説明

熱源機、そのドレン抑制方法及びそのドレン抑制プログラム

【課題】本発明は、熱交換によりドレンを発生させる熱源機において、簡易な構成及び制御でドレン抑制を行うとともに、高い熱効率及び安定した給湯量を確保して、給湯能力を維持する。
【解決手段】燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器(14)を含む熱源機(給湯・追焚装置2)であって、前記二次熱交換器をバイパスして水を流すバイパス管路(36)と、供給された前記水を前記二次熱交換器側と前記バイパス管路側とに所定の流量比で分配するとともに、その流量比を調整する流量調整手段(流路切替弁38)と、所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記流量調整手段に対し、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生する制御手段(制御装置72)とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼排気中の潜熱回収により発生するドレンを抑制する制御に関し、特に、バイパス管路側と二次熱交換器側へと水を分配するとともに通水量を制御してドレンの発生を抑制する流量調整手段を備えた熱源機、そのドレン抑制方法及びそのドレン抑制プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
潜熱を熱交換する高効率の熱交換器では、ドレンの発生を抑制をするために、潜熱回収用の熱交換器側への通水量を減らす手段が講じられている。
【0003】
このような通水量の制限によるドレン発生の抑制処理に関し、特許文献1には、主熱交換器と潜熱を回収する補助熱交換器とを並列に配置させ、主熱交換器への給水管から分岐された分岐管と、分岐管への通水量制限手段とを備えて、出湯量又はバーナの燃焼量のいずれかに応じて補助熱交換器に流れる量を増減させること、補助熱交換器に流れる量を制御して潜熱の回収率を下げ、ドレンの発生を減少させること、また、中和能力劣化検出装置の信号出力に基づいて分岐管への通水量を制御することが開示されている。
【0004】
また、二次熱交換器で発生したドレンの処理に関し、特許文献2には、バーナに送った燃料量を積算する積算計を有し、その積算値に基づいて中和剤の残量を予測し、その予測残量又は重量に応じて、その旨を表示し、バーナの燃焼を停止させることが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、排水タンクに溜まった不用水が所定量を超えた場合には、バイパス弁を開き、二次熱交換器側への通水量を減らして不用水の発生を抑制することが開示されている。
【特許文献1】特開平10−148398号公報(要約、図1等)
【特許文献2】特開2004−286394号公報(0027〜0029、図1等)
【特許文献3】特開2005−265228号公報(要約、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、主熱交換器と補助熱交換器とを並列に配置した給湯器において、出湯量又はバーナの燃焼量のいずれかに応じて補助熱交換器に流れる量を制御しており、要求される出湯量が大きいときには補助熱交換器側への通水量を減少させ、また、熱効率を向上させる場合には補助熱交換器側への通水量を増加させるため、流量が変動し易いという不都合がある。また、中和能力の劣化検出結果に応じて補助熱交換器側への通水量を制御してドレンの発生量を減らしているが、総出湯量が低下するので、機器の最大能力を発揮できないという不都合がある。
【0007】
また、特許文献2には、積算燃焼量等から中和装置の能力低下や中和剤の残量を予測し、その値が所定の範囲外になったらバーナの燃焼を停止させることで、熱源機の運転可能時間を長くすることが提案されているが、中和剤の残量を完全に予測することは困難であり、機器の設定寿命等に対して余裕を持たせて装填した中和剤を完全に無駄なく利用するのは困難である。
【0008】
また、特許文献3では、排水タンクに溜まった不用水のレベルに応じて、バイパス管路上に設けたバイパス弁を開閉させて、バイパス管路側への通水量を調整し、ドレンの発生を抑制することが開示されているが、潜熱回収用熱交換器側への通水量を制限していないので、ドレンの発生量を大きく制限させることができないという不都合がある。
【0009】
そこで、このような課題に対して、本発明の目的は、潜熱回収型の熱交換器を含む熱源機において、より簡易な構成、及び制御でドレンの抑制を行うことにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ドレン抑制を行いつつ熱効率を高めるとともに、安定した給湯量を確保して、給湯能力を維持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、燃焼排気中の潜熱回収により発生するドレンを抑制するために、二次熱交換器側とバイパス管路側とに供給される水の流量を、燃焼量の積算値やドレンタンクに溜まったドレンのレベル等の所定の基準に応じて調整し、ドレン発生の抑制能力を向上させる他、安定した給湯能力を維持を図っている。
【0012】
そこで、上記目的を達成するため、本発明の第1の側面は、燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器を含む熱源機であって、前記二次熱交換器をバイパスして水を流すバイパス管路と、供給された前記水を前記二次熱交換器側と前記バイパス管路側とに所定の流量比で分配するとともに、その流量比を調整する流量調整手段と、所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記流量調整手段に対し、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生する制御手段とを備える構成である。斯かる構成により、上記の目的が達成される。
【0013】
この熱源機において、好ましくは、前記熱源機の燃焼量を積算して記憶する記憶手段を備え、前記制御手段は、その積算値が所定値を超えたか否かを判断し、該積算値が所定値を超えた場合に、前記流量調整手段へと前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0014】
この熱源機において、好ましくは、熱交換により発生したドレンを溜めるドレンタンクと、前記ドレンタンクに溜まった前記ドレンのレベルを検出するレベルセンサとを備え、前記制御手段は、前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したとき、前記流量調整手段へと前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0015】
