説明

熱圧着型マークを作るためのマーク用生地材料

【課題】昇華性染料を以て図柄、模様等を印刷した転写紙を使って、該転写紙に印刷された図柄、模様を転写できるようにしたマーク用生地材料を提供する。
【解決手段】昇華性染料に親和性のある構成成分から成る白地の布地の裏側面に露出する紡糸面から昇華性染料の昇華温度より高い融点温度に設定した熱可塑性合成樹脂を滲透した極薄膜を形成した布地とし、該極薄膜面に剥離材を形成した熱転写接着層を形成するマーク用生地材料とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇華性染料によって所望の色彩、模様、図柄等の印刷を施した転写紙を以て、該転写紙に印刷された所望の色彩、模様、図柄等の転写を可能とした熱圧着型マークを作るためのマーク用生地材料を提供しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来からのありふれた熱圧着型マークの構成は、所望の色彩、模様、図柄等を印刷した織物、編み物、不織布等の布地をマーク地1とし、前記マーク地1の裏面にホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成るいわゆる転写接着層2を形成し、これを剥離紙3で裏打ちして図3に示す構成のマーク用生地4としていた。
【0003】
そして、前記したマーク用生地4から熱圧着型マーク5を作るのには、前記マーク用生地4を所望の形状に裁断して、所望の色彩、模様、図柄から成る熱圧着型マーク5としていた。
従って、従来の熱圧着型マークの構成は、図4に示すとおりマーク地1の裏に転写接着層2を形成し、これを剥離紙3で裏打ちした構成となる。
【0004】
前記熱圧着型マーク5を以てユニホーム等に貼着するには、熱圧着型マーク5のマーク用生地4の構成材である転写接着層2に裏打ちした剥離紙3を取り除き、熱圧着型マーク5の転写接着層2をユニホーム等の生地面(図示しない)に重ね合わせ、加熱プレス機等で約150℃程度の温度条件下で約30秒間、約200g/平方センチメートル程度の圧力をかけて前記マーク5の転写接着層2をユニホーム等の生地とマーク地4の間で溶融して転写接着層2の溶融成分をマーク地1とユニホーム等の生地の両者に滲み込ませ、これが冷却したときは、両者に滲み込んだ前記溶融成分に投錨機能を働かせて両者を貼着すると言うものである。
【0005】
ところで、昇華性染料によって色彩、模様、図柄等を印刷した転写紙の開発が進み、現在では、前記した転写紙を使って図5に示す構成の布地から成るマーク用生地を作る技術が普及されるようになった。
この技術とは昇華性染料によって印刷した転写紙を以て転写対象物である布地に、これまでの転写紙による転写手段と同じように、転写対象物である布地面に転写紙の印刷面を重ね合わせて所定の温度、圧力で加熱押圧することにより、転写紙に印刷された昇華性染料の染料成分を昇華させて、昇華性染料により印刷された色彩、模様、図柄等通りの色彩、模様、図柄等を転写対象物である布地に転写する技術である。
【0006】
前記した転写紙を使って図5に示す構成のマーク用生地を作るため、マーク地6としては、前記した転写紙に色彩、模様、図柄等として印刷された昇華染料の染料成分が昇華して転写するのに親しみのあるポリエステル繊維から成る白地の織物、編物、不織布等の布地を使用する。図5に示す構成のマーク用生地11を作るための手順には、第1の作業として前記したマーク地6裏に、仮接着剤7’が塗布された不織布7の仮接着剤7’を塗布した面を重ね合わせて、加熱プレス機で加熱プレスを行って、前記不織布7を以て裏打ちした複合生地8を作る。第2の作業として、この複合生地8の白地のマーク地6の表面に前記した転写紙の印刷面を押し当て加熱プレス機等で加熱プレスを行い、転写紙に昇華性染料を以て印刷された色彩、模様、図柄等の昇華染料を昇華させて前記白地の布地から成るマーク地6面に昇華した染料から成る色彩、模様、図柄を転写する。
この着色、模様、図柄等の転写を行うときの加熱プレス条件は、加熱温度は約200℃、加圧力は約300g/平方センチメートル、加熱押圧時間は約60秒とされている。
【0007】
この第2の操作を終えた前記複合生地8の不織布7面に、第3の作業として常法に従って、ユニホーム等の被転写物にマークを転着する機能を果たすホットメルト系の熱可塑性合成樹脂を以て転写接着層9を形成し、その転写接着層9の面に剥離紙10を貼着して図5に示す構成のマーク用生地11とすると言うものである。
ところで、この転写接着層9は、図3に図示する従来のマーク用生地を作る転写接着層2と同じように融点温度を通常約150℃に調節され、加熱加圧時間を通常約30秒とされ、加圧力を約200g/平方センチメートルとされるよう調節されたものである。
