駆動される。液切り板12の最下部の位置に相当する圧力容器40の筒状胴部1には、チップ取出口13が設けられており、チップ取出口13の最下端が液切り板12の上面に一致するように設けられている。逆鏡板5には、洗浄液排出管52が設けられ、筒状胴部には水蒸気吹き込み管が設けられ、水蒸気を中子上面と液切り板との間に吹き込むことができる。
【0063】
圧力容器40は、本発明の実施される温度、即ち、75℃以上であって基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度において、洗浄液を液状に維持するに必要な圧力(約0.2〜0.5MPa=約2〜5kgf/cm2)に耐え得るような容器である。チップ投入等に使用できる蓋35はクラッチドアとして密閉できることが好ましい。圧力容器40には、例えば加熱冷却のために加圧水蒸気、井水等を循環するためのジャケット15を設けることが好ましい。容器の形状は上記の条件を満足する限り特に限定されないが、その内径Dと内高さHとの比が、D:H=1:1〜2である形状を有するものが、内容物の撹拌効率、温度制御などの点で好ましい。蓋35又は筒状胴部1に、加圧容器40の内部用照明及び観察用の窓を設けてもよい。
【0064】
液切り板12が中心軸Xに対して傾斜している程度は特に限定されないが圧力容器40内の液切り板12と圧力容器40の中心軸Xに垂直な平面Yとの狭角αが10〜30度であるように傾斜していることが好ましい。狭角αが、上記範囲よりも小さいと洗浄されたチップの取り出し速度が遅くなり、上記範囲よりも大きいと洗浄処理中のチップの撹拌効果が低下し洗浄時間が長くなる傾向にある。圧力容器40が円形の横断面を有しており、液切り板12が上記のように形成されているので、液切り板12の平面形状は円形乃至楕円形である。
【0065】
本発明の方法で熱可塑性樹脂を回収することができ、さらに回収した熱可塑性樹脂は、再成形して成形品として使用することができる。回収した熱可塑性樹脂は、ペレットにすることなく成形することもできる。成形方法は射出成形や押し出し成形が例示でき、射出成形であることが好ましい。
本発明で回収した熱可塑性樹脂が、繊維強化複合材料である場合には、必要に応じて強化材を追加して再成形することができる。特に、炭素繊維で強化した、又はガラス繊維で強化した、ポリカーボネート樹脂又はそのポリマーアロイを回収した場合は、再成形の前に、それぞれ、炭素繊維又はガラス繊維を添加することが好ましい。添加する繊維の長さは、適宜選択できるが、一般に長い繊維で強化するほど得られる弾性ひずみや比強度の点では優れた結果が得られる。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製ポリカーボネート「ユーピロンS2000」(分子量22,000)80重量部及びテクノポリマー(株)製アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)樹脂「テクノABS150」20重量部に、大八化学工業(株)製縮合リン酸エステル難燃剤「CR741C」15部をヘンシェルミキサーで混合し、(株)日本製鋼所製2軸同方向混練機TEX44(II)にて250℃、スクリュウ回転数250rmpにて混合し、ノンハロゲン難燃性ポリマーアロイ(PC/ABS材料)を得た。
【0067】
このペレットを射出成形機、住友重機工業(株)製SYCAP SG75M2にてシリンダー温度240℃、金型温度70℃、射出圧力98MPaで射出成形し、300(L)×300(W)×2(T)(mm)の角型平板シートを得た。
この製品の両面に三菱化学(株)製アクリル系UV硬化ハードコート液HH0100―Aに浸漬し、80℃にて2分乾燥させたのち500〜1,000mJ/cm2の条件で10秒間UV照射して6ミクロン厚さのハードコート処理製品を得た。
【0068】
PC/ABS材料の貯蔵弾性率の測定は以下の条件で行った。
装置:メカニカルスペクトロメーターRMS800型
Fixture:Torsion Rectangular
試料形状:63(L)×12(W)×2(T)(mm)
測定モード:Dynamic Temperature Step
周波数:6.28rad/sec (1Hz)
温度ステップ:3℃/step(40g−Auto Tension Mode)
温度範囲:−100℃〜測定可能温度
歪み(Auto Strain Mode):0.1%〜
(軟化温度域で変形歪みは検出トルク見合いで最大1.5%迄順次アップ)
この条件での5×107に到達する温度は115℃であった。
【0069】
このサンプルをポリオキシエチレン誘導体のノニオン界面活性剤(花王(株)製・エマルゲンA−500)の1重量%と水酸化ナトリウムの3重量%との混合水溶液(pH13.5)に投入し、所定の温度(100℃、110℃または120℃)で30分間処理した。
上記の処理に引き続いて水酸化ナトリウム濃度を5重量%とし、他は上記処理液組成等と全く同様にして、所定の温度で30分処理した。
【0070】
ポリオキシエチレン誘導体のノニオン界面活性剤及びアルキルベンゼン・スルホン酸ナトリウムの各1重量%混合水溶液に、過酸化水素0.58質量%相当量を混合した混合水溶液を用い、90℃で30分間処理した。さらに水洗し、乾燥した。
【0071】
その後、回収した樹脂粒子の異質の層の除去の程度の評価を行った。異質の層の除去の程度は目視により評価した。
<目視による異質の層の有無の評価>
目視により3段階の評価を行った。
○ ・・・ 完全剥離
△ ・・・ 一部光沢ムラあり
× ・・・ 光沢ムラが多い
【0072】
(実施例2〜7)
実施例1で用いた熱可塑性樹脂の組成を表1に示す組成を有する熱可塑性樹脂とした以外は、同様にして、貯蔵弾性率の測定及び異質の層の除去の程度の観察を行った。