この熱源機において、好ましくは、前記流量調整手段は、前記バイパス管路側と前記二次熱交換器側とに供給される前記水の流量比を切替える切替弁である構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0016】
この熱源機において、好ましくは、前記熱源機の動作状態や警告を報知する報知手段を備え、前記制御手段は、前記燃焼量の積算値が所定値を超えたとき及び/又は前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、前記報知手段に対して制御出力を発生する構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の第2の側面は、燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器を含む熱源機のドレン抑制方法であって、供給された水を二次熱交換器側とバイパス管路側とに所定の比率で分配するとともに、その流量比を調整するステップと、所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップとを含む構成である。斯かる構成により、上記の目的が達成される。
【0018】
この熱源機において、好ましくは、前記熱源機の燃焼量を積算して記憶するステップと、その積算値が所定値を超えたか否かを判断し、該積算値が所定値を超えている場合に、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップとを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0019】
この熱源機のドレン抑制方法において、好ましくは、熱交換により発生したドレンをドレンタンクに溜めるステップと、前記ドレンタンクに溜まった前記ドレンのレベルを検出するステップと、前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップとを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0020】
この熱源機のドレン抑制方法において、好ましくは、前記燃焼量の積算値が所定値を超えたとき及び/又は前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、報知手段に前記熱源機の動作状態や警告を報知するステップを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の第3の側面は、コンピュータによって実行され、燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器を含む熱源機のドレン抑制プログラムであって、供給された水を二次熱交換器側とバイパス管路側との流量比を調整する指示を出すステップと、所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップとを含む構成である。斯かる構成により、上記の目的が達成される。
【0022】
この熱源機のドレン抑制プログラムにおいて、好ましくは、燃焼させた燃焼量の積算値を取り込むステップと、その積算値が所定値を超えたか否かを判断し、該積算値が所定値を超えたときに流量調整手段を動作させて前記二次熱交換器側への通水量を制限させる指示を出すステップとを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0023】
この熱源機のドレン抑制プログラムにおいて、好ましくは、ドレンタンクに溜まった前記ドレンの検出レベルを取り込むステップと、前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる指示を出すステップとを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【0024】
この熱源機のドレン抑制プログラムにおいて、好ましくは、燃焼量の積算値が所定値を超えたとき及び/又は前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、報知手段に前記熱源機の動作状態や警告を報知する指示を出すステップを含む構成としてもよい。斯かる構成によっても、上記の目的が達成される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0026】
a.二次熱交換器側とバイパス管路側との通水比率を切替える構成により、ドレン抑制を行っても安定した給湯量を確保し、給湯能力の維持を図ることができる。
【0027】
b.流量調整手段を、より簡易な構成にできるので、低コスト、省スペース化を図ることができる。
【0028】
c.バイパス管路側への通水量と二次熱交換器への通水量との比率を予め任意に決めてドレンの発生量を調整することで、ドレンの発生を最小限に抑制できるとともに、熱効率を上げることができる。
【0029】
d.熱交換器に対する水の供給を遮断しないので、熱交換器側での水の沸騰や空焚きを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
〔第1の実施の形態〕
【0031】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る給湯・追焚装置を示す図である。
【0032】
この給湯・追焚装置2は、本発明の熱源機の一例であって、その筐体4内に給湯用の熱交換を行う給湯用燃焼室6と、浴槽8内の浴槽水(BW)を追焚する追焚用燃焼室10とが備えられている。給湯用燃焼室6には、燃焼排気中の主として顕熱を回収する一次熱交換器12と、燃焼排気中の主として潜熱を回収する二次熱交換器14とが設置されており、追焚燃焼室10には、燃焼排気中の主として顕熱を回収する追焚用熱交換器16が設置されている。そして、この二次熱交換器14の潜熱回収により、不用水であるドレン18が発生する。また、これらの熱交換器12、14、16は、双方向運転又は単独運転のいずれの運転形態でも運転が可能であり、一方の機能を他方で活用する機能として、給湯用の一次熱交換器12と二次熱交換器14とで加熱した湯を浴槽8に湯張りすることができる。
【0033】
発生したドレン18の処理に関し、給湯・追焚装置2には、その回収手段として、二次熱交換器14にドレン受け20を設け、ドレン18を回収している。このドレン受け20にはドレン管路22が接続されており、このドレン管路22が回収したドレン18を中和剤等によって無害化する中和器24へと導く。この中和器24には、例えば、その側面上部側にオーバーフロー口26が設けられ、そのオーバーフロー口26には、ドレン18を給湯・追焚装置2の外部へと導くドレン排出路28が設置されている。このような構成において、回収されたドレン18が中和器24内で中和処理されて溜まり、オーバーフロー口26の水位まで達すると、ドレン排出路28を通じて排出される。
【0034】
