説明

燃料電池システム

【課題】長時間の停止を含む起動停止に対しても燃料電池の劣化を防止することが可能である燃料電池システムを提供すること。
【解決手段】燃料電池1と、燃料処理機2と、燃料処理機2で生成した燃料ガスを燃料電池1に供給する燃料ガス流路10と、水素含有ガスとしての燃料ガスを貯留する燃料ガス貯留タンク22と、燃料ガス貯留タンク22と燃料ガス遮断弁11より下流の燃料ガス流路10とを接続するタンク連結流路23と、タンク連結流路23を通流する水素含有ガスの通流/遮断を行なう連結遮断弁24と、燃料電池1の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段25と、制御部26と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池システムに関し、特に長時間の停止を含む起動停止に対処した燃料電池システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池を用いた家庭用のコージェネレーションシステムに対して、幅広い需要が見込まれている。一方、家庭用の燃料電池の想定寿命は、DSSベース(1日1回の起動停止)で4万時間、起動停止回数3000回以上といわれており、レベルの高い耐久性が要求される。特に長時間の停止においては、燃料電池の燃料極から水素がなくなることは、燃料極の電位が高くなり電極劣化を招くそのため、起動停止回数の多い燃料電池では耐久性への影響は大きく、解決すべき課題となっている。
【0003】
従来の燃料電池システムでは、燃料電池の発電を停止するときには水素リッチな燃料ガスを燃料電池を含む封止区間に封入し、燃料電池の発電停止後にはさらに原料ガスを封止区間に供給・封入することにより、燃料電池の燃料極への空気混入を防止するものがあった(例えば、特許文献1参照)。図6は、特許文献1に記載された従来の燃料電池システムを示すものである。
【0004】
図6に示すように従来の燃料電池システムは、水素リッチな燃料ガスと空気中の酸素とを用いて発電を行なう燃料電池101と、原料を水蒸気改質し水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理機102と、燃料処理機102に原料供給源からの原料を供給する原料流路103と、燃料処理機102への原料の供給/遮断を行なう原料遮断弁104と、燃料処理機102に水供給源からの水を供給する水流路105と、燃料処理機102への水の供給/遮断を行なう水遮断弁106と、燃料処理機102を加熱するバーナ107と、バーナ107への燃焼用空気を供給するファン108と、ファン108から供給された燃焼用空気をバーナ107に導入する燃焼空気流路109と、燃料処理機102から生成された燃料ガスを燃料電池101に供給する燃料ガス流路110と、燃料電池101から排出される残余燃料ガスをバーナ107に供給する残余燃料ガス流路112と、残余燃料ガスの排出/遮断を行なう残余燃料ガス遮断弁113と、燃料処理機102からの燃料ガスを燃料電池101をバイパスして残余燃料ガス遮断弁113より下流の残余燃料ガス流路112と合流する燃料ガスバイパス流路114と、燃料ガスの通流を燃料電池101側とバイパス側とに切り替える三方切替弁115と、燃料電池101への反応空気を供給するブロワ117と、ブロワ117からの反応空気を燃料電池101に通流する空気流路118と、燃料電池101からの残余空気を燃料電池システムの系外に排出する残余空気流路120と、原料供給源からの原料を燃料電池101と残余燃料ガス遮断弁113の間の残余燃料ガス流路112に供給する原料バイパス流路130と、原料バイパス流路130の原料の供給/遮断を行なう原料バイパス遮断弁131とから構成されている。
【0005】
以上のように構成された燃料電池システムの運転停止時には、三方切替弁115を燃料電池101側に切替え、原料遮断弁104、水遮断弁106、残余燃料ガス遮断弁113、原料バイパス遮断弁131を閉として、燃料電池101および燃料処理機102に燃料ガスを封入し封止する。次いで、封止区間の内圧低下に応じて原料バイパス遮断弁131を開として原料バイパス流路130より原料を封入する。その後、燃料処理機102が原料の炭化によるコーキングを起こさない温度まで低下すると、三方切替弁115は燃料電池101側を保持し、原料遮断弁104、残余燃料ガス遮断弁113を開として原料を燃料処理機102を通じて燃料電池101に通流し、燃料電池101の燃料極を原料でパージする。パージが終わると再度、原料遮断弁104、残余燃料ガス遮断弁113を閉とし
て封止区間を形成し、圧力低下に応じて原料遮断弁104を開として原料を封入する。そのため、燃料電池101の内部含有ガスは、停止直後は水素リッチな燃料ガスであるが、パージ後は水素を含まない原料に置換された状態で、原料の封入を定期的に実施して封入区間を正圧に保持し空気混入を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−259663号公報(第6−16頁、図1および図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、燃料電池システムを普及させるためには低コスト化が重要課題であるが、低コストの観点から燃料電池101の触媒量を削減していくと、長時間の停止においては燃料電池101への空気混入を防止するだけでは電極劣化することが分かってきた。すなわち、燃料電池101のシール面を介しての拡散的な水素排出や空気流入による水素消費などにより、燃料電池101の燃料極の水素が少なくなることにより燃料極の電位が高くなり電極劣化が発生することを発明者らは究明した。ところが、上述した従来の燃料電池システムでは、運転停止から所定時間経過すると燃料電池101内部を原料でパージするため水素が存在しなくなる運転方法であり、かつ、空気極側は大気開放であるために拡散的に空気が流入してくるため、燃料電池101の触媒量を低減したシステムを想定した場合、長時間の停止に対しては、従来の停止方法による封止区間の正圧保持では燃料電池の燃料極が劣化する、という課題があった。
【0008】
そこで本発明は、前記従来の課題を解決するもので、長時間の停止を含む起動停止に対しても燃料電池の劣化を防止することが可能である燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した従来の課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、炭化水素系原料から水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理部と、燃料処理部で生成された燃料ガスを燃料極側に導入し酸化剤ガスを酸化剤極側に導入し燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、燃料電池での発電および燃料処理部での燃料ガス生成が停止しているときに燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段と、燃料電池の燃料極側に水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段と、ガス供給判断手段が燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断したときに、水素含有ガス供給手段を用いて燃料電池の燃料極側に水素含有ガスを供給するように制御する制御部とを備える。
【0010】
これによって、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて燃料電池の劣化前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段を用いての判断として水素含有ガス供給が必要であるとなったときに、水素含有ガス供給手段を用いて水素含有ガスを燃料電池の燃料極側に供給することができる。
