燃料供給弁
【課題】燃料供給弁において弁体の変形や摩耗を防止する。
【解決手段】燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに、弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。弁体の表層部には、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が形成されている。また、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されている。
【解決手段】燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに、弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。弁体の表層部には、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が形成されている。また、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、従来の燃料供給弁が開示されている。この燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。
【0003】
この種の燃料供給弁では、燃料吐出孔が閉塞される際に、弁体が弁座部材に対して強く衝突する。このとき、弁体には大きな衝撃力が加わることから、弁体が変形したり摩耗したりすることがある。弁体に変形や摩耗が生じると、弁体は燃料吐出孔を完全に閉塞することができなくなる。
上記の問題に関して、特許文献1に記載の燃料供給弁では、弁体の表面に窒化処理が施されており、弁体の表面に高硬度の窒化処理層が形成されている。それにより、弁体の強度が高められている。
【0004】
【特許文献1】国際公開2003/042526号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化処理による窒化処理層は、比較的に高い硬度を有する一方で、その厚みが比較的に薄いという欠点を持つ。そのことから、弁体の表面に窒化処理を施すだけでは、弁体の強度を十分に高めることができず、弁体の変形や摩耗が依然として生じてしまう。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、弁体の変形や摩耗をより確実に防止することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって具現化される燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。弁体の表層部には、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が形成されている。そして、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されている。
【0007】
この燃料供給弁では、弁体の表層部に、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が、比較的に厚く形成されている。そして、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されている。この構造により、弁体の表層部では、その硬度が表面側に向かって段階的に高められている。それにより、弁体の変形や摩耗が効果的に防止される。また、表面処理層の耐久性が高められ、表面処理層の破損や剥離を防止することができる。
【0008】
前記した第1表面処理は浸炭処理であるとともに、前記した第2表面処理は窒化処理であることが好ましい。
弁体の表面に浸炭処理を施すと、弁体の表層部に高硬度の浸炭処理層を形成することができる。浸炭処理による浸炭処理層は、比較的に厚く形成されることから、弁体の強度(剛性)を有意に高めることができる。さらに、弁体の表面に窒化処理を施すと、浸炭処理層の表層部に、より硬度の高い窒化処理層を形成することができる。弁体の表面が高硬度の窒化処理層によって被覆されることにより、弁体の強度がさらに高められるとともに、弁体の摩耗が顕著に防止される。
【0009】
前記したアクチュエータは、弁体に一体に形成されたアーマチャと、アーマチャに対向する位置に設けられたステータコアと、アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを用いて構成することができる。この場合、アーマチャには、第1表面処理層及び第2表面処理層の少なくとも一方が形成されていないことが好ましい。
アーマチャに第1表面処理層や第2表面処理層を形成すると、アーマチャの磁気特性に影響を与えることがあり、弁体の動作特性を低下させてしまう場合がある。そのことから、弁体とアーマチャが一体に形成されている場合は、第1表面処理や第2表面処理を行う際にアーマチャの表面をマスク材料で覆うなどして、アーマチャの表面に第1表面処理層や第2表面処理層が形成されることを防止するとよい。
【0010】
本発明によって具現化される第2の燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに、弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体に一体に形成されたアーマチャと、アーマチャに対して反弁座部材側に配設されたステータコアと、アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを備えている。弁体は非磁性材料によって形成されており、アーマチャは軟磁性材料によって形成されている。弁体を形成する非磁性材料は、アーマチャを形成する軟磁性材料よりも高い強度を有している。
【0011】
この燃料供給弁では、一体に形成された弁体とアーマチャが、それぞれの機能に応じて互いに異なる材料で構成されている。特に、弁体については、比較的に強度の高い非磁性材料によって構成されているので、その変形や摩耗が有意に防止される。ここで、弁体を構成する非磁性材料には、例えばオーステナイト系ステンレス鋼を好適に用いることができる。
【0012】
本発明によって具現化される第3の燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに、弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。弁座部材には、弁体が当接する平面状のシート面が形成されている。弁体には、弁座部材のシート面に当接する当接面が形成されている。その当接面には、弁座部材のシート面に平行な平行部と、その平行部の半径方向外側に設けられているとともに所定のテーパ角で傾斜するテーパ部が形成されている。
【0013】
弁座部材のシート面が平面である場合(いわゆるフラットバルブタイプの場合)、弁体が傾いた状態でシート面に当接すると、弁体の角部等がシート面に対して局所的に接触する。このとき、弁体には過大な応力が局所的に発生するため、弁体の変形や摩耗が発生しやすい。この問題に対し、弁体の当接面に上記したテーパ部が形成されていると、弁体が傾いた状態でシート面に当接した場合に、テーパ部がシート面に対して略平行に当接する。それにより、弁体の変形や摩耗が有意に抑制される。
【0014】
前記した弁体の当接面には、平行部とテーパ部との間に、第1曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第1円弧部が形成されていることが好ましい。また、テーパ面の周囲には、第2曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第2円弧部が形成されていることも好ましい。この場合、第1曲率半径の方が、第2曲率半径よりも大きいことが好ましい。
上記した構造によると、弁体が様々な角度で傾いてシート面に当接した場合でも、弁体がシート面に対して点接触することが防止されることから、弁体の変形や摩耗がより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁体の変形や摩耗が防止され、高い耐久性を有する燃料供給弁を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
