説明

熱硬化性混合組成物供給装置及びこの供給装置を用いたレジンコンクリート材料製造装置

【課題】熱硬化性混合組成物の使用直前に熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とを均一撹拌して供給することができ、液状硬化剤配管の破損などの問題がない熱硬化性混合組成物供給装置、及びレジンコンクリート材料製造装置を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂液供給配管14と、液状硬化剤供給配管15と、気体供給配管16とを備える構成とするとともに、エアーノズル先端部163cを、そのエアー吹き出し口が樹脂液吐出口144cより上流側に位置するように熱硬化性樹脂液供給配管14内に配管し、硬化剤ノズル先端部152bを、その硬化剤吐出口が前記エアー吹き出し口より上流側に位置するようにエアー配管16内に配管した。そして、熱硬化性樹脂液供給配管14中で熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とをエアーとともに混合し、泡状の熱硬化性混練組成物として樹脂液吐出口144cから吐出させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性混合組成物供給装置及びこの供給装置を用いたレジンコンクリート材料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レジンコンクリート(樹脂モルタル)層を備えた強化樹脂管(例えば、特許文献1参照)は、耐酸性、耐磨耗性、耐震性の点で優れるとともに、軽量で施工性がよいため、下水管や排水管などに多く用いられている。
上記レジンコンクリート層は、珪砂などの骨材と、熱硬化性樹脂液(例えば、不飽和ポリエステルと重合性モノマーとの混合液)と、硬化剤との混合混練物であるレジンコンクリート材料を層状に積層したのち、レジンコンクリート材料中の熱硬化性樹脂液中の重合成分を重合させることによって得られる。
【0003】
上記レジンコンクリート材料の製造装置としては、軸方向の一端部に出口を有する筒状をした混練筒部(シリンダ)と、この混練筒部の軸方向の他端部に設けられた骨材供給ホッパと、スクリューコンベアと、を備える混練装置の前記混練筒部内に、骨材供給ホッパから骨材を供給する一方、骨材供給ホッパより下流側で熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とを個別の配管を介して混練筒部内に供給し、骨材、熱硬化性樹脂及び液状硬化剤をスクリューコンベアによって搬送しながら混練筒部内で混練し、レジンコンクリート材料として前記出口から混練物を排出するようなものが用いられている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−98269号公報
【特許文献2】特開平5−116130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のレジンコンクリート材料製造装置では、混練筒部の長さを長くして混練時間を長くしないと、得られるレジンコンクリート材料中で、硬化剤の分散が均一化されず、部分的に硬化が不十分な成形品となってしまうおそれがある。
一方、硬化剤の配合量を増やせば、上記のような問題が解消できるのであるが、材料コストの点で問題が生じるとともに、硬化剤として過酸化物が使用されるために、火災の危険性が高まるという問題がある。
他方、熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とを撹拌タンクなどで予め均一に撹拌混合して熱硬化性混合組成物を得たのち、この熱硬化性混合組成物を骨材との混練装置に供給する方法もあるが、かかる方法の場合、撹拌タンクで撹拌混合した熱硬化性混合組成物を短時間で消費しないと、骨材との混練前に硬化してしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の発明者は、熱硬化性樹脂液供給配管の吐出口の上流側で、硬化剤吐出口を備える液状硬化剤供給配管の先端部が熱硬化性樹脂液供給配管内に臨むように液状硬化剤供給配管を配管し、熱硬化性樹脂液供給配管の吐出口の近傍で熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とを混合して混練筒部内に供給する方法を実施した。