上記した手段で作られたマーク用生地11から、熱圧着型マークを作るのには、上記したマーク用生地11から所望の形状に裁断して図6に図示するような熱圧着型マーク12とする。
【0008】
従って、従来の手順を変えてまずポリエステル繊維から成る白地の織物、編物、不織布等から選んだ布地をマーク地6とし、このマーク地6に仮接着剤7’を塗布した不織布7で裏打ちした複合生地8とし、次にこの複合生地8の裏面に転写接着層9を形成して、まずマーク用生地材料を作り、後に、このマーク用生地材料の構成材である該複合生地8のマーク地6となる布地に前記転写紙を用いて昇華性染料による色彩、模様、図柄等を転写したマーク用生地11を作ろうとしても従来の手順を変えて作ったマーク用生地材料に、前記転写紙を用いた転写を行って前記転写紙の昇華性染料を転写したマーク用生地材料を作ることはできない。
なぜなら、前記マーク用生地材料の前記マーク地6に転写紙に印刷された昇華性染料を昇華させて、前記マーク用生地材料を構成するマーク地6に着色、模様、図柄を転写させる温度と、マーク用生地材料に形成された転写接着層9の融点温度は異なるだけでなくプレス圧力、プレス時間等の差によって転写紙からの着色、模様、図柄の転写操作中に転写接着層9の溶融が先行し、転写接着層9の溶融樹脂が、複合生地8を構成する不織布7を通してマーク地6の表面に滲み出してしまい、マーク地6面に前記溶融樹脂による被膜ができることで昇華転写不良が生じてしまうからである。
【0009】
また、現在マーク業界に出回っているポリエステル繊維等から成る白地の織物、編物、不織布等を以てマーク地6とし、このマーク地6に仮接着剤7’を塗布した不織布7を裏打ちして複合生地8として、その複合生地8のマーク地6に前記転写紙を以て色彩、模様、図柄を転写した後、その複合生地8の不織布7に転写接着層9を形成して図5に示す構成のマーク用生地11から型取りして作った図6に図示したマーク12とし、これを以て常法による加熱プレス手段で該マークをユニホーム等に接着した場合には、下記の通りの不都合が生じる。
即ち、ユニホームとマークの構成材である複合生地8の不織布7は強固に接着するが、該不織布7とマーク地6とは仮接着剤7’で仮着しているので、ユニホーム等に接着したマーク12は洗濯堅牢度が弱く、洗濯中に剥がれてしまうと言う不都合が生じるマークとなる。また、耐摩擦性も弱いという不都合が生じるマークとなる。
また、複合生地8のマーク地6に前記転写紙を以て色彩、模様、図柄を転写した後に、不織布7を剥離してから転写接着層9を形成しようとすると、前記転写紙を以て色彩、模様、図柄を転写したマーク地6は剥離作業のために歪んでしまうという不都合が生じる。
さらに、上記した不都合を解消するために前記複合生地8を作る手段として前記マーク地6裏に配する不織布7をマーク地6と強固に接着しようとして仮接着剤7’を分厚く塗布した複合生地8を作り、その複合生地8の不織布7に転写接着層9を形成してマーク用生地11を作り、このマーク用生地11からマーク12を型取りし、そのマーク12を以て常法に従った加熱プレスによってユニホーム等に接着しようとすると、仮接着剤7’を作る合成樹脂が、分厚い層となっているので、これが溶融してマーク地6面にも不織布7裏面からも滲み出してしまい、マーク地6面に溶融した合成樹脂による皮膜を形成してしまう。その結果、仮接着剤7’を分厚くした複合生地8を以て作ったマーク用生地並びにこのマーク用生地から作ったマークは商品とはならないという不都合が生ずる。
【0010】
前記した技術の不都合を解消するため、本発明者等は以前に特開2006−322129号公報に開示された発明を開発した。
前記した公開公報に記載された発明の要旨は同公報の[請求項1]に記載されているようにマーク用生地材料を構成するマーク地を、昇華性染料と親和性のある構成成分から成る繊維で作られた白地の布地を用い、
前記した布地であるマーク地の裏面に、前記した布地であるマーク地の構成材である布地の構成成分と親和性のある合成樹脂で、しかも融点高度を昇華性染料の昇華温度より高温度に設定した合成樹脂から成る介在層を形成し、
前記介在層の面に、ホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を形成し、
この転写接着層の面に剥離紙を貼り合わせた構成としたことを特徴とするマーク用生地材料と言う構成から成るものであり、
また、[請求項2]に記載されているように、
マーク用生地材料を構成するマーク地を、昇華性染料と親和性のある構成成分から成る繊維で作られた白地の布地を用い、
