説明

熱流センサ

【課題】熱電対間の温度差を維持して、測定に必要とされる熱起電力を効率良く発生させることにより、熱伝導率の測定精度を高めることが出来るサーモパイル型の熱流センサを提供する。
【解決手段】熱流センサは、絶縁性の配線基板4に、縦横に配列された複数の第1,第2の貫通孔5,6を形成し、各第1,第2の貫通孔5,6に異種金属材料製の第1,第2金属接続体7…,8…が交互に配設されている。第1,第2金属接続体7…,8…は、第1金属接続体7と同種の第1表面金属層19…,第2表面金属層20…によって、直列に接続されていて、各々熱電対を構成する。第1表面金属層9…,第2表面金属層10…の幅狭部19a,20a…では、複数の第1表面金属層…,第2表面金属層…間を接続して、第1の貫通孔5内に配設された第1金属接続体7を通過する熱流量が少なくなるように、幅狭形状を呈して、熱が通過する断面積を少なくしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、伝熱測定に用いられる面状の熱流センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば、建材としての断熱材の開発等に欠かせない役割を果たしているのが、断熱材の熱伝導率の測定である。
【0003】
この熱伝導率の測定精度の向上は、断熱材の過剰な使用によるスペースや資源の無駄の防止や、不十分な断熱施工によるエネルギーの無駄を避ける上でも望ましい。
【0004】
このような建材に用いられる断熱材は、熱伝導率が0.02W/k.m(平均気温20°c)前後であるので、熱伝導率の測定は容易ではない。
【0005】
このような単体では、測定が困難な断熱材であっても、建物の一部として実際に用いられる状態若しくは、その状態に近い状態で、内,外壁面パネル材等が、組み合わせられた建材では、内,外側面間を通過する熱流束の測定を行うことにより、比較的に容易に、断熱性能を測定する熱流センサが、知られている。
【0006】
このような熱流センサでは、面状に複数の熱電対を配列して、直列に接続することにより、熱起電力を集積し、測定精度を向上させる所謂サーモパイルが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
例えば、建築物の建材の断熱性能を測定する為、複合的な要素が組み合わせられた被測定物としての建材内に、前記熱流センサが直接、挿入され、若しくは、前記サーモパイルが、建材の内外側面に添着されて、現状の温度勾配が計測される。
【0008】
このようなサーモパイルでは、従来の熱流センサの挿入によって、被測定物である建材の外表面の温度分布状況に与える影響が、発生しないように極力抑えられる。
【0009】
また、この熱流センサ自体を構成するセンサ基材も、ガラスエポキシ樹脂板等によって、熱抵抗が小さくなるように構成されていて、添着された被測定物の内外側面からの熱流束が、高精度で測定可能とされている。
【0010】
このため、被測定物が、既存の建築物の建材等、分解等が出来ないものであっても、被測定物を破損させること無く外部から、熱流計測が可能となる。
【特許文献1】特開2004−37097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような従来の熱流センサでは、各熱流センサの熱電対間に介在されて、センサ基材を構成する絶縁材料の厚みと、熱電対の金属素材の材質とが決まっている場合に、更に、高精度の熱流の測定を行う為には、各熱電対の両端に位置する測定代表点間の温度差を大きく維持して、熱起電力が、最っとも大きくなるようにすることが臨ましい。
【0012】
一般に、熱流センサ自体の熱抵抗が小さくなると、熱流感度も低下する関係を有する。
【0013】
すなわち、熱伝導率の比較的高い銅製材料等を熱電対の一方の金属材に用いると、この銅製金属材を熱が伝わって、センサ基材の両側面間の温度差が縮まってしまう。
【0014】
このため、熱電対の一方に、電気的に直列接続を行う銅製の金属材を用いると、他方の金属材であるタングスタンタン等の両端に位置する測定代表点間の温度差が縮んで小さくなり、熱起電力の発生効率が低下してしまうといった問題があった。
【0015】
そこで、この発明は、熱電対を直列接続出来るサーモパイルの長所を生かしつつ、センサ基材の両側面に位置する測定代表点間の温度差を保ち、熱流感度を向上させることが出来るように最適化された熱流センサを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため、請求項1記載の発明は、縦横に配列された複数の第1,第2貫通孔が、絶縁性のセンサ基材に形成され、前記各第1,第2貫通孔に異種金属材料製の第1,第2導電性金属が交互に配設されて、前記第1導電性金属が、第2導電性金属に比して高い熱伝導率を有して、前記センサ基材の両側面に形成された複数の表面金属層により、前記第1,第2貫通孔に配設された第1,第2金属接続体が、直列に接続されている熱流センサである。
【0017】
そして、前記センサ基材の両側面に位置する各測定代表点間で熱伝導が行われる第1導電性金属内の熱流断面積を、少なくとも何れか一箇所で、小さくなるように設定することにより、前記第1貫通孔内の第1導電性金属を介して伝達される熱伝導量を減少させる難熱伝達部を設けたことを特徴としている。
【0018】
また、請求項2記載の発明は、前記難熱伝達部では、少なくとも一の前記表面金属層に形成されて、前記第1貫通孔内の第1導電性金属と接続される第1貫通孔周縁部分に形成される第1受放熱面部と、前記第2導電性金属が、前記第2貫通孔の表面側に位置する第1導電性金属と接続される第2貫通孔周縁部分からなる第2受放熱面部との間に、平面視幅狭形状として、前記第1導電性金属の断面積を小さくすることにより、熱伝導量を減少させたことを特徴とする請求項1記載の熱流センサ。
【0019】
更に、請求項3に記載されたものは、前記第1貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第1受放熱面部の表面積を、前記第2貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第2受放熱面部の表面積よりも、小さくなるように形成した請求項1又は2記載の熱流センサを特徴としている。
【0020】
また、請求項4に記載されたものは、少なくとも一の前記表面金属層には、前記第2受放熱面部から一体となるように、前記第1受放熱面部近傍に向けて延設されて、受放熱面積を拡大する延設受放熱面部を形成して、前記第1受放熱面部の周縁と、該延設受放熱面部との間を分離するように、該第1受放熱面部を囲む遮熱溝部を設けた請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の熱流センサを特徴としている。
【0021】
そして、請求項5に記載されたものは、前記遮熱溝部は、前記幅狭部の側縁に沿って延設されて、前記第1受放熱面部の周縁と、該延設受放熱面部との間を等間隔で分離するように構成されている請求項4に記載の熱流センサを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
このように構成された請求項1記載の発明によれば、前記第2導電性金属に比して高い熱伝導率を有する第1導電性金属によって、異種金属材料製の第1,第2導電性金属間が、直列に接続されていても、前記第1導電性金属内の熱流断面積を、少なくとも何れか一箇所で、小さくなるように設定された前記難熱伝達部が、前記第1貫通孔内の第1導電性金属を介して伝達される熱伝導量を減少させる。