かかる方法では、従来の熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とを個別に混練筒部内に供給する方法に比べ、使用直前に熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とが混合された熱硬化性混合組成物となった状態で混練筒部内に供給されるので、均質なレジンコンクリート材料を短い混練筒部を用いて製造できるようになるとともに、熱硬化性混合組成物が骨材との混練前に硬化することがない。
【0007】
しかし、かかる方法の場合、液状硬化剤の混合比率が、熱硬化性樹脂液の1/50以下であるので、液状硬化剤供給配管の口径もこの先端部が臨む熱硬化性樹脂液供給配管部分の口径より小さいものとなっている。
したがって、熱硬化性樹脂液供給配管の吐出口が万一詰り、熱硬化性樹脂液供給配管内の樹脂圧が上がると、口径の小さい液状硬化剤供給配管は、直ちに逆圧をうけて液状硬化剤供給配管中の硬化剤圧が上がるため、破損するおそれがある。そして、作業者が破損により漏洩した硬化剤が目に入り失明事故に至る、あるいは、過酸化物であれば火災事故を招くおそれもある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みて、熱硬化性混合組成物の使用直前に熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とを均一撹拌して供給することができるとともに、液状硬化剤配管の破損などの問題がない熱硬化性混合組成物供給装置、及び、この熱硬化性混合組成物供給装置を用いた均質なレジンコンクリート材料が安定かつ安全に製造できるレジンコンクリート材料製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明にかかる熱硬化性混合組成物供給装置は、樹脂液吐出口を有する熱硬化性樹脂液供給配管と、この熱硬化性樹脂液の液状硬化剤を供給する硬化剤吐出口を有する液状硬化剤供給配管と、気体吹き出し口を有する気体供給配管とを備え、前記気体供給配管は、前記気体吹き出し口が前記樹脂液吐出口より上流側の熱硬化性樹脂液供給配管内に位置するように配管され、前記液状硬化剤供給配管は、前記硬化剤吐出口が前記気体吹き出し口より上流側の気体供給配管内に位置するように配管されていることを特徴としている。
なお、本発明において、各配管の先端部とは、下流側端部のことを意味する。
【0010】
本発明の熱硬化性混合組成物供給装置は、特に限定されないが、例えば、熱硬化性樹脂液供給配管の先端部が、先端が閉じた直管状をしていて、この下流側端部の周壁に樹脂液吐出口が穿設されている構成としてもよい。
すなわち、かかる構成にすれば、熱硬化性樹脂液供給配管を流れてきた熱硬化性樹脂液が、先端壁にあたり、熱硬化性樹脂液供給配管の先端部内で渦流が起きてより撹拌が効率よく行える。
【0011】
また、本発明の熱硬化性混合組成物供給装置は、特に限定されないが、例えば、樹脂液吐出口が網状体で覆われている構成としてもよい。
すなわち、かかる構成にすれば、網状体がスタティックミキサーの働きをしてより撹拌性がよくなる。
なお、網状体は、樹脂液吐出口を配管の内側から覆うように設けても、外側から覆うように設けても構わない。
【0012】
気体供給配管を介して供給される気体は、特に限定されないが、安価であるとともに、環境にやさしいことから空気が好ましい。
【0013】
上記熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
液状硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物、アルコール、水、アミン等が挙げられる。
【0014】
本発明の熱硬化性混合組成物供給装置の用途としては、特に限定されないが、例えば、以下のような用途が挙げられる。
(1)混練装置の混練部に樹脂液吐出口を臨ませ、混練部内に熱硬化性混合組成物を供給するとともに、混練部内に投入された骨材と混練してレジンコンクリート材料を得る。