前記した布地であるマーク地の裏面に、前記した布地であるマーク地の構成材である布地の構成成分と親和性のある合成樹脂で、しかも融点高度を昇華性染料の昇華温度より高温度に設定した合成樹脂から成る介在層を形成し、
前記介在層の面に、耐熱性のフィルムを形成し、
前記フィルムの面に、ホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を形成し、
この転写接着層の面に剥離紙を貼り合わせた構成としたことを特徴とするマーク用生地材料と言う構成から成るものである。
即ち、前記した公開公報に記載された発明は、白地のマーク地裏に介在層を形成し、その裏に転写接着層を形成し、その裏に剥離紙を貼り合わせる工程を経て作るものである。
熱転写マークは、薄手に作ることに越したことはない。
前記した公開公報に記載された発明のマーク用生地材料から作る熱圧着型マークは、前記した工程を経て作ることによって厚手の熱転写型マークとなるという嫌いがないでもない。
前記公開公報に記載された発明に係る熱圧着型マークは、マーク地と転写接着層との間に介在させるものであることから、その介在物が原因して厚手のものとなる。熱圧着型マークが厚手になると、その厚みが原因して、貼着対象物に貼着後貼着対象物からむしり取られる現象、即ち、耐剥離性を十分に発揮できないと言う不都合を生じるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−322129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、前記した公開公報に記載された発明から成るマーク用生地材料を以て作る熱圧着型マークの生じる不都合を阻止し、前記した公開特許公報に記載されたマーク用生地材料から作られる熱圧着型マークを、より薄手のマークを作ることができるマーク用生地材料を提供しようとし、マーク地について研究を重ねた新たな熱圧着型マークを作るマーク用生地材料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のマーク用生地材料を構成するマーク地とする布地は、昇華性染料と親和性のある構成成分から成る繊維で作られた紡糸から成る布地を用いる。その代表的な例としてポリエステル繊維で作られた紡糸を以て織物、編み物、不織布として作った白地の布地を用いる。
前記した布地を以て本発明のマーク地とするのには、前記した布地を作るために用いる紡糸の構成材である繊維の構成成分であるポリエステル合成樹脂と親和性のある合成樹脂で、しかも融点高度を昇華性染料の昇華温度より高温度に設定した合成樹脂を以て、該布地の裏側面に露出する該紡糸の構成材である繊維の隙間に、且つ、縦糸として使う紡糸の糸芯に達する手前の深さに滲み込ませ、織物、編み物として成る布地の裏側面の織り目、編み目を目潰しする極薄膜を形成して本発明のマーク用生地材料とする。
【0014】
前記マーク地を形成する極薄膜の面に、従来のマーク生地を作るのと同様に剥離材の表面にホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を形成した剥離材の転写接着層を重ね、その状態で加熱加圧操作を行って、前記した熱圧着型マーク地裏と剥離材面に形成した前記した転写接着層とを一体として形成してマークを作るために使うマーク用生地材料とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、昇華性染料と親和性のある構成成分から成る繊維で作られた白地の布地から成るマーク地に昇華染料を以てする昇華転写温度より高融点の合成樹脂で極薄膜を作り、その極薄膜に剥離剤で裏打ちされたホットメルト系の熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を形成したマーク用生地材料を作るものであるから本発明のマーク用生地材料を入手しさえすれば、加工業者は昇華性染料で所望の色彩、模様、図柄を印刷した転写紙を以て、加工業者が所持する加熱加圧機で、所望の色彩、模様、図柄を転写したマーク地から成るマーク用生地を作り、これから熱圧着型マークを作ることができる。
【0016】
上記した構造とすることにより該マーク地の表面は、昇華性染料による転写紙を以てする昇華転写に親しむ性質を発揮し、マーク地の裏に昇華性染料の昇華温度より高温度に設定した合成樹脂から成る極薄膜を形成する層を設けたマーク地とすることになり、マーク地裏に形成する転写接着層は前記した特開2006−322129号公報に記載された発明から成るマーク用生地材料を用いたマーク生地とは異なり、介在層を介在させる必要のないマーク地に形成でき、その結果マーク地用生地は薄手に形成でき、これを以て作ったマークは薄手の熱圧着型マークとすることができ、貼着物に貼着後、貼着物からむしり取られるような厚みとならない。また、昇華性染料を以て作った転写紙を以てする加熱プレス操作時に該転写紙の昇華性染料をマーク地へ転写するとき、下層となる転写接着層の溶融樹脂が加熱によりマーク地の構成材である布側に滲み出すことを防止することができる。
