説明

熱硬化性樹脂発泡体の製造方法

【課題】両側部の切除によるロスを最小限に抑えることができる熱硬化性樹脂発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明による熱硬化性樹脂発泡体の製造方法は、所要間隔で対向配置された上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)の間に、上下一対の面材(3)(4)を供給すると共に、熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)を、搬送される下部面材(4)の上に供給し、同組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたって、別途供給されるサイドシール材(13)(14)によって被覆して発泡時の樹脂漏出を防いでおき、同組成物(8)を発泡・硬化させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂発泡体の製造方法に関し、より詳しくは、厚みおよび幅を任意のサイズとしかつ両側部の切除によるロスを最小限に抑えることができる熱硬化性樹脂発泡体の製造方法に関する。
【0002】
本明細書および特許請求の範囲において、「両側」または「両側部」とは、図1において上下面材(3)(4)、発泡性樹脂組成物(6)およびこれらからなるサンドイッチ体(20)の搬送方向を基準にこれら部材の左右両側(両側部)をいう。
【背景技術】
【0003】
熱硬化性樹脂発泡体の製造方法として特許文献1の方法が提案されている。この方法によれば、図3に示すように、所要間隔で対向配置された上下一対の無端ベルトコンベア(61)(62)の駆動開始に伴い、面材供給装置(65)(66)からそれぞれ上下一対の面材(53)(54)が繰り出されて上下コンベア(61)(62)間を搬送されると共に、ミキサー(67)のガイド管(69)からの発泡性樹脂組成物(68)が、下部面材(53)を介して、搬送される上下面材(53)(54)間に供給される。この時、上下面材(53)(54)の両側部において各縁部(53a)(54a)同士が、ガイド部材(72)により案内されて閉塞手段(71)に送られ、同手段(71)により縫合又は接着又は融着されて、上下面材(53)(54)間に閉空間が形成され、この閉空間内で発泡性樹脂組成物(68)が発泡し、加熱装置(70)により熱硬化されて樹脂発泡体(52)が形成されると同時に同発泡体(52)の両面に面材(53)(54)が積層され、最後に、繋ぎ合わされて閉じている各縁部(53a)(54a)が取り除かれることで熱硬化性樹脂発泡体の積層板が得られる。閉塞手段(71)は、各縁部(53a)(54a)同士を縫合するためのミシンのような縫合装置、接着部材により接着するための接着装置、または融着装置であってよいとされる。この方法では、上下面材(53)(54)の大きさを適宜に設定することで、所望の厚みおよび幅の製品を得ることができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―131820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この方法では、上述のように、上下一対の面材(53)(53)の各縁部(53a)(53a)同士は閉塞手段(71)により縫合又は接着又は融着されて、面材(53)(53)間に閉空間が形成されるため、閉じられた縁部(53a)(53a)を切除する必要がある。また、樹脂発泡体(52)の両側部は面材(53)(53)により包み込まれるため湾曲面に形成され、所定厚みを有しないために有効幅が小さく、両側部の切除によるロスが大きいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑み、両側部の切除によるロスを最小限に抑えることができる熱硬化性樹脂発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による熱硬化性樹脂発泡体の製造方法は、所要間隔で対向配置された上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)の間に、上下一対の面材(3)(4)を供給すると共に、熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)を、搬送される下部面材(4)の上に供給し、同組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたって、別途供給されるサイドシール材(13)(14)によって被覆して発泡時の樹脂漏出を防いでおき、同組成物(8)を発泡・硬化させることを特徴とする。
【0008】
まず、熱硬化性樹脂発泡体を製造する装置について、図1および図2を参照しながら説明をする。
【0009】
熱硬化性樹脂発泡体の製造装置(11)は、
製品である熱硬化性樹脂発泡体の厚みに即した間隔で対向配置された上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)と、
面材(3)(4)をロール状に巻回しかつ面材を上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)間の搬送始端部に繰り出す回転可能な上下一対の面材供給装置(15)(16)と、
下部コンベア(2)の上にて下部面材(4)上に熱硬化性樹脂組成物(6)を供給する樹脂供給装置(12)と、
該樹脂組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)の両側部に左右一対のサイドシール材(13)(14)を繰り出す左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)と、
上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)間の搬送始端部に設けられ、左右サイドシール材(13)(14)を受け入れ、かつ、サンドイッチ体(20)の両側部に左右サイドシール材(13)(14)を上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたって被覆するサイドシール装置(5)と、
該サンドイッチ体(20)の樹脂組成物(6)を加熱発泡硬化させる上下一対のヒータ(21)(22)と
から主として構成されている。
【0010】

