説明

燃料電池システムとその運転方法

【課題】燃焼器を内部に有するとともに、燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置の燃焼排ガスと合流するよう構成された燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性を向上させる。
【解決手段】燃料電池13及び燃焼器3を備える燃料電池ユニット1と、燃焼器3から排出される燃焼排ガスが流れる第1の排ガス流路4と、制御器22とを備え、第1の排ガス流路4は、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置5からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路6が接続されたダクトに接続されており、制御器22は、燃焼装置5及び燃焼器3が共に燃焼しているときに燃焼器3に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するに伴い、燃焼装置5の出力を低下するよう制御する燃料電池システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼器を内部に有するとともに、排ガス流路が、燃焼装置と共通のダクトに接続される燃料電池システム関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の内部に配置された燃料電池を備える発電装置で生じた排ガスの排出性能を向上することを目的として、上下方向に延びるダクトに排ガス流路を接続する発電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、改質器より排出される可燃性ガスを燃焼器に供給して、燃焼させているときに、改質器から燃焼器に至るまでの流路に原料ガスと異なる他のガスを供給すると、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量が増加し、燃焼器の燃焼が不安定になる。そこで、燃焼器の燃焼安定性を向上するため、燃焼器に供給する燃焼用空気の量を増加させる燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、燃料電池に改質器で生成した水素含有ガスの供給を開始すると、燃焼器に供給されるガスの組成が変動し、燃焼器が失火する恐れがある。そこで、燃焼器に供給されるガスの組成が変動する際に、点火器を動作させ、仮に燃焼器で失火しても、速やかに再着火させる燃料電池システムが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−210631号公報
【特許文献2】国際公開第2007/119736号
【特許文献3】特開2004−210576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載された燃料電池システムでは、燃料電池の排ガスがダクトに接続するよう構成されている。このような発電装置の外部に熱負荷へ熱を供給するための燃焼装置(以下、燃焼装置)がある場合、燃焼装置の排ガス流路もダクトに接続されると想定される。このような形態において、燃焼装置が稼動し、ダクトを介して燃焼器の排ガス流路の背圧が高まると、燃焼器に必要量の燃焼用空気が供給できない可能性がある。
【0007】
ここで、特許文献2及び特許文献3に記載のような、燃料電池システムの燃焼器が燃焼不安定になる状況において、燃焼器の排ガス流路の背圧が高まると、より状況が悪化する可能性があるが、従来の燃料電池システムはその点について検討されていない。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、燃焼器を内部に有するとともに、燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置の燃焼排ガスと合流するよう構成された燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性が向上する燃料電池システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、燃料電池及び燃焼器を備える燃料電池ユニットと、前記燃焼器から排出される燃焼排ガスが流れる第1の排ガス流路と、制御器とを備え、前記第1の排ガス流路は、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路が接続されたダクトに接続されており、前記制御器は、前記燃焼装置及び前記燃焼器が共に燃焼しているときに前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するに伴い、前記燃焼装置の出力を低下するよう制御する。
【0010】
また、本発明の燃料電池システムの運転方法は、燃料電池ユニット内に設けられた燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置からの燃焼排ガスと合流するステップと、前記燃焼装置及び前記燃焼器が共に燃焼しているときに前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するステップと、前記動作の実行に伴い、前記燃焼装置の出力を低下させるステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、燃焼器を内部に有するとともに、燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置の燃焼排ガスと合流するよう構成された燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1に係る燃料電池システムの概略構成を模式的に示す図
