説明

熱源機

【課題】積雪や凍結等を原因とする排気部の閉塞を未然に防止可能な熱源機を提供する。
【解決手段】燃焼室に収容されたバーナと、外部と燃焼室とを連通する排気部と、送風機と、外気温度検出手段と、前記排気部の閉塞を検知する閉塞検知手段と、制御装置とを有する熱源機において、前記外気温度手段が所定温度以下を検知し、前記閉塞検知手段が排気部の閉塞異常を検知したことを条件として、少なくとも送風機を運転する閉塞予防運転を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用のバーナを収容した燃焼室と外部とを連通する排気部を有する熱源機に関するものであり、より詳細には、排気部の閉塞による燃焼異常を防止可能な熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼用のバーナを収容した燃焼室を有し、燃焼室内に外部から燃焼用空気を供給しつつバーナの点火及び燃焼を行う熱源機が広く知られている。
【0003】
このような熱源機においては、一般的に、バーナの燃焼量に応じて燃焼室に燃焼用空気を供給すると共に、バーナの燃焼により生じた燃焼ガスを外部へと排気している。即ち、熱源機には筺体の内外を連通する給気部及び排気部が形成され、給気部から燃焼室を介して排気部に至る空気流路が形成されている。そして、バーナが燃焼している間、給気部側から排気部側へ向かって空気の流れが形成されている。
【0004】
ところで、この種の熱源機を実際に運用するとき、給気部(給気筒)や排気部(排気筒)の一部又は全部を外部に露出した状態で配置する。また、熱源機の運転を長期間停止させておく場合がある。このような場合、給排気筒の中に鳥や蜘蛛が巣を作ったり、給排気筒が冬季の積雪、塵、埃等によって詰まったりすることによって、空気流路が閉塞してしまうことがある。そして、前記した何らかの原因によって空気流路の流路断面積が所定量以上閉塞されてしまうと、燃焼室を通過する実質的な風量が低下してしまうという問題が発生する。即ち、バーナの燃焼量に見合った燃焼用空気を燃焼室に供給することができず、空燃比が正常値とならないため、不完全燃焼等の燃焼不良が発生してしまうという問題である。
さらにまた、排気部が閉塞された状態で燃焼動作を実施した場合、外部に排気されなかった燃焼ガスが燃焼室内に多量に滞留してしまうことがある。そしてこの状態で燃焼動作を一旦停止し、その後バーナに再び点火動作を実施した場合、爆発着火してしまうおそれがあるといった問題がある。
【0005】
このような問題を解決する技術として、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された燃焼装置では、燃焼時に稼動させる送風機の回転数を一般的な燃焼装置より低くしている。このことにより、一般的な燃焼装置に比べて燃焼室に供給する空気の量が少なくなっている。そのため、特許文献1に開示された燃焼装置では、給気口(給気部)又は排気口(排気部)で閉塞が発生した場合、一般的な燃焼装置よりさらに燃焼室への空気の供給量が少なくなる。そのことにより、給気口又は排気口の閉塞量(閉塞割合)が少ない場合であっても、バーナの燃焼ができなくなっている。つまり、特許文献1に開示された燃焼装置では、給気口又は排気口で閉塞が発生した場合、一般的な燃焼装置に比べて閉塞量が少ない場合であってもバーナの不着火又は失火(バーナの点火後に炎が立ち消えてしまうこと)が生じるようにしている。
そして、燃焼検知手段によってバーナの失火又は不着火が確認されると、バーナへの燃料供給を遮断してバーナの燃焼運転を停止させている。即ち、特許文献1に開示されている燃焼装置では、給気口又は排気口がわずかに閉塞された場合であってもバーナへの燃料供給を遮断するので、給気口又は排気口が閉塞された状態でバーナが燃焼することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許2820896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、冬季に頻繁に降雪する豪雪地域においては、他の地域に比べて積雪や凍結による給排気部の閉塞が発生しやすい状況にある。より具体的には、一部又は全部が屋外に配されることの多い排気部が、比較的高い頻度で積雪や凍結によって閉塞してしまうことがある。
【0008】
ここで、特許文献1に開示されている燃焼装置では、排気部がわずかしか閉塞していなくてもバーナの燃焼を停止してしまう。そして、排気部が閉塞してしまうと、閉塞の原因(例えば雪等)を排気部から除去するまで燃焼装置を運転することができない。したがって、積雪や凍結による排気部の閉塞が頻繁に発生する状況下においては、雪等の除去作業を頻繁に実施する必要があり、燃焼装置を運用する上での負担が大きくなってしまうという問題があった。そのため、積雪や凍結による排気部の閉塞を未然に予防したいという市場の欲求があった。即ち、特許文献1に開示されている燃焼装置を含む従来の熱源機では、排気部が閉塞された状態でのバーナの燃焼運転を防止可能であるものの、排気部の閉塞そのものを予防することはできなかった。
【0009】
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、積雪や凍結等を原因とする排気部の閉塞を未然に防止可能な熱源機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃焼室に収容されたバーナと、外部と燃焼室とを連通する排気部と、送風機と、外気温度検出手段と、前記排気部の閉塞を検知する閉塞検知手段と、制御装置とを有し、前記外気温度手段が所定温度以下を検知し、前記閉塞検知手段が排気部の閉塞異常を検知した場合、少なくとも送風機を運転する閉塞予防運転を実施することを特徴とする熱源機である。