そして、得られたレジンコンクリート材料を型に供給し、管、ブロック、柱形状に成形硬化させる。
(2)含浸槽に樹脂液吐出口を臨ませ、含浸槽に熱硬化性混合組成物を供給し、供給された熱硬化性混合組成物中に、ガラスロービング等の長尺の強化繊維を通し、熱硬化性混合組成物を強化繊維に含浸させた状態で型に供給し、管、ブロック、柱形状に成形硬化させる。
【0015】
本発明にかかるレジンコンクリート材料製造装置は、上記本発明の熱硬化性混合組成物供給装置と、この熱硬化性混合組成物供給装置の上記樹脂液吐出口から吐出された熱硬化性樹脂液と骨材とを混練する混練装置とを備えることを特徴としている。
【0016】
本発明のレジンコンクリート材料製造装置は、特に限定されないが、上記樹脂液吐出口が網状体で覆われ、混練装置の混練部内に臨むとともに、前記網状体の網目の大きさが骨材の粒径未満であることが好ましい。
すなわち、熱硬化性樹脂液供給配管への混練筒部側からの骨材の入り込みを確実に抑えることができ、骨材の入り込みによる樹脂液吐出口の詰りをなくし、熱硬化性樹脂液供給配管内の樹脂液圧の高まりにより、液状硬化剤供給配管の内圧上昇を防止することができる。
また、樹脂液吐出口が混練部内に臨むことによって、骨材が気体に働きによって泡状になって、混練部内で嵩高くなった熱硬化性混合組成物内を通過するようになり、熱硬化性混合組成物が骨材に絡みやすく、骨材と熱硬化性混合組成物とをより素早く均一混練できる。
【0017】
本発明において、レジンコンクリート材料を構成する熱硬化性樹脂液としては、一般的にレジンコンクリート材料に用いられているものが用いられ、特に限定されないが、例えば、不飽和ポリエステルと、ビニル基を有する重合性モノマーとの混合組成物が挙げられる。
液状硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルキルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系の有機過酸化物が挙げられ、メチルエチルケトンパーオキサイドが好適である。
【0018】
本発明のレジンコクリート材料製造装置で得られるレジンコンクリート材料は、強化樹脂管の製造だけでなく、土木に用いられるブロック、柱材、杭などの製造にも用いられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の熱硬化性混合組成物供給装置は、以上のように、樹脂液吐出口を有する熱硬化性樹脂液供給配管と、この熱硬化性樹脂液の液状硬化剤を供給する硬化剤吐出口を有する液状硬化剤供給配管と、気体吹き出し口を有する気体供給配管とを備え、前記気体供給配管は、前記気体吹き出し口が前記樹脂液吐出口より上流側の熱硬化性樹脂液供給配管内に位置するように配管され、前記液状硬化剤供給配管は、前記硬化剤吐出口が前記気体吹き出し口より上流側の気体供給配管内に位置するように配管されているので、攪拌タンクなどがなくても、使用直前で熱硬化性樹脂液と、液状硬化剤が十分にムラ無く混合され、均質な熱硬化性混合組成物を常に供給できる。
【0020】
また、熱硬化性樹脂液供給配管の詰りによる液状硬化剤配管側への負荷を気体によって軽減し、液状硬化剤配管の破損を防止できる。
しかも、熱硬化性樹脂液供給配管を流れる熱硬化性樹脂液の量と、液状硬化剤供給配管を流れる液状硬化剤の量を、バルブ等を用いて制御することによって、熱硬化性樹脂液と液状硬化剤との混合比を容易に変更できるとともに、撹拌羽根が設置できないような狭小な設備部位での混合や、化学反応が速く、混合から硬化までのポットライフが短い場合にも用いることができる。
【0021】
本発明のレジンコンクリート材料製造装置は、上記本発明の熱硬化性混合組成物供給装置と、この熱硬化性混合組成物供給装置の上記樹脂液吐出口から吐出された熱硬化性樹脂液と骨材とを混練する混練装置とを備えるので、均質なレジンコンクリート材料が得られ、結果として、このレジンコンクリート材料を硬化させて得られた硬化体は、部分的な硬化不良などがない均質なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかるレジンコンクリート材料製造装置の1つの実施の形態の概略を模式的にあらわした図である。