給湯燃焼室6側には、上水Wを供給する給水管路30が備えられており、その管路30上には、例えば、上水Wの入水温度を測定する入水温センサ32、その流量を測定する流量センサ34が備えられている。給湯・追焚装置2内に供給された上水Wは、二次熱交換器14側と、この二次熱交換器14をバイパスするバイパス管路36側とに分配される。この上水Wの分配は、供給された水を所定の比率に分配する分配手段であり、また、後述するドレン抑制制御を行う流量調整手段である流路切替弁38で行う。この流路切替弁38は、例えば三方弁等(図3、図4)で構成されている。
【0035】
バイパス管路36は、供給された上水Wの一部を二次熱交換器14の出口側へとバイパスし、二次熱交換器14を通過した上水Wと合流させる。流路切替弁38には、供給される上水Wの流量に対して、二次熱交換器14側とバイパス管路36側への流量比が設定されており、例えば、通常時には、二次熱交換器14側への流入量が多くなるようにし、ドレン抑制時には、逆に二次熱交換器14側への流入量を制限するように設定されている。
【0036】
給湯用熱交換器(一次熱交換器12、二次熱交換器14)で熱交換した湯HWは、給湯管路40側へと導かれる。この給湯管路40には、給湯設定温度への応答性を高めるために、上水Wを給湯管路40へと導いて混合させる給水バイパス管路42が接続されている他、熱交換直後の湯HWの温度を測定する出湯温センサ44、給湯流量を制御する給湯制御弁46、湯HWと上水Wとが混合した後の出湯温度を測定する混合温センサ48が設けられている。
【0037】
次に、給湯・追焚装置2の追焚機能の構成について説明する。浴槽8の追焚機能側には、浴槽水BWを浴槽8から一次熱交換器16へと導き、再び浴槽8へと戻す追焚循環路50が接続されている。追焚循環路50と浴槽8との接続部分には循環アダプタ52が取り付けられており、浴槽水を追焚循環路50へと流入させ、又は浴槽8へと流出させるコネクタの役割を果たしている。その他、浴槽水を追焚循環路50内に流すための動力源であるふろポンプ54、浴槽水の流水を検出するふろ流水センサ56、浴槽8から追焚循環路50へと流入した浴槽水の温度を測定するふろ入温度センサ58、追焚循環路50から浴槽8へと流出させる浴槽水の温度を測定するふろ出温度センサ60、浴槽レベルセンサとして、ふろ水位センサ62が設置されている。
【0038】
追焚循環路50には、給湯管路40から分岐した注湯管路64が接続され、浴槽8へと注湯が可能な構成となっている。この注湯管路64には、例えば、浴槽8側への注湯量を制御する注湯電磁弁66、その流量を測定する注湯量センサ68、追焚循環路50側からの逆流を防止するための逆止弁70等が設けられている。
【0039】
この給湯・追焚装置2の筐体4内には、給湯制御や追焚処理の制御、後述するドレンの抑制制御等の処理を行う制御装置72が設置されている。この制御装置72は、給湯・追焚装置2の筐体4外にある台所リモコン装置74や浴室リモコン装置76等の外部リモコンと接続しており、設定温度の変更、給湯指令に対する制御の他、後述する運転制御に関する報知等を行う。
【0040】
また、熱源として、給湯燃焼室6側に給湯用バーナ78、追焚燃焼室10側に追焚用バーナ80が設置されている。さらに、燃料ガスGを供給する燃焼ガス管82が設置され、この供給された燃料ガスGが、元ガス電磁弁84及びガス比例弁86を介して各バーナに供給される。そして、給湯用バーナ78側には、切替電磁弁88、90、ガス電磁弁92が設置され、追焚用バーナ80側には、ガス電磁弁94が設置されて、燃料ガスGの切替及び調整を行う。また、各燃焼室6、10には、空気を供給するためのファン96、98がそれぞれ設置されている。
【0041】
以上のような構成において、所定のドレン抑制タイミングになった場合には、流量調整手段である流路切替弁38を切替えて、供給された水の流量に対して二次熱交換器14側へと流す水の流量を制限し、その分をバイパス管路36側へと流すことで、所望の流量を維持しつつ、ドレンの発生を抑制することができる。
【0042】
この実施の形態では、ドレン抑制タイミングとして、中和器24の寿命、即ち、中和器24に入れられている炭酸カルシウム等の中和剤の残量を基準としている。中和器24の寿命は、中和を行ったドレン18の量に対応する。このドレン18の発生量は、二次熱交換器14での熱交換量に比例する。そこで、この熱交換量の算出方法として、例えば、給湯用バーナ78の燃焼量を積算し、その燃焼量を管理することでドレン18の発生量を管理する。
【0043】
具体的には、燃焼量は、熱交換される熱量から把握することができ、この熱量は、供給される水の入水温度と出湯温度との温度差や流量から把握することができる。給湯制御では、湯が設定温度になるように必要な熱量を算出し、ガスの燃焼によってその熱量が得られるようにガスの量を調整している。
【0044】
ここで、燃焼量とガス量とは比例関係にあるが、ガス種や熱効率の関係から、燃焼量とガス量との換算には、予め記憶されているテーブルを参照する。このテーブルには、例えば、所定のガス量になるようにガス比例弁86の開度やバーナ78の燃焼段数等が設定されている。
【0045】
従って、このテーブルから逆算的に、現在設定されているガス比例弁86の開度や燃焼段数を把握することで、燃焼量を求めることが可能となる。そして、そのガス燃焼量が所定値(例えば、10年分相当の燃焼量)に達したら中和剤の残量が少なくなったものと判断して、ドレン抑制タイミングとしている。斯かるガス燃焼量の積算処理等は、既述の制御装置72で行う。この場合、ドレン抑制タイミングになったら、その旨を既述のリモコン装置74、76の表示部等の報知手段を利用して報知して、中和剤の交換等を促す。
【0046】
通常、燃焼機器に装填されている中和剤は、未中和のドレン18が下水等に流れないようにするために、機器の設定寿命年数(例えば、10年分相当)よりも余裕をもたせて装填されているが、斯かる構成によれば、中和剤の予測残量に応じてドレン抑制をすることで、ドレンの発生量が抑えられるため、中和剤の交換時期が近くなっても給湯・追焚装置2が突然使用できなくなることがない。また、ドレン18の発生量が抑えられる構成であるので、中和剤の量を機器の設定寿命年数分に合わせても、未中和のドレン18が機器外へと排出されない。
【0047】
次に、ドレン抑制方法について、図2、図3及び図4を参照する。図2は、熱交換器及び流量調整手段の構成を示す図であり、図3は、通常使用時の流路切替弁の構成の一例を示す断面図であり、図4は、ドレン抑制制御時の流路切替弁の構成の一例を示す断面図である。図2、図3及び図4において、図1と同一部分、同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
【0048】
図2、図3及び図4において、流路切替弁38の右側(b方向)の流路が二次熱交換器14への流路を表し、左側(c方向)の流路がバイパス管路36側への流路を表している。また、図3及び図4の(A)が流路切替弁38の平面断面図であり、(B)が正面断面図である。
【0049】