【0011】
本発明の熱源機は、外気の温度が低い状態において、排気部の少なくとも一部が閉塞されて閉塞状態が異常となったときに少なくとも送風機を運転する閉塞予防運転を実施する。即ち、積雪や凍結等が発生し易い状況下において、排気部の閉塞割合が高くなったとき、外気に比べて比較的温度の高い燃焼室内の空気を排気部へ送風することができる。このことにより、排気部内部の氷雪を融解させることができるので、積雪や凍結等を原因とする排気部の閉塞を防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記閉塞予防運転は、バーナが燃焼する燃焼運転を伴う運転を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱源機である。
【0013】
かかる構成によると、バーナを燃焼させる燃焼運転を実施しながら閉塞予防運転を行うため、閉塞予防運転を実施するときの燃焼室内の温度を高くすることができる。したがって、仮に閉塞予防運転が開始されたときに燃焼室内の温度が低い状態であっても、燃焼室内の空気の温度を上昇させて閉塞予防運転を実施することができる。このことにより、より確実に温度の高い空気を排気部へ送風することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記閉塞予防運転は、バーナを燃焼させずに送風機の運転を実施し、その後にバーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行うことを特徴とする請求項2に記載の熱源機である。
【0015】
かかる構成によると、バーナを燃焼させずに送風機の運転を実施した後、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を実施する。このことにより、仮に送風機の運転だけでは排気部内部の氷雪を融解できなかった場合においても、バーナを燃焼させて燃焼室の温度をより高くすることにより、より高い温度の空気を排気部へ送風することができる。そのため、より確実に排気部内部の氷雪を融解できる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前回のバーナの燃焼終了時から所定時間以上が経過した場合、及び/又は、燃焼室の内部温度が所定温度以下となった場合であることを条件に、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を実施し、前回のバーナの燃焼終了時から所定時間以上が経過していない場合、及び/又は、燃焼室の内部温度が所定温度より大きい場合であることを条件に、バーナを燃焼させず送風機の運転を行う閉塞予防運転を実施することを特徴とする請求項1に記載の熱源機である。
【0017】
かかる構成によると、バーナの燃焼終了時から所定時間以上が経過し、燃焼室の内部が比較的低温であることが予測される場合や、燃焼室の内部温度が所定温度以下となった場合にバーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を実施する。これに対して、前回のバーナの燃焼終了時から所定時間以上が経過しておらず、燃焼室の内部が比較的高温であることが予測される場合や、燃焼室の内部温度が所定温度より大きい場合にバーナを燃焼させず送風機の運転を行う閉塞予防運転を実施する。
つまり、本発明の閉塞予防運転は、燃焼室の内部温度に応じて、バーナを燃焼させずに送風機の運転を行う閉塞予防運転と、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転を共に行う閉塞予防運転とを切り替えることができる。具体的に説明すると、燃焼室の内部温度が高い場合には、燃焼室内の空気が比較的高温となっているので、バーナを燃焼させずに送風機を運転して燃焼室内の高温の空気を排気部へ送風する。これに対して、燃焼室の内部温度が低い場合には、燃焼室内の空気が比較的低温であるため、送風機を運転するだけでは高温の空気を排気部へ送風することができない。したがって、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行い、燃焼室の内部温度を上昇させて燃焼室内に高温の空気を生成すると共に、生成した高温の空気を排気部へ送風する。このように、燃焼室内の温度が低い場合のみ燃焼運転を実施することにより、常に燃焼運転と送風機の運転とを共に行う場合と比べて、エネルギー効率のよい閉塞予防運転を実施することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、前記送風機はファンモータを備えており、前記閉塞検知手段は検出されたファンモータの駆動電流値に基づいて排気部の閉塞状態を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱源機である。
【0019】
本発明の熱源機は、送風機が備えたファンモータの駆動電流値に基づいて排気部の閉塞状態を検知する構成であってもよい。即ち、ファンモータの駆動電流値の高低により、排気部の閉塞割合を検知する構成であってよい。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記閉塞予防運転の実施中又は実施後において、閉塞検知手段が駆動電流値の上昇を検知した場合、駆動電流値が所定電流値に至るまで閉塞予防運転を継続することを特徴とする請求項5に記載の熱源機である。