【0011】
また、本発明の燃料電池システムは、炭化水素系原料から水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理部と、燃料処理部で生成された燃料ガスを燃料極側に導入し酸化剤ガスを酸化剤極側に導入し燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、燃料電池での発電および燃料処理部での燃料ガス生成が停止しているときに燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段と、ガス供給判断手段
が燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断したときに、燃料処理部での燃料ガス生成を開始し、生成した水素リッチな燃料ガスを燃料電池の燃料極側に供給するように制御する制御部とを備える。
【0012】
これによって、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて燃料電池の劣化前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段を用いての判断として水素含有ガス供給が必要であるとなったときに、燃料処理部での燃料ガス生成により生成した水素リッチな燃料ガスを燃料電池の燃料極側に供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の燃料電池システムによれば、燃料電池システムが発電を停止しているときにガス供給判断手段を用いることにより、燃料電池の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、水素含有ガス供給が必要であるとなったときには水素含有ガスを燃料電池の燃料極側に供給することにより、長時間の停止を含む起動停止に対しても燃料電池の劣化を防止することが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における燃料電池システムのブロック図
【図2】本発明の実施の形態2における燃料電池システムのブロック図
【図3】本発明の実施の形態3における燃料電池システムのブロック図
【図4】本発明の実施の形態4における燃料電池システムのブロック図
【図5】本発明の実施の形態5における燃料電池システムのブロック図
【図6】従来の燃料電池システムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1の本発明は、炭化水素系原料から水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理部と、燃料処理部で生成された燃料ガスを燃料極側に導入し酸化剤ガスを酸化剤極側に導入し燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、燃料電池での発電および燃料処理部での燃料ガス生成が停止しているときに燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段と、燃料電池の燃料極側に水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段と、ガス供給判断手段が燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断したときに、水素含有ガス供給手段を用いて燃料電池の燃料極側に水素含有ガスを供給するように制御する制御部とを備える燃料電池システムである。かかる構成にすることにより、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて燃料電池の劣化前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段を用いての判断として水素含有ガス供給が必要であるとなったときに、水素含有ガス供給手段を用いて水素含有ガスを燃料電池の燃料極側に供給することができる。
【0016】
第2の本発明は、炭化水素系原料から水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理部と、燃料処理部で生成された燃料ガスを燃料極側に導入し酸化剤ガスを酸化剤極側に導入し燃料ガスと酸化剤ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、燃料電池での発電および燃料処理部での燃料ガス生成が停止しているときに燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段と、ガス供給判断手段が燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断したときに、燃料処理部での燃料ガス生成を開始し、生成した水素リッチな燃料ガスを燃料電池の燃料極側に供給するように制御する制御部とを備える燃料電池システムである。かかる構成によって、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて燃料電池の劣化前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段を用
いての判断として水素含有ガス供給が必要であるとなったときに、燃料処理部での燃料ガス生成により生成した水素リッチな燃料ガスを燃料電池の燃料極側に供給することができる。
【0017】
第3の本発明は、特に、第1または第2の本発明の燃料電池システムに加えて、燃料電池への燃料ガス供給が停止している時間を検知する停止時間検知手段をさらに備え、ガス供給判断手段は停止時間検知手段が検知する時間が所定時間以上である場合に燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断することを特徴とする燃料電池システムである。かかる構成にすることにより、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて、検知した停止時間に応じて燃料電池の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断することができる。
【0018】
第4の本発明は、特に、第1または第2の本発明の燃料電池システムに加えて、燃料電池での発電が停止しているときに燃料電池の酸化剤極側に酸化剤ガスを供給する酸化剤供給手段と、燃料電池の電圧を検知する電圧検知手段とをさらに備え、ガス供給判断手段は酸化剤供給手段が酸化剤ガスを供給した時に電圧検知手段が検知する電圧が所定電圧以下である場合に燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断することを特徴とする燃料電池システムである。かかる構成にすることにより、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて、空気供給時に発生する燃料電池の電圧に応じて燃料電池の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断することができる。
【0019】