また、マーク地裏の極薄膜と転写接着層との間に耐熱性のフィルムを介在させた場合には、加熱プレスによる昇華性染料の転写に際して、より確実に加熱による影響を受けないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るマーク用生地材料の構成を示す斜視図。
【図2】本発明に係るマーク用生地材料のA−A線断面拡大図。
【図3】本発明に係るマーク用生地材料を所望形状に裁断したときの構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のマーク用生地を作るために用いる布地は、昇華性染料と親和性のある構成成分から成る繊維で作られた白地の布地を使う。本発明のマーク用生地を作るためのマーク地は、前記した白地の布地の裏面に、前記した布地の構成成分と親和性があり、しかも融点高度を昇華性染料の昇華温度より高温度に設定した合成樹脂を以て極薄膜を形成したものとする。本発明のマーク用生地は、前記したマーク地の極薄膜の面に、ホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成る転写接着層を表面に形成した剥離材の転写接着層を貼り合わせることによりマーク用生地材料を作る。
【実施例1】
【0019】
本発明のマーク用生地材料10は図1に示す構成から成るものである。本発明のマーク用生地材料10を構成するマーク地とする布地1としては、昇華性染料に親和性のある構成成分から成る繊維を使った図3に示すように紡糸1Aを以て作られた布地1であって、代表的な例としては、ポリエステル繊維から成る紡糸を以て作られた白地の織物、編み物、不織布から成る布地を用いる。
前記した布地1を用いる理由は、昇華性染料を用いて色彩、模様、図柄の印刷を施した転写紙を以て前記布地に昇華性染料の染料成分を昇華させて該転写紙に印刷された色彩、模様、図柄の転写をする場合、該転写紙から昇華した染料成分による色彩、模様、図柄が他の材料で作った白地の布地、例えばナイロン系の合成樹脂で作った布地では転写した昇華性染料成分による鮮明な色彩、模様、図柄の転写が出来ないからである。
また、前記した白地の布地1は、材料をポリエステル繊維を用いた紡糸で造ると言うだけでなく、その布地1は、少なくとも、前記転写紙を以て、前記転写紙に印刷された昇華性染料を加熱加圧によってその染料成分を昇華して転写紙に印刷された色彩、模様、図柄通りの色彩、模様、図柄を前記布に転写するものであるから、その布地は前記した転写紙による昇華転写の加熱温度に耐える構成成分から成る繊維で作られた紡糸1Aで作られた布地1でなければならない。
【0020】
前記布地1の裏面に形成する極薄膜は、前記布地1の構成材と親和性のある熱可塑性合成樹脂で極薄膜2として形成する。
この耐熱極薄膜2は、布地1の裏面に露出する前記紡糸1Aの面に前記合成樹脂溶剤をスプレーによるかコーティングするか、前記合成樹脂から成るフィルムをラミネートするかによって極薄膜2として形成する。
即ち、前記した合成樹脂を以て、前記布地1の裏側面に露出した紡糸1Aの面から、前記した紡糸1Aの構成材である繊維の隙間に前記した合成樹脂を滲み込ませる。この操作は、図3に図示するように前記した紡糸1Aに滲み込ませることとする。この滲み込みは紡糸の縦糸の糸芯を通過して滲過するものであってはならない。この合成樹脂の滲み込み操作によって布地1の織り目、編み目の目潰し機能も発揮することになる。その結果は、前記した布地1の裏側面に露出した紡糸の表面形状と極めて近似する表面形状の極薄膜2を形成することになる。
【0021】
前記した操作を行うために使用する合成樹脂の粘度は当然前記機能を発揮するための極薄膜を作るための粘度に調整しなければならないことは当然である。
前記した極薄膜は、前記した融点温度に設定した合成樹脂を以て作る者であるから昇華染料を使った転写紙を以てする昇華転写時には昇華した染料成分の通過を阻止する機能も発揮することは当然である。
この極薄膜を作るためには、前記した合成樹脂に前記した機能をよりよく果たせるため、前記した合成樹脂に架橋剤、或いは活性炭極微粒子等を混合した昇華性染料の成分の浸透を阻止する極薄膜を形成する成分を混合調整したものを使用することがある。
この操作によって布地1の表側面は昇華性染料を用いた転写紙の転写操作に支障がない表側面とすることができることになる。