図2に示すように、バイパス管路36が二次熱交換器14に並列に配置されており、図中のa方向から供給された水をc方向に流して、二次熱交換器14をバイパスさせて直接一次熱交換器12側に導く。b方向に流れた水は、二次熱交換器14側に導かれる。そして、通常時には、b方向とc方向との水の流量比を例えば9:1で流れるようにし、ドレン抑制タイミングが到来したら、流路切替弁38を180°回転させて切替えて、b方向とc方向との水の流量比を逆に1:9で流れるようにする。このように簡易な構成及び処理とすることで、通常使用時には、潜熱回収による熱効率の向上を図ることができ、また、ドレン抑制タイミングが到来したら、ドレン18の発生を抑えることが可能となる。
【0050】
この流路切替弁38は、例えば、ボールバルブからなる3方弁100で構成されている(図3及び図4)。図3の(B)に示すように、3方弁100には、給水管路30を通ってa方向に水が流入し、弁100の内部にあるボール102に形成された経路を通じて、b方向及びc方向へと水を流す構成である。このボール102には、断面積の大きい経路104と断面積の小さい経路106とが形成されている。そして、既述のように、ドレン抑制タイミングになったら、ボール102を180°回転させて、図4に示すように各経路104、106を切替えることにより、b方向とc方向とに流れる水の流量を切替える。
【0051】
b方向、c方向への排出流量比率は、各経路104、106の断面積比等で決まる。各経路104、106は、例えば、燃焼効率や二次熱交換器14内の沸騰や空焚き防止に要する最低限の流量等を考慮して算出し、流量比を予め実験等により、その流量比を実現するように断面積を決める。
【0052】
次に、給湯・追焚装置2の制御装置について、図5を参照する。図5は、第1の実施の形態に係る給湯・追焚装置の制御装置を示す図である。
【0053】
給湯・追焚装置2の制御装置72には、マイクロコンピュータ等で構成される制御部108が設置されている。この制御部108は、例えば、各種演算等を行うCPU(Central Processing Unit )110、記憶部112、タイマ113等で構成されている。記憶部112は、ROM(Read-only memory)114、RAM(Random access memory)115で構成され、各種給湯動作プログラムやドレンの排出処理、ドレン抑制制御に関するプログラム、既述したガス量とそのときのガス比例弁86開度及び燃焼段数に関するテーブルデータ、ドレン抑制の各判断基準値である設定値及び各種データ等を記憶する記憶領域として用いられる他、制御処理の作業領域として用いられる。また、タイマ113は、例えば、プログラムの実行動作や各種制御についての時間的条件の計測等を行う。
【0054】
なお、上記記憶部112は、例えば不揮発性メモリであるEEPROM(Electrically erasable programmable ROM)等で構成してもよい。
【0055】
制御部108には、例えば、入水温センサ32、出湯温センサ44、流量センサ34等と接続されており、各センサ32、34、44からの検出結果が入力される。また、制御部108は、ドレン抑制制御等についての制御出力を流路切替弁38に発する他、その他の機能部品であるガス比例弁86、切替電磁弁88、90、ガス電磁弁92、94等に弁の開度制御等の制御出力を発する構成である。
【0056】
斯かる構成において、給湯制御では、要求された給湯温度に対して各センサ32、34、44の検出結果から必要な熱量を算出し、この熱量が得られるように、既述のテーブルからガス比例弁86の開度や燃焼段数等の制御が行われる。また、燃焼量の算出では、例えば、制御部108からガス比例弁86に対して開度制御を発すると同時に、この弁の開度情報をROM114等に記憶しておき、そのガス比例弁86の開度や燃焼段数等から既述のテーブルを用いて、燃焼量の算出及び積算を行う。
【0057】
また、この制御部108には、台所リモコン装置74や浴室リモコン装置76と接続されている。これらのリモコン装置74、76には、それぞれ温度設定等が可能なキースイッチ等を含む操作部116、118や制御部120、122を備えている。さらに、ドレン抑制制御や例えば、中和器寿命の到来等の警告を報知する報知手段である排水ランプ表示部124、126、音声報知部128、130、その他の表示部132、134等から構成され、視覚的、聴覚的に報知処理を行う。
【0058】
次に、給湯・追焚装置2のドレン抑制制御について、図6を参照する。図6は、中和器の寿命管理に基づくドレン抑制制御処理を示すフローチャートである。
【0059】
このドレン抑制制御は、既述のように、給湯用バーナ78の積算燃焼量を利用した中和器24の寿命管理に応じて行う。
【0060】
まず、制御部108の記憶部112に記憶されている燃焼量の積算値のデータを初期化する(ステップS1)。このステップS1の初期化は、例えば、この給湯・追焚装置2の使用開始時や中和器24の交換後等の場合に行われる。そして、熱源機である給湯・追焚装置2の動作により(ステップS2)、記憶部112に給湯用バーナ78の燃焼量の積算値が記憶されていく(ステップS3)。
【0061】
次に、制御部108は、例えば、常時もしくは所定のタイミング毎に中和器24の交換が行われているか否かを判断し(ステップS4)、中和器24の交換が行われている、もしくは、行われた直後であると判断した場合(ステップS4のYES)には、再びステップS1の処理へと戻る。このとき、ドレン抑制制御処理が行われている場合には、ステップS1に戻る際にドレン抑制制御処理を解除する(ステップS5)。
【0062】
また、中和器24の交換をしていない場合(ステップS4のNO)には、燃焼量の積算量が中和器24の寿命として設定された上限である所定量Smより多いか否かの判断に移行する(ステップS6)。燃焼量の積算量が所定量Smよりも少ない場合(ステップS6のNO)には、その積算量が所定量Saよりも多いか否かの判断に移行する(ステップS7)。この所定量Saは、中和剤の残量が少なくなり、中和器24が寿命に近づいたことによる警戒レベルとして設定した値である。
【0063】
燃焼量の積算量が所定量Saよりも少ない場合(ステップS7のNO)には、ステップS2に戻って、燃焼量の積算を継続する。また、積算量が所定量Saよりも多い場合(ステップS7のYES)には、リモコン装置74、76の表示部124〜134等の報知手段に、中和器24の寿命が近い旨の警告表示を報知する(ステップS8)。警告(ステップS8)の後、既述のように、流路切替弁38を切替えてドレン抑制制御処理を行い(ステップS9)、再びステップS2に戻って燃焼量の積算を行う。
【0064】
また、燃焼量の積算量が所定量Smより大きい場合(ステップS6のYES)には、中和器24の寿命が到来していることをリモコン装置74、76の表示部124〜134等の報知手段により警告した後(ステップS10)、ステップS4の中和器24の交換が行われているか否かの判断に戻る。従って、燃焼量の積算値が所定量Smよりも多くなった場合には、中和器24の交換が行われるまで、その寿命を知らせる警告が続くことになる。
【0065】