【図2】実施の形態1に係る燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図
【図3】実施の形態1に係る燃料電池システムの動作の一例を示すフロー図
【図4】実施の形態1の第1変形例に係る燃料電池システムの動作の一例を示すフロー図
【図5】実施の形態1の第2変形例に係る燃料電池システムの動作の一例を示すフロー図
【図6】実施の形態1の第3変形例に係る燃料電池システムの動作の一例を示すフロー図
【図7】実施の形態2に係る燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図
【図8】実施の形態2に係る燃料電池システムの表示器の表示例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、具体的に実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1の燃料電池システムは、燃料電池及び燃焼器を備える燃料電池ユニットと、燃焼器から排出される燃焼排ガスが流れる第1の排ガス流路と、制御器とを備え、第1の排ガス流路は、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路が接続されたダクトに接続されており、制御器は、燃焼装置及び燃焼器が共に燃焼しているときに燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作の実行に伴い、燃焼装置の出力を低下するよう制御する。
【0015】
実施の形態1の燃料電池システムの運転方法は、燃料電池ユニット内に設けられた燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置からの燃焼排ガスと合流するステップと、燃焼器の着火動作を行うステップと、燃焼装置及び燃焼器が共に燃焼しているときに燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するステップと、前記動作の実行に伴い、燃焼装置の出力を低下させるステップとを備える。
【0016】
かかる構成により、燃焼器を内部に有するとともに、排ガス流路が、燃焼装置と共通のダクトに接続される燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性が向上する。
【0017】
ここで、第1の排ガス流路が第2の排ガス流路と「連通する」とは、第1の排ガス流路と第2の排ガス流路が直接、接続する形態と、第1の排ガス流路と第2の排ガス流路とがダクトを介して連通する形態とを含む。
【0018】
ここで、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作は、いずれの動作でも良く、燃焼器と連通している改質器に原料及び水蒸気の少なくともいずれか一方の供給を開始する動作、及び燃焼器と連通している燃料電池に改質器で生成された水素含有ガスの供給を開始する動作が挙げられる。
【0019】
ここで、燃焼装置の出力の低下には、燃焼装置の燃焼量の低下だけでなく燃焼装置の燃焼動作の停止も含む。
【0020】
実施の形態1の燃料電池システムは、制御器は、燃焼器の出力を低下させた後、燃焼装置の出力の制限を解除してもよい。
【0021】
実施の形態1の燃料電池システムの運転方法は、燃焼器の出力を低下させた後、燃焼装置の出力の制限を解除するステップを備えてもよい。
【0022】
かかる構成により、熱負荷需要に対して燃焼装置が必要な出力で運転できる状態に戻るので、好ましい。
【0023】
次に、実施の形態1における燃料電池システムの詳細について説明する。
【0024】
[構成]
図1は実施の形態1に係る燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図1に示すように、燃料電池システム101は、改質器12、燃料電池13及び燃焼器3を備える燃料電池ユニット1と、第1の排ガス流路4と、制御器22とを備える。
【0026】
燃料電池ユニット1は、改質器12、燃料電池13及び燃焼器3を備える。
【0027】
改質器12は、原料ガス及び水蒸気を用いた改質反応により水素含有ガスを生成する。改質反応は、原料ガス及び水蒸気を用いる改質反応であれば、いずれの種類であっても良く、水蒸気改質反応、及びオートサーマル反応等が例示される。原料ガスは、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含むガスであり、天然ガス、LPG、LNG、都市ガス等の炭化水素、及びメタノール等のアルコールが例示される。
【0028】
燃料電池13は、改質器12で生成された水素含有ガスを用いて発電する。燃料電池としては、いずれの種類であっても良く、高分子電解質形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、燐酸形燃料電池等が例示される。なお、本実施の形態の燃料電池システムは、燃料電池13が、固体酸化物形燃料電池である場合を例にしている。