【図2】図1のレジンコンクリート材料製造装置に用いられる本発明の熱硬化性混合組成物供給装置の概略図である。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】図3のX−X線断面図である。
【図5】図3のエアー配管のノズル部材先端及びその近傍部の拡大断面図である。
【図6】図2の熱硬化性混合組成物供給装置の網状体の斜視図である。
【図7】図1のレジンコンクリート材料製造装置の混練装置部分の断面図である。
【図8】本発明のレジンコンクリート材料製造装置を用いた強化樹脂管の製造方法に用いる強化樹脂管製造装置の1例の平面概略図である。
【図9】図8の強化樹脂管製造装置の材料成形機を混練筒部の出口側からみた概略図である。
【図10】図8の強化樹脂管製造装置のマンドレルの内層上へのシート状レジンコンクリート材料の巻き付け状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1に示すように、このレジンコンクリート材料製造装置Aは、熱硬化性混合組成物供給装置1と混練装置2とを備えている。
【0024】
熱硬化性混合組成物供給装置1は、熱硬化性樹脂材料混合タンク11と、熱硬化性樹脂液調整タンク12と、液状硬化剤タンク13と、熱硬化性樹脂液供給配管14と、液状硬化剤供給配管15と、気体供給配管であるエアー配管16とを備えている。
熱硬化性樹脂材料混合タンク11は、熱硬化性樹脂液となる材料(例えば、不飽和ポリエステル、スチレンモノマーなどの重合性モノマー等)を所定の比率で混合して熱硬化性樹脂液調整タンク12へ送るようになっている。
熱硬化性樹脂液調整タンク12は、貯留された熱硬化性樹脂液を所定の温度にコントロールできるようになっているとともに、プランジャポンプ17aを介して熱硬化性樹脂液供給配管14に接続されている。
【0025】
液状硬化剤タンク13は、プランジャポンプ17bを介して硬化剤供給配管15に接続されている。
プランジャポンプ17bは、複数のピストンを、カム機構を介して位相がずれた状態でストロークさせて脈動を抑えるようになっている。
【0026】
熱硬化性樹脂液供給配管14は、図2に示すように、本管部141と、樹脂圧力注入器142と、カプラー143と、樹脂注入シリンダ144と、リサイクル配管146とを備えている。
本管部141は、一端がプランジャポンプ17aの吐出側に接続され、図2及び図3に示すように、他端が樹脂圧力注入器142に接続されている。
【0027】
樹脂圧力注入器142は、チーズ状をしていて、分岐部142bに本管部141の一端が接続され、直管部142aの下端にカプラー143の上側ねじ筒部143bが接続され、直管部142aの上端に後述するエアーノズル部材163の下側ねじ筒部163aが接続されている。
カプラー143は、下側ねじ筒部143aが樹脂注入シリンダ144のフランジ部144aに接続され、後述するエアーノズル部材163のエアーノズル先端部163cが貫通するとともに、図示していないが、本管部141側から送られてくる熱硬化性樹脂液がエアーノズル先端部163cの周囲を通過可能になっている。
【0028】
樹脂注入シリンダ144は、熱硬化性樹脂液供給配管14の先端部を構成し、フランジ部144aと、シリンダ本体部144bとを備えている。
フランジ部144aは、その外径が混練筒部21の配管取り付け口21cの内径より大きく、カプラー143の下端に接続されている。
【0029】
シリンダ本体部144bは、熱硬化性樹脂液供給配管14の先端となる下端が閉塞され、配管取り付け口21cに挿通可能な外径の有底筒状をしている。
シリンダ本体部144bの下端部周壁には、4つ(図では3つしかあらわれていない)の樹脂液吐出口144cが穿設されている。
各樹脂液吐出口144cは、上下方向に延びる長孔状をしている。
【0030】
また、シリンダ本体部144b内には、網状体145が内装されている。
網状体145は、図6に示すように、骨材の粒径とほぼ同じ少し細かい網目を備え、その外径がシリンダ本体部144bの内径とほぼ同じの筒状をしていて、網目部分を介して液体および気体が通過可能に樹脂液吐出口144cをシリンダ本体部144bの内側から覆っている。
