説明

熱可塑性樹脂発泡体

【課題】電飾看板や照明器具、ディスプレイなどのバックライトや照明ボックスに好適な、高い反射率を有する熱可塑性樹脂発泡体を提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂シートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して不活性ガスを含有させる工程と、不活性ガスを含有させた熱可塑性樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程と、発泡した熱可塑性樹脂シートを少なくとも1軸に延伸させる工程とからなる製造方法により製造された熱可塑性樹脂発泡体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電飾看板や照明器具、ディスプレイなどのバックライトや照明ボックスに好適な熱可塑性樹脂発泡体シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電飾看板や照明器具、ディスプレイなどのバックライトに使用される光反射板として、光を反射する合成樹脂製のフィルムまたはシートを立体的な形状に加工した光反射板が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
光を反射する合成樹脂製のフィルムまたはシートとしては、内部に微細な気泡または気孔を多数有する熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシート(例えば特許文献2参照)や、フィラーを含有する熱可塑性樹脂のフィルムであって、フィラーを核として多数のボイドが形成されているフィルム(例えば特許文献3参照)が知られている。
【0004】
前者の微細な気泡または気孔を多数有する熱可塑性樹脂発泡体は、溶融状態または固体状態の熱可塑性樹脂に、加圧下で不活性ガスを接触させた後、除圧し、常圧下でその樹脂の軟化温度以上に加熱して発泡させることにより得られる。得られた熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシートは、平均気泡径が50μm以下と微細であるため、高い反射率を有するとともに、優れた形状保持性を有しており、熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシート単独で立体的な形状に加工が可能である。なお、一般に熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシートの光反射率は、フィルムまたはシートの厚さが薄くなるに従い、低下する傾向にある。そこで、薄くても高い反射率を有する熱可塑性樹脂発泡体が求められている。
【0005】
一方、後者のフィラーを含有する熱可塑性樹脂のフィルムは、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどのフィラーを含有する未延伸フィルムを成形し、この未延伸フィルムを延伸することにより、フィラーを核として多数のボイドを形成させることにより得られる。得られたフィルムは厚さが200μm未満と薄いため、フィルム単独では形状保持性を有さないとともに、フィルム背面へ漏洩する光も多くなる。よって、フィルムの背面に十分な強度と遮光性を有する板を配置して用いられる。
【0006】
ところで、発泡ポリエステルシートを延伸して得られる結束バンドが知られている(例えば特許文献4参照)。しかし、これは発泡体を延伸することにより十分な引張強度と適度な柔軟性を有する結束用バンドが得られる旨が記載されているにすぎない。
また、溶融押出発泡体を延伸して得られる白色フィルムが知られている(例えば特許文献5および特許文献6参照)。しかしながら、特許文献5に記載されているように、溶融押出法により得られる発泡体は、気泡径が15〜400μm(実施例においては80〜350μm)と大きいため、これを延伸しても高い反射率のフィルムを得ることができない。特許文献5および6に記載されているように、ダイの圧力を維持することは、溶融押出法で微細気泡を得るために必要な条件であるが、それだけでなく出口での圧力低下率を高くとることも必要となる。これらの技術は、各種文献で公知であるが、この方法は幅が狭いフィルムでは実施可能なものの、製品レベルの広幅(たとえば600mm〜1500mm幅程度)を実施することは非常に困難である。幅が狭いフィルムを、後工程で延伸することによって広幅にすることは可能であるが、その場合は非常に薄肉のフィルムしか得られない。薄肉フィルムの場合、高反射率を得ることが難しいと共に、形状保持性や取り扱い性、組み立て加工性に劣り、特に光反射板として用いる場合には問題が生じることがある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−122863号公報
【特許文献2】WO97/01117号公報
【特許文献3】特開平4−296819号公報
【特許文献4】特開平10−101127号公報
【特許文献5】特開2004−195685号公報
【特許文献6】特開平11−300814号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、省電力化が求められており、より高い反射率を有する樹脂のフィルムまたはシートが要求されている。さらに、特に電飾看板やディスプレイの分野では、省スペース化のニーズが高まっており、光を反射する樹脂のフィルムまたはシートの薄型化が要求されている。しかしながら、前述のように、フィルムまたはシートを薄型化すると薄くなるに従い反射率の低下が起こり、最近の高輝度、高反射率の要求を満足する反射板が得られにくい傾向がある。また、薄型化に伴い、形状保持性の低下、折り曲げや打ち抜きなどの2次加工性が低下するという問題もある。さらに、薄いフィルムまたはシートの場合、ディスプレイのバックライトなどへ組み込む際に、位置あわせが難しく、作業効率が落ちるという問題もある。本発明は、薄型でより高い反射率を有するだけでなく、加工性や形状保持性に優れる熱可塑性樹脂発泡体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱可塑性樹脂シートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して不活性ガスを含有させる工程(以下「第1工程」という)と、不活性ガスを含有させた熱可塑性樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程(以下「第2工程」という)と、発泡した熱可塑性樹脂シートを延伸させる工程(以下「第3工程」という)とからなる製造方法により製造することにより、より高反射率を有する熱可塑性樹脂発泡体が得られることを見出した。すなわち本発明は、