上記のように、中和器寿命の警告が行われているにも拘らず、中和器24の交換が行われない場合には、例えば、警告を行った時間をタイマ113でカウントしておき、所定の時間が経過したら、給湯・追焚装置2の運転を強制停止、及び使用制限等の処理を行うようにしてもよい。このような構成とすれば、未中和のドレン18が機器外へと排出されるのを防止できる。また、このように、使用制限等をした場合であっても、この中和器寿命管理によるドレン抑制制御処理は常に繰返し行われているので、中和器24の交換、中和剤の充填が行われれば、給湯・追焚装置2の使用が可能となる。
【0066】
なお、既述したように、ドレン18の発生量は、二次熱交換器14での熱交換量に比例するものであるから、ドレン抑制制御により、二次熱交換器14への通水量が制限された場合には、通常時と同量の燃焼量でもドレン18の発生量が異なる。従って、ドレン抑制制御時には、通常時とは別の換算テーブルを用いる他、上記積算燃焼量の所定量Smの値を大きくする等の対応を行う。
【0067】
以上の構成より、通常時には、熱効率を上げるために、二次熱交換器14側へと水を多く流し(図3)、ドレン抑制タイミングが到来したら、流路切替弁38のボール102を二次熱交換器14側に断面積の小さい経路106を持っていくことで、二次熱交換器14側への水の流量を減らすとともに、バイパス管路36側への流量を増加させて(図4)、ドレン18の発生を抑制することができる。また、ドレン抑制時においても二次熱交換器14側への通水量を遮断しないので、二次熱交換器14内の水の沸騰や空焚き状態となるのを防止することができる。さらに、中和器24の寿命警戒レベルを示す所定量Saに達した場合に、警告により中和器24の交換時期を知ることができるとともに、ドレン抑制制御により、その警告後すぐに中和器24が寿命に達して、給湯・追焚装置2の使用ができなくなるということがない。
【0068】
〔第2の実施の形態〕
【0069】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図7、図8、図9及び図10を参照する。図7は、第2の実施の形態に係る通常使用時の流路切替弁の平面断面図であり、図8は、ドレン抑制時の流路切替弁の平面断面図であり、図9は、通常使用時における流路切替弁内の水の流れを示す図であり、図10は、ドレン抑制時における流路切替弁内の水の流れを示す図である。図7、図8、図9及び図10において、図1ないし図4と同一部分、同一構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0070】
この実施の形態では、流路切替弁38のボール102に形成された経路について、通常使用時にはバイパス管路36側(c方向)へと水を流さないようにした流路切替弁38を用いた構成である。
【0071】
第1の実施の形態に係る流路切替弁38である3方弁100では、図3の(A)に示すように、バイパス管路36側と二次熱交換器14側とが一方の管路を基準として水平方向に180°の位置関係になるように構成している。また、3方弁100のボール102には、断面積の大きい経路104と断面積の小さい経路106とが同様に180°の位置関係になるように形成している。これに対し、この実施の形態に係る流路切替弁38では、図7に示すように、バイパス管路36側(c方向)と二次熱交換器14側(b方向)とが一方の管路を基準として水平方向に90°の位置関係になるように構成されているとともに、ボール102に形成した断面積の大きい経路104と断面積の小さい経路106も同様に90°の位置関係になるように形成されている。
【0072】
通常使用時には、図7に示すように、ボール102に形成された断面積の大きい経路104を二次熱交換器14側(b方向)へと接続し、断面積の小さい経路106をバイパス管路36側(c方向)に対して例えば、水平方向に180°の方向になるようにボール102を回転させる。即ち、バイパス管路36と給水管路30とを遮断するようにボール102に形成された経路104、106を配置させる。また、ドレン抑制制御時には、図8に示すように、ボール102を上記の通常使用時の状態から90°回転させることで、バイパス管路36側(c方向)に断面積の大きい経路104を配置し、給水量を制限したい二次熱交換器14側(b方向)に断面積の小さい経路106を配置する。
【0073】
このような構成とすることで、通常使用時には、図7及び図9に示すように、給水管路30(a方向)から流路切替弁38に供給された水を全て二次熱交換器14側(a→b方向)に流し、バイパス管路36側(c方向)への通水を遮断する。つまり、流量比が10:0になる。また、ドレン抑制制御時には、図8及び図10に示すように、二次熱交換器14側とバイパス管路36側(a→b及びa→c)への通水量を所定の流量比(例えば、 1:9)となるようにしている。即ち、通常時には、供給された水をバイパス管路36側に流さず、また、ドレン抑制制御時には、二次熱交換器14への通水量を必要最低限の量を流すようにしている。
【0074】
斯かる構成によれば、通常時には熱効率が高められるとともに、ドレン抑制制御時にはドレン18の発生が抑制される。また、ドレン抑制制御時には二次熱交換器14側へと最低限の通水を行うので、ドレン18の発生を抑えることができるとともに、二次熱交換器14側の沸騰や空焚き等を防止することができる。この場合、例えば、二次熱交換器14側の沸騰や空焚き等の防止ができる最低限の流量を予め実験等により定めておけば、通常時及びドレン抑制時の各状態において、それぞれの最大熱効率で給湯処理を行うことが可能となる。
【0075】
〔第3の実施の形態〕
【0076】
次に、本願発明の第3の実施の形態について、図11、12、13及び14を参照する。図11は、第3の実施の形態に係る給湯・追焚装置の構成を示す図、図12は、ドレンタンクの構成を示す図、図13は、制御装置の構成を示す図、図14は、第3の実施の形態に係る給湯・追焚装置の動作制御を表すフローチャートである。図11、12、13において、図1及び図5と同一部分、同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
この実施の形態では、中和処理を施したドレン18を溜めるドレンタンク200を備え、その溜まったドレンレベルに応じてドレン抑制制御や報知処理、機器の強制停止などを行う。即ち、中和処理を施したドレン18を順次に機器外へと排出するのではなく、一旦、ドレンタンク200に溜め、タンク200内のドレンレベルが所定レベル以上になったらドレン抑制制御等を行う構成である。
【0078】
この給湯・追焚装置2では、中和器24のオーバーフロー口26から排出されたドレン18をドレンタンク200に溜め、所定のドレン排出タイミングで浴槽8側に排出する構成である。ドレンタンク200には、その底部にドレン18を排出する排出部として、ドレン排出口202が設けられている。ドレン排出口202には、ドレンタンク200から排出されたドレン18を給湯・追焚装置2のドレン排出手段へと導くドレン排出管路204の一端が接続されている。そして、そのドレン排出管路204の他の一端は、追焚循環路50に設置された切替弁206に接続されている。ドレン排出管路204には、ドレン18の逆流を防止する逆止弁208が設けられている。このドレン排出手段は、浴槽8及び追焚循環路50、ふろポンプ54等を利用した構成であり、浴槽8が排水状態になるまで、中和処理を施したドレン18をドレンタンク200内に溜めておく。