【0029】
燃焼器3は、改質器から排出される可燃性ガスを燃焼する燃焼器である。なお、本実施の形態の燃料電池システムでは、燃焼器3で生成した燃焼排ガスにより改質器12が加熱されるよう構成されている。なお、燃料電池13が、固体酸化物形燃料電池である場合、燃焼器3の燃焼排ガスにより改質器12及び燃料電池13が加熱されるよう構成される。
【0030】
第1の排ガス流路4は、燃焼器3から排出される燃焼排ガスが流れるガス流路であり、第2の排ガス流路6と接続し。合流箇所21において、第1の排ガス流路4と第2の排ガス流路6とは合流している。合流後の第1の排ガス流路4及び第2の排ガス流路6は、ダクト11に接続し、ダクトを介して外気に燃焼排ガスが排出される。
【0031】
なお、第1の排ガス流路4と第2の排ガス流路6とが直接接続せず、図2に示すように第1の排ガス流路4と第2の排ガス流路6とがそれぞれ独立してダクト11に接続し、第1の排ガス流路4と第2の排ガス流路6とがダクト11を介して連通するよう構成されていてもよい。つまり、第1の排ガス流路4と第2の排ガス流路6とが連通していれば、いずれの形態であっても構わない。
【0032】
第2の排ガス流路6は、燃焼装置5からの燃焼排ガスが流れる流路である。
【0033】
燃焼装置5は、燃料ガスを燃焼させて、熱負荷(図示せず)に供給するための熱を発生する装置である。燃焼装置5として、ボイラー、給湯器等が例示される。燃焼装置5は、燃焼動作時に燃料ガスを燃焼させて水を含んだ燃焼排ガス(以下、燃焼排ガスという)を排出する。熱負荷(図示せず)としては、暖房、風呂、シャワー等が例示される。
【0034】
制御器22は、燃焼装置5の動作を制御する。制御器は、制御機能を有するものであればよく、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備える。演算処理部としては、MPU、CPUが例示される。記憶部としては、メモリーが例示される。制御器は、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。集中制御の場合は、制御器22が直接、燃焼装置5の制御を行い、分散制御の場合は、制御器22は、燃焼装置5の制御を行う制御器(図示せず)を介して間接的に燃焼装置5の制御を行う。
【0035】
なお、燃料電池ユニット1は、改質器12に原料ガスを供給する原料ガス供給器(図示せず)と、改質器12に水蒸気を供給する水蒸気供給器(図示せず)とを備える。
【0036】
原料ガス供給器は、改質器12に供給される原料ガスの流量を調整する。原料ガス供給器には、例えば、ポンプ及び流量調整弁の少なくともいずれか一方が用いられる。
【0037】
水蒸気供給器は、改質器12に供給される水蒸気の流量を調整する。水蒸気供給器は、蒸発器(図示せず)と水供給器(図示せず)とを備える。蒸発器は、図示されない加熱器で加熱するよう構成されてもよいし、燃焼器3の燃焼排ガスで加熱するよう構成してもよい。水供給器は、ポンプ及び流量調整弁の少なくともいずれか一方が用いられる。
【0038】
燃料電池システム101は、燃焼装置5のON(燃焼動作の実行)を検知する、図示されないON検知器を備える。ON検知器は、例えば、燃焼装置5から出力される燃焼装置5のON信号を取得する信号取得器、燃焼装置5から排出される燃焼排ガスの圧力を検知する圧力検知器等で構成される。
【0039】
なお、本例では、燃焼装置5及び第2の排ガス流路6を燃料電池システム101に含まれない構成として説明しているが、これらを燃料電池システム101に含む形態を採用しても構わない。
【0040】
[動作]
次に、以上のように構成された燃料電池システム101において、燃焼装置5及び燃焼器3が共に燃焼しているときに、燃焼器3と連通している改質器12に水蒸気の供給を開始する際の制御器22の制御を、図3を用いて説明する。
【0041】
ここで、燃焼器3と連通している改質器12とは、改質器12と燃焼器3とが連通した状態であることを意味する。従って、少なくとも改質器12と燃焼器3とは接続されており、さらに、改質器12と燃焼器3とを接続するガス流路に開閉弁が設けられている場合、この開閉弁は開放されている。
【0042】
図3は、本実施の形態の燃料電池システム101の動作の一例を示すフロー図である。
【0043】
燃料電池システム101は、起動時において、改質器12を経由した原料ガスを用いて燃焼器3を燃焼させ、改質器12を昇温している。この状態において、改質器12に水蒸気の供給を開始するに伴い以下の動作を実行する。なお、改質器12を経由した原料ガスは、燃料電池13をバイパスするバイパス流路を経由して燃焼器3に供給される。なお、このバイパス流路を設けず、改質器12及び燃料電池13を経由した原料ガスが燃焼器3に供給される形態を採用しても構わない。
【0044】
図3に示すように、制御器22は、ON検知器(図示せず)の検出値に基づき燃焼装置5がON(燃焼動作を実行)しているか否か判定する(ステップS1)。燃焼装置5がONしている場合(ステップS1においてYes)には、制御器22は、燃焼装置5の出力が低下するよう制御する(ステップS2)。本例では、燃焼装置5内に設けられた制御器(図示せず)に燃焼装置5の出力を制御するよう指示する。これにより、燃焼装置5は、制御器(図示せず)により燃焼装置5の出力が低下するように制御される。本例では、制御器(図示せず)により燃焼装置5に供給される可燃性ガスの供給量が低下するよう制御され、燃焼装置5の燃焼量が低下する。ここで、第2の排ガス流路6を流れる燃焼排ガスの流量が低下するため、第1の排ガス流路4の背圧も低下する。なお、燃焼装置5に供給される可燃性ガスの供給量の低下とともに燃焼用空気の供給量を低下させると、改質器12に水蒸気を供給する際に、第1の排ガス流路4の背圧がより低下して、好ましい。ここで、可燃性ガスの供給量及び燃焼用空気の供給量は、それぞれ、図示されない流量調整器により調整される。流量調整器としては、流量調整弁及びポンプのいずれか、もしくはこれらの組合せが用いられる。