【0023】
このため、センサ基材の両側面に形成された各表面金属層間では、該第1導電性金属を介して伝えられる伝熱量が少なく、各表面金属層の温度差を充分保てる。
【0024】
従って、前記第2貫通孔に配設された第2導電性金属では、各表面金属層との間で、測定に必要とされる熱起電力を効率良く発生させて、熱伝導率の測定精度を高めることが出来る。
【0025】
更に、メッキにより、複数の表面金属層をセンサ基材の両側面に形成する際に、前記難熱伝達部を形成しながら、対となる第1,第2導電性金属を、各表面金属層で直列に接続することが出来、製造が容易である。
【0026】
また、請求項2に記載されたものは、平面視幅狭形状として、前記第1,第2表面金属層の伝熱に寄与する幅狭部の縦断面積が小さく設定されることにより、前記測定代表点と第1金属接続体の接続部周縁との間の熱伝導量を減少させることが出来る。
【0027】
このため、これらの幅狭部が、難熱伝達部として、熱を前記第1,第2表面金属層の間で移動させにくくする。
【0028】
よって、電気抵抗が小さく導電性の良好な銅を用いて、直列に接続しても、前記第1貫通孔内の銅製の第1金属接続体を介して、配線基板の表裏両面間で伝達される熱伝導量を減少させることが出来る。
【0029】
従って、前記表,裏の第1,第2表面金属層の間の温度差が保持される。
【0030】
更に、請求項3に記載されたものは、前記第1貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第1受放熱面部の表面積が、前記第2貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第2受放熱面部の表面積よりも、小さくなるように形成されている。
【0031】
このため、前記第1受放熱面部の受放熱熱量が、小さく、容易に前記表,裏の第1,第2表面金属層の間の温度差が、これらの第1受放熱面部からの受放熱によって、減少する虞が少ない。
【0032】
また、請求項4に記載されたものは、前記表面金属層では、第1受放熱面部近傍に向けて、前記第2受放熱面部から一体となるように延設された延設受放熱面部が、前記表面金属層に設けられた前記遮熱溝部によって分離されている。
【0033】
このため、該延設受放熱面部が、良好な配置効率で、受放熱面積を拡大する為に、前記第1受放熱面部の周縁まで延設されていても、該延設受放熱面部で受熱された熱が、前記第1受放熱面部に伝熱されること無く、該遮熱溝部によって遮熱される。
【0034】
従って、前記第2受放熱面部に設けられた測定代表点の温度を、広い範囲で受熱した熱の空間的な平均として、該測定代表点間の温度差を保持させることが出来、更に、測定精度を向上させることができる。
【0035】
そして、請求項5に記載されたものは、前記遮熱溝部は、前記幅狭部の側縁に沿って延設されて、前記第1受放熱面部の周縁と、該延設受放熱面部との間を等間隔で分離するように構成されている。
【0036】
このため、何れの該遮熱溝部の箇所でも、渡溝方向(遮熱溝部の延設方向である長手方向と直交する方向)の間隔が等しく、第1金属接続体で形成されている前記第1受放熱面部の周縁と、該延設受放熱面部との間で伝えられる熱流量を減少させることが出来る。
【0037】
従って、更に、測定代表点間の温度差の保持性が良好で、測定精度を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態の熱流センサの要部を示し、省略したセンサ基材の両側面に各々形成される表面金属層の一部拡大斜視図である。
【図2】実施の形態の熱流センサで、センサ基材の両側面に形成される表面金属層の接続構成を説明する模式的な分解斜視図である。
【図3】絶対値法に基づいた専用の較正装置の一例を示す模式的なブロック図である。
【図4】実施の形態で、図1の熱流センサに用いるセンサ基材の一例を示す平面図である。
【図5】実施の形態の比較例で、図3のセンサ基材を用いた熱流センサの平面図である。
【図6】実施の形態の比較例で、図5の熱流センサの反対側の面を示す平面図である。
【図7】実施の形態の実施例1の熱流センサの平面図である。
【図8】実施の形態の実施例1で、図7の熱流センサの反対側の面を示す平面図である。
【図9】実施の形態の実施例1の熱流センサで、表裏面側の表面金属層間の接続を説明する詳細な平面図である。
【図10】実施の形態の実施例1の熱流センサで、第1端子近傍の表面金属層の構成を説明する拡大平面図である。
【図11】実施の形態の実施例1の熱流センサで、図10中のA−A線に沿う位置での断面図である。
【図12】実施の形態の実施例2の熱流センサで、第1端子近傍の表面金属層の構成を説明する拡大平面図である。
【図13】実施の形態の実施例2の熱流センサで、図12中のB−B線に沿う位置での断面図である。
【図14】実施の形態の各実施例を、中間金属の法則が適用される場合について説明する原理図で、(a)は、センサ基材内に設けられる一般的な熱電対の模式的な構成図、(b)は、(a)における金属A,Bの接合点温度T1,T2を示す等価回路図、(c)は、本願の代表的な実施例のセンサ基材内に設けられる熱電対の模式的な構成図、(d)は、(c)における金属A,Bの接合点温度T1,T2を示す等価回路図、(e)は、第三の金属Cの接続両端の温度T1,T3が、同一温度T1=T3となる場合、(d)と等価となる模式的な中間金属の法則を説明する回路図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、この発明の実施の形態の熱流センサを、図面に基づいて説明する。
【0040】
図1乃至図13は、熱伝導率を測定するための熱流センサ及び較正装置を示したものである。
【0041】
まず、図4乃至図6に示すこの実施の形態の比較例としての前記熱流センサ3の構成について説明する。
【0042】
前記熱流センサ3に用いられる、被測定センサ3a,3b…は、測定代表点の絶対温度を個別に測定可能である他、局所的な温度差あるいは温度勾配に比例した電圧を出力するものである。
【0043】
尚、被測定センサ3a,3bの構成は、略同じであるので、主に、被測定センサ3aを用いて、詳述する。
【0044】
この熱流センサ3には、図4に示すようなエポキシ樹脂製の絶縁性を有する配線基板4が用いられている。
【0045】
この配線基板4には、縦横にマトリックス状に配列された多数(又は複数)の第1の貫通孔5と、縦横にマトリックス状に配列された多数(又は複数)の第2の貫通孔6が、形成されている。
【0046】
この多数(又は複数)の第1の貫通孔5は、貫通孔行5L1,5L2,5L3・・・5Li・・・5Lnと、貫通孔列5C1,5C2,5C3・・・5Ci・・・5Cnとを有して、等間隔に配列されている。
【0047】
また、多数(又は複数)の第2の貫通孔6は、貫通孔行6L1,6L2,6L3・・・6Li・・・6Lnと、貫通孔列6C1,6C2,6C3・・・6Ci・・・6Cnとを有して、等間隔に配列されている。
【0048】
そして、貫通孔行5L1,5L2,5L3・・・5Li・・・5Lnと、貫通孔行6L1,6L2,6L3・・・6Li・・・6Lnとは、交互に配列され、貫通孔列5C1,5C2,5C3・・・5Ci・・・5Cnと、貫通孔列6C1,6C2,6C3・・・6Ci・・・6Cnとは、交互に配列されている。
【0049】
