説明

熱粘着性ラベル及び該熱粘着性ラベルの熱活性化方法

【課題】支持体の一方の側に、粘着剤層と加熱により溶融する金属又は合金からなる遮蔽層をこの順に設け、更には支持体の他方の側に感熱記録層を設けた熱粘着性ラベルであって、被着体、特にダンボール、塩ビラップやポリエチレンラップ等に対する粘着力が強く、かつタック性がなく、耐ブロッキング性が良好な熱粘着性ラベル及び、該熱粘着性ラベルの熱活性化方法の提供。
【解決手段】(1)支持体の一方の側に、粘着剤層と遮蔽層をこの順に設けた熱粘着性ラベル。
(2)前記遮蔽層がスズを含む(1)に記載の熱粘着性ラベル。
(3)前記遮蔽層上に、少なくとも熱可融性物質とバインダー樹脂からなる保護層を設けた(1)又は(2)に記載の熱粘着性ラベル
(4)支持体の、粘着剤層を有さない側に、感熱記録層を設けた(1)〜(3)の何れかに記載の熱粘着性ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱によって粘着性を発現させる剥離紙不要の熱粘着性ラベル及び該熱粘着性ラベルの熱活性化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、粘着性を有する感熱記録用ラベルはPOS分野を代表として広い分野で使用されており、これらのラベルは通常、粘着剤層の上に剥離紙を貼り付けている。
このようなラベルは有用である反面、多くの欠点を有している。即ち、剥離紙は、ラベルを物品に貼付するときには剥がして廃棄するため資源の無駄である。また巻装体のスペースの無駄でもあり、それゆえコスト高にも繋がる。更にラベルを物品に貼付するとき、剥離紙を剥がす作業は面倒である。
これらの問題点を解決するために、剥離紙を使用しない粘着性を有する感熱記録用ラベルが幾つか提案されている。
例えば特許文献1には、ホットメルト型の粘着剤が提案されているが、ホットメルト型粘着剤は、加熱時は粘着性があるが、冷却すると直ぐに固化するため、ディレード性が短く、サーマルヘッド等の短時間での加熱で通常の感熱ラベルのように使用することは難しい。
【0003】
また、特許文献2〜4等には、粘着剤をマイクロカプセル化したもの、巻装時に保護層を隔離(遮閉乃至シール)するため感熱記録層上に設けられた保護層の上に粘着剤に対する剥離層を設けたもの等、ライナーレスの感熱記録ラベルが提案されている。しかしながら、これらの剥離紙を用いない感熱記録用ラベルは、粘着力が弱いことや、感熱記録層表面に印刷ができない等の不具合があり、実用に至っていない。
また、特許文献5には、機能性の粘着剤として感熱性粘着剤(熱粘着剤)を用いる方法が提案されているが、これは現行の感熱記録用ラベルに比べて特に粘着性が劣る。また、これらの方法で得られる感熱性粘着剤は、紙、PETフィルム等に対する粘着力は比較的良好であるが、食品POS分野で使用される塩ビラップ(PVCラップ)やポリエチレンラップ(PEラップ)等の被着体や物流用途で使用されるダンボールに対しての粘着力が弱く実用レベルに達していない。
【0004】
また、特許文献6〜8等には、感熱記録層を有さない単なる熱粘着性ラベルが開示されている。しかし、これらの熱粘着性ラベルは、逆に熱時の粘着性が強い材料を用いており、そのため巻装保管時においても保管温度によっては粘着性が一部発現し、表裏面がくっついてブロッキングが起きる。
このブロッキングを防止するためには粘着性を制御する必要があり、粘着力と耐ブロッキング性の両立を図るために、粘着剤に適当な樹脂を使用することが提案されているが、未だ粘着力と耐ブロッキング性を完全に両立するには至っておらず、ブロッキングを防ぐと結局粘着性は弱くなり、塩ビラップやポリエチレンラップ、ダンボール等の被着体に対する粘着力と耐ブロッキング性を両立させる熱粘着性ラベルは、単なるラベルでも又感熱記録用ラベルでも未だ開発されていないのが実情である。
また、特許文献9〜10には、粘着力とブロッキング性を両立させる技術として、粘着層上に固体可塑剤層を設けた粘着材料が提案されている。しかし、このラベルは、ダンボールへの粘着が不充分であること、固体可塑剤が経時で結晶化し粘着力が低下すること、シール層の機能が充分でなくブロッキングが起こることなどの問題がある。
【0005】
また、特許文献11には、巻装時のブロッキング防止の目的で、感熱粘着剤層の上に熱により活性化して粘着性を発現する障壁層を設けた感熱記録用ラベルが開示されている。このラベルでは粘着性は感熱粘着剤のため充分強く、更に障壁層自身が熱印加時粘着性を発現するため粘着性は強いが、具体的には常温で固体の可塑剤を含有するため障壁層の機能が充分でなくブロッキングが起こる。そこで耐ブロッキング性を満足させるためには障壁層の厚さを厚くする必要があるが、そうすると、熱印加時の粘着性が不充分となり塩ビラップ、ポリエチレンラップ、ダンボールへの粘着力が不充分となり、耐ブロッキングと粘着力を両立させることが困難となる。更に、障壁層に含まれる固体の可塑剤は、経時で結晶化を起こし、粘着力が低下してくるといった問題がある。特にダンボールへの粘着力の低下が著しい。
また、特許文献12には、固体可塑剤と熱可塑性樹脂からなら感熱性粘着剤層上に熱可塑性樹脂を積層した感熱性粘着シートが開示されている。しかし、このものは、感熱性粘着剤層中に固体可塑剤が含まれている為、ダンボールへの粘着が不充分であることや、固体可塑剤が経時で結晶化し、粘着力が経時で低下する問題がある。