第5の本発明は、特に、第1または第2の本発明の燃料電池システムに加えて、燃料電池の燃料極側の水素濃度を検知する水素濃度検知器をさらに備え、ガス供給判断手段は水素濃度検知器が検知する水素濃度が所定濃度以下である場合に燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断することを特徴とする燃料電池システムである。かかる構成にすることにより、長時間の停止中に燃料電池の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段を用いて、燃料電池の燃料極側の水素濃度に応じて燃料電池の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の本実施の形態1における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態における燃料電池システムは、水素リッチな燃料ガスと空気中の酸素とを用いて発電を行なう燃料電池1と、原料を水蒸気改質し水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理機2と、燃料処理機2に原料供給源からの原料を供給する原料流路3と、燃料処理機2への原料の供給/遮断を行なう原料遮断弁4と、燃料処理機2に水供給源からの水を供給する水流路5と、燃料処理機2への水の供給/遮断を行なう水遮断弁6と、燃料処理機2を加熱するバーナ7と、バーナ7への燃焼用空気を供給するファン8と、ファン8から供給された燃焼用空気をバーナ7に導入する燃焼空気流路9と、燃料処理機2から生成された燃料ガスを燃料電池1に供給する燃料ガス流路10と、燃料電池1への燃料ガスの供給/地断を行なう燃料ガス遮断弁11と、燃料電池1から排出される残余燃料ガスをバーナ7に供給する残余燃料ガス流路12と、残余燃料ガスの排出/遮断を行なう残余燃料ガス遮断弁13と、燃料処理機2からの燃料ガスを燃料電池1をバ
イパスして残余燃料ガス遮断弁13より下流の残余燃料ガス流路12と合流する燃料ガスバイパス流路14と、燃料ガスバイパス流路14を通流する燃料ガスの通流/遮断を行なうバイパス遮断弁15と、残余燃料ガス流路12または燃料ガスバイパス流路14を通流する残余燃料ガスまたは燃料ガスのバーナへの供給/遮断を行なうバーナ遮断弁16と、燃料電池1への反応空気を供給するブロワ17と、ブロワ17からの反応空気を燃料電池1に通流する空気流路18と、ブロワ17からの反応空気を燃料電池1に供給/遮断を行なう空気遮断弁19と、燃料電池1からの残余空気を燃料電池システムの系外に排出する残余空気流路20と、燃料電池1からの残余空気の排出/遮断を行なう残余空気遮断弁21と、水素含有ガスとしての燃料ガスを貯留する燃料ガス貯留タンク22と、燃料ガス貯留タンク22と燃料ガス遮断弁11より下流の燃料ガス流路10とを接続するタンク連結流路23と、タンク連結流路23を通流する水素含有ガスの通流/遮断を行なう連結遮断弁24と、燃料電池1の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段25と、制御部26と、を備える。
【0023】
原料流路3は上流側が原料供給源に接続され、下流側が燃料処理機2に接続されている。水流路5は上流側が水供給源に接続され、下流側が燃料処理機2に接続されている。燃焼空気流路9は上流側がファン8に接続され、下流側がバーナ7に接続されている。燃料ガス流路10は上流側が燃料処理機2に接続され、下流側が燃料電池1に接続されている。残余燃料ガス流路12は上流側が燃料電池1に接続され、下流側がバーナ7に接続されている。燃料ガスバイパス流路14は、上流側が燃料処理機2と燃料ガス遮断弁11との間の燃料ガス流路10に接続され、下流側が残余燃料ガス遮断弁13とバーナ遮断弁16との間の残余燃料ガス流路12に接続されている。空気流路18は上流側がブロワ17に接続され、下流側が燃料電池1に接続されている。残余空気流路20は上流側が燃料電池1に接続され、下流側は内部を通流する残余空気が燃料電池システムの系外に排出されるように配置されている。タンク連結流路23は上流側が燃料ガス貯留タンクに接続され、下流側は燃料ガス遮断弁11と燃料電池1との間の燃料ガス流路10に接続されている。
【0024】
ここで、原料は、当該原料と水流路5を通じて供給された水とを用いて改質反応により水素含有ガスを生成できるものであればよい。原料として、例えば、エタン、プロパン等の炭化水素といった、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含むものを使用することができる。また前述の有機化合物の混合ガスである都市ガス、LPガスから付臭成分除去したものを使用することもできる。またここで、原料供給源としては原料を充填したボンベ、ガスインフララインを用いることができる。また、水供給源としてはイオン交換樹脂などにより、水道などの外部からの供給水または燃料電池システム内部で生成した水を回収した回収水から水質浄化された水を生成する、浄化機を用いることができる。
【0025】
なお本実施の形態における、燃料ガス貯留タンク22とタンク連結流路23と連結遮断弁24は、本発明における水素含有ガス供給手段の具体的な実施の一例である。
【0026】
次に、本実施の形態における燃料電池システムに関して、具体的動作を説明する。
【0027】
図1に示す燃料電池システムでは、原料遮断弁4を開にすることにより原料供給源から供給された原料は原料流路3を通じて燃料処理機2に供給される。また水遮断弁6を開にすることにより水供給源から供給された水は水流路5を通じて燃料処理機2に供給される。燃料処理機2では供給された原料と水を混合した後、触媒を用いて水蒸気改質および一酸化炭素低減することにより水素リッチな燃料ガスを生成する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10を通じて燃料処理機2より排出される。燃料処理機2の起動時など、燃料ガスの成分が安定していない場合は、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2
から排出された燃料ガスは、燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。また燃料処理機2での起動が完了し燃料ガスの成分が安定した場合は、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料電池1に供給される。一方、空気遮断弁19を開、残余空気遮断弁21を開とすることにより、ブロワ17からの反応用空気も空気流路18を通じて燃料電池1に供給される。燃料電池1では、供給された燃料ガス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させることにより発電を行なう。発電に使用されなかった空気は残余空気として、残余空気流路20を通じて燃料電池システムの系外に排出される。また、発電に使用されなかった燃料ガスは残余燃料ガスとして、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。バーナ7ではファン8により供給された燃焼用空気も燃焼空気流路9を通じて供給され、バーナ7での燃焼により燃料処理機2の触媒温度を高温に維持する。さらに燃料ガス貯留タンク22には、燃料ガスが燃料ガス流路10を通じて燃料電池1に供給されているときに連結遮断弁24を開とすることにより、燃料ガスの一部を貯留する。
【0028】
一方、燃料電池システムでの発電を終了する場合、原料遮断弁4および水遮断弁6を閉とすることにより、燃料処理機2への原料および水の供給を停止する。また、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13、バイパス遮断弁15、バーナ遮断弁16を閉として、燃料電池1への燃料ガス供給も停止する。一方、反応用の空気に関しても、ブロワ17を停止させ、空気遮断弁19、残余空気遮断弁21を閉とすることにより、停止させる。そして、連結遮断弁24を閉として、燃料ガスを燃料ガス貯留タンク22に封入する。