【0031】
そして、樹脂注入シリンダ144は、シリンダ本体部144bが配管取り付け口21cを介して混練筒部21内のスクリューコンベア22の連結部22dを臨むように混練筒部21に装着されている。
【0032】
リサイクル配管146は、本管部141の途中に設けられたLポート三方バルブLVを介して本管部141に一端が接続され、他端が熱硬化性樹脂液調整タンク12に接続されている。
すなわち、リサイクル配管146は、Lポート三方バルブLVの切り替えによって、熱硬化性樹脂液調整タンク12の熱硬化性樹脂液を循環状態にできるようになっている。
【0033】
エアー配管16は、本管部161と、連結チーズ162と、エアーノズル部材163とを備えている。
本管部161は、図1に示すように、一端がエアーコンプレッサーや給気ポンプなどを備えて給気装置165に接続されていて、図3に示すように、他端が連結チーズ162の分岐筒部162bに接続されている。
【0034】
連結チーズ162は、図3に示すように、直管部162aの下端にエアーノズル部材163の上側ねじ筒部163bが接続され、直管部162aの上端に後述する硬化剤ノズル部材152の下側ねじ筒部152aが接続されている。
エアーノズル部材163は、上側ねじ筒部163bと、下側ねじ筒部163aと、エアーノズル先端部163cとを備えている。
【0035】
エアーノズル先端部163cは、下側ねじ筒部163aから下方に延出するように設けられ、その下端の開口(エアー吹き出し口)が樹脂液吐出口144cより少し上側で熱硬化性樹脂液供給配管14の先端部である樹脂注入シリンダ144内に臨み、図4に示すように、その周囲にリング状の樹脂液通路を形成している。
【0036】
液状硬化剤供給配管15は、本管部151と、硬化剤ノズル部材152と、リサイクル配管155とを備えている。
本管部151は、一端がプランジャポンプ17bに接続され、他端がノズル部材152の上側ねじ筒部152cに接続されている。
【0037】
硬化剤ノズル部材152は、上側ねじ筒部152cと、下側ねじ筒部152aと、硬化剤ノズル先端部152bとを備えている。
下側ねじ筒部152aは、連結チーズ162の直管部162aの上端に接続されている。
【0038】
硬化剤ノズル先端部152bは、下側ねじ筒部152aから下方に延出するように設けられ、その下端の開口(硬化剤吐出口)が上記エアーノズル部材163のエアーノズル先端部163cの下端、すなわち、エアー吹き出し口より少し上流(特に限定されないが、例えば、図5に示すL1=D1となる程度上側)でエアー配管16の先端部であるエアーノズル先端部163c内に臨んでいる。
硬化剤ノズル先端部152bは、特に限定されないが、その内径D1がシリンダ本体部144bの内径D2の1/10程度とすることが好ましい。
【0039】
リサイクル配管155は、Lポート三方バルブLVの切り替えによって、液状硬化剤タング13の液状硬化剤を循環状態にできるようになっている。
なお、図2中、Pは圧力計、FMはフローメータ、19は洗浄剤配管、TVはTポート三方弁、LVはLポート三方弁である。
【0040】
混練装置2は、図7に示すように、混練筒部21と、スクリューコンベア22と、骨材供給ホッパ23とを備えている。
混練筒部21は、軸方向の一端が開放されて、混練によって得られるレジンコンクリート材料の出口21aとなって、他端部に上方から骨材供給ホッパ23が臨む開口21bを備えている。
【0041】
また、混練筒部21は、熱硬化性樹脂液供給配管14の先端部である樹脂注入シリンダ144のシリンダ本体部144bが内部に挿入される配管取り付け口21cをその軸方向の中間位置に設けられている。
【0042】
スクリューコンベア22は、軸22aの一端が、出口21aの一部を仕切るように設けられた略Yの字をした軸受け部に軸支され、軸22aの他端が、混練筒部21の他端壁を貫通して図示していない駆動装置(モーター、変速機等を含む)に接続されて、軸22aを中心に回転するようになっている。
また、スクリューコンベア22は、一端側が軸22aの周囲に複数の混練羽根22bが螺旋状に設けられた混練部となっていて、他端側が連続する一枚の螺旋形状をした搬送羽根22cが軸22aの周囲に設けられた骨材搬送部になっていて、混練部と骨材搬送部との連結部22dには、羽根が全く設けられていない。