また、特許文献13には、感熱粘着剤層の上にホットメルト樹脂を設けた感熱性粘着シートを、サーマルヘッドに代表される熱媒体と接触させて粘着力を発現させることが開示されているが、熱感度が低く、しかも活性面が一様でないために粘着力にムラがある。
【0006】
【特許文献1】特開2000−96015号公報
【特許文献2】実開昭59−43979号公報
【特許文献3】実開昭59−46265号公報
【特許文献4】特開昭60−54842号公報
【特許文献5】特開昭63−303387号公報
【特許文献6】特開昭63−152686号公報
【特許文献7】特開平6−57226号公報
【特許文献8】特開平6−57233号公報
【特許文献9】特開平8−41431号公報
【特許文献10】特開2001−66991号公報
【特許文献11】特開平9−20079号公報
【特許文献12】特開平11−279495号公報
【特許文献13】特開2006−84607号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記感熱記録用ラベル又は単なる熱粘着性ラベルの現状に鑑み、支持体の一方の側に、粘着剤層と加熱により溶融する金属又は合金からなる遮蔽層(シール層)をこの順に設け、更には支持体の他方の側に感熱記録層を設けたライナーレス熱粘着性ラベルであって、被着体に対する粘着力、特にダンボール、塩ビラップやポリエチレンラップ等に対する粘着力が強く、かつタック性がなく、耐ブロッキング性が良好な熱粘着性ラベル及び、該熱粘着性ラベルの熱活性化方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の(1)〜(6)の発明によって解決される。
(1) 支持体の一方の側に、粘着剤層と加熱により溶融する金属又は合金からなる遮蔽層をこの順に設けたことを特徴とする熱粘着性ラベル。
(2) 前記遮蔽層がスズを含むことを特徴とする(1)に記載の熱粘着性ラベル。
(3) 前記遮蔽層上に、少なくとも熱可融性物質とバインダー樹脂からなる保護層を設けたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の熱粘着性ラベル。
(4) 支持体の、粘着剤層を有さない側に、感熱記録層を設けたことを特徴とする(1)〜(3)の何れかに記載の熱粘着性ラベル。
(5) (1)〜(4)の何れかに記載の熱粘着性ラベルをサーマルヘッドで加熱することを特徴とする熱粘着性ラベルの熱活性化方法。
(6) 感熱記録層に作像した後に粘着剤層を活性化することを特徴とする(5)記載の熱粘着性ラベルの熱活性化方法。
【0009】
以下、上記本発明とその実施の形態について詳しく説明する。
本発明の熱粘着性ラベルは、支持体の一方の側に、粘着剤層と加熱により溶融する金属又は合金からなる遮蔽層をこの順に積層してなるが、該遮蔽層は、下層となる粘着剤層の粘着性の発現を阻止することができるため、常温では表面が非粘着性であり、接触する他の物質への付着が起こらない。一方、加熱時には、該遮蔽層の材料が溶融凝集することにより遮蔽層に穴があいて粘着性が発現し、ダンボール、塩ビラップやポリエチレンラップ等に対する十分な粘着力を発現できる。加えて、保存時には、粘着剤層の粘着性が発現しないため、支持体の、粘着剤層を有さない側に感熱記録層を設けた場合に、該感熱記録層上への印刷が可能である。
本発明における粘着剤層は感熱粘着剤層でも感圧粘着剤層でもよく、加熱により遮蔽層を溶融凝集させた上で、粘着剤層の性質に応じて加熱又は加圧によりラベルを貼り付ければよい。
【0010】
本発明の熱粘着性ラベルにおいて、その粘着剤層の粘着性を発現させる加熱手段は特に限定されず、熱板、熱風、温風、赤外線、加熱ロール、サーマルヘッド、セラミックヒーター、レーザー照射、赤外線ランプなど、公知のものが使用可能である。中でもサーマルヘッドは、装置が小型で消費電力が小さく、オンデマンドで発熱制御でき通電と同時に熱活性を行えるので、エネルギー消費を軽減でき、また効率よく粘着剤層に熱を伝えられるので、熱粘着性ラベルを早い速度で移動させても熱活性化できる等の利点があるため特に有効である。更に、サーマルヘッドの中でも、その発熱部をニアエッジ、コーナーエッジ、端面等に設けたものを用いると、熱活性化された粘着剤層を構成する成分がサーマルヘッドに転移しにくいので有効である。熱粘着性ラベルは、このような加熱手段で粘着剤層を加熱して粘着性を発現させた後、被着体に貼り付けて用いられる。
【0011】
本発明の熱粘着性ラベルは、遮蔽層があるため通常の状態では表面ベタツキが生じず、耐ブロッキング性も改良でき、耐ブロッキング性が強過ぎることもなく、更に感熱記録用の熱粘着性ラベルの場合には、感熱記録層表面に従来のような耐ブロッキングのためのシリコン加工等がないので印刷性にも優れる。
また、本発明の感熱記録層を有する熱粘着性ラベルは剥離紙を必要としない。そして、感熱記録層側を先に加熱することで文字情報等の像を形成し、引き続き粘着剤層を加熱することにより、プリンター内での紙詰まりを起こすことなく、高速で連続したラベル発行を実現することができる。
本発明の粘着剤層の粘着剤としては、この分野で用いられている種々の粘着剤を適宜使用できる。その具体例としては、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル/エチレン共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸エステル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のエマルジョンや、澱粉、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、カルボキシセルロース、メチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0012】