【0045】
制御器22は、燃焼装置5の出力を低下させた後、水蒸気供給器(図示せず)を用いて改質器12への水蒸気の供給を開始する(ステップS3)。なお、本ステップにおいて、燃焼装置5の出力は、ステップS2で低下された出力以下で運転するよう出力が制限されている。改質器12に水蒸気の供給を開始した後、所定のタイミングで燃焼装置5の出力制限を解除する(ステップS4)。本例では、燃焼装置5の出力制限を解除する信号を燃焼装置5の制御器(図示せず)に出力する。燃焼装置5の制御器(図示せず)は、燃焼装置5の出力制限を解除するとともに、熱負荷需要に対して必要な熱を供給するための出力に変更する。
【0046】
なお、上記所定のタイミングは、適宜設定されるが、例えば、改質器12に水蒸気に供給を開始した後、燃焼器3の燃焼が安定するタイミングであってもよい。このタイミングの判定は、任意の手段を採用して構わない。例えば、改質器12への水蒸気の供給を開始してからの経過時間であってもよい。
【0047】
なお、本例では、燃焼装置5の出力を低下させた後に、改質器12への水蒸気の供給を開始するフローであるが、これらのタイミングは同時であってもよいし、逆であっても構わない。つまり、改質器12への水蒸気の供給を開始してから燃焼器3の燃焼が安定するまでの間の少なくとも一部において、燃焼装置5の出力が低下していれば、上記ステップS2及びS3を実行するタイミングは任意である。
【0048】
一方、ステップS1において、燃焼装置5がONしていない場合(ステップS1においてNo)には、制御器22は、水蒸気供給器(図示せず)により改質器12への水蒸気の供給を開始する(ステップS5)。
【0049】
なお、上記フローでは、ステップS4を実行しているが、ステップS4を実行せず、改質器12への水蒸気の供給を開始した後も、燃焼装置5の出力の制限を維持する形態を採用しても構わない。
【0050】
次に本実施の形態1における変形例を説明する。
【0051】
[第1変形例]
第1変形例の燃料電池システムは、実施の形態1の燃料電池システムにおいて、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作が、改質器に原料及び水蒸気の供給を開始する動作であることを特徴とする。
【0052】
第1変形例の燃料電池システムの運転方法は、実施の形態1の燃料電池システムの運転方法において、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作が、燃焼器と連通している改質器に原料及び水蒸気の供給を開始する動作であることを特徴とする。
【0053】
かかる構成により、燃焼器を内部に有するとともに、排ガス流路が、燃焼装置と共通のダクトに接続される燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性が向上する。
【0054】
ここで、燃焼器と連通している改質器とは、改質器と燃焼器とが連通した状態であることを意味する。従って、少なくとも改質器と燃焼器とは接続されており、さらに、改質器と燃焼器とを接続するガス流路に開閉弁が設けられている場合、この開閉弁は開放されている。
【0055】
第1変形例の燃料電池システムは、上記特徴以外は、実施の形態1の燃料電池システムと同様に構成されていてもよい。
【0056】
次に、第1変形例の燃料電池システム101について詳細に説明する。
【0057】
本変形例の燃料電池システム101は、実施の形態1の燃料電池システムと同様の構成を有するのでその説明を省略し、本変形例の燃料電池システム101の動作について説明する。
【0058】
図4は、実施の形態1の第1変形例における燃料電池システム101の動作の一例を示すフロー図である。
【0059】
燃料電池システム101は、起動時において、改質器12を経由せず供給された原料ガスを用いて燃焼器3を燃焼させ、改質器12を昇温している。この状態において、改質器12に原料ガス及び水蒸気の供給を開始するに伴い以下の動作を実行する。
【0060】
本変形例の燃料電池システム101は、図4に示すように、燃焼装置5の出力を低下した後に(ステップS2)、改質器12への原料及び水蒸気の供給を開始する(ステップS3)点、及び燃焼装置5がOFF(燃焼動作が停止)していることを検知したときに(ステップS1でNo)、改質器12への原料及び水蒸気の供給を開始する(ステップS3)点を除いては、図3と同様に動作する。
【0061】
[第2変形例]
第2変形例の燃料電池システムは、実施の形態1の燃料電池システムにおいて、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作が、燃焼器と連通している燃料電池に改質器で生成された水素含有ガスの供給を開始する動作であることを特徴とする。
【0062】