しかも、貫通孔行5L1,5L2,5L3・・・5Li・・・5Lnと、貫通孔行6L1,6L2,6L3・・・6Li・・・6Lnとは、半ピッチずれて配列され、貫通孔列5C1,5C2,5C3・・・5Ci・・・5Cnと、貫通孔列6C1,6C2,6C3・・・6Ci・・・6Cnとは、半ピッチずれて配列されている。
【0050】
尚、説明の便宜上、多数(又は複数)の第1の貫通孔5と、多数(又は複数)の第2の貫通孔6は、マトリックス状に形成した例を示したが、多数(又は複数)の第1の貫通孔5…及び第2の貫通孔6…のうち、配線に使用しない部分は省略しても良い。
【0051】
本実施の形態の比較例では、図5又は図6に示したように多数(又は複数)の第1の貫通孔5及び第2の貫通孔6のうち、配線に使用しない部分を省略した配線基板4が、用いられている。
【0052】
また、図4に示す各第1の貫通孔5には、第2導電性金属としてのコンスタンタンに比して高い熱伝導率を有する銅製で筒状の第1金属接続体(第1導電性金属)7が、それぞれ介挿されて、図5又は図6に示すように、内筒側面に一体となるように形成されている。
【0053】
更に、各第2の貫通孔6には、コンスタンタン製で、中実状の第2金属接続体(第2導電性金属)8が、それぞれ介挿されて、内筒側面に一体となるように介在されている。
【0054】
このうち、前記第1金属接続体7は、銅を第1の貫通孔5内側面にメッキにより層状に形成したものであり、第2金属接続体8は、線状のコンスタンタンを第2の貫通孔6に嵌合することにより、嵌合形成されている。
【0055】
更に、配線基板4の一方の側面4aには、平面視略矩形状を呈する多数(又は複数)の第1表面金属層9…が、図5に示したように配列され、配線基板4の側面4aとは、反対側(他方)の側面4bには、図6に示したように、平面視略矩形状を呈する多数(又は複数)の第2表面金属層10…が、配列されている。
【0056】
この第1,第2表面金属層9,10を有する熱流センサ3を形成するには、先ず線状のコンスタンタンを、第2の貫通孔6に介挿して、第2金属接続体8として嵌合する。
【0057】
次に、配線基板4の両側面4a,4bのエポキシ樹脂層を全体に渡ってカットして、若しくは、削り取って、第1の貫通孔5の端部と、第2金属接続体(第2導電性金属)8の端面を露出させる。
【0058】
この後、配線基板4の両側面4a,4b全体に、所定厚さの銅メッキを施すことにより、配線基板4の両側面4a,4bに図示しない銅層(導電性金属で構成される表面金属層)が、略全面に渡り、形成される。
【0059】
この際、第1の貫通孔5の内面にも、銅メッキが施されて、図5及び図6に示す銅層(導電性金属層)からなる第1表面金属層9…と、第2表面金属層10…との間が接続されて、第1金属接続体(第1導電性金属)7…として、各第1の貫通孔5…内に介挿される。
【0060】
尚、配線基板4の両側面4a,4bの全体に形成される中間生成物として図示しない銅層(導電性金属層)の肉厚は、略等しくなるように形成されている。
【0061】
また、この銅メッキによって生成されて、配線基板4の両側面4a,4b全面に亘り、蒸着された銅層は、前記各第2金属接続体8の両端に接合されると共に、前記各第1の貫通孔5…の両端部から、第1の貫通孔5…内に侵入して、両側面4a,4bの銅層同士が電気的に接続される。
【0062】
次に、配線基板4の両側面4a,4bの全体に形成された図示しない銅層(導電性金属層)の表面のうち、フォトエッチング加工によって、第1,第2表面金属層9,10として必要な部分が残されることにより、多数(又は複数)の第1,第2表面金属層9,10が形成される。
【0063】
しかも、このフォトエッチング加工により、前記各第1,第2表面金属層9,10…では、第1金属接続体7と、第2金属接続体8とが直列に接続されるように配列される。
【0064】
すなわち、図5では、短冊状(長方形状)の複数の第1表面金属層9…が、側面4a上にジグザグに配列され、図6では、短冊状(長方形状)の複数の第2表面金属層10が、側面4b上にジグザグに配列されている。
【0065】
この第1表面金属層9と、第2表面金属層10とは、両端部が、前記配線基板4の面内外方向で、重複するような位置に配置されて、第1金属接続体7と第2金属接続体8とを介して直列に接続された第1,第2表面金属層9,10の直列回路の両端には、第1,第2端子11,12が接続されるように形成されている。
【0066】
また、この実施の形態では、第1金属接続体(第1導電性金属)7は、熱伝導率が403W/m・Kの銅製であり、第2金属接続体(第2導電性金属)8は、熱伝導率が22W/m・Kのコンスタンタンであるので、銅の熱伝導率は、コンスタンタンの熱伝導率の略18倍となる。
【0067】
この結果、第1金属接続体7と、第2金属接続体8の断面積が同じであれば、配線基板4の側面4bから側面4aに移動する熱量は、銅製の第1金属接続体7の方が、コンスタンタン製の第2金属接続体8よりも略18倍も多くなるので、被測定物の熱伝達率の測定が困難になる。
【0068】
従って、熱伝達率の測定を正確に行うためには、第1金属接続体7と第2金属接続体8を介して配線基板4の一側の面から他側の面に移動する熱量とを、近似若しくは、同一となるように設定しなければならない。
【0069】
このため、この比較例では、第1金属接続体(第1導電性金属)7と第2金属接続体(第2導電性金属)8は、熱伝達率(熱流量すなわち熱移動量)が、略同じになるように、前記第1の貫通孔5の内部の第1金属接続体7の断面積が、比較的小径で小さくなるように設定されるか、若しくは、中空状で、配線基板4の内,外側面間を貫通するスルーホールが形成されることにより、近似若しくは、同一となるように調整されている。
【0070】
即ち、第1金属接続体7が、銅製の金属素材で構成されて、且つ第2金属接続体8が、コンスタンタン製の金属素材で構成される場合には、前記第1の貫通孔5の内部の第1金属接続体7の断面積を、配線基板4の面内,外方向である長手方向で、均一とすると共に、第2金属接続体8の第2の貫通孔6内の断面積よりも、通電が可能な範囲で小さく、若しくは、約1/18に設定することにより、第1金属接続体7と第2金属接続体8の熱伝達率(熱流量すなわち熱移動量)が、近似若しくは、略同一となるように構成することができる。
【0071】
次に、この実施の形態の比較例の熱流センサの作用効果について説明する。
【0072】
このように、実施の形態の比較例の熱流センサ3では、熱伝導率に基づいて第1金属接続体7と、第2金属接続体8との熱伝達率が、同じになるように設定できる。
【0073】
このような構成においては、第1,第2表面金属層9,10と、第2金属接続体8との接続部が熱電対となるので、複数の熱電対が、配線基板4の両側面4a,4b付近に、略等間隔で配列されて面状に形成される。
【0074】
そして、この多数の熱電対が直列に接続された状態となるので、この多数の熱電対で発生する起電力の総和を第1,第2端子11,12を介して取り出すことができ、この起電力から温度を計測して、測定精度を向上させている。
【0075】
従って、図3の加熱ユニット側基材1と冷却ユニット側基材2との間に介挿されてなる基材本体3cを挟んで、加熱ユニット側基材1からの熱を基材本体3cを介して、冷却ユニット側基材2側に伝達させると、加熱ユニット側基材1側の被測定センサ3aで計測された温度と、冷却ユニット側基材2側の被測定センサ3bで計測された温度と、の差から、基材本体3cの熱伝達率を求めることができる。
【0076】
しかしながら、平面視で、短冊状(長方形状)を呈するこのような第1,第2表面金属層9,10間では、前記各第1の貫通孔5…の内面に施された銅メッキがされて、一体となる棒状の若しくは、筒状の第1金属接続体(第1導電性金属)7が、形成されることにより、同種の金属により、一体となっている。