尚、実施例5で用いたHIPS樹脂は、ピーエスジャパン社製、PS−JポリスチレンHT478である。
【0073】
【表1】

【0074】
(実施例8)
実施例1において設けた異質の層であるハードコート層を、以下に示す市販の各種塗料5種に変更して得られた塗膜について試験した。実施例1に示した結果と同様に、基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度で異質の層を除去した場合には、目視外観による剥離結果が良好であった。
異質の層は、以下の(1)〜(5)の方法で設けた。
(1)武蔵塗料(株)製 スーパープライマー89540 15μmを塗工後、さらにハイウレックスPP79 30μmを塗工した後、80℃で20分間ベークした。
(2)武蔵塗料(株)製 スーパープライマー89540 15μmにウルトラシャインS97 30μmを塗工した後、80℃で20分ベークした。
(3)(1)のトップコートとして武蔵塗料(株)製ウルトラバインUV700VBを10μm紫外線硬化した。
(4)オリジン電気(株)製 Plameez#100を15μm塗工した後、70℃で30分間ベークした。
(5)オリジン電気(株)製 Planet PX−1を25μm塗工した後、80℃で20分ベークした。
【0075】
(実施例9)
PCもしくはPET(ポリエチレンテレフタレート)シート上に設けられた磁気記録層の除去を行った。実施例1に示した結果と同様に、基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上の温度で異質の層である磁気記録層を除去した場合には、目視外観による剥離結果が良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る加圧式洗浄装置の一実施例の概略を示す斜視図である。
【図2】図1における洗浄装置の断面を拡大した概略図である。
【図3】圧力容器の下部に中子を設けた一実施態様である。
【図4】PC−ABSポリマーアロイの貯蔵弾性率、損失弾性率及びtanδの温度変化の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0077】
1 筒状胴部
3 鏡板
5 逆鏡板
9 中子
12 液切り板
13 チップ取出口
15 ジャケット
17 支持台
18 筒状胴部下部フランジ部
19 筒状胴部上部フランジ部
31 鏡板フランジ部
35 蓋
37,38 洗浄液供給口
40 圧力容器
51 撹拌軸スペース
52 液排出口
55 水蒸気吹き込み管
58 逆鏡板フランジ部
70 撹拌羽根駆動機構
71 撹拌羽根
73 撹拌軸
80 架台
91 上面
93 間隙
95 均圧管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる基材上に設けられた異質の層を、
75℃以上であって該基材の貯蔵弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、
該基材から除去することを特徴とする異質の層の除去方法。
【請求項2】
熱可塑性樹脂が、ポリカーボネートを60〜95重量部及びスチレン系樹脂を40〜5重量部含有するポリマーアロイである請求項1に記載の異質の層の除去方法。
【請求項3】
スチレン系樹脂が、アクリロニトリル・ブタジエン・ビニル芳香族共重合体、アクリロニトリル・ビニル芳香族共重合体、アクリロニトリル・エチレンプロピレン共重合体・ビニル芳香族共重合体及びポリブタジエン含有ビニル芳香族共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1つのスチレン系樹脂を含有する請求項2に記載の異質の層の除去方法。
【請求項4】
基材が、熱可塑性樹脂100重量部に対してリン系難燃剤を1〜20重量部含有する請求項1〜3いずれか1つに記載の異質の層の除去方法。
【請求項5】
異質の層が塗膜層、金属箔層、金属めっき層、金属蒸着層、ハードコート層、紫外線防止層、接着剤層、粘着剤層及びセルロース誘導体層よりなる群から選ばれた請求項1〜4いずれか1つに記載の異質の層の除去方法。
【請求項6】
熱可塑性樹脂からなる基材上に異質の層を設けた成形品を破砕物にする破砕工程、
75℃以上であって該基材の動的弾性率が5×107Pa以上である温度に加熱したアルカリ水溶液中で、該破砕物中の該基材から異質の層を除去する工程、及び、
その後、過酸化物を含有する水溶液で処理する工程、及び、
水で洗浄する工程、を含んでなることを特徴とする
熱可塑性樹脂の回収方法。
【請求項7】
105℃以上のアルカリ水溶液中で異質の層を除去する洗浄工程である、請求項6に記載の熱可塑性樹脂の回収方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の回収方法により回収された熱可塑性樹脂。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の回収方法により回収した熱可塑性樹脂を成形してなる成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−88334(P2006−88334A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−272657(P2004−272657)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(591056938)パナック工業株式会社 (7)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】