説明

燃料消費量演算システム及び燃料消費量演算方法

【課題】煩わしい入力を必要とせずに、複数の車両間における総燃料消費量又は総排出ガス量の順位を各車両のユーザに伝達することが可能な燃料消費量演算システムの提供。
【解決手段】車載機と、前記車載機と通信可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な外部サーバとを含む燃料消費量演算システムであって、所定の走行区間における総燃料消費量又は総排出ガス量を、車載機から取得する各種の情報と携帯機自身で導出する各種情報に基づいて携帯機が演算し、携帯機から取得する該演算結果を外部サーバが受信し、該外部サーバは、複数車両について取得した総燃料消費量又は総排出ガス量に基づいて、総燃料消費量又は総排出ガス量の順位を決定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機と、車載機と通信可能な携帯端末と、携帯端末と通信可能な外部サーバとを含む燃料消費量演算システム及び燃料消費量演算方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のユーザの所有する携帯電話の位置検出機能によって検出した位置情報と、ユーザにより入力された給油情報をシステム管理サーバに送信し、当該システム管理サーバが、携帯電話から送信された位置情報に基づいて車両の運送ルートを特定し、当該特定した運送ルートの走行距離と、携帯電話から送信された給油情報とに基づいて、車両の燃費を算出するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−174344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のシステムでは、ユーザは給油情報を入力する必要があり、煩わしいという問題がある。また、他の車両との間で燃費を比較できないので、燃費を向上させようとする動機付けがユーザに働き難いという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、煩わしい入力を必要とせずに、複数の車両間における総燃料消費量又は総排出ガス量の順位を各車両のユーザに伝達することが可能な燃料消費量演算システム燃料消費量演算方法等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、車載機と、前記車載機と通信可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な外部サーバとを含む燃料消費量演算システムであって、
前記車載機は、
車両の燃料消費量を示す燃料消費量情報を検出する燃料消費量情報検出部と、
前記燃料消費量情報検出部により検出された燃料消費量情報を前記携帯端末に送信する燃料消費量情報送信部とを備え、
前記携帯端末は、
現在位置を示す現在位置情報を検出する現在位置情報検出部と、
スタート地点とゴール地点を含む走行区間情報を前記外部サーバから受信する走行区間情報取得部と、
前記車載機の燃料消費量情報送信部から送信された燃料消費量情報を受信する燃料消費量情報受信部と、
前記燃料消費量情報受信部により受信された燃料消費量情報と、前記現在位置情報検出部により検出された現在位置情報と、前記走行区間情報取得部により取得された走行区間情報とに基づいて、前記スタート地点から前記ゴール地点までの総燃料消費量を演算する総燃料消費量演算部と、
前記総燃料消費量演算部により演算された総燃料消費量を前記外部サーバに送信する総燃料消費量送信部とを備え、
前記外部サーバは、
前記携帯端末の総燃料消費量送信部により送信された総燃料消費量を受信する総燃料消費量受信部と、
前記総燃料消費量受信部により受信された複数の車両に係る前記総燃料消費量に基づいて、複数の車両に係る前記総燃料消費量を集計し、該複数の車両の中での前記総燃料消費量の順位を決定する順位決定部とを備える、燃料消費量演算システムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、煩わしい入力を必要とせずに、複数の車両間における総燃料消費量又は総排出ガス量の順位を各車両のユーザに伝達することが可能な燃料消費量演算システム等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による燃料消費量演算システム1の一実施例を示す全体システム図である。
