説明

熱転写プリンタ

【課題】片持ち支持の印字ユニットをスライド・移動させる際の印字ユニットの傾いた姿勢を矯正して位置決めすることができ、これによりプラテン圧が均一にかかり、インクリボンへのシワ発生、これに伴う印字カスレや印字不能という問題点を解消する。
【解決手段】リボン供給部5、印字ヘッド22およびリボン巻取部6等は、プラテンローラ16に圧接する印字位置P1とこの印字位置P1から離間した非印字位置P2との間で、ガイド板44の搬送面44aに対してほぼ平行な状態で移動可能な印字ユニット29を構成している。装置本体2側には、片持ち状態で印字位置P1に向けて印字ユニット29を移動させる際の印字ユニット29の傾いた姿勢を矯正して位置決めするための、印字ユニット29の一部と係合可能な位置決めコロ57が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱転写プリンタに関し、さらに詳しくは印字用紙をプラテンローラとサーマルヘッド(以下、「印字ヘッド」という)との間にセットする際に、プラテンローラに対して接離自在な印字ヘッドの傾きを矯正して操作性が向上する熱転写プリンタのヘッド接離機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、印字用紙がロール状に巻かれたロール紙から印字用紙を繰り出し可能に支持する供給軸等を備えた用紙供給部と、後述のリボン供給部から供給されるインクリボンのインクを用紙供給部から繰り出された印字用紙に転写する印字ヘッドおよびプラテンローラ等を備えた印字部と、インクリボンを保持すると共に、インクリボンを繰り出し印字部に供給するリボン供給部と、印字部で印字用紙に転写したインクリボンを巻き取るリボン巻取部とを有する熱転写プリンタが知られている(例えば、特許文献1ないし4参照)。
【0003】
上述のような熱転写プリンタにおいて、印字用紙をプラテンローラと印字ヘッドとの間にセットする際に、通常、印字ヘッド(サーマルヘッド)の一端部を支点として揺動可能に構成することにより、いわゆる鰐口・クラムシエル方式でその印字ヘッドをプラテンローラに対して接離自在とし、印字ヘッドをプラテンローラから一時的に離してセットするようになっている(例えば、特許文献2および3参照)。
このようなヘッド接離機構を有する熱転写プリンタにおいて、印字用紙のセット操作性および作業性等を改善するため、印字ヘッド等を一体化した印字ユニットとして構成し、プラテンローラに対して大きくスライドさせてプラテンローラに平行に圧接するよう接離構成したものが試されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−224933号公報
【特許文献2】特開2001−130118号公報
【特許文献3】特開2003−276267号公報
【特許文献4】特開2004−160981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の接離機構を実用化する場合、リボン供給部やリボン巻取部があることからのレイアウト的な制約や、接離機構を可能な限り簡素化するために、また印字ユニットをスライドさせる際の操作性を考慮すると、印字ユニットを片持ち支持でスライドさせる必要がある。
このような片持ち支持の印字ユニットを、ユーザがスライド操作してその印字ヘッドをプラテンローラに圧接させる際、片持ち支持のため印字ユニットが傾いてしまうことにより、プラテンローラに対する印字ヘッドの位置決めができなくなり、プラテンローラに対する印字ヘッドの平行な状態での正確な圧接ができないことがあった。このようなプラテンローラと印字ヘッドとの不正確な圧接状態、すなわち印字ユニットがプラテンローラに対して片当たりし、これによりプラテン圧が不均一にかかる状態となってしまい、インクリボンにシワが発生したり、この状態で印字ヘッドの発熱素子を発熱駆動させて熱転写印字を行うと、印字カスレや印字不能という問題になってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであって、リボン供給部、印字ヘッドおよびリボン巻取部のうちの少なくとも印字ヘッドを、プラテンローラ等の搬送面に対してほぼ平行な状態でスライド・移動可能な片持ち支持の印字ユニットで構成して、印字ユニットをスライド・移動させる際の印字ユニットの傾いた姿勢を矯正して位置決めすることができ、これによりプラテン圧が均一にかかり、インクリボンへのシワ発生、これに伴う印字カスレや印字不能という問題点を解消できる印字ユニットスライド接離機構を備えた熱転写プリンタを提供することを主な目的とする。その他、後述の利点・効果を奏することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すると共に上記目的を達成するために、請求項ごとの発明では次のような特徴的な手段・構成を採っている。