【0079】
ドレンタンク200には、図12に示すように、その側面に、中和器24から導かれてきたドレン18を流入させる流入口210が設けられている。また、ドレン18がドレンタンク200の限界容量まで溜まった場合に排出を行うオーバーフロー口212が設けられている。ドレンタンク200の底部には、既述のドレン排出口202が構成されている。また、ドレンタンク200の内部には、ドレン18のレベル検出手段として、タンクの天井側から長さの異なる3本の電極が底部側に向かって設置されている。この内、最も長い電極はベース電極(C)214であり、順に、ドレン18の抑制開始水位を検出する水位センサ(B)216、上限水位を検出する水位センサ(H)218が設置されている。このような構成により、ドレンタンク200内のドレンレベルが抑制開始水位(B)、もしくは上限水位(H)に達したら、その旨を制御部108へと送信する。
【0080】
この給湯・追焚装置2の制御装置72には、制御部108に水位センサ(B)216、水位センサ(H)218、ふろ水位センサ62、ふろ流水センサ56、その他のセンサとして、ふろ入温度センサ58、ふろ出温度センサ60等から検出信号が加えられる。そして、制御部108から出力される制御信号が切替弁206、流路切替弁38、ふろポンプ54、その他の機能部品であるガス比例弁86、切替電磁弁88、90、ガス電磁弁92、94等に送信される。
【0081】
以上のような構成において、ドレンタンク200に溜まったドレン18は、浴槽8が排水状態となっている場合に排出処理される。具体的には、例えば、浴槽8の排水部136にある排水栓が抜かれて浴槽8内が排水状態となり、ふろ水位センサ62の検出値が急激に低下した場合等から判断する。この場合、ふろ水位センサ62からの検出情報に応じて、切替弁206を切替えて、ドレンタンク200と追焚循環路50とを通水可能状態にするとともに、ふろポンプ54をONにして、ドレンタンク200内のドレン18を浴槽8側へと排出する。
【0082】
しかし、浴槽8が長期に旦り排水状態とならない場合、ドレンタンク200内のドレン18がドレンタンク200内に溜まっていき、そのレベルが水位(B)まで達したことを検知すると、ドレンタンク200が溢れるのを防止するため、既述のドレン抑制制御に移行する。このドレン抑制制御では、水位センサ(B)216からの検出信号を受けた制御部108が流路切替弁38に指示を送る。また、例えば、各リモコン装置74、76の報知手段に対して、ドレンタンク200に所定レベルまでドレン18が溜まったので、浴槽8を排水状態にさせる旨の報知処理を行う。そして、このようなドレン抑制制御や報知処理を行っても浴槽8が排水状態にならず、ドレンタンク200内のドレンが水位(H)まで達した場合には、制御部108では、給湯・追焚装置2の強制停止を行うと共に、その旨の警告等をリモコン装置74、76の各種報知手段124〜134に報知させる。
【0083】
この給湯・追焚装置2の動作処理について、図14を参照すると、ドレン排出タイミングか否かの判断を行うため、浴槽8が排水状態か否かの判断を行う(ステップS21)。この判断は、ふろ水位センサ62の検出値が急激に低下した場合等から判断する。浴槽8が排水状態である場合には(ステップS21のYES)、浴槽水BWへの追焚処理が実行中か否かの判断に移行し(ステップS22)、追焚中でなければ(ステップS22のNO)ドレン排出処理に移行する。追焚処理中(ステツプS22のYES)であれば、追焚処理が終了するまで待機となる。
【0084】
ドレン排出処理では、まず、制御部108からの指令により、切替弁206を切替え(ステップS23)、ドレンタンク200と追焚循環路50とを接続し、ドレンタンク200から浴槽8側への排出路を形成する。切替弁206の切替えの後、ふろポンプ54を動作させる(ステップS24)。ふろポンプ54を所定時間T1として例えば、2分間が経過するまで運転させて(ステップS25)、停止させる(ステップS26)。そして、切替弁206を切替えて(ステップS27)、浴槽8と追焚循環路50とを通水状態に戻す。
【0085】
ドレン18を排出したら、ドレンタンク200内のドレン18のレベルが水位(B)以下か否かの判断を行う(ステップS28)。ドレン18の排出処理を行っても、ドレンレベルが水位(B)以下となっていない(ステップS28のNO)場合には、各リモコン装置74、76等の報知手段にポンプエラーである旨を報知させる。ドレンタンク200内のレベルが水位(B)以下である場合(ステップS28のYES)には、ドレン排出手段であるふろポンプ54等が正常であると判断できる。
【0086】
そして、排出手段が正常である場合には、排水ランプ表示部124、126の点滅解除(ステップS29)及びドレン抑制制御解除(ステップS30)を行う。このステップS29及びステップS30は、既に浴槽排水を促す排水ランプ表示部124、126が点滅し、また、ドレン抑制制御が行われていた場合に行われる。
【0087】
以上の処理によって、ドレン排出処理が終了する。その後、給湯使用の有無を確認し(ステップS31)、追焚循環路50側に所定量Lとして例えば、6リットルの湯を注湯して(ステップS32)、追焚循環路50の配管洗浄処理を行う。
【0088】
また、浴槽8が排水状態となっていない場合(ステップS21のNO)には、ドレンタンク200内のドレン18のレベルが水位(H)以上か否かの判断を行う(ステップS33)。レベルが水位(H)以上である場合(ステップS33のYES)は、音声報知部128、130等により、例えば「ドレンタンクガマンスイデス。ヨクソウノセンヲヌキ、ハイスイヲシテクダサイ。(ドレンタンクが満水です。浴槽の栓を抜き排水をして下さい。)」等の浴槽水の排水を促す報知を所定回数(例えば2回)行う(ステップS34)。この報知処理をした後、浴槽8が排水状態となっているか否かの判断を行い(ステップS35)、排水状態となっていない(ステップS35のNO)場合には、そのまま所定時間T2(例えば、30分間)が経過するまで浴槽8の監視を行う(ステップ36のNO)。そして、所定時間T2が経過しても浴槽8が排水状態とならない(ステップS36のYES)場合には、ドレンタンク200からドレン18が溢れるのを防ぐため、ドレン排出エラーと判断して、例えば給湯・追焚装置2の強制停止やその報知を行う。
【0089】
なお、この強制停止処理では、上記のように、給湯・追焚装置2の全機能を使用停止させているが、ドレン18の発生がほとんど無い追焚機能等についてのみを使用可能にする構成としてもよい。
【0090】
浴槽8が排水状態となっている場合(ステップS35のYES)には、ステップS22に移行して、既述のドレン排出処理を行う。
