説明

熱的なターボ機械

少なくとも1列の動翼(1)を備えた熱的なターボ機械が開示されている。少なくとも1つの第1の動翼(1)が、他の動翼よりも大きな半径方向長さを有しており且つ翼先端部(2)に第1の摩耗層(7)を装備されている。第1の動翼(1)よりも小さな半径方向長さを有する少なくとも1つの動翼(1)の翼先端部(2)には第2の摩耗層(7)が装備されている。第1の摩耗層(7)は、第2の摩耗層(7)よりも良好な切断能力及び低い熱的な安定性を有している。第1の摩耗層(7)は、熱的なターボ機械の運転開始中にステータ(8)の摩耗可能な層と接触し、第2の摩耗層(7)は、熱的なターボ機械の連続運転中にステータ(8)の摩耗可能な層と接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、ロータ、ステータ、該ステータに位置する摩耗可能な層及びロータの周面をめぐって、ステータに対向位置するように配置された少なくとも1列の動翼を備えた熱的なターボ機械から出発する。
【0002】
背景技術
ガスタービン又は圧縮機の案内翼及び動翼は著しい負荷に晒されている。熱的なターボ機械の漏れ損失を小さく保持するためには、ターボ機械の動翼が、擦過するようにステータに嵌め込まれる。ガスタービン又は圧縮機のステータには動翼に対向位置するように蜂の巣構造が取り付けられている。このような蜂の巣構造を有する圧縮機は、例えば米国特許第5520508号明細書から公知である。圧縮機の動翼は前記構造に組み込まれるので、最小限のシールギャップが動翼と蜂の巣構造との間に生ぜしめられる。この蜂の巣構造は耐熱性の金属合金から成っており、後の形状に対応するように曲げられた複数の薄板ストリップから構成されている。
【0003】
前記のような摩耗可能な構造に擦り込まれる翼先端部には、動翼の摩耗若しくは短縮を防止するため、又は少なくとも最小限にするために、大抵摩耗層が設けられている。米国特許第5704759号明細書、米国特許第4589823号明細書及び米国特許第5603603号明細書には、例えば翼先端部に摩耗材料が装備されたタービン翼が開示されている。
【0004】
更に、米国特許第6194086号明細書に開示された摩耗保護層では、マトリックスに埋め込まれた立方晶窒化硼素がプラズマスプレー法によってタービン翼に被着される。
【0005】
極めて良好な切断特性を有する摩耗層は、数時間にしかならない極めて短い寿命しか有していないということが判った。但し、羽根植付け部のベース材料は、無防備にステータのコーティングに組み込むためには通常極めて制限された範囲内でしか適していない。それというのも前記ベース材料は、摩擦過程において溶融してステータ側に堆積するか若しくは塗被される恐れがあるからである。翼材料のこのような堆積が生ぜしめられると、研磨システムに支障を来し、翼は擦込み過程において短くなる。工業用ガスタービンの場合、ロータの羽根植付け部によってステータの摩耗可能な層に形成される擦込み深さの約80%が、新たに運転を開始した後の最初の数時間で擦込み過程によって達成される。擦込み過程が完全に終了した後で羽根植付け部がステータを擦過することは滅多になく、擦過する場合も僅かな侵入深さでしかない。
【0006】
この理由から、米国特許第4671735号明細書若しくはドイツ連邦共和国特許出願公開第3401742号明細書に基づいて、個別に周面に配分された翼をロータに配置することが公知である。これらの翼の、ケーシングに対応配置された端部域は被覆帯状に形成されており、これらの被覆帯状の翼端部域は半径方向外側に位置する耐摩耗性の層を支持している。この層は硬質材料群から選択されている。
【0007】
発明の説明
本発明の課題は、運転開始中及び擦込み過程中は動翼が著しい侵入深さで攻撃的にステータ材料に切り込むのに対して、その後の商業的な運転では長い操業段階において動翼は僅かにしか切り込まないか若しくは擦り込まない、熱的なターボ機械を提供することである。これにより、操業段階の時間中は摩耗材料があまり激しくないステータとの接触を、損傷されずに克服するということが保証されるのが望ましい。
【0008】
本発明により、このことは独立請求項の特徴部に記載の構成を有する熱的なターボ機械において達成される。
【0009】
本発明の第1の構成は、攻撃的に切断する第1の摩耗層によってのみコーティングされた、若干数の第1の動翼が設けられている点にある。第1の摩耗層が装備された動翼は他の全ての動翼よりも長く、従って、ステータとの接触時に切断作業を行わねばならない唯一の動翼である。
【0010】