請求項1記載の発明は、被印字媒体を搬送する少なくとも1つの搬送部材と、該搬送部材に被印字媒体を案内するための搬送面を備えたガイド部材と、インクリボンを供給するリボン供給部と、前記搬送部材により搬送されてくる被印字媒体に、前記リボン供給部から供給されてくるインクリボンを重ね挟持してそのインクを被印字媒体に感熱的に転写して印字する印字手段と、転写後のインクリボンを巻き取るリボン巻取部とを具備する熱転写プリンタにおいて、前記リボン供給部、前記印字手段および前記リボン巻取部のうちの少なくとも前記印字手段は、前記搬送部材に圧接する印字位置とこの印字位置から離間した非印字位置との間で、前記搬送面に対してほぼ平行な状態で移動可能な印字ユニットを構成していることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱転写プリンタにおいて、前記印字ユニットは、前記印字位置と前記非印字位置との間に手動の操作力で移動させる手動操作部と、該手動操作部と反対側に形成された被案内部とを有し、装置本体側には、前記被案内部と係合して、前記印字ユニットを前記印字位置と前記非印字位置との間に案内する案内部材と、前記被案内部側を支点として片持ち状態で前記印字位置に向けて前記印字ユニットを移動させる際の該印字ユニットの傾いた姿勢を矯正して位置決めするための、前記印字ユニットの一部と係合可能な位置決め部材とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の熱転写プリンタにおいて、前記位置決め部材は、前記印字ユニットの一部と係合して転動可能な回転部材であることを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の熱転写プリンタにおいて、装置本体側には、前記ガイド部材の前記搬送面に対して開閉自在な開閉部材が設けられており、前記印字ユニットは、前記印字位置への移動に連動して開放状態の前記開閉部材を前記搬送面に対して閉じることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の熱転写プリンタにおいて、前記ガイド部材またはこの近傍には、印字用紙の搬送方向下流側に配設された第1の搬送部材と、前記搬送方向上流側に配設され駆動回転部材および従動回転部材を備えた第2の搬送部材とが前記搬送面に沿って設けられており、前記開閉部材には、前記従動回転部材が回転自在に支持されていることを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の熱転写プリンタにおいて、前記ガイド部材には、被印字媒体の先端を検知するための検知手段を構成する発光部および受光部の何れか一方が配置され、前記開閉部材には、前記検知手段を構成する前記発光部および前記受光部の何れか他方が配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の熱転写プリンタにおいて、前記ガイド部材には、被印字媒体の先端を検知するための検知手段を構成する発光部および受光部の何れか一方が配置され、前記開閉部材には、前記検知手段を構成する前記発光部および前記受光部の何れか他方が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上述したような従来技術の有する問題点を解決して新規な熱転写プリンタを提供することができる。すなわち、本発明によれば、リボン供給部、印字手段およびリボン巻取部は、搬送部材(例えばプラテンローラ)に圧接する印字位置とこの印字位置から離間した非印字位置との間で、ガイド部材の搬送面に対してほぼ平行な状態で移動可能な印字ユニットを構成していることにより、被印字媒体のセット操作性および作業性等が向上すると共に、印字手段が搬送部材(例えばプラテンローラ)に対して片当たりすること無く搬送部材の圧(プラテン圧)が均一にかかるようになるので、インクリボンへのシワ発生、これに伴う印字カスレや印字不能を未然に防止できる。
【0015】
また、本発明によれば、被案内部側を支点として片持ち状態で印字位置に向けて印字ユニットを移動させる際の印字ユニットの傾いた姿勢を矯正して位置決めするための、印字ユニットの一部と係合可能な位置決め部材が設けられていることにより、印字ユニットの傾いた姿勢が矯正されて位置決めされるので、前記効果が顕著となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、「実施形態」という)を説明する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。公開特許公報等の構成要素を引用して説明する場合は、その符号に括弧を付して示し、各実施形態等のそれと区別するものとする。
【0017】
図1ないし図9を参照して、本発明の熱転写プリンタに係る一実施形態を説明する。まず、主として図1を参照して、本発明の一実施形態である熱転写プリンタ1の全体構成および動作を説明する。図1において、符号2は、熱転写プリンタ1の筐体状の骨組みをなす装置本体を示す。この熱転写プリンタ1は、具体的には例えばラベルプリンタやバーコードプリンタとして使用される。
【0018】
熱転写プリンタ1には、図1の紙面手前側およびその上方を覆うための、装置本体2に対して跳ね上げ式に開閉する図示しないカバーが設けられている。図1は、前記カバーを取り外した装置本体2の内部構成を示している。
熱転写プリンタ1は、装置本体2内に配設された、用紙供給部3と、印字部4と、リボン供給部5と、リボン巻取部6と、ダンパ機構部10とから主に構成されている。
本実施形態では、後で詳述する構成要素、すなわちプラテンローラ16を除く印字部4の印字ヘッド22、リボン供給部5、リボン巻取部6、第1リボンガイドローラ18、リボン剥離プレート19、第2リボンガイドローラ20およびユニット側板45等がリボン・印字ヘッドユニット29を構成していることが1つの特徴となっている。
