説明

熱線遮断性フィルム

【課題】室内に入射する太陽光による入射光の熱線の遮断の方策、特に従来では困難であった800 〜1200nmの近赤外光線の遮断技術や入射光を散乱若しくは回折させて眩しさを回避する技術、あるいは窓ガラスに適当な絵柄を設けて採光率を調整する等の技術を採用して窓ガラスに対する改良を実施することにより、熱線遮断性の光散乱フィルムや絵柄付きの熱線遮断性光散乱フィルムまた絵柄付きの熱線遮断性フィルムを提供する。
【解決手段】透明な基材1面に可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが、熱線遮断層2として積層され、該熱線遮断層2面に指向性ディフューザー層3が積層され、前記基材面又は指向性ディフューザー層面に不透明な無地網状ドットの各ドット片面又は両面に互いに連続した適宜な絵柄を見当ズレなく備えたドット状絵柄層が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近赤外線と遠赤外線と紫外線を効率良く遮断させる熱線遮断性光散乱フィルム及び絵柄付き熱線遮断性光散乱フィルム及び絵柄付き熱線遮断性フィルム等の熱線遮断性フィルムであって、特に可視光線を効率良く透過させるとともに、光の拡散機能を持たせた熱線遮断性フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、窓ガラスを透して建物の室内に入光する太陽エネルギーを遮断して、室内の温度上昇を抑え、冷房機器の負荷を軽減するための熱線遮断ガラスがある。一般的に、従来のものとしてはスプレー法やCVD法あるいは浸漬法などで、酸化チタン、酸化錫などの酸化物薄膜を数百Åの膜厚にて形成したものがある。
【0003】
近年、京都議定書の発効など、地球温暖化防止が注目されてきており、この分野は非常に重要であり、可視光線を効果的に取り込み、且つ熱線としての近赤外線を遮断する材料が求められている。
【0004】
このような熱線を遮断する材料としては、最近ではポリエチレンテレフタレートフィルムなど透明フィルムを用いて、ウエット若しくはドライコーティングにて熱線遮断層を形成する方法が、施工も考慮してコスト面や、ガラスが割れ難く施工できるため、地震による窓ガラスが破損した場合の飛散防止対策の面から、また治安上における空き巣対策として防犯の面からも、ガラスを割れ難くすることが主流になりつつある。
【0005】
また、熱線遮断材料の特性における要求品質は、高透明で熱線遮断性が高いことが望まれているが、透明性を上げると遮断効果が弱くなり、透明性を下げて反射性を大きくすると熱線遮断効果が上がるというトレードオフの関係になっている。
【0006】
現状では熱線遮断材料には、高い次元において透明性と熱線遮断性とを両立しているタイプはなく、従来法での酸化物薄膜による単層膜系熱線遮断フィルムは、一般に可視光線反射率が10〜50%と高く、反射色もあり、自然な色、即ちニュートラル色にて低反射率、且つ70%の可視光線透過率を必要とする自動車や、家屋の窓ガラスに応用するには不適当であった。また、係る酸化チタン、酸化錫などの酸化物薄膜では、耐擦傷性、耐化学的安定性などの耐久性が十分でなかった
また、現状では自動車や家屋の窓ガラスに対して、近赤外領域の800mm〜1200mmの光線を有効且つ容易に遮断する対策がなかった。また、夏場などでは、太陽光の直射日光は、およそ上方斜め45度より室内に射し込むため、眩しく暑いものであるが、太陽光の直射日光を避けながらも、室内に紫外光線や可視光線による明るさを採り入れて、外の景色等を見たいものである。
【0007】
そのために、室内に入射する太陽光の入射光による熱線の遮断、特に従来では困であった800〜1200nmの近赤外光線の遮断や、入射光を散乱若しくは回折させて眩しさを回避すること、そして窓ガラスに適当な絵柄を設けて採光率を調整するとともに装飾性を付与する等のガラス窓などに対する改良が極めて重要である。
【0008】
以下に、本発明に関連する公知の特許文献を記載する。