上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)は、それぞれ無端のスチールベルト(23)(24)が前後一対のローラ(25)(26)に巻架されてなり、各スチールベルト(23)(24)は搬送方向に同期して稼働する。
【0011】
サイドシール装置(5)には、上下一対の面材供給装置(15)(16)から上下一対の面材(3)(4)が、そして左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)から左右一対のサイドシール材(13)(14)がそれぞれ同期して送り込まれる。
【0012】
サイドシール装置(5)は、上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)の間にて搬送始端部に設けられ、ここへ送られて来る左右一対のサイドシール材(13)(14)は、サイドシール装置(5)によって断面コ字状に屈曲されて上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたってサンドイッチ体(20)の両側部を包むように被覆する。
【0013】
サンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を被覆するサイドシール材(13)(14)は、サンドイッチ体(20)の樹脂組成物、およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の側面と、後述する幅規定ガイド(27)との接触を防ぐ役目も果たす。
【0014】
樹脂供給装置(12)は、樹脂ミキシング装置(17)とこれの下端に連設されたガイド管(19)とからなり、ガイド管(19) は先端にマルチポート分配管を有する。
【0015】
左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)は、サイドシール材(13)(14)をロール状に巻回しかつこれらをサイドシール装置(5)へ繰り出す。
【0016】
サイドシール装置(5)の搬送方向下流には、上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)の間にかつ両側に、膨張した樹脂組成物が上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)の範囲から突出しないようにサンドイッチ体(20)、およびこれから生じた面材付き発泡体(18)を案内する幅規定ガイド(27)が設けられている。左右の幅規定ガイド(27)は、左右の間隔を調節することにより、発泡体製品の幅を変えることができる。また、これは発泡体の横滑りを防ぐ上に、発泡体の両側部の丸み形成を抑える役目も果たす。
【0017】
サイドシール材(13)(14) は発泡・硬化後に左右一対のサイドシール回収装置(9)(10)で巻き取り回収され、再使用に供される。
【0018】

上記構成の熱硬化性樹脂発泡体の製造装置(11)において、サイドシール装置(5)に、上下一対の面材供給装置(15)(16)から上下面材(3)(4)を繰り出すと共に、左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)から左右一対のサイドシール材(13)(14)を繰り出し、さらに搬送される下部面材(4)の上に樹脂供給装置(12)から熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)を供給する。ついで、同組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を、左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)によって上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたってサイドシール材(13)(14)で被覆する。こうして発泡時の樹脂漏出を防いでおいて、上下一対のヒータ(21)(22)によって同組成物(8)を発泡・硬化させ、熱硬化性樹脂発泡体を製造する。
【0019】
つぎに、本発明による熱硬化性樹脂発泡体の製造方法に用いる発泡体の原料について、説明をする。
【0020】
本発明で熱硬化性樹脂発泡体の原料として使用される熱硬化性発泡性樹脂組成物は、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、イソシアヌレート樹脂等であってよい。
【0021】
フェノール樹脂としては、レゾール型フェノール樹脂組成物が好ましい。レゾール型フェノール樹脂組成物は、液状レゾール型フェノール樹脂、発泡剤、硬化剤、界面活性剤、および所望により、可塑剤、無機フィラー、他の添加剤を含むものである。
【0022】
液状レゾール型フェノール樹脂は、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン等のフェノール類およびその変性物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等のアルデヒド類とを、触媒量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリの存在下に反応させて得られるフェノール樹脂であるが、これに限定されるものではない。フェノール類とアルデヒド類の使用割合は特に限定はないが、モル比で通常1.0:1.5〜1.0:3.0程度、好ましくは1.0:1.8〜1.0:2.5である。
【0023】
硬化剤としては、例えば硫酸、リン酸等の無機酸、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフトールスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸が用いられる。これらの硬化剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
熱硬化性発泡性樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部に対して、通常5〜30質量部、好ましくは10〜20質量部である。
【0025】