【0019】
用紙供給部3には、被印字媒体の一例としての印字用紙7が芯管8aにロール状に巻かれて形成されたロール状被印字媒体の一例としてのロール紙8を繰り出し方向Xと直交する印字用紙7の幅方向Y(以下、「用紙幅方向Y」という。図2参照)に中央基準(センター基準)で位置決め・規制すると共に、ロール紙8から印字用紙7を繰り出し可能に保持するための保持手段としてのロールホルダ9が配設されている。ロール紙8に巻かれている印字用紙7の繰り出し方向X(以下、「用紙搬送方向X」というときがある)には、例えばバーコード等が印字されるラベル(図示せず)がほぼ等間隔で貼り付けられている。
【0020】
ロールホルダ9は、ロール紙8から印字用紙7を繰り出し可能に支持する支持部材としてのステー31と、用紙幅方向Yにステー31に摺動可能に支持され、ロール紙8における紙面手前側および奥側の各端面8bに当接して印字用紙7を用紙幅方向Yにセンター基準で位置決め・規制する一対の位置決め部材としてのロールガイド32,33と、一対のロールガイド32,33を用紙幅方向Yの中央を基準として互いに等しい距離だけ近接・離反する方向に移動する図示しない連動移動手段(例えばラックアンドピニオン機構でなる)とから主に構成されている。
【0021】
ロールホルダ9は、図1におけるステー31の紙面奥側が装置本体2に取り付け・固定されていて、紙面手前側が自由端として構成された片持ち支持となっている。同図において、符号34は、ロールガイド32,33を用紙幅方向Yおよび上下方向に摩擦力を同時的に与えて固定・ロックするための板バネ製のカムを固定したカム軸を、符号35は、カム軸34を回動操作することによりロールガイド32,33を用紙幅方向Yの任意の位置に無段階で、かつ、上下方向にも同時にロックするための操作レバーを、それぞれ示す。
【0022】
ステー31の図において左右両側には、リブ状をなす多数の摩擦抵抗付与部31aが形成されている。この摩擦抵抗付与部31aにより、ステー31に回転可能に支持されているロール紙8の芯管8aに適度の摩擦力(摩擦抵抗)が与えられることで、ロール紙8が自然に回転して印字用紙7を繰り出さないようになっていると共に、印字用紙7の安定的な搬送が行われるようになっている。
【0023】
本実施形態のロールホルダ9では、印字用紙7に貼り付けられている前記ラベルや被印字面がロール紙の内側に位置して巻かれて形成されている図1に示す内巻き用のロール紙8と、印字用紙に貼り付けられているラベルや被印字面がロール紙の外側に位置して巻かれて形成されている外巻き用のロール紙(図示せず)との双方から印字用紙を繰り出し可能に保持するようになっている。
なお、ロールホルダ9に対するロール紙8の着脱・交換時等には、紙面手前側のロールガイド32を紙面手前側に倒して着脱操作するようになっている。
図2、図7ないし図9において、符号2a,2bは、装置本体2に一体的に固設された本体側板を示す。
【0024】
印字部4は、用紙供給部3の図において左方に配置されている。印字部4は、ロール紙8から搬送されてきた印字用紙7に、リボン供給部5から供給されるインクリボン17を重ねてインクリボン17のインクを感熱的に転写する多数の発熱素子を備えた印字手段としての印字ヘッド22と、印字ヘッド22に対してインクリボン17と印字用紙7とを挟んで下方側から押し付けながらプラテン圧を付与し、印字用紙7を下流側に搬送する第1の搬送部材としてのプラテンローラ16とを有する。印字ヘッド22は、後述の特有の構成を備えた印字ユニットスライド接離機構を介して、プラテンローラ16に対して接離自在に構成されている。
プラテンローラ16は、本体側板2a,2b間に図中矢印方向に回転可能に支持されている。プラテンローラ16は、駆動手段としてのステッピングモータ23とギヤ等の駆動力伝達手段を介して連結されていて、印字用紙7を搬送する方向である反時計回りに回転駆動される。
【0025】
次に、図1および図2を参照して、用紙供給部3と印字部4との間の印字用紙7の搬送経路30に配置されている印字用紙搬送系について説明する。
印字用紙7の搬送経路30には、その上流側から下流側へと順に、緩衝手段としてのダンパ機構部10と、フィードローラ14と、これに圧接するピンチローラ15と、分離型の透過型センサ27と、同じく分離型の中央透過型センサ28と、プラテンローラ16が配設されている。
両図において、符号44は、第1の搬送部材であるプラテンローラ16と、第1の搬送部材であるフィードローラ14およびピンチローラ15とによって搬送される印字用紙7を案内するための搬送面44aを備えたガイド部材としてのガイド板を示す。ガイド板44は、本体側板2a,2b間に橋渡されて固定されている。
【0026】
ダンパ機構部10は、装置本体2側に形成された案内溝12の範囲内で変位可能なダンパ可動軸11およびこれに回動可能に設けられたローラ11aと、装置本体2側に固定されたダンパ固定軸13およびこれに回動可能に設けられたローラ13aと、単一のバネ等が配設された特徴的な機構部とを有する。
【0027】
特に、このダンパ機構部10は、内巻きロール紙8と図示しない外巻きロール紙との双方からの印字用紙7の搬送時において、各ロール紙8の重量が大きい(重い)場合に、そのロール紙8の回転起動時の慣性負荷の影響で、プラテンローラ16と印字ヘッド22との間での各印字用紙7の搬送距離が短くなってしまうときがあるため、その慣性負荷を軽減するために設けられている。ダンパ機構部10の特徴的な構成は、本明細書での開示範囲を超えるため、これ以上の説明を省略する。