【特許文献1】特開平7−291680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、室内に入射する太陽光による入射光の熱線の遮断の方策、特に従来では困難であった800〜1200nmの近赤外光線の遮断技術や、入射光を散乱若しくは回折させて眩しさを回避する技術、あるいは窓ガラスに適当な絵柄を設けて採光率を調整する等の技術を採用して、窓ガラスに対する改良を実施することにより、熱線遮断性の光散乱フィルムや絵柄付きの熱線遮断性光散乱フィルム、また絵柄付きの熱線遮断性フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、プラスチック基材若しくはガラス基材面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが熱線遮断層として積層され、該熱線遮断層面に指向性ディフューザー層が積層されていることを特徴とする熱線遮断性フィルムである。
【0011】
本発明の請求項2に係る発明は、プラスチック基材若しくはガラス基材面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は/及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが透明な熱線遮断層として積層され、該熱線遮断層面に指向性ディフューザー層が積層され、前記基材面又は指向性ディフューザー層面に、不透明な無地網状ドットの各ドット片面又は両面に互いに連続した絵柄を見当ズレなく備えたドット状絵柄層が設けられ、各ドット状絵柄層間の部分が透明性を備えることを特徴とする熱線遮断性フィルムである。
【0012】
本発明の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る熱線遮断性フィルムにおいて、前記指向性ディフューザー層の光散乱性が、そのディフューザー層の一方向の斜め45度付近の入射光にて最大となることを特徴とする熱線遮断性フィルムである。
【0013】
本発明の請求項4に係る発明は、プラスチック基材若しくはガラス基材面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は/及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが透明な熱線遮断層として積層され、前記基材面又は熱線遮断層面に、不透明な無地網状ドットの各ドット片面又は両面に互いに連続した絵柄を見当ズレなく備えたドット状絵柄層が設けられ、各ドット状絵柄層間の部分が透明性を備えることを特徴とする熱線遮断性フィルムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱線遮断性フィルムは、太陽光による熱線(又は熱光線)の遮断(遮蔽)を行う熱線遮断(遮蔽)機能や、日照の調整を行う光拡散機能や、広告機能や装飾機能を発揮するフィルムであり、家屋等の建造物や自動車等の車両類の窓ガラスに貼り付けて使用したり、ガラス板の層間に積層して使用したりすることが可能である。
【0015】
例えば本発明の熱線遮断性フィルムは、夏場の暑い時期に窓ガラスに貼ることにより、入射光中の近赤外線が、その熱線遮断性フィルムで吸収されて、熱線が室内まで及ばないため、室内にて涼しく過ごすことができて清涼効果を発揮し、冬場には、暖房機器や室温効果による室内の熱が、その熱線遮断性フィルムで吸収されて窓ガラスが温まるとともに室内の熱が窓ガラスから室外に逃げることが抑制されて保温効果を発揮する。
【0016】
特に本発明の熱線遮断性フィルムは、指向性ディフューザー層(指向性光拡散層)を備えているため、太陽光の直射日光を拡散させて抑制し、日差しを和らげることがてき、日照の調整を行うことができる。特に本発明の光散乱フィルムのディフューザー層として、太陽光の最も強い日差しの入射角度(例えば、他の建物などによって遮られずに家屋内に
入射し易い角度)である上方約45度の入射角度にて散乱性が最大となるディフューザー層を備えることにより、四季を通して太陽光の入射光の日差しや眩しさを回避できる効果があり、日焼け防止効果や冷房エネルギー節減効果がある。なお、前記入射角度である上方約45度の入射角度は、他の建物などによって遮られずに家屋内に入射し易い角度であれば、45度付近など、適宜にその入射角度は設計変更が可能である。
【0017】