【0021】
かかる構成によると、閉塞予防運転を実施して駆動電流値の上昇を検知した場合、即ち、閉塞予防運転を実施して排気部の閉塞割合が低減した場合に、閉塞予防運転を継続して実施する。そしてこのとき閉塞予防運転は、駆動電流値が所定電流値に至るまで、即ち、排気部の閉塞割合が所定の閉塞割合となるまで継続される。つまり、閉塞予防運転を実施して排気部の閉塞割合が低減した場合、所定の閉塞割合となるまで閉塞予防運転を継続する。
このことにつき、具体的に説明すると、閉塞予防運転を実施することにより排気部の閉塞割合が低減した場合、積雪や凍結により排気部が閉塞された可能性が高い。そのため、このような場合に閉塞予防運転を継続すると、排気部の閉塞割合を高い確率で低減することができる。またこのとき、排気部の閉塞割合が所定の閉塞割合となるまで閉塞予防運転を継続する。そのことにより、排気部内の閉塞物(雪や氷)が過剰に残留してしまうことがない。
【0022】
請求項7に記載の発明は、閉塞検知手段が駆動電流値の下降を検知した場合、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を所定時間実施するものであり、当該所定時間内に駆動電流値が所定量以上上昇しなかった場合にバーナの燃焼を停止することを特徴とする請求項5又は6に記載の熱源機である。
【0023】
かかる構成によると、閉塞検知手段が駆動電流値の下降を検知した場合、即ち、排気部の閉塞割合が増加した場合に、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を所定時間実施する。そして、このとき所定時間内に駆動電流値が所定量以上上昇しなかった場合、バーナの燃焼を停止する。具体的に説明すると、排気部の閉塞割合が増加した場合、排気部内への積雪等が進行している可能性が高く、より高い温度の空気を排気部に送風して雪等を融解する必要がある。そのため、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を所定時間実施する。しかしながら、閉塞予防運転を所定時間実施しても駆動電流値が所定量以上上昇しなかった場合、即ち、閉塞予防運転を所定時間実施しても閉塞割合が所定量低減しなかった場合、積雪や凍結以外の原因による排気部の閉塞が考えられる。したがって、その場合は不完全燃焼等の燃焼不良や爆発着火等を防止するため、バーナの燃焼を停止する。このことにより、積雪や凍結等を原因とする排気部の閉塞を確実に防止できると共に、仮に積雪や凍結等を原因としない排気部の閉塞が発生しても、排気部が閉塞した状態でバーナを燃焼させることで発生する不都合を防止することができる。
【0024】
請求項8に記載の発明は、熱媒体が循環する循環回路を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の熱源機である。
【0025】
本発明の熱源機は、熱媒体が循環する循環回路を有する熱源機であってもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の熱源機は、積雪や凍結等が発生し易い状況下において、排気部の閉塞割合が高くなったとき、外気に比べて比較的温度の高い燃焼室内の空気を排気部へ送風することができる。このことにより、排気部内部の氷雪を融解させることができるので、積雪や凍結等を原因とする排気部の閉塞を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る熱源機を示す作動原理図である。
【図2】図1の熱源機の閉塞予防制御の手順を示すフローチャートである。
【図3】図1の熱源機において、排気部が完全に開放された状態と、排気部の閉塞率がバーナの燃焼が可能な範囲の限度となるように排気部が閉塞された状態と、排気部が完全に閉塞された状態における送風機の回転数とファンモータの駆動電流値の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の燃焼装置1(熱源機)は、図1に示すように、図示しない給湯栓等に接続され湯水が流れる給湯用回路2と、外部の図示しない暖房機器に接続され湯水又は熱媒体が流れる暖房用回路3(循環回路)とを有し、各回路2,3を流れる湯水又は熱媒体を目標温度まで昇温させることができるものである。即ち、燃焼装置1は、1つの缶体5(燃焼室)の内部に、独立して燃焼制御可能な給湯用燃焼部7及び暖房用燃焼部8を有し、給湯用燃焼部7で発生する燃焼ガスによって給湯用回路2を流れる湯水を加熱でき、暖房用燃焼部8で発生する燃焼ガスによって暖房用回路3を流れる湯水又は熱媒体を加熱できる。
なお、本実施形態の燃焼装置1に接続された給湯用回路2と暖房用回路3の回路構成は、公知であるため説明を省略する。
【0029】
缶体5は、その内部に給湯側熱交換部11及び暖房側熱交換部12が設けられており、2系統の燃焼部7,8に対して、空気を供給する1台の送風機10が取り付けられた構成である。
【0030】
また缶体5の内部には、給湯用燃焼部7と暖房用燃焼部8の境目を基準として、気体の流路を分断する仕切板14が設けられており、空気及び燃焼ガスが流れる給湯側排気流路16及び暖房側排気流路17が形成されている。そして、給湯側排気流路16の中途には給湯側熱交換部11が配され、暖房側排気流路17の中途には暖房側熱交換部12が配されている。加えて、給湯側排気流路16と暖房側排気流路17は空気及び燃焼ガスの流れ方向下流側で合流し、いずれも共通排気流路18(排気部)と連続している。