付加的に、専ら熱的に比較的安定した第2の摩耗層を有する別の動翼が、ロータの周面にわたって配分されている。これらの動翼は、第1の摩耗層の装備された第1の動翼よりも小さな半径方向長さを有しており且つ外装の施されていない動翼よりも大きな半径方向長さを有している。ロータの周面にわたって配分されて配置されたはるかに多数の動翼は、摩耗層を有していない。但し、これらの動翼は、摩耗層を有する動翼によって、外装の施されていない動翼がステータと接触しないように保護される。
【0011】
本発明の第2の構成では、翼先端部に2つの摩耗層、即ち第2の摩耗層と第1の摩耗層とを備えた若干数の第1の動翼が設けられている。最上位の摩耗層は攻撃的な切断性を有してはいるが、小さな熱的な安定性しか有していない。上側の摩耗層が摩耗した後で現れる下側の摩耗層は、攻撃的な切断特性は低いが、その代わりに熱的には著しく安定的である。
【0012】
第1の摩耗層の設けられた動翼は他の全ての動翼よりも長く、従ってステータとの接触時に切断作業を行わねばならない唯一の動翼である。これにより、熱的なターボ機械の運転開始中及びこれに関連した擦込み過程中は、前記摩耗層しかステータと接触しない。引き続く運転において、前記の上側の、攻撃的に切断はするが熱的にはあまり安定していない摩耗層が摩耗する。その後、ターボ機械の後続の商業的な段階においては、熱的に安定性ではあるが、攻撃的な切断性は低い第2の摩耗層しかステータと接触しない。
【0013】
摩耗層は、有利には充填材材料から成るマトリックスに埋め込まれた、チタンコーティングを備えた非常に硬質の立方晶窒化硼素から成っている。粒子の埋め込まれた前記マトリックスは、比較的延性の良好に給湿する材料から成っている。これらのコーティングの利点は、硬質材料によって得られる攻撃的な切断特性と、延性のマトリックスによって得られる靱性とのコンビネーションにある。チタンコーティングと、適合する充填材との間が良好に給湿されることによって、擦込み過程中の激しい機械的な負荷にも耐えられるシステムが得られる。圧縮機翼のコーティングにおける充填材としては、ベース材料に類似した鋼合金か、又は少量のBi及びS添加物を有するニッケル材料が用いられる。比較的高い温度が支配するタービン段のコンポーネント用にも、やはりニッケル又はコバルトベースの適当な超合金が使用され得る。
【0014】
本発明の別の有利な構成は、従属請求項に記載されている。
【0015】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0016】
本発明を理解するために重要な部材しか図示していない。同一部材には、異なる図面において同一符号を付してある。媒体の流れ方向は矢印によって示されている。
【0017】
図1にはガスタービン、圧縮機又は別の熱的なターボ機械の動翼1が示されている。この動翼1は、翼先端部2と翼脚部3とを備えた翼ブレード4から成っており、前記翼脚部3を以て動翼1はロータ9に組み付けられる。翼ブレード4と翼脚部3との間には一般にプラットホーム5が配置されており、このプラットホーム5は翼脚部3延いてはロータ9を、翼ブレード4の周りを流れる流体から遮蔽している。動翼1は、MCrAlY及び付加的なセラミック材料(TBC)から成る保護層6によって覆われていてよい。当該の動翼1の先端部には摩耗保護層7が配置されている。
【0018】
図2には、熱的なターボ機械の動翼列の一部が示されている。動翼1は、それぞれロータ9に固定されており且つステータ8に対向位置するように配置されている。本発明では、ロータ9の周面にわたって配置された動翼列の少数の動翼1に、2つの異なる摩耗層7,7が翼先端部2に装備されている。高さxを有する最上位の摩耗層7は攻撃的な切断性を有しているが、比較的小さな熱的な安定性しか有していない。上位の摩耗層7の摩耗後に現れる、高さxを有する下位の摩耗層7は、切断特性における攻撃性は低いが、その代わり熱的に著しく安定性を有している。摩耗層7,7の切断能力Qのクオリティーと熱的な耐久性Tとの間の質的な関連性は、図3に概略的に示されている。
【0019】
摩耗層7の設けられた動翼1は他の全ての動翼1よりも長く、延いてはステータ8との接触時に切断作業を行わねばならない唯一の動翼である。即ち、熱的なターボ機械を(新たに)運転開始する間及びこれに関連した擦込み過程の間は、摩耗層7しかステータ8に接触しない。引き続く運転において、この上側の攻撃的に切断する、但し熱的には安定性の低い摩耗層7が摩耗する。その後、続くターボ機械の商業的な段階では、下側の摩耗層7だけがステータ8と接触する。
【0020】