また本発明の熱線遮断性フィルムの指向性ディフューザー層として、光回折性のホログラム層を備えることにより、光散乱フィルムを透して室内に入射する太陽光等の光を、例えば窓から室内の天井方向に向けて回折させることができ、四季を通して太陽光の入射光の日差しや眩しさを回避でき、間接照明の効果を持たせる効果がある。
【0018】
また、本発明の熱線遮断性フィルムは、指向性ディフューザー層面に、不透明な無地網状ドットの各ドット片面(表面又は裏面)又は両面に互いに連続した適宜な絵柄を見当ズレなく備えた絵柄層(コントラビジョン層)が設けられ、その各ドット間の部分を透明性としたので、各ドット状絵柄層間の透明部分からフィルムを透して採光でき、その不透明な各ドット絵柄層(丸形、四角等の多角形など)の一つずつの大きさを全て又は部分的に変更してドットの開口率を調整することにより、そのフィルムの透光率を調整することができる。そのため室内への入射光の日差しや眩しさを調整できるとともに、ドットの片面又は/両面に施した絵柄により、室内又は/及び室外に向かって壁紙等の適宜な絵柄を表示させて装飾性や広告効果を醸し出すことができ、室外に対しては室内を見え難くする簾などのような難視認機能も持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の熱線遮断性フィルムを実施の形態に基づいて以下に詳細に説明すれば、請求項1に係る熱線遮断性フィルムは、図1に示すように、プラスチック基材若しくはガラス基材1面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は/及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を混合したフィルムが、透明又は半透明又は不透明な熱線遮断層2としてフィルム状にコーティング又はラミネーションにより積層され、該フィルム、所謂、熱線遮断層2面には、指向性ディフューザー層3が積層されている。
【0020】
本発明の請求項2に係る熱線遮断性フィルムは、図2、図3に示すように、プラスチック基材若しくはガラス基材1面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は/及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤を混合したフィルムが、透明又は半透明又は不透明な熱線遮断層2として、フィルム状にコーティング又はラミネーションにより積層され、該フィルム、所謂、熱線遮断層2面(図2参照)には、指向性ディフューザー層3が積層されている。
【0021】
そして、図2、図3に示すように、前記指向性ディフューザー層3面又は基材1面には不透明なドット状絵柄層4が、印刷方式やリソグラフィ方式等によりパターン形成されている。
【0022】
図2、図3に示すように、前記ドット状絵柄層4は、多数の無地網状の不透明なドット4a(隠蔽性ドット)と、その各々ドット4aの片面(表面又は裏面)又は両面(表裏面)に、互いに連続した適宜な絵柄をドット4aに対して見当ズレなく備えた絵柄層4b(コントラビジョン層)とからなる二層建て、三階建て、又は多層建てであり、ドット状絵柄層4の互いに隣り合う各々のドット間は、透明な基材1と熱線遮断層2とによる透明性と指向性ディフューザー層3による散乱性を備えた透光部となっている。
【0023】
なお上記熱線遮断性フィルムにおいて、図2に示すように、指向性ディフューザー層3の表面にドット状絵柄層4を備え、且つ該ドット状絵柄層4が不透明な各々ドット4aの
片面に絵柄層4bを備える場合には、指向性ディフューザー層3面に不透明なドット4aを配置して、そのドット4a上に絵柄層4b群を備えることにより、指向性ディフューザー層3側からドット状絵柄層4の絵柄層4b群による絵柄が観察されるようにすることが望ましい。また、図3に示すように、基材1面にドット状絵柄層4を備え、且つ該ドット状絵柄層4が不透明な各々ドット4aの片面に絵柄層4bを備える場合には、基材1面に不透明なドット4aを配置し、そのドット4a上に絵柄層4bを備えるようにすることにより、基材1側から絵柄層4b群による絵柄が観察されるようにすることが望ましい。
【0024】
本発明の請求項3に係る熱線遮断性フィルムは、図4、図5に示すように、プラスチック基材若しくはガラス基材1面に、透明な熱線遮断層2がフィルム状にコーティング又はラミネーションにより積層され、該熱線遮断層2面又は基材1面には、不透明なドット状絵柄層4が、印刷方式やリソグラフィ方式等によりパターン形成されている。