【0031】
即ち、本実施形態の燃焼装置1は、送風機10を運転することにより、缶体5に連続する共通給気流路15(図1では缶体5との連結部分の図示を省略)から外気を取り込み、缶体5内に供給可能となっている。そして、取り込んだ外気を給湯用燃焼部7と暖房用燃焼部8のいずれか一方又は両方へと供給し、給湯側排気流路16と暖房側排気流路17のいずれか一方又は両方を通過させた後、共通排気流路18から排気可能となっている。
ここで共通給気流路15及び共通排気流路18は、缶体5に一体に取付けられた給排気筒となっている。そして、共通給気流路15及び共通排気流路18は、少なくともその一部が屋外に露出するように配されている。また、共通給気流路15には、外気温度検出手段19が取付けられている。
【0032】
外気温度検出手段19は、公知のサーミスタであり、燃焼装置1が設置された場所(空間)の雰囲気温度を取得可能となっている。
【0033】
給湯用燃焼部7と暖房用燃焼部8は、いずれも燃料ガスを燃焼する複数のバーナ21と、点火装置22とによって構成されており、暖房用燃焼部8のみにバーナセンサ23が設けられている。なお、バーナセンサ23は熱電対であり、バーナ21の炎孔付近に先端が配されて、火炎の内炎の温度を検知可能に配されている。
【0034】
そして給湯用燃焼部7と暖房用燃焼部8には、それぞれバーナ21への燃料ガスの供給を制限、遮断可能な電磁弁25が複数設けられており、その電磁弁25より燃料ガスの流れ方向上流側には燃料ガスの流量を調整できるガス比例弁26が設けられている。なお、複数の電磁弁25及びガス比例弁26は、燃料ガスが流れる流路に直列的に配されている。
【0035】
給湯側熱交換部11と暖房側熱交換部12は、いずれも主に燃焼ガスの顕熱を回収する一次熱交換器11a、12aと、主に燃焼ガスの潜熱を回収する二次熱交換器11b、12bによって構成されている。なお、一次熱交換器11a、12aは、二次熱交換器11b、12bよりも燃焼ガスの流れ方向上流側に位置し、互いに直列に接続されている。
【0036】
送風機10は、ファンモータ(図示せず)と、ファンモータの回転数を検知する回転数検知手段(図示せず)と、モータの電流値を検知する電流検知手段(図示せず)を備えている。なお、本実施形態のファンモータは直流電流で駆動するDCモータとなっており、回転数検知手段は、モータに内蔵された回転磁石が発生する磁界を検知するホール素子等であり、電流検知手段は、ホール素子を備えた電流センサ等となっている。
【0037】
また本実施形態の燃焼装置1は、制御装置30を備えており、制御装置30によって各機器の動作が制御されている。
【0038】
具体的には、制御装置30は、燃焼装置1が備えた各種温度センサ(外気温度検出手段19、バーナセンサ23)、送風機10の電流検知手段や回転数検知手段等からの信号を取得可能となっている。そのことにより、制御装置30は、バーナ21の炎の有無や、複数又は個別のバーナ21の燃焼量、缶体5の内部温度、燃焼装置1が設置されている場所の雰囲気温度、送風機10の稼働時におけるファンモータの駆動電流値やファンモータの回転数等の情報を取得可能となっている。そして制御装置30は、図示しないEEPROM等の記憶手段を備えており、取得した情報を記憶可能となっており、取得した情報に基づいて燃焼装置1の各部の制御が可能となっている。
【0039】
さらに制御装置30は、送風機10のファンモータと接続されており、送風機10のファンモータの回転速度を可変させることができる。
【0040】
また制御装置30は、バーナ21と、バーナ21に燃料ガスを供給するガス供給路に設けられた電磁弁25やガス比例弁26等の各種制御弁と、点火装置22とに接続されている。そのことにより、バーナ21に対して燃焼開始動作、燃焼停止動作、燃焼量を増減させる動作を行うことができる。
【0041】
続いて、本実施形態の燃焼装置1における動作について説明する。
燃焼装置1は給湯動作のみを行う給湯単独運転と、外部の暖房機器に供給する湯水又は熱媒体の加熱のみを行う暖房単独運転と、給湯動作と暖房動作とを同時に行う給湯・暖房併用運転とからなる3つの運転を実施可能な構成とされている。
【0042】
給湯単独運転は、図示しない給水源から給湯用回路2に供給された湯水を加熱し、カラン、シャワー等の給湯栓から加熱された湯水を供給する運転となっている。具体的に説明すると、図示しない給水源から給湯用回路2に湯水が供給されると、送風機10が、一定時間送風するプレパージが行われる。そして、プレパージが終了すると、送風機10は、燃焼量に基づいた目標回転数に制御される。それと同時に、給湯用燃焼部7に対して、燃料ガスが供給され、給湯用燃焼部7のバーナ21に対して点火装置22による点火が実施されることにより給湯用燃焼部7の燃焼運転が実施される。このことにより発生した燃焼ガスによって、給湯側熱交換部11を流れる湯水が加熱される。そして、給湯側熱交換部11で加熱された湯水は、下流側で図示しない給水源から供給される湯水と混合されて適温に調整された後、給湯栓より出湯される。
【0043】