【図2】車載機10の要部構成を示す図である。
【図3】携帯端末20の要部構成を示す図である。
【図4】外部サーバ30の要部構成を示す図である。
【図5】燃料消費量演算システム1で実施される主要な処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】表示装置24の表示例を示す図である。
【図7】過去の結果との比較表示例を示す図である。
【図8】スタート地点の通過及びゴール地点の到達の判定方法の説明図である。
【図9】携帯端末20の演算処理装置27におけるCO排出量演算処理のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本発明による燃料消費量演算システム1の一実施例を示す全体システム図である。燃料消費量演算システム1は、車載機10と、車載機10と通信可能な携帯端末20と、携帯端末20と通信可能な外部サーバ30とを含む。
【0011】
車載機10は、複数の車両にそれぞれ搭載され、図示の例では、2台の車両X,Yにそれぞれ搭載される。また、携帯端末20は、複数の車両にそれぞれに関連して存在し、図示の例では、2台の車両X,Yにそれぞれ関連して存在する。携帯端末20は、対応する車両のユーザが所持する携帯端末であり、典型的には、対応する車両のユーザが所有する携帯電話である。携帯端末20は、以下で説明する機能を有する限り、携帯電話以外にも、PDA(personal digital assistant)などの他の形態の携帯端末であってもよい。外部サーバ30は、車両の外部(遠隔位置)に設置される。外部サーバ30は、管轄領域毎(例えば、関東地域や関西地域のような地域毎)に設けられてもよい。
【0012】
車載機10と携帯端末20との間では双方向の通信が可能である。この通信は、例えばBluetooth(登録商標)に基づいて実現されてもよい。或いは、この通信は、車載機10と携帯端末20との間の有線接続により実現されてもよい。また、携帯端末20と外部サーバ30との間では双方向の通信が可能である。この通信は、携帯電話回線網A,Bやインターネット網E,C,D(図1参照)を介して実現されてもよい。
【0013】
図2は、車載機10の要部構成を示す図である。車載機10は、EFI・ECU(電子制御ユニット)12と、GATEWAY(ゲートウェイ)・ECU13とを備える。尚、各ECU12、13は、それぞれ、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータとして構成されている。ROMには、CPUが実行する各種プログラムやそれに使用する各種データが格納されている。
【0014】
EFI・ECU12は、車両の原動機11のエネルギ供給量を演算するコンピューターである。原動機11は、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、及び、これらとモータとを組み合わせたハイブリッド式原動機のいずれであってよい。EFI・ECU12は、原動機11のエネルギ供給量として、エンジンの全気筒への所定時間あたりの燃料噴射量を演算してもよい。燃料噴射量は、制御値に基づいて演算されてもよい。
【0015】
GATEWAY・ECU13は、EFI・ECU12により検出(演算)されたエネルギ供給量情報を携帯端末20に送信する装置である。尚、送信方法は、上述の如く無線であっても有線であってもよい。
【0016】
図3は、携帯端末20の要部構成を示す図である。携帯端末20は、表示装置24と、GPS受信機25と、記憶装置26と、演算処理装置27と、送受信装置28とを含む。
【0017】
表示装置24は、液晶ディスプレイ等により構成されてよい。GPS受信機25は、GPS衛星からの信号を受信して、携帯端末20の位置を測位する。測位方法は、単独測位や干渉測位を含む任意の方法であってよい。演算処理装置27は、CPUを含み、記憶装置26には、演算処理装置27が実行する各種プログラムやそれに使用する各種データが格納されている。記憶装置26は、EEPROMやハードディスクドライブ(HDD)のような補助記憶装置及びRAMのような主記憶装置により構成されてもよい。送受信装置28は、車載機10との間の通信及び外部サーバ30との間の通信を実現する。送受信装置28は、また、インターネット上のウエブサイトにアクセスするインターネット機能を有してよい(図1の符号C,D参照)。