下記に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(特徴1) 本体は、ステータコアと、非磁性ブッシュと、弁ハウジングと、弁シートを備えている。ステータコアと非磁性ブッシュと弁ハウジングと弁シートのそれぞれは、貫通孔を有している。ステータコアと非磁性ブッシュと弁ハウジングと弁シートは一連に接続されており、ステータコアと非磁性ブッシュと弁ハウジングの貫通孔によって燃料流路が形成されているとともに、弁シートの貫通孔によって燃料吐出孔が形成されている。燃料は、ステータコアの貫通孔の上流端から流入し、弁シートの貫通孔の下流端から吐出される。
(特徴2) 可動体は、弁ハウジングの貫通孔内に収容されており、ステータコアと弁シートの間に位置している。可動体が弁シート側に移動すると、可動体に設けられた弁体が弁シートに当接し、燃料吐出孔が閉塞される。可動体がステータコア側に移動すると、可動体に設けられた弁体が弁シートから離間し、燃料吐出孔が開放される。
【実施例】
【0017】
(第1実施例)
本発明を具現化した第1実施例の燃料供給弁10について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施例の燃料供給弁10の縦断面図である。燃料供給弁10は、燃料電池とその燃料電池に水素ガスを供給する供給源との間に配設され、燃料電池に供給する水素ガスの供給量を調節する電磁制御弁である。
図1に示すように、燃料供給弁10は、本体12と、可動体60と、圧縮ばね24と、電磁コイル62を備えている。
【0018】
先ず、本体12の構成について説明する。本体12は、ステータコア16と、非磁性ブッシュ26と、弁ハウジング30と、弁シート34と、樹脂ケーシング64を備えている。本体12には、燃料(水素ガス)が流れる燃料流路20と、燃料を吐出する燃料吐出孔36が形成されている。
【0019】
ステータコア16は、略円筒形状を有しており、その中心部に貫通孔16aが形成されている。ステータコア16の貫通孔16aは、燃料流路20の上流部を構成している。ステータコア16の上流端(図1中の上端)は、図示しない外部の燃料供給装置に接続される。ステータコア16の貫通孔16aには、燃料中の異物を除去するためのフィルタ体14が配設されている。ステータコア16は、軟磁性材料で形成されており、詳しくは、電磁ステンレス鋼で形成されている。
【0020】
非磁性ブッシュ26は、略円筒形状を有しており、その中心部に貫通孔が形成されている。非磁性ブッシュ26の貫通孔の上流端(図1中の上端)には、ステータコア16の下流端(図1中の下端)が挿入されている。非磁性ブッシュ26とステータコア16は、全周に亘って溶接されており、非磁性ブッシュ26の貫通孔とステータコア16の貫通孔16aは気密に接続されている。非磁性ブッシュ26の貫通孔は、燃料流路20の中流部を構成している。非磁性ブッシュ26は、非磁性材料で形成されている。非磁性ブッシュ26の下流端(図1中の下端)には、フランジ26aが形成されている。
【0021】
弁ハウジング30は、略円筒形状を有しており、その中心部に貫通孔30aが形成されている。弁ハウジング30と非磁性ブッシュ26は、全周に亘って溶接されており、弁ハウジング30の貫通孔30aと非磁性ブッシュ26の貫通孔は気密に接続されている。弁ハウジング30の貫通孔30aは、燃料流路20の一部を構成している。弁ハウジング30は、軟磁性材料で形成されており、詳しくは、電磁ステンレス鋼で形成されている。
弁ハウジング30の貫通孔30a内には、内向きに伸びるストッパフランジ部30fが形成されている。ストッパフランジ部30fの上流側表面(図1中の上面)には、非磁性ブッシュ26の下流端に設けられたフランジ26aが当接している。ストッパフランジ部30fの下流側表面(図1中の下面)には、リング形状を有するストッパリング28が配設されている。
【0022】
弁シート34は、その中心部に燃料吐出孔36が形成された略円柱形状を有している。弁シート34の上流側部分(図1中の上側部分)は、弁ハウジング30の貫通孔30a内に挿入されている。弁シート34の外周面34bと弁ハウジング30の先端部30bは全周に亘って溶接され、気密に保持されている。弁ハウジング30は、燃料流路20の下流端に位置しており、弁ハウジング30の燃料吐出孔36が、燃料流路20の下流端に連なる構成となっている。
弁シート34の上流側端面(図1中の上側端面)34aは、可動体60が当接するシート面34aとなっている。シート面34aは平坦面であり、その中心部に燃料吐出孔36が開口している。
【0023】
樹脂ケーシング64は、ステータコア16、非磁性ブッシュ26、弁ハウジング30を取り囲むように設けられている。樹脂ケーシング64は、インサート成形によって形成されており、その内部に電磁コイル62が埋設されている。電磁コイル62は、ステータコア16を取り囲む位置に固定されている。樹脂ケーシング64には、コネクタ部66が形成されている。コネクタ部66には、複数の端子ピン68が設けられている。複数の端子ピン68には、電磁コイル62が電気的に接続されており、複数の端子ピン68を通じて電磁コイル62に通電されるように構成されている。コネクタ部66は、図示しないワイヤハーネスを介して外部の制御ユニットに接続される。
【0024】
本体12の燃料流路20内には、圧縮ばね24と、スプリングピン22が配設されている。圧縮ばね24は、後述する可動体60の上流側に位置している。スプリングピン22は、圧縮ばね24の上流側に位置しており、ステータコア16の貫通孔16aに圧入されている。圧縮ばね24の上流端(図1中の上端)は、スプリングピン22に当接しており、圧縮ばね24の下流端(図1中の下端)は、可動体60に当接している。圧縮ばね24は、圧縮された状態となっており、可動体60を弁シート34に向けて付勢している。
【0025】
次に、可動体60の構成について説明する。図1に示すように、可動体60は、弁ハウジング30の貫通孔30a内に収容されており、本体12の燃料流路20内に位置している。可動体60は、ステータコア16の下流側に位置するとともに、弁シート34の上流側に位置している。可動体60は、板ばね32によって支持されており、ステータコア16と弁シート34の間を移動可能となっている。可動体60は、弁体40とアーマチャ50を備えている。弁体40とアーマチャ50は、軟磁性材料(詳しくは電磁ステンレス鋼)によって一体に形成されている。
図2に示すように、可動体60には、中心孔56と、中心孔56の底部から放射状に伸びる複数の側方孔48が形成されている。可動体60の中心孔56及び側方孔48は、ステータコア16の貫通孔16aと弁ハウジング30の貫通孔30aを互いに連通している。ステータコア16の貫通孔16a内の燃料は、可動体60の中心孔56及び側方孔48を通じて、弁ハウジング30の貫通孔30aへと流れるようになっている。
【0026】
図1、図2に示すように、弁体40は、可動体60の下流側部分を構成しており、弁体40の下流端面42が、弁シート34のシート面34aに対向している。弁体40の下流端面42には、樹脂製のシール部材44と、そのシール部材44の周囲に形成された当接面46が形成されている。シール部材44及び当接面46は、弁シート34のシート面34aに当接し、燃料吐出孔36を気密に閉塞する。また、シール部材44は、弁体40がシート面34aに当接する際に、変形することによってその衝撃を緩和する。シール部材44には、リング状に伸びる突出部44aが形成されている。
【0027】
図1、図2に示すように、アーマチャ50は、可動体60の上流側部分を構成しており、ステータコア16の下流端に対向している。アーマチャ50の外周面には、フランジ部52が形成されている。アーマチャ50のフランジ部52は、弁ハウジング30に固定されたストッパリング28の下流側に位置している。アーマチャ50のフランジ部52は、可動体60がステータコア16側へ移動したときに、ストッパリング28に当接する。アーマチャ50のフランジ部52には、ゴム又は樹脂製の緩衝リング54が形成されている。緩衝リング54は、アーマチャ50のフランジ部52がストッパリング28に当接する際に、変形することによってその衝撃を緩和する。
【0028】
