説明

熱溶融耐火断熱成形材の製造方法及びその利用方法

【課題】 地球の温暖化が進行している現在、いかに世界中で化石燃料の使用を減少させなければならない今日、居住空間の省エネを図る工夫に力を入れなければならない。また高エネルギーを使用して製品化される焼成材をなくしていかなくてはならない。
【解決手段】 上述のごとく、耐火断熱層を一体化した製品作り、焼成しないで利用できる熱溶融耐火断熱材の成形品を作ることにより、化石燃料の利用を減少できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化石燃料を減少させる、耐火断熱工法技術で、建築の外装材および溶融炉、ボイラー装置等、低温から高温領域まで、利用できる製品を、乾式湿式促脱成形方法で、製造することに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球の温暖化が進行している今日、化石燃料の利用を減少させ、地球温暖化の原因であるCOを如何に少なくしていくかが世界のテーマである。現状、構築物の外断熱素材は特に皆無で、ただ外装用塗料として塗布する断熱塗料は、薄厚のため大きな効果が得られないのが現状である。また、焼成された断熱成形品は、主に耐火性を重視していることから、超断熱効果が得られないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
構築物の外断熱素材として、屋根瓦、サイディングボード、磁器タイル等が現状主に利用されているが、それぞれの製法は、すべて乾式湿式成形方法で製造されている。しかしその素材は、全く断熱効果が無いのが現状である。また、高温領域の断熱素材も耐火を重視していることから、超断熱性効果が無く、高エネルギーを使用して焼成しているのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上述した課題を解決するため、従来実施されている乾式湿式成形の製造方法を改善し、素材配合を変更して超断熱性を有する、構築物の外装材または、高耐火断熱材を成形しようとするものである。
【0005】
本発明では、屋根瓦、サイディングボード、磁器タイル等は薄物のため、湿式促脱成形の製造方法で、裏面部の耐火断熱層を2層で成形しようとするものである。
【0006】
高温領域に利用する厚物は、乾式と湿式の促脱成形方法で1層で成形しようとするものである。
【発明の効果】
【0007】
当工法で2層に成形した屋根瓦、サイディングボード、タイル等を、それぞれ従来品と、断熱効果の比較をしたところ、温度差が大きく違うことが確認された。
【0008】
高温領域の配合で成形された60mm厚の成形品を、耐火断熱レンガ(60mm厚)と比較したところ、当発明品の断熱効果は50%アップすることが確認された。また耐火性能は変わらなかった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の成形方法は、表面化粧部層は従来通りの配合で、化粧性、高硬度性をもたせ、裏面の耐火断熱層は、断熱性を重視した配合で成形する。
【0010】
本発明の成形基本配合は、水和反応で固まる石灰、石膏、セメント、中空バルーン、熱溶融材、耐火材、陶石を混合し、低温(火災時550℃)領域から高温(650℃〜1,800℃)領域まで利用できる耐火断熱成形品とする。
【0011】
成形配合の重量比率は、溶液35〜51%、セメント14〜20%、溶融材3〜8%、断熱材48〜21%の範囲であるが、溶液45.9%、セメント16.5%、溶融材5.4%、断熱材32.4%が最も好ましい。
【実施例1】
【0012】
本発明で成形された屋根瓦、サイディングボード、タイル等を、5メートル角の木箱に貼付け、外気温35℃のとき、内部温度が37℃、貼付けしていない箱の内部温度が49℃と、貼付けた箱は−12℃の差が有り、大きな効果を得ることができた。
【0013】
本発明で成形された高温領域の耐火断熱材を、レンガサイズと同じに成形し、焼却炉内に設置して耐火断熱レンガと比較したところ、60mm厚を30mm厚に薄くしても効果は同じであることが確認された。また耐火性も炉内で熱溶融するため、全く異状が見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の耐火断熱成形材は、構築物の外部に使用することにより、著しい断熱効果を得ることができ、また高温の炉内壁に使用することにより熱溶融によるセラミック耐火断熱材となり、エネルギーの利用を、最小限にして成形された製品のため、省エネ対策商品として期待できる可能性は大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装建材の屋根瓦、サイディングボード、タイル等を、湿式促脱成形工法で、裏面部を耐火断熱性を有する2層に成形する、製造方法。
【請求項2】
特願2006−150621号記載の成形品は、3mm厚以下の製品に限定し、当発明の成形品は、3mm厚以上の製品に適応する、請求項1記載の耐火断熱成形品。
【請求項3】
耐火断熱成形品の素材は、石灰、石膏、セメント、中空バルーン熱溶融材、耐火材、陶石、繊維等の配合からなる、請求項1、2記載の耐火断熱成形品。
【請求項4】
高温領域使用の成形品は、基材の発熱を利用して、熱溶融によりセラミック化することを特徴とする、請求項1〜3記載の耐火断熱成形品。

【公開番号】特開2008−63923(P2008−63923A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273454(P2006−273454)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(505332299)
【Fターム(参考)】