説明

燃料電池システム

【課題】燃料電池に液体を循環させるポンプの消費電力を大きくすることなく、且つ、ポンプの耐久寿命を短くすることなく、液体の循環異常の誤診断を防止する。
【解決手段】圧力センサ11が、燃料電池1に循環される冷却液の圧力を検出し、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18がそれぞれ、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gを検出し、診断圧力閾値補正手段19が、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gに応じて診断圧力閾値を補正し、冷却液循環異常診断手段20が、圧力センサ11により検出された冷却液の圧力と診断圧力閾値補正手段19によって補正された診断圧力閾値とを比較することにより冷却液が正常に循環しているか否かを診断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関し、より詳しくは、冷却液や純水等の液体を燃料電池に循環させるポンプの消費電力を大きくしたり、ポンプの耐久寿命を短くしたりすることなく、液体の循環異常が生じたと誤診断することを防止するための技術に係わる。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料ガスと酸化剤ガスの供給を受けて発電する燃料電池を備え、燃料電池が発電した電力を車両の駆動力として利用する燃料電池システムが知られている。そして、このような燃料電池システムでは、ラジエータを経由するラジエータ流路を流れる冷却液の流量とラジエータを迂回するバイパス流路を流れる冷却液の流量を三方弁の開度を調整することによって制御することにより、燃料電池に循環される冷却液の温度を制御し、燃料電池の温度を調整している(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところで、このような従来までの燃料電池システムの中には、燃料電池に循環される冷却液の流量とその圧力とに基づいて冷却液の循環異常を判断することにより、燃料電池の寿命低下限界温度を超える前に出力制限等の異常制御を行い、燃料電池の寿命低下を回避しようとしているものがある(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2002−83622号公報(図1を参照)
【特許文献2】特開2002−184435号公報(図2を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に、燃料電池に循環される冷却液の圧力は、流量が一定な状態であっても、車両の加減速時に発生する車両前後方向の重力加速度(以下、本明細書中では“車両前後G”と表記),車両がカーブ路を走行している際に発生する車両横方向の重力加速度(以下、本明細書中では“車両横G”と表記),及び車両が上り坂と下り坂の変わり目を通過した際に発生する車両上下方向の重力加速度(以下、本明細書中では“車両上下G”と表記)によって変動する。
【0005】
このため、従来までの燃料電池システムによれば、冷却液の圧力が上記のような要因によって変動したのにも係わらず、冷却液の圧力が所定の診断圧力閾値より低くなるのに応じて、冷却液の循環異常が生じたと誤診断することがあった。なお、このような問題を解決するために、冷却液の最低流量を大きく設定して冷却液の圧力が診断圧力閾値より高くなるようにする方法も考えられるが、この方法によれば、上記のような誤診断を防止することはできるようになるが、燃料電池に冷却液を循環させるポンプの消費電力が大きくなり、ポンプの耐久寿命が短くなってしまう。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、燃料電池に液体を循環させるポンプの消費電力を大きくしたり、ポンプの耐久寿命を短くしたりすることなく、液体の循環異常が生じたと誤診断することを防止可能な燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、液体の圧力と診断圧力閾値とを比較することにより液体が正常に循環しているか否かを診断する液体循環異常診断手段と、車両に対する重力加速度を検出する重力加速度検出手段と、重力加速度検出手段により検出された重力加速度に応じて診断圧力閾値を補正する診断圧力閾値補正手段とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る燃料電池システムによれば、液体の循環異常診断の際に用いる診断圧力閾値を車両に対する重力加速度に応じて補正するので、燃料電池に液体を循環させるポンプの消費電力を高くしたり、ポンプの耐久寿命を短くしたりすることなく、液体の循環異常が生じたと誤診断することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、車両に搭載され、燃料電池に冷却液を循環させることにより燃料電池を冷却する燃料電池システムに適用することができる。以下、図面を参照して、本発明の第1乃至第6の実施形態となる燃料電池システムの構成と動作について説明する。なお、本発明は、燃料電池に液体を循環させるシステムであればどのようなシステムにも適用することができ、例えば、燃料電池に純水を循環させることにより燃料電池を加湿するシステムに適用することができる。
【実施例1】
【0010】
〔燃料電池システムの構成〕
始めに、本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムの構成について説明する。
【0011】