図3は、図2中のIII部を拡大して示している。図3に示すように、弁体40の表面には、浸炭処理と窒化処理の両者が施されており、浸炭処理層41aと窒化処理層41bが形成されている。弁体40の表面に浸炭処理を施すと、弁体40の表層部に高硬度の浸炭処理層41aを形成することができる。浸炭処理による浸炭処理層41aは、比較的に厚く形成されることから、弁体40の強度(剛性)を有意に高めることができる。さらに、弁体40の表面に窒化処理を施すと、浸炭処理層41aの表層部に、より高硬度の窒化処理層41bを形成することができる。弁体40の最表面がより高硬度の窒化処理層41bによって被覆されることにより、弁体40の強度がさらに高められるとともに、弁体40の摩耗が顕著に防止することができる。また、最表面の窒化処理層41bが比較的に厚い浸炭処理層41aによって支持されることから、窒化処理層41bが衝撃等によって剥離することも防止される。本実施例の浸炭処理層41aは、そのビッカース硬さが約700Hvとなっており、その厚みが略20μmとなっている。また、本実施例の窒化処理層41bは、そのビッカース硬さが約1100Hvとなっており、その厚みが略10μmとなっている。
上記した浸炭処理層41aと窒化処理層41bは、弁体40の表面のみに形成し、アーマチャ50の表面には形成しないことが好ましい。浸炭処理層41aと窒化処理層41bでは、磁性の消滅や低下が生じる。そのことから、アーマチャ50の表面に浸炭処理層41aや窒化処理層41bを形成すると、アーマチャ50の磁気特性を低下させてしまうことになる。そこで、本実施例では、上記した浸炭処理及び窒化処理を行う際に、アーマチャ50の表面にはマスキングを施し、アーマチャ50の表面に浸炭処理層41aと窒化処理層41bが形成されることを禁止している。
【0029】
以上、燃料供給弁10の構成について詳細に説明した。次に、燃料供給弁10の動作について説明する。電磁コイル62に通電されていない間、弁体40は圧縮ばね24によって弁シート34のシート面34aに押し付けられている。このとき、燃料吐出孔36は閉塞された状態となっており、燃料吐出孔36から燃料は吐出されない。
電磁コイル62に通電が行われると、電磁コイル62が磁場を発生し、ステータコア16及びアーマチャ50が励磁される。ステータコア16とアーマチャ50は互いに引き合い、アーマチャ50は弁体40とともにステータコア16側へ移動する。即ち、弁体40は弁シート34のシート面34aから離間する。このとき、燃料吐出孔36は開放された状態となっており、燃料吐出孔36から燃料が吐出される。
電磁コイル62への通電が中止されると、電磁コイル62による磁場が消滅し、ステータコア16とアーマチャ50の間の磁力も消滅する。弁体40は、圧縮ばね24による付勢力によって、弁シート34側へ移動する。弁体40は、弁シート34のシート面34aに押し付けられ、燃料吐出孔36を閉塞する。
【0030】
電磁コイル62への通電が中止され、弁体40によって燃料吐出孔36が閉塞される際に、弁体40は弁シート34のシート面34aに比較的に強く衝突する。このとき、弁体40には、大きな衝撃力が加えられる。本実施例の弁体40では、その表面に浸炭処理層41aと窒化処理層41bが形成されており、弁体40の強度及び耐磨耗性が効果的に高められている。そのことから、弁体40に大きな衝撃力が加えられた場合でも、弁体40の変形や磨耗が顕著に防止される。弁体40の変形や磨耗が顕著に防止されることで、閉弁時における燃料の漏洩等が防止される。
【0031】
(第2実施例)
次に、第2実施例の燃料供給弁110について説明する。図4は、第2実施例の燃料供給弁110の縦断面図である。第2実施例の燃料供給弁110は、可動体160を除いて、第1実施例の燃料供給弁10と同じ構成を備えている。
【0032】
図5は、本実施例の可動体160を示している。図5に示すように、第2実施例の可動体160では、弁体140とアーマチャ150が、異なる材料で形成されている。弁体140は、非磁性材料であって、オーステナイト系ステンレス鋼(詳しくはSUS304又はSUS316)によって形成されている。オーステナイト系ステンレス鋼は、高い強度を有しており、構造材料として幅広く用いられる材料である。一方、アーマチャ150は、第1実施例と同じく、軟磁性材料である電磁ステンレス鋼によって形成されている。即ち、本実施例では、弁体140を構成する材料が、アーマチャ150を構成する材料よりも、高い強度を有している。弁体140とアーマチャ150は、それぞれ個別に形成された後、溶接によって接合されている。なお、弁体140とアーマチャ150の接合は、ロウ付けによって行うこともできる。あるいは、弁体140とアーマチャ150の一方を他方に圧入し、両者を一体に結合する構造を採用することもできる。
なお、第2実施例の可動体160の他の構造については、第1実施例の可動体60と同じように構成されている。即ち、第2実施例の可動体160には、燃料が通過するための中心孔156と、中心孔156の底部から放射状に伸びる複数の側方孔148が形成されている。また、弁体140の下流端面142には、樹脂製のシール部材144と、そのシール部材144の周囲に形成された当接面146が形成されている。そして、アーマチャ150の外周面には、ストッパリング28に当接するフランジ部152が形成されている。アーマチャ150のフランジ部152には、ゴム又は樹脂製の緩衝リング154が形成されている。
【0033】
本実施例の燃料供給弁110では、弁体140とアーマチャ150を異なる材料でそれぞれ形成し、それらを互いに接合することによって可動体160を形成している。この構造によると、弁体140を形成する材料に非磁性材料を採用することも可能となり、弁体140をより強度の高い材料によって形成することが可能となる。それにより、弁体140が弁シート34のシート面34aに衝突し、弁体140に大きな衝撃力が加えられた場合でも、弁体140に変形や磨耗が生じることを防止することができる。弁体140の変形や磨耗が防止されることで、閉弁時における燃料の漏洩等が防止される。
【0034】
(第3実施例)
次に、第3実施例の燃料供給弁210について説明する。図6は、第3実施例の燃料供給弁210の縦断面図である。第3実施例の燃料供給弁210は、可動体260を除いて、第1実施例の燃料供給弁10と同じ構成を備えている。
【0035】
図7は、本実施例の可動体260を示している。図8は、図7中のVIII部を拡大して示している。図7、図8に示すように、第3実施例の可動体260では、第1実施例の可動体60と比較して、弁体240の下流端面242に形成された当接面246の形状が異なっている。本実施例の弁体240では、弁シート34のシート面34aに当接する当接面246に、平行部246aと、第1円弧部246bと、テーパ部246cと、第2円弧部246dが形成されている。平行部246aは、シール部材244の周囲に沿ってリング状に伸びる平面であり、同じく平面である弁シート34のシート面34aと平行になっている。テーパ部246cは、平行部246aの半径方向外側に形成されており、所定のテーパ角θで傾斜するテーパ面となっている。第1円弧部246bは、平行部246aとテーパ部246cの間に設けられており、第1曲率半径R1の円弧に沿って傾斜角度が変化する曲面となっている。第2円弧部246dは、テーパ部246cの周囲に設けられており、第2曲率半径R2の円弧に沿って傾斜角度が変化する曲面となっている。ここで、第1円弧部246bにおける第1曲率半径R1は、第2円弧部246dにおける第2曲率半径R2よりも大きい。上記したテーパ角θは、弁体40が傾き得る角度に応じて設定するとよく、例えば1°〜5°に設定することができる。
【0036】
図9から図12を参照し、本実施例の弁体240が弁シート34に当接する様子を説明する。図9は、弁体240が、弁シート34のシート面34aに対して垂直に当接した様子を示している。図10は、図9中のX部を拡大して示している。図9、図10に示すように、弁体240がシート面34aに対して垂直に当接した場合、弁シート34のシート面34aには、弁体240の当接面246に設けられた平行部246aが当接する。この場合、弁体240の当接面246に設けられた平行部246aが、弁シート34のシート面34aに対して略平行に接触することから、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。それにより、弁体240や弁シート34の変形や摩耗が防止される。