暖房単独運転は、給湯用の湯水を加熱することなく、外部の暖房機器に供給する湯水又は熱媒体(以下湯水とする)を加熱する運転となっている。具体的に説明すると、外部の暖房機器が運転されると、暖房用回路3における暖房用循環ポンプ32が駆動され、暖房用回路3上に設けられたセンサにより燃焼装置1に導入される湯水の温度が検知される。そして、それらの情報が、制御装置30に送信され、予め設定された目標温度と現在の湯水の温度に基づいて、暖房用燃焼部8における燃焼運転が開始される。なお、暖房用燃焼部8における燃焼運転と、暖房側熱交換部12での湯水の加熱方法は、給湯用燃焼部7における燃焼運転と、給湯側熱交換部11での湯水の加熱方法と同じであるため、重複する説明を省略する。また、暖房機器としては、ファンコンベクタ等の高温(例えば、摂氏80度)の湯を要するものや、床暖房器具等の比較的低温(例えば、摂氏60度)の湯を要するものがある。そしてまた、この暖房単独運転では、バーナ21での燃焼を実施する燃焼運転と、バーナ21での燃焼を一時的に停止する燃焼停止運転とを断続的に行う場合もある。
【0044】
給湯・暖房併用運転は、給湯用の湯水を加熱する給湯単独運転の動作と、暖房機器に供給する湯水を加熱する暖房単独運転の際の動作とが、同時に制御される運転となっている。なお、給湯・暖房併用運転における燃焼装置1の各動作は、上記した説明を準用できるので説明を省略する。
【0045】
ここで、上記したように共通排気流路18はその一部が屋外に露出した状態となっている。そのため、燃焼装置1を寒冷地で使用する場合、共通排気流路18の内部に吹き込んだ雪等が積雪、もしくは凍結することにより、共通排気流路18が閉塞されてしまうことが懸念される。そのため、本実施形態の燃焼装置1では、積雪や凍結を原因とする共通排気流路18における大きな閉塞を未然に防止するために閉塞予防制御を実施する。本実施形態の特徴的な動作である閉塞予防制御について、以下で詳細に説明する。
【0046】
本実施形態の閉塞予防制御は、積雪や凍結によって共通排気流路18が閉塞されることが予測される状況下において、缶体5内部の温度の高い空気(又は燃焼ガス)を共通排気流路18へと送風することにより、共通排気流路18が完全に閉塞される前に共通排気流路18へ吹き込んだ雪等を融解させることができる。このことにつき、図2を参照しつつ、詳細に説明する。
【0047】
本実施形態の閉塞予防制御では、外気温度検出手段19に検知された外気温度Txが規定温度Ty以下となった場合(ステップ1でYesの場合)、ステップ2へと移行する。そして、給湯用燃焼部7及び暖房用燃焼部8におけるバーナ21の燃焼が終了してから規定時間t1が経過しているか否か、前回の閉塞予防制御における掃気運転の実施から規定時間t1が経過しているか否かを判別する。
【0048】
そして、給湯用燃焼部7におけるバーナ21の燃焼運転が終了してから経過した時間、暖房用燃焼部8におけるバーナ21の燃焼運転が終了してから経過した時間、以前に閉塞予防制御で実施した掃気運転が終了してから経過した時間のいずれもが規定時間t1以上である場合(ステップ2でYesの場合)、ステップ3へ移行して送風機10を回転数Nxで運転する掃気運転を実施する。
【0049】
つまり、本実施形態の閉塞予防制御では、外気温度が低く(ステップ1でYes)、共通排気流路18が積雪や凍結によって閉塞されていない状態から規定時間t1が経過した(ステップ2でYes)ことを条件に掃気運転を実施する(ステップ3)。具体的に説明すると、外気温度が高い場合、積雪や凍結等を原因とする共通排気流路18の閉塞(以下氷雪閉塞と称す)が発生していない可能性が高い。さらにバーナ21で燃焼運転が実施された場合、氷雪閉塞が発生していない可能性が高い。そしてまた、閉塞予防制御が実施された場合、氷雪閉塞は解消された状態となる可能性が高い。つまり、本実施形態の閉塞予防制御では、外気温度が高い場合や、燃焼運転又は閉塞予防制御が実施された場合は氷雪閉塞されていないと判断する。そしてまた、氷雪閉塞されていない状態から規定時間t1の間は、氷雪閉塞が発生しないと判断する。これに対して、外気温度が低く、氷雪閉塞されていない状態から規定時間t1以上経過した場合は氷雪閉塞が発生するおそれがある。この場合、ステップ3へと移行して掃気運転を実施する。
【0050】
そして掃気運転が終了すると、ステップ4へと移行し、ステップ3の掃気運転時の駆動電流値Ix1と、以前の燃焼運転時において送風機10を回転数Nxで運転させたときのファンモータの駆動電流値Iyとを比較する。
【0051】
このことにつき、具体的に説明すると、掃気運転時の駆動電流値Ix1と比較する駆動電流値Iyは、以前に給湯用燃焼部7と暖房用燃焼部8のいずれか又は両方で燃焼運転を実施した際、バーナ21での燃焼運転と共に送風機10を運転させたときのファンモータの駆動電流値となっている。つまり本実施形態では、燃焼部7,8において燃焼運転を実施するとき、制御装置30が燃焼運転時のファンモータの回転数及び駆動電流値を記憶可能となっている。そしてこのとき、燃焼部7,8の燃焼量が増減する等の理由により、燃焼運転時の送風機10の回転数が変化した場合、変化した回転数に対応する駆動電流値を記憶することができる。換言すると、燃焼装置1は、燃焼運転時において、ファンモータの回転数毎にその回転数に対応する駆動電流値を記憶可能となっている。
【0052】
また、比較対象となる駆動電流値Iyは、送風機10をステップ3における掃気運転と同じ回転数Nxで運転させたときのファンモータの駆動電流値となっている。つまり、駆動電流値Iyは、バーナ21での燃焼運転中に送風機10を回転数Nxで運転させたときのファンモータの駆動電流値となっている。ここで、上記したように燃焼運転時には氷雪閉塞が発生していない可能性が高い。そしてファンモータの駆動電流値は、同一の回転数である場合、共通排気流路18の閉塞率(流路抵抗)が低下した場合に上昇し、閉塞率(流路抵抗)が増加した場合に下降する。つまり、本実施形態の燃焼装置1では、現在の駆動電流値Ix1と、氷雪閉塞が発生していない状態における同一回転数Nxでの駆動電流値Iyとを比較する(ステップ4)ことにより、現在の共通排気流路18の閉塞状況(流路抵抗の増減変化度合)を検知している(閉塞検知手段)。