本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムは、図1に示すように、水素ガス及び空気を利用して発電する燃料電池1を備える。なお、この実施形態では、燃料電池1は、固体高分子型燃料電池により構成され、そのアノード(水素極)及びカソード(酸素極)における電気化学反応及び燃料電池全体としての反応は、以下に示す式(1)〜(3)による。
【0012】
〔化1〕
〔アノード〕 H2 → 2H+ +2e- …(1)
〔カソード〕 1/2 O2 +2H+ +2e- → H2O …(2)
〔全体〕 H2 +1/2 O2 → H2O …(3)
〔冷却系の構成〕
また、この燃料電池システムは、冷却液配管2aを介して冷却液を燃料電池1に圧送するポンプ3と、冷却液配管2bを介して燃料電池1から排出された冷却液をラジエータ側配管2cとバイパス配管2dとの間で分流させる三方弁4と、ラジエータ側配管2cに設けられた冷却液を冷却するためのラジエータ本体とラジエータファンから成るラジエータ5とを有する冷却系を備える。そして、この冷却系は、三方弁4の開度及びポンプ3の回転数を制御することにより燃料電池1に循環される冷却液の温度と圧力を調整することにより、燃料電池1の温度を調整する。なお、この実施形態では、ラジエータ本体のみを動作させることにより冷却液を冷却するが、冷却液を所望の温度まで冷却することがラジエータ本体のみでは困難な場合には、ラジエータファンも動作させることが望ましい。
【0013】
〔制御系の構成〕
また、上記燃料電池システムは、冷却液配管2aから燃料電池1に供給される冷却液の圧力及び温度を検出する圧力センサ11及び温度センサ12と、燃料電池1からの取出電力に従って燃料電池1に供給する冷却液の目標流量を算出する冷却液目標流量生成手段13と、温度センサ12により検出された冷却液の温度と目標冷却液温度に従って三方弁4の目標開度を算出し、算出された目標開度になるように三方弁4の開度を制御する三方弁制御手段14と、冷却液目標流量生成手段13により算出された目標流量になるポンプ3の目標回転数を算出し、算出された目標回転数になるようにポンプ3の回転数を制御する冷却液流量制御手段15と、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18により検出された車両前後G,車両横G,及び車両上下Gに従って冷却液の循環異常診断に用いる診断圧力閾値を補正する診断圧力閾値補正手段19と、冷却液流量制御手段15により算出されたポンプ3の目標回転数と診断圧力閾値補正手段19により補正された診断圧力閾値に基づいて冷却液の循環異常を診断する冷却液循環異常診断手段20とを有する制御系を備える。なお、この実施形態では、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18は、重力センサにより構成されている。
【0014】
このような構成を有する燃料電池システムでは、上記制御系が以下に示す循環異常診断処理することにより、ポンプ3の消費電力を高くしたり、ポンプ3の耐久寿命を短くしたりすることなく、冷却液の循環異常が生じたと誤診断することを防止する。以下、図2に示すフローチャートを参照して、循環異常診断処理を実行する際の制御系の動作について説明する。
【0015】
〔循環異常診断処理〕
図2に示すフローチャートは、燃料電池システムが起動されるのに応じて開始となり、循環異常診断処理はステップS1の処理に進む。
【0016】
ステップS1の処理では、冷却液目標流量生成手段13が、燃料電池1の取出電力に従って冷却液の目標流量を算出し、算出した目標流量の情報を冷却液流量制御手段15に入力する。一般に、燃料電池の発熱量は取出電力の増加に従って大きくなる。従って、この実施形態では、冷却液目標流量生成手段13は、燃料電池1の出入口温度差の上昇を抑制すると同時に、ラジエータ5の放熱特性を良くするために、燃料電池1の取出電力(目標出力)の増加に従って目標流量が増加するマップを参照して取出電力に応じて冷却液の目標流量を決定する。なお、冷却液目標流量生成手段13は、ポンプ3の消費電力を節約するために、燃料電池1の取出電力が小さい時には目標流量を小さく設定することが望ましい。これにより、このステップS1の処理は完了し、この診断処理はステップS1の処理からステップS2の処理に進む。
【0017】
ステップS2の処理では、冷却液流量制御手段15が、冷却液目標流量生成手段13から入力された目標流量に対応するポンプ3の目標ポンプ回転数を算出し、算出した目標ポンプ回転数になるようにポンプ3の回転数を制御する。また、冷却液流量制御手段15は、算出した目標回転数の情報を冷却液循環異常診断手段20に入力する。なお、この実施形態では、冷却液流量制御手段15は、ポンプ3の特性と冷却液循環経路圧力損失から予測、又は実測することにより作成された目標流量と目標ポンプ回転数の関係を示すマップを記憶し、このマップを参照して目標流量に応じて目標ポンプ回転数を決定する。但し、冷却液循環経路圧力損失は三方弁4の開度に応じて変化し、この結果、冷却液の流量特性は変化する。従って、冷却液流量制御手段15は、精度の高い制御を行うために、上記マップと三方弁4の開度の双方を参照して目標ポンプ回転数を算出することが望ましい。これにより、このステップS2の処理は完了し、この診断処理はステップS2の処理からステップS3の処理に進む。
【0018】
ステップS3の処理では、冷却液循環異常診断手段20が、目標回転数と診断圧力閾値の関係を示すマップを参照して冷却液流量制御手段15から入力された目標回転数に対応する診断圧力閾値を設定する。なお、冷却液循環異常診断手段20は、ポンプ3の駆動電力や冷却液の目標流量に従って診断圧力閾値を設定してもよい。また、冷却液循環異常診断手段20は、冷却液の最低流量時の診断圧力閾値を固定値として利用してもよい。これにより、このステップS3の処理は完了し、この診断処理はステップS3の処理からステップS4の処理に進む。