【0043】
このレジンコンクリート材料製造装置Aは、上記のようになっているので、液状硬化剤供給配管15を介して先端の硬化剤ノズル先端部152bまで送られてきた液状硬化剤は、一旦、エアー配管16の先端であるエアーノズル先端部163c内に入り、エアー圧で吹き飛ばされながら、エアーとともに熱硬化性樹脂液供給配管14の先端部である樹脂注入シリンダ144b内に供給される。
そして、樹脂注入シリンダ144b内に供給された液状硬化剤は、熱硬化性樹脂液供給配管14を介して送られてきた熱硬化性樹脂液中に分散混合されが、エアーによって、液状硬化剤と熱硬化性樹脂液とは、樹脂注入シリンダ144b内で泡立った状態分散混合される。
【0044】
また、この分散混合された熱硬化性混合組成物が網状体145の網目を介してさらに泡状になりながら樹脂液吐出口144cから混練筒部21内に吐出される。
一方、骨材供給ホッパ23から投入された骨材(例えば、5号珪砂)は、搬送羽根22cによって連結部22d側に送られ、さらに、連結部22d付近に貯まるように供給された泡状になった熱硬化性混合組成物を巻き込みながらつぎつぎに混練部に送られ、混練羽根22bによって混練混合されてレジンコンクリート材料RCとなって出口21aから排出される。
【0045】
すなわち、このレジンコンクリート製造装置Aは、予め熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とがほぼ均一に混合された熱硬化性混合組成物の状態で混練筒部21内に供給されるので、硬化剤の分散むらがなく混練筒部21内で骨材と混練混合される。
しかも、熱硬化性混合組成物が泡状になっているので、骨材がこの泡状体の内部を混練されながら出口21aに向かって進むため、混練混合時間を短縮できる。すなわち、混練筒部21の長さを短くすることができ、装置の小型化を図ることができる。
【0046】
また、液状硬化剤供給配管15の吐出口である硬化剤ノズル先端部152bの下端がエアー配管16のエアーノズル先端部163c内に臨んでいるので、樹脂液吐出口144cが一時的に閉塞状態になるなどして熱硬化性樹脂液供給配管14内の圧力が上がったとしても、直ちにその圧によって硬化剤ノズル先端部152bを介して液状硬化剤供給配管15側に逆圧がかかり、液状硬化剤供給配管15が破損することを防止できる。
さらに、網状体145が設けられているので、骨材が樹脂注入シリンダ144内に入り込んで樹脂注入シリンダ144内が閉塞することがないとともに、熱硬化性混合組成物が網目を介して樹脂液吐出口144cから吐出されるので、より均一に混合されるとともに、骨材にからみやすいより細かい泡状となる。
【0047】
つぎに、図8〜図10を参照しながらこのレジンコンクリート製造装置Aを用いた強化樹脂管製造装置Bと、強化樹脂管の製造方法を説明する。
この強化樹脂管製造装置Bは、図8に示すように、管成形装置3と、レジンコンクリート層形成装置4と、ガラス繊維強化層形成装置5とを備えている。
【0048】
管成形装置3は、マンドレル(円柱状外周を有する金型)31と、支持台32,33とを備えている。
マンドレル31は、マンドレル本体31aと、マンドレル本体31aの中心軸に沿って設けられた回転軸31bとを備えている。
【0049】
一方の支持台32は、マンドレル31の一方の回転軸31bを回転自在に支持するとともに、モータ32a及び変速機32bが載置されて回転軸31bに所定の回転力を伝達してマンドレル本体を所定の速度(得ようとする強化樹脂管の管径や層構成によって適宜設定される)で回転させるようになっている。
他方の支持台33は、他方の回転軸31bを回転自在に支持するようになっている。
【0050】
レジンコンクリート層形成装置4は、台車41と、上記レジンコンクリート材料製造装置Aと、材料成形機6とを備えている。
台車41は、マンドレル31の中心軸に平行に設けられたレールR上を走行自在に設けられていて、図示していない駆動装置の駆動力によってレールRを成形条件に応じた速度で走行するようになっている。
【0051】
レジンコンクリート材料製造装置Aは、混練筒部21の出口21aが、台車41の走行方向に向くように台車41上に搭載されている。