【0053】
ステップ4で、掃気運転時の駆動電流値Ix1が、以前の燃焼運転時における同一回転数Nxでの駆動電流値Iyより所定割合(D%)以上低下していない場合、即ち、下記式(1):
Ix1≦(1−0.01*D)*Iy ・・・(1)
の関係を満たしてない場合(ステップ4でNoである場合)、共通排気流路18は十分に開放されている状態であると判断して、閉塞予防運転を実施しない。
【0054】
対して、ステップ4で、掃気運転時の駆動電流値Ix1が以前の燃焼運転時における同一回転数Nxでの駆動電流値Iyより所定割合(D%)以上低下していた場合、即ち、上記式(1)の関係を満たしている場合(ステップ4でYesである場合)、共通排気流路18で閉塞異常が発生した可能性があると判断して、ステップ5へと移行し、共通排気流路18の閉塞状況を確認する。
【0055】
具体的には、ステップ5では、掃気運転時の駆動電流値Ix1が、基準となる駆動電流値Izを上回っているか否かを判別する。ここで、基準となる駆動電流値Izは、共通排気流路18の閉塞率が所定の値X(例えば90%)である状況下において、回転数Nxで送風機10を運転させたときのファンモータの駆動電流値となっている。そしてこのときの共通排気流路18の閉塞率X(例えば90%)は、バーナ21が燃焼可能である閉塞率の上限値となっている。このことにつき、以下で詳細に説明する。
【0056】
例えば、共通排気流路18の内部に雪等が吹き込んで積雪されていく等により、共通排気流路18が少しずつ塞がれていくとする。このとき、共通排気流路18が完全に開放された状態(閉塞率0%である状態)から、共通排気流路18が完全に閉塞された状態(閉塞率100%である状態)に至るまで、閉塞率が少しずつ増加していく。ここで、閉塞率が増加していき、バーナ21への空気供給量が低減していっても、閉塞率が一定値(例えば90%)を上回らなければ、バーナ21での燃焼運転は可能となっている。即ち、空気供給量が減少していっても、バーナ21への空気供給量が一定量を下回らない限り、空燃比が燃料リッチ側へと変化するもののバーナ21での燃焼運転は継続可能となっている。これに対して、閉塞率が一定値(例えば90%)を上回り、バーナ21への空気供給量が一定量を下回った場合、空気量不足によるバーナ21での不着火又は失火が発生するため、バーナ21での燃焼運転が実施不可能となっている。換言すると、共通排気流路18の閉塞率が所定の範囲内(例えば0%〜90%)の間であれば、バーナ21での燃焼運転が可能となっている。
【0057】
ここで、上記したように、本実施形態で閉塞状況を確認する時に基準となる駆動電流値Izは、閉塞率X(例えば90%)の状態において、送風機10を掃気運転と同一の回転数Nxで運転させるときの駆動電流値Izとなっている。そして、上記した閉塞率X(例えば90%)が、このバーナ21での燃焼運転が可能な閉塞率の範囲の上限値(例えば90%)と同一になっている。このことから、この駆動電流値Izは、送風機10を回転数Nxで運転させるとき、バーナ21での燃焼運転が実施可能な最低量の空気供給量を供給しているときの駆動電流値Izとなる。換言すると、送風機10を回転数Nxで運転させるとき、バーナ21での燃焼運転が実施可能な送風機10の駆動電流値の下限の値となっている。
【0058】
そして、ステップ5では、掃気運転時の駆動電流値Ix1が、基準となる駆動電流値Izを上回っているか否かを判別している。即ち、掃気運転時の送風機10の駆動電流値Ix1が、バーナ21での燃焼運転が実施可能な駆動電流値であるか否かを判別している。
【0059】
このとき、掃気運転時の駆動電流値Ix1が基準となる駆動電流値Izを上回っている場合(ステップ5でYesの場合)、ステップ6へと移行して閉塞予防運転を実施する。対して、掃気運転時の駆動電流値Ix1が基準となる駆動電流値Iz以下である場合(ステップ5でNoの場合)、すでにバーナ21での燃焼運転が実施不可能な程度に閉塞されているものと判断し、ステップ9へ移行する。そしてステップ9で閉塞異常であることを報知、記憶、図示しない他の機器へ送信する等をして、閉塞予防制御を終了する。
【0060】
ここでステップ4とステップ5について、図2,3を参照しつつさらに具体的に説明する。
仮に、上記回転数Nxが3000rpmであり、共通排気流路18が完全に開放された状態において、送風機10を3000rpmで運転したときのファンモータの駆動電流値Iyが600mAであったとする。また、共通排気流路18が閉塞率X(例えば90%)だけ閉塞された状態において、送風機10を3000rpmで運転したときのファンモータの駆動電流値Izが400mAであったとする。また上記した所定割合Dが20%であり、掃気運転時の駆動電流値Ix1が470mAであったとする。
【0061】
この場合、掃気運転時の駆動電流値Ix1(470mA)が、完全に開放された状態におけるファンモータの駆動電流値Iy(600mA)より、D%(20%)以上低下している(120mA以上低下している)ため、共通排気流路18において閉塞異常が発生した可能性があると判断される(ステップ4でYesとなる)。また、掃気運転時の駆動電流値Ix1(470mA)が、共通排気流路18が閉塞率X(例えば90%)だけ閉塞された状態におけるファンモータの駆動電流値Iz(400mA)以上であるため、実施可能な駆動電流値であると判断される(ステップ5でYesとなる)。
【0062】