【0022】
本発明のマーク用生地材料10を作るのには、マーク地とする白地の布地1に前記した操作を行って、布地1の裏側面に前記した図1、図3に図解した極薄膜2を形成した布地1をマーク地とすることが特徴である。
【0023】
本発明のマーク用生地材料10は、前記した操作を行った図1、図3に図解する布地1から成るマーク地裏に形成した極薄膜2裏にホットメルト性の熱可塑性合成樹脂から成る熱転写接着層3に裏打ちした剥離剤4の熱転写接着層3を重ねて、加熱加圧操作を行って、前記マーク地である布地1裏に剥離剤4で裏打ちされた熱転写接着層3を一体物として形成する。
即ち、該操作によりマーク地である布地1の裏の極薄膜2に形成される熱転写接着層4はあたかも布地1の裏側面に露出する紡糸1A面に直接形成された体裁と同じような体裁でしっかりとした一体物として形成される。
【0024】
本発明に係るマーク用生地材料10は、上記の手順を経て作られるから、その構成は、図1に示すとおりポリエステル繊維による織物、編み物、不織布から成る白地の布地1をマーク地とし、そのマーク地の布地1裏に極薄膜2、その極薄膜2裏に熱転写接着層3、その熱転写接着層裏に剥離紙4を配した構成となる。
【0025】
このマーク用生地材料10を構成する布地1から成るマーク地に所望の色彩、模様、図柄を形成したマーク用生地とするためには、昇華性染料を以て所望の色彩、模様、図柄を印刷した転写紙の印刷面を、マーク用生地材料10のマーク地とする白地の布地1に重ね合わせて、約60秒、約200℃の温度、約300g/平方センチメートルの条件下で加熱加圧を行う。
この操作によって、前記転写紙から印刷に用いた昇華性染料が所望の色彩、模様、図柄として前記白地の布地1であるマーク地に転写し、前記白地の布地1であるマーク地21面に前記昇華性染料による色彩、模様、図柄が形成される。
【0026】
この操作時に、ホットメルト系の熱可塑性合成樹脂によって形成された転写接着層3は、当然前記加熱加圧操作によって、前記極薄膜3と剥離紙4の間で溶融するが、本発明のマーク用生地材料10の構成材である白地の布地1であるマーク地には、前記極薄膜2が設けてあるので、前記白地の布地1であるマーク地には転写接着層2の構成成分である溶融した合成樹脂が滲み出すことはない。また、剥離紙4からも滲み出すことはない。
従って、従来のような不良品となることはない。
【0027】
即ち、加工業者は、前記マーク用生地材料10を入手しさえすれば既存の加熱プレス機を以て、昇華性染料により印刷した所望の色彩、模様、図柄を施した転写紙を使って、所望の色彩、模様、図柄を転写したマーク用生地を作ることができる。
このマーク用生地から加工業者がマークを作る手段は、昇華性染料により印刷した転写紙を以て従来法により転写操作を行って転写操作後、転写された図柄通りに所望の形状に裁断して図2に示すマーク20とすることは勿論である。
また、そのマーク20をユニホーム等に接着する手段は従来法によることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
10 マーク用生地材料
1 白地の布地
2 極薄膜
3 熱転写接着層
4 剥離材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇華性染料に親和性のある構成成分から成る繊維を使った紡糸を以て作られた布地であって、代表的な布地としてはポリエステル繊維から成る紡糸を以て作られた白地の布地を用い、該布地裏側面に露出する紡糸面から前記布地の厚さの半分以下の厚さに達する厚さまで融点温度を昇華性染料の昇華温度より高い温度に設定した熱可塑性合成樹脂を滲透させて加熱加圧操作を施して該布地を裏側面に該合成樹脂から成る極薄膜を形成した布地とし、該布地裏側面に形成した該極薄膜面にホットメルト性の熱可塑性合成樹脂を以て熱転写接着層を形成した剥離材の熱転写接着層形成面を重ね合わせて加熱加圧して該布地裏側面に形成した極薄膜面に該剥離材に形成した熱転写接着層を一体として形成したマーク用生地材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−219903(P2011−219903A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92958(P2010−92958)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(510105695)宝來社國際有限公司 (1)
【出願人】(399132386)株式会社宝來社 (12)
【Fターム(参考)】