【0052】
材料成形機6は、図9に示すように、ホッパ61と、不織布ロール支持部62と、2本の成形ローラ63と。複数の不織布ガイドローラ64と、ガイド板65とを備え、レジンコンクリート材料製造装置Aに隣接するように台車41に搭載されている。
ホッパ61は、上記出口21aから排出されるレジンコンクリート材料RCを下方から受けて成形ローラ63間に供給するようになっている。
【0053】
不織布ロール支持部62は、ロール状に巻回された不織布ロール66が回転自在に支持されるようになっている。
【0054】
そして、不織布ロール66から引き出された帯状の不織布66aは、不織布ガイドローラ64を介して、まず、マンドレル側の成形ロー63に導かれたのち、この成形ローラ63の下方を通ったのち、他の複数(この実施の形態では4つ)の不織布ガイドローラ64を介して混練筒部21の上方を越えて反対側の成形ロー63の上側に導かれたのち、マンドレル本体31aにシート状となったレジンコンクリート材料RC1とともに、巻き込まれるようになっている。
すなわち、レジンコンクリート材料RCは、一旦両成形ロール63に沿うように進行する不織布66a間で挟まれながら、2つの成形ロール63間でシート状に成形され、不織布66aによって下側から受けられてガイド板65によってガイドされながらマンドレル31の近傍まで送られる。
【0055】
ガラス繊維強化層形成装置5は、台車51と、ガラス繊維強化層形成装置本体52とを備えている。
台車51は、台車41と同一レールR上を台車41と同様に走行自在に設けられている。
また、台車51は、図示していない駆動装置によって、台車41と分かれた状態で走行するようになっている。
【0056】
ガラス繊維強化層形成装置本体5は、詳細に図示していないが、複数のロービング状のガラス繊維Gに熱硬化性樹脂液を付着させた後、引き揃えてマンドレル31のマンドレル本体31aに供給するようにガイドするようになっている。なお、ガラス繊維強化層形成装置5は、必要に応じてロービング上のガラス繊維G上にさらにスダレ状をしたガラス繊維やビニロン繊維等をマンドレル31に供給できるようにしてもよい。
【0057】
この強化樹脂管製造装置Bは、上記のようになっており、以下のようにして強化樹脂管が製造される。
(1)図8に示すように、マンドレル31を支持台32,33間に支持させる。
(2)図示していないが、モータ32aを駆動させてマンドレル31を回転させながら離型シートをマンドレル本体31a表面に巻きつける。
(3)台車51をレールRに沿って走行させるとともに、マンドレル31を回転させながら、図10に示すように、ガラス繊維強化層形成装置5を介して内層となる熱硬化性混合組成物槽を通ったガラス繊維Gを、離型シート上に巻き付け内層を形成する。
(4)内層形成後、材料成形機6をレールRに沿って走行させるとともに、マンドレル31を回転させながら、図9及び図10に示すように、レジンコンクリート層形成装置4でシート状に成形されたレジンコンクリート材料シートRC1を不織布66aとともに内層上にまきつける。
(5)図9に示すように、レジンコンクリート材料RC1を上から押さえローラ34によって押さえて厚みが均一になるように均してレジンコンクリート材料からなる芯層を形成する。
(6)図示していないが、ガラス繊維強化層形成装置5を用いて芯層上に内層と同様にして外層を形成する。
(7)各層を形成する熱硬化性樹脂がほぼ硬化状態(型崩れを起こさない状態)まで硬化した管状成形体をマンドレル31から取り外し、さらに養生硬化させて3層構造の強化樹脂管を得る。
【0058】
この強化樹脂管製造装置Bを用いた強化樹脂管の製造方法によると、レジンコンクリート材料製造装置Aで得られた骨材と熱硬化性樹脂液と液状硬化剤とが均一に混合されたレジンコンクリート材料RCを用いて芯層が形成されるので、芯層は硬化不良部分がなく均質なものとなる。従って、均質な物性を備えた強化樹脂管を安定して得られる。
また、レジンコンクリート材料製造装置Aが小型化できるので、材料成形機6の小型化も図れる。
【0059】
本発明は、上記の実施の形態に限定されない。例えば、上記の実施の形態では、熱硬化性混合組成物供給装置が、レジンコンクリート管の製造に用いられていたが、例えば、ガラス繊維強化樹脂管や、硬質ガラス繊維強化発泡ウレタン樹脂成形体(例えば、積水化学工業株式会社のネオランバーFFUなど)の製造に用いるようにしてもよい。