【0037】
次に、図11は、弁体240が、弁シート34のシート面34aに対して傾いて当接した様子を示している。図12は、図11中のXII部を拡大して示している。燃料供給弁210では、可動体260が板ばね32のみによって支持されているので、弁体240が、弁シート34のシート面34aに対して傾いて当接することがある。ここで、弁体240は、テーパ部246cのテーパ角θと等しい角度で傾いているものとする。図11、図12に示すように、弁体240がシート面34aに対して傾いて当接した場合、弁シート34のシート面34aには、弁体240の当接面246に設けられたテーパ部246cが当接する。この場合、弁体240の当接面246に設けられたテーパ部246cが、弁シート34のシート面34aに対して略平行に接触することから、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。それにより、弁体240や弁シート34の変形や摩耗が防止される。
なお、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して様々な角度で傾いて当接した場合、弁シート34のシート面34aには、弁体240の当接面246に設けられた第1円弧部246bや第2円弧部246dが当接することになる。それにより、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して角当たり(点接触)することが防止され、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。それにより、弁体240や弁シート34の変形や摩耗が防止される。
【0038】
図13は、弁体240に形成する当接面246の変形例を示している。図13に示すように、弁体240に形成する当接面246は、半径方向に沿って傾斜角度が楕円弧状に変化する曲面とすることもできる。この場合、当接面246の傾斜角度が、半径方向外側に向かって大きくなるように、楕円弧の形状を設定するとよい。即ち、当接面246を断面視したときの曲率半径Rが、半径方向外側に向かって小さくなるように、楕円弧の形状を設定するとよい。この構造によっても、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して傾いて当接した場合に、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して角当たり(点接触)することが防止され、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施例の燃料供給弁の縦断面図。
【図2】第1実施例の可動体の縦断面図。
【図3】図2中のIII部を拡大して示す図。
【図4】第2実施例の燃料供給弁の縦断面図。
【図5】第2実施例の可動体の縦断面図。
【図6】第3実施例の燃料供給弁の縦断面図。
【図7】第3実施例の可動体の縦断面図。
【図8】図7中のVIII部を拡大して示す図。
【図9】弁体がシート面に対して垂直に当接する様子を示す図。
【図10】図9中のX部を拡大して示す図。
【図11】弁体がシート面に対して傾いて当接する様子を示す図。
【図12】図11中のXII部を拡大して示す図。
【図13】第3実施例の弁体の当接面の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0041】
10、110、210:燃料供給弁
12:本体
14:フィルタ体
16:ステータコア
20:燃料流路
22:スプリングピン
24:圧縮ばね
26:非磁性ブッシュ
28:ストッパリング
30:弁ハウジング
32:板ばね
34:弁シート
34a:シート面
36:燃料吐出孔
40、140、240:弁体
41a:浸炭処理層
41b:窒化処理層
42、142、242:下流端面
46、146、246:当接面
48、148、248:側方孔
50、150、250:アーマチャ
60、160、260:可動体
62:電磁コイル
64:樹脂ケーシング
246a:平行部
246b:第1円弧部
246c:テーパ部
246d:第2円弧部
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料供給弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、従来の燃料供給弁が開示されている。この燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。
【0003】
この種の燃料供給弁では、燃料吐出孔が閉塞される際に、弁体が弁座部材に対して強く衝突する。このとき、弁体には大きな衝撃力が加わることから、弁体が変形したり摩耗したりすることがある。弁体に変形や摩耗が生じると、弁体は燃料吐出孔を完全に閉塞することができなくなる。
上記の問題に関して、特許文献1に記載の燃料供給弁では、弁体の表面に窒化処理が施されており、弁体の表面に高硬度の窒化処理層が形成されている。それにより、弁体の強度が高められている。
【0004】
【特許文献1】国際公開2003/042526号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化処理による窒化処理層は、比較的に高い硬度を有する一方で、その厚みが比較的に薄いという欠点を持つ。そのことから、弁体の表面に窒化処理を施すだけでは、弁体の強度を十分に高めることができず、弁体の変形や摩耗が依然として生じてしまう。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、弁体の変形や摩耗をより確実に防止することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって具現化される燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。弁体の表層部には、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が形成されている。そして、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されている。
【0007】
この燃料供給弁では、弁体の表層部に、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が、比較的に厚く形成されている。そして、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されている。この構造により、弁体の表層部では、その硬度が表面側に向かって段階的に高められている。それにより、弁体の変形や摩耗が効果的に防止される。また、表面処理層の耐久性が高められ、表面処理層の破損や剥離を防止することができる。
【0008】
前記した第1表面処理は浸炭処理であるとともに、前記した第2表面処理は窒化処理であることが好ましい。
弁体の表面に浸炭処理を施すと、弁体の表層部に高硬度の浸炭処理層を形成することができる。浸炭処理による浸炭処理層は、比較的に厚く形成されることから、弁体の強度(剛性)を有意に高めることができる。さらに、弁体の表面に窒化処理を施すと、浸炭処理層の表層部に、より硬度の高い窒化処理層を形成することができる。弁体の表面が高硬度の窒化処理層によって被覆されることにより、弁体の強度がさらに高められるとともに、弁体の摩耗が顕著に防止される。
【0009】
前記したアクチュエータは、弁体に一体に形成されたアーマチャと、アーマチャに対向する位置に設けられたステータコアと、アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを用いて構成することができる。この場合、アーマチャには、第1表面処理層及び第2表面処理層の少なくとも一方が形成されていないことが好ましい。
アーマチャに第1表面処理層や第2表面処理層を形成すると、アーマチャの磁気特性に影響を与えることがあり、弁体の動作特性を低下させてしまう場合がある。そのことから、弁体とアーマチャが一体に形成されている場合は、第1表面処理や第2表面処理を行う際にアーマチャの表面をマスク材料で覆うなどして、アーマチャの表面に第1表面処理層や第2表面処理層が形成されることを防止するとよい。
【0010】