【0029】
燃料電池システムが停止を継続しているときは、ガス供給判断手段25は、燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に供給するかどうかを判断し、燃料ガスを供給すると判断した場合は、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、連結遮断弁24を開とすることにより燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスは、タンク連結流路23、燃料ガス流路10を通じて燃料電池1に流入させる。
【0030】
一般的に停止時間が長くなると燃料電池1のシール面を介して水素が排出&空気が流入することで燃料電池1内部の水素が減少することで燃料電池の電極(とくに燃料極)の電位が高くなり燃料電池1の電極劣化が発生することが分かっている。そこで、本実施の形態における燃料電池システムの構成をとると、長時間の停止中に燃料電池1の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段25を用いて燃料電池1の電極劣化が発生する前に水素含有ガスである燃料ガスを燃料ガス貯留タンク22から供給する必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段25が水素含有ガスである燃料ガスの供給が必要であると判断したときには、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、連結遮断弁24を開とすることにより燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に流入させることにより、燃料電池1の燃料極側に水素を供給し、電極の電位を低下させることが可能となり、長時間の停止を含む起動停止に対して燃料電池1の電極劣化を防止することができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、水素含有ガス供給手段の具体的一例として、燃料ガス貯留タンク22とタンク連結流路23と連結遮断弁24で構成するとしたがこの限りではなく、タンク連結流路23にポンプを設け、ポンプにより燃料ガス貯留タンク22に燃料ガスを圧入する構成にしてもよい。
【0032】
また、本実施の形態ではタンク連結流路23は燃料ガス遮断弁11と燃料電池1の間の燃料ガス流路に接続するとしたがこの限りではなく、燃料電池1と残余燃料ガス遮断弁13の間の残余燃料ガス流路に接続しても構わない。また、燃料ガス遮断弁11より上流の
燃料ガス流路10、または残余燃料ガス遮断弁13とバーナ遮断弁16の間の残余燃料ガス流路12に接続し、燃料ガス供給時には各々、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13も開として流入させる構成としても構わない。
【0033】
また、本実施の形態における燃料ガス貯留タンク22としては、圧力差により燃料ガスを物理的に貯留するタンクであっても構わないし、水素吸蔵合金やカーボンナノチューブを用いての化学的に貯留するタンクであっても構わない。
【0034】
また、本実施の形態における水素含有ガス供給手段の具体的一例として、燃料ガス貯留タンク22を用いて貯留した燃料ガスが供給できる構成としたがこの限りではなく、燃料ガス貯留タンク22の代わりに水素含有ガスボンベを用いる構成にしても構わない。
【0035】
(実施の形態2)
図2は、本発明の本実施の形態2における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【0036】
図2に示すように、本実施の形態における燃料電池システムは、水素リッチな燃料ガスと空気中の酸素とを用いて発電を行なう燃料電池1と、原料を水蒸気改質し水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理機2と、燃料処理機2に原料供給源からの原料を供給する原料流路3と、燃料処理機2への原料の供給/遮断を行なう原料遮断弁4と、燃料処理機2に水供給源からの水を供給する水流路5と、燃料処理機2への水の供給/遮断を行なう水遮断弁6と、燃料処理機2を加熱するバーナ7と、バーナ7への燃焼用空気を供給するファン8と、ファン8から供給された燃焼用空気をバーナ7に導入する燃焼空気流路9と、燃料処理機2から生成された燃料ガスを燃料電池1に供給する燃料ガス流路10と、燃料電池1への燃料ガスの供給/地断を行なう燃料ガス遮断弁11と、燃料電池1から排出される残余燃料ガスをバーナ7に供給する残余燃料ガス流路12と、残余燃料ガスの排出/遮断を行なう残余燃料ガス遮断弁13と、燃料処理機2からの燃料ガスを燃料電池1をバイパスして残余燃料ガス遮断弁13より下流の残余燃料ガス流路12と合流する燃料ガスバイパス流路14と、燃料ガスバイパス流路14を通流する燃料ガスの通流/遮断を行なうバイパス遮断弁15と、残余燃料ガス流路12または燃料ガスバイパス流路14を通流する残余燃料ガスまたは燃料ガスのバーナへの供給/遮断を行なうバーナ遮断弁16と、燃料電池1への反応空気を供給するブロワ17と、ブロワ17からの反応空気を燃料電池1に通流する空気流路18と、ブロワ17からの反応空気を燃料電池1に供給/遮断を行なう空気遮断弁19と、燃料電池1からの残余空気を燃料電池システムの系外に排出する残余空気流路20と、燃料電池1からの残余空気の排出/遮断を行なう残余空気遮断弁21と、燃料電池1の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段25と、制御部26と、を備える。
【0037】
原料流路3は上流側が原料供給源に接続され、下流側が燃料処理機2に接続されている。水流路5は上流側が水供給源に接続され、下流側が燃料処理機2に接続されている。燃焼空気流路9は上流側がファン8に接続され、下流側がバーナ7に接続されている。燃料ガス流路10は上流側が燃料処理機2に接続され、下流側が燃料電池1に接続されている。残余燃料ガス流路12は上流側が燃料電池1に接続され、下流側がバーナ7に接続されている。燃料ガスバイパス流路14は、上流側が燃料処理機2と燃料ガス遮断弁11との間の燃料ガス流路10に接続され、下流側が残余燃料ガス遮断弁13とバーナ遮断弁16との間の残余燃料ガス流路12に接続されている。空気流路18は上流側がブロワ17に接続され、下流側が燃料電池1に接続されている。残余空気流路20は上流側が燃料電池1に接続され、下流側は内部を通流する残余空気が燃料電池システムの系外に排出されるように配置されている。
【0038】
ここで、原料は、当該原料と水流路5を通じて供給された水とを用いて改質反応により水素含有ガスを生成できるものであればよい。原料として、例えば、エタン、プロパン等の炭化水素といった、少なくとも炭素及び水素を構成元素とする有機化合物を含むものを使用することができる。また前述の有機化合物の混合ガスである都市ガス、LPガスから付臭成分除去したものを使用することもできる。またここで、原料供給源としては原料を充填したボンベ、ガスインフララインを用いることができる。また、水供給源としてはイオン交換樹脂などにより、水道などの外部からの供給水または燃料電池システム内部で生成した水を回収した回収水から水質浄化された水を生成する、浄化機を用いることができる。
【0039】
次に、本実施の形態における燃料電池システムに関して、具体的動作を説明する。
【0040】