感熱性粘着剤層は、熱可塑性樹脂と熱溶融性物質と粘着付与剤を主成分とし、更に必要に応じて非溶融性物質などのその他の成分を含有する。
熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、常温で粘着性の熱可塑性樹脂、具体的にはガラス転移温度が−30℃以下のものを用いると粘着力が向上するので好ましい。
熱可塑性樹脂の例としては、ビニル系モノマーをグラフト共重合した天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし2種以上を併用してもよい。
熱溶融性物質は、常温では固体であるため樹脂に可塑性は与えないが、加熱により溶融し樹脂を膨潤又は軟化させて粘着性を発現させ、その後、ゆっくりと結晶化するため、熱源を取り除いた後も粘着性を長時間持続させることができるものである。
融点が70℃以上のものが好ましく用いられ、例えば、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシ安息香酸エステル、ホスフィン系化合物等が挙げられる。これらは、体積平均粒子径で10μm以下、好ましくは3μm以下に粉砕して用いることができる。
粘着付与剤は、感熱性粘着剤層の粘着力を向上させるために添加するもので、特に制限はなく公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロジン誘導体(例えば、ロジン、重合ロジン、水添ロジン)、テルペン系樹脂(例えば、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水素添加テルペン樹脂)、石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等が挙げられる。
粘着剤の塗布量は乾燥時基準で5〜35g/mが好ましく、より好ましくは10〜25g/mである。
【0013】
本発明の遮蔽層は、熱により加熱部分が溶融され得る層であり、単体金属やその合金の薄膜からなる。具体的には、Al、Ni、Sn、Zn、Ti、Te、In、Bi、Pb等の金属、又はこれらの合金からなる。なお、熱により容易に溶融しさえすれば、金属の化合物を用いることも可能である。
上記遮蔽層は、真空蒸着法、スパッタ法、メッキ法等によって形成することができる。また、金属箔を貼り合わせて設けることもできる。
遮蔽層の膜厚は1〜1000nm、好ましくは10〜500nmである。遮蔽層が薄すぎると、製造時にボイドができ易くなるために、粘着性樹脂の染み出しが起こり、熱粘着性ラベルを重ねて置いたりロール状に保管した際にブロッキングが起き易くなる。一方、遮蔽層が厚すぎると熱感度が落ち、また溶融した金属が集まって生じた金属塊が被着体との接触を阻害するために、粘着特性が低下するといった問題がある。
【0014】
接触して熱を加える手段を用いた際の搬送不良、あるいは遮蔽層の保護を目的として、熱可融性物質とバインダー樹脂からなる保護層を設けることもできる。
熱可融性物質としては、非加熱状態で活性を付与でき、且つサーマルヘッドの熱で融解し、速やかにバインダー樹脂や粘着剤と融解するものが好ましい。具体的には低分子有機化合物が好ましく、特に脂肪酸亜鉛、脂肪酸アミドといった長鎖アルキル基を有する化合物、カルナウバワックス、ポリオレフィンワックスといったワックス類、置換ホスフィン、リン酸エステル等の有機リン化合物、ベンゾトリアゾール、ヒンダードフェノール等の嵩高い部分を有する化合物等が好ましく用いられる。
バインダー樹脂には特に制限はないが、水溶性樹脂が好ましく、例えば各種ポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴム(SBR)エマルジョン、アクリルエマルジョン等が用いられる。
保護層は、熱可融性物質をサンドミル等によって粉砕した後、バインダーと混合して塗布することにより形成できる。保護層材料の塗布量は乾燥時基準で0.5〜20g/mが好ましく、より好ましくは1〜15g/mである。
【0015】
感熱記録層には、無色又は淡色のロイコ染料と顕色剤を主成分として用いる。
ロイコ染料(発色剤)としては、この種の感熱記録材料に適用されているものが単独で又は2種以上混合して適用される。例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系等の染料のロイコ化合物が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。