【0077】
このため、銅の熱伝導率は、コンスタンタンの熱伝導率の略18倍の高い熱伝導率を有し、加熱ユニット側基材1の第1表面金属層9と、冷却ユニット側基材2の第2表面金属層10との間で、温度差が縮まってしまう。
【0078】
従って、これらの第1表面金属層9から、裏面側に設けられた第2表面金属層10へ向けて流れる熱流量が少なくなり、精度の高い測定を行う為に必要とされる熱起電力の発生効率を向上させにくいといった問題があった。
【0079】
そこで、本発明の実施の形態の実施例に示す熱流センサでは、厚みと材料が特定される場合に、作成の容易な異種金属によって構成される熱電対を複数対、直接に接続しても、高い熱起電力を得られるように、サーモパイルの形状及び構造が設定される。
【0080】
この実施の形態の熱流センサ3等によって構成されるサーモパイルは、図3に示すような絶対値法に基づいた専用の較正装置100によって、較正される。
【0081】
まず、この較正装置100の構成から説明すると、この較正装置100では、加熱ユニット側基材1と冷却ユニット側基材2を有し、加熱ユニット側基材1と冷却ユニット側基材2との各対向面1a,2aには、互いに対向する凹部1b,2bが形成されている。
【0082】
これらの凹部1b,2bには、この発明の熱流センサ3を構成する複数の被測定センサ3a,3b…が、それぞれ所定の間隔を置いて面状を呈する様に取り付けられている。
【0083】
尚、このうち、前記被測定センサ3aは、対向面1aと面一に設けられると共に、基材本体3cの反対側に位置する被測定センサ3bは、対向面2aと面一になるように設けられている。
【0084】
そして、この較正装置100を用いて、この熱流センサ3を較正する場合、基台としてのヒートシンク101の上に、この熱流センサ3が載置されると共に、この熱流センサ3の上面が、同形で、薄膜形状の熱源ヒータ102によって、覆われる。
【0085】
更に、この熱源ヒータ102の上には、ガード用薄型熱流センサ103及び薄膜形状のガード用の熱源ヒータ104が積層されると共に、最上面部が、断熱材105によって、覆われるように構成されている。
【0086】
このように構成された実施の形態の較正装置100では、ゼロ基準電位を受けて、前記ガード用薄型熱流センサ103からの出力との差が、PI制御されることにより、ガード熱流センサ出力が、ゼロとなるようにコントロールされる。
【0087】
この較正装置100のシステムが安定した後には、前記熱流センサ3を通過する熱流束のエネルギーは、前記熱源ヒータ102への供給電力と略等しくなることが知られている。
【0088】
そして、この際、発生する熱流センサ3の出力電圧値から、正確な較正を行う為に必要とされる熱流束のエネルギー値が得られる。
【実施例1】
【0089】
図1乃至図3,図4,図7乃至図11は、この発明の実施の形態の実施例1の熱流センサ13を示すものである。
【0090】
なお、前記実施の形態及び比較例と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0091】
この実施例1の熱流センサ13では、前記実施の形態の複数の第1,第2表面金属層9…,10…に代えて、複数の第1表面金属層19…,及び複数の第2表面金属層20…,が、形成されている。
【0092】
そして、前記比較例と略同様に、配線基板4の両側面に形成された複数の第1表面金属層19…,及び複数の第2表面金属層20…,によって、前記第1,第2の貫通孔5…,6…(図4中、貫通孔行5L1,5L2,5L3・・・5Li・・・5Lnと、貫通孔列5C1,5C2,5C3・・・5Ci・・・5Cn及び、貫通孔行6L1,6L2,6L3・・・6Li・・・6Lnと、貫通孔列6C1,6C2,6C3・・・6Ci・・・6Cnに相当する。)に配設された各第1,第2金属接続体7…,8…が、複数の熱電対を形成しながら、図1,図2若しくは図11に示すように、電気的に直列となるように接続されていて、図9に示すように、各対の第1端子11及び第2端子12間で発生する熱起電力が、加算(若しくは打ち消し合って)されて、検出可能となるように構成されている。 この実施例1では、図1に示すように、配線基板4の両側面に位置する各測定代表点D1,D2…間の第2導電性金属で構成される第2金属接続体8…の断面積(図中直径d2参照)よりも、第1導電性金属で構成される第1金属接続体7…の断面積(図中直径d1参照)が、略全長に亘り、小さく(直径d1>d2に応じて、断面積は二乗に比例)なるように設定されている。
【0093】
このため、前記第1の貫通孔5…内の第1導電性金属で構成される第1金属接続体7…を介して接続された各第1表面金属層19と、第2表面金属層20…との間で、伝達される熱伝導量が、断面積の減少分により、減少することにより、温度差が維持しやすいように構成されている。
【0094】
また、この第1表面金属層19…と、第2表面金属層20…とには、熱伝導量を減少させる他の難熱伝達部として、各々幅狭部19a…及び20a…が設けられている。
【0095】
これらの幅狭部19a…及び20a…は、前記第1導電性金属同士が接続される第1の貫通孔5…周縁部分に形成される平面視略円状の第1受放熱面部19b…,20b…と、前記第2導電性金属が、前記第2の貫通孔6…の表面側に位置する第1導電性金属と接続される第2貫通孔周縁部分に形成された方形状部分からなる第2受放熱面部19c…,20c…との間に、平面視幅狭の長橋形状を呈して、一体となるように掛け渡されている。
【0096】
この幅狭部19a又は、20aは、略同一となるように、厚み方向寸法が、連続する前記第2受放熱面部19c…,20c…よりも幅狭(この実施例1では、約1/3〜1/10)形状に設定されることにより、前記第1金属接続体7の断面積が、表面側から裏面側に流れる熱流方向で小さくなるように構成されている。
【0097】
このため、前記第1受放熱面部19bから、第1の貫通孔5内の第1金属接続体7を介して、裏面側に設けられた第2表面金属層20へ伝達される熱伝導量を減少させると共に、更に、裏面側では、第2表面金属層20に形成された第1受放熱面部20bから、この幅狭部20aを介して、前記代表点D2が設けられた第2受放熱面部20cへの熱伝導量を減少させることができる。
【0098】
また、この実施例1の熱流センサ13では、前記表面金属層としての第1表面金属層19…,及び第2表面金属層20…のうち、前記難熱伝達部としての第1受放熱面部19b…,20b…の受放熱面積が、接続される前記第1金属接続体7の上,下端の周囲に限られて、小径の略円状を呈している。
【0099】
しかも、この実施例1では、図2に示すように、前記第1の貫通孔5周縁部分の第1,第2表面金属層19,20に形成される第1受放熱面部19b,20bの表面積が、前記第2の貫通孔6周縁部分の第1,第2表面金属層19,20に形成される第2受放熱面部19c,20cの表面積よりも、小さくなるように形成されている。
【0100】
更に、これらの第1,第2表面金属層19,20では、前記第2受放熱面部19c,20cの前記幅狭部19a,20aの基端部両側面から一体となるように、左,右一対の延設受放熱面部19d,19d及び20d,20dが、同一の厚さ方向寸法を有して形成されている。
【0101】
これらの延設受放熱面部19d,19d及び20d,20dは、各々前記第1受放熱面部19b,20bの外縁近傍に向けて一体に延設されて、前記第2受放熱面部19c,20cの受放熱面積が、各々拡大されるように構成されている。