【0025】
そして図4、図5に示すように、各ドット4aの片面(表面)又は両面(表裏面)には、互いに連続した適宜な絵柄を見当ズレなく備えたドット状絵柄層4b(コントラビジョン層)が設けられていて、ドット4aと絵柄とによる二層建て又は三層建ての隣り合う各々ドット状絵柄層4bの間の部分が、透明な基材1と熱線遮断層2による透明性を備え、透光部となっている。またドットの大きさ(ドット面積率)やドット開口率(非ドット面積率)を調整することにより入射光線の透過率を変更するものである。
【0026】
なお、図4、図5に示す熱線遮断性フィルムにおいは、前記ドット状絵柄層4が、不透明な各々ドット4aの片面に絵柄層4bを備える場合、基材1に対してドット4aは絵柄層4bよりも遠い側(図4参照)、近い側のいずれにあってもよい。
【0027】
本発明の熱線遮断性フィルムの前記熱線遮断層2は、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合した熱線遮断樹脂液を、プラスチック基材若しくはガラス基材1面にコーティング加工して積層したもの、又はフィルム状にした後にラミネート加工したものである。
【0028】
前記熱線遮断層2に混合する可視光を透過する透明な合成樹脂としては、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、フッ素樹脂、ゴム等がある。
【0029】
前記熱線遮断層2に混合する赤外線吸収剤としては、金属酸化物半導体が赤外線吸収効果があるが、具体的には、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫等があるが、可視光線領域における透明性から、特に錫ドープ酸化インジウムが好ましい。また近赤外線吸収剤としては、ポリメチン系色素、アミニウム系色素、イミニウム系色素等がある。
【0030】
前記熱線遮断層2に混合する紫外線吸収剤としては、ポリメチレン系色素、アミニウム系色素、イミニウム系色素等がある。具体的な紫外線吸収剤の化合物には、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、クマリン系等の紫外線吸収剤がある。
【0031】
前記熱線遮断層2は、これら金属酸化物半導体である赤外線吸収剤や近赤外線吸収剤や紫外線吸収剤と、可視光に対して透明な合成樹脂(透明樹脂バインダー)とを均一に混合してフィルム状に成形したものである。
【0032】
そのため可視光に対して透明な前記合成樹脂がフィルム基材となって、金属酸化物半導体である赤外線吸収剤が遠赤外を含む赤外線を吸収し、近赤外線吸収剤が近赤外線を吸収し、紫外線吸収剤が紫外線を吸収して、太陽光線のうち可視光線(約400nm〜約80
0nm)のみが透過し、赤外線、紫外線が殆ど遮断(遮蔽)されてしまうため、赤外線としての熱線(又は熱光線)を遮断する熱線遮断層となる。
【0033】
本発明の熱線遮断性フィルムの前記指向性ディフューザー層3には、例えば、その熱線遮断性フィルム(指向性ディフューザー層3)の表面に対して一方向の斜め45度付近の入射光にて、その光散乱性が最大となる指向性散乱機能を備えた屈折率の異なる透過性材料(樹脂材料)を、透明フィルムやシートに、多数の微細な円形又は多角形の柱状ドットパターン(偏平柱状ドットパターン)や多数の微細な縞模様状パターン等のスペックルパータン状に配列してパターン形成した光指向散乱性の光透過性シートやフィルムが使用される。また光回折機能と指向性拡散機能を備えたホログラムパターンをスペックルパータンとして配列してパターン形成した光指向散乱性の光透過性シートやフィルムを使用することも可能である。
【0034】
そして、前記指向性ディフューザー層3として使用する光指向散乱性の光透過性シートやフィルムとしては、本発明の熱線遮断性フィルムを垂直縦方向に設けられた窓部などに配置して使用(窓ガラス本体として使用したり、また窓ガラス本体に被覆したり貼着したりして使用)する場合には、垂直に配置される指向性ディフューザー層3に対して一方向上方の斜め45度付近の入射光にて、その光散乱性が最大となる光指向散乱性の光透過性シートやフィルムを使用することが、太陽光線による強い入射光の入射角度に対応するためには、及び太陽光の家屋内への入射を考慮した場合には適当である。