図2に示す燃料電池システムでは、原料遮断弁4を開にすることにより原料供給源から供給された原料は原料流路3を通じて燃料処理機2に供給される。また水遮断弁6を開にすることにより水供給源から供給された水は水流路5を通じて燃料処理機2に供給される。燃料処理機2では供給された原料と水を混合した後、触媒を用いて水蒸気改質および一酸化炭素低減することにより水素リッチな燃料ガスを生成する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10を通じて燃料処理機2より排出される。燃料処理機2の起動時など、燃料ガスの成分が安定していない場合は、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。また燃料処理機2での起動が完了し燃料ガスの成分が安定した場合は、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料電池1に供給される。一方、空気遮断弁19を開、残余空気遮断弁21を開とすることにより、ブロワ17からの反応用空気も空気流路18を通じて燃料電池1に供給される。燃料電池1では、供給された燃料ガス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させることにより発電を行なう。発電に使用されなかった空気は残余空気として、残余空気流路20を通じて燃料電池システムの系外に排出される。また、発電に使用されなかった燃料ガスは残余燃料ガスとして、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。バーナ7ではファン8により供給された燃焼用空気も燃焼空気流路9を通じて供給され、バーナ7での燃焼により燃料処理機2の触媒温度を高温に維持する。
【0041】
一方、燃料電池システムでの発電を終了する場合、原料遮断弁4および水遮断弁6を閉とすることにより、燃料処理機2への原料および水の供給を停止する。また、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13、バイパス遮断弁15、バーナ遮断弁16を閉として、燃料電池1への燃料ガス供給も停止する。一方、反応用の空気に関しても、ブロワ17を停止させ、空気遮断弁19、残余空気遮断弁21を閉とすることにより、停止させる。
【0042】
燃料電池システムが停止を継続しているときは、ガス供給判断手段25は、燃料処理機2で生成した燃料ガスを燃料電池1に供給するかどうかを判断し、燃料ガスを供給すると判断した場合は、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、原料遮断弁4を開、水遮断弁6を開、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開として燃料処理機2に原料と水を供給し、触媒を用いての水素リッチな燃料ガスの生成を開始する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給され、ファン8により供給された空気を用いて燃焼される。燃料処理機2の触媒温度が昇温され、燃料ガスの成分が安定すると、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2で生成された燃料ガスは、燃料電池1に供給され、生成された水素リッ
チな燃料ガスで燃料電池1の燃料極側はパージされる。一方このとき、ブロワ17は停止、空気遮断弁19は閉、残余空気遮断弁21は閉として、燃料電池1のカソード電極側には酸素を含んだ空気の供給はしない。
【0043】
一般的に停止時間が長くなると燃料電池1のシール面を介して水素が排出&空気が流入することで燃料電池1内部の水素が減少することで燃料電池の電極(とくに燃料極)の電位が高くなり燃料電池1の電極劣化が発生することが分かっている。そこで、本実施の形態における燃料電池システムの構成をとると、長時間の停止中に燃料電池1の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段25を用いて燃料電池1の電極劣化が発生する前に水素含有ガスである燃料ガスの供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段25が水素含有ガスである燃料ガスの供給が必要であると判断したときには、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、燃料処理機2を起動させ、燃料ガスの成分が安定した後に燃料ガスを燃料電池1に通流することで燃料電池1の燃料極を水素リッチな燃料ガスでパージし、電極の電位を低下させることが可能となり、長時間の停止を含む起動停止に対して燃料電池1の電極劣化を防止することができる。
【0044】
(実施の形態3)
図3は、本発明の本実施の形態3における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図3において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0045】
本実施の形態における燃料電池システムは、実施の形態1における燃料電池システムと比して、燃料電池システムが運転を停止してからの時間を検知する停止時間タイマ27をさらに備える点で異なる。
【0046】
なお本実施の形態における、停止時間タイマ27は、本発明における停止時間検知手段の具体的な実施の一例である。
【0047】
次に、本実施の形態における燃料電池システムに関して、具体的動作を説明する。
【0048】
図3に示す燃料電池システムでは、原料遮断弁4を開にすることにより原料供給源から供給された原料は原料流路3を通じて燃料処理機2に供給される。また水遮断弁6を開にすることにより水供給源から供給された水は水流路5を通じて燃料処理機2に供給される。燃料処理機2では供給された原料と水を混合した後、触媒を用いて水蒸気改質および一酸化炭素低減することにより水素リッチな燃料ガスを生成する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10を通じて燃料処理機2より排出される。燃料処理機2の起動時など、燃料ガスの成分が安定していない場合は、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。また燃料処理機2での起動が完了し燃料ガスの成分が安定した場合は、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料電池1に供給される。一方、空気遮断弁19を開、残余空気遮断弁21を開とすることにより、ブロワ17からの反応用空気も空気流路18を通じて燃料電池1に供給される。燃料電池1では、供給された燃料ガス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させることにより発電を行なう。発電に使用されなかった空気は残余空気として、残余空気流路20を通じて燃料電池システムの系外に排出される。また、発電に使用されなかった燃料ガスは残余燃料ガスとして、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。バーナ7ではファン8により供給された燃焼用空気も燃焼空気流路9を通じて供給され、バーナ7での燃焼により燃料処理機2の触媒温度を高温に維持する。さら
に燃料ガス貯留タンク22には、燃料ガスが燃料ガス流路10を通じて燃料電池1に供給されているときに連結遮断弁24を開とすることにより、燃料ガスの一部を貯留する。
【0049】
一方、燃料電池システムでの発電を終了する場合、原料遮断弁4および水遮断弁6を閉とすることにより、燃料処理機2への原料および水の供給を停止する。また、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13、バイパス遮断弁15、バーナ遮断弁16を閉として、燃料電池1への燃料ガス供給も停止する。一方、反応用の空気に関しても、ブロワ17を停止させ、空気遮断弁19、残余空気遮断弁21を閉とすることにより、停止させる。そして、連結遮断弁24を閉として、燃料ガスを燃料ガス貯留タンク22に封入する。