本発明の簡単な変化態様は、1翼列において3つの異なる長さを有する動翼1を使用するという点にある。若干数の第1の動翼1は、攻撃的に切断する第1の摩耗層7によってのみコーティングされている。この第1の摩耗層7が設けられた動翼1は他の全ての動翼1よりも長く、延いてはステータ8との接触時に切断作業を行わねばならない唯一の動翼である。
【0021】
摩耗層7のあまり良好でない熱的な安定性に基づいて、専ら下側の摩耗層7、即ちあまり良好な切断特性は有していないが、著しく大きな熱的な安定性を有している複数の動翼1が付加的にロータ9の周面にわたって配分されている。図2に示したように、当該の動翼1は第1の若しくは上側の摩耗層7の設けられた第1の動翼よりも小さな半径方向長さを有しており且つ外装の施されていない動翼1よりも大きな半径方向長さを有している。
【0022】
ロータ9の周面にわたって配分されて配置されたはるかに多数の動翼1は摩耗層を有していない。但し、これらの動翼1は摩耗層7,7を有する動翼1によって、外装の施されていない動翼1がステータ8と接触しないように保護される。それというのも、外装の施されていない動翼1は比較的小さな半径方向長さを有しているからである。
【0023】
図4及び図5には、動翼1の先端部に摩耗層7,7を被着させるための装置及び方法が概略的に示されている。このような方法は、例えばドイツ連邦共和国特許第19853733号明細書から公知である。
【0024】
第1の摩耗層7が、有利には極めて硬い立方晶窒化硼素(cBN)から成っているのに対して、第2の摩耗層7はカーバイド、特にクロムカーバイドから成っており、これらの摩耗層7,7は、それぞれ充填材材料から成るマトリックスに埋め込まれている。粒子の埋め込まれたこのマトリックスは、比較的延性の、良好な濡らし性の材料から成っており、摩耗粒子の給湿は、チタンコーティング又はニッケルコーティングによって向上され得る。これらのコーティングの利点は、硬質材料により得られる攻撃的な切断特性の、延性マトリックスにより得られる靱性とのコンビネーションにある。チタンコーティングと、適合する充填材との間が良好に吸湿されることによって、擦込み過程中の激しい機械的負荷にも耐えるシステムが得られる。圧縮機翼のコーティングにおける充填材としては、ベース材料と類似の鋼合金、又は少量のBi及びS添加物を有するニッケル材料が使用される。比較的高い温度が支配するタービン段のコンポーネント用にも、やはりニッケル又はコバルトベースの適当な超合金が使用され得る。
【0025】
図4には、動翼1の翼先端部2に、摩耗層7,7に対応するコーティング17を被着するための装置の一般的な例が示されている。レーザビーム11が動翼1の表面10にわたって運動され(又は動翼1がレーザビーム1に対して相対運動され)、表面10は局所的に溶融される。この場合、溶湯12が形成される。コーティング又は別の被着法のために、溶湯12にはパウダ状材料13及びキャリアガス14が、供給ノズル15とノズル15aとを介して噴流の形で供給される。この場合、前記のパウダ状材料は摩耗硬質材料と結合材材料とから成る適当な混合物であってよい。溶湯12については連続的に光学信号18が記録されて、溶湯12の特性としての温度、温度変動及び温度勾配を規定するために使用される。当該の装置及び適当な方法を以て複数のコーティング17が順次被着されてもよく、この場合、例えばレーザ出力、送り速度又は硬質材料と結合材材料との間の混合比等のようなプロセスパラメータは、各コーティング17毎に、又は同一コーティング17の異なる部分毎に可変である。この方法は、立体的な物体のコーティングにも適している。図4に示した実施例では、溶湯12について検出された光学信号18の円錐に関してパウダ13が連続的に溶湯12に供給される。
【0026】
図5には、図4に示した装置のための総合的なコントローラ21が示されている。光学信号18の情報は、レーザ出力、レーザビーム11とコーティングしようとするコンポーネントとの間の相対速度、キャリアガス14の体積流、供給されたパウダ13の質量流、ノズル15aと動翼1との間の距離及びノズル15aと動翼1との間の角度等のプロセスパラメータを調節するために、コントローラ21の閉鎖制御回路において使用される。レーザ出力を制御するためにはコントローラ21内のコントローラ24が役立ち、供給ノズル15を制御するためにはコントローラ23が役立つ。このようにして、溶湯12の所望の特性が得られる。図5に符号17で示したように、溶湯12は後にコーティングとして凝固する。
【0027】