【0018】
図4は、外部サーバ30の要部構成を示す図である。外部サーバ30は、送受信装置32と、演算処理装置34と、記憶装置36とを含む。演算処理装置34は、CPUを含み、記憶装置36には、演算処理装置34が実行する各種プログラムやそれに使用する各種データが格納されている。記憶装置36は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置及びRAMのような主記憶装置により構成されてもよい。送受信装置32は、携帯端末20との間の通信及びユーザ端末50(図1参照)との間の通信を実現する。尚、ユーザ端末50は、例えばユーザの自宅や会社等に設置されるコンピューターであってよい。外部サーバ30の送受信装置32とユーザ端末50との間の接続は、例えばインターネットを介して実現されてもよい(図1の符号E,F参照)。
【0019】
次に、燃料消費量演算システム1の全体動作について、図1を参照して説明する。
【0020】
ここでは、各車両のCO排出量を、対応する車両のユーザの携帯端末20を介して外部サーバ30にて集計(共有)し、複数のユーザ(車両)間でCO排出量を比較・競争するエコレースの概要を説明する。
【0021】
エコレースの主催者(個人又は法人、団体)は、外部サーバ30を使用し、インターネット網(E,F,C,D)や携帯電話回線網(B)を介してメールや広告を出し、不特定多数のユーザにエコレースの開催を告知する。ここでの、告知内容は、エコレースの実施期間、スタート地点及びゴール地点を含む情報を含む。参加希望のユーザは、外部サーバ30のホームページに必要な情報を入力しエントリする。ここでエントリに必要な情報は、携帯端末20のID、メールアドレス、エントリ対象の車両に関する情報を含む。主催者は、エントリしたユーザに対して外部サーバ30を介し、携帯電話回線網(B)を介してスタート(通過)地点の座標及びゴール地点の座標並びにエコレースの有効期間の情報を送信する。エントリした各ユーザは、自身の車両の車載機10に自身の携帯端末20を接続(無線接続を含む)し、車載機10及び携帯端末20のCO排出量計算機能を作動させる。CO排出量計算機能の作動時、携帯端末20は、GPS受信機25により車両(正確には当該車両内にユーザに付帯して存在する携帯端末20)のスタート地点の通過を検知すると、GPS受信機25により車両がゴール地点に到達するまで、車載機10からエネルギ消費量の情報を取得してCO排出量を積算する。携帯端末20は、GPS受信機25によりゴール地点を判定すると、CO排出量の積算を終了して、スタート地点からゴール地点までの総CO排出量を得る。携帯端末20は、スタート地点からゴール地点までの総CO排出量を得ると、携帯電話回線網(A)を介して総CO排出量を外部サーバ30にアップデートする。外部サーバ30は、このようにして各ユーザ(エントリを行って走行を行った各ユーザ)からアップデートされた総CO排出量を集計し、各ユーザ間において総CO排出量の順位を決定し(ランキングを決定し)、インターネット上のホームページに掲載する。掲載された順位(ランキング)は、インターネット網(E,F)や携帯電話回線網(C,D)を介して公開される。
【0022】
次に、上述のエコレースの詳細について説明する。
【0023】
図5は、燃料消費量演算システム1で実施される主要な処理の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、前提として、ユーザは携帯電話20を車両に持ち込み、車両の車載機10に接続しているものとする。
【0024】
ステップ500では、外部サーバ30の送受信装置32から、エコレースにエントリした各ユーザの携帯端末20にスタート(通過)地点の座標及びゴール地点の座標等の情報が送信される。
【0025】
続くステップ502乃至510の処理は、エントリしたユーザ毎に実行される。即ち、エントリした各ユーザの車両の車載機10及び携帯端末20によりユーザ毎にそれぞれ独立して実行される。ここでは、図1に示す例に対応して車両X及び車両Yのそれぞれにおいて実行される。
【0026】