本発明によって具現化される第2の燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに、弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体に一体に形成されたアーマチャと、アーマチャに対して反弁座部材側に配設されたステータコアと、アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを備えている。弁体は非磁性材料によって形成されており、アーマチャは軟磁性材料によって形成されている。弁体を形成する非磁性材料は、アーマチャを形成する軟磁性材料よりも高い強度を有している。
【0011】
この燃料供給弁では、一体に形成された弁体とアーマチャが、それぞれの機能に応じて互いに異なる材料で構成されている。特に、弁体については、比較的に強度の高い非磁性材料によって構成されているので、その変形や摩耗が有意に防止される。ここで、弁体を構成する非磁性材料には、例えばオーステナイト系ステンレス鋼を好適に用いることができる。
【0012】
本発明によって具現化される第3の燃料供給弁は、燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、弁座部材に当接して燃料吐出孔を閉塞するとともに、弁座部材から離間して燃料吐出孔を開放する弁体と、弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備えている。弁座部材には、弁体が当接する平面状のシート面が形成されている。弁体には、弁座部材のシート面に当接する当接面が形成されている。その当接面には、弁座部材のシート面に平行な平行部と、その平行部の半径方向外側に設けられているとともに所定のテーパ角で傾斜するテーパ部が形成されている。
【0013】
弁座部材のシート面が平面である場合(いわゆるフラットバルブタイプの場合)、弁体が傾いた状態でシート面に当接すると、弁体の角部等がシート面に対して局所的に接触する。このとき、弁体には過大な応力が局所的に発生するため、弁体の変形や摩耗が発生しやすい。この問題に対し、弁体の当接面に上記したテーパ部が形成されていると、弁体が傾いた状態でシート面に当接した場合に、テーパ部がシート面に対して略平行に当接する。それにより、弁体の変形や摩耗が有意に抑制される。
【0014】
前記した弁体の当接面には、平行部とテーパ部との間に、第1曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第1円弧部が形成されていることが好ましい。また、テーパ面の周囲には、第2曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第2円弧部が形成されていることも好ましい。この場合、第1曲率半径の方が、第2曲率半径よりも大きいことが好ましい。
上記した構造によると、弁体が様々な角度で傾いてシート面に当接した場合でも、弁体がシート面に対して点接触することが防止されることから、弁体の変形や摩耗がより確実に抑制される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弁体の変形や摩耗が防止され、高い耐久性を有する燃料供給弁を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
下記に説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(特徴1) 本体は、ステータコアと、非磁性ブッシュと、弁ハウジングと、弁シートを備えている。ステータコアと非磁性ブッシュと弁ハウジングと弁シートのそれぞれは、貫通孔を有している。ステータコアと非磁性ブッシュと弁ハウジングと弁シートは一連に接続されており、ステータコアと非磁性ブッシュと弁ハウジングの貫通孔によって燃料流路が形成されているとともに、弁シートの貫通孔によって燃料吐出孔が形成されている。燃料は、ステータコアの貫通孔の上流端から流入し、弁シートの貫通孔の下流端から吐出される。
(特徴2) 可動体は、弁ハウジングの貫通孔内に収容されており、ステータコアと弁シートの間に位置している。可動体が弁シート側に移動すると、可動体に設けられた弁体が弁シートに当接し、燃料吐出孔が閉塞される。可動体がステータコア側に移動すると、可動体に設けられた弁体が弁シートから離間し、燃料吐出孔が開放される。
【実施例】
【0017】
(第1実施例)
本発明を具現化した第1実施例の燃料供給弁10について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施例の燃料供給弁10の縦断面図である。燃料供給弁10は、燃料電池とその燃料電池に水素ガスを供給する供給源との間に配設され、燃料電池に供給する水素ガスの供給量を調節する電磁制御弁である。
図1に示すように、燃料供給弁10は、本体12と、可動体60と、圧縮ばね24と、電磁コイル62を備えている。
【0018】
先ず、本体12の構成について説明する。本体12は、ステータコア16と、非磁性ブッシュ26と、弁ハウジング30と、弁シート34と、樹脂ケーシング64を備えている。本体12には、燃料(水素ガス)が流れる燃料流路20と、燃料を吐出する燃料吐出孔36が形成されている。
【0019】
ステータコア16は、略円筒形状を有しており、その中心部に貫通孔16aが形成されている。ステータコア16の貫通孔16aは、燃料流路20の上流部を構成している。ステータコア16の上流端(図1中の上端)は、図示しない外部の燃料供給装置に接続される。ステータコア16の貫通孔16aには、燃料中の異物を除去するためのフィルタ体14が配設されている。ステータコア16は、軟磁性材料で形成されており、詳しくは、電磁ステンレス鋼で形成されている。
【0020】
非磁性ブッシュ26は、略円筒形状を有しており、その中心部に貫通孔が形成されている。非磁性ブッシュ26の貫通孔の上流端(図1中の上端)には、ステータコア16の下流端(図1中の下端)が挿入されている。非磁性ブッシュ26とステータコア16は、全周に亘って溶接されており、非磁性ブッシュ26の貫通孔とステータコア16の貫通孔16aは気密に接続されている。非磁性ブッシュ26の貫通孔は、燃料流路20の中流部を構成している。非磁性ブッシュ26は、非磁性材料で形成されている。非磁性ブッシュ26の下流端(図1中の下端)には、フランジ26aが形成されている。
【0021】
弁ハウジング30は、略円筒形状を有しており、その中心部に貫通孔30aが形成されている。弁ハウジング30と非磁性ブッシュ26は、全周に亘って溶接されており、弁ハウジング30の貫通孔30aと非磁性ブッシュ26の貫通孔は気密に接続されている。弁ハウジング30の貫通孔30aは、燃料流路20の一部を構成している。弁ハウジング30は、軟磁性材料で形成されており、詳しくは、電磁ステンレス鋼で形成されている。
弁ハウジング30の貫通孔30a内には、内向きに伸びるストッパフランジ部30fが形成されている。ストッパフランジ部30fの上流側表面(図1中の上面)には、非磁性ブッシュ26の下流端に設けられたフランジ26aが当接している。ストッパフランジ部30fの下流側表面(図1中の下面)には、リング形状を有するストッパリング28が配設されている。
【0022】
弁シート34は、その中心部に燃料吐出孔36が形成された略円柱形状を有している。弁シート34の上流側部分(図1中の上側部分)は、弁ハウジング30の貫通孔30a内に挿入されている。弁シート34の外周面34bと弁ハウジング30の先端部30bは全周に亘って溶接され、気密に保持されている。弁ハウジング30は、燃料流路20の下流端に位置しており、弁ハウジング30の燃料吐出孔36が、燃料流路20の下流端に連なる構成となっている。
弁シート34の上流側端面(図1中の上側端面)34aは、可動体60が当接するシート面34aとなっている。シート面34aは平坦面であり、その中心部に燃料吐出孔36が開口している。
【0023】
樹脂ケーシング64は、ステータコア16、非磁性ブッシュ26、弁ハウジング30を取り囲むように設けられている。樹脂ケーシング64は、インサート成形によって形成されており、その内部に電磁コイル62が埋設されている。電磁コイル62は、ステータコア16を取り囲む位置に固定されている。樹脂ケーシング64には、コネクタ部66が形成されている。コネクタ部66には、複数の端子ピン68が設けられている。複数の端子ピン68には、電磁コイル62が電気的に接続されており、複数の端子ピン68を通じて電磁コイル62に通電されるように構成されている。コネクタ部66は、図示しないワイヤハーネスを介して外部の制御ユニットに接続される。