コントローラ21によるレーザ出力の自動制御は、コーティング17の所望の顕微鏡組織を得るために有利な温度フィールドを生ぜしめることを可能にする。溶湯12におけるマランゴニ対流を防止するためには、付加的に光学信号18が使用されてよい。このことは、溶融された材料の凝固中に不具合が形成される危険を最小にする。
【0028】
CO、ファイバ結合されたNd‐YAG又はダイオードレーザ等の高出力レーザは、特にエネルギ源として適している。レーザビームは小さなスポットに焦点を合わせることができ且つ可変であり、このことは、ベース材料へのエネルギ入力の極めて精密な制御を可能にする。図5から判るように、レーザ出力用のコントローラ24はメインプロセスコントローラ22から分離されている。このことは、実時間におけるより迅速なデータ処理を可能にする。
【0029】
本発明の方法は、同心的な供給ノズル15、レーザ11及び実時間プロセスコントロールによるオンライン監視システムを使用する。前記オンライン監視システムによって最適な方法パラメータが調節可能であり、これにより、コーティング17の所望の顕微鏡組織が得られる。
【0030】
図4から判るように、前記方法はレーザビーム供給と材料供給と監視システムとを1つの共通のヘッド内で結びつける。ダイクロイックミラー19により、溶湯12の赤外線(IR)ビームが、レーザビーム用に使用されるのと同じ光学系によって吸収される。ダイクロイックミラー19は、レーザビーム11を溶湯12に伝達すると同時に、この溶湯12についての光学信号18に関して透過性である。この光学信号18は、溶湯12の温度のオンライン規定を行うために、溶湯12から高温計20又は別の検出器へ伝達される。
【0031】
この目的のために、監視システムの光学特性は、測定スポットが溶湯12よりも小さく且つ溶湯の中心に位置するように選択されている。
【0032】
図6に例示したコーティングされた圧縮機翼先端部は、前記方法によって実現された。コーティングされたコンポーネントは、過度の熱がもたらされると変形する恐れのある肉薄な構造体であるということが認識可能であり、前記変形は結果的に許容不能な誤差をもたらす。このことは、局所的に極めて制限されたレーザ作用及び正確な出力制御によって回避され、構成部材の寸法は最小限にしか変化されない。
【0033】
図7には、摩耗コーティングされた圧縮機翼先端部の長手方向摩耗面が示されている。翼のベース材料はオーステナイト鋼から成っており、約300μmの厚さのコーティングが、TiコーティングされたcBN硬質材料粒子と、NiBSi結合材材料とから成る混合物によって形成された。この場合は単一のコーティングが付与された例である。cBN硬質材料粒子は、コーティングの上半分においてブロック構造体として認識可能であり、結合材材料によって完全に包囲されている。このことは、硬質材料粒子の良好な給湿を裏付けている。図7には、例えば既に図5で説明したコントローラによる良好なプロセス制御において、亀裂及び孔の無い構造が、ベース材料との優れた結合と共に実現され得るということが示されている。
【0034】
本発明の別の実現化では、出力制御に用いられる光学信号18が光ファイバ式の画像伝送体又はCCDカメラによって溶湯の中心及び縁部域から記録される。このためには、検出器として使用されるCCDカメラに適当な光学フィルタが装備される。情報は、溶湯12の中心又は縁部域の1点又は同時に複数の点における温度を規定するために使用される。この場合、検出された光学信号18の円錐は、焦点を合わせられたレーザビームに対して同心的に配置されてよい。この対称的な配置形式は、レーザとパウダ13との間の相互作用プロセスが、あらゆる運動方向に関して同一であるということを保証する。このことは、とりわけ複雑に成形された構成部材の加工において有利である。それというのも、一定の相互作用プロセスに基づいて不変の良好な加工クオリティーが得られるからである。本発明の更に別の実現化では、溶湯12から求められた光学信号18がクオリティー制御に使用される。即ち、測定値の分析が、コーティングの所望の顕微鏡組織を実現するようにプロセスパラメータを最適化することを可能にした。信号の記録は、文書化する目的でも、一定の良好な生産クオリティーを保証するためにも行われてよい。制御システムを実現するためには、広範な機能を備えた、商業的に入手可能な注文生産のソフトウェアツール(例えばLabView RT)が使用されてよい。このようにして、<10msの制御時間が可能になる。更に、制御システムのためには、各温度範囲に固有に合わされたパラメータを有する複雑なPID制御が実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】先端に摩耗保護層を備えた本発明によるタービン翼を示した図である。