このようなロイコ染料の具体例としては、以下に示すようなものが挙げられる。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミンフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−6−クロルフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリド、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロルフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンズフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロルフルオラン、3−(N−p−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−〔N−(3′−トリフルオルメチルフェニル)アミノ〕−6−ジエチルアミノフルオラン、2−〔3,6−ビス(ジエチルアミン)−9−(o−クロルアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタム〕、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリクロロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(o−クロルアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−n−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、6′−クロロ−8′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6′−ブロモ−3′−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−クロルフェニル)フタリド、3−(2′−ヒドロキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−メトキシ−5′−ニトロフェニル)フタリド、3−(2′−メトキシ−4′−ジメチルアミノフェニル)−3−(2′−ヒドロキシ−4′−クロル−5′−メチルフェニル)フタリド、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−7−(N−プロピル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−m−トリフルオロメチルアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−ベンジル−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ピロリジノ−7−(ジ−p−クロルフェニル)メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオランスピロ(9,3′)−6′−ジメチルアミノフタリド、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4′−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−メシチジノ−4′,5′−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソプロピル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2′,4′−ジメチルアニリノ)フルオラン等。
【0016】
また、感熱記録層に用いる顕色剤としては、前記ロイコ染料を熱、溶媒下等で接触させ発色させる電子受容性の種々の化合物、又は酸化剤等が適用される。このようなものは従来公知であり、その具体例としては以下に示すようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
4,4′−イソプロピリデンジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(o−メチルフェノール)、4,4′−s−ブチリデンビスフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、p−ニトロ安息香酸亜鉛、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸、2,2−(3,4′−ジヒドロキシジフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、4−〔β−(p−メトキシフェノキシ)エトキシ〕サリチル酸、1,7−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3,5−ジオキサヘプタン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−5−オキサペンタン、フタル酸モノベンジルエステルモノカルシウム酸、4,4′−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4′−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−t−ブチル−2−メチル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4′−チオビス(6−t−ブチルー2−メチル)フェノール、4,4′−ジフェノールスルホン、4−イソプロポキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4−ベンジロキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジフェノールスルホキシド、p−ヒドロキシ安息香酸イソプロピル、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、プロトカテキュ酸ベンジル、没食子酸ステアリル、没食子酸ラウリル、没食子酸オクチル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニルチオ)−プロパン、N,N′−ジフェニルチオ尿素、N,N′−ジ(m−クロロフェニル)チオ尿素、サリチルアニリド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ベンジル、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミル)ベンゼン、2,4′−ジフェノールスルホン、2,2′−ジアリル−4,4′−ジフェノールスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4′−メチルジフェニルスルホン、1−アセチルオキシ−2−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−1−ナフトエ酸亜鉛、2−アセチルオキシ−3−ナフトエ酸亜鉛、α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−α−メチルトルエン、チオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4′−チオビス(2−メチルフェノール)、4,4′−チオビス(2−クロロフェノール)等。
【0017】
本発明において、感熱記録層で用いる顕色剤は、発色剤1重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部である。これら発色剤、顕色剤はともに単独で又は2種以上混合して使用することができる。
感熱記録層に用いるバインダー樹脂として好ましいのは分子内に水酸基又はカルボキシル基を有する樹脂である。このような樹脂としては、例えばポリビニルブチラール、ポリビニルアセトアセタール等のポリビニルアセタール類、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース誘導体、エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらバインダー樹脂は単独で又は2種以上混合して適用される。
【0018】
感熱記録層には、必要に応じて補助添加成分として熱可融性物質を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
熱可融性物質としては、例えば高級脂肪酸又はそのエステル、アミド、金属塩の他に、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの縮合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン、その他の熱可融性有機化合物等の50〜200℃程度の融点を持つものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
更に、本発明における感熱記録層を得る場合には、必要に応じてこの種の感熱記録層に慣用される添加成分、例えば填料、界面活性剤、滑剤、圧力発色防止剤等を感熱記録層の透明性を損なわない範囲で併用することができる。
填料としては、例えば炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン系樹脂などの有機系の微粉末が挙げられる。
滑剤としては高級脂肪酸及びその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性、植物性、鉱物性又は石油系の各種ワックス類などが挙げられる。
【0019】
感熱記録層は発色剤、顕色剤、バインダー樹脂をともに溶剤中に均一に分散もしくは溶解し、これを上質紙やフィルム等からなる支持体上に塗布、乾燥して作成するが、塗工方式は特に限定されない。感熱記録層塗布液の分散粒径は10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。
感熱記録層の膜厚は感熱記録層の組成や熱粘着性ラベルの用途にもよるが1〜50μm程度、好ましくは3〜20μm程度である。
本発明の感熱記録層の記録方法は、使用目的によって熱ペン、サーマルヘッド、レーザー加熱等の何れでもよく、特に限定されない。
本発明で使用する支持体は特に限定されないが、例えば、紙、布、フィルムの他、透明なものとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、三酢酸セルロース等のセルロース誘導体フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらを貼り合わせた透明フィルム等が一般的である。
【0020】
本発明では感熱記録層上に保護層を設けることもできる。この保護層は感熱記録層の透明性、耐薬品性、耐水性、耐摩擦性、耐光性及びサーマルヘッドに対する耐久性、耐腐蝕性、滑性等のいわゆるヘッドマッチング性の向上に有効である。
この保護層には水溶性樹脂や疎水性樹脂を主体として形成された膜や、紫外線硬化樹脂又は電子線硬化樹脂を主体として形成された膜等が包含される。このような樹脂としては水溶性樹脂の他、水性エマルジョン、疎水性樹脂及び紫外線硬化樹脂、更に電子線硬化樹脂が包含される。