【0019】
ステップS4の処理では、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18がそれぞれ、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gを検出し、検出された値を診断圧力閾値補正手段19に入力する。そして、診断圧力閾値補正手段19は、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gと補正値の関係を示すマップを参照して検出された値に対応する診断圧力閾値の補正値を読み出す。なお、診断圧力閾値補正手段19が参照するマップは、車両前後Gに対する冷却液の圧力変動,車両横Gに対する冷却液の圧力変動,及び車両上下Gに対する冷却液の圧力変動を測定し、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gに応じた冷却液の圧力変動量を記録することにより作成することができる。これにより、このステップS4の処理は完了し、この診断処理はステップS4の処理からステップS5の処理に進む。
【0020】
ステップS5の処理では、診断圧力閾値補正手段19が、ステップS3の処理により設定された診断圧力閾値をステップS4の処理により読み出された補正値で補正し、補正された診断圧力閾値を診断処理に用いる診断圧力閾値として冷却液循環異常診断手段20に入力する。これにより、このステップS5の処理は完了し、この診断処理はステップS5の処理からステップS6の処理に進む。
【0021】
ステップS6の処理では、冷却液循環異常診断手段20が、圧力センサ11により検出された冷却液の圧力値が診断圧力閾値以下であるか否かを判別する。そして、判別の結果、冷却液の圧力値が診断圧力閾値以下でない場合、冷却液循環異常診断手段20は、冷却液の循環異常は発生していないと診断し、診断処理を再びステップS1の処理に戻す。一方、冷却液の圧力値が診断圧力閾値以下である場合には、冷却液循環異常診断手段20は、ステップS7の処理として冷却液の循環異常が発生していると判断し、出力制限等の異常制御を行った後、診断処理を再びステップS1の処理に戻す。
【0022】
一般に、燃料電池に循環される冷却液の圧力は、流量が一定な状態であっても、図3に示すように、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gによって変動する。この原因は、図4に示すように燃料電池1が車両の床下に配置されている場合、車両の加減速時には、燃料電池1からラジエータ5までの配管中の冷却液が燃料電池1側へ押されて、燃料電池1に掛かる冷却液の圧力が上昇するためである。また、左カーブ走行時には、車両横Gの影響によって配管中の冷却液が車両進行方向右側に押され、燃料電池1の冷却液配管接続口が車両進行方向右側にある場合、燃料電池1に掛かる冷却液の圧力が上昇するためである。また、通常、燃料電池1には重力の影響によって冷却液のヘッド圧が掛かっているが、上り坂から下り坂に変わる際には、重力方向に負の重力加速度が発生してヘッド圧が小さくなるために、燃料電池1に掛かる冷却液の圧力が減少するためである。なお、重力加速度と冷却液の圧力変動の関係は、燃料電池と冷却液配管のレイアウトに応じて変化する。
【0023】
このため、従来までの燃料電池システムによれば、冷却液の圧力が上記要因によって変動したのにも係わらず、冷却液の圧力が診断圧力閾値より低くなるのに応じて、冷却液の循環異常が生じたと誤診断することがある。なお、このような問題を解決するために、冷却液の圧力が診断圧力閾値より高くなるようにする方法も考えられるが、この方法によれば、循環異常の誤診断を防止することはできるようになるが、燃料電池に冷却液を循環させるポンプの消費電力が高くなり、ポンプの耐久寿命が短くなってしまう。
【0024】
これに対して、本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムによれば、上述の通り、圧力センサ11が、燃料電池1に循環される冷却液の圧力を検出し、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18がそれぞれ、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gを検出し、診断圧力閾値補正手段19が、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gに応じて診断圧力閾値を補正し、冷却液循環異常診断手段20が、圧力センサ11により検出された冷却液の圧力と診断圧力閾値補正手段19によって補正された診断圧力閾値とを比較することにより冷却液が正常に循環しているか否かを診断する。すなわち、本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両に対する車両前後G,車両横G,及び車両上下Gに応じて冷却液の循環異常診断の際に用いる診断圧力閾値を補正する。
【0025】
従って、本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gによって冷却液の圧力が変動したのにも係わらず、冷却液が診断圧力閾値より低くなることによって、冷却液の循環異常が生じたと誤診断することを防止できる。また、冷却液の最低流量を大きく設定して冷却液の圧力が診断圧力閾値より高くなるようにする必要がないので、ポンプ3の消費電力が高くなり、ポンプ3の耐久寿命が短くなることを防止できる。
【0026】