【0024】
本体12の燃料流路20内には、圧縮ばね24と、スプリングピン22が配設されている。圧縮ばね24は、後述する可動体60の上流側に位置している。スプリングピン22は、圧縮ばね24の上流側に位置しており、ステータコア16の貫通孔16aに圧入されている。圧縮ばね24の上流端(図1中の上端)は、スプリングピン22に当接しており、圧縮ばね24の下流端(図1中の下端)は、可動体60に当接している。圧縮ばね24は、圧縮された状態となっており、可動体60を弁シート34に向けて付勢している。
【0025】
次に、可動体60の構成について説明する。図1に示すように、可動体60は、弁ハウジング30の貫通孔30a内に収容されており、本体12の燃料流路20内に位置している。可動体60は、ステータコア16の下流側に位置するとともに、弁シート34の上流側に位置している。可動体60は、板ばね32によって支持されており、ステータコア16と弁シート34の間を移動可能となっている。可動体60は、弁体40とアーマチャ50を備えている。弁体40とアーマチャ50は、軟磁性材料(詳しくは電磁ステンレス鋼)によって一体に形成されている。
図2に示すように、可動体60には、中心孔56と、中心孔56の底部から放射状に伸びる複数の側方孔48が形成されている。可動体60の中心孔56及び側方孔48は、ステータコア16の貫通孔16aと弁ハウジング30の貫通孔30aを互いに連通している。ステータコア16の貫通孔16a内の燃料は、可動体60の中心孔56及び側方孔48を通じて、弁ハウジング30の貫通孔30aへと流れるようになっている。
【0026】
図1、図2に示すように、弁体40は、可動体60の下流側部分を構成しており、弁体40の下流端面42が、弁シート34のシート面34aに対向している。弁体40の下流端面42には、樹脂製のシール部材44と、そのシール部材44の周囲に形成された当接面46が形成されている。シール部材44及び当接面46は、弁シート34のシート面34aに当接し、燃料吐出孔36を気密に閉塞する。また、シール部材44は、弁体40がシート面34aに当接する際に、変形することによってその衝撃を緩和する。シール部材44には、リング状に伸びる突出部44aが形成されている。
【0027】
図1、図2に示すように、アーマチャ50は、可動体60の上流側部分を構成しており、ステータコア16の下流端に対向している。アーマチャ50の外周面には、フランジ部52が形成されている。アーマチャ50のフランジ部52は、弁ハウジング30に固定されたストッパリング28の下流側に位置している。アーマチャ50のフランジ部52は、可動体60がステータコア16側へ移動したときに、ストッパリング28に当接する。アーマチャ50のフランジ部52には、ゴム又は樹脂製の緩衝リング54が形成されている。緩衝リング54は、アーマチャ50のフランジ部52がストッパリング28に当接する際に、変形することによってその衝撃を緩和する。
【0028】
図3は、図2中のIII部を拡大して示している。図3に示すように、弁体40の表面には、浸炭処理と窒化処理の両者が施されており、浸炭処理層41aと窒化処理層41bが形成されている。弁体40の表面に浸炭処理を施すと、弁体40の表層部に高硬度の浸炭処理層41aを形成することができる。浸炭処理による浸炭処理層41aは、比較的に厚く形成されることから、弁体40の強度(剛性)を有意に高めることができる。さらに、弁体40の表面に窒化処理を施すと、浸炭処理層41aの表層部に、より高硬度の窒化処理層41bを形成することができる。弁体40の最表面がより高硬度の窒化処理層41bによって被覆されることにより、弁体40の強度がさらに高められるとともに、弁体40の摩耗が顕著に防止することができる。また、最表面の窒化処理層41bが比較的に厚い浸炭処理層41aによって支持されることから、窒化処理層41bが衝撃等によって剥離することも防止される。本実施例の浸炭処理層41aは、そのビッカース硬さが約700Hvとなっており、その厚みが略20μmとなっている。また、本実施例の窒化処理層41bは、そのビッカース硬さが約1100Hvとなっており、その厚みが略10μmとなっている。
上記した浸炭処理層41aと窒化処理層41bは、弁体40の表面のみに形成し、アーマチャ50の表面には形成しないことが好ましい。浸炭処理層41aと窒化処理層41bでは、磁性の消滅や低下が生じる。そのことから、アーマチャ50の表面に浸炭処理層41aや窒化処理層41bを形成すると、アーマチャ50の磁気特性を低下させてしまうことになる。そこで、本実施例では、上記した浸炭処理及び窒化処理を行う際に、アーマチャ50の表面にはマスキングを施し、アーマチャ50の表面に浸炭処理層41aと窒化処理層41bが形成されることを禁止している。
【0029】
以上、燃料供給弁10の構成について詳細に説明した。次に、燃料供給弁10の動作について説明する。電磁コイル62に通電されていない間、弁体40は圧縮ばね24によって弁シート34のシート面34aに押し付けられている。このとき、燃料吐出孔36は閉塞された状態となっており、燃料吐出孔36から燃料は吐出されない。
電磁コイル62に通電が行われると、電磁コイル62が磁場を発生し、ステータコア16及びアーマチャ50が励磁される。ステータコア16とアーマチャ50は互いに引き合い、アーマチャ50は弁体40とともにステータコア16側へ移動する。即ち、弁体40は弁シート34のシート面34aから離間する。このとき、燃料吐出孔36は開放された状態となっており、燃料吐出孔36から燃料が吐出される。
電磁コイル62への通電が中止されると、電磁コイル62による磁場が消滅し、ステータコア16とアーマチャ50の間の磁力も消滅する。弁体40は、圧縮ばね24による付勢力によって、弁シート34側へ移動する。弁体40は、弁シート34のシート面34aに押し付けられ、燃料吐出孔36を閉塞する。
【0030】
電磁コイル62への通電が中止され、弁体40によって燃料吐出孔36が閉塞される際に、弁体40は弁シート34のシート面34aに比較的に強く衝突する。このとき、弁体40には、大きな衝撃力が加えられる。本実施例の弁体40では、その表面に浸炭処理層41aと窒化処理層41bが形成されており、弁体40の強度及び耐磨耗性が効果的に高められている。そのことから、弁体40に大きな衝撃力が加えられた場合でも、弁体40の変形や磨耗が顕著に防止される。弁体40の変形や磨耗が顕著に防止されることで、閉弁時における燃料の漏洩等が防止される。
【0031】
(第2実施例)
次に、第2実施例の燃料供給弁110について説明する。図4は、第2実施例の燃料供給弁110の縦断面図である。第2実施例の燃料供給弁110は、可動体160を除いて、第1実施例の燃料供給弁10と同じ構成を備えている。
【0032】
図5は、本実施例の可動体160を示している。図5に示すように、第2実施例の可動体160では、弁体140とアーマチャ150が、異なる材料で形成されている。弁体140は、非磁性材料であって、オーステナイト系ステンレス鋼(詳しくはSUS304又はSUS316)によって形成されている。オーステナイト系ステンレス鋼は、高い強度を有しており、構造材料として幅広く用いられる材料である。一方、アーマチャ150は、第1実施例と同じく、軟磁性材料である電磁ステンレス鋼によって形成されている。即ち、本実施例では、弁体140を構成する材料が、アーマチャ150を構成する材料よりも、高い強度を有している。弁体140とアーマチャ150は、それぞれ個別に形成された後、溶接によって接合されている。なお、弁体140とアーマチャ150の接合は、ロウ付けによって行うこともできる。あるいは、弁体140とアーマチャ150の一方を他方に圧入し、両者を一体に結合する構造を採用することもできる。
なお、第2実施例の可動体160の他の構造については、第1実施例の可動体60と同じように構成されている。即ち、第2実施例の可動体160には、燃料が通過するための中心孔156と、中心孔156の底部から放射状に伸びる複数の側方孔148が形成されている。また、弁体140の下流端面142には、樹脂製のシール部材144と、そのシール部材144の周囲に形成された当接面146が形成されている。そして、アーマチャ150の外周面には、ストッパリング28に当接するフランジ部152が形成されている。アーマチャ150のフランジ部152には、ゴム又は樹脂製の緩衝リング154が形成されている。
【0033】
本実施例の燃料供給弁110では、弁体140とアーマチャ150を異なる材料でそれぞれ形成し、それらを互いに接合することによって可動体160を形成している。この構造によると、弁体140を形成する材料に非磁性材料を採用することも可能となり、弁体140をより強度の高い材料によって形成することが可能となる。それにより、弁体140が弁シート34のシート面34aに衝突し、弁体140に大きな衝撃力が加えられた場合でも、弁体140に変形や磨耗が生じることを防止することができる。弁体140の変形や磨耗が防止されることで、閉弁時における燃料の漏洩等が防止される。
【0034】
(第3実施例)
次に、第3実施例の燃料供給弁210について説明する。図6は、第3実施例の燃料供給弁210の縦断面図である。第3実施例の燃料供給弁210は、可動体260を除いて、第1実施例の燃料供給弁10と同じ構成を備えている。
【0035】
図7は、本実施例の可動体260を示している。図8は、図7中のVIII部を拡大して示している。図7、図8に示すように、第3実施例の可動体260では、第1実施例の可動体60と比較して、弁体240の下流端面242に形成された当接面246の形状が異なっている。本実施例の弁体240では、弁シート34のシート面34aに当接する当接面246に、平行部246aと、第1円弧部246bと、テーパ部246cと、第2円弧部246dが形成されている。平行部246aは、シール部材244の周囲に沿ってリング状に伸びる平面であり、同じく平面である弁シート34のシート面34aと平行になっている。テーパ部246cは、平行部246aの半径方向外側に形成されており、所定のテーパ角θで傾斜するテーパ面となっている。第1円弧部246bは、平行部246aとテーパ部246cの間に設けられており、第1曲率半径R1の円弧に沿って傾斜角度が変化する曲面となっている。第2円弧部246dは、テーパ部246cの周囲に設けられており、第2曲率半径R2の円弧に沿って傾斜角度が変化する曲面となっている。ここで、第1円弧部246bにおける第1曲率半径R1は、第2円弧部246dにおける第2曲率半径R2よりも大きい。上記したテーパ角θは、弁体40が傾き得る角度に応じて設定するとよく、例えば1°〜5°に設定することができる。
【0036】
図9から図12を参照し、本実施例の弁体240が弁シート34に当接する様子を説明する。図9は、弁体240が、弁シート34のシート面34aに対して垂直に当接した様子を示している。図10は、図9中のX部を拡大して示している。図9、図10に示すように、弁体240がシート面34aに対して垂直に当接した場合、弁シート34のシート面34aには、弁体240の当接面246に設けられた平行部246aが当接する。この場合、弁体240の当接面246に設けられた平行部246aが、弁シート34のシート面34aに対して略平行に接触することから、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。それにより、弁体240や弁シート34の変形や摩耗が防止される。
【0037】
次に、図11は、弁体240が、弁シート34のシート面34aに対して傾いて当接した様子を示している。図12は、図11中のXII部を拡大して示している。燃料供給弁210では、可動体260が板ばね32のみによって支持されているので、弁体240が、弁シート34のシート面34aに対して傾いて当接することがある。ここで、弁体240は、テーパ部246cのテーパ角θと等しい角度で傾いているものとする。図11、図12に示すように、弁体240がシート面34aに対して傾いて当接した場合、弁シート34のシート面34aには、弁体240の当接面246に設けられたテーパ部246cが当接する。この場合、弁体240の当接面246に設けられたテーパ部246cが、弁シート34のシート面34aに対して略平行に接触することから、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。それにより、弁体240や弁シート34の変形や摩耗が防止される。
なお、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して様々な角度で傾いて当接した場合、弁シート34のシート面34aには、弁体240の当接面246に設けられた第1円弧部246bや第2円弧部246dが当接することになる。それにより、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して角当たり(点接触)することが防止され、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。それにより、弁体240や弁シート34の変形や摩耗が防止される。
【0038】
図13は、弁体240に形成する当接面246の変形例を示している。図13に示すように、弁体240に形成する当接面246は、半径方向に沿って傾斜角度が楕円弧状に変化する曲面とすることもできる。この場合、当接面246の傾斜角度が、半径方向外側に向かって大きくなるように、楕円弧の形状を設定するとよい。即ち、当接面246を断面視したときの曲率半径Rが、半径方向外側に向かって小さくなるように、楕円弧の形状を設定するとよい。この構造によっても、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して傾いて当接した場合に、弁体240が弁シート34のシート面34aに対して角当たり(点接触)することが防止され、弁体240や弁シート34に過大な応力が局所的に生じることが防止される。
【0039】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例をさまざまに変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施例の燃料供給弁の縦断面図。
【図2】第1実施例の可動体の縦断面図。
【図3】図2中のIII部を拡大して示す図。
【図4】第2実施例の燃料供給弁の縦断面図。
【図5】第2実施例の可動体の縦断面図。
【図6】第3実施例の燃料供給弁の縦断面図。
【図7】第3実施例の可動体の縦断面図。
【図8】図7中のVIII部を拡大して示す図。
【図9】弁体がシート面に対して垂直に当接する様子を示す図。
【図10】図9中のX部を拡大して示す図。
【図11】弁体がシート面に対して傾いて当接する様子を示す図。
【図12】図11中のXII部を拡大して示す図。
【図13】第3実施例の弁体の当接面の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0041】
10、110、210:燃料供給弁
12:本体
14:フィルタ体
16:ステータコア
20:燃料流路
22:スプリングピン
24:圧縮ばね
26:非磁性ブッシュ
28:ストッパリング
30:弁ハウジング
32:板ばね
34:弁シート
34a:シート面
36:燃料吐出孔
40、140、240:弁体
41a:浸炭処理層
41b:窒化処理層
42、142、242:下流端面
46、146、246:当接面
48、148、248:側方孔
50、150、250:アーマチャ
60、160、260:可動体
62:電磁コイル
64:樹脂ケーシング
246a:平行部
246b:第1円弧部
246c:テーパ部
246d:第2円弧部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、
前記弁座部材に当接して前記燃料吐出孔を閉塞するとともに、前記弁座部材から離間して前記燃料吐出孔を開放する弁体と、
前記弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、
前記弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備え、
前記弁体の表層部には、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が形成されているとともに、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されていることを特徴とする燃料供給弁。