【0028】
フィードローラ14は、図1および図2に示すように、本体側板2a,2b間に回転自在に支持されている。フィードローラ14は、後述するステッピングモータ23と、ギヤや歯付きの無端ベルトおよび歯付きのプーリ等の駆動力伝達手段を介して連結されていて、印字用紙7を搬送する方向に回転駆動される第2の搬送部材および駆動回転部材としての機能を有する駆動ローラである。
ピンチローラ15は、フィードローラ14の回転に従動する第2の搬送部材および従動回転部材としての従動ローラである。ピンチローラ15は、ガイド板44に対して開閉自在に設けられた後述のカバー36に回転自在に取り付けられていて、透過型センサ27の受光部27bおよび中央透過型センサ28の受光部28bと共に一体化されたカバーユニット26を構成している。
【0029】
カバー36は、ガイド板44と共に、フィードローラ14およびピンチローラ15とプラテンローラ16との間に適切な隙間を作って印字用紙7の搬送経路を形成している。カバー36は、図2に示すように、紙面奥側に設けられたヒンジ部(図示せず)を支点として紙面手前側が開口・開放されるようになっている。前記ヒンジ部には、図示しないねじりコイルバネが装着されていて、これによりカバーユニット26は常に開放する向きに揺動・付勢されている。
【0030】
図2において、符号36aは、カバー36に植設された被ラッチピンを、符号36bは、カバー36に植設された位置決めピンを、符号38は、被ラッチピン36aと係合することによりカバーユニット26を閉じ位置に保持するラッチレバーを、符号39は、ラッチレバー38による被ラッチピン36aの保持状態を解除する解除レバーを、それぞれ示す。従って、解除レバー39を操作することで、カバーユニット26が前記ねじりコイルバネの付勢力によって開放させることができ、カバーユニット26の紙面手前側の上面部を下方に向けて押すと、被ラッチピン36aが前記ねじりコイルバネの付勢力に抗してラッチレバー38に弾撥的に係合することでラッチ・保持される。
【0031】
透過型センサ27は、ガイド板44に取り付けられ発光素子を備えた発光部27aと、カバー36に取り付けられ受光素子を備えた受光部27bとから構成される。カバー36が図1に示すようにガイド板44に閉じられているときに、受光部27bが発光部27aに対向して、搬送されてくる印字用紙7の先端位置を検知する検知手段としての機能を有する。
中央透過型センサ28は、透過型センサ27と同様に、ガイド板44に取り付けられ発光素子を備えた発光部28aと、カバー36に取り付けられ受光素子を備えた受光部28bとから構成される。カバー36が図1に示すようにガイド板44に閉じられているときに、受光部28bが発光部28aに対向して、搬送されてくる印字用紙7の先端位置を検知する検知手段としての機能を有する。
【0032】
ここで、印字用紙7の搬送系のフィードローラ14、ピンチローラ15、プラテンローラ16、カバーユニット26周りの背景技術について、補足する。
従来の熱転写プリンタにおいては、大半が搬送部材としてプラテンローラのみを有するものであったが、最近ではプラテンローラの他に、第2の搬送部材としてのフィードローラおよびピンチローラを有するものもある。本実施形態を含め、フィードローラおよびピンチローラを有する搬送系にあっては、印字用紙の巻き戻しなどが可能となるため、一般的に印字用紙の比較的高級な搬送制御が可能となる利点がある。
【0033】
しかしながら、従来の熱転写プリンタでは、印字用紙におけるラベルの位置を正確に検出するためのいわゆる分離型の中央透過型センサ、および印字用紙の搬送を補助するためのフィードローラ、フィードローラに印字用紙を圧接させるピンチローラは、印字用紙のセット時に各々単独に操作を行う必要があった。また、中央透過型センサに関しては、印字用紙を発光部と受光部との間に形成される狭い隙間(光路)を通すように構成された、いわゆる一体型もしくは固定式のものもあった。
【0034】
上述のようなピンチローラ、固定式もしくは分離型の中央透過型センサは、ユーザが各々単独で操作する必要があるため、印字用紙のセット時の操作が非常に煩雑になってしまうという問題点があった。
固定式の中央透過型センサを採用したものにあっては、光路となるトンネル状の狭い隙間を通して印字用紙をセットしなければならず、操作性が非常に悪いものとなっていた。加えて、印字用紙のジャム処理時に関しても、固定式の中央透過型センサの場合は狭い隙間からジャムした印字用紙を剥がさなければならず、非常に面倒な作業となっていた。
【0035】
そこで、本発明の実施形態では、上述の問題点を解消するために、ピンチローラ15および透過型センサ27の受光部27bおよび中央透過型センサ28の受光部28bを、ガイド板44の搬送面44aに対して開閉自在に設けられた開閉部材としてのカバー36に配置することにより、カバーユニット26を構成したことも1つの特徴となっている。なお、図2では、透過型センサ27の発光部27aおよび受光部27bの図示を省略している。
【0036】