【0102】
また、この実施例1では、前記第1受放熱面部19b,20bの外周縁と、これらの延設受放熱面部19d,19d及び20d,20dの内側縁との間が分離されるように、この第1受放熱面部19b,20bの周囲を囲む遮熱溝部21,21が設けられている。
【0103】
これらの遮熱溝部21,21は、前記幅狭部19a,20aの両側縁に沿って延設されている。
【0104】
そして、前記各第1受放熱面部19b,20bの外周縁と、この延設受放熱面部19d,20dのうち、前記外周縁と対向する内側縁との間を、略等間隔で分離することにより、熱が伝達しにくいように構成されている。
【0105】
次に、この実施例1の熱流センサの作用効果について説明する。
【0106】
この実施例1の熱流センサ13では、前記実施の形態及び比較例の熱流センサ3の作用効果に加えて、更に、前記コンスタンタンに比して高い熱伝導率を有する銅製の各第1表面金属層19…及び第2表面金属層20…によって、異種金属材料製の第1,第2導電性金属間が、直列に接続されている。
【0107】
各第1表面金属層19…及び第2表面金属層20…には、前記難熱伝達部として幅狭部19a,20aが、前記第1受放熱面部19b,20bと、第2受放熱面部19c,20cとの間に電気的に接続するように形成されている。
【0108】
このため、比較的高い熱伝導率を有する銅製で、各第1表面金属層19…及び第2表面金属層20…が、銅メッキ処理を施すことにより、略均等な厚さ方向寸法を有して、構成されていても、熱流断面積を小さく設定することができる。
【0109】
よって、前記第1の貫通孔5…内の第1金属接続体7…を介して伝達される熱伝導量が、減少させられる。
【0110】
このため、配線基板4の両側面に形成された各銅製の第1,第2表面金属層19,20間では、第1金属接続体7を介して伝えられる伝熱量を容易に少なくすることが出来る。
【0111】
例えば、前記比較例のように、移動する熱量を、均等にするため、銅製の第1金属接続体7の熱流断面積を約1/18として、寸法管理を行い、第1金属接続体7と第2金属接続体8とを介して配線基板4の一側の面から他側の面に移動する熱量を、近似若しくは、同一となるように設定する必要が無く、各第1,第2表面金属層19,20の温度差を充分保てる。
【0112】
このため、前記配線基板4の表,裏に位置する両側面4a,4bに、メッキ処理を施すことにより、同時に形成される前記第1の貫通孔5…内の第1導電性金属製の第1金属接続体7…によっても、熱電対の一方を容易に形成出来る。
【0113】
従って、前記第2の貫通孔6に配設された第2金属接続体8では、第1導電性金属で構成される各第1,第2表面金属層9,10との間で、測定に必要とされる熱起電力が、効率良く発生して、所望の大きさの測定値を得やすい。
【0114】
よって、熱伝導率の測定精度を高めることが出来る。
【0115】
また、銅メッキ処理を施すと、付着した銅の膜層の厚み方向寸法は、略均一であることが知られている。
【0116】
このため、第1導電性金属である銅によって、銅メッキ処理を、前記配線基板4の両側面4a,4bに施して、複数の第1,第2表面金属層19…,20…を、配線基板4に形成する際に、前記難熱伝達部としての幅狭部19a…,20a…の幅方向寸法を寸法管理するのみで、熱流が通過する断面積を調整できる。
【0117】
このように、幅狭部19a…,20a…を形成しながら、対となる第1,第2金属接続体7…,8…を、各第1,第2表面金属層19…,20…で直列に接続することが出来、別途、他の難熱伝達部を設ける必要が無い。
【0118】
また、前記第1の貫通孔5…内の第1金属接続体7…の寸法管理も省略若しくは容易に出来るので、製造工程数及び検査工程数を増大させることが無く、高い測定精度を有する熱流センサ13が、提供される。
【0119】
しかも、この熱流センサ13では、平面視幅狭形状として形成された前記幅狭部19a…,20a…が、断面積を小さくすることにより、この各第1,第2表面金属層19,20の第2受放熱面部19c,20cからの熱伝導量を減少させるだけでなく、前記円形状の第1受放熱面部19b,20bと共に、表面積が少なくなるように設定されている。
【0120】
このため、この熱流センサ13の表面側に位置する被測定物からの熱の影響を、前記第1,第2表面金属層19の幅狭部19a及び、第2受放熱面部19cが受けにくく、しかも、受熱した熱量は、前記第2表面金属層20の第2受放熱面部20c及び幅狭部20aから、放熱されにくい。
【0121】
従って、前記第1表面金属層19側の熱が奪われにくく、この点においても、温度差を保持して、測定精度を向上させることが出来る。
【0122】
また、この実施例1の熱流センサ13では、前記各第1の貫通孔5…の周縁部分に形成されて、第1金属接続体7の端部との接続に必要とされる最小の径方向寸法を有して、第1,第2表面金属層19,20に形成される第1受放熱面部19b,20bの表面積が、前記第2の貫通孔6…周縁部分の表面金属層に形成される方形状の第2受放熱面部19c,20cの表面積よりも、小さくなるように形成されている。
【0123】
しかも、この実施例1では、前記第2受放熱面部19c,20cには、前記左,右一対の延設受放熱面部19d,19d及び20d,20dが、同一の厚さ方向寸法を有して一体となるように形成されている。
【0124】
このため、表面側の第1受放熱面部19bは、第2受放熱面部19cよりも、被測定物の温度に近似させることが可能であり、また、裏面側の第1受放熱面部20bは、第2受放熱面部20cよりも、放熱状態の温度に近似させることが可能で、前記代表点D1と代表点Dとの間の温度差を保持しやすく、測定精度を向上させることが出来る。
【0125】
更に、この実施例1の熱流センサ13では、第1受放熱面部19b,20bを囲む遮熱溝部21,21が設けられていて、等間隔で、前記各幅狭部19a,20aの両側縁及び、前記第1受放熱面部19b,20bの外周縁に沿って取り囲むように形成されている。
【0126】
このため、前記各幅狭部19a,20aの両側縁及び前記第1受放熱面部19b,20bの外周縁と、前記延設受放熱面部19d,19dとの間が等間隔で分離されて、部分的な伝熱も発生しにくい。
【0127】
このように、配線基板4の厚さ方向寸法と、異種金属の材料とが特定される場合に、作成の容易な異種金属によって構成される熱電対を複数対、一回の銅メッキ処理工程で、直列に接続する構成に形成出来る。
【0128】
従って、この実施の形態の熱流センサ13では、直列に接続された前記複数の熱電対で発生する起電力の総和が、前記第1,第2端子11,12を介して取り出され、空間的に平均化された温度を、単独の熱電対よりも大きな出力電圧が得られるこの熱流センサ13の起電力から計測して、高い測定精度を得ることが出来る。
【0129】
また、この実施例1では、平面視幅狭形状として、前記第1,第2表面金属層19,20の伝熱に寄与する幅狭部19a,20aの縦断面積を小さく設定されることにより、前記測定代表点D1,D2と第1金属接続体7の接続部周縁との間の熱伝導量を熱伝導量を減少させることが出来る。
【0130】
このため、幅狭部19a,20aが、難熱伝達部として、熱を前記第1,第2表面金属層19,20の間で移動させにくくする。
【0131】
従って、前記第1の貫通孔5…内の銅製の第1金属接続体7を介して、配線基板4の表裏両面間で伝達される熱伝導量を減少させて、電気抵抗が小さく導電性の良好な銅を用いて、直列に接続しても、前記表,裏の第1,第2表面金属層19,20の間の温度差が、ある程度、大きいまま、保持される。