【0050】
燃料電池システムが停止を継続しているときは、停止時間タイマ27が停止時間のカウントを継続する。ガス供給判断手段25は、停止時間タイマ27の停止時間カウントが所定時間(たとえば48時間)を超えた場合、燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に供給すると判断し、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、連結遮断弁24を開とすることにより燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスは、タンク連結流路23、燃料ガス流路10を通じて燃料電池1に流入させる。
【0051】
一般的に停止時間が長くなると燃料電池1のシール面を介して水素が排出&空気が流入することで燃料電池1内部の水素が減少することで燃料電池の電極(とくに燃料極)の電位が高くなり燃料電池1の電極劣化が発生することが分かっている。つまり停止時間と燃料電池1の電極劣化の間には相関がある。そこで、本実施の形態における燃料電池システムの構成をとると、長時間の停止中に燃料電池1の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段25を用いて、停止時間タイマ27が検知した停止時間に応じて燃料電池1の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段25が水素含有ガスである燃料ガスの供給が必要であると判断したときには、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、連結遮断弁24を開とすることにより燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に流入させることにより、燃料電池1のアノード電極側に水素を供給し、電極の電位を低下させることが可能となり、長時間の停止を含む起動停止に対して燃料電池1の電極劣化を防止することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、水素含有ガス供給手段の具体的一例として、燃料ガス貯留タンク22とタンク連結流路23と連結遮断弁24で構成するとしたがこの限りではなく、タンク連結流路23にポンプを設け、ポンプにより燃料ガス貯留タンク22に燃料ガスを圧入する構成にしてもよい。
【0053】
また、本実施の形態ではタンク連結流路23は燃料ガス遮断弁11と燃料電池1の間の燃料ガス流路に接続するとしたがこの限りではなく、燃料電池1と残余燃料ガス遮断弁13の間の残余燃料ガス流路に接続しても構わない。また、燃料ガス遮断弁11より上流の燃料ガス流路10、または残余燃料ガス遮断弁13とバーナ遮断弁16の間の残余燃料ガス流路12に接続し、燃料ガス供給時には各々、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13も開として流入させる構成としても構わない。
【0054】
また、本実施の形態における燃料ガス貯留タンク22としては、圧力差により燃料ガスを物理的に貯留するタンクであっても構わないし、水素吸蔵合金やカーボンナノチューブを用いての化学的に貯留するタンクであっても構わない。
【0055】
また、本実施の形態における水素含有ガス供給手段の具体的一例として、燃料ガス貯留タンク22を用いて貯留した燃料ガスが供給できる構成としたがこの限りではなく、燃料
ガス貯留タンク22の代わりに水素含有ガスボンベを用いる構成にしても構わない。
【0056】
また、本実施の形態における燃料電池システムは、図1に示す実施の形態1における燃料電池システムに加えて、『燃料電池システムが運転を停止してからの時間を検知する停止時間タイマ27をさらに備える』としたが、この限りではなく、図2に示す実施の形態2における燃料電池システムに加えて、『燃料電池システムが運転を停止してからの時間を検知する停止時間タイマ27をさらに備える』とする構成としても構わない。
【0057】
(実施の形態4)
図4は、本発明の本実施の形態4における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図4において、図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0058】
本実施の形態における燃料電池システムは、実施の形態1における燃料電池システムと比して、燃料電池1の直流電圧を測定する電圧検知器28をさらに備える点で異なる。
【0059】
なお本実施の形態における、ブロワ17と空気遮断弁19と残余空気遮断弁21、電圧検知器28は、各々、本発明における酸化剤供給手段、電圧検知手段の具体的な実施の一例である。
【0060】
次に、本実施の形態における燃料電池システムに関して、具体的動作を説明する。
【0061】
図4に示す燃料電池システムでは、原料遮断弁4を開にすることにより原料供給源から供給された原料は原料流路3を通じて燃料処理機2に供給される。また水遮断弁6を開にすることにより水供給源から供給された水は水流路5を通じて燃料処理機2に供給される。燃料処理機2では供給された原料と水を混合した後、触媒を用いて水蒸気改質および一酸化炭素低減することにより水素リッチな燃料ガスを生成する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10を通じて燃料処理機2より排出される。燃料処理機2の起動時など、燃料ガスの成分が安定していない場合は、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。また燃料処理機2での起動が完了し燃料ガスの成分が安定した場合は、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料電池1に供給される。一方、空気遮断弁19を開、残余空気遮断弁21を開とすることにより、ブロワ17からの反応用空気も空気流路18を通じて燃料電池1に供給される。燃料電池1では、供給された燃料ガス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させることにより発電を行なう。発電に使用されなかった空気は残余空気として、残余空気流路20を通じて燃料電池システムの系外に排出される。また、発電に使用されなかった燃料ガスは残余燃料ガスとして、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。バーナ7ではファン8により供給された燃焼用空気も燃焼空気流路9を通じて供給され、バーナ7での燃焼により燃料処理機2の触媒温度を高温に維持する。さらに燃料ガス貯留タンク22には、燃料ガスが燃料ガス流路10を通じて燃料電池1に供給されているときに連結遮断弁24を開とすることにより、燃料ガスの一部を貯留する。
【0062】
一方、燃料電池システムでの発電を終了する場合、原料遮断弁4および水遮断弁6を閉とすることにより、燃料処理機2への原料および水の供給を停止する。また、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13、バイパス遮断弁15、バーナ遮断弁16を閉として、燃料電池1への燃料ガス供給も停止する。一方、反応用の空気に関しても、ブロワ17を停止させ、空気遮断弁19、残余空気遮断弁21を閉とすることにより、停止させる。そして、連結遮断弁24を閉として、燃料ガスを燃料ガス貯留タンク22に封入する。