【請求項2】
前記第1表面処理は浸炭処理であり、
前記第2表面処理は窒化処理であることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給弁。
【請求項3】
前記アクチュエータは、弁体に一体に形成されたアーマチャと、アーマチャに対して反弁座部材側に配設されたステータコアと、アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを備え、
前記アーマチャには、前記第1表面処理層と前記第2表面処理層の少なくとも一方が形成されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給弁。
【請求項4】
燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、
前記弁座部材に当接して前記燃料吐出孔を閉塞するとともに、前記弁座部材から離間して前記燃料吐出孔を開放する弁体と、
前記弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、
前記弁体に一体に形成されたアーマチャと、
アーマチャに対して反弁座部材側に配設されたステータコアと、
アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを備え、
前記弁体は非磁性材料によって構成されているとともに、前記アーマチャは軟磁性材料によって構成されており、
前記弁体を構成する非磁性材料は、前記アーマチャを構成する軟磁性材料よりも高い強度を有することを特徴とする燃料供給弁。
【請求項5】
前記弁体は、オーステナイト系ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料供給弁。
【請求項6】
燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、
前記弁座部材に当接して前記燃料吐出孔を閉塞するとともに、前記弁座部材から離間して前記燃料吐出孔を開放する弁体と、
前記弁体を前記弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、
前記弁体を前記弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備え、
前記弁座部材には、前記弁体が当接する平面状のシート面が形成されており、
前記弁体には、前記弁座部材のシート面に当接する当接面が形成されており、
前記弁座部材の当接面には、弁座部材のシート面に平行な平行部と、その平行部の半径方向外側に設けられているとともに所定のテーパ角で傾斜するテーパ部が形成されていることを特徴とする燃料供給弁。
【請求項7】
前記弁座部材の当接面には、前記平行部と前記テーパ部の間に、第1曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第1円弧部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の燃料供給弁。
【請求項8】
前記弁体には、前記テーパ面の周囲に、第2曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第2円弧部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の燃料供給弁。
【請求項9】
前記第1曲率半径は、前記第2曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の燃料供給弁。
【請求項1】
燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、
前記弁座部材に当接して前記燃料吐出孔を閉塞するとともに、前記弁座部材から離間して前記燃料吐出孔を開放する弁体と、
前記弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、
前記弁体を弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備え、
前記弁体の表層部には、第1表面処理によって硬化された第1表面処理層が形成されているとともに、第1表面処理層の表層部には、第2表面処理によってさらに硬化された第2表面処理層が形成されていることを特徴とする燃料供給弁。
【請求項2】
前記第1表面処理は浸炭処理であり、
前記第2表面処理は窒化処理であることを特徴とする請求項1に記載の燃料供給弁。
【請求項3】
前記アクチュエータは、弁体に一体に形成されたアーマチャと、アーマチャに対して反弁座部材側に配設されたステータコアと、アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを備え、
前記アーマチャには、前記第1表面処理層と前記第2表面処理層の少なくとも一方が形成されていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料供給弁。
【請求項4】
燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、
前記弁座部材に当接して前記燃料吐出孔を閉塞するとともに、前記弁座部材から離間して前記燃料吐出孔を開放する弁体と、
前記弁体を弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、
前記弁体に一体に形成されたアーマチャと、
アーマチャに対して反弁座部材側に配設されたステータコアと、
アーマチャ及びステータコアを励磁する電磁コイルを備え、
前記弁体は非磁性材料によって構成されているとともに、前記アーマチャは軟磁性材料によって構成されており、
前記弁体を構成する非磁性材料は、前記アーマチャを構成する軟磁性材料よりも高い強度を有することを特徴とする燃料供給弁。
【請求項5】
前記弁体は、オーステナイト系ステンレス鋼によって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料供給弁。
【請求項6】
燃料吐出孔が形成されている弁座部材と、
前記弁座部材に当接して前記燃料吐出孔を閉塞するとともに、前記弁座部材から離間して前記燃料吐出孔を開放する弁体と、
前記弁体を前記弁座部材に当接する位置に向けて付勢している付勢部材と、
前記弁体を前記弁座部材から離間する位置に向けて動かすアクチュエータを備え、
前記弁座部材には、前記弁体が当接する平面状のシート面が形成されており、
前記弁体には、前記弁座部材のシート面に当接する当接面が形成されており、
前記弁座部材の当接面には、弁座部材のシート面に平行な平行部と、その平行部の半径方向外側に設けられているとともに所定のテーパ角で傾斜するテーパ部が形成されていることを特徴とする燃料供給弁。
【請求項7】
前記弁座部材の当接面には、前記平行部と前記テーパ部の間に、第1曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第1円弧部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の燃料供給弁。
【請求項8】
前記弁体には、前記テーパ面の周囲に、第2曲率半径の円弧に沿って傾斜角度が変化する第2円弧部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の燃料供給弁。
【請求項9】
前記第1曲率半径は、前記第2曲率半径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の燃料供給弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−14052(P2010−14052A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175842(P2008−175842)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
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