【0035】
本発明の熱線遮断性フィルムに使用される前記指向性ディフューザー層3としては、入射光線に対する散乱機能とともにブラインド機能を備えるものであり、例えば全体が、該ディフューザー層3の層厚の方向に屈折率の異なる数μmの微細な柱状体(偏平柱状体)がスペックルパータン状に立設するスペックルパータン状柱状体層(偏平柱状体層)が海島構造をなしている層状フィルムである光指向散乱性光透過性シートが使用される。
【0036】
本発明の熱線遮断性フィルムにおける前記指向性ディフューザー層3による入射光線の指向性散乱状態について説明すれば、その指向性ディフューザー層3の屈折率の異なる微細な各々柱状体層の領域において、各々柱状体層に、その各々柱状体層の境界面に平行な方向(指向性ディフューザー層3及び各々柱状体層に対して垂直な方向)に光が入射すると、その各々柱状体層をミクロ的に見た場合には、入射光は、微細な各々柱状体層を直進して透過する。そのために、各々柱状体層を指向性ディフューザー層3として総体的にマクロ的に見た場合には、その入射光は、指向性ディフューザー層3を散乱(拡散)せずにそのまま透過する。
【0037】
一方、前記指向性ディフューザー層3の屈折率の異なる微細な各々柱状体層の領域において、各々柱状体層に、その各々柱状体層の境界面に対して一方向の斜め方向(指向性ディフューザー層3及び各々柱状体層に対して斜め方向、例えば入射角45度)から光が入射すると、その各々柱状体層をミクロ的に見た場合には、入射光は、ミクロ的に微細な各々柱状体層を屈折して進入し、各々柱状体層の境界面に入射して屈折する。そのため、各々柱状体層を全体として指向性ディフューザー層3としてマクロ的に見た場合には、その入射光は、指向性ディフューザー層3を散乱(拡散)して透過する。
【0038】
図1に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項1)、及び図2、図3に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項2)は、入射する光線のうち、可視光線(400nm〜800nm)を透過し、近赤外線又は/及び赤外線による熱線(熱光線)と、紫外線とを熱線遮断層2によって遮断(遮蔽)するとともに、指向性ディフューザー層3によって、所定の角度方向(例えば入射角度45度)から熱線遮断性フィルムに入射する光線を特に高い散乱性を以て散乱させるものである。
【0039】
また図2に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項2)は、指向性ディフューザー層3面にドット状絵柄層4を備えていて、透明な基材1側から観察した場合には、透明な基材1を透してドット状絵柄層4の不透明なドット4a群が観察され、指向性ディフューザー層3側から観察した場合には、該層の表面に形成されているドット状絵柄層4の各ドット4a表面に形成されている絵柄層4b群による印刷柄や印刷画像、彩色、文字、記号等の装飾絵柄、広告、宣伝、アピール情報等の連続的な絵柄が観察される。またドットの大きさ(ドット面積率)やドット開口率(非ドット面積率、例えば30〜70%程度に制御)を、必要に応じて調整して形成することにより熱線遮断性フィルムの光線透過率(入射光線透過率)を変更することができるものである。
【0040】
また図3に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項2)は、透明な基材1面にドット状絵柄層4を備えていて、透明な基材1側から観察した場合には、基材1面に形成されたドット状絵柄層4の不透明なドット4aの表面に形成されている絵柄層4b群による印刷柄や印刷画像、彩色、文字、記号等の装飾絵柄、広告、宣伝、アピール情報等の連続的な絵柄が観察される。またドットの大きさ(ドット面積率)やドット開口率(非ドット面積率、例えば30〜70%程度に制御)を、必要に応じて調整して形成することにより熱線遮断性フィルムの光線透過率(入射光線透過率)を変更することができるものである。
【0041】