【0063】
燃料電池システムが停止を継続しているときに制御部26は、ガス供給判断手段25が燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に供給するかどうかを判断できるように、空気遮断弁19および残余空気遮断弁21を開としてブロワ17を作動し燃料電池1の空気極側に空気を供給する。ガス供給判断手段25は燃料電池1の空気極側に空気を供給した時に電圧検知器28が検知する電圧が所定電圧以下(例えば、燃料電池1を構成するセルの平均電圧が100mV以下)である場合、燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に供給すると判断し、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、連結遮断弁24を開とすることにより燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスは、タンク連結流路23、燃料ガス流路10を通じて燃料電池1に流入させる。
【0064】
一般的に停止時間が長くなると燃料電池1のシール面を介して水素が排出&空気が流入することで燃料電池1内部の水素が減少することで燃料電池の電極(とくに燃料極)の電位が高くなり燃料電池1の電極劣化が発生することが分かっている。また水素が減少した場合は、燃料電池1の空気極側に空気を供給しても燃料電池1の顕著な電圧上昇は見られない。そこで、本実施の形態における燃料電池システムの構成をとると、長時間の停止中に燃料電池1の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、制御部26が酸化剤供給手段であるブロワ17と空気遮断弁19と残余空気遮断弁21を動作させての燃料電池1のカソード電極側への空気供給により、ガス供給判断手段25は燃料電池1のカソード電極側に空気を供給した時の電圧検知器28が検知する電圧に応じて燃料電池1の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段25が水素含有ガスである燃料ガスの供給が必要であると判断したときには、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、連結遮断弁24を開とすることにより燃料ガス貯留タンク22に保持している燃料ガスを燃料電池1に流入させることにより、燃料電池1の燃料極側に水素を供給し、電極の電位を低下させることが可能となり、長時間の停止を含む起動停止に対して燃料電池1の電極劣化を防止することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、水素含有ガス供給手段の具体的一例として、燃料ガス貯留タンク22とタンク連結流路23と連結遮断弁24で構成するとしたがこの限りではなく、タンク連結流路23にポンプを設け、ポンプにより燃料ガス貯留タンク22に燃料ガスを圧入する構成にしてもよい。
【0066】
また、本実施の形態ではタンク連結流路23は燃料ガス遮断弁11と燃料電池1の間の燃料ガス流路に接続するとしたがこの限りではなく、燃料電池1と残余燃料ガス遮断弁13の間の残余燃料ガス流路に接続しても構わない。また、燃料ガス遮断弁11より上流の燃料ガス流路10、または残余燃料ガス遮断弁13とバーナ遮断弁16の間の残余燃料ガス流路12に接続し、燃料ガス供給時には各々、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13も開として流入させる構成としても構わない。
【0067】
また、本実施の形態における燃料ガス貯留タンク22としては、圧力差により燃料ガスを物理的に貯留するタンクであっても構わないし、水素吸蔵合金やカーボンナノチューブを用いての化学的に貯留するタンクであっても構わない。
【0068】
また、本実施の形態における水素含有ガス供給手段の具体的一例として、燃料ガス貯留タンク22を用いて貯留した燃料ガスが供給できる構成としたがこの限りではなく、燃料ガス貯留タンク22の代わりに水素含有ガスボンベを用いる構成にしても構わない。
【0069】
また、制御部26が行なうブロワ17と空気遮断弁19と残余空気遮断弁21を動作さ
せての燃料電池1のカソード電極側への空気供給は、燃料電池システムが停止を継続しているときにおいて定期的に複数回実施しても構わない。
【0070】
また、本実施の形態における燃料電池システムは、図1に示す実施の形態1における燃料電池システムに加えて、『燃料電池1の直流電圧を測定する電圧検知器28をさらに備える』としたが、この限りではなく、図2に示す実施の形態2における燃料電池システムに加えて、『燃料電池1の直流電圧を測定する電圧検知器28をさらに備える』とする構成としても構わない。
【0071】
(実施の形態5)
図5は、本発明の本実施の形態5における燃料電池システムの構成を示すブロック図である。図5において、図2と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0072】
本実施の形態における燃料電池システムは、実施の形態2における燃料電池システムと比して、燃料電池1の燃料極側の水素濃度を検知する水素濃度検知器29をさらに備える点で異なる。
【0073】
次に、本実施の形態における燃料電池システムに関して、具体的動作を説明する。
【0074】
図5に示す燃料電池システムでは、原料遮断弁4を開にすることにより原料供給源から供給された原料は原料流路3を通じて燃料処理機2に供給される。また水遮断弁6を開にすることにより水供給源から供給された水は水流路5を通じて燃料処理機2に供給される。燃料処理機2では供給された原料と水を混合した後、触媒を用いて水蒸気改質および一酸化炭素低減することにより水素リッチな燃料ガスを生成する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10を通じて燃料処理機2より排出される。燃料処理機2の起動時など、燃料ガスの成分が安定していない場合は、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。また燃料処理機2での起動が完了し燃料ガスの成分が安定した場合は、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2から排出された燃料ガスは、燃料電池1に供給される。一方、空気遮断弁19を開、残余空気遮断弁21を開とすることにより、ブロワ17からの反応用空気も空気流路18を通じて燃料電池1に供給される。燃料電池1では、供給された燃料ガス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させることにより発電を行なう。発電に使用されなかった空気は残余空気として、残余空気流路20を通じて燃料電池システムの系外に排出される。また、発電に使用されなかった燃料ガスは残余燃料ガスとして、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給される。バーナ7ではファン8により供給された燃焼用空気も燃焼空気流路9を通じて供給され、バーナ7での燃焼により燃料処理機2の触媒温度を高温に維持する。
【0075】
一方、燃料電池システムでの発電を終了する場合、原料遮断弁4および水遮断弁6を閉とすることにより、燃料処理機2への原料および水の供給を停止する。また、燃料ガス遮断弁11、残余燃料ガス遮断弁13、バイパス遮断弁15、バーナ遮断弁16を閉として、燃料電池1への燃料ガス供給も停止する。一方、反応用の空気に関しても、ブロワ17を停止させ、空気遮断弁19、残余空気遮断弁21を閉とすることにより、停止させる。
【0076】