本実施形態によれば、ピンチローラ15および透過型センサ27の受光部27bおよび中央透過型センサ28の受光部28bをカバー36に配置することにより、一体化されたカバーユニット26を構成したので、1操作で印字用紙のセットが可能になると共に、ジャム処理時にも1操作でそのセット面が大きく開口・開放されるため、それぞれの操作・処理が大変容易になる。また、印字用紙に貼り付けられるラベル(図示せず)の被印刷面にアイマークがある場合に、それを検出するための反射型センサも一体化させることが可能となる。
前記ほどの利点・効果を望まなくても良いのであれば、例えばピンチローラ15および中央透過型センサ28の受光部28bの何れか一方のみをカバー36に一体的に配置した構成のカバーユニットでも良い。
【0037】
リボン供給部5は、印字部4の右斜め上方に配置されている。リボン供給部5は、ユニット側板45に回転可能に設けられ、ロール状に巻かれたインクリボン17から該インクリボン17を繰り出し可能に支持する供給軸17aと、供給軸17aに連結され、ロール状のインクリボン17を移送路46に向けて繰り出し・供給するように供給軸17aを回転駆動するリボン供給駆動手段としてのDCモータ24とを有する。インクリボン17は、熱転写リボンとも呼ばれ、長尺で薄いフィルムにインクを塗布した周知のものである。
ユニット側板45には、リボン供給部5から繰り出されたインクリボン17を印字部4の印字ヘッド22に向きを変えて案内する第1リボンガイドローラ18が回転自在に支持されている。
【0038】
リボン巻取部6は、ユニット側板45におけるリボン供給部5の左方に配置されている。リボン巻取部6は、ユニット側板45に回転可能に設けられ、印字用紙7にインクを転写した転写後のインクリボン17を巻き取る巻取軸21と、巻取軸21に連結され、転写後のインクリボン17を巻き取るように巻取軸21を回転駆動するリボン巻取駆動手段としてのDCモータ25とを有する。
ユニット側板45には、印字ヘッド22で転写後のインクリボン17を印字ヘッド22と印字用紙7とから剥離するリボン剥離プレート19が配設されていると共に、剥離された転写後のインクリボン17をリボン巻取部6に向けて案内する第2リボンガイドローラ20が回転自在に支持されている。
【0039】
次に、リボン・印字ヘッドユニット29(以下、「印字ユニット29」と略称する)周りの構成、すなわち印字ユニットスライド接離機構について詳述する。
本実施形態の印字ユニット29は、上述したようにユニット側板45に配置された印字ヘッド22、リボン供給部5、リボン巻取部6、第1リボンガイドローラ18、リボン剥離プレート19、第2リボンガイドローラ20、DCモータ24、25およびその駆動力伝達手段等が一体化されて構成されている。
本実施形態の大きな特徴は、印字ユニット29と、この印字ユニット29を図中Za,Zb方向にスライド・移動可能に案内する後述する案内手段とから構成される印字ユニットスライド接離機構にある。
【0040】
印字ユニット29は、前記案内手段を介して、印字ヘッド22がプラテンローラ16の外周母線と平行に圧接して印字用紙7への印字が可能となる印字位置P1(図4(b)、図6(b)、図9参照)と、この印字位置P1から離間した非印字位置P2(図3、図5、図7参照)との間で、ガイド部材44の搬送面44aに対してほぼ平行な状態を維持した状態で図中Za,Zb方向にスライド・移動可能に構成されている。ここで、「印字位置P1」とは、好ましくは印字ヘッド22の主走査方向(用紙幅方向Y)に並設された多数の発熱素子がプラテンローラ16の外周母線に片当たり無く平行に圧接して印字用紙7への正確な印字が可能となる位置をいい、「非印字位置P2」とは、印字ヘッド22とプラテンローラ16との間への印字用紙7のセットや、インクリボン17のセット・交換や、印字用紙7のジャム処理、あるいは各種保守点検整備・清掃等を容易に可能とする位置をいう。
【0041】
図3に示すように、印字ヘッド22は、ヘッド筐体55の内部に収容されて、ヘッド筐体55と共に一体化されたヘッドユニット54を構成している。ヘッド筐体55は、溶接やネジ等の締結手段を介してユニット側板45に一体的に結合されている。
図3において、ヘッド筐体55の紙面右側にハッチングを施した部位は、ユーザの手動の操作力Pを加えることにより、印字位置P1と非印字位置P2との間に移動させる手動操作部58を示す。手動操作部58は、これに限らず、例えば取っ手やハンドルのようなものでも良い。
【0042】
図3ないし図5等に示すように、ヘッド筐体55の手動操作部58と反対側、すなわちヘッド筐体55の図において左側下部には、円柱状の突起56が複数(本実施形態例では前後に2個)取り付け・固定されている。ヘッド筐体55の図において右側下部には、突起56と同形状の位置決めピン67およびロックピン68が取り付け・固定されている。
【0043】
ユニット側板45には、図3ないし図5等に示すように、被案内部としての転動可能な複数(本実施形態例ではZa,Zb方向に沿って2個)のコロ59と、被案内部としての直方体状の図5に示すスライド部材60とが取り付け・固定されている。また、ヘッド筐体55の左右両側の下部には、プラテンローラ16の口金部のカラーと呼ばれる部分に位置決めのために係合される係合溝61が形成されている。
【0044】
一方、印字ユニット29を図中Za,Zb方向にスライド可能に案内する案内手段は、装置本体2側に配設されている。この案内手段は、図3ないし図5等に示すように、ユニット側板45の各コロ59を緩く嵌合し係合する長孔62aが形成された案内部材62と、ユニット側板45のスライド部材60を緩く嵌合し係合する案内部材としてのスライドレール63と、印字ユニット29の一部と係合可能な位置決め部材・回転部材としての複数(本実施形態例では用紙幅方向Yに2個)の位置決めコロ57とから主に構成される。