ウレタン樹脂としては、ポリオール成分とポリイソシアネート成分と触媒からなるものが好ましい。
【0026】
ポリオール成分としては、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、ペンタエリスリトール、メチルグルコシド、トリレンジアミン、マンニッヒ、シュクローズ等を開始剤としてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を1種または2種以上を付加してなるポリエーテルポリオールや、廃PET、ジメチルテレフタレート(DMT)残査、無水フタル酸等をベースとした芳香族ポリエステルポリオールが例示される。
【0027】
また、ポリイソシアネート成分としては、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートあるいは脂肪族ポリイソシアネートが例示される。
【0028】
具体的には、トリレン2,4−ジイソシアネート、トリレン2,6−ジイソシアネートおよびこれらの混合物、ジフェニルメタン4,4′−ジイソシアネート、3メチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートおよびこれらの組成物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の通常硬質ポリウレタン樹脂発泡体の製造に用いられるものは全て使用できる。
【0029】
またポリイソシアネート成分の使用量は、イソシアネート基対水酸基の当量(NCO/OHインデックス)で好ましくは100〜120である。ここで、NCO/OHインデックスとは、ポリイソシアネート中のイソシアネート基の数を、ポリオール中の水酸基の数で除して得られる数値に100を乗じて得た数値をいい、従って、NCO/OHインデックス=100がイソシアネート基数と水酸基数が1:1であることを表している。
【0030】
ポリオール成分、ポリイソシアネート成分の他に必要に応じて発泡助剤、整泡剤、触媒、難燃剤等が配合される。
【0031】

イソシアヌレート樹脂としては ポリオール混合物とイソシアネート組成物と触媒からなる物が好ましい。
【0032】
イソシアネート組成物は、一般のウレタン系樹脂発泡体に使用することのできるものであれば特に限定はなく、具体的には、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。なかでも、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI)が好ましい。また、イソシアネート組成物は、単独で用いてもよく、2種以上の混合系として用いてもよく、更には、脂肪族ポリイソシアネート又は脂環族ポリイソシアネートと、芳香族ポリイソシアネート組成物とを、ポリオールを用いて反応させて得られたイソシアネート基末端プレポリマーや、イソシアネート組成物を三量体化させて得られたイソシアネート基を有するイソシアヌレート化合物等を混合して使用しても良い。
【0033】

ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等を使用することができる。
【0034】
ポリエステルポリオールとしては、2官能以上の多官能性ポリオールと、多塩基酸とを縮合させて得られた、末端あるいは側鎖に水酸基を2個以上有する芳香族ポリエステルポリオールを用いることが好ましい。
【0035】
多官能性ポリオールとしては、1);エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等、又は、これらにエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドのアルキレンオキサイド類を付加重合した化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2官能ポリオール、2);トリメチロールプロパン、グリセリン等、又は、これらにアルキレンオキサイド類を付加重合した化合物等の3官能ポリオール、3);ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、糖類等、又は、これらにアルキレンオキサイド類を付加重合した化合物等の多官能ポリオール等が例示される。ポリオール1分子中の水酸基は2〜3個であることが好ましい。ポリオール1分子中の水酸基が2個以上であれば、得られるポリイソシアヌレート発泡体の寸法安定性が良好となり、また、4個より多いと面材との接着性が損なわれる虞れがあるので3個以下とすることが好ましい。
【0036】