なお、この実施形態では、車両に対する車両前後G,車両横G,及び車両上下Gに応じて冷却液の循環異常診断の際に用いる診断圧力閾値を補正したが、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gのうちの少なくとも一つに応じて冷却液の循環異常診断の際に用いる診断圧力閾値を補正してもよい。
【実施例2】
【0027】
〔燃料電池システムの構成〕
次に、本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムの構成について説明する。なお、この第2の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れは、第1の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れと同じであるので、以下ではその説明を省略する。
【0028】
本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムは、図5に示すように、第1の実施形態となる燃料電池システムの構成に加えて、車速検出手段21と操舵角検出手段22を備える。そこで以下では、車速検出手段21と操舵角検出手段22の構成についてのみ説明し、それ以外の構成要素の説明は省略する。
【0029】
車速検出手段21は、燃料電池システムが搭載されている車両の速度(車速)Vを検出し、検出された車速Vを車両前後G検出手段16及び車両横G検出手段17に入力する。操舵角検出手段21は、車両の操舵角φを検出し、検出された操舵角φを車両横G検出手段17に入力する。そして、車両前後G検出手段16は、車速検出手段21により検出された車速Vの差分値を用いて車両前後Gを演算する。また、車両横G検出手段17は、車速検出手段21により検出された車速Vと操舵角検出手段21により検出された車両の操舵角φとを用いて以下のようにして車両横Gを演算する。
【0030】
一般に、車両横Gは、図6に示すコーナリングフォースFf,Fr(Ff:前輪1輪,Fr:後輪1輪)と車両重量Mによって以下に示す数式1のように表される。
【数1】

【0031】
また、コーナリングフォースFf,Fr、コーナリングパワーKf,Kr(Kf:前輪1輪,Kr:後輪1輪)、横滑り角β(図6参照)、及びタイヤの実舵角δ(図6参照)は、以下に示す数式2のような関係下にある。
【数2】

【0032】
また、コーナリングパワーKf,Krは、タイヤの大きさ,内圧,タイヤに掛かる荷重によって決まる定数であり、横滑り角βとタイヤの実舵角δはそれぞれ以下に示す数式3,数式4のように表される。
【数3】

【数4】

【0033】
なお、図6に示すように、数式3中のAはスタビリティファクタ、Lはホイールスペース(Lfは車両の重心から前側、Lrは後ろ側)、Nはオーバーオールステアリングレシオを示し、それぞれ定数となっている。
【0034】
従って、車両横G検出手段17は、数式3,4を数式2に代入した後、数式2を数式1に代入することにより、操舵角φと車速Vから車両横Gを演算することができる。なお、車両横G検出手段17は、操舵角φ,車速V,及び車両横Gの関係を予め演算、若しくは実測することにより、操舵角と車速を入力、車両横Gを出力とするマップを形成し、このマップを参照して車両横Gを演算するようにしてもよい。
【0035】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両前後G検出手段16は、車速検出手段21により検出された車速Vの差分値を用いて車両前後Gを演算するので、重力センサを用いることなく車両前後Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。
【0036】
また、本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両横G検出手段17は、車速検出手段21により検出された車速Vと操舵角検出手段22により検出された車両の操舵角φとを用いて車両横Gを演算するので、重力センサを用いることなく車両横Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。
【実施例3】
【0037】
〔燃料電池システムの構成〕
次に、本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムの構成について説明する。なお、この第2の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れは、第1の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れと同じであるので、以下ではその説明を省略する。
【0038】
本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムは、図7に示すように、第2の実施形態となる燃料電池システムにおける操舵角検出手段22が車輪速検出手段23に置き換わった構成となっている。そこで以下では、車輪速検出手段23の構成についてのみ説明する。
【0039】
車輪速検出手段23は、車両の左右の車輪速度Vl,Vrを検出し、検出された車輪速度Vl,Vrを車両横G検出手段17に入力する。そして、車両横G検出手段17は、車速検出手段21により検出された車速Vと車輪速検出手段23により検出された車輪速度Vl,Vrとを用いて以下のようにして車両横Gを演算する。
【0040】
一般に、車両が走行している道路の曲率Rは、車両の左右の車輪速度Vl,Vr,トレッドT,及び車速V(駆動軸の回転から検出されるもの、又は左右の車輪速度の平均値)によって以下に示す数式5のように表される。
【数5】

【0041】