ステップ502では、携帯端末20の送受信装置28により、外部サーバ30からスタート地点の座標等の情報が受信される。この情報は、携帯端末20の記憶装置26に記憶される。尚、前提として、携帯端末20の演算処理装置27は、外部サーバ30から得たエコレースの有効期間の情報に基づいて、現在がエコレースの有効期間内であることを確認する。現在がエコレースの有効期間内である場合は、ステップ504に進み、現在がエコレースの有効期間外である場合は、そのまま終了してよい。
【0027】
ステップ504では、携帯端末20の演算処理装置27は、GPS受信機25から得られる現在位置(=現在車両位置)と、外部サーバ30から得たスタート地点の座標とに基づいて、車両がスタート地点を通過したか否か(即ちエコレース開始時点)を判定する。スタート地点の判定方法は、後述する。車両がスタート地点を通過したと判定した場合は、ステップ506に進む。車両がスタート地点を通過していない判定した場合は、次の処理周期で同判定を再度実行する。
【0028】
ステップ506では、携帯端末20の演算処理装置27は、車載機10のGATEWAY・ECU13から、車載機10のEFI・ECU12にて演算された燃料噴射量の情報を、携帯端末20の送受信装置28を介して取得し、CO排出量を演算し積算していく。
【0029】
ステップ508では、携帯端末20の演算処理装置27は、GPS受信機25から得られる現在位置(=現在車両位置)と、外部サーバ30から得たゴール地点の座標とに基づいて、車両がゴール地点に到達したか否か(即ちエコレース終了時点)を判定する。ゴール地点の判定方法は、後述する。車両がゴール地点に到達したと判定した場合は、ステップ510に進み、車両がゴール地点に未だ到達していないと判定した場合は、ステップ506に戻り、CO排出量を演算・積算処理を継続する。
【0030】
ステップ510では、携帯端末20の演算処理装置27は、CO排出量を演算・積算処理を終了し、CO排出量の積算結果、即ちスタート地点からゴール地点までの総CO排出量を、携帯端末20の記憶装置26に記憶すると共に、携帯端末20の送受信装置28を介して外部サーバ30に送信する。この際、携帯端末20の演算処理装置27は、スタート地点からゴール地点までの走行距離についても外部サーバ30に送信することとしてもよい。
【0031】
ステップ512では、外部サーバ30の送受信装置32により、携帯端末20の送受信装置28から送られた総CO排出量の情報を受信する。外部サーバ30の演算処理装置34は、携帯端末20から送られた総CO排出量を、当該携帯端末20のIDに関連付けて記憶装置36に記憶する。外部サーバ30の演算処理装置34は、エコレースの有効期間が満了すると、記憶装置36から同一エコレースに関する全ての総CO排出量を読み出し、総CO排出量の順位を決定する。即ち、総CO排出量の少ない順にランキングを決定する。このランキングの結果は、インターネット網(E,F)や携帯電話回線網(C,D)を介して公開される。尚、ランキングの結果には、携帯端末20のIDと共に、車種やそのときの天候、ルートなどの付属情報が併せて公開されてもよい。
【0032】
尚、外部サーバ30の演算処理装置34は、エコレースの有効期間の満了前に、途中経過として、上述と同様の態様で総CO排出量の順位を決定し、ランキングの結果を公開してもよい。これにより、エコレースに参加するユーザは、事前に目標を立てるなどの対応を行うことができ、エコレースへの関心を高めることができる。
【0033】
これに対応して、携帯端末20の演算処理装置27は、スタート地点からゴール地点までの走行区間中に、現在のランキングの一位のCO排出量と、現在の自車両のCO排出量(途中経過)を比較できるような表示(図6参照)を、携帯端末20の表示装置24に表示させてもよい。この目的のため、CO排出量は、スタート地点からゴール地点までの間の一定区間(距離)毎に算出され外部サーバ30に送信されてもよい。図6に示す表示例では、表示領域T1には、ゴール地点までの直線距離が表示される。即ち、スタート地点からゴール地点の直線距離に対する、現在位置からゴール地点までの直線距離の割合が表示される。スタート地点からゴール地点の直線距離は、地球の表面を楕円体と近似表現し、それら2地点の緯度、経度、高度(高さ)からなる局座標情報を直交座標に変換して算出してもよい。この変換方法は、広く知られておりここでは詳説しない。表示領域T2には、現在のCO排出量の積算量(途中経過)が表示される。表示領域T3は、20個のセグメントからなり、表示領域T4は、表示領域T3の下方に位置する同20個のセグメントからなる。