熱硬化性発泡性樹脂組成物に含まれる発泡剤の例として、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン等のフッ素化合物、イソプロピルエーテル等のエーテル、あるいはこれらの化合物の混合物などの有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスなどの無機系物理発泡剤などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0037】
本発明においては、前記発泡剤の使用量は、前述の液状レゾール型フェノール樹脂100質量部に対して、通常1〜20質量部、好ましくは5〜10質量部である。
【0038】
面材の材料としては、合成繊維不織布又はガラスペーパーのような無機繊維(物)混抄紙、クラフト紙等の天然繊維不織布等が用いられる。
【0039】
合成繊維不織布は、ポリエステル、ポリプロピレン、EVA、ポリアミドなどからなる不織布であれが特に限定されないが、一般的にポリエステルがコストおよび性能面で好ましい。不織布の製法としては、生産性に優れたスパンボンド法が好ましい。無端ベルトコンベアのベルトと発泡時に上下1対の面材の間から漏れ出る樹脂との付着を防止する観点から、面材は繊維径が0.5〜4デニールであり、目付が80〜130g/mであり、厚みが300〜600μmである合成繊維系不織布からなるものが好ましい。また、ベルトからの面材の離型性確保の観点から、面材の表面にアクリル層をコーティングすることが好ましい。不織布の目付は好ましくは40〜80g/m2である。これは、この範囲未満では発泡性樹脂組成物が不織布を通過して、発泡体にムラが発生し、この範囲を超えるとコストが嵩むためである。
【0040】
無機繊維(物)混抄紙としては、無機ガラス不織布、ガラスパルプ混抄紙、水酸化アルミ紙、炭カル紙が例示され、天然繊維紙としては、クラフト紙、和紙、ダンボール等が例示される。
【0041】