(1)熱可塑性樹脂シートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して不活性ガスを含有させる工程と、不活性ガスを含有させた熱可塑性樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程と、発泡した熱可塑性樹脂シートを少なくとも1軸に延伸させる工程とからなる製造方法により製造された熱可塑性樹脂発泡体、
(2)前記熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が2倍以上であり、かつ、前記熱可塑性樹脂発泡体のシートの厚さが250μm以上であることを特徴とする(1)に記載の熱可塑性樹脂発泡体、
(3)400〜700nmの光の波長域における平均反射率が90%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂発泡体、
(4)前記熱可塑性樹脂がポリエステルであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂発泡体、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡体は薄型化が可能であり、かつ、溶融押出発泡体を延伸して得られる熱可塑性樹脂発泡体シートに比べ、気泡径が微細であるため、従来予測し得なかった高い反射率を示す。また、本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡体は、薄型であるにも関わらず、優れた形状保持性を有しており、熱可塑性樹脂発泡体のフィルムまたはシート単独で立体的な形状に加工が可能である。よって、ディスプレイのバックライトなどへの組み込みの作業効率が良い。更に、本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡体は、引張伸び特性が従来の熱可塑性樹脂発泡体に比べて優れるため、立体的な形状に加工した際に、シートの割れなどの不良が発生しにくい。
すなわち、本発明により得られる熱可塑性樹脂発泡体は電飾看板や照明器具、ディスプレイなどのバックライトや照明ボックスの光反射板として好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第1工程ではまず、熱可塑性樹脂のシートとセパレーターを重ねて巻くことによりロール形成し、このロールを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して該熱可塑性樹脂シートに不活性ガスを含有させる。
不活性ガスとしては、ヘリウム、窒素、二酸化炭素、アルゴン、圧縮空気などが挙げられる。熱可塑性樹脂が飽和状態になるまでの不活性ガス浸透時間および不活性ガス浸透量は、発泡させる熱可塑性樹脂の種類、不活性ガスの種類、浸透圧力およびシートの厚さによって異なる。
【0012】
なお、熱可塑性樹脂シートとセパレーターからなるロールを、加圧不活性ガス雰囲気中に保持して該熱可塑性樹脂シートに不活性ガスを含有させる前に、有機溶剤に含有させてもよい。
有機溶剤としては、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトン、酢酸、ジオキサン、m−クレゾール、アニリン、アクリロニトリル、フタル酸ジメチル、ニトロエタン、ニトロメタン、ベンジルアルコールなどが挙げられる。これらのうち、取り扱い性および経済性の観点からアセトンがより好ましい。
【0013】
熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合は、不活性ガスを含有させた後の熱可塑性ポリエステル樹脂シートの結晶化度が30%以上であることが好ましい。結晶化度が30%以上であれば、より均一で微細な気泡が得られる。
【0014】
本発明の第2工程では、第1工程を経て不活性ガスが含有された熱可塑性樹脂シートを常圧下で加熱することにより発泡させる。この工程における加熱手段としては、熱風循環式発泡炉、オイルバス、溶融塩バスなどが挙げられる。
【0015】
より具体的には、例えば、圧力容器からロールを取り出し、熱可塑性樹脂シートとセパレーターとを分離しながら、樹脂シートだけを熱風循環式発泡炉中を通過させる方法が用いられる。発泡条件は、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に設定する。その後、炉から出た発泡シートを直ちに成形ロールで平らに成形する。
【0016】
本発明の第3工程では、第1工程および第2工程を経て発泡された熱可塑性樹脂シートを少なくとも1軸に延伸する。2軸延伸を行う場合には、逐次2軸配向延伸、同時2軸配向延伸、それらを組み合わせた延伸のいずれであっても良い。さらに、延伸は一段延伸でも良いが、多段延伸であっても良い。延伸は熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上、融解温度以下の温度で行うことが好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合は、延伸は70〜220℃、好ましくは80〜200℃で行うことが好ましい。また、延伸後に熱可塑性樹脂発泡体シートに熱処理を施して熱固定しても良い。熱処理を施す場合の温度は、一般に熱可塑性樹脂のガラス転移温度以上融点以下で行うが、最終的に製品として求められる各種特性を満たすように適宜条件設定される。