このとき、図3で示されるように、掃気運転時の駆動電流値Ix1は、閉塞率0%の状態(共通排気流路18が完全に開放された状態)のファンモータの駆動電流値Iyと、閉塞率X(例えば90%)の状態のファンモータの駆動電流値Izの間の値となっている。即ち、閉塞率0%の状態におけるファン回転数と駆動電流値との関係を示す曲線L1と、閉塞率X(例えば90%)の状態におけるファン回転数と駆動電流値との関係を示す曲線L2の間の範囲に位置している。ここで掃気運転時の駆動電流値Ix1は、曲線L1と、閉塞率100%の状態におけるファン回転数と駆動電流値との関係を示す曲線L3の間の範囲で可変する。そして、曲線L1と曲線L2の間の範囲が、バーナ21が燃焼可能な範囲となっており、曲線L2と曲線L3の間の範囲が、バーナ21が燃焼不可能な範囲となっている。即ち、ステップ5でYesとなるとき、掃気運転時の駆動電流値Ix1は曲線L1と曲線L2の間の範囲に位置しており、ステップ5でNoとなるとき、掃気運転時の駆動電流値Ix1は曲線L2と曲線L3の間の範囲に位置している。なお、当然のことながら、ファンの回転数が3000rpmから変化した場合においても同様である。
【0063】
つまり、共通排気流路18が一定量以上閉塞され(ステップ4でYesの場合)、且つ共通排気流路18の閉塞率がバーナ21での燃焼運転が可能な範囲であり、過剰に閉塞されていないこと(ステップ5でYesの場合)を条件に、ステップ6へ移行して閉塞予防運転を実施する。
【0064】
本実施形態の閉塞予防運転では、給湯用燃焼部7と暖房用燃焼部8のいずれか又は両方でバーナ21の燃焼運転を実施すると共に、送風機10を運転する。そのことにより、缶体5内の温度の高い空気を共通排気流路18へと送風し、共通排気流路18内の雪等を融解する。
【0065】
そして、閉塞予防運転されている間、一定の時間ごとに(又は常に)駆動電流値Ix2を取得する動作を実施する。そして、取得した駆動電流値と基準となる駆動電流値(例えば、閉塞予防運転の開始前の駆動電流値Ix1や、前回ステップ7の動作を実施したときに取得した以前の駆動電流値Ix2)と比較する。そして、取得した閉塞予防運転を実施した後の駆動電流値Ix2が、閉塞予防運転の実施前の駆動電流値より上昇したか否かを判別する(ステップ7)。
【0066】
このとき、閉塞予防運転を実施しても駆動電流値が上昇しなかった場合(ステップ7でNoの場合)、即ち、閉塞予防運転を実施しても共通排気流路18の閉塞異常が改善されなかった場合、共通排気流路18の閉塞異常は積雪や凍結等を原因としないものであると判断し、ステップ9へ移行する。そしてステップ9で閉塞異常であることを報知、記憶、図示しない他の機器へ送信する等をして、閉塞予防制御を終了する。
【0067】
対して、閉塞予防運転を実施することにより駆動電流値が上昇した場合(ステップ7でYesの場合)、即ち、閉塞予防運転を実施することで共通排気流路18の閉塞異常が改善された場合、積雪や凍結等が融解されて共通排気流路18の閉塞異常が改善されていると判断し、ステップ8へと移行する。
【0068】
ステップ8では、閉塞予防運転の実施後に取得した駆動電流値Ix2が、共通排気流路18が閉塞されていない状態(閉塞率が0%の状態)で同一の回転数で駆動させたときの駆動電流値Iyに至ったか否かを判別する。そして、閉塞予防運転の実施後に取得した駆動電流値Ix2が閉塞されていない状態での駆動電流値Iyと同一になった場合(ステップ8でYesの場合)、即ち、閉塞予防運転の実施後に閉塞異常が検知されなかった場合、積雪や凍結等を原因とする共通排気流路18の閉塞異常が解消されたと判断して、閉塞予防制御を終了する。
【0069】
対して、閉塞予防運転の実施後における駆動電流値Ix2が閉塞されていない状態での駆動電流値Iyと同一とならなかった場合(ステップ8でNoの場合)、ステップ6とステップ7の動作を繰り返す。以上で、本実施形態の閉塞予防制御の説明を終了する。
【0070】
上記した実施形態では、バーナ21や点火装置22等からなる燃焼部7,8と、熱交換部11,12とが一体となった缶体5(燃焼室)を備えた熱源機1について説明したが、本発明の熱源機はこれに限るものではない。例えば、少なくともバーナを含む燃焼部を収納した筺体(燃焼室)と、熱交換部を収納した筺体とが別途設けられており、各筺体の一部が連続している構成であってもよい
【0071】
また上記した実施形態では、燃焼部と熱交換部とを2つずつ備えた所謂1缶2水式の燃焼装置について説明したが、本発明の熱源機はこれに限るものではない。例えば、燃焼部と熱交換部を1つずつ備えた給湯装置であってもよい。また、所謂2缶2水式の燃焼装置のように、燃焼部で発生した燃焼ガスが流れる燃焼ガス流路を複数備え、且つそれぞれの燃焼ガス流路が別々の缶体に設けられている燃焼装置であってもよい。
【0072】
そしてまた、本発明の熱源機は、所謂FF式の温風暖房装置であってもよい。即ち、本発明の熱源機は、熱交換部を有さない熱源機であってもよい。そして、本発明の熱源機は、熱源機本体を室外に配する熱源機であってもよく、熱源機本体を室内に配し、室外から給排気筒等を介して給気又は排気を実施する熱源機であってもよい。したがって、給排気筒は、熱源機本体の筺体内部に設けられる構成であってよく、熱源機本体の筺体と連続し、外方に延びている構成であってもよい。
【0073】
また、本発明の熱源機の外気温度検出手段は、熱源機本体の筺体内部と筺体外部のどちらに設けてもよい。屋外の雰囲気温度、又はそれに準ずる温度(例えば、熱源機本体を納屋のような家屋とは別途建てられた建屋に設置した場合、その建屋内の雰囲気温度)が検出可能な位置に設ければよい。なお、筺体内部に設けられた場合には、送風機を運転し、外気を筺体内部へ取り込んでから外気温度の検出を実施する。