【0045】
各位置決めコロ57は、図3および図4(a)、(b)に詳しく示すように、印字ユニット29の前記被案内部側を支点として片持ち状態で印字位置P1に向けて印字ユニット29を移動させる際に、印字ユニット29が用紙幅方向Yに傾いた姿勢を、印字ユニット29の一部として取り付けられた突起56とヘッド筐体55の下部内壁面とそれぞれ係合・転動することにより、プラテンローラ16の外周母線と平行になるように矯正して用紙幅方向Yに位置決めする機能を有する。
【0046】
図5および図6に示すように、紙面手前側の本体側板2aの裏側には、印字ユニット29のロックピン67と係合可能なロックアーム65が支軸65aを支点として小さな揺動範囲で揺動可能に本体側板2aに支持されている。
図2、図5および図6に二点鎖線で示すロックレバー64は、ロックレバー軸64aを介して揺動可能に本体側板2aに支持されている。ロックレバー軸64aと同軸上には、図5および図6に示す位相関係でカム66が取り付け・固定されている。
【0047】
次に、熱転写プリンタ1の動作を説明する。
図3、図5および図7に示すように、印字ユニット29が図示しない保持手段により非印字位置P2に一時的に保持されている状態において、図2に示すように、先ず、ユーザは解除レバー39を操作すると、ラッチレバー38と被ラッチピン36aとの係合状態が解除されて、前記ねじりコイルバネの付勢力によってカバーユニット26が図中上矢印方向に自動的に揺動することで開放されて、紙面手前側が大きく開口した状態となる。この開口状態で、ユーザは印字用紙7をフィードローラ33上からガイド板44の搬送面44a上を経由して印字用紙7の先端をプラテンローラ16上の所定の位置、例えばプラテンローラ16から用紙搬送方向Xの下流側へ少しはみ出た初期セット位置にセットする。
【0048】
カバーユニット26の前記開口状態では、印字用紙7のセット操作の他に、印字用紙7のジャム処理や、保守整備点検・清掃等も適宜必要に応じて行われることは言うまでもない。一方、印字ユニット29側では、使用済みのインクリボン17の交換・セット等が適宜必要に応じて行われる。
次いで、ユーザはカバー36の取っ手36cを前記ねじりコイルバネの付勢力に抗して下向きに押すと、カバー36は図中下矢印方向に揺動・下降し、被ラッチピン36aがラッチレバー38の上部傾斜面に案内されつつラッチレバー38の噛み合い部にラッチ・保持されることで、カバーユニット26は閉じ位置に保持される。これと同時に、カバー36の位置決めピン36bが本体側板2aの上部に形成された位置決め溝2cに嵌合することで、カバーユニット26は用紙搬送方向Xおよび用紙幅方向Yに位置決めされる。
なお、図7ないし図9に示すカバーユニット26の状態は、カバーユニット26を閉め忘れた場合を表している。
【0049】
次いで、ユーザは、図3、図4(a)、図5および図7において、印字ヘッド22をプラテンローラ16に圧接させるために、印字ユニット29の手動操作部58を下方へ押すことにより操作力Pを加えると、印字ユニット29側のコロ59が案内部材62の長孔62aに案内されつつ図中矢印Zb方向にスライド下降し、これと同時に印字ユニット29側のスライド部材60がスライドレール63に案内されつつ図中矢印Zb方向にスライド下降する。
【0050】
その際、図4(a)に示すように、印字ユニット29の前記被案内部(コロ59およびスライド部材60配置)側を支点として片持ち状態で印字位置P1に向けてスライドするため、それぞれの構成部品や部材の弾性の範囲内で図中矢印Aで示す方向に傾き・倒れが発生する。この際、図4(b)に示すように、印字ユニット29側の突起56が図において左方の位置決めコロ57に摺接すると、これによって従動回転する位置決めコロ57によって印字ユニット29が用紙幅方向Yに傾いた姿勢が矯正されることとなる。これと同時に、印字ユニット29側のヘッド筐体55の下部内壁面が図において右方の位置決めコロ57に摺接すると、これによって従動回転する位置決めコロ57によって印字ユニット29が用紙幅方向Yに傾いた姿勢が矯正されることとなる。
【0051】
上述の印字ユニット29の姿勢矯正動作以前に、図8に示すように、閉め忘れたカバーユニット26の自由端部(取っ手36c)側が、印字ユニット29の図中矢印Zb方向へのスライドに連動して前記ねじりコイルバネの付勢力に抗してヘッド筐体55の下端面で押し下げられることにより、カバーユニット26は閉じ位置方向へ揺動・下降することとなる。
一方、上述の印字ユニット29の姿勢矯正動作と同時的に、図6(a)に示すように、印字ユニット29側の左右の係合溝61がプラテンローラ16の前記カラーに係合し始めると共に、ロックピン67がロックアーム65の上部の斜面に摺接しつつロック係合部65aに係合しロックされる。また同時に、印字ユニット29側の位置決めピン68がカバー36に形成された位置決め溝36dに嵌合することで、プラテンローラ16および搬送面44aに対する位置決めがなされる。
【0052】