表示領域T5は、表示領域T3から連続する5つのセグメントからなる。表示領域T3では、現地点のCO排出量の積算量(途中経過)に応じた数のセグメントが点灯される。表示領域T4では、現地点に対応する地点でのランキング1位のCO排出量の積算量に応じたセグメントが点灯される。表示領域T5では、例えば現地点のCO排出量の積算量がランキング1位のCO排出量の積算量を超えた場合等に、その超えた分に応じた数のセグメントが点灯される。表示領域T6には、現地点のCO排出量の積算量(途中経過)と、現地点に対応する地点でのランキング1位のCO排出量の積算量との間の差分が、数値として表示される。これにより、ユーザは、現在の途中経過を容易に把握することができ、経路途中で今後の走行態様を見直す等、エコレースをリアルタイムに楽しむことができる。
【0034】
また、携帯端末20の演算処理装置27は、携帯端末20の記憶装置26に記憶された過去の総CO排出量を読み出し、今回の総CO排出量と比較できる態様で、携帯端末20の表示装置24に表示させてもよい。表示態様は、図6に示したものと実質的に同様であってよい。或いは、図7に示すように、過去の最も良い結果と、今回の結果とを区間毎のプロット図(折れ線グラフ)で対比表示してもよい。これにより、各ユーザは、自身の過去の結果と今回の結果を容易に比較することができる。
【0035】
図8は、スタート地点の通過及びゴール地点の到達の判定方法の一例の説明図である。スタート地点の通過及びゴール地点の到達の判定方法としては、例えば図8に示すように、スタート地点又はゴール地点に対して現在車両位置B(x、y)の距離rが所定距離r0となった場合に、スタート地点の通過及びゴール地点の到達があったと判定されてもよい。例えば、車速100km/hで走行中、GPSの座標演算更新間隔を100msecとすると、GPSの演算周期に起因した誤差は約2.8mである。これに、GPS測位自体の誤差(例えば10m)を考慮すると、所定距離r0は、20mであってよい。
【0036】
図9は、携帯端末20の演算処理装置27におけるCO排出量演算処理のブロック図である。
【0037】
演算処理装置27では、図9に示すように、燃料噴射量Q[l/sec]、計算周期T[sec]及びCO換算係数K[g/l]の積により、即ちCO排出量=Q・T・Kにより、CO排出量が演算される。燃料噴射量Qは、上述の如く車載機10のEFI・ECU12にて演算され、車載機10のGATEWAY・ECU13から携帯端末20の演算処理装置27に供給される。計算周期Tは、任意に設定する値であり、コンピューターの処理能力と燃料噴射量の変動量から決定する。計算周期Tは、例えば0.05sec〜0.1secの値であってよい。計算周期Tは、車両の原動機11の使用エネルギで決まる値であり、ガソリンエンジンの場合はおよそ2300g/lである。
【0038】
以上説明した本実施例の燃料消費量演算システム1によれば、とりわけ、以下のような優れた効果が奏される。
【0039】
上述の如く、各車両における同一のスタート地点からゴール地点までの総CO排出量を、対応する車両のユーザの携帯端末20を介して外部サーバ30にて集計(共有)し、複数のユーザ(車両)間で総CO排出量のランキングを決定することで、各ユーザは、自身がどの程度環境に優しい運転を行っているかを他のユーザとの相対的な関係で容易に把握することができる。また、各ユーザは、エコレースを介した競争を介して、環境に優しい運転を行う動機付けを持つことができ、各ユーザに、CO排出量低減に対する高い意識を持ってもらうことが可能となる。また、各ユーザは、簡易なエントリ作業だけエコレースに参加でき、ユーザが燃料消費量等を入力する必要が無く煩わしさも最小限に抑えることができる。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0041】
例えば、上述した実施例において、エコレースのスタート地点及びゴール地点は、任意に設定され、複数のエコレース区間に対してそれぞれ設定されてもよい。エコレース区間のスタート地点及びゴール地点は、多数の車両が通過する地点であることが望ましく、例えば、高速道路のインターチェンジの各地点であってもよい。また、複数のエコレース区間が設定されている場合は、ユーザがエントリ時にどのエコレースに参加するかを選択してもよい。即ち、ユーザは、エントリ時に、自身の現在位置や目的地等に応じて適切なエコレース区間を選択することとしてもよい。