【0091】
また、ドレンタンク200のドレンレベルが上限水位(H) 以下である場合(ステップS33のNO)には、ドレンタンク200内のドレンレベルが抑制開始水位(B)以上になっているか否かの判断を行う(ステップS37)。水位(B)に達している場合(ステップS37のYES)には、ドレン18が排出水位に達したことを示す排水ランプ表示部124、126を点滅させる(ステップS38)とともに、音声報知部128、130で、ドレンタンク200内のドレンレベルが水位(B)に達したこと及びドレン抑制制御を開始する旨等を報知する(ステップS39)。報知処理後、既述のドレン抑制制御処理を行う(ステップS40)。
【0092】
また、ドレンタンク200内のドレンレベルが水位(B)に達していない場合(ステップS37のNO)には、未だドレンタンク200の容量に余裕があると判断できるので、給湯・追焚装置2の通常運転を継続させる。
【0093】
以上の動作処理は、給湯・追焚装置2の制御装置72等で常時、繰返し行われる。また、浴槽8が排水状態となっているか否かは常時監視し、浴槽8の排水監視以外の処理を行っていた場合でも、浴槽8が排水状態となれば、割り込み制御でドレン18の排出処理ステップS21に移行させるようにしてもよい。
【0094】
斯かる構成によれば、ドレン抑制制御により、ドレン18の発生量を抑制でき、給湯能力の維持を図ることができる。また、浴槽8の使用中にドレン18の排出が行われる事態を防止できるほか、給湯・追焚装置2にドレン用の排出口を設けること無く、既存の浴槽8を利用でき、省スペース化等を図ることができる。
【0095】
〔他の実施の形態〕
【0096】
次に、他の実施の形態に言及する。
【0097】
(1) 上記実施の形態では、中和器寿命管理に基づくドレン抑制制御と、ドレンタンク200のレベル検出に応じたドレン抑制制御とを別々に行っているが、ドレンタンク200を有する構成において、中和器の寿命管理に基づくドレン抑制処理を並行して行う構成としてもよい。斯かる構成によれば、例えば中和器24等の異常により中和処理されていないドレン8を浴槽8内へと排出する事態を避けることも可能となる。
【0098】
(2) 上記の実施の形態では、追焚循環路50を介して、浴槽8側へとドレン18を排出しているが、例えば、浴槽8の外部に設置したドレンパンへと排出するようにしてもよい。斯かる構成によれば、追焚循環路50において注湯処理又は追焚処理が行われていなければ、浴槽8の排水部136が閉栓状態であってもドレン18の排出が可能となる。
【0099】
(3) 流量調整手段の設置に関する他の例について、図15〜図18を参照する。図15〜図18は、熱交換器及び流量調整手段の概略を示す図であり、図2と同一部分には同一符号を付している。
【0100】
まず、図15、図16に示すように、二次熱交換器14への水の流量を制限する流量調整手段として、制御弁300等をバイパス管路36上又は分岐後の給水管路30上のいずれかに備え、ドレン抑制タイミングになったら制御弁300の開度を調整して、二次熱交換器14側への通水量を制限する構成としてもよい。
【0101】
また、図17、図18に示すように、バイパス管路36上及び分岐後の給水管路30上の両側に制御弁300やオリフィス302を備え、ドレン抑制タイミングになったら制御弁300の開度を調整して、二次熱交換器14側への通水量を制限する構成としてもよい。
【0102】
斯かる構成によっても、ドレンの発生を抑制することができ、本発明の目的を達成することが可能となる。
【0103】
次に、上記実施の形態から抽出される特徴事項に言及する。
【0104】
(1) 燃焼排気から潜熱を吸収する二次熱交換器を備える熱源機において、二次熱交換器に供給される水をバイパスさせるバイパス管路と、二次熱交換器とバイパス管路とに流れる水の流量を調整する流量調整手段とを備え、流量調整手段により二次熱交換器に流れる水の量を調整し、二次熱交換器に発生するドレン水の発生を抑制する。
【0105】
(2) 流量調整手段は、バイパス管路と熱交換器とに流れる水の流量比を調整する三方弁若しくは分配弁である。
【0106】
(3) 前記熱源機は、バーナに送った燃料量を積算する積算手段を備え、その積算値が所定のしきい値を超えたとき、流量調整手段により二次熱交換器に流れる水の流量を調整してドレンの発生を抑制するとともに、リモコン装置により報知を行う。
【0107】
(4) 前記熱源機は、ドレン水を溜めるドレンタンクと、このドレンタンク内のドレンのレベルを検出するレベルセンサを備え、前記レベルセンサの検出レベルに応じて流量調整手段により二次熱交換器に流れる水を調整し、ドレンの発生を抑制する。
【0108】
以上述べたように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、燃焼排気中の潜熱回収を行う熱源機のドレン抑制制御に関し、より簡易な構成及び制御によりドレン抑制制御を行うことができ、また、熱効率を高めるとともに、給湯能力の維持を図ることができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】第1び実施の形態に係る給湯・追焚装置を示す図である。
【図2】熱交換器及び流量調整手段の概略を示す図である。
【図3】通常使用時の流路切替弁の構成例を示す断面図である。
【図4】ドレン抑制制御時の流路切替弁の構成例を示す断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係る給湯・追焚装置の制御装置を示す図である。
【図6】中和器の寿命管理に基づくドレン抑制制御処理を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る通常使用時の流量切替弁の平面断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係るドレン抑制時の流量切替弁の平面断面図である。
【図9】通常使用時の流路切替弁内の水の流れを示す図である。
【図10】ドレン抑制時の流路切替弁内の水の流れを示す図である。
【図11】第3の実施の形態に係る給湯・追焚装置の構成を示す図である。
【図12】ドレンタンクの構成を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る給湯・追焚装置の制御装置の構成を示す図である。
【図14】第3の実施の形態に係る給湯・追焚装置の動作制御を表すフローチャートである。
【図15】その他の実施の形態に係る熱交換器及び流量調整手段の概略を示す図である。
【図16】その他の実施の形態に係る熱交換器及び流量調整手段の概略を示す図である。
【図17】その他の実施の形態に係る熱交換器及び流量調整手段の概略を示す図である。
【図18】その他の実施の形態に係る熱交換器及び流量調整手段の概略を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
2 給湯・追焚装置
12 一次熱交換器
14 二次熱交換器
18 ドレン
24 中和器