水溶性樹脂の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、セルロース誘導体(メチルセルロース、メトキシセルロース、ヒドロキシセルロース等)、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリルアミド、変性ポリアクリルアミド、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン、ポリビニルアルコール/アクリルアミドブロック共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。
【0021】
水性エマルジョン用の樹脂又は疎水性樹脂としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、メチルセルロース、エチルセルロース、エチレン/酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
また、これらの樹脂とシリコンセグメントとの共重合体も好ましく用いられる。これらは単独で又は混合して使用され、更に必要に応じて硬化剤を添加して樹脂を硬化させてもよい。
紫外線硬化樹脂は、紫外線照射によって重合反応を起こし、硬化して樹脂となるモノマー、オリゴマーあるいはプレポリマーを用いたものであればその種類は特に限定されず、公知の種々のものが使用できる。
電子線硬化型樹脂も特に種類は限定されないが、好ましいのは、ポリエステルを骨格とする5官能以上の分枝状分子構造を有する電子線硬化樹脂及びシリコン変性電子線硬化樹脂を主成分としたものである。
【0022】
感熱記録層の保護層にはヘッドマッチング性向上のために無機及び/又は有機フィラーや滑剤を表面の平滑性を落とさない範囲で添加することができる。フィラーの粒径としては0.3μm以下が好ましい。また、この場合のフィラーとしては好ましくは給油量30ml/100g以上、より好ましくは80ml/100g以上のものが選択される。
これらの無機及び/又は有機フィラーとしては、この種の感熱記録層に慣用される顔料の中から1種又は2種以上を選択することができる。具体例としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機顔料の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂などの有機顔料を挙げることができる。また、滑剤としては感熱記録層の説明で挙げたものが使用できる。
感熱記録層の保護層の塗工方式は特に制限はなく、従来公知の方法を採用できる。
好ましい保護層の厚さは0.1〜20μm、より好ましくは0.5〜10μmである。保護層の厚さが薄すぎると、熱粘着性ラベルの保存性やヘッドマッチング等の保護層としての機能が不充分となり、厚すぎると感熱記録層の熱感度が低下するし、コスト的にも不利である。
【0023】
本発明においては、必要に応じて支持体と粘着剤層との間、及び/又は、支持体と感熱記録層との間に断熱層(アンダー層)が設けられる。
この断熱層を設けることによって、サーマルヘッドの熱エネルギーの効率を向上させ、熱活性化温度を下げることができる。更に、感熱記録層を設けた場合は、粘着剤層の熱活性化時に、該感熱記録層の発色をブロックすることができる。
断熱層の材料としては、微小中空粒子及びバインダーと共に、必要に応じて顔料、この種の感熱記録材料に慣用される補助添加成分、例えば、熱可融性物質、フィラー、界面活性剤等を併用することができる。この場合、熱可融性物質の具体例としては、感熱記録層の説明において述べた熱可融性物質と同様のものが用いられる。
【0024】
微小中空粒子を含有する断熱層に用いる樹脂としては、SBR、MBR、NBR等のラテックス、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、澱粉及びその誘導体、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸及びその誘導体、スチレン/アクリル酸共重合体及びその誘導体、ポリ(メタ)アクリルアミド及びそれらの誘導体、スチレン/アクリル酸/アクリルアミド共重合体、アミノ基変性ポリビニルアルコール、エポキシ変性ポリビニルアルコール、ポリエチレンイミン、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体及びその誘導体等の水溶性高分子樹脂等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末の他、尿素−ホルマリン樹脂、スチレン/メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末が挙げられる。
【0025】
本発明における断熱層としては熱可塑性樹脂を殻とする中空度30%以上のプラスチック球状中空粒子又はポーラスな顔料を用いた非発泡性断熱層と、発泡性フィラーを用いた発泡性断熱層が挙げられるが、好ましくは非発泡性断熱層である。