【0042】
また、上述した実施例では、燃料噴射量からCO排出量に換算して、スタート地点からゴール地点までの総CO排出量のランキングを決定しているが、かかる換算を行わず、スタート地点からゴール地点までの総燃料噴射量のランキングを決定してもよい。また、CO排出量に代えて、COに加えてメタン、一酸化二窒素を含む温室効果ガスの排出量を使用してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 燃料消費量演算システム
10 車載機
11 原動機
12 EFI・ECU
13 GATEWAY・ECU
20 携帯端末
24 表示装置
25 GPS受信機
26 記憶装置
27 演算処理装置
28 送受信装置
30 外部サーバ
32 送受信装置
34 演算処理装置
36 記憶装置
50 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機と、前記車載機と通信可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な外部サーバとを含む燃料消費量演算システムであって、
前記車載機は、
車両の燃料消費量を示す燃料消費量情報を検出する燃料消費量情報検出部と、
前記燃料消費量情報検出部により検出された燃料消費量情報を前記携帯端末に送信する燃料消費量情報送信部とを備え、
前記携帯端末は、
現在位置を示す現在位置情報を検出する現在位置情報検出部と、
スタート地点とゴール地点を含む走行区間情報を前記外部サーバから受信する走行区間情報取得部と、
前記車載機の燃料消費量情報送信部から送信された燃料消費量情報を受信する燃料消費量情報受信部と、
前記燃料消費量情報受信部により受信された燃料消費量情報と、前記現在位置情報検出部により検出された現在位置情報と、前記走行区間情報取得部により取得された走行区間情報とに基づいて、前記スタート地点から前記ゴール地点までの総燃料消費量を演算する総燃料消費量演算部と、
前記総燃料消費量演算部により演算された総燃料消費量を前記外部サーバに送信する総燃料消費量送信部とを備え、
前記外部サーバは、
前記携帯端末の総燃料消費量送信部により送信された総燃料消費量を受信する総燃料消費量受信部と、
前記総燃料消費量受信部により受信された複数の車両に係る前記総燃料消費量に基づいて、複数の車両に係る前記総燃料消費量を集計し、該複数の車両の中での前記総燃料消費量の順位を決定する順位決定部とを備える、燃料消費量演算システム。
【請求項2】
車載機と、前記車載機と通信可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な外部サーバとを含む燃料消費量演算システムであって、
前記車載機は、
車両の燃料消費量を示す燃料消費量情報を検出する燃料消費量情報検出部と、
前記燃料消費量情報検出部により検出された燃料消費量情報を前記携帯端末に送信する燃料消費量情報送信部とを備え、
前記携帯端末は、
現在位置を示す現在位置情報を検出する現在位置情報検出部と、
スタート地点とゴール地点を含む走行区間情報を前記外部サーバから受信する走行区間情報取得部と、
前記車載機の燃料消費量情報送信部から送信された燃料消費量情報を受信する燃料消費量情報受信部と、
前記燃料消費量情報受信部により受信された燃料消費量情報と、前記現在位置情報検出部により検出された現在位置情報と、前記走行区間情報取得部により取得された走行区間情報とに基づいて、前記スタート地点から前記ゴール地点までの総排出ガス量を演算する総排出ガス量演算部と、
前記総排出ガス量演算部により演算された総排出ガス量を前記外部サーバに送信する総排出ガス量送信部とを備え、
前記外部サーバは、
前記携帯端末の総排出ガス量送信部により送信された総排出ガス量を受信する総排出ガス量受信部と、
前記総排出ガス量受信部により受信された総排出ガス量に基づいて、複数の車両に係る前記総排出ガス量を集計し、該複数の車両の中での前記所定の走行区間における前記総排出ガス量の順位を決定する順位決定部とを備える、燃料消費量演算システム。
【請求項3】
前記総排出ガス量演算部により演算される総排出ガス量は、温室効果ガスの総排出量である、請求項2に記載の燃料消費量演算システム。
【請求項4】
前記温室効果ガスは、二酸化炭素である、請求項3に記載の燃料消費量演算システム。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の燃料消費量演算システムで用いられる携帯端末。