第2変形例の燃料電池システムの運転方法は、実施の形態1の燃料電池システムの運転方法において、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作が、燃焼器と連通している燃料電池に改質器で生成された水素含有ガスの供給を開始する動作であることを特徴とする。
【0063】
かかる構成により、燃焼器を内部に有するとともに、排ガス流路が、燃焼装置と共通のダクトに接続される燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性が向上する。
【0064】
ここで、燃焼器と連通している燃料電池とは、燃料電池のアノードガス流路と燃焼器とが連通した状態であることを意味する。従って、少なくとも燃料電池のアノードガス流路と燃焼器とは接続されており、さらに、燃料電池と燃焼器とを接続するガス流路に開閉弁が設けられている場合、この開閉弁は開放されている。
【0065】
本変形例の燃料電池システムは、上記特徴以外は、実施の形態1及び第1変形例のいずれかの燃料電池システムと同様に構成されていてもよい。
【0066】
次に、本変形例の燃料電池システム101について詳細に説明する。
【0067】
本変形例の燃料電池システム101は、実施の形態1の燃料電池システムと同様の構成を有するのでその説明を省略し、本変形例の燃料電池システム101の動作について説明する。
【0068】
図5は、実施の形態1の第2変形例における燃料電池システム101の動作の一例を示すフロー図である。
【0069】
燃料電池システム101は、起動時において、改質器12に原料ガス及び水蒸気を供給して水素含有ガスを生成するが、水素含有ガスの組成が安定するまで、燃料電池13への水素含有ガスの供給を待機している。改質器12から排出される水素含有ガスは、燃料電池13をバイパスするバイパス流路を経由して燃焼器3に供給され、燃焼器3で燃焼される。
【0070】
そして、水素含有ガスの組成が安定した後、改質器12から燃料電池13への水素含有ガスの供給を開始するに伴い以下の動作を実行する。
【0071】
本変形例の燃料電池システム101は、図5に示すように、燃焼装置5の出力を低下した後に(ステップS2)、改質器12から燃料電池13への水素含有ガスの供給を開始する(ステップS8)点、及び燃焼装置5がOFF(燃焼動作が停止)していることを検知したときに(ステップS1でNo)、改質器12から燃料電池13への水素含有ガスの供給を開始する(ステップS9)点を除いては、図3と同様に動作する。
【0072】
なお、改質器12から燃料電池13への水素含有ガスの供給を開始する際に、図示されない切替器によりバイパス流路から燃料電池13へのガス流路に切り替えてもよい。または、パイパス流路と燃料電池13へのガス流路との両方が燃焼器と連通した状態にしてもよい。
【0073】
[第3変形例]
第3変形例の燃料電池システムは、実施の形態1、第1変形例及び第2変形例の燃料電池システムのいずれかにおいて、燃焼装置の出力の低下として、燃焼装置の燃焼動作の停止を実行する。
【0074】
第3変形例の燃料電池システムの運転方法は、実施の形態1、第1変形例及び第2変形例の燃料電池システムのいずれかの運転方法において、燃焼装置の出力を低下させるステップとは、燃焼装置の燃焼動作を停止させるステップであることを特徴とする。
【0075】
かかる構成により、燃焼装置5の燃焼動作に起因する第1の排ガス流路4の背圧の上昇がなくなるため、燃焼装置5の燃焼量を低下する実施の形態1、第1変形例及び第2変形例のいずれかの燃料電池システムに比べ、燃焼器3の燃焼安定性が向上し、好ましい。
【0076】
第3変形例の燃料電池システムは、実施の形態1、第1変形例及び第2変形例の燃料電池システムにおいて、制御器は、燃焼装置の燃焼動作の停止後に燃焼装置内を燃焼用空気でポストパージした後、燃焼器への可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するよう制御してもよい。
【0077】
第3変形例の燃料電池システムの運転方法は、実施の形態1、第1変形例及び第2変形例のいずれかの燃料電池システムの運転方法において、燃焼装置の燃焼動作の停止後に燃焼装置内を燃焼用空気でポストパージした後、燃焼器への可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行してもよい。
【0078】
かかる構成により、燃焼装置5のポストパージに起因する第1の排ガス流路4の背圧の上昇がない状態で、燃焼器への可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作が実行されるため、ポストパージ中に着火動作を実行する場合に比べ、燃焼器3の燃焼安定性が向上し、より好ましい。
【0079】
本変形例の燃料電池システムは、上記特徴以外は、実施の形態1、第1変形例及び第2変形例のいずれかの燃料電池システムと同様に構成されていてもよい。
【0080】
次に、本変形例の燃料電池システム101を、燃焼器への可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作として実施の形態1の動作(改質器への水蒸気の供給開始)を実行する例について詳細に説明する。
【0081】
本変形例の燃料電池システム101は、実施の形態1の燃料電池システムと同様の構成を有するのでその説明を省略し、本変形例の燃料電池システム101の動作について説明する。
【0082】