さらに、車両が走行している道路の曲率Rは、タイヤの実舵角δ,スタビリティファクタA,及びホイールスペースLを用いて以下に示す数式6のようにも表すこともできる。
【数6】

【0042】
従って、数式5,6を用いることにより、タイヤの実舵角δは、左右の車輪速度Vl,Vrと車速Vを用いて以下に示す数式7のように表すことができる。そこで、この実施形態では、車両横G検出手段17は、数式3,7を数式2に代入した後、数式2を数式1に代入することにより車両横Gを演算する。
【数7】

【0043】
以上の説明から明らかなように、本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両横G検出手段17は、車速検出手段21により検出された車速Vと車輪速検出手段23により検出された車両の左右の車輪速度Vl,Vrの差分値とを用いて車両横Gを演算するので、重力センサを用いることなく車両横Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。
【実施例4】
【0044】
〔燃料電池システムの構成〕
次に、本発明の第4の実施形態となる燃料電池システムの構成について説明する。
【0045】
本発明の第4の実施形態となる燃料電池システムは、図8に示すように、診断圧力閾値補正手段19が設けられていない点が本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムの構成と異なる。そして、このような構成を有する燃料電池システムでは、制御系が以下に示す循環異常診断処理することにより、ポンプ3の消費電力を高くすることなく、且つ、ポンプ3の耐久寿命を短くすることなく、冷却液の循環異常が生じたと誤診断することを防止する。以下、図9に示すフローチャートを参照して、循環異常診断処理を実行する際の制御系の動作について説明する。
【0046】
〔循環異常診断処理〕
図9に示すフローチャートは、燃料電池システムが起動されるのに応じて開始となり、循環異常診断処理はステップS11の処理に進む。
【0047】
ステップS11の処理では、車速検出手段21が、車速Vを検出し、検出された車速Vを車両前後G検出手段16及び車両横G検出手段17に入力する。これにより、このステップS11の処理は完了し、この診断処理はステップS11の処理からステップS12の処理に進む。
【0048】
ステップS12の処理では、車輪速検出手段23が、車両の左右の車輪速度Vl,Vrを検出し、検出された車輪速度Vl,Vrを車両横G検出手段17に入力する。これにより、このステップS12の処理は完了し、この診断処理はステップS12の処理からステップS13の処理に進む。
【0049】
ステップS13の処理では、車両前後G検出手段16が、車速検出手段21から入力された車速Vを用いて車両前後Gを演算し、演算された車両前後Gの値を冷却液循環異常診断手段20に入力する。これにより、このステップS13の処理は完了し、この診断処理はステップS13の処理からステップS14の処理に進む。
【0050】
ステップS14の処理では、車両横G検出手段17が、車速検出手段21及び車輪速検出手段23から入力された車速V及び車輪速度Vl,Vrを用いて車両横Gを演算し、演算された車両横Gの値を冷却液循環異常診断手段20に入力する。これにより、このステップS14の処理は完了し、この診断処理はステップS14の処理からステップS15の処理に進む。
【0051】
ステップS15の処理では、車両上下G検出手段18が、車両上下Gを検出し、検出された車両上下Gの値を冷却液循環異常診断手段20に入力する。これにより、このステップS15の処理は完了し、この診断処理はステップS15の処理からステップS16の処理に進む。
【0052】
ステップS16の処理では、冷却液循環異常診断手段20が、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18から入力された車両前後G,車両横G,車両上下Gの中で所定値以下のものがあるか否かを判別する。そして、判別の結果、入力された車両前後G,車両横G,車両上下Gの中で所定値以下のものがない場合、冷却液循環異常診断手段20は、冷却液の循環異常は発生していないと診断し、再びステップS11の処理に戻る。一方、入力された車両前後G,車両横G,車両上下Gの中で所定値以下のものがある場合には、冷却液循環異常診断手段20は、ステップS17の処理として冷却液の異常診断を所定時間中断した後、診断処理を再びステップS11の処理に戻す。
【0053】
以上の説明から明らかなように、本発明の第4の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両前後G,車両横G,車両上下Gの中で所定値以下のものがある場合、冷却液循環異常診断手段20が、冷却液の異常診断を中断するので、車両前後G,車両横G,及び車両上下Gによって冷却液の圧力が変動したのにも係わらず、冷却液が診断圧力閾値より低くなることによって、冷却液の循環異常が生じたと誤診断することを防止できる。
【実施例5】
【0054】
〔燃料電池システムの構成〕
次に、本発明の第5の実施形態となる燃料電池システムの構成について説明する。なお、この第5の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れは、第4の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れと同じであるので、以下ではその説明を省略する。
【0055】
本発明の第5の実施形態となる燃料電池システムは、図10に示すように、第5の実施形態となる燃料電池システムの構成に加えて、駆動モータ電流検出手段24を備える。そこで以下では、駆動モータ電流検出手段24の構成についてのみ説明し、それ以外の構成要素の説明は省略する。