【図2】ステータに対向位置するように配置された若干数の動翼を備えた、本発明によるターボ機械のロータを示した図である。
【図3】種々様々な摩耗保護層の熱的な安定性Tに対する切断能力のクオリティーが描かれた線図である。
【図4】タービン翼のコーティング装置を示した図である。
【図5】図4に示した装置のためのコントロールシステムを示した図である。
【図6】本発明により実現された、摩耗保護層を備えた圧縮機翼先端部を示した図である。
【図7】摩耗コーティングの顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱的なターボ機械であって、ロータ(9)とステータ(8)とが設けられており、該ステータの内周面の少なくとも1領域が摩耗可能な層によってコーティングされており、更に、少なくとも1列の動翼(1)が設けられており、これらの動翼の翼先端部がロータの周面をめぐって、前記のステータのコーティングされた領域に対向位置するように配置されている形式のものにおいて、
‐少なくとも1つの第1の動翼が、第2の動翼よりも大きな半径方向長さを有しており且つ翼先端部(2)に第1の摩耗層(7)を装備されており、
‐第1の動翼よりも小さな半径方向長さを有する少なくとも1つの第2の動翼が、翼先端部(2)に第2の摩耗層(7)を装備されており、
‐第1の摩耗層(7)が第2の摩耗層(7)よりも良好な切断能力、つまり摩耗可能な層に対してより攻撃的な切断特性及びより低い熱的な安定性を有していることを特徴とする、熱的なターボ機械。
【請求項2】
少なくとも1つの動翼の翼先端部(2)に第2の摩耗層(7)が配置されており、この第2の摩耗層の上位に第1の摩耗層(7)が配置されている、請求項1記載の熱的なターボ機械。
【請求項3】
若干数の第1の動翼及び第2の動翼(1)が、ロータ(9)における動翼列の範囲にわたって配置されている、請求項1又は2記載の熱的なターボ機械。
【請求項4】
第1の動翼及び第2の動翼よりも小さな半径方向長さを有する第3の動翼が、コーティングされていない翼先端部を有している、請求項3記載の熱的なターボ機械。
【請求項5】
摩耗層(7,7)がマトリックスに埋め込まれた摩耗粒子から成っている、請求項1から4までのいずれか1項記載の熱的なターボ機械。
【請求項6】
前記粒子が、第1の摩耗層(7)では立方晶窒化硼素であり、第2の摩耗層(7)では粒子はカーバイド、特にクロムカーバイドである、請求項5記載の熱的なターボ機械。
【請求項7】
第1及び/又は第2の層の粒子がニッケル合金又はチタン合金によって被覆されている、請求項5又は6記載の熱的なターボ機械。
【請求項8】
前記マトリックスが、コンポーネントに類似した鋼合金、高温耐久性のニッケル・はんだ化合物、或いは高温耐久性のニッケル超合金又はコバルト超合金から成っている、請求項5から7までのいずれか1項記載の熱的なターボ機械。
【請求項9】
翼先端部の翼材料を溶融させて、発生する溶湯にパウダ状材料を供給することを特徴とする、請求項5から8までのいずれか1項記載の熱的なターボ機械の動翼を製作するための方法。
【請求項10】
パウダ状材料に摩耗する硬質材料粒子と結合材材料とを含ませる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
翼先端部の材料をレーザビームによって溶融させる、請求項9又は10記載の方法。
【請求項12】
摩耗粒子の昇華又は溶解を防止するために、能動的なレーザ出力制御を用いる、請求項9から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
熱的なターボ機械が圧縮機又はガスタービンである、請求項1から8までのいずれか1項記載の熱的なターボ機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−522894(P2006−522894A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505554(P2006−505554)
【出願日】平成16年4月13日(2004.4.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050512
【国際公開番号】WO2004/090290
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5401 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】