【0017】
延伸の方法は特に限定されないが、一例として、テンター法により、所定の倍率だけ延伸する方法が挙げられる。このとき延伸倍率は特に限定されないが、例えば熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、1軸延伸の場合は縦方向に、2軸延伸の場合は縦方向、横方向それぞれに1.1倍以上5倍未満が好ましい。より好ましくは1.2〜4倍であり、さらに好ましくは1.2〜3倍とする。延伸倍率が1.1倍以上5倍未満であれば、十分な延伸効果が得られるとともに、熱収縮の増大や、引き裂き伝搬抵抗の減少などの問題が生じることもなく、より高反射率の熱可塑性樹脂発泡体を得ることができる。
【0018】
さらに本発明で得られる熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率は、特に限定されないが、2倍以上であることが好ましい。より好ましくは、2.5倍以上、さらに好ましくは3倍以上である。特に熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が1.3倍以下の場合は気泡分布が疎になりやすく、結果的に反射率の低下を招きやすくなる。発泡倍率が2倍以上であれば、軽量化の効果があり、折り曲げや打ち抜きなどの2次加工の際に、折り曲げ戻り、抜き不良などが起こり難く生産性が優れる。
【0019】
本発明で得られる熱可塑性樹脂発泡体の厚みは、特に限定されないが、250μm以上であるが好ましい。より好ましくは300μm以上、更に好ましくは350μm以上である。熱可塑性樹脂発泡体の厚みが250μm以上であれば、高反射率を示すとともに、形状保持性、2次加工性、組み込み作業性が優れる。
【0020】
本発明で得られる熱可塑性樹脂発泡体の400nmから700nmの波長域の光の平均反射率は、90%以上であることが好ましい。より好ましくは、95%以上、更に好ましくは97%以上、特に好ましくは98%以上である。反射率が90%を下回る場合、光反射板として要求される反射特性を十分満たさず、結果的に光反射板を組み込んだ製品として十分な輝度向上効果が得られない傾向があるため好ましくない。
【0021】
本発明で得られる熱可塑性樹脂発泡体の表面光沢度は、特に限定されないが、50%以上であることが好ましい。より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。表面光沢度が50%以上であれば、拡散反射成分が少なくなるため、特にバックライトに使用した場合に、前面に反射される光が多くなり、輝度がより向上する傾向にある。
【0022】
本発明において用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビフェニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコールなどの汎用樹脂、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、超高分子量ポリエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、フッ素樹脂などのエンジニアリングプラスチック、またはこれらの共重合体もしくは混合物などが挙げられる。これらのうちでも、耐熱性、耐衝撃性などが良好であることから、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、シクロポリオレフィンが好ましく、中でもポリエステルが特に好ましい。さらに、ポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0023】
本発明において、特性に影響を及ぼさない範囲で、発泡前の熱可塑性樹脂に、結晶化核剤、結晶化促進剤、気泡化核剤、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、蛍光増白剤、顔料、染料、相溶化剤、滑剤、強化剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、可塑剤、増粘剤、減粘剤などの各種添加剤を配合しても良い。また、得られた熱可塑性樹脂発泡体に上記添加剤を含有する樹脂を積層しても良いし、上記添加剤を含有する塗料をコーティングしても良い。
【0024】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。なお、得られた熱可塑性樹脂発泡体の各種特性の測定及び評価は以下の通りとした。
(密度)
熱可塑性発泡体の密度(ρf)は、電子天秤(METTLER社製 AE240)を用いて、水置換法により求めた。
(発泡倍率)
発泡体シートの密度(ρf)を水中置換法により測定し、発泡前の樹脂の密度(ρs)との比ρs/ρfとして算出した。ただし、熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合、ρsは1.34として計算した。
(厚さ)
得られた熱可塑性樹脂発泡体の幅方向5点の厚みをTeclock社 SM−112(測定子形状Φ10mm、測定力2.5N以下)を用いて測定し、その平均値を熱可塑性樹脂発泡体の厚みとした。
(反射率)
分光光度計(UV−3101PC:島津製作所製)を用いて、400〜700nmの光の波長域における反射率を測定し、得られたチャートより1nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算した。なお、表1において、硫酸バリウムの微粉末を固めた白板の拡散反射率を100%として、各々の熱可塑性樹脂発泡体の拡散反射率を相対値で示している。
(白色度)