【0056】
駆動モータ電流検出手段24は、電流センサを用いて車両駆動モータに流れる電流(又は目標電流や目標ネット電力)を検出し、検出された電流値を車両前後G検出手段16に入力する。そして、車両前後G検出手段16は、図11に示すような駆動モータ電流毎の車速Vと車両前後Gの関係を示すマップを参照して、車速検出手段21により検出された車速Vと駆動モータ電流検出手段24により検出された電流値とから車両前後Gを推定する。なお、一般に、車両前後Gは、駆動モータ電流と車速によって決まる。これは、車両前後Gは、通常、駆動モータ電流に応じた駆動軸トルク、空気抵抗等の走行抵抗、及び車両質量から決まるが、駆動モータ電流値が同じである場合には、車速が速い程空気抵抗が大きくなり、車両前後Gが得られなくなるためである。また、駆動モータが高回転で動作する場合には、駆動軸トルクは小さくなり、車両前後Gが得られなくなるためである。
【0057】
以上の説明から明らかなように、本発明の第5の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両前後G検出手段16は、車速検出手段21により検出された車速Vと駆動モータ電流検出手段24により検出された車両駆動モータの電流値とから車両前後Gを推定するので、重力センサを用いることなく車両前後Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。また、車両駆動モータの目標電流値を用いて車両前後Gを推定した場合には、これから車両に発生する車両前後Gを推定することができるので、診断圧力閾値を前もって補正し、誤診断を防止することができる。
【実施例6】
【0058】
〔燃料電池システムの構成〕
最後に、本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムの構成について説明する。なお、この第6の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れは、第4の実施形態となる燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れと同じであるので、以下ではその説明を省略する。
【0059】
本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムでは、図12に示すように、車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18の入力側の構成が第4の実施形態となる燃料電池システムにおけるそれと異なる。そこで、以下では車両前後G検出手段16,車両横G検出手段17,及び車両上下G検出手段18の入力側の構成についてのみ説明し、その他の構成についての説明は省略する。
【0060】
車両前後G検出手段16の入力側には、ブレーキSW25,アクセル開度検出手段26,及びブレーキ液圧検出手段27が接続され、ブレーキSW25は、車両のブレーキペダルが踏まれるのに応じて制御信号を車両前後G検出手段16に入力する。アクセル開度検出手段26は、車両のアクセルペダルの開度を検出し、検出されたアクセル開度を車両前後G検出手段16に入力する。ブレーキ液圧検出手段27は、圧力センサを用いてブレーキの液圧を検出し、検出されたブレーキ液圧を車両前後G検出手段16に入力する。そして、車両前後G検出手段16は、アクセル開度検出手段26により検出された車両のアクセル開度から車両前後Gを推定する。また、ブレーキSW25から制御信号が入力された場合には、車両前後G検出手段16は、ブレーキ液圧検出手段27により検出された車両のブレーキ液圧から車両前後Gを推定する。
【0061】
車両横G検出手段17の入力側には、車速検出手段21とナビ情報カーブ曲率検出手段28が接続されている。車速検出手段21は、車速Vを検出し、検出された車速Vを車両横G検出手段17に入力する。ナビ情報カーブ曲率検出手段28は、ナビゲーション装置を介して車両が走行中の道路、又は車両前方の道路の曲率Rを検出し、検出された曲率を車両横G検出手段17に入力する。そして、車両横G検出手段17は、車速検出手段21により検出された車速Vとナビ情報カーブ曲率検出手段28により検出された曲率Rを用いて車両横Gを推定する。
【0062】
車両上下G検出手段18の入力側には、車速検出手段21とナビ情報勾配路検出手段29が接続されている。ナビ情報勾配路検出手段29は、ナビゲーション装置を介して車両が走行中の道路、又は車両前方の道路における勾配の変わり目(傾斜角変化)を検出し、検出された勾配の変わり目を車両上下G検出手段18に入力する。そして、車両上下G検出手段18は、車速検出手段21により検出された車速Vとナビ情報勾配路検出手段29により検出された勾配の変わり目から車両横Gを推定する。
【0063】
以上の説明から明らかなように、本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両前後G検出手段16は、アクセル開度検出手段26により検出された車両のアクセル開度から車両前後Gを推定するので、重力センサを用いることなく車両前後Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。また、これから車両に発生する車両前後Gを推定することができるので、診断圧力閾値を前もって補正し、誤診断を防止することができる。
【0064】