【請求項6】
車載機と、前記車載機と通信可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な外部サーバとを用いた燃料消費量演算方法であって、
前記車載機において実行され、車両の燃料消費量を示す燃料消費量情報を検出する燃料消費量情報ステップと、
前記車載機において実行され、前記燃料消費量情報検出ステップにより検出された燃料消費量情報を前記携帯端末に送信する燃料消費量情報送信ステップと、
前記携帯端末において実行され、現在位置を示す現在位置情報を検出する現在位置情報検出ステップと、
前記携帯端末において実行され、スタート地点とゴール地点を含む走行区間情報を前記外部サーバから受信する走行区間情報取得ステップと、
前記携帯端末において実行され、前記車載機の燃料消費量情報送信ステップで送信された燃料消費量情報を受信する燃料消費量情報受信ステップと、
前記携帯端末において実行され、前記燃料消費量情報受信ステップで受信された燃料消費量情報と、前記現在位置情報検出ステップで検出された現在位置情報と、前記走行区間情報取得ステップで取得された走行区間情報とに基づいて、前記スタート地点から前記ゴール地点までの総燃料消費量を演算する総燃料消費量演算ステップと、
前記携帯端末において実行され、前記総燃料消費量演算ステップで演算された総燃料消費量を前記外部サーバに送信する総燃料消費量送信ステップと、
前記外部サーバにおいて実行され、前記携帯端末の総燃料消費量送信ステップで送信された総燃料消費量を受信する総燃料消費量受信ステップと、
前記外部サーバにおいて実行され、前記総燃料消費量受信ステップで受信された複数の車両に係る前記総燃料消費量に基づいて、複数の車両に係る前記総燃料消費量を集計し、該複数の車両の中での前記総燃料消費量の順位を決定する順位決定ステップとを備える、燃料消費量演算方法。
【請求項7】
車載機と、前記車載機と通信可能な携帯端末と、前記携帯端末と通信可能な外部サーバとを用いた燃料消費量演算方法であって、
前記車載機において実行され、車両の燃料消費量を示す燃料消費量情報を検出する燃料消費量情報ステップと、
前記車載機において実行され、前記燃料消費量情報検出ステップにより検出された燃料消費量情報を前記携帯端末に送信する燃料消費量情報送信ステップと、
前記携帯端末において実行され、現在位置を示す現在位置情報を検出する現在位置情報検出ステップと、
前記携帯端末において実行され、スタート地点とゴール地点を含む走行区間情報を前記外部サーバから受信する走行区間情報取得ステップと、
前記携帯端末において実行され、前記車載機の燃料消費量情報送信ステップで送信された燃料消費量情報を受信する燃料消費量情報受信ステップと、
前記携帯端末において実行され、前記燃料消費量情報受信ステップで受信された燃料消費量情報と、前記現在位置情報検出ステップで検出された現在位置情報と、前記走行区間情報取得ステップで取得された走行区間情報とに基づいて、前記スタート地点から前記ゴール地点までの総排出ガス量を演算する総排出ガス量演算ステップと、
前記携帯端末において実行され、前記総排出ガス量演算ステップで演算された総排出ガス量を前記外部サーバに送信する総排出ガス量送信ステップと、
前記外部サーバにおいて実行され、前記携帯端末の総排出ガス量送信ステップで送信された総排出ガス量を受信する総排出ガス量受信ステップと、
前記外部サーバにおいて実行され、前記総排出ガス量受信ステップで受信された複数の車両に係る前記総排出ガス量に基づいて、複数の車両に係る前記総排出ガス量を集計し、該複数の車両の中での前記総排出ガス量の順位を決定する順位決定ステップとを備える、燃料消費量演算方法。
【請求項8】
コンピューターをして請求項6又は7に記載の燃料消費量演算方法の各ステップを実行させる指令を含むコンピュータープログラム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2010−250491(P2010−250491A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98218(P2009−98218)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】