なお、上記発泡ウレタン樹脂成形体の場合、硬化剤としては、水やアルコールが挙げられる。
上記の実施の形態では、レジンコンクリート材料製造装置を用いてバッチ式に強化樹脂管を製造するようにしていたが、レジンコンクリート材料製造装置は、ドロストホルム法を用いる強化樹脂管の連続成形にも用いることができる。
上記の実施の形態では、網状体が筒状をしていたが、樹脂液吐出孔のみに嵌合するように装着されるキャップ状をしていても構わない。
【0060】
上記の実施の形態では、樹脂液吐出口がシリンダ本体部の周壁にのみ設けられていたが、シリンダ本体部の底にも小さな樹脂液吐出口を設けるようにしても構わない。
また、上記の実施の形態では、シリンダ本体部が混練筒部の内部に突出するようになっていたが、熱硬化性樹脂液供給配管の先端の開口のみに網状体を配置し、熱硬化性樹脂液供給配管の先端を混練筒部の内壁面にほぼ一致するように熱硬化性樹脂液供給配管を設けるようにしても構わない。
【符号の説明】
【0061】
A レジンコンクリート材料製造装置
B 強化樹脂管製造装置
1 材料供給装置
11 熱硬化性樹脂材料混合タンク
12 熱硬化性樹脂液調整タンク
13 液状硬化剤タンク
14 熱硬化性樹脂液供給配管
144 樹脂注入シリンダ
144b シリンダ本体部(熱硬化性樹脂液供給配管14の先端部)
144c 樹脂液吐出口
145 網状体
15 液状硬化剤供給配管
152b 硬化剤ノズル先端部(液状硬化剤供給配管15の先端部)
16 エアー配管(気体供給配管)
163c エアーノズル先端部(エアー配管16の先端部)
2 混練装置
21 混練筒部
21a 出口
21c 配管取り付け口
22 スクリューコンベア
23 骨材供給ホッパ
3 管成形装置
31 マンドレル
31a マンドレル本体
31b 回転軸
4 レジンコンクリート層形成装置
5 ガラス繊維強化層形成装置
6 材料成形機
RC レジンコンクリート材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂液吐出口を有する熱硬化性樹脂液供給配管と、この熱硬化性樹脂液の液状硬化剤を供給する硬化剤吐出口を有する液状硬化剤供給配管と、気体吹き出し口を有する気体供給配管とを備え、
前記気体供給配管は、前記気体吹き出し口が前記樹脂液吐出口より上流側の熱硬化性樹脂液供給配管内に位置するように配管され、
前記液状硬化剤供給配管は、前記硬化剤吐出口が前記気体吹き出し口より上流側の気体供給配管内に位置するように配管されていることを特徴とする熱硬化性混合組成物供給装置。
【請求項2】
熱硬化性樹脂液供給配管の先端部が、先端が閉じた直管状をしていて、この下流側端部の周壁に樹脂液吐出口が穿設されている請求項1に記載の熱硬化性混合組成物供給装置。
【請求項3】
樹脂液吐出口が網状体で覆われている請求項1または請求項2に記載の熱硬化性混合組成物供給装置。
【請求項4】
気体供給配管を介して供給される気体が空気である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の熱硬化性混合組成物供給装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の熱硬化性混合組成物供給装置と、
この熱硬化性混合組成物供給装置の上記樹脂液吐出口から吐出された熱硬化性混合組成物と骨材とを混練する混練装置とを備えることを特徴とするレジンコンクリート材料製造装置。
【請求項6】
上記樹脂液吐出口が網状体で覆われ、混練装置の混練部内に臨むとともに、前記網状体の網目の大きさが骨材の粒径未満である請求項5に記載のレジンコンクリート材料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−18262(P2013−18262A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155496(P2011−155496)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】