図4、図5に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項3)は、入射する光線のうち、可視光線(400nm〜800nm)を透過し、近赤外線又は/及び赤外線による熱線(又は熱光線)と、紫外線とを熱線遮断層2によって遮断(遮蔽)するものである。
【0042】
また、図4に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項3)は、熱線遮断層2面にドット状絵柄層4を備え、透明な基材1側から観察した場合には、透明な基材1を透して不透明なドット4a群が観察され、熱線遮断層2側から観察した場合は、該熱線遮断層2面に形成されたドット状絵柄層4の各ドット4aの表面に形成された絵柄層4b群による印刷柄や印刷画像、彩色、文字、記号等の装飾絵柄、広告、宣伝、アピール情報等の連続的な絵柄が観察されるものである。
【0043】
また、図5に示す本発明の熱線遮断性フィルム(請求項3)は、基材1面にドット状絵柄層4を備え、透明な基材1側から観察した場合には、基材1面に形成されたドット状絵柄層4の各ドット4aの表面に形成された絵柄層4b群による印刷柄や印刷画像、彩色、文字、記号等の装飾絵柄、広告、宣伝、アピール情報等の連続的な絵柄が観察され、熱線遮断層2側から観察した場合には、透明な基材1を透して、該基材1面に形成されたドット状絵柄層4の各ドット4aが観察されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の請求項1に係る熱線遮断性フィルムの側断面図。
【図2】本発明の請求項2に係る熱線遮断性フィルムの一例の側断面図。
【図3】本発明の請求項2に係る熱線遮断性フィルムの他の例の側断面図。
【図4】本発明の請求項3に係る熱線遮断性フィルムの一例の側断面図。
【図5】本発明の請求項3に係る熱線遮断性フィルムの他の例の側断面図。
【符号の説明】
【0045】
1…透明基材
2…熱線遮断層
3…指向性ディフューザー層
4…ドット状絵柄層
4a…不透明(隠蔽性)ドット
4b…絵柄層
O 、LS …入射光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック基材若しくはガラス基材面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが熱線遮断層として積層され、該熱線遮断層面に指向性ディフューザー層が積層されていることを特徴とする熱線遮断性フィルム。
【請求項2】
プラスチック基材若しくはガラス基材面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は/及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが透明な熱線遮断層として積層され、該熱線遮断層面に指向性ディフューザー層が積層され、前記基材面又は指向性ディフューザー層面に、不透明な無地網状ドットの各ドット片面又は両面に互いに連続した絵柄を見当ズレなく備えたドット状絵柄層が設けられ、各ドット状絵柄層間の部分が透明性を備えることを特徴とする熱線遮断性フィルム。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれか1項記載の熱線遮断性フィルムにおいて、前記指向性ディフューザー層の光散乱性が、そのディフューザー層の一方向の斜め45度付近の入射光にて最大となることを特徴とする熱線遮断性フィルム。
【請求項4】
プラスチック基材若しくはガラス基材面に、可視光に対して透明な合成樹脂に近赤外線吸収剤又は/及び赤外線吸収剤と紫外線吸収剤とを均一に混合したフィルムが透明な熱線遮断層として積層され、前記基材面又は熱線遮断層面に、不透明な無地網状ドットの各ドット片面又は両面に互いに連続した絵柄を見当ズレなく備えたドット状絵柄層が設けられ、各ドット状絵柄層間の部分が透明性を備えることを特徴とする熱線遮断性フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−281906(P2008−281906A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127744(P2007−127744)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】