【0132】
更に、前記第1の貫通孔5の周縁部分の第1表面金属層19に形成される第1受放熱面部19bの表面積が、前記第2貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第2受放熱面部19cの表面積よりも、小さくなるように形成されている。
【0133】
このため、前記第1受放熱面部19b,20bからの受放熱熱量が、小さく、容易に前記表,裏の第1,第2表面金属層19,20の間の温度差が、これらの第1受放熱面部19b,20bからの受放熱によって、減少する虞が少ない。
【0134】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態及び比較例と同一乃至均等であるので説明を省略する。
【実施例2】
【0135】
図12乃至図13は、この発明の実施の形態の実施例2の熱流センサを示すものである。
【0136】
なお、前記実施の形態の比較例及び実施例1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0137】
この実施例2の熱流センサ23では、前記実施例1の熱流センサ13の複数の第1,第2表面金属層19…,20…に代えて、複数の第1表面金属層29…,及び複数の第2表面金属層30…,が、センサ基材としての配線基板14の表,裏両側面14a,14bに各々形成されている。
【0138】
この実施例2の熱流センサ23の場合には、図12,図13に示したように、第1,第2表面金属層29,30間を貫通するスルーホール17a…が、各々前記金属接続体17…の内部に開口形成されている。
【0139】
また、この図12,図13に示した例でも、第1金属接続体17と第2金属接続体8の両端が、上述した実施例と同様なメッキ及びフォトエッチング等で、第1,第2表面金属層29,30に接合される。
【0140】
そして、この場合も、第1金属接続体17の熱伝導率が減少するように、若しくは、第2金属接続体8の熱伝達率と同じになるように、各第1金属接続体17…の前記第1の貫通孔5内の断面積が、比較的小さくなる比率で設定されている。
【0141】
このように構成された実施の形態の実施例2の熱流センサ23では、前記実施例1の熱流センサ13の作用効果に加えて、更に、第1,第2表面金属層29,30間を貫通するスルーホール17a…が、各々前記第1金属接続体17…の内部に開口形成されている。
【0142】
このため、図13に示されるように、前記第1の貫通孔5…の各内側壁へのメッキ処理を施した際の第1導電性金属の付き廻りが良好で有ると共に、第1,第2表面金属層29,30間を確実に接合することが出来、更に製造が容易である。
【0143】
しかも、前記複数の第1表面金属層29…,及び複数の第2表面金属層30…に各々形成された幅狭部19a…によって、前記第1金属接続体17…の導電性金属で形成された部分の断面積を詳細に管理しなくても、この第1金属接続体17…を通過する伝熱量を減少させることが出来、前記配線基板14の表,裏両側面14a,14bの温度差が保たれる。
【0144】
従って、微弱な熱流束も検出可能な熱流感度を得られて、測定精度を向上させることが出来る、最適化された熱流センサ23が、提供される。
【0145】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態及び実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0146】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0147】
即ち、図12及び図13に示す前記実施の形態の実施例2では、第1金属接続体17を銅メッキにより筒状に形成して、第1金属接続体17内に、スルーホール17aを形成した例を示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、図10,図11及び図12に示すように、実施例1の前記幅狭部19a又は、20a…と組み合わせられて、伝熱が行われる断面積の寸法管理を簡略化してもよい。
【0148】
また、実施の形態の実施例1の前記幅狭部19a又は、20a…は、略同一厚み方向寸法を有して、連続する前記第2受放熱面部19c…,20c…よりも幅狭(この実施例1では、約1/3〜1/10)に設定することにより、前記第1導電性金属で構成される第1金属接続体17の断面積が、熱流方向と直交する断面方向で、小さくなるように構成されているが、特にこれに限らず、例えば、約3/4〜1/100に設定する等、熱伝導量が、減少する難熱伝達部として、伝達される熱量を減少させる断面積であれば、寸法,形状,面積比及び形成される位置や、数量が特に限定されるものではない。
【0149】
例えば、前記実施の形態の比較例では、前記第1の貫通孔5の内部の第1金属接続体7の断面積を、第2金属接続体8の貫通孔6内の断面積よりも、通電が可能な範囲で小さく、若しくは、約1/18に設定することにより、第1金属接続体7と第2金属接続体8の熱伝達率(熱流量すなわち熱移動量)が、近似若しくは、略同一となるように構成されているが、第1金属接続体7の断面積は、配線基板4の面内,外方向である長手方向の少なくとも何れか一箇所で、通電が可能な範囲で小さく、若しくは、約1/18に設定されるものであっても、伝達される熱伝導量を減少させるものであれば良く、難熱伝達部としての前記幅狭部19a又は、20a…と組み合わせられるもの等、第1金属接続体7…の形状、数量及び材質が特に限定されるものではない。
【0150】
また、以上説明してきたように、この発明の実施の形態の熱流センサ3の被測定センサ3a,3bは、縦横に配列された複数の貫通孔5…,6…が、絶縁性のセンサ基材(配線基板4)に形成され、前記複数の第1の貫通孔5…,及び第2の貫通孔6…に、異種金属材料製の第1,第2導電性金属(第1,第2金属接続体7,8)が交互に配設され、前記第1,第2導電性金属(第1,第2金属接続体7,8)が直列に接続された熱流センサである。
【0151】
このうち、前記実施の形態では、前記第1,第2導電性金属が、銅製及びタングスタンタン製の金属材で構成されているが、特にこれに限らず、例えば、第1導電性金属が、鉄、ニッケル、クロム、クロメル合金、であっても良く、第2導電性金属として、ニッケルを主とするアルメル合金や、前記コンスタンタンを組み合わせても、熱電対となるものであれば、どのような異種間金属であってもよい。
【0152】
また、ニッケル、クロム及びシリコンを主としたナイクロシル合金と、ニッケル及びシリコンを主としたナイシル合金とを組み合わせた熱電対を用いても良い。この場合、低温から、高温まで(約−200度〜約1200度)、広い範囲を亘って熱起電力が安定していることが知られている。
【0153】
更に、ロジウムを10%〜30%含む白金ロジウム合金と、白金若しくは、6%程度のロジウムを含む白金ロジウム合金とを組み合わせた熱電対を用いても良い。この場合、加熱使用限界温度が、約1600度〜1700度と高温に至るまで、高精度で測定可能なことが、知られている。
【0154】
そして、ニッケル及びクロムを主としたクロメル合金と、鉄0.07%を含む金鉄合金とを組み合わせた金鉄・クロメル(AF)熱電対を用いてもよい。
【0155】
更に、ロジウム50%を含むイリジウム・ロジウム合金とイリジウムとを組み合わせたイリジウム・ロジウム熱電対を用いてもよい。
【0156】