前記プラスチック球状中空粒子は、内部に空気その他の気体を含有するもので、既に発泡状態になっている微小中空粒子であり、個数平均粒子径が2.0〜20μmのものが好ましく、3〜10μmのものがより好ましい。個数平均粒子径(粒子外径)が2.0μmよりも小さいものは、任意の中空度にするのが難しい等の生産上の問題があって、コストの面で問題があり、逆に20μmより大きいものは、塗布乾燥後の表面の平滑性が低下するため、サーマルヘッドとの密着性が低下し、ドット再現性が悪くなるとともに感度向上効果が低下する。従って、粒子径が前記範囲にあると同時に、バラツキの少ない粒子分布スペクトラムの均一なものが望ましい。
また、前記プラスチック球状中空粒子は中空度が30%以上のものが好ましく、50%以上のものがより好ましい。中空度が30%未満のものは断熱性が不充分なため、サーマルヘッドからの熱エネルギーが支持体を通じて熱粘着性ラベルの外へ放出され、発色感度向上がなされず、また、光照射により光熱変換された熱エネルギーの断熱効果が少なく、感熱粘着剤の活性化効果が劣り、粘着性の発現が弱まる。
なお、ここでいう中空度とは、中空微粒子の全体の体積に対する中空部(内部空隙部)の体積の割合である。
【0026】
前記プラスチック球状中空粒子の殻となる熱可塑性樹脂としては、特に塩化ビニリデンとアクリロニトリルを主体とする共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明の断熱層に用いられる他のポーラスな顔料としては、尿素ホルムアルデヒド樹脂等の有機顔料やシラス土等の無機顔料等があるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
支持体と感熱記録層との間及び/又は支持体と粘着剤層との間に非発泡性断熱層を設けるには、前記プラスチック球状中空粒子を、公知の水溶性高分子、水性高分子エマルジョンなどのバインダーと共に水と分散し、これを支持体表面に塗布し乾燥することによって得られる。この場合、該中空粒子の塗布量は、支持体1m当たり少なくとも1g、好ましくは2〜15g程度であり、またバインダー樹脂の塗布量は、非発泡性断熱層を支持体に強く結合させるような量でよく、通常は該中空粒子とバインダー樹脂との合計量に対して2〜50重量%である。
【0027】
本発明において、前記非発泡性断熱層を形成する際に使用されるバインダーとしては、従来公知の水溶性高分子及び/又は水性高分子エマルジョンから適宜選択される。
その具体例としては、水溶性高分子として、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
また、水性高分子エマルジョンとしては、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体等のラテックスや酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル樹脂、ポリウレタン樹脂等のエマルジョン等が挙げられる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、被着体に対する粘着力、特にダンボールに対する粘着力が強く、かつタック性がなく、耐ブロッキング性が良好な熱粘着性ラベル及び、該熱粘着性ラベルの熱活性化方法を提供できる。
また、熱活性化に用いる装置が小型で消費電力が小さて済むこと、ラベル製造の作業効率に優れることなどの利点がある。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、以下に示す部及び%は、何れも重量基準である。
【0030】
〔実施例1〕
下記組成の混合物を、それぞれ体積平均粒子径が2.0μm以下となるようにサンドミルを用いて分散して(A液)及び(B液)を調整した。
(A液)染料分散液
・3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン…20部
・ポリビニルアルコール10%水溶液(クラレ株式会社、PVA−318)…20部
・水…60部
(B液)顕色剤分散液
・4−ヒドロキシ−4′−イソプロポキシジフェニルスルホン…10部
・ポリビニルアルコール10%水溶液(クラレ株式会社、PVA−318)…25部
・炭酸カルシウム(白石カルシウム株式会社 Tunex E)…15部
・水…50部
次に、上記(A液)と(B液)の重量比が(A液):(B液)=1:8となるように混合攪拌して感熱記録層形成液(C液)を得た。
次に、この(C液)を、乾燥付着量が5g/mとなるように、坪量80g/mの上質紙の表面に塗布乾燥して、感熱記録層を設けた後、更にペック平滑度が600〜700秒になるようにスーパーキャレンダー処理して感熱記録層形成済紙を得た。
次に、この感熱記録層形成済紙の裏面に、綜研化学社製粘着剤E−1054Kを、乾燥付着量が20g/mになるよう塗布乾燥し、粘着剤層を設けた。
最後に、粘着剤層の上に、エドワーズ社製真空蒸着装置により、1×10−3Paで膜厚100nmのスズ薄膜からなる遮蔽層を設け、実施例1の熱粘着性ラベルを得た。
【0031】
〔実施例2〕
スズ薄膜をアルミニウム薄膜に変えた点以外は実施例1と同様にして、実施例2の熱粘着性ラベルを得た。
【0032】
〔実施例3〕
スズ薄膜に代えて、日本スペリア社の鉛フリーソルダリングSN97Cを、膜厚500nmの箔に引き延ばして貼り合わせた点以外は実施例1と同様にして、実施例3の熱粘着性ラベルを得た。
【0033】
〔実施例4〕
<熱可融性物質分散液>
下記組成の液を縦型サンドミルにより分散し、体積平均粒径(メジアン径)1μmの熱可融性物質分散液を得た。
・ポリオレフィンワックス (三井化学製)…30部
・ポリビニルアルコール(日本合成化学工業製、ゴーセランL−3266、