図6は、実施の形態1の第3変形例における燃料電池システム101の動作の一例を示すフロー図である。
【0083】
本変形例の燃料電池システム101は、図6に示すように、燃焼装置5がON(燃焼動作を実行)していることを検知したときに(ステップS1でYes)、燃焼装置5の燃焼動作を停止すること(ステップS10)、改質器12への水蒸気供給を開始した後(ステップS3)、燃焼装置5の燃焼動作を再開する(ステップS11)点を除いては、図3と同様に動作する。
【0084】
なお、本例では、ステップS7において、制御器22が改質器12への水蒸気の供給を開始した後、所定のタイミングにおいて制御器22が燃焼装置5の燃焼動作を再開するよう制御している。しかしながら、ステップS7を設けずに、操作者の手動操作等により新規に運転再開の指示があるまでは、燃焼装置5を停止したままにする形態を採用しても構わない。
【0085】
なお、燃焼装置5の停止時には、停止動作として一般的に燃焼用空気によるポストパージが実行され、これにより第1の排ガス流路4の背圧が上昇するため、制御器22は、燃焼装置5よりポストパージ完了の信号を取得してから改質器12への水蒸気の供給を開始すするよう水蒸気供給器を制御することが好ましい。しかしながら、燃焼装置5の燃焼動作を停止する直前の背圧に比べてポストパージ中の背圧が低い場合は、ポストパージ中に改質器12に水蒸気の供給を開始する形態を採用しても構わない。
【0086】
(実施の形態2)
実施の形態2の燃料電池システムは、実施の形態1及び第1第3変形例のいずれかの燃料電池システムにおいて、制御器は、表示器の画面に燃焼装置の出力を低下させている旨を表示させる。
【0087】
かかる構成により、燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するに伴い、熱負荷において所望の熱量が得られなくても、使用者が誤って異常と判断しなくなるので好ましい。
【0088】
本実施の形態の燃料電池システムは、上記特徴以外は、実施の形態1及び第1第3変形例のいずれかの燃料電池システムと同様に構成されていてもよい。
【0089】
次に、本実施の形態の燃料電池システム101について詳細に説明する。
【0090】
図7は実施の形態3に係る燃料電池システムの概略構成の一例を示すブロック図である。
【0091】
図7に示すように、燃料電池システム101は、表示器10を備える。上記以外の構成で図1及び図2と同一の符号である構成については、実施の形態1の燃料電池システム101と同様に構成されているので、その説明を省略する。
【0092】
表示器10は、画面を有し、この画面に所定の情報を表示する。表示器10は、画面を有する表示器であればいずれの形態であってもよく、燃料電池システム101のリモコン等が例示される。
【0093】
本実施の形態の燃料電池システム101は、燃焼装置及び燃焼器が共に燃焼しているときに燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作の実行するに伴い燃焼装置5の出力を低下させる。
【0094】
上記のように燃焼装置5の出力を低下させているときに、制御器22が、表示器10の画面にその旨を表示させるよう制御する。表示形式は、任意であるが、例えば、テキスト、またはコード等で燃焼器3の着火動作のため燃焼装置5の出力を低下させている旨を表示させる。なお、燃焼装置5の出力の低下には、燃焼装置5の燃焼量の低下及び燃焼装置5の停止の少なくともいずれか一方が含まれる。
【0095】
図8は実施の形態3に係る燃料電池システムの表示器10の表示例を示す図である。
【0096】
燃焼装置5の燃焼量の低下として、燃焼装置5の燃焼量を低下させているときは、図7(a)に示すように表示器10の画面に、その旨が表示される。また、燃焼装置5の燃焼量の低下として、制御器22により燃焼装置5を停止させているときは、図7(b)に示すように表示器10の画面に、その旨が表示される。
【0097】
なお、上記例では、表示器10が燃料電池システム101に含まれない形態であっても構わない。この場合、表示器10は、燃焼装置5のリモコン、テレビ受像機等が例示される。
【0098】
上記説明から、当業者にとっては、多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明に係る燃料電池システム及びその運転方法は、燃焼器を内部に有するとともに、燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置の燃焼排ガスと合流するよう構成された燃料電池システムにおいて、従来よりも燃焼器の燃焼安定性が向上するので有用である。
【符号の説明】
【0100】
1 燃料電池ユニット
3 燃焼器
4 第1の排ガス流路
5 燃焼装置
6 第2の排ガス流路
10 表示器
11 ダクト
12 改質器
13 燃料電池
21 合流箇所
22 制御器
101 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池及び燃焼器を備える燃料電池ユニットと、前記燃焼器から排出される燃焼排ガスが流れる第1の排ガス流路と、制御器とを備え、前記第1の排ガス流路は、熱負荷に供給する熱を生成する燃焼装置からの燃焼排ガスが流れる第2の排ガス流路が接続されたダクトに接続されており、前記制御器は、前記燃焼装置及び前記燃焼器が共に燃焼しているときに前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するに伴い、前記燃焼装置の出力を低下するよう制御する燃料電池システム。