サイドシール材の材料としては、面材で使用される合成繊維不織布jないしは合成フィルムが適している。
【0042】
合成繊維不織布としては、面材で使用されるものと同じものが例示され、目付はこのましくは30〜80g/m2、厚みは好ましくは50〜200μmである。目付および厚みが大き過ぎると、サイドシール材の端部の厚みに段差が生じ、好ましくない。
【0043】
また、固定ガイドからのサイドシール材の離型性を向上させるため、サイドシール材の表面にアクリル樹脂をコーティングすることが好ましい。サイドシール材の目付は好ましくは40〜80g/m2である。これは、この範囲未満では発泡性樹脂組成物が不織布を通過して、発泡体にムラが発生し、この範囲を超えるとコストが嵩むためである。
【0044】
合成フィルムは、離型性のあるものであれば特に限定されないが、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ポリプロピレンフィルム等が例示される。中でもアクリルフィルムは好ましく、表面に離型剤としてシリコン樹脂を被覆されたものが特に好ましい。フィルムの厚みは好ましくは30〜200ミクロンである。段差ができずかつ強度を有するフィルムは、厚み100ミクロン前後のものである。
【発明の効果】
【0045】
本発明によれば、熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)を、搬送される下部面材(4)の上に供給し、同組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたって、別途供給されるサイドシール材(13)(14)によって被覆して発泡時の樹脂漏出を防いでおき、同組成物(8)を発泡・硬化させるので、両側部の切除によるロスを最小限に抑えることができる上に、厚みおよび幅を任意のサイズとした製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による熱硬化性樹脂発泡体の製造方法を示す発泡体製造装置の側面図である。
【図2】図1中のII−IIに沿う断面図である。
【図3】従来の熱硬化性樹脂発泡体の製造方法を示す発泡体製造装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
つぎに、本発明を具体的に説明するために、本発明の実施例およびこれとの比較を示すための比較例をいくつか挙げる。
【0048】
実施例1
図1に示す熱硬化性樹脂発泡体の製造装置において、液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業社製、商品名「PF−333」)100重量部に対して、界面活性剤としてひまし油3質量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3質量部を加えたものを樹脂ミキシング装置(17)に投入し、これに硬化剤としてパラトルエンスルホン酸を15質量部、および、発泡剤としてイソペンタン8質量部を加えたものを熱硬化性樹脂組成物(6)とした。
【0049】
下部面材(4)として、東洋紡社製PET不織布(目付85g/m2)からなり、表面をアクリル樹脂40g/m2でコーティンク゛したもので、幅920mmを有するものを用いた。
【0050】
左右サイドシール材(13)(14)として、東洋紡社製PET不織布(目付40g/m2)からなり、表面をアクリル樹脂40g/m2でコーティンク゛したものを用いた。
【0051】
上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)のクリアランスを50mmに設定した。
【0052】
サイドシール装置(5)に、上下一対の面材供給装置(15)(16)から上下面材(3)(4)を繰り出すと共に、左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)から左右一対のサイドシール材(13)(14)を繰り出し、さらに搬送される下部面材(4)の上に樹脂供給装置(12)から熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)を供給した。ついで、同組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を、左右一対のサイドシール材供給装置(7)(8)によって上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたってサイドシール材(13)(14)で被覆した。こうして発泡時の樹脂漏出を防いでおいて、上下一対のヒータ(21)(22)によって同組成物(8)を発泡・硬化させ、熱硬化性樹脂発泡体を製造した。
【0053】
発泡・硬化完了後に左右サイドシール材(13)(14)を上下一対のサイドシール回収装置(9)(10)で巻き取り回収した。
【0054】
こうして得られた面材付き発泡体は、厚み50mm、密度30Kg/m3、有効幅915mmを有していた。この面材付き発泡体の両側部を合計5mmトリミングし、幅910mmの製品を得た。
【0055】
実施例2
左右サイドシール材(13)(14)として、不織布の代わりに合成繊維フィルム(三菱レイヨン社製、アクリプレン)を用いた以外、実施例1と同様の操作を行い、面材付き発泡体を製造した。得られた製品は、厚み50mm、密度30Kg/m3、有効幅915mmを有していた。この面材付き発泡体の両側部を合計5mmトリミングし、幅910mmの製品を得た。
【0056】
比較例1
左右サイドシール材(13)(14)を用いず、熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部にホットメルトを塗布し、上下面材(3)(4)の間に閉空間を形成し、この閉空間内で発泡性樹脂組成物(6)を発泡させた以外、実施例1と同様の操作を行い、面材付き発泡体を製造した。得られた製品は、厚み50mm、密度30Kg/m3、有効幅850mmを有していた。
【符号の説明】
【0057】
(1)(2) 上下一対の無端ベルトコンベア
(3)(4) 上下一対の面材
(3a)(4a) 上下面材(3)(4)の各縁部
(5) サイドシール装置
(6) 熱硬化性樹脂組成物
(7)(8) 左右一対のサイドシール材供給装置
(11) 熱硬化性樹脂発泡体の製造装置
(12) 樹脂供給装置
(13)(14) 左右一対のサイドシール材
(15)(16) 上下一対の面材供給装置
(17 )樹脂ミキシング装置
(18) 面材付き発泡体
(19) ガイド管
(20) サンドイッチ体
(21)(22) 上下一対のヒータ
(23)(24) スチールベルト
(25)(26) 前後一対のローラ
(27) 幅規定ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所要間隔で対向配置された上下一対の無端ベルトコンベア(1)(2)の間に、上下一対の面材(3)(4)を供給すると共に、熱硬化性発泡性樹脂組成物(6)を、搬送される下部面材(4)の上に供給し、同組成物(6)とこれを挟む上下面材(3)(4)とからなるサンドイッチ体(20)およびこれから生じた面材付き発泡体(18)の両側部を上下面材(3)(4)の各縁部(3a)(4a)にわたって、別途供給されるサイドシール材(13)(14)によって被覆して発泡時の樹脂漏出を防いでおき、同組成物(8)を発泡・硬化させることを特徴とする熱硬化性樹脂発泡体の製造方法。
【請求項2】
サイドシール材(13)(14)がアクリル樹脂を被覆した合成繊維系不織布ないしは合成樹脂フィルムからなることを特徴とする請求項1記載の熱硬化性樹脂発泡体の製造方法。
【請求項3】
発泡・硬化後にサイドシール材(13)(14)を回収することを特徴とする請求項1または2記載の発泡体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−248412(P2010−248412A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100923(P2009−100923)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】