燃料電池システムが停止を継続しているときは、水素濃度検知器29が燃料電池1の燃料極側の水素濃度を検知する。ガス供給判断手段25は、水素濃度検知器29の検知する濃度が所定濃度以下(たとえば0.1%以下)を下回った場合、燃料処理機2で生成した燃料ガスを燃料電池1に供給すると判断し、制御部26はガス供給判断手段25での「燃
料ガスを供給する」判断を受けて、原料遮断弁4を開、水遮断弁6を開、燃料ガス遮断弁11を閉、残余燃料ガス遮断弁13を閉、バイパス遮断弁15を開、バーナ遮断弁16を開として燃料処理機2に原料と水を供給し、触媒を用いての水素リッチな燃料ガスの生成を開始する。生成された燃料ガスは燃料ガス流路10、燃料ガスバイパス流路14、残余燃料ガス流路12を通じてバーナ7に供給され、ファン8により供給された空気を用いて燃焼される。燃料処理機2の触媒温度が昇温され、燃料ガスの成分が安定すると、燃料ガス遮断弁11を開、残余燃料ガス遮断弁13を開、バイパス遮断弁15を閉、バーナ遮断弁16を開とすることにより、燃料処理機2で生成された燃料ガスは、燃料電池1に供給され、生成された水素リッチな燃料ガスで燃料電池1の燃料極側はパージされる。一方このとき、ブロワ17は停止、空気遮断弁19は閉、残余空気遮断弁21は閉として、燃料電池1のカソード電極側には酸素を含んだ空気の供給はしない。
【0077】
一般的に停止時間が長くなると燃料電池1のシール面を介して水素が排出&空気が流入することで燃料電池1内部の水素が減少することで燃料電池の電極(とくに燃料極)の電位が高くなり燃料電池1の電極劣化が発生することが分かっている。また水素が減少した場合は、当然、燃料電池1の燃料極の水素濃度は低下する。そこで、本実施の形態における燃料電池システムの構成をとると、長時間の停止中に燃料電池1の燃料極側に含有する水素が減少した場合においても、ガス供給判断手段25を用いて、水素濃度検知器29が検知した水素濃度に応じて燃料電池1の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、ガス供給判断手段25が水素含有ガスである燃料ガスの供給が必要であると判断したときには、制御部26はガス供給判断手段25での「燃料ガスを供給する」判断を受けて、燃料処理機2を起動させ、燃料ガスの成分が安定した後に燃料ガスを燃料電池1に通流することで燃料電池1の燃料極を水素リッチな燃料ガスでパージし、電極の電位を低下させることが可能となり、長時間の停止を含む起動停止に対して燃料電池1の電極劣化を防止することができる。
【0078】
なお、本実施の形態における燃料電池システムは、図2に示す実施の形態2における燃料電池システムに加えて、『燃料電池1の燃料極側の水素濃度を検知する水素濃度検知器29をさらに備える』としたが、この限りではなく、図1に示す実施の形態1における燃料電池システムに加えて、『燃料電池1の燃料極側の水素濃度を検知する水素濃度検知器29をさらに備える』とする構成としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明にかかる燃料電池システムは、燃料電池システムが発電を停止しているときにガス供給判断手段を用いることにより、燃料電池の電極劣化が発生する前に水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断し、水素含有ガス供給が必要であるとなったときには水素含有ガスを燃料電池の燃料極側に供給することができるため、長時間の停止を含む起動停止を行なう燃料電池システムに有用である。
【符号の説明】
【0080】
1 燃料電池
2 燃料処理機
3 原料流路
4 原料遮断弁
5 水流路
6 水遮断弁
7 バーナ
8 ファン
9 燃焼空気流路
10 燃料ガス流路
11 燃料ガス遮断弁
12 残余燃料ガス流路
13 残余燃料ガス遮断弁
14 燃料ガスバイパス流路
15 バイパス遮断弁
16 バーナ遮断弁
17 ブロワ
18 空気流路
19 空気遮断弁
20 残余空気流路
21 残余空気遮断弁
22 燃料ガス貯留タンク
23 タンク連結流路
24 連結遮断弁
25 ガス供給判断手段
26 制御部
27 停止時間タイマ
28 電圧検知器
29 水素濃度検知器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素系原料から水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理部と、
前記燃料処理部で生成された燃料ガスを燃料極側に導入し酸化剤ガスを酸化剤極側に導入し前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、
前記燃料電池での発電および前記燃料処理部での燃料ガス生成が停止しているときに前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段と、
前記燃料電池の燃料極側に水素含有ガスを供給する水素含有ガス供給手段と、
前記ガス供給判断手段が前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断したときに、前記水素含有ガス供給手段を用いて前記燃料電池の燃料極側に水素含有ガスを供給するように制御する制御部とを備える
燃料電池システム。
【請求項2】
炭化水素系原料から水素リッチな燃料ガスを生成する燃料処理部と、
前記燃料処理部で生成された燃料ガスを燃料極側に導入し酸化剤ガスを酸化剤極側に導入し前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとを用いて発電を行なう燃料電池と、
前記燃料電池での発電および前記燃料処理部での燃料ガス生成が停止しているときに前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であるか否かを判断するガス供給判断手段と、
前記ガス供給判断手段が前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断したときに、前記燃料処理部での燃料ガス生成を開始し、生成した水素リッチな燃料ガスを前記燃料電池の燃料極側に供給するように制御する制御部とを備える
燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池への燃料ガス供給が停止している時間を検知する停止時間検知手段をさらに備え、
前記ガス供給判断手段は、
前記停止時間検知手段が検知する時間が所定時間以上である場合、前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池での発電が停止しているときに前記燃料電池の前記酸化剤極側に酸化剤ガスを供給する酸化剤供給手段と、
前記燃料電池の電圧を検知する電圧検知手段とをさらに備え、
前記ガス供給判断手段は、
前記酸化剤供給手段が前記酸化剤ガスを供給した時に前記電圧検知手段が検知する電圧が所定電圧以下である場合、前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池の燃料極側の水素濃度を検知する水素濃度検知器をさらに備え、
前記ガス供給判断手段は、
前記水素濃度検知器が検知する水素濃度が所定濃度以下である場合、前記燃料電池の燃料極側への水素含有ガス供給が必要であると判断することを特徴とする
請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−84418(P2012−84418A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230210(P2010−230210)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】