また、レニウム5%を含むタングステン・レニウム合金と、レニウム26%を含むタングステン・レニウム合金とを組み合わせたタングステン・レニウム熱電対を用いてもよい。
【0157】
更に、モリブデン18%を含むニッケルモリブデン合金と、ニッケルとを組み合わせたニッケル・モリブデン熱電対を用いてもよい。
【0158】
そして、パラジウム、白金、金を主とした合金と、金及びパラジウムを主原料とした合金とを組み合わせて構成されるプラチネル熱電対を用いても良く、第1,第2導電性金属の形状、数量及び材質がどのような異種金属間の組み合わせによって、構成される熱電対であっても、絶縁性の配線基板4に縦横に配列された複数の貫通孔5,6に配設されて、直列に接続される複数対の熱電対を構成するものであればよい。
【0159】
図14に示す模式的な中間金属の法則を適用して説明する原理図では、一般的な熱電対が、二種の金属A,Bの接合点温度T1,T2間の温度差を、検出する際、(b)に示すように、金属A,Bの接合点温度T1,T2を示す等価回路図に置き換えられる。
【0160】
図14中(c)に示される様な、本願の代表的な実施の形態のセンサ基材内に設けられる熱電対では、二種の金属A,Bの接合点温度T1,T2を示す等価回路図が、図14中(d)のように、置き換えられる条件として、図14中(e)に示す様に、第三の金属Cの接続両端の温度T1,T3が、同一温度T1=T3となる場合が、挙げられる。
【0161】
このような条件では、図14中(e)に示す様に、中間金属の法則が適用出来、前記金属A,Bとは、異種の第三の金属Cを用いても、接合点間の温度T1,T2差により発生する電圧と、第三の金属Cが存在しない場合の接合点間の温度T1,T2差により発生する電圧とが同一となることが知られており、電位差から温度T1,T2差の検出が可能である。
【0162】
従って、前記実施の形態のように、熱電対の一方を構成する銅製の第一金属接続体7…と同種となるように、第1,第2表面金属層19,20を銅層で構成する必要は無く、銅に限らず、同一の温度T1=T3となる表面金属層を、前記金属A,Bとは、異種の導電性を有する金属Cとして、前記各金属で構成される合金等の何れかを用いて構成しても良い。
【0163】
例えば、前記銅、ニッケル及びこれらの合金に限定されるものではなく、前記いずれの種類の金属でも、同一平面内に存在するという条件下、一つの中間金属として取り扱えるものが、第3の金属Cとして構成に入ることにより、2種の金属に限らず、3種以上の複数の金属を組み合わせるように、構成されていても良く、前記各金属A〜Cの組成比率、各金属A,B及び金属C…等の種類の組み合わせが、特に限定されるものではない。
【0164】
また、このように、前記実施の形態の第1,第2金属接続体7,8は、第1金属接続体7と同じ材質から、配線基板4の両側面4a,4bにメッキ処理が施されることにより形成された複数の各第1,第2表面金属層9…,10…によって、直列に接続されている。
【0165】
この構成によれば、複数の第1,第2表面金属層9…,10…が、配線基板4の両側面4a,4bにメッキにより形成される際に、複数の第1,第2金属接続体7,8…を一度に直列に接続することができる。
【0166】
このため、熱流センサ3及び13の製造が容易であると共に、接続品質を良好なものとすることが出来、この点においても、熱伝達率の測定精度を高くすることができる。
【0167】
また、この発明の実施の形態の熱流センサ3では、前記第1,第2金属接続体7,8は、それぞれ銅及びコンスタンタンであり、前記表面金属層を構成する前記第1,第2表面金属層9…,10…が、第1導電性金属と同じ銅製の金属素材によって構成されている。
【0168】
この構成によれば、前記第1,第2表面金属層9…,10…を、メッキ処理によって、略均一の厚さ方向寸法を与えて簡易に形成できる。
【0169】
このため、図1に示すように、前記第1,第2金属接続体7,8の熱伝導率に応じて、前記第1,第2金属接続体7,8の直径d1,d2の比率と共に、前記幅狭部19a,20aの幅方向寸法を管理することにより、容易に、熱伝導率が比較的高い第1導電性金属で形成されている前記第1の貫通孔5内に配設された第1金属接続体7…を通過する熱量を減少させることが可能となる。
【0170】
従って、配線基板4の両側面4a,4b(表,裏面)に形成される第1,第2表面金属層19,20の測定代表点D1,D2間の温度差が維持されて、熱起電力を最も大きくなるようにすることが出来る。
【0171】
これに加えて、前記第2金属接続体8の両側端に位置する測定代表点D1,D2では、第1,第2表面金属層19,20が、直列に接続されている。
【0172】
しかも、この実施の形態では、図1に示すように、前記複数の第1表面金属層19…では、第2受放熱面部19cが、前記第2の貫通孔6…の表面側に位置して、第1導電性金属と接続される第2の貫通孔6周縁部分に位置するように形成された方形状部分に設けられていると共に、この方形状部分から一体に延設形成されてなる延設受放熱面部19d,19dが、比較的広い表面積で、被測定物に添着されて、受熱効率を向上させている。
【0173】
また、前記複数の第2表面金属層20…では、第2受放熱面部20cが、前記第2の貫通孔6…の表面側に位置する第1導電性金属と接続される第2の貫通孔6周縁部分に位置するように形成された方形状部分に加えて、この方形状部分から一体に延設形成されてなる延設受放熱面部20d,20dとを有して、比較的広い表面積で、放熱出来るので、大きな放熱量が設定可能で、配線基板4の裏面側側面4bの温度を下げて、容易に安定させることが出来る。
【0174】
このため、被測定物の温度に近似される第1表面金属層19の測定代表点D1と、温度が下げられてなる第2表面金属層20の測定代表点D2との間で、温度差を広げ易く、測定の精度を向上させることが出来る。
【0175】
しかも、裏面側の幅狭部20aが、小さな断面積を有することにより、第1の貫通孔5内の第1導電性金属によって、裏面側に伝達された熱が、測定代表点D2の近傍まで伝わりにくい。
【0176】
この点においても、測定代表点D1,D2間の温度差を維持しやすく、温度測定及び熱流束測定の精度を向上させることが出来る。
【0177】
また、前記第1,第2表面金属層19,20を構成する各銅材には、前記幅狭部19a,20aの延設方向に沿って、一対の遮熱溝部21,21が形成されている。
【0178】
この実施の形態の実施例1の前記第1,第2表面金属層19,20では、前記第1受放熱面部19b,20b近傍に向けて、前記第2受放熱面部19c,20cから一体となるように延設された延設受放熱面部19d,20dが、前記遮熱溝部21,21によって、前記第2受放熱面部19c,20cとの接続基端部を除いて、非接触となるように分離されている。
【0179】
このため、前記延設受放熱面部19d,20dは、略長方形形状の平面視外形を有するこれらの第1,第2表面金属層19,20の外側縁に沿って、比較的広い面積を設定可能となるように拡大され、交互に配列されて配置効率を良好なものとしつつ、受放熱面積を、拡大することが出来る。
【0180】
更に、これらの前記延設受放熱面部19d,20dは、前記第1受放熱面部19b,20bの周縁まで延設されていても、延設受放熱面部19d,20dで受熱された熱や或いは、前記第2受放熱面部19c,20cで受熱された熱が伝熱して、前記第1受放熱面部19b,20bに伝熱されることが無く、銅材が設けられていない前記遮熱溝部21,21によって遮熱される。
【0181】