【0074】
上記した実施形態では、バーナ21による燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を実施したが、本発明の閉塞予防運転はこれに限るものではない。例えば、燃焼室(缶体5)の内部温度をバーナセンサ23(熱電対)等の所定のセンサで取得し、取得した温度に応じて異なる閉塞予防運転を実施する構成であってよい。具体的には、燃焼室の内部温度が高い場合、バーナを燃焼せずに送風機の運転を行う閉塞予防運転(以下第1の閉塞予防運転と称す)を実施し、燃焼室の内部温度が低い場合、バーナによる燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転(以下第2の閉塞予防運転と称す)を実施する構成であってもよい。
【0075】
またさらに、閉塞予防運転の開始時に第2の閉塞予防運転を実施し、閉塞予防運転の開始から所定時間経過後に第1の閉塞予防運転を実施してもよい。即ち、燃焼室の内部温度が上昇するまではバーナの燃焼を伴う第2の閉塞予防運転を実施し、バーナの燃焼によって燃焼室の内部温度が十分に上昇したときに第1の閉塞予防運転に切り替える構成であってもよい。
【0076】
これに対して、閉塞予防運転の開始時に第1の閉塞予防運転を実施し、閉塞予防運転の開始から所定時間経過後に第2の閉塞予防運転を実施してもよい。即ち、バーナを燃焼させない第1の閉塞予防運転を実施しても駆動電流値が上昇せず、閉塞の改善が認められない場合、バーナの燃焼運転を伴う第2の閉塞予防運転に切り替える構成であってもよい。
【0077】
即ち、本発明の閉塞予防運転は、燃焼室等の内部温度や、給排気筒の閉塞状況、外気温度等の条件に応じて、バーナの燃焼運転を伴う閉塞予防運転と、バーナを燃焼させずに送風機の運転を行う閉塞予防運転とを切り替えることができる。
【0078】
上記した実施形態では、ファンモータの駆動電流値を比較することで共通排気流路18の閉塞状況を検知する閉塞検知手段について説明したが、本発明の熱源機に採用される閉塞検知手段はこれに限るものではない。例えば、風圧スイッチや風圧センサ等により共通排気流路18の閉塞状況を検知する構成であってもよい。即ち、本発明の熱源機に採用される閉塞検知手段は、共通排気流路18の閉塞状況が検知できればよい。
【符号の説明】
【0079】
1 燃焼装置(熱源機)
3 暖房用回路(循環回路)
5 缶体(燃焼室)
10 送風機
18 共通排気流路(排気部)
19 外気温度検出手段
21 バーナ
30 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室に収容されたバーナと、外部と燃焼室とを連通する排気部と、送風機と、外気温度検出手段と、前記排気部の閉塞を検知する閉塞検知手段と、制御装置とを有し、前記外気温度手段が所定温度以下を検知し、前記閉塞検知手段が排気部の閉塞異常を検知した場合、少なくとも送風機を運転する閉塞予防運転を実施することを特徴とする熱源機。
【請求項2】
前記閉塞予防運転は、バーナが燃焼する燃焼運転を伴う運転を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
【請求項3】
前記閉塞予防運転は、バーナを燃焼させずに送風機の運転を実施し、その後にバーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行うことを特徴とする請求項2に記載の熱源機。
【請求項4】
前回のバーナの燃焼終了時から所定時間以上が経過した場合、及び/又は、燃焼室の内部温度が所定温度以下となった場合であることを条件に、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を実施し、
前回のバーナの燃焼終了時から所定時間以上が経過していない場合、及び/又は、燃焼室の内部温度が所定温度より大きい場合であることを条件に、バーナを燃焼させず送風機の運転を行う閉塞予防運転を実施することを特徴とする請求項1に記載の熱源機。
【請求項5】
前記送風機はファンモータを備えており、
前記閉塞検知手段は検出されたファンモータの駆動電流値に基づいて排気部の閉塞状態を検知することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の熱源機。
【請求項6】
前記閉塞予防運転の実施中又は実施後において、閉塞検知手段が駆動電流値の上昇を検知した場合、駆動電流値が所定電流値に至るまで閉塞予防運転を継続することを特徴とする請求項5に記載の熱源機。
【請求項7】
閉塞検知手段が駆動電流値の下降を検知した場合、バーナが燃焼する燃焼運転と送風機の運転とを共に行う閉塞予防運転を所定時間実施するものであり、当該所定時間内に駆動電流値が所定量以上上昇しなかった場合にバーナの燃焼を停止することを特徴とする請求項5又は6に記載の熱源機。
【請求項8】
熱媒体が循環する循環回路を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の熱源機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−242008(P2012−242008A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113644(P2011−113644)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】