また、本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムによれば、ブレーキSW25から制御信号が入力された場合には、車両前後G検出手段16は、ブレーキ液圧検出手段27により検出された車両のブレーキ液圧から車両前後Gを推定するので、重力センサを用いることなく車両前後Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。また、これから車両に発生する車両前後Gを推定することができるので、診断圧力閾値を前もって補正し、誤診断を防止することができる。
【0065】
また、本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両横G検出手段17は、車速検出手段21により検出された車速Vとナビ情報カーブ曲率検出手段28により検出された曲率Rを用いて車両横Gを推定するので、重力センサを用いることなく車両横Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。また、車両前方の道路の曲率Rを用いて車両横Gを推定した場合には、これから車両に発生する車両横Gを推定することができるので、診断圧力閾値を前もって補正し、誤診断を防止することができる。
【0066】
また、本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムによれば、車両上下G検出手段18は、車速検出手段21により検出された車速Vとナビ情報勾配路検出手段29により検出された勾配の変わり目から車両横Gを推定するので、重力センサを用いることなく車両上下Gを検出し、第1の実施形態となる燃料電池システムと同様の技術的効果を得ることができる。また、車両前方の道路の勾配の変わり目を用いて車両上下Gを推定した場合には、これから車両に発生する車両上下Gを推定することができるので、診断圧力閾値を前もって補正し、誤診断を防止することができる。
【0067】
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、この実施の形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、上記実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1の実施形態となる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】車両前後方向の重力加速度,車両横方向の重力加速度,及び車両上下方向の重力加速度によって燃料電池の冷却液圧力が変動する様子を示す図である。
【図4】車両前後方向の重力加速度,車両横方向の重力加速度,及び車両上下方向の重力加速度によって燃料電池の冷却液圧力が変動する理由を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態となる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図6】車両の速度と操舵角を用いて車両横方向の重力加速度を算出する方法を説明するための図である。
【図7】本発明の第3の実施形態となる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態となる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図9】図8に示す燃料電池システムにおける循環異常診断処理の流れを示すフローチャート図である。
【図10】本発明の第5の実施形態となる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図11】車両の速度と車両駆動モータの電流値に応じた車両前後方向の重力加速度の変化を示す図である。
【図12】本発明の第6の実施形態となる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0069】
1:燃料電池
3:ポンプ
4:三方弁
5:ラジエータ
11:圧力センサ
12:温度センサ
13:冷却液目標流量生成手段
14:三方弁制御手段
15:冷却液流量制御手段
16:車両前後G検出手段
17:車両横G検出手段
18:車両上下G検出手段
19:診断圧力閾値補正手段
20:冷却液循環異常診断手段
21:車速検出手段
22:操舵角検出手段
23:車輪速検出手段
24:駆動モータ電流検出手段
25:ブレーキSW
26:アクセル開度検出手段
27:ブレーキ液圧検出手段
28:ナビ情報カーブ曲率検出手段
29:ナビ情報勾配路検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、燃料電池に液体を循環させるポンプを備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池に循環される液体の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記圧力検出手段により検出された液体の圧力と診断圧力閾値とを比較することにより液体が正常に循環しているか否かを診断する液体循環異常診断手段と、
前記車両に対する重力加速度を検出する重力加速度検出手段と、
前記重力加速度検出手段により検出された重力加速度に応じて前記診断圧力閾値を補正する診断圧力閾値補正手段と
を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記重力加速度検出手段は、前記車両の前後方向、横方向、及び上下方向の重力加速度のうちの少なくとも一つを検出することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