JIS−L−1015に準じて求めた。すなわち、分光光度計(UV−3101PC:島津製作所製)を用いて測定した450nmおよび550nmの波長における反射率をそれぞれB%、G%としたとき、下記式に代入して白色度を求めた。
白色度=4B−3G
(表面光沢度)
表面光沢度は、光沢度計(ミノルタ製 GM−268)により、入射角度60°、受光角度60°で測定した。測定は、すべて試料数n=5で行い、その平均値を求めた。
(形状保持性)
得られた熱可塑性樹脂発泡体を真空成形機により図1に示すような開口部の直径100mm、深さ70mmの半球状の光反射板を熱成形加工した。得られた光反射板を手で持って力を加えて変形の有無を観察し、形状保持性を評価した。
【0025】
(実施例1)
0.6mm厚×300mm幅×60m長さのポリエチレンテレフタレートシート(C−0312グレード、ユニチカ(株)製)のロールと、セパレーターとして160μm厚さ×290mm幅×60m長さ、目付量55g/m2 のオレフィン系不織布のロール(FT300グレード、日本バイリーン(株)製)とを用意した。両者を重ねて、ポリエチレンテレフタレートシートの表面どうしが接触する部分がないように巻いて新たにロールを作製した。
【0026】
その後、このロールを圧力容器に入れ、炭酸ガスで6MPaに加圧し、ポリエチレンテレフタレートシートに炭酸ガスを浸透させた。ポリエチレンテレフタレートシートへの炭酸ガスの浸透時間は72時間とした。
【0027】
次に、圧力容器からロールを取り出し、セパレーターを取り除きながら炭酸ガスが浸透したポリエチレンテレフタレートシートだけを220℃に設定した熱風循環式発泡炉に発泡時間が1分となるように連続的に供給して発泡した。得られた発泡体の厚さは1000μm、平均気泡径は9μmであった。
【0028】
次いで、このシートをテンター法延伸装置を用いて180℃にて、延伸倍率が2.0倍となるように1軸方向に延伸し、そのまま200℃にて熱処理をした後、室温まで徐冷した。
延伸した発泡体は、延伸前の厚みに対して35%まで薄肉化したにも関わらず、反射率が、従来の方法では考えられなかった101.1%という値を示した。白色度は107.5であった。得られた結果を表1に示す。
【0029】
(実施例2)
延伸倍率を1.4倍で行った以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
【0030】
(実施例3)
延伸倍率を2.4倍で行った以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
【0031】
(実施例4)
延伸温度を200℃、延伸倍率を2.5倍で行った以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
延伸した発泡体は、延伸前の厚みに対比して32%と薄肉化したにも関わらず、反射率が、従来の方法では考えられなかった102.7%という値を示した。白色度は110.9であった。得られた結果を表1に示す。
【0032】
(実施例5)
延伸温度を80℃、延伸倍率を1.5倍で行った以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
【0033】
(実施例6)
延伸方向を2軸、延伸温度を180℃、延伸倍率を縦方向1.4倍、横方向1.4倍で行った以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
【0034】
(実施例7)
延伸方向を2軸、延伸温度を100℃、延伸倍率を縦方向1.6倍、横方向1.6倍で行った以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
【0035】
(比較例1)
延伸行程を行わなかったこと、0.33mm厚×300mm幅×60m長さのポリエチレンテレフタレートシートを用いたこと以外は、実施例1と同条件とした。得られた結果を表1に示す。
得られたシートは、厚みが470μm、反射率が96.6%、白色度が98.8であった。
【0036】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例において作製した光反射板を示す断面図
【符号の説明】
【0038】
1 熱可塑性樹脂発泡体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂シートを加圧不活性ガス雰囲気中に保持して不活性ガスを含有させる工程と、不活性ガスを含有させた熱可塑性樹脂シートを常圧下で加熱して発泡させる工程と、発泡した熱可塑性樹脂シートを少なくとも1軸に延伸させる工程とからなる製造方法により製造された熱可塑性樹脂発泡体。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂発泡体の発泡倍率が2倍以上であり、かつ、前記熱可塑性樹脂発泡体のシートの厚さが250μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
【請求項3】
400〜700nmの光の波長域における平均反射率が90%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂発泡体。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂がポリエステルであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂発泡体。


【図1】
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【公開番号】特開2006−95944(P2006−95944A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286602(P2004−286602)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】