従って、前記第2受放熱面部19c,20cに設けられた測定代表点D1,D2の温度を、広い範囲で受熱した熱を均等化して、空間的な平均とした状態で測定することが出来る。
【0182】
しかも、前記第1受放熱面部19b,20b方向への放熱が無くなり、前記配線基板4の表裏面に位置する各測定代表点D1,D2間の温度差を保持させることが出来、更に、測定精度を向上させることができる。
【0183】
更に、この実施例1の熱流センサ13では、前記遮熱溝部21,21が、前記幅狭部19aの側縁に沿って延設されている。
【0184】
そして、この幅狭部19aの周縁及び連設される前記第1受放熱面部19b,20bの周縁と、これらの延設受放熱面部19d,19dとの間が、前記遮熱溝部21,21によって、等間隔で分離されるように構成されている。
【0185】
このため、何れの遮熱溝部21,21の箇所でも、渡溝方向(遮熱溝部21の延設方向である長手方向と直交する方向)の間隔が等しく、何れの箇所でも、第1金属接続体7への伝熱が同様に困難である。
【0186】
従って、更に、測定代表点D1,D2間の温度差の保持性が良好で、熱伝達率の測定精度を向上させることが出来る。
【0187】
更に、この発明の実施の形態の実施例1の熱流センサ13では、難熱伝達部として、形成後に視認可能な幅狭部19a,20aによって、前記第1,第2金属接続体7,8の熱流が、前記配線基板4の面内,外方向へ通過する際の断面積の比を、熱流量が略同じになるように設定する必要が無い。
【0188】
このように、前記配線基板4の第1,第2貫通孔5,6内に埋設される第1,第2金属接続体7,8の断面積の大きさの管理が、不要となる。
【0189】
このため、被検出物が発生している熱のセンサ自体による吸熱と、熱の検出において必要とされる温度差の最適化を、異種間金属A,B等の材質、センサ基材に設けられた貫通孔の大きさ及び形状の設定によって、容易に調整可能であると共に、比較的広い面積に熱電対を均等に配列した測定精度の高い熱流センサ3の作成を容易に行うことが出来る。
【0190】
また、図12及び図13に示した実施例1の変形例としての実施例2の熱流センサ23では、前記第1導電性金属(第1金属接続体17…)部分に、前記表面金属層(第1,第2表面金属層29,30)を、前記銅メッキを施すことにより形成する際に、前記貫通孔(第1の貫通孔5)内面に付着した部分の径方向略中央に貫通方向へ同時に円筒状を呈するように、スルーホール17a…が、各々形成されている。
【0191】
この構成によれば、第1導電性金属(第1金属接続体17)を簡易に形成することができると共に、第1導電性金属(第1金属接続体17)と表面金属層(第1,第2表面金属層29,30)の接続を別途、行う必要がないので、熱流センサの製造が容易となる。
【0192】
そして、これらの実施例2の熱流センサ23のように、前記第1金属接続体17…にスルーホール17a…が形成されるものに限らず、例えば、前記第2金属接続体8…部分に、スルーホール17a…と同様にスルーホールを貫通形成しても良く、前記第1金属接続体17…及び、第2金属接続体8…の両方に、スルーホール17a…と同等の大きさ若しくは、異なる内径寸法で、断面積を相違させて貫通形成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明に係わる熱流センサは、建築の分野で、建材としての断熱材の開発等に用いられ、施工後でも、外側面又は内側面から添着させることにより、容易に、温度測定、放射熱量若しくは、熱流束の測定に用いることが出来る。
【0194】
また、パイル状に構成されたサーモパイルに用いることにより、面状を呈する被測定物を広く全般に計測することが出来、熱流センサとして、広い範囲で受熱した熱の空間的な平均を採用する測定が可能となり、良好な測定精度が必要とされる他の分野、例えば、人体温度測定、各種産業機器、OA機器、車両等の運輸機器の熱流束の測定に用いて好適なものである。
【符号の説明】
【0195】
3,13,23 熱流センサ
4,14 配線基板(センサ基材)
4a,4b,14a,14b 側面
5 第1の貫通孔
6 第2の貫通孔
7,17 第1金属接続体(第1導電性金属)
17a スルーホール
8 第2金属接続体(第2導電性金属)
9,19,29 第1表面金属層
10,20,30 第2表面金属層
19a,20a 幅狭部(難熱伝達部)
19b,20b 第1受放熱面部
19c,20c 第2受放熱面部
19d,20d 延設受放熱面部
21,21 遮熱溝部
D1,D2 測定代表点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に配列された複数の第1,第2貫通孔が、絶縁性のセンサ基材に形成され、前記各第1,第2貫通孔に異種金属材料製の第1,第2導電性金属が交互に配設されて、前記第1導電性金属が、第2導電性金属に比して高い熱伝導率を有して、前記センサ基材の両側面に形成された複数の表面金属層により、前記第1,第2貫通孔に配設された第1,第2金属接続体が、直列に接続されている熱流センサであって、
前記センサ基材の両側面に位置する各測定代表点間で熱伝導が行われる第1導電性金属内の熱流断面積を、少なくとも何れか一箇所で、小さくなるように設定することにより、前記第1貫通孔内の第1導電性金属を介して伝達される熱伝導量を減少させる難熱伝達部を設けたことを特徴とする熱流センサ。
【請求項2】
前記難熱伝達部では、少なくとも一の前記表面金属層に形成されて、前記第1貫通孔内の第1導電性金属と接続される第1貫通孔周縁部分に形成される第1受放熱面部と、前記第2導電性金属が、前記第2貫通孔の表面側に位置する第1導電性金属と接続される第2貫通孔周縁部分からなる第2受放熱面部との間に、平面視幅狭形状として、前記第1導電性金属の断面積を小さくすることにより、熱伝導量を減少させたことを特徴とする請求項1記載の熱流センサ。
【請求項3】
前記第1貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第1受放熱面部の表面積を、前記第2貫通孔周縁部分の表面金属層に形成される第2受放熱面部の表面積よりも、小さくなるように形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の熱流センサ。
【請求項4】
少なくとも一の前記表面金属層には、前記第2受放熱面部から一体となるように、前記第1受放熱面部近傍に向けて延設されて、受放熱面積を拡大する延設受放熱面部を形成して、前記第1受放熱面部の周縁と、該延設受放熱面部との間を分離するように、該第1受放熱面部を囲む遮熱溝部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のうち、何れか一項記載の熱流センサ。
【請求項5】
前記遮熱溝部は、前記幅狭部の側縁に沿って延設されて、前記第1受放熱面部の周縁と、該延設受放熱面部との間を等間隔で分離するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の熱流センサ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−42304(P2012−42304A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182940(P2010−182940)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(592065069)江藤電気株式会社 (10)
【Fターム(参考)】