前記重力加速度検出手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度の差分値を用いて車両の前後方向の重力加速度を演算することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項4】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両を駆動する車両駆動モータの電流値を検出する電流検出手段とを備え、
前記重力加速度検出手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度と前記電流検出手段により検出された電流値とから車両の前後方向の重力加速度を推定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項5】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記車両のアクセル開度を検出するアクセル開度検出手段を備え、
前記重力加速度検出手段は、前記アクセル開度検出手段により検出された車両のアクセル開度から車両の前後方向の重力加速度を推定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
請求項2に記載の燃料電池システムであって、
前記車両のブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧検出手段を備え、
前記重力加速度検出手段は、前記ブレーキ液圧検出手段により検出された車両のブレーキ液圧から車両の前後方向の重力加速度を推定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項7】
請求項6項に記載の燃料電池システムであって、
前記車両のブレーキペダルの操作を検出するブレーキ操作検出手段を備え、
前記重力加速度検出手段は、前記ブレーキ操作検出手段によりブレーキペダルの操作が検出されるのに応じて、車両の前後方向の重力加速度を推定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項8】
請求項2乃至請求項7のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両の操舵角を検出する操舵角検出手段とを備え、
前記重力加速度検出手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度と前記操舵角検出手段により検出された車両の操舵角とを用いて車両の横方向の重力加速度を演算することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項9】
請求項2乃至請求項7のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両の左右の車輪速を検出する車輪速検出手段とを備え、
前記重力加速度検出手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度と前記車輪速検出手段により検出された左右の車輪速の差分値とを用いて車両の横方向の重力加速度を演算することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項10】
請求項2乃至請求項7のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両が走行している道路の曲率を検出する曲率検出手段とを備え、
前記重力加速度検出手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度と前記曲率検出手段により検出された曲率を用いて車両の横方向の重力加速度を演算することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項11】
請求項2乃至請求項10のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記車両の速度を検出する車速検出手段と、
前記車両が走行している道路の勾配変化を検出する勾配変化検出手段とを備え、
前記重力加速度検出手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度と前記勾配変化検出手段により検出された勾配変化から車両の上下方向の重力加速度を推定することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記液体循環異常診断手段は、前記重力加速度検出手段により検出された重力加速度が所定値以上である場合、液体が正常に循環しているか否かの診断を中断することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記診断圧力閾値は、前記ポンプの回転数、ポンプの駆動電力、若しくは液体流量に応じた診断圧力閾値、又は、最低液体流量時の診断圧力閾値であることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記液体は、前記燃料電池を冷却するための冷却液であることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項15】
請求項1乃至請求項13のうち、いずれか1項に記載の燃料電池システムであって、
前記液体は、前記燃料電池を加湿するための純水であることを特徴とする燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−101572(P2006−101572A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281344(P2004−281344)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】