10%水溶液)…15部
・界面活性剤(日本乳化剤製、Newcol 290M、10%水溶液)…2部
・水…53部
<保護層塗布液>
下記材料を混合攪拌して保護層塗布液を調製した。
・上記熱可融性物質分散液…100部
・アクリル酸エステル共重合体水性エマルジョン
〔昭和高分子製、ポリゾールPSA SE−4040、ガラス転移温度(Tg):
−65℃、固形分濃度:55%〕…10部
・粘着付与剤(荒川化学製、テルペンフェノール主成分、E−100、固形分濃度:
50%、軟化点:150℃)…5部
上記保護層調整液を、ワイヤーバーを用いて実施例1の熱粘着性ラベルのスズ薄膜上に乾燥付着量が5g/mとなるように塗布乾燥し、実施例4の熱粘着性ラベルを得た。
【0034】
〔実施例5〕
実施例3の熱可融性物質分散液におけるポリオレフィンワックスをトリフェニルホスフィンに変えた点以外は実施例3と同様にして、実施例5の熱粘着性ラベルを得た。
【0035】
〔比較例1〕
スズ薄膜を設けなかった点以外は実施例1と同様にして作製したものを、比較例1の熱粘着性ラベルとして評価した。
【0036】
〔比較例2〕
スズ薄膜に代えて、オレフィン/アクリル共重合体エマルジョン液(中央理化工業製、リカボンド ET−1000)を、粘着剤層上に乾燥付着量が3g/mとなるように塗布乾燥してホットメルト層を設けた点以外は実施例1と同様にして、比較例2の熱粘着性ラベルを得た。
【0037】
〔比較例3〕
実施例1の粘着剤層を設けたものに対し、スズ薄膜に代えて、実施例3で調製した保護層塗布液を5g/m塗布乾燥して、比較例3の熱粘着性ラベルを得た。
【0038】
〔比較例4〕
オレフィン/アクリル共重合体エマルジョン液を、固体可塑剤を使用したディレードタック糊(レヂテックス社製、DT−200)に代えた点以外は、比較例2と同様にして、比較例4の熱粘着性ラベルを得た。
【0039】
上記実施例及び比較例で得られた熱粘着性ラベルについての評価を行った。評価基準は以下のとおりである。結果を表1に示す。
[タック性]:
熱粘着性ラベルに指で触れ、表面のベトツキを下記の基準で評価した。
◎:タック性がない
△:弱いタック性がある
×:タック性あり
【0040】
[ブロッキング性]:
同一のラベルサンプルの感熱記録層側と粘着剤層側とを接触させ、2kg/cmの圧力、40℃の条件下で24時間保持し、室温で放置した後、サンプルを剥がして、そのときのブロッキング性を下記のようなランクで評価した。
◎:ブロッキング発生なし(剥離音なし)
○:ブロッキング発生なし(剥離音あり)
△:若干ブロッキング発生
×:完全貼り付き
【0041】
[活性面均一性]:
各熱粘着性ラベルを40mm×120mmの長方形にカットし、感熱印字装置(大倉電気株式会社製、TH−PMD)を用いて、ヘッド条件:エネルギー0.50mJ/dot、印字スピード:4ms/line、プラテン圧:6kgf/lineの条件で熱活性化させた。このときのシートの活性化均一性を下記条件で評価した。なお、比較例1は搬送路に貼り付いてしまうため評価から除外した。
◎:活性面が均一。
○:活性面に部分的に横段等が発生する。
△:活性面全面に光沢差が見られる。
×:活性面に引きずり等のムラが発生。
【0042】
[粘着性]:
上記熱活性化済み熱粘着性ラベルを被着体(Cライナーダンボール)に、加圧2kgのゴムローラーで長手方向に貼り付け、1日間保管後に剥離角度180度、剥離速度300mm/minの条件で剥離させた。粘着力の評価基準は次のとおりである。
◎:1000gf/40mm以上
○: 500gf/40mm以上、1000gf/40mm未満
△: 100gf/40mm以上、500gf/40mm未満
×: 100gf/40mm未満
【0043】
【表1】

【0044】
〔実施例6〕
株式会社サトー製プリンタKY408を用いて、実施例1で作製した感熱粘着性ラベルを、感熱記録面を上にして印字(作像)、活性化の順で通したところ、印字面の文字が鮮明に読み取れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体の一方の側に、粘着剤層と加熱により溶融する金属又は合金からなる遮蔽層をこの順に設けたことを特徴とする熱粘着性ラベル。
【請求項2】
前記遮蔽層がスズを含むことを特徴とする請求項1に記載の熱粘着性ラベル。
【請求項3】
前記遮蔽層上に、少なくとも熱可融性物質とバインダー樹脂からなる保護層を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱粘着性ラベル。
【請求項4】
支持体の、粘着剤層を有さない側に、感熱記録層を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の熱粘着性ラベル。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の熱粘着性ラベルをサーマルヘッドで加熱することを特徴とする熱粘着性ラベルの熱活性化方法。
【請求項6】
感熱記録層に作像した後に粘着剤層を活性化することを特徴とする請求項5記載の熱粘着性ラベルの熱活性化方法。

【公開番号】特開2009−37109(P2009−37109A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202816(P2007−202816)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】