次いで、ユーザは印字ユニット29を最終的に印字位置P1にセットするために、図6(a)ないし図6(b)および図9に示すように、ロックレバー64を図中矢印B方向(反時計回り)にほぼ直立するまで回すと、カム66の大径部がロックアーム65を押し下げることにより、ロックアーム65のロック係合部65aがロックピン67をくわえた状態でロックピン67を押し下げることとなり、これに伴って印字ユニット29全体が若干の距離押し下げられるため、印字ユニット29側の左右の係合溝61がプラテンローラ16の前記カラーに完全に係合してプラテンローラ16に対して位置決めされ、同時にカバーユニット26のカバー36が閉じ位置を占め、また同時にプラテンローラ16の外周母線に対して印字ヘッド22が片当たりすること無く平行な状態で圧接することで、正確かつ確実に、印字ユニット29が最終的に印字位置P1を占めることとなる。
【0053】
印字ユニット29が図1、図6(b)および図9に示す印字位置P1を占めている状態で、ステッピングモータ23が回転駆動されることにより、プラテンローラ16およびフィードローラ14が図中矢印方向に回転され、両ロールガイド32,32によって用紙幅方向Yのセンター基準で位置決め・規制されたロール紙8から印字用紙7が引き出されつつ搬送される。この際、ダンパ機構部10におけるダンパ可動軸11の案内溝12の範囲内での揺動変位により、印字用紙7は図示しないバネの緩衝作用を受けつつ余分な弛みが吸収されて、安定して搬送される。
【0054】
透過型センサ27により印字用紙7の先端位置が検知され、さらに中央透過型センサ28により印字用紙7の先端位置が検知されると、所定のタイミングでDCモータ24が回転駆動開始されることにより、インクリボン17がリボン供給部5から繰り出される。同時に、ラベル(図示せず)をほぼ等間隔で貼り付けられた印字用紙7とインクリボン17とが、プラテンローラ16と印字ヘッド22との間(ニップ部)で重ねられて挟まれた状態で圧接されることで、所定のタイミングで印字ヘッド22の発熱素子が選択的に駆動されることにより、インクリボン17のインクが溶解し、そのインクが前記ラベルに転写されて、所望の印字・印刷がなされる。
【0055】
一方、所定のタイミングでDCモータ25が回転駆動開始されることにより、巻取軸21が図中矢印方向に回転することにより、プラテンローラ16と印字ヘッド22とのニップ部を通過したインクリボン17の使用済みの部分は、リボン剥離プレート19によって転写済みの印字用紙7から剥離されて、巻取軸21に弛み無く巻き取られる。転写済みの印字用紙7は、装置本体2内から機外へと排出される。
なお、印字ユニット29が図1、図6(b)および図9に示す印字位置P1を占めている状態から、印字ユニット29を矢印Za方向へスライド・上昇させたり、カバーユニット26を開放する動作は、上述した構成および動作から当業者であれば容易に理解し実施できるので、その説明を省略する。
【0056】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、リボン供給部5、印字ヘッド22およびリボン巻取部6等は、プラテンローラ16に圧接する印字位置P1とこの印字位置P1から離間した非印字位置P2との間で、ガイド板44の搬送面44aに対してほぼ平行な状態で移動可能な印字ユニット29を構成していることにより、印字用紙7のセット操作性および作業性等が向上すると共に、プラテン圧が均一にかかり、インクリボン17へのシワ発生、これに伴う印字カスレや印字不能という問題点を解消できる印字ユニットスライド接離機構を備えた熱転写プリンタ1を提供できる。
【0057】
本実施形態の印字ユニット29に限らず、リボン供給部5、印字ヘッド22およびリボン巻取部6のうちの少なくとも印字ヘッド22を有して構成され、プラテンローラ16に圧接する印字位置とこの印字位置から離間した非印字位置との間で、ガイド板44の搬送面44aに対してほぼ平行な状態で移動可能な印字ユニットでも良い。
【0058】
本実施形態によれば、被案内部(コロ59およびスライド部材60配置)側を支点として片持ち状態で印字位置P1に向けて印字ユニット29を移動させる際の印字ユニット29の傾いた姿勢を矯正して位置決めするための、印字ユニット29の一部(突起56およびヘッド筐体55の下部内壁面)と係合可能な位置決め部材(位置決めコロ57)等が設けられていることにより、印字ユニット29の傾いた姿勢が矯正されて位置決めされるので、前記効果が顕著となる。
【0059】
本実施形態によれば、位置決め部材は、印字ユニットの一部(突起56およびヘッド筐体55の下部内壁面)と係合して転動可能な回転部材としての位置決めコロ57を有することにより、簡素かつ廉価な部材で前記効果を奏する。
【0060】
本実施形態によれば、ガイド板44の搬送面44aに対して開閉自在な開閉部材としてのカバー36が設けられており、印字ユニット29は、印字位置P1への移動に連動して開放状態のカバー36をガイド板44の搬送面44aに対して閉じるので、カバー36の閉め忘れがあった場合でもジャム等の不具合発生を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態を示す熱転写プリンタ全体の概略的な正面図である。
【図2】図1の熱転写プリンタのカバーおよびプラテンローラ等の搬送部材・ガイド板周りの外観斜視図である。
【図3】印字ユニット周りの外観斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、印字ユニットのスライド動作の遷移状態を示す簡略的な正面図である。
【図5】印字ユニットの非印字位置からのスライド動作を示す簡略的な正面図である。