【請求項2】
原料ガス及び水蒸気を用いて水素含有ガスを生成する改質器を備え、
前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作は、前記燃焼器と連通している前記改質器に原料及び水蒸気の少なくともいずれか一方の供給を開始する動作である請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作は、前記燃焼器と連通している前記燃料電池に前記改質器で生成された水素含有ガスの供給を開始する動作である請求項1記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記制御器は、前記燃焼器の出力の低下として、前記燃焼装置の燃焼動作を停止させることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御器は、前記燃焼装置の燃焼動作の停止後に前記燃焼装置内を燃焼用空気でポストパージした後、前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行する、請求項4記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御器は、前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行後、前記燃焼装置の出力の制限を解除する請求項1−3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御器は、前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行後、前記燃焼装置の燃焼動作を再開する請求項4または5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃焼装置の運転状態を画面に表示する表示器を備え、
前記制御器は、前記燃焼器の出力を低下しているときに、前記表示器に前記燃焼装置が出力低下している旨を表示させる請求項1−7のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料電池ユニット内に設けられた燃焼器からの燃焼排ガスが、燃焼装置からの燃焼排ガスと合流するステップと、
前記燃焼装置及び前記燃焼器が共に燃焼しているときに前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行するステップと、
前記動作の実行に伴い、前記燃焼装置の出力を低下させるステップとを備える燃料電池システムの運転方法。
【請求項10】
前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作は、前記燃焼器と連通している前記改質器に原料及び水蒸気の少なくともいずれか一方の供給を開始する動作である請求項9記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項11】
前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作は、前記燃焼器と連通している前記燃料電池に前記改質器で生成された水素含有ガスの供給を開始する動作である請求項9記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項12】
前記燃焼装置の出力を低下させるステップとは、前記燃焼装置の燃焼動作を停止させるステップである、請求項9記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項13】
前記燃焼装置の燃焼動作の停止後に前記燃焼装置内を燃焼用空気でポストパージした後、前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行する、請求項12に記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項14】
前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行後、前記燃焼器の着火動作時における前記燃焼装置の出力の制限を解除するステップを備える請求項9−11のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項15】
前記燃焼器に供給される可燃性ガスの流量及び可燃性ガスの組成の少なくともいずれか一方が変化する動作を実行後、前記燃焼装置の燃焼動作を再開するステップを備える請求項12または13のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。
【請求項16】
前記燃焼装置が出力低下しているときに、表示器の画面に前記燃焼装置が出力低下している旨を表示するステップを備える請求項9−15のいずれかに記載の燃料電池システムの運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204224(P2012−204224A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69213(P2011−69213)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】