28 ドレン排出路
36 バイパス管路
38 流量切替弁(流量調整手段)
50 追焚循環路
54 ふろポンプ
56 ふろ流水センサ
64 注湯管路
72 制御装置
74 台所リモコン装置
76 浴室リモコン装置
86 ガス比例弁
88、90 切替電磁弁
92、94 ガス電磁弁
102 ボール
104 断面積の大きい経路
106 断面積の小さい経路
124、126 排水ランプ
128、130 音声報知部
200 ドレンタンク
206 切替弁
216 水位センサ(B)
218 水位センサ(H)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器を含む熱源機であって、
前記二次熱交換器をバイパスして水を流すバイパス管路と、
供給された前記水を前記二次熱交換器側と前記バイパス管路側とに所定の流量比で分配するとともに、その流量比を調整する流量調整手段と、
所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記流量調整手段に対し、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生する制御手段と、
を備えることを特徴とする熱源機。
【請求項2】
請求項1記載の熱源機において、
前記熱源機の燃焼量を積算して記憶する記憶手段を備え、
前記制御手段は、その積算値が所定値を超えたか否かを判断し、該積算値が所定値を超えた場合に、前記流量調整手段へと前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生することを特徴とする熱源機。
【請求項3】
請求項1又は2記載の熱源機において、
熱交換により発生したドレンを溜めるドレンタンクと、
前記ドレンタンクに溜まった前記ドレンのレベルを検出するレベルセンサとを備え、
前記制御手段は、前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したとき、前記流量調整手段へと前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生することを特徴とする熱源機。
【請求項4】
請求項2又は3記載の熱源機において、
前記流量調整手段は、前記バイパス管路側と前記二次熱交換器側とに供給される前記水の流量比を切替える切替弁であることを特徴とする熱源機。
【請求項5】
請求項1、2又は3記載の熱源機において、
前記熱源機の動作状態や警告を報知する報知手段を備え、
前記制御手段は、前記燃焼量の積算値が所定値を超えたとき及び/又は前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、前記報知手段に対して制御出力を発生することを特徴とする熱源機。
【請求項6】
燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器を含む熱源機のドレン抑制方法であって、
供給された水を二次熱交換器側とバイパス管路側とに所定の比率で分配するとともに、その流量比を調整するステップと、
所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップと、
を含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制方法。
【請求項7】
請求項6記載の熱源機のドレン抑制方法において、
前記熱源機の燃焼量を積算して記憶するステップと、
その積算値が所定値を超えたか否かを判断し、該積算値が所定値を超えている場合に、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップと、
を含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の熱源機のドレン抑制方法において、
熱交換により発生したドレンをドレンタンクに溜めるステップと、
前記ドレンタンクに溜まった前記ドレンのレベルを検出するステップと、
前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップと、
を含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制方法。
【請求項9】
請求項7又は8記載の熱源機のドレン抑制方法において、
前記燃焼量の積算値が所定値を超えたとき及び/又は前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、報知手段に前記熱源機の動作状態や警告を報知するステップを含むことを特徴とするを熱源機のドレン抑制方法。
【請求項10】
コンピュータによって実行され、燃焼排気から潜熱を回収する二次熱交換器を含む熱源機のドレン抑制プログラムであって、
供給された水を二次熱交換器側とバイパス管路側との流量比を調整する指示を出すステップと、
所定のドレン抑制タイミングになったとき、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる制御出力を発生するステップと、
を含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制プログラム。
【請求項11】
請求項10記載の熱源機のドレン抑制プログラムにおいて、
燃焼させた燃焼量の積算値を取り込むステップと、
その積算値が所定値を超えたか否かを判断し、該積算値が所定値を超えたときに流量調整手段を動作させて前記二次熱交換器側への通水量を制限させる指示を出すステップと、
を含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制プログラム。
【請求項12】
請求項10又は11記載の熱源機のドレン抑制プログラムにおいて、
ドレンタンクに溜まった前記ドレンの検出レベルを取り込むステップと、
前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、前記二次熱交換器側への通水量を制限させる指示を出すステップと、
を含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制プログラム。
【請求項13】
請求項11又は12記載の熱源機のドレン抑制プログラムにおいて、
燃焼量の積算値が所定値を超えたとき及び/又は前記ドレンタンク内の前記ドレンが所定レベルに達したときに、報知手段に前記熱源機の動作状態や警告を報知する指示を出すステップを含むことを特徴とする熱源機のドレン抑制プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−298376(P2008−298376A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−145691(P2007−145691)
【出願日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】