【図6】(a)、(b)は、印字ユニットのスライド動作の遷移状態を示す簡略的な正面図である。
【図7】印字ユニットの非印字位置からのスライド動作を示す斜視図である。
【図8】印字ユニットのスライド動作を示す斜視図である。
【図9】印字ユニットが印字位置を占めた状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 熱転写プリンタ
2 装置本体
3 用紙供給部(被印字媒体供給部)
4 印字部
5 リボン供給部
6 リボン巻取部
7 印字用紙(被印字媒体)
8 ロール紙(ロール状被印字媒体)
9 ロールホルダ(保持手段、ロール状被印字媒体保持装置)
14 フィードローラ(第2の搬送部材、駆動回転部材)
15 ピンチローラ(第2の搬送部材、従動回転部材)
16 プラテンローラ(搬送部材、第1の搬送部材)
17 インクリボン
22 印字ヘッド(印字手段)
26 カバーユニット
29 印字ユニット
30 搬送経路
36 カバー(開閉部材)
44 ガイド板(ガイド部材)
44a 搬送面
56 突起(印字ユニットの一部)
57 位置決めコロ(位置決め部材、回転部材)
58 手動操作部
59 コロ(被案内部)
60 スライド部材(被案内部)
62 案内部材(案内手段)
P 手動による操作力
P1 印字位置
P2 非印字位置
X 用紙搬送方向(被印字媒体の繰り出し・搬送方向)
Y 用紙幅方向(被印字媒体の幅方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字媒体を搬送する少なくとも1つの搬送部材と、該搬送部材に被印字媒体を案内するための搬送面を備えたガイド部材と、インクリボンを供給するリボン供給部と、前記搬送部材により搬送されてくる被印字媒体に、前記リボン供給部から供給されてくるインクリボンを重ね挟持してそのインクを被印字媒体に感熱的に転写して印字する印字手段と、転写後のインクリボンを巻き取るリボン巻取部とを具備する熱転写プリンタにおいて、
前記リボン供給部、前記印字手段および前記リボン巻取部のうちの少なくとも前記印字手段は、前記搬送部材に圧接する印字位置とこの印字位置から離間した非印字位置との間で、前記搬送面に対してほぼ平行な状態で移動可能な印字ユニットを構成していることを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項2】
請求項1記載の熱転写プリンタにおいて、
前記印字ユニットは、前記印字位置と前記非印字位置との間に手動の操作力で移動させる手動操作部と、該手動操作部と反対側に形成された被案内部とを有し、
装置本体側には、前記被案内部と係合して、前記印字ユニットを前記印字位置と前記非印字位置との間に案内する案内部材と、前記被案内部側を支点として片持ち状態で前記印字位置に向けて前記印字ユニットを移動させる際の該印字ユニットの傾いた姿勢を矯正して位置決めするための、前記印字ユニットの一部と係合可能な位置決め部材と、が設けられていることを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項3】
請求項2記載の熱転写プリンタにおいて、
前記位置決め部材は、前記印字ユニットの一部と係合して転動可能な回転部材であることを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の熱転写プリンタにおいて、
装置本体側には、前記ガイド部材の前記搬送面に対して開閉自在な開閉部材が設けられており、
前記印字ユニットは、前記印字位置への移動に連動して開放状態の前記開閉部材を前記搬送面に対して閉じることを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項5】
請求項4記載の熱転写プリンタにおいて、
前記ガイド部材またはこの近傍には、印字用紙の搬送方向下流側に配設された第1の搬送部材と、前記搬送方向上流側に配設され駆動回転部材および従動回転部材を備えた第2の搬送部材とが前記搬送面に沿って設けられており、
前記開閉部材には、前記従動回転部材が回転自在に支持されていることを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項6】
請求項4記載の熱転写プリンタにおいて、
前記ガイド部材には、被印字媒体の先端を検知するための検知手段を構成する発光部および受光部の何れか一方が配置され、
前記開閉部材には、前記検知手段を構成する前記発光部および前記受光部の何れか他方が配置されていることを特徴とする熱転写プリンタ。
【請求項7】
請求項5記載の熱転写プリンタにおいて、
前記ガイド部材には、被印字媒体の先端を検知するための検知手段を構成する発光部および受光部の何れか一方が配置され、
前記開閉部材には、前記検知手段を構成する前記発光部および前記受光部の何れか他方が配置されていることを特徴とする熱転写プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−125741(P2007−125741A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318738(P2005−318738)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(000221937)東北リコー株式会